説明

救助者による蘇生を補助するシステム、方法、および装置

蘇生が必要なときに、救助者が患者の蘇生の試を補助するためのデバイス、方法、およびシステムが開示される。患者に接触して配置されるCPR補助デバイスの第1表面の第1の標示を含むCPR補助デバイスが提供される。CPR補助デバイスは、さらに、患者に接触して配置されるCPR補助デバイスの第2表面の第2の標示を含む。一実施形態では、CPR補助デバイスは、救助者が患者の蘇生を補助するために、指示を提供する印を救助者に提供するようになっている。別の実施形態では、CPR補助デバイスは、蘇生が必要なときに、CPR補助デバイスの第1表面が患者の胸部領域に接触して配置されるか、CPR補助デバイスの第2表面が患者の胸部領域に接触して配置されるかに基づいて指示および/または治療を始動するかまたは調整するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者による蘇生を補助するのに有用な方法およびデバイスに関する。より詳細には、本発明は、患者を蘇生させるときに、救助者に対して指示および/またはインジケータを提供するために患者の身体上に配置されるようになっているデバイスに関する。
【0002】
本出願は、2007年6月1日に出願された「SYSTEM、 METHOD、 AND APPARATUS FOR ASSISTING A RESCUER IN RESUSCITATION」という名称の米国仮出願第60/941,376号の利益を主張し、また、その出願は、参照によりその全体が組込まれる。
【背景技術】
【0003】
生命にかかわる状態に陥った患者を蘇生させるための多くの技法が存在する。蘇生を必要とする可能性がある患者状態は、心停止、徐脈、頻脈、心室細動、および呼吸停止を含むが、それに限定されない。患者を蘇生させる技法の一例は、心肺蘇生(CPR)および/または人工呼吸を実施することである。
【0004】
CPRは、患者の心臓が拍動することを停止したとき、かつ/または、患者が自発的に呼吸していないときに、患者の血液に酸素を入れるために、緊急状況において救助者によって使用される技法である。CPRを実施するとき、救助者は、患者の胸部を定期的に圧迫することによって、患者の身体内に血液循環を生成する。人工呼吸は、患者の心臓が拍動することを停止したとき、かつ/または、患者が自発的に呼吸していないときに、患者の呼吸を始動させるかまたは補助するために、救助者によって使用される技法である。人工呼吸を実施している間、救助者は、患者の口の中に呼吸することによって患者の呼吸を始動させるかまたは補助する。
【0005】
胸部圧迫は、胸郭内の圧力の全般的な増加および/または心臓の直接の圧迫の結果として血液循環を生じる。米国心臓協会(American Heart Association)(「AHA」)指針は、「胸部圧迫によって肺に循環する血液は、適切に実施される救助呼吸を圧迫が伴うとき、おそらく生命を維持するのに十分な酸素を受取ることになる」と記載している。救助者(複数可)が、適切に実施される胸部圧迫および救助呼吸を送出し続けることができる場合に限り、患者はCPRを使用して生き続けることができる。
【0006】
AHAは、患者および患者の状態に応じて、多くの異なるCPR技法を推奨する。(CPRおよびECCについての米国心臓協会2005指針)。AHAは、大人の患者の胸部を圧迫するために救助者が両手を使用することを推奨する。子供については、AHAは、小さな子供の場合には一方の手の手根を、大きな子供の場合には両手を使用することを推奨する。幼児については、AHAは、1人の救助者が存在するときには患者の胸部を圧迫するために2つの指を、2人の救助者が存在するときには患者の胸部を圧迫するための2つの親指を推奨する。
【0007】
2005年に、AHAは、門外漢がCPRを容易に学び、思い出し、実施できるようにするために、その推奨を簡略化して上記した推奨にした。(CPRおよびECCについての米国心臓協会2005指針:パート3、CPRの概要)。これらの簡略化を行うときに、AHAは、必然的に、異なるCPR技法の有効性を低下させなければならない。
【0008】
こうした理由で、1つまたは複数の特定の属性あるいは1つまたは複数の特定の状態を有する患者に関して異なるCPR技法のいずれを使用するかを、救助者に示す情報を救助者に提供する実用的なデバイスについての必要性が存在する。このタイプのデバイスは、1つまたは複数の特定の属性および/または1つまたは複数の特定の状態に従って、救助者が、一貫してかつ効果的に患者を蘇生させることを可能にすることになる指導を救助者に提供することになる。このデバイスは、門外漢による使用と医療専門家による使用を共に意図されることになるため、いろいろな潜在的な救助者に伝達することになる実用的なデバイスについての当技術分野における必要性がさらに存在する。
【0009】
患者を蘇生させるときに救助者を補助する他のデバイスが存在する。こうしたデバイスの例は、患者に加えられている心臓圧迫を監視するデバイスを含む。ユーザは、これらのデバイスに力を加えて、患者に対する心臓圧迫を提供しうる。これらのデバイスはまた、救助者がCPRを実施するのを補助するための標示を提供してもよい。
【0010】
既存のデバイスは、救助者がCPRを提供するのを補助するため使用されうるが、上記したデバイスは、1つまたは複数の属性または状態を有する患者、あるいは、1つまたは複数の属性または状態を有する救助者について、異なる蘇生技法の中から選択する能力を提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、救助者による患者の蘇生を補助するデバイス、方法、およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態では、デバイスは、救助者が患者の蘇生を補助するために、対象物が患者の胸部領域に適用されうるような大きさに形成された、対象物である。種々の実施形態では、対象物は、対象物の第1表面が患者に接触して配置されることになるという第1の標示を含む。別の実施形態では、対象物は、さらに、対象物の第2表面が患者に接触して配置されることになるという第2の標示を含む。さらに別の実施形態では、対象物は、患者の蘇生を試みるときに、対象物の使用を示す指示を伝えるために、対象物上に位置するインジケータを含む。種々の代替の実施形態では、対象物は、1つまたは複数のデバイスを含み、1つまたは複数のデバイスは、患者の蘇生を試みるときに対象物の使用を示す指示を伝えるようになっている。
【0013】
一態様によれば、救助者が患者の蘇生を補助するためのシステムが提供される。ある実施形態では、システムは、CPR補助デバイスまたはCPRパックと呼ばれるデバイスを含む。一実施形態では、CPR補助デバイスは、1つまたは複数の外部デバイスに通信可能に結合される。種々の実施形態では、1つまたは複数の外部デバイスは、救助者による患者の蘇生を補助するようになっている。別の実施形態では、1つまたは複数の外部デバイスは、患者の蘇生を試みる救助者に指示を伝達するようになっている。
【0014】
種々の実施形態では、患者を蘇生させるためにCPR補助デバイスを使用する方法が提供される。一実施形態では、方法は、CPR補助デバイスのいずれの表面が患者に接触して配置されるかを、救助者が判定するステップを含む。この判定は、CPR補助デバイスの第1表面の少なくとも1つの部分が患者の胸部領域に接触して配置されるという少なくとも1つの第1の標示、および、CPR補助デバイスの第2表面の少なくとも1つの部分が患者の胸部領域に接触して配置されるという少なくとも1つの第2の標示に基づいてもよい。別の実施形態では、救助者は、判定するステップに基づいて、CPR補助デバイスの第1表面または第2表面を患者の胸部領域に接触して配置する。さらに別の実施形態では、方法は、救助者が指示を受取るステップを含み、指示は、第1表面が患者の胸部領域に接触して配置されたか、第2表面が患者の胸部領域に接触して配置されたかに少なくとも部分的に基づく。
