説明

放電管への口金の取付方法及びこの取付方法に利用するガイド

【課題】冷陰極放電管ランプに口金を迅速かつ確実に取り付ける。
【解決手段】口金(1)とガイド(5)とを準備した後、ガイド(5)の冶具片(6)により口金(1)を挟持して、ガイド(5)により口金(1)を支持すると共に、半円錐状のテーパ面(7)を組み合わせて円錐状のテーパ面(17)を形成し、ガイド(5)により支持される口金(1)の筒体(2)内に放電管(8)のガラス管(9)を挿入すると共に、ガラス管(9)から突出する放電管(8)の外部リード(10)の先端(11)をガイド(5)の円錐状のテーパ面(17)に沿って案内しながら、口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を配置して放電管に口金を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極放電管ランプに口金を迅速かつ確実に取り付ける取付方法と、この取付方法に利用するガイドとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷陰極蛍光ランプ(CCFL)の外部リードに接続される接続部と、冷陰極蛍光ランプの外壁面に設けられる本体と、本体と接続部との間に本体よりも幅が狭い導出部を有する口金とを冷陰極蛍光ランプに設けた口金付き冷陰極蛍光ランプは、例えば、下記特許文献により公知である。
【0003】
【特許文献1】特開2007−234551
【特許文献2】WO2008/001562
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、U字形状の口金の接続部を構成する第1の片の内壁面と第2の片の内壁部とをあわせるように加締めて外部リード線を固定するとき、導出部がある方を下とするとき、接続部の下側は、U字の部分を潰すため、外部リードより上側と下側とでは第1の片及び第2の片にかかる応力が異なり、外部リードより下側は過大な力を必要とする。特に、特許文献2では、外部リードの延伸方向に沿って加締め難い部分を加締め易い部分が同じ方向のため、接続部を外部リードとの間で安定した圧着品質が得られないことがあった。
そこで、本発明は、冷陰極放電管ランプに口金を迅速かつ確実に取り付ける取付方法と、この取付方法に利用するガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による放電管への口金(コネクタ)の取付方法は、筒体(2)と、筒体(2)から一方向に延伸する延出部(3)とを有し、延出部(3)の先端に接続部(4)を形成した口金(1)を準備する工程と、互いに対称の形状を有する一対の冶具片(6)を有し、一対の冶具片(6)の各々に半円錐状のテーパ面(7)を形成したガイド(5)を準備する工程と、ガイド(5)の冶具片(6)により口金(1)を挟持して、ガイド(5)により口金(1)を支持すると共に、半円錐状のテーパ面(7)を組み合わせて円錐状のテーパ面(17)を形成する工程と、ガイド(5)により支持される口金(1)の筒体(2)内に放電管(8)のガラス管(9)を挿入すると共に、ガラス管(9)から突出する放電管(8)の外部リード(10)の先端(11)をガイド(5)の円錐状のテーパ面(17)に沿って案内しながら、口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を配置する工程とを含む。口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を配置するとき、製造誤差により、放電管(8)の外部リード(10)の先端(11)が口金(1)の接続部(4)とが同軸上に配置されず整合しない場合がある。このような場合でも、放電管(8)の外部リード(10)の先端(11)をガイド(5)の円錐状のテーパ面(17)に沿って案内しながら、口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を容易に、迅速に且つ部品を損傷させずに配置することができる。この場合に、ガラス管(9)に口金(1)を取り付ける際に、ガイド(5)は、口金(1)を所定の位置に確実に保持して、口金(1)の接続部(4)への外部リード(10)の先端(11)の容易な配置工程を補助すると共に、ガラス管(9)に口金(1)を取り付けた後は、一対の冶具片(6)を互いに離間させて、口金(1)をガラス管(9)と共に容易に取出すことができる。
