説明

放電灯点灯装置

【課題】少ないコストで使用者に不快感を与える現象が発生する前に確実に保護動作させる放電灯点灯装置を提供することを目的。
【解決手段】放電灯12の点灯用の第1スイッチS1と、直流高電圧用の第1電解コンデンサC1を有し第1スイッチS1の操作に拠り放電灯12を点灯させる点灯回路13とを備えた放電灯点灯装置10において、第1スイッチS1に連動してオン・オフする第2スイッチS2と第2電解コンデンサC2と低電圧直流電源15とを有し第2スイッチS2がオンしている期間低電圧直流電源15によって第2電解コンデンサC2が充電される充電回路13と、充電中の第2電解コンデンサC2の電圧を経時的に測定する測定制御手段14を設け、この測定制御手段14は、第2電解コンデンサC2の電圧の経時変化に基づいて第1電解コンデンサC1の劣化を判断し、劣化と判断したとき点灯回路13を保護動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に搭載される放電灯点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電源と、交流電源の交流電圧を整流する整流回路と、整流された直流電圧をチョッパするチョッパ回路と、チョッパされた直流電圧を高周波の電圧に変換するインバータを有するインバータ回路と、高周波電圧により放電灯を点灯させる点灯回路を備えた放電灯点灯装置が知られている。このチョッパ回路には、点灯用の電解コンデンサが設けられ、電源オン時に充電されて、点灯用回路の電圧を所定レベルに維持して点灯動作に寄与する(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、電解コンデンサが劣化すると放電灯のチラツキが発生したり、電解コンデンサにアルミ電解コンデンサが使用されているとその劣化により電解コンデンサの防爆弁動作(電解液噴出)が発生する等の問題がある。
【0004】
これらの問題の発生を防止するために電解コンデンサの劣化を検出する必要があるが、この劣化を検出するものとして例えば特許文献2や特許文献3のものが知られている。
【0005】
特許文献2のものは、充電時間充電電圧記憶部に予め設定された電力用コンデンサ(電解コンデンサ)の充電時間および充電電圧の特性と、電力用コンデンサの充電開始からの測定充電時間および測定充電電圧との比較に基づいて電力用コンデンサの寿命すなわち劣化を診断するものである。
【0006】
特許文献3のものは、電解コンデンサの両端電圧がスイッチのオフから基準電圧に低下するまでの時間が一定時間以下であるかを判断して電解コンデンサの寿命を判断するものである。
【特許文献1】特開2004−355864号公報
【特許文献2】特開2007− 57368号公報
【特許文献3】特開2002−281735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2および特許文献3のものにあっては、電解コンデンサに高電圧が印加されるため、電圧を測定するCPUなどの入力ポートに電解コンデンサの端子を直接接続することが出来ず、このため、電解コンデンサの高電圧を低電圧にして入力ポートに入力させる付加部品が必要となり、放電灯点灯装置が高価なものになってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、付加部品を設けなくとも高電圧用の電解コンデンサの劣化を検知して、放電灯のチラツキ等が発生する前に確実に保護動作することができ、しかも安価な放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、放電灯の点灯用の第1スイッチと、直流高電圧用の第1電解コンデンサを有し第1スイッチの操作に拠り前記放電灯を点灯させる点灯回路とを備えた放電灯点灯装置において、
第1スイッチに連動してオン・オフ動作する第2スイッチと第2電解コンデンサと低電圧直流電源とを有し第2スイッチがオンしている期間前記低電圧直流電源によって第2電解コンデンサが充電される充電回路と、
充電中の第2電解コンデンサの電圧を経時的に測定する測定制御手段を設け、
前記測定制御手段は、第2電解コンデンサの電圧の経時変化に基づいて第1電解コンデンサの劣化を判断し、劣化と判断したとき前記点灯回路を保護動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、付加部品を設けなくとも高電圧用の電解コンデンサの劣化を検知して、放電灯のチラツキ等が発生する前に確実に保護動作することができ、しかも安価な放電灯点灯装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の放電灯点灯装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