【0015】
本開示の一態様によれば、救助者が、CPRパックを使用して患者の蘇生を補助する方法が提供される。種々の実施形態では、方法は、救助者にCPRパックを提供するステップを含む。一実施形態では、CPRパックは、患者の胸部領域上に配設される大きさに作られまた形作られる。別の実施形態では、方法は、CPRパックの第1表面が患者の胸部領域上に配設されることになるという第1の標示を救助者に提供するステップを含む。さらに別の実施形態で葉、方法は、CPRパックの第2表面が患者の胸部領域上に配設されることになるという第2の標示を救助者に提供するステップを含む。種々の実施形態では、方法は、さらに、患者を蘇生させるために救助者に指示を提供するステップを含み、指示は、第1表面が患者の胸部領域上に配設されているか、第2表面が患者の胸部領域上に配設されているかに少なくとも部分的に基づく。
【0016】
本発明の、これらならびに他の目的および利点は、添付図面と共に、本発明の現在のところ好ましい例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より完全に理解され認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】患者を蘇生させるためのCPRの使用を一般的に示す図である。
【図2a】大人に関してCPRを実施するための推奨される手の配置を一般的に示す図である。
【図2b】子供に関してCPRを実施するための推奨される手の配置を一般的に示す図である。
【図2c】幼児に関してCPRを実施するための推奨される手の配置を一般的に示す図である。
【図3a】CPR補助デバイスの一実施形態の第1表面を一般的に示す図である。
【図3b】CPR補助デバイスの一実施形態の第2表面を一般的に示す図である。
【図3c】CPR補助デバイスの一実施形態の側面を一般的に示す図である。
【図3d】CPR補助デバイスの一実施形態の側断面を一般的に示す図である。
【図4】CPR補助デバイスが含む可能性があるデバイスの種々の例を一般的に示す図である。
【図5】CPR補助デバイスが含む可能性があるセンサの種々の例を一般的に示す図である。
【図6a】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図6b】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図7a】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図7b】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図8a】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図8b】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図9a】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図9b】CPR補助デバイスの一実施形態を一般的に示す図である。
【図10a】患者を蘇生させるためにCPR補助デバイスを使用する救助者を一般的に示す図である。
【図10b】患者を蘇生させるためにCPR補助デバイスを使用する救助者を一般的に示す図である。
【図11】CPR補助デバイスを提供することによって、救助者が患者蘇生を実施するのを補助するフローチャートである。
【図12】CPR補助デバイスによって提供される指示の例を一般的に示す図である。
【図13】CPR補助デバイスを含むシステムを一般的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、患者102に関してCPRを実施する救助者101を一般的に示す。救助者101は、患者102の胸部領域上に1つまたは両方の手を配置し、患者102の胸部103を圧迫することによってCPRを実施する。胸部圧迫は、患者の状態および患者の属性に応じて種々の異なる間隔および圧迫深さで実施されてもよい。救助者101はまた、CPRを実施することに加えて、人工呼吸を実施してもよい。蘇生を必要とする可能性がある患者状態は、心停止、徐脈、頻脈、心室細動、および呼吸停止を含むが、それに限定されない。患者属性の種々の例は、患者の年齢、患者のサイズ、患者の性別を含む。救助者の状態または属性の例は、救助者によって理解される言語、救助者のサイズ、救助者の年齢、または蘇生手順についての救助者の習熟度を含む。
【0019】
図2a〜2cは、患者の属性に基づいて患者を蘇生させる異なるCPR技法の例を一般的に示す。図2aは、大人の患者に関してCPRを実施するときに、患者の胸部201上での、救助者についての手の配置方法202を示す。この例では、大人の患者の救助者は、大人の患者の胸部201上に少なくとも一方の手を配置してもよい。別の例では、大人患者の救助者は、大人の患者の胸部201上に両手を配置してもよい。図2aの例では、救助者は、患者の胸部201上に一方の手の手のひらを配置し、最初の手の上に自分の他の手の手のひらを配置し、患者の胸部を圧迫するために両手を使用する。
【0020】
図2bは、子供の患者に関してCPRを実施するときに、患者の胸部203上での、救助者の手の配置方法204を示す。AHAは、子供を、思春期にまだ達していない1歳より大きい年齢の子供として規定する。この例では、子供の患者の救助者は、患者の胸部上に一方の手を配置してもよく203、または、患者の胸部上に両手を配置してもよい204。救助者は、患者の胸部上に両手の手のひらを、すなわち、最初の手の上に自分の他の手の手のひらを置いた状態で一方の手の手のひらを配置してもよく203、または、患者の胸部上に一方の手だけを配置してもよい。救助者は、患者の胸部上に自分の手を配置する203と、患者を蘇生させるために胸部圧迫を加えることに進む。
【0021】
図2cは、幼児の患者に関してCPRを実施するときに、患者の胸部205上での救助者の手の配置方法206を示す。AHAは、幼児を、年齢が1歳以下である幼児として規定する。この例では、救助者の手の配置は、救助者が単独の救助者であるかどうか、または、第2の救助者が存在するかどうかに依存する。救助者が単独の救助者である場合、AHAは、救助者が患者の胸部205上にそれぞれの手の指を配置することを推奨する。第2の救助者が存在する場合、AHAは、救助者が患者の胸部205上に2つの親指を配置することを推奨する。救助者は、患者の胸部205上に自分の親指または指を配置すると、患者を蘇生させるために胸部圧迫を加えることに進む。
【0022】
図3は、本開示によるCPRパック301の一実施形態を一般的に示す。用語「パック」は、制限のためでなく、例証のために本明細書で使用される。本明細書で使用される用語「パック」は、任意の対象物であって、表面エリアの寸法が対象物の平均深さより一般に大きい、蘇生が必要なときに患者の胸部領域上に配置される少なくとも1つの表面を有する大きさに作られまた形作られた任意の対象物である。本明細書で使用されるCPR「パック」は、CPR補助デバイス、CPR胸部圧迫センサ、またはCPR指導デバイスを指し、あるいは、本開示を通じて所定のときにこうした用語によって参照されてもよい。図3aは、CPR補助デバイスまたはCPRパック301の第1表面304を示し、一方、図3bは、CPR補助デバイスまたはCPRパック301の第2表面314を示す。この実施形態では、CPRパック301が対象物である。種々の実施形態では、対象物は、患者の胸部領域上に配設される大きさに作られまた形作られる。ある実施形態では、CPRパック301は、軟質圧縮性材料で構成されてもよい。別の実施形態では、CPRパック301は、硬質材料で構成されてもよい。種々の実施形態では、CPRパック301は、患者の胸部領域上に配設される大きさに作られまた形作られることが可能な任意の材料で構成されてもよい。