本発明によるガイドは、互いに対称の形状を有する一対の冶具片(6)を有し、一対の冶具片(6)の各々は、半円錐状のテーパ面(7)を有する。一対の冶具片(6)を組み合わせて、半円錐状のテーパ面(7)を組み合わせて円錐状のテーパ面(17)を形成することができる。
【発明の効果】
【0006】
口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を容易に且つ迅速に配置できるため、部品を損傷させずに、組立工程に要する時間を短縮すると共に、冷陰極放電管ランプの製造歩留まりを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明による放電管への口金の取付方法と本発明のガイドを図面について説明する。
本発明の取付方法では、まず口金(1)とガイド(5)とを準備する。図4〜図8に示すように、口金(1)は、筒体(2)と、筒体(2)から一方向に延伸する延出部(3)とを有し、延出部(3)の先端には、接続部(4)が形成される。放電管(8)の外部リード(10)の直径より大きい直径で貫通孔(4a)が形成される接続部(4)は、十分な折曲強度と、放電管(8)の外部リード(10)に対する十分な大きさの接触面積を確保するため、延出部(3)より幅広に形成される。また、図11に示すように、貫通孔(4a)と同心で円弧状に形成される湾曲部を接続部(4)の上部折曲部(4b)に設けてもよい。径方向内側に突出する突起(2a)が約120度の角度間隔で筒体(2)に形成される。突起(2a)は、筒体(2)内にガラス管が挿入されるとき、ガラス管に接触して、筒体(2)とガラス管との間に間隙を形成する。これにより、突起(2a)とガラス管との接触部分でガラス管の熱が筒体(2)に移動して、ガラス管が部分的に冷却されて、冷陰極蛍光管ランプが不均一に発光することを防止することができる。口金(1)は、ニッケル又はステンレス鋼等の導電性の金属の平板の打抜き加工又はプレス加工と、変形加工により形成され、環状に形成される筒体(2)には、図10に示すように、長さ方向の合口(20)が設けられる。合口(20)は、平板から形成される筒体(2)の両端部(2c)が互いに一定距離離間して対向し、両端部(2c)間に間隙(2b)が形成される。合口(20)を設けることにより、ガラス管(9)を筒体(2)内に挿入するときに、筒体(2)が自身の弾性力をもって拡径し、ガラス管(9)を筒体(2)内に挿入した後は、筒体(2)の弾性力により筒体(2)の突起(2a)がガラス管(9)の表面に密着する。
【0008】
図2に示すように、割型状のガイド(5)は、互いに対称の形状を有する一対の冶具片(6)を有し、一対の冶具片(6)の各々に半円錐状のテーパ面(7)が形成される。また、先細となるテーパ面(7)の先端には、テーパ面(7)に連続してテーパ面(7)の奥に装着孔(12)が形成され、装着孔(12)の更に奥には、支持孔(13)が形成される。ガイド(5)は、硬質の樹脂又は金属により形成される。一対の冶具片(6)の半円錐状のテーパ面(7)が組み合わされるとき、円錐状のテーパ面(17)が形成されが、この場合に、テーパ面(17)は、口金(1)の延出部(3)が当接する壁面(17a)を形成するため、完全な円錐状にはならない。しかしながら、少なくとも装着孔(12)の入口付近では、テーパ面(17)は、ほぼ円錐状を形成する。また、各冶具片(6)には、口金(1)の延出部(3)を嵌合する把持孔(16)が形成される。
【0009】
放電管に口金を取付る際に、何らかの保持冶具により、口金(1)を保持する状態で、ガイド(5)の一対の冶具片(6)を口金(1)の両側方から互いに接近させて、図1に示すように、一対の冶具片(6)により口金(1)を挟持する。この場合に、各冶具片(6)の対向面(6a)は、互いに接触する状態となり、口金(1)は、ガイド(5)により支持され、口金(1)の延出部(3)は、把持孔(16)内に嵌合される。
【0010】
