説明

教習装置

【課題】本を読みながら、この本の内容に対応する音声を簡単な方法で再生させ、読むのと聴くのを同時に行って、学習効果の向上を図ることができるようにする。
【解決手段】該本2の内容がページ毎に音声データで蓄積されている音源メモリ10と、指定されたページに対応する音声データを音源メモリ10から読み出し、本2に設けたスピーカ14に送信、又は、別のヘッドホーン3