【0023】
図3aおよび3bは、さらに、第1表面304および第2表面314が、患者の胸部領域に実質的に一致するようになっている実施形態を示す。この実施形態によれば、救助者が大人の患者の蘇生を試みるとき、第2表面314が、大人の患者に接触して配置される。さらに、この実施形態によれば、第2表面314は、大人の患者の胸部領域に実質的に一致するようになっている。救助者が子供の患者の蘇生を試みるとき、第1表面304が、子供の患者に接触して配置される。この実施形態によれば、第1表面304は、子供の患者の胸部領域に実質的に一致するようになっている。大人の患者の胸部領域は子供の患者の胸部領域より大きいため、大人の患者の胸部領域315に一致するようになっている表面部分は、子供の患者の胸部領域305に一致するようになっている表面部分より広い。
【0024】
図3cは、CPRパック331のある実施形態の側面図を一般的に示す。この実施形態によれば、CPRパック331は、第1のグループの患者の胸部領域に一致するようになっている第1表面332、および、第2のグループの患者の胸部領域に一致するようになっている第3表面333を含む。この実施形態によれば、第1のグループの患者は、第2のグループの患者より大きい。したがって、第1のグループの患者の胸部領域に実質的に一致するようになっている部分334は、第2のグループの患者の胸部領域に実質的に一致するようになっている部分335より大きい。
【0025】
図3dは、CPRパック351の代替の実施形態の代替の側断面図を一般的に示す。こうした実施形態は、種々の幾何形状を有してもよく、また、図において開示される形状および輪郭に限定されることを意図されない。この実施形態では,CPRパック351は、第1のグループの患者の胸部領域に一致するようになっている第1表面352、および、第2のグループの患者の胸部領域に一致するようになっている第3表面353を有する。この実施形態によれば、第1のグループの患者は、第2のグループの患者より大きい。したがって、第1のグループの患者の胸部領域に実質的に一致するようになっている部分354は、第2のグループの患者の胸部領域に実質的に一致するようになっている部分355より大きい。
【0026】
一態様によれば、対象物は、少なくとも2つの表面304および314を含む。図3aおよび3bの例は、少なくとも2つの表面304および314に対して円形状を示す。しかし、種々の例によれば、表面304および314は、円、長円、四角、矩形の形状、または任意の他の形状でありうる。種々の実施形態では、CPRパック301は、第1のインジケータ302および第2のインジケータ312を含む。ある実施形態では、第1のインジケータ302は、CPRパック301の第1表面304が、患者に接触して配置されることになることを示す。ある実施形態では、第2のインジケータ312は、CPRパック301の第2表面314が、患者に接触して配置されることになることを示す。図3aおよび3bに示す実施形態では、第1のインジケータ302は「大人」を示す。この実施形態では、第1のインジケータ302は、患者が大人である場合、CPRパック301の第2表面314が、患者の胸部領域に接触して配置されるべきであることを救助者に示す。図3bに示す実施形態では、第2のインジケータ312は、「子供」を示す。この実施形態では、第2のインジケータ312は、患者が子供であるとき、CPRパック301の第1表面304が、患者の胸部領域に接触して配置されるべきであることを救助者に示す。
【0027】
種々の実施形態では、CPRパック301は、CPRパック301の使用、および、特定の患者を蘇生するためのAHAが推奨する技法に関する指示を伝えるために、CPRパック301上にインジケータを含んでもよい。ある実施形態では、インジケータは、CPRを実施するためのAHAが推奨する手の配置の1つまたは複数の標示を含んでもよい。図3aおよび図3bに示す実施形態は、さらに、手ポジショニングインジケータ303、313を含む。この実施形態では、第1表面304上のインジケータは、手ポジショニングインジケータ303を含む。手ポジショニングインジケータ303は、CPRパック301の中央領域に位置してもよい。手ポジショニングインジケータ303は、大人の蘇生を試みるとき、本明細書で記載するように、両手が使用されるべきであることを救助者に示す。ある実施形態では、第2表面314上のインジケータは、CPRパック301の中央領域に位置してもよい手ポジショニングインジケータ313を含む。手ポジショニングインジケータ313は、子供の蘇生を試みるとき、本明細書で記載するように、片手が使用されるべきであることを救助者に示す。
【0028】
図6aおよび6bは、CPRパック601の一実施形態を一般的に示す。図6aは、CPRパック601の第1表面604を示し、一方、図6bは、CPRパック601の第2表面614を示す。種々の実施形態では、CPRパック601は、少なくとも2つの表面604および614を含んでもよい。ある実施形態では、CPRパック601は、第1のインジケータ602および第2のインジケータ612を含んでもよい。一実施形態では、第1のインジケータ602は、対象物の第2表面614が、患者に接触して配置されることになることを示す。ある実施形態では、第2のインジケータ612は、対象物の第1表面604が、患者に接触して配置されることになることを示す。
【0029】
一態様によれば、第1のインジケータ602は、CPRパック601が、第1言語で伝達することを救助者に示す。別の実施形態では、第2のインジケータ612は、CPRパック601が、第2言語で伝達することを救助者に示す。これらの実施形態によれば、CPRパック601は、第2表面614が患者に接触して配置される場合、第1言語で伝達するようになっていてもよい。さらに、これらの実施形態によれば、CPRパック601は、第1表面604が患者に接触して配置される場合、第2言語で伝達するようになっていてもよい。代替の実施形態では、CPRパック601は、第1表面604が患者に接触して配置される場合、第1言語で伝達するようになっていてもよい。別の代替の実施形態では、CPRパック601は、第2表面614が患者に接触して配置される場合、第2言語で伝達するようになっていてもよい。
【0030】
図6aおよび6bに示す例示的な実施形態では、第1のインジケータ602は、「英語」を示す。この実施形態では、第1のインジケータ602は、救助者が英語の言語を理解する場合、CPRパック601の第2表面614が患者の胸部領域に接触して配置されるべきであることを救助者に示す。図6bに示す実施形態では、第2のインジケータ612は、「スペイン語」を示す。この実施形態では、第2のインジケータ612は、救助者がスペイン語を理解する場合、CPRパック601の第1表面604が患者の胸部領域に接触して配置されるべきであることを救助者に示す。種々の実施形態では、本明細書で説明するように、CPRパック601は、1つまたは複数の異なる言語を理解する1人または複数人の救助者に指示を伝達するようになっていてもよい。
【0031】