その後、図3に示すように、ガイド(5)により支持される口金(1)の筒体(2)内に放電管(8)のガラス管(9)を挿入すると共に、ガラス管(9)から突出する放電管(8)の外部リード(10)の先端(11)をガイド(5)の円錐状のテーパ面(17)に沿って案内しながら、口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を配置する。口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を配置するとき、製造誤差により、放電管(8)の外部リード(10)の先端(11)が口金(1)の接続部(4)とが同軸上に配置されず整合しない場合がある。このような場合でも、放電管(8)の外部リード(10)の先端(11)をガイド(5)の円錐状のテーパ面(17)に沿って案内しながら、口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を容易に、迅速に且つ部品を損傷させずに配置することができる。この場合に、ガラス管(9)に口金(1)を取り付ける際に、ガイド(5)は、口金(1)を所定の位置に確実に保持して、口金(1)の接続部(4)への外部リード(10)の先端(11)の容易な配置工程を補助すると共に、ガラス管(9)に口金(1)を取り付けた後は、一対の冶具片(6)を互いに離間させて、口金(1)をガラス管(9)と共に容易に取出すことができる。このように、口金(1)の接続部(4)内に先端(11)を容易に且つ迅速に配置できるため、部品を損傷させずに、組立工程に要する時間を短縮すると共に、冷陰極放電管ランプの製造歩留まりを向上することができる。
【0011】
図示の例では、接続部(4)に貫通孔(4a)を形成する例を示したが、貫通孔(4a)の代わりに、接続部(4)の上方が開放する切欠部を形成してもよい。口金(1)の接続部(4)内に外部リード(10)の先端(11)を配置した後に、外部リード(10)の先端(11)は、レーザ溶接等により接続部(4)に溶着される。また、外部リード(10)の先端(11)を接続部(4)に溶着する前に接続部(4)の上部折曲部(4b)と下部水平部(4c)とを加締めて接続部(4)を外部リード(10)の先端(11)に機械的に固定することができる。垂直方向に外力を加えて、上部折曲部(4b)と下部水平部(4c)とを加締めるとき、上部折曲部(4b)と下部水平部(4c)との一方に他方とは異なる不均一な力が加わると、延出部(3)が自身の弾力により変形して、不均一な力が補償され、外力が緩和されるので、上部折曲部(4b)と下部水平部(4c)とを垂直方向に均一な外力で加締めることができる。放電管(8)のガラス管(9)に口金(1)を取り付けた状態を図8に示す。また、図9に示すように接続部(4)を形成するとき、接続部(4)の上部折曲部(4b)の長さ(L1)を下部水平部(4c)の長さ(L0)と同一か又はこれより短く形成することができる。
【0012】
本発明に使用する口金(1)の変形例を図13〜図21について説明する。図13〜図21は、図1〜図12に示す箇所と同一の部分には同一の符号を付す。
図13〜図21に示す口金(1)も1枚の導電性金属の平板から作成することができる。図13〜図16は、図4〜図7に示す口金(1)の筒体(2)と延出部(3)とほぼ同一の形状の筒体(2)と延出部(3)とを備えるが、接続部(4)の形状のみが相違する。即ち、図13〜図16に示す接続部(4)は、傾斜して形成される延出部(3)から垂直方向に折り曲げられる。接続部(4)は、図13の平面図と図15の底面図に示すように、円弧状に湾曲して形成され、接続部(4)の両側部(4d)は、筒体(2)から離間して後方に偏向され、両側部(4d)間に貫通孔(4a)が形成される。図13〜図16に示す接続部(4)は、貫通孔(4a)内に挿入される外部リード(10)に対して側方から両側部(4d)に外力を加えて、両側部(4d)を外部リード(10)に加締め、その後接続部(4)を外部リード(10)に溶着することができる。
【0013】
図17は、図13〜図16に示す接続部(4)において、貫通孔(4a)の上部を開放して、切欠部(4e)を形成した変形例を示す。図18及び図19は、延出部(3)の端部に折り曲げられて形成される一対の接続部(4)を外部リード(10)に押し付けて加締めた構造を示す。接続部(4)は、その後、図19に示す状態で外部リード(10)に溶着される。図20は、図18に示す例において、延出部(3)の端部から僅かに離間して一対の接続部(4)を形成する例を示す。図21は、図20に示す例において、2対の接続部(4)を形成する例を示す。図20と図21では、同様の加締め構造で接続部(4)が外部リード(10)に固定される。