まず、放電灯点灯装置10の構成を説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る実施例1の放電灯点灯装置10の構成を示すブロック図である。
【0014】
放電灯点灯装置10は、図1に示すように、放電灯12を点灯させる点灯回路13と、後述する第2アルミ電解コンデンサ(第2電解コンデンサ)C2を有する充電回路16と、放電灯12を点灯・消灯させるための第1スイッチS1と、後述する平滑用電解コンデンサの劣化の判断を行うマイクロコンピュータ(マイコン)14とを有している。
【0015】
点灯回路13は、交流電源11の交流電圧を全波整流するとともに平滑して直流電圧を出力する整流回路(不図示)と、この整流回路から出力される直流電圧を断続させて昇圧するチョッパ(不図示)と、このチョッパの断続高電圧を平滑する図示しない直流高電圧用の平滑用電解コンデンサ(第1電解コンデンサ:第1アルミ電解コンデンサ)C1と、平滑用電解コンデンサで平滑された直流高電圧を高周波電圧に変換して出力するインバータ(不図示)と、このインバータから出力される高周波電圧によって放電灯12を点灯させる共振回路(不図示)を有している。
【0016】
そして、充電回路16は、5Vの直流電圧を供給するDC電源(低電圧直流電源)15と、第1スイッチS1と連動してオン・オフ動作する第2スイッチS2と、DC電源15に拠り充電される第2アルミ電解コンデンサC2と、DC電源15の電源電圧を分圧する抵抗R1,R2とを有している。
【0017】
抵抗R1,R2は、DC電源15とアース間に直列に接続され、抵抗R1,R2の接続点とアース間には、第2アルミ電解コンデンサC2が接続されている。
このアルミ電解コンデンサC2には、アルミ電解コンデンサC1の寿命よりある程度短い寿命のものを用いる。
ただし、アルミ電解コンデンサには製品のバラツキによる誤差があるため、ここではアルミ電解コンデンサC2の寿命は最大誤差を有する場合の最長の寿命となるものであり、アルミ電解コンデンサC1の寿命は、最大誤差を有する場合の最短となるものである。
また、アルミ電解コンデンサC2は、アルミ電解コンデンサC1と同じ周温度となる場所に設けられている。
【0018】
マイコン14の入力ポートは、抵抗R1,R2の接続点と接続されている。
【0019】
次に、本発明に係る実施例の放電灯点灯装置10の作用を説明する。
【0020】
点灯回路13の第1スイッチS1がオンされると、このオンに連動して充電回路16の第2スイッチS2がオンする。
【0021】
そして、DC電源15の電源電圧が抵抗R1を介して第2アルミ電解コンデンサC2を充電していき、第2アルミ電解コンデンサの電圧は、例えば図2の波形Lxに示すように、充電により時間の経過とともに上昇していく。
【0022】
一方、マイコン14にはDC電源15の電源電圧が給電されてマイコン14が立ち上がって第2アルミ電解コンデンサC2の電圧を測定していくとともに、第2アルミ電解コンデンサC2の電圧が電圧V1から電圧V2に上昇するまでの時間を測定する。
また、図2に第2アルミ電解コンデンサC2が劣化していないときの充電波形L1を示す。この充電波形L1では電圧V1から電圧V2になるまでの時間はT1である。
【0023】
しかし、使用に拠り第2アルミ電解コンデンサC2が劣化し、この劣化によって第2アルミ電解コンデンサC2の容量が減少していくことにより、充電波形L1からL2へと変化していき、電圧V1からV2になるまでの時間は短くなる。
充電波形L2は、第2アルミ電解コンデンサC2が寿命に達した場合の充電波形を示し、この場合の電圧V1から電圧V2になるまでの時間はT2である。この時間T2は図示しないメモリに記憶させておく。
【0024】
マイコン14は、第2アルミ電解コンデンサC2の充電波形Lxの電圧V1から電圧V2になるまでの測定時間Txと、メモリに記憶した時間T2とを比較し、測定時間Txが時間T2以下になったとき、第2アルミ電解コンデンサC2すなわち第1アルミ電解コンデンサC1が寿命に達したと判断する。
この実施例では、時間T2は、放電灯1がチラツキ始める少し手前の状態にまで第1アルミ電解コンデンサC1の劣化が進んだときを寿命と判断する時間に設定しておく。
【0025】