図7aおよび7bは、CPRパック706の代替の実施形態を一般的に示す。図7aは、CPRパック706の第1表面701を一般的に示す。図7bは、CPRパック706の第2表面711を一般的に示す。図7aに示す実施形態によれば、第1表面701は、第1のインジケータ702と第2のインジケータ703の両方を含む。この実施形態によれば、第1表面701の第1のインジケータ702と第2のインジケータ703は共に、「英語」を示す。この標示は、CPRパック706が英語の言語で伝達するようになっていることを救助者に知らせる。この実施形態によれば、第1のインジケータ702は、さらに、「大人」を救助者に示す。さらに、この実施形態によれば、救助者が大人の患者の蘇生を試みている場合、救助者は、第1のインジケータ702が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック706を方向付ける。この実施形態によれば、第2のインジケータ703は、さらに、「子供」を救助者に示す。救助者が子供の患者の蘇生を試みている場合、救助者は、第2のインジケータ703が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック706を方向付ける。
【0032】
一実施形態では、第2表面711は、第1のインジケータ712と第2のインジケータ713の両方を含んでもよい。この実施形態によれば、第2表面711の第1のインジケータ712と第2のインジケータ713は共に、「スペイン語」を示してもよい。この標示は、CPRパック706がスペイン語の言語で伝達するようになっていることを救助者に知らせる。この実施形態によれば、第1のインジケータ712は、さらに、「大人」を救助者に示す。この実施形態によれば、救助者が大人の患者の蘇生を試みている場合、救助者は、第1のインジケータ712が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック706を方向付ける。この実施形態によれば、第2のインジケータ713は、さらに、「子供」を救助者に示す。救助者が子供の患者の蘇生を試みている場合、救助者は、第2のインジケータ713が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック706を方向付ける。
【0033】
図8aおよび8bは、CPRパック806の別の実施形態を一般的に示す。図8aは、CPRパック806の第1表面801を一般的に示す。図8bは、CPRパック806の第2表面811を一般的に示す。一実施形態によれば、第1表面801は、第1のインジケータ802と第2のインジケータ803の両方を含む。この実施形態によれば、第1表面801の第1のインジケータ802と第2のインジケータ803は共に、「子供」を示す。この標示は、CPRパック806が、子供である患者に関して使用することを意図されることを救助者に知らせる。この実施形態によれば、第1のインジケータ802は、さらに、「英語」を救助者に示す。さらに、救助者が英語の言語を理解する場合、救助者は、第1のインジケータ802が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック806を方向付ける。この実施形態によれば、第2のインジケータ803は、さらに、「スペイン語」を救助者に示す。救助者がスペイン語の言語を理解する場合、救助者は、第2のインジケータ803が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック806を方向付ける。
【0034】
図8bは、CPRパック806の第2表面811を一般的に示す。一実施形態によれば、第2表面811は、第1のインジケータ802と第2のインジケータ803の両方を含む。この実施形態によれば、第1表面801の第1のインジケータ802と第2のインジケータ803は共に、「子供」を示す。これらの標示は、CPRパック806が、子供である患者に関して使用することを意図されることを救助者に知らせる。この実施形態によれば、第1のインジケータ802は、さらに、「英語」を救助者に示す。救助者が英語の言語を理解する場合、救助者は、第1のインジケータ812が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック806を方向付ける。この実施形態によれば、第2のインジケータ803は、さらに、「スペイン語」を救助者に示す。救助者がスペイン語を理解する場合、救助者は、第2のインジケータ813が患者の頭部に最も近くなるように、患者の胸部領域上でCPRパック806を方向付ける。
【0035】
図9aおよび9bは、CPRパックの代替の実施形態を一般的に示す。図9aは、CPRパック906の第1表面901を一般的に示す。図9bは、CPRパック906の第2表面911を一般的に示す。AHAによれば、1人の救助者が幼児の患者の蘇生を試みており、且つ患者の胸部の圧迫を試みるとき、救助者は、患者の胸部領域上に2つの指を配置すべきである。あるいは、2人以上の救助者が幼児の患者の蘇生を試みているときは、胸部圧迫を実施している救助者は、患者の胸部領域上に2つの親指を配置すべきであることを、AHAはさらに推奨する。
【0036】
図9aおよび9bの実施形態によれば、第1表面901は、インジケータ「複数救助者幼児(Multiple Rescuer Infant)」902を含む。インジケータ902は、CPRパック906が、2人以上の救助者が幼児の蘇生を試みているとき、幼児に関して使用することを意図されることを、1人または複数人の救助者に知らせる。図9bは、CPRパック906の第2表面911を一般的に示す。一実施形態では、第2表面911は、インジケータ「単一救助者幼児(Single Rescuer Infant)」912を含む。インジケータ912は、CPRパック906が、1人の救助者が幼児の蘇生を試みているとき、幼児に関して使用することを意図されることを、単一の救助者に知らせる。第1表面901は、複数救助者の場合、幼児の患者の胸部の圧迫を試みる救助者は、CPRパック906上に2つの親指を配置すべきであることを示すさらなるインジケータ903を含む。第2表面911は、幼児の患者の単一の救助者は、幼児の患者の胸部を圧迫するために、CPRパック906上に2つの指を配置すべきであることを示すインジケータ913を含む。
【0037】
図10aは、患者を蘇生させる方法のある実施形態を一般的に示し、救助者1003は、CPRパック1002を使用して、患者1001を蘇生させる。この実施形態によれば、方法は、第1表面1004または第2表面1005のいずれが、患者1001の胸部領域1006に接触して配置されるかを救助者が判定するステップを含む。少なくとも1つの実施形態では、このステップは、CPRパック1002の第1表面1004の少なくとも1つの部分上の少なくとも1つの第1のインジケータ、および、CPRパック1002の第2表面1005の少なくとも1つの部分上の少なくとも1つの第2のインジケータに基づいて、いずれの表面が患者1001上に配置されるかを救助者が判定することを含む。救助者は、その後、先の判定に基づいて、患者1001の胸部領域1006に接触して第1表面1004かまたは第2表面1005を配置する。図10aに示す例では、救助者は、患者1001の胸部領域1006に接触して第2表面1005を配置した。
【0038】
図10bは、救助者1011がCPRパック1012を使用して患者1013を蘇生させるある実施形態の代替の側面図を示す。この例によれば、本明細書で説明するように、救助者は、CPRパック1012のいずれの表面が、患者に接触して配置されるかを判定する。この例では、救助者1011は、患者1013に接触してCPRパック1012の第1表面1004を配置した。この実施形態によれば、CPRパック1012は、患者1013の胸部領域に一致するようになっている。この実施形態によれば、救助者1011は、CPRパックの表面1015上に含まれるインジケータに基づいて指示を受取り、インジケータに従って、救助者1011は、患者1013に関して胸部圧迫を実施するために、CPRパック1012上に両手を配置した。