【0014】
本発明の実施の形態では、外部リード(10)の直径よりも大きい貫通孔(4a)を中央に有し、貫通孔(4a)の側方が中央よりも幅が狭く且つ冷陰極放電管ランプを設ける側とは反対側に折り曲げられて延出した部分とを有する。これにより、外部リード(10)の延伸方向に沿うどこかで接続部(4a)を確実に加締めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
口金を有する冷陰極放電管ランプに本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】口金をガイドで保持した本発明の放電管への口金の取付方法を示す断面図
【図2】図1のII線に沿う断面図
【図3】口金に冷陰極放電管を装着した状態を示す断面図
【図4】図1に示す口金の平面図
【図5】図1に示す口金の側面図
【図6】図1に示す口金の底面図
【図7】図1に示す口金の背面図
【図8】冷陰極放電管を装着し且つガイドから取り出した口金を示す断面図
【図9】接続部の寸法を示す側面図
【図10】口金の斜視図
【図11】形状を偏向した接続部の部分正面図
【図12】図11に示す接続部を有する口金の底面図
【図13】異なる形状の接続部を有する口金の平面図
【図14】図13に示す口金の側面図
【図15】図13に示す口金の底面図
【図16】図13に示す口金の背面図
【図17】更に異なる形状の接続部を示す部分斜視図
【図18】他の実施の形態による接続部を有する口金の断面図
【図19】図18に示す接続部を外部リードに固定した状態を示す端面図
【図20】図18に示す接続部を異なる位置に形成した口金の側面図
【図21】2対の接続部を形成した口金の側面図
【符号の説明】
【0017】
(1)・・口金、 (2)・・筒体、 (3)・・延出部、 (4)・・接続部、 (4a)・・貫通孔、 (5)・・ガイド、 (6)・・冶具片、 (7)・・テーパ面、 (8)・・放電管、 (9)・・ガラス管、 (10)・・外部リード、 (11)・・先端、 (17)・・テーパ面、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体と、該筒体から一方向に延伸する延出部とを有し、該延出部の先端に接続部を形成した口金を準備する工程と、
互いに対称の形状を有する一対の冶具片を有し、該一対の冶具片の各々に半円錐状のテーパ面を形成したガイドを準備する工程と、
該ガイドの前記冶具片により前記口金を挟持して、前記ガイドにより前記口金を支持すると共に、前記半円錐状のテーパ面を組み合わせて円錐状のテーパ面を形成する工程と、
前記ガイドにより支持される前記口金の前記筒体内に放電管のガラス管を挿入すると共に、前記ガラス管から突出する前記放電管の外部リードの先端を前記ガイドの円錐状のテーパ面に沿って案内しながら、前記口金の接続部内に前記先端を配置する工程とを含むことを特徴とする放電管への口金の取付方法。
【請求項2】
前記口金の接続部内に前記外部リードの先端を配置する工程は、前記接続部に形成された貫通孔又は切欠部内に前記外部リードの先端を挿入する工程を含む請求項1に記載の取付方法。
【請求項3】
前記口金の接続部内に前記外部リードの先端を配置する工程を行った後に、前記外部リードの先端を前記接続部に溶着する工程を含む請求項1又は2に記載の取付方法。
【請求項4】
前記外部リードの先端を前記接続部に溶着する前に前記接続部を加締めて前記接続部を前記外部リードの先端に機械的に固定する工程を含む請求項3に記載の取付方法。
【請求項5】
互いに対称の形状を有する一対の冶具片を有し、該一対の冶具片の各々は、半円錐状のテーパ面を有し、
前記一対の冶具片を組み合わせて、前記半円錐状のテーパ面を組み合わせて円錐状のテーパ面を形成することを特徴とするガイド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−102907(P2010−102907A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272559(P2008−272559)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】