マイコン14は、第2アルミ電解コンデンサC2すなわち第1アルミ電解コンデンサC1が寿命に達したと判断すると、例えば、点灯回路13を保護動作させる。この保護動作は、例えば、マイコン14により点灯回路12のインバータ(不図示)の発振出力を停止させる。
【0026】
これにより、使用者に不快感を与える放電灯12のチラツキ現象や第1アルミ電解コンデンサC1の防爆弁動作の発生を防止することができる。
図3は他の劣化の判断方法を示す。図3に示す方法は、第2アルミ電解コンデンサC2の充電波形から時間T4経過したときの測定電圧Vxと電圧V5とを比較し、測定電圧Vxが電圧V5以上のとき第2アルミ電解コンデンサC2が寿命に達したと判断するものである。
【0027】
電圧V5は、寿命に達した第2アルミコンデンサC2の充電開始から時間T4経過したときの電圧であり、電圧V3は劣化していない第2アルミ電解コンデンサC2の充電開始から時間T4経過したときの電圧である。
この方法でも上記と同様な効果を得ることができる。
【0028】
本実施例の放電灯点灯装置10によれば、第2アルミ電解コンデンサC2の電圧の経時変化に基づいて第1アルミ電解コンデンサC1の劣化を判断することから、付加部品を設けなくとも高電圧が印加される第1アルミ電解コンデンサC1の劣化の検知が可能である。このため、放電灯点灯装置10を安価に提供することができる。
【0029】
また、第1アルミ電解コンデンサC1の劣化の検知に拠り、使用者に不快感を与える放電灯のチラツキ現象等が発生する前に確実に点灯回路12に保護動作させることができる。
【0030】
ところで、使用時間を計測して第1アルミ電解コンデンサC1の劣化を判断する方法があるが、使用温度が高いと第1アルミ電解コンデンサC1の劣化の速度が早まるので、正確な劣化を検出するためには使用温度を計測する回路が必要となり、このため高価なものになってしまう。
【0031】
アルミ電解コンデンサC2が、アルミ電解コンデンサC1と同じ周温度となる場所に設けられているので、第2アルミ電解コンデンサC2の劣化の速度も第1アルミ電解コンデンサC1と同様に早まる。
【0032】
この実施例では、第2アルミ電解コンデンサC2の充電時間や電圧に基づいて第1アルミ電解コンデンサC1の劣化を判断するようにしたものであるから、使用温度を計測する回路は不要となり、このため安価な装置を提供することができる。
【0033】
以上、本発明の放電灯点灯装置10を実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る実施例の放電灯点灯装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る実施例の第2アルミ電解コンデンサの充電波形を示したグラフである。
【図3】第1アルミ電解コンデンサの劣化を検知する他の方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0035】
10 放電灯点灯装置
11 交流電源
12 放電灯
13 点灯回路
14 マイコン(測定制御手段)
15 DC電源(低電圧直流電源)
16 充電回路
C1 第1アルミ電解コンデンサ(第1電解コンデンサ)
C2 第2アルミ電解コンデンサ(第2電解コンデンサ)
S1 第1スイッチ
S2 第2スイッチ
R1 抵抗
R2 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電灯の点灯用の第1スイッチと、直流高電圧用の第1電解コンデンサを有し第1スイッチの操作に拠り前記放電灯を点灯させる点灯回路とを備えた放電灯点灯装置において、
第1スイッチに連動してオン・オフ動作する第2スイッチと第2電解コンデンサと低電圧直流電源とを有し第2スイッチがオンしている期間前記低電圧直流電源によって第2電解コンデンサが充電される充電回路と、
充電中の第2電解コンデンサの電圧を経時的に測定する測定制御手段を設け、
前記測定制御手段は、第2電解コンデンサの電圧の経時変化に基づいて第1電解コンデンサの劣化を判断し、劣化と判断したとき前記点灯回路を保護動作させることを特徴とする放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−80252(P2010−80252A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247125(P2008−247125)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000180450)四変テック株式会社 (55)
【Fターム(参考)】