【0039】
種々の実施形態では、救助者は、CPRパック1012に少なくとも部分的に基づいて指示を受取る。一実施形態では、指示は、CPRパック1012の第1表面1004かまたは第2表面1005上のインジケータを含む。図10aに示す例では、インジケータは、CPRパック1012の第1表面1004上に位置する。種々の例では、救助者は、手の配置、圧迫レート、圧迫深さ、人工呼吸のレートなどのインジケータからの指示、または、患者1001を蘇生させることに関連する任意の他の指示を受取ってもよい。図10aに示す実施形態によれば、救助者は、その後、患者の蘇生を試みることに進む。患者の蘇生を試みることは、患者の胸部を圧迫するためにCPRパック1012に力を加えることを含んでもよい。
【0040】
図12は、救助者に提供される指示1200の実施形態を一般的に示す。制限のためではなく例証のために提供される種々の例では、救助者は、図3aに示すようなCPRパックの第1表面304が患者に接触して配置されるか、図3bに示すようなCPRパックの第1表面314が患者に接触して配置されるかに少なくとも部分的に基づいて、指示を受取ってもよい。指示1200は、手/指配置1201、手/指の数1202、胸部圧迫レート1203、胸部圧迫深さ1204、人工呼吸の適用レート1205、人工呼吸の適用強度1206、電気治療の使用に関連する指示1207、薬物送出治療の使用に関連する指示1208、または患者の蘇生に関連する任意の他の指示を含むが、それに限定されない。種々の例では、指示1208は、CPRパック301の1つまたは複数の表面上でインジケータの形態をとる。
【0041】
本開示の一態様によれば、救助者は、可聴のまたは視覚の指示を受取ってもよい。ある実施形態では、CPRパック301は、可聴のまたは視覚の指示を伝達するようになっている。一実施形態では、CPRパック301は、発光の形態で視覚の指示を伝達するようになっている。別の実施形態では、CPRパック301は、照明デバイスを通して視覚の指示を伝達するようになっている。一実施形態では、こうした照明デバイスは、LED(「発光ダイオード」)である。この例では、1つまたは複数のLEDは、救助者に指示を提供する一連の照明を通して指示を伝達してもよい。こうした指示は、患者の胸部をいつ圧迫するか、または、人工呼吸をいつ施行するかを含んでもよいが、それに限定されない。一実施形態では、CPRパック301は、標示されたテキストを通して視覚の指示を伝達するようになっている。この実施形態によれば、CPRパック301は、救助者にテキストの指示を提供するためにディスプレイデバイスを含んでもよい。
【0042】
種々の実施形態では、CPRパック301は、音を通して胸部圧迫レートなどの指示を伝達するようになっていてもよい。一実施形態では、CPRパック301は、救助者に指示を示す一連のビープ音または他のノイズを通して指示を伝達するようになっていてもよい。別の実施形態では、CPRパック301は、人の音声を合成するかまたは再生成するようになっていてもよい。さらに別の実施形態では、CPRパック301は口頭の指示の形態で救助者に指示を伝達するようになっていてもよい。種々の実施形態では、CPRパック301は、可聴のまたは視覚の指示の任意の組合せを伝達するようになっていてもよい。
【0043】
ある実施形態では、CPRパック301は、患者固有のパラメータの測定値の検知に少なくとも部分的に依存する指示を提供するようになっていてもよい。一実施形態では、CPRパック301は、血行動態状態の測定値の検知に基づいて指示を提供するようになっていてもよい。別の実施形態では、CPRパック301は、蘇生試行時の測定値の検知に基づいて指示を提供するようになっていてもよい。さらに別の実施形態では、CPRパック301は、以下で説明されるセンサを含むに任意のセンサを使用して受取られた測定値に基づいて指示を提供するようになっていてもよい。
【0044】
種々の実施形態では、CPRパック301は、患者の蘇生を試みる1人または複数人の救助者によって提供される1つまたは複数の入力に基づいて、指示の生成を始動し、かつ/または、指示を調整するようになっていてもよい。ある実施形態では、1つまたは複数の入力は、さらに以下で説明される入力デバイスを含む任意の入力デバイスを通して受取られる。
【0045】
図4は、CPRパック401に組込まれる可能性があるデバイスの種々の実施形態を一般的に示す。ある実施形態によれば、CPRパック401は、認識器デバイス402を含む。認識器デバイス402は、CPRパック401のどの表面が患者に接触して配置されるかを自動で判定するようになっていてもよい。一実施形態では、認識器デバイス402は加速度計であってよい。
【0046】
加速度計は、加速度および重力誘発反応力を測定するためのよく知られているデバイスである。種々の加速度計は、CPRパック301の下方向または上方向を検出するために、本発明の実施形態に容易に組込まれる可能性があり、PDA、携帯電話、ビデオカメラなどにおいて一般に使用される加速度計と同じタイプの種々の傾斜検知加速度計を含む。
【0047】
こうした加速度計の一般的な教示は、「Tilt Sensing Using Linear Accelerometers」(Freescale Semiconductor, AN3461, 2007)という名称のKimberly Tuckによるアプリケーションノートに説明される。加速度計の使用および組込みは、当業者によく知られている。おそらく商業的に入手可能な加速度計の一部の例の開示は、iMems(登録商標)加速度計ADXL320、ADXL330、ADIS 16209を含むAnalog Devices社によって販売されるいくつかのデバイスについてのアプリケーションデータシート、ならびに、Freescale Semiconductor, Incによって販売されるMMA7455L(XYZ軸加速度計)についての技術データシートを含む。これらの参考文献はそれぞれ、参照により本明細書に組込まれる。
【0048】
こうした加速度計をCPRパック301と結合させることは、出力が、パック301の面の方向の自動認識を提供することを可能にし、下に向く面が、水平に配設された患者の胸部に接触して配置される。相応して、この方向に基づいて、指示または処置が提供される。さらなる加速度計が使用されて、患者が完全に水平な位置にない場合に、適切な処置および指示が提供されることが保証されてもよい。
【0049】
認識器デバイス402として加速度計を使用することに加えて、CPRパックのいずれの表面が患者に接触しているかを自動で判定するための種々の他の手段が可能である。これらは、振り子センサ、重力作動式スイッチ、光センサ、温度センサ、小抵抗センサ、および、システムによって供給されるAEDインピーダンス刺激信号または他の信号を検出するセンサを含む。たとえば、一部の実施形態は、CPRパックに関して上および下の方向を判定するためのおもりつき転換器の使用を含んでもよい。あるいは、一部の実施形態は、パックの方向に基づいて導電性流体を電気接点に接触させることによって、CPRパックに関して上および下の方向を判定するための、カプセル内での導電性流体の使用を含んでもよい。CPRパックのいずれの表面が患者に接触しているかを自動で認識するデバイスを構築するために、当業者が、こうして容易に入手可能なセンサおよび他の手段を使用し適合させることができることが理解される。本開示を読むことによって種々の変更が当業者に明らかになる可能性がある。
【0050】
認識器デバイスはまた、他のタイプのパックの方向を検出することを望まれる可能性がある。図7a〜7bおよび8a〜8bに示す実施形態などの一部の実施形態では、患者の特定の特徴部に対するパック706または806の方向の認識が望まれる可能性がある。より詳細には、これは、パックが第1位置にあるか、第1位置に回転的に関連する第2位置にあるかを検出することに関連し、デバイスは、両方の位置において、ほぼ同じ水平面内にあるままである。こうした方向の差を検出する一方法は、パック301に結合した発光ダイオード(LED)および検出器の使用による。こうしたデバイスでは、パックが1つの方向に方向付けられたときに、発光が遮られないように、LEDがパック301に結合されうるであろう。たとえば、図7aに示す実施形態では、これは、インジケータ702が患者の頭部の最も近くに配置された場合に起こる可能性がある。あるいは、パックが回転し、それにより、第2の方向に方向付けられたとき、患者の顎などの患者の身体の特徴部によって光が遮られることになる。たとえば、これは、インジケータ703が患者の頭部の最も近くに配置された場合に起こる可能性がある。検出器によるこの干渉の認識は、相応して、患者の頭部または他の身体特徴部に対するパックの方向の自動検出を可能にする。それにより、この情報の検出に基づいて、指示が提供されうる。あるいは、種々の他のタイプのセンサの使用が同様に利用されてもよい。
【0051】
種々の実施形態では、CPRパック301は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス403を含んでもよい。ある実施形態では、1つまたは複数のコンピューティングデバイス403は、患者の蘇生に関連する情報を受信し、処理し、かつ/または、送信するようになっている可能性がある。
【0052】
種々の実施形態では、CPRパック301は、1人または複数人の救助者からの入力を受信するようになっていてもよい。ある実施形態では、CPRパック301は入力デバイス404を含んでもよい。一実施形態では、入力デバイス404は、入力を受信するようになっている圧縮可能ボタン405のセットであってよい。ある実施形態では、入力デバイス404はキーボード406であってよい。別の実施形態では、入力デバイス404はタッチスクリーン407であってよい。さらに別の実施形態では、入力デバイス404はマイクロフォン408であってよい。さらなる実施形態では、マイクロフォン408は、音声認識を実施するようになっているデバイスに通信可能に結合してもよい。一実施形態では、マイクロフォン408は、音声認識を実施することが可能なコンピューティングデバイス403に通信可能に結合してもよい。別の実施形態では、コンピューティングデバイス403は、患者の蘇生を試みる1人または複数人の救助者によって提供される音声指示を認識するようになっている。
【0053】
種々の実施形態では、CPRパック301は、1つまたは複数の通信デバイス420を含んでもよい。一実施形態では、通信デバイス420は、1つまたは複数のディスプレイまたはモニタ409であってよい。別の実施形態では、ディスプレイまたはモニタ409は、患者の蘇生を試みる1人または複数人の救助者に指示を提供するようになっていてもよい。さらに別の実施形態では、ディスプレイまたはモニタ409は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス403に通信可能に結合してもよい。種々の実施形態では、CPRパック301は、1つまたは複数のユーザインタフェース410を含んでもよい。ある実施形態では、コンピューティングデバイス403は、モニタまたはディスプレイ409を使用して、救助者に伝達するための1つまたは複数のユーザインタフェース410を提供するようになっていてもよい。種々の実施形態では、ユーザインタフェース410は、1人または複数人の救助者から入力を受信し、また、1人または複数人の救助者に伝達するようになっていてもよい。
【0054】
種々の実施形態では、CPRパック301は、1つまたは複数の音放出デバイス411を含んでもよい。音放出デバイス411は1つまたは複数のスピーカを含んでもよい。ある実施形態では、音放出デバイス411は、人の音声を合成するようになっていてもよい。一実施形態では、音放出デバイス411は、本明細書で説明するように、可聴の指示を提供するようになっていてもよい。
【0055】
一態様によれば、CPRパック301は、発光デバイス(LED)412などの1つまたは複数の光を含んでもよい。一実施形態では、発光デバイス412は、1つまたは複数のLEDを含んでもよい。ある実施形態では、発光デバイス412は、本明細書で説明するように、救助者に視覚の指示を提供するようになっている。
【0056】
図5は、1つまたは複数のセンサ501を含むCPRパック301の種々の実施形態を一般的に示す。種々の実施形態では、CPRパック301は、患者の健康状態のパラメータを検知するようになっている1つまたは複数のセンサを含んでもよい。制限のためではなく例証のために提供される、健康状態502のこうしたパラメータの例は、心拍数503、血圧504、温度505、血液組成506、呼吸数507、心臓の電気的特性508、心臓の機械的特性509、および/または、肺の機械的特性510を含む。CPRパックと共に利用される可能性があるセンサの他の例は、ホメオパシック状態センサ、血圧センサ、温度センサ、血液組成センサ、呼吸数センサ、電気的心臓特性センサ、機械的心臓特性センサ、および機械的肺特性センサを含む。
【0057】
ある実施形態では、CPRパック301は、患者の蘇生を試みる救助者の特性511を検知するようになっている1つまたは複数のセンサを含んでもよい。制限のためではなく例証のために提供される、こうしたセンサの例は、患者の胸部を圧迫するのに使用される救助者の手(複数可)または指の位置または数512、胸部圧迫レート513、胸部圧迫深さ514、胸部圧迫力515、人工呼吸の適用レート516、人工呼吸の適用強度517、電気治療の施行特性518、および薬物送出治療の施行特性519、または、患者の蘇生に関連する任意の他の指示を確定するようになっているセンサを含む。
【0058】
種々の実施形態では、CPRパック301は、患者の蘇生を補助するために、治療を始動するかまたは調整するための1つまたは複数の治療デバイス413を含んでもよい。ある実施形態では、治療デバイス413は、電気的治療デバイスであってよい。別の実施形態では、CPRパック301は、1つまたは複数のリード線414を含んでもよい。ある実施形態では、こうした電気的治療デバイスは、1つまたは複数のデフィブリレーション治療デバイス415、1つまたは複数のペーシング治療デバイス416、または両方を含んでもよい。ペーシング治療デバイス416の例は、頻脈治療デバイスおよび/または徐脈治療デバイスを含むが、それに限定されない。一実施形態では、CPRパック301は、電気的治療を始動するかまたは調整するよう、救助者に命じる指示を救助者に提供してもよい。別の実施形態では、CPRパックは、患者の胸部領域に接触しているときに、電気的治療を自動でまたは半自動で実施するようになっている。
【0059】
ある実施形態では、CPRパック301は、薬物送出治療デバイス417を含んでもよい。種々の実施形態では、薬物送出治療デバイス417は、皮下に、経皮的に、または任意の他の適した送出方法によって薬物、生体活性作用物質、または任意の他の適した薬物を送出してもよい。ある実施形態では、CPRパック301は、薬物送出治療を始動するかまたは調整するよう、救助者に命じる指示を救助者に提供してもよい。他の実施形態では、CPRパック301は、患者の胸部領域に接触しているときに、薬物送出治療を自動でまたは半自動で始動するかまたは調整するようになっていてもよい。
【0060】
図11は、図3において301で示すようなCPRパックを使用して救助者が患者の蘇生の試を補助するある実施形態のフローチャートの例を一般的に示す。1101にて、CPRパックが救助者に提供される。ある実施形態では、CPRパック301は、患者の胸部領域上に配置される大きさに作られまた形作られる。1102にて、患者の胸部領域上に配置されるCPRパック301の第1表面304上の第1のインジケータ302が、救助者に提供される。1103にて、患者の胸部領域上に配置されるCPRパック301の第2表面314上の第2のインジケータ312が、救助者に提供される。1104にて、患者を蘇生させるための指示が救助者に提供され、指示は、第1表面304が患者の胸部領域上に配置されるか、第2表面314が患者の胸部領域上に配置されるかに少なくとも部分的に基づく。
【0061】
図13は、救助者が患者の蘇生の試を補助するシステム1301を一般的に示す。ある実施形態では、システムは、本明細書で述べるように、CPRパック1302を含む。CPRパック1302は、1つまたは複数の外部デバイス1303に通信可能に結合してもよい。種々の実施形態では、1つまたは複数の外部デバイス1303は、1人または複数人の救助者が患者の蘇生を補助するようになっていてもよい。ある実施形態では、1つまたは複数の外部デバイス1303は、CPRパック1302内に含まれるデバイスに関して本明細書で説明したデバイスの任意のデバイスを含んでもよい。一実施形態では、1つまたは複数の外部デバイス1303は、CPRパック1302に関して本明細書で説明したセンサの任意のセンサを含んでもよい。種々の実施形態では、1つまたは複数の外部デバイスは、CPRパック1302に関して本明細書で説明したデバイスまたはセンサの任意の組合せを含む。種々の実施形態では、1つまたは複数の外部デバイスは、CPRパック1302に関して本明細書で説明したように、指示を伝達するようになっている。
【0062】
本発明は、本発明の本質的な属性の技術思想から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。したがって、示す実施形態は、全ての点で、制限的でなく、例証的であるとして考えられるべきであり、本発明の範囲を示すために、先の説明ではなく、添付特許請求の範囲が参照される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
救助者による患者の蘇生を補助するための方法であって、
前記救助者に心肺蘇生(CPR)パックを提供することであって、前記CPRパックの少なくとも一部分は、患者の胸部領域上に配設される大きさに形成され、第1表面および第2表面を含み、前記CPRパックは、
前記CPRパックの前記第1表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されるということの第1の標示と、
前記CPRパックの前記第2表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されるということの第2の標示と
をさらに含む、心肺蘇生(CPR)パックを提供すること、
前記第1表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されているか、または前記第2表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されているかに少なくとも部分的に基づいて、前記患者を蘇生させるために前記救助者に指示を提供すること
を備える方法。
【請求項2】
指示を提供することは、前記第1表面および前記第2表面の少なくとも一方の上に印を設けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CPRパックを提供することは、前記CPRパックの前記第1表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されている場合、第1言語で第1の標示を提供すること、および、前記CPRパックの前記第2表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されている場合、第2言語で第2の標示を提供することを含み、
指示を提供することは、前記CPRパックの前記第1表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されている場合、前記第1言語で指示を提供すること、および、前記CPRパックの前記第2表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されている場合、前記第2言語で指示を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CPRパックを提供することは、前記CPRパックの前記第1表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されるとき、前記CPRパックにより、第1のグループの患者を蘇生することが意図されていることを前記救助者に示す前記第1の標示と、前記CPRパックの前記第2表面が前記患者の前記胸部領域上に配設されるとき、前記CPRパックにより、第2のグループの患者を蘇生することが意図されていることを前記救助者に示す前記第2の標示とを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CPRパックを提供することは、前記CPRパックの前記第2表面が、第1のグループの患者の胸部領域にほぼ一致するようになっており、また、前記CPRパックの前記第1表面が、第2のグループの患者の胸部領域にほぼ一致するようになっているCPRパックを提供することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のグループの患者と前記第2のグループの患者との差は、年齢の差、サイズの差、性の差、またはその任意の組合せを含むセットから選択され、
前記CPRパックを提供することは、前記第1表面と前記第2表面との差が、前記第1のグループの患者と前記第2のグループの患者との差に対応するようにCPRパックを提供することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記CPRパックの前記第1表面又は前記CPRパックの前記第2表面が、前記患者の前記胸部領域に面するように方向付けられているかを自動的に認識すること
をさらに含み、
指示を提供することは、前記CPRパックの前記第1表面又は前記CPRパックの前記第2表面が、前記患者の前記胸部領域に面するように方向付けられているかを自動的に認識することに応答して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記CPRパックの前記第1表面または前記CPRパックの前記第2表面が、前記患者の前記胸部領域に面するように方向づけられているかを自動的に認識するステップは、加速度計の使用を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記CPRパックの前記第1表面又は前記CPRパックの前記第2表面が、前記患者の前記胸部領域に面するように方向付けられているかを自動的に認識するステップは、前記CPRパックに関して上および下の方向を確定するための、おもりつき転換器の使用を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記CPRパックの前記第1表面または前記CPRパックの前記第2表面が、前記患者の前記胸部領域に面するように方向付けられているかを自動的に認識するステップは、前記パックの方向に基づいて導電性流体を電気接点に接触させることによって、前記CPRパックに関して上および下の方向を確定するための、カプセル内での前記導電性流体の使用を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
心肺蘇生(CPR)補助デバイスを使用して救助者が患者を蘇生させる方法であって、
前記CPR補助デバイスの第1表面上の少なくとも第1の標示と前記CPR補助デバイスの第2表面上の少なくとも第2の標示とに基づいて、前記第1表面および前記第2表面のいずれの表面を、前記患者に接触するように配置するかを判定すること、
前記CPR補助デバイスの前記第1表面および前記第2表面の一方を前記患者の胸部領域に接触するように配置すること、
前記患者を蘇生させるために指示を受取ること
を備え、前記指示は、前記第1表面または前記第2表面が前記患者の前記胸部領域に接触して配置されたことの一方に少なくとも部分的に基づく、方法。
【請求項12】
指示を受取ることは、手/指配置、手/指の数、胸部圧迫レート、胸部圧迫深さ、人工呼吸の適用レート、人工呼吸の適用強度、電気治療の使用に関連する指示、薬物送出治療の使用に関連する指示、またはその任意の組合せを含むセットから選択される指示を受取ることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
指示を受取ることは、可聴の指示を受取ること、視覚の指示を受取ること、またはその任意の組合せのセットから選択される指示を受取ることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1の標示は、前記CPR補助デバイスは、第1のグループの患者を蘇生することが意図されていることを救助者に示し、前記少なくとも1つの第2の標示は、前記CPR補助デバイスは、第2のグループの患者を蘇生することが意図されていることを救助者に示し、
前記CPR補助デバイスの前記第1表面および前記第2表面のいずれが前記患者に接触するように配置されるかを判定することは、前記患者が、前記第1のグループの患者の1人の患者であるか、前記第2のグループの患者の1人の患者であるかに基づいて確定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
蘇生させることは、心肺蘇生(CPR)を実施すること、電気心臓治療を手動で始動するかまたは調整すること、電気心臓治療を自動で始動するかまたは調整すること、人工呼吸を実施すること、薬物を手動で送出すること、薬物を自動で送出すること、またはその任意の組合せを含むセットから選択される少なくとも1つの行為を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記CPR補助デバイスの前記第1表面および前記第2表面のいずれが前記患者に接触しているかを判定することは、オペレータの介入なしに自動で実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
認識器デバイスは、前記CPR補助デバイスの第1表面または前記CPR補助デバイスの前記第2表面が前記患者に接触しているかを判定するために使用される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
蘇生補助デバイスであって、
患者の胸部領域上に配設される大きさに形成された対象物を備え、前記対象物は、第1表面および第2表面を有し、
前記対象物の前記第1表面が前記患者に接触するように配置されるということの第1の標示と、
前記対象物の前記第2表面が前記患者に接触するように配置されるということの第2の標示と、
前記第1の標示および前記第2の標示の観察に基づいて、前記患者の蘇生を試みるときに前記対象物の使用法を示す、前記対象物上に配設された指示を伝える印と
を含む対象物を備える、デバイス。
【請求項19】
前記第1表面が前記患者に接触しているか、前記第2表面が前記患者に接触しているかを自動で認識する手段をさらに備える、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記自動で認識する手段に基づいて指示を自動で送出する手段をさらに備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
前記指示は、手/指配置、手/指の数、胸部圧迫レート、胸部圧迫深さ、人工呼吸の適用レート、人工呼吸の適用強度、電気治療の使用に関連する指示、薬物送出治療の使用に関連する指示、またはその任意の組合せを含むセットから選択される少なくとも1つの処置を含む、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1の標示は、前記デバイスが第1言語で伝達することを示し、前記第2の標示は、前記デバイスが第2言語で伝達することを示し、
指示を自動で送出する前記手段は、前記第1表面が前記患者に接触して配置される場合、前記第1言語で伝達するように適合され、且つ前記第2表面が前記患者に接触して配置される場合、前記第2言語で伝達するように適合される、請求項20に記載のデバイス。
【請求項23】
前記第1表面の少なくとも一部分は、第1のグループの患者の胸部領域に一致するように適合され、前記第2表面の少なくとも一部分は、第2のグループの患者の胸部領域に一致するように適合され、
前記第1の標示および前記第2の標示は、前記患者が前記第1のグループの患者に含まれるか、前記第2のグループの患者に含まれるかに基づいて、前記第1表面または前記第2表面のいずれが、前記患者に接触して配置されるかを示す、請求項18に記載のデバイス。
【請求項24】
前記対象物は、1つまたは複数の外部デバイスに通信可能に結合し、前記外部デバイスは、救助者が患者の蘇生を補助するように適合される、請求項18に記載のデバイス。
【請求項25】
前記1つまたは複数の外部デバイスは、コンピューティングデバイス、治療始動または調整デバイス、デフィブリレーションデバイス、ペーシングデバイス、薬物送出デバイス、通信デバイス、モニタデバイス、ディスプレイデバイス、ユーザインタフェース、マイクロフォン、またはその任意の組合せを含むセットから選択される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記少なくとも1つの対称物および前記少なくとも1つの外部デバイスは、前記第1表面が前記患者に接触して配置されるか、前記第2表面が前記患者に接触して配置されるかに基づいて蘇生治療または指示を始動または調整するように適合される、請求項24に記載のデバイス。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−528722(P2010−528722A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510552(P2010−510552)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/065522
【国際公開番号】WO2008/151126
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(310011860)カーディアック サイエンス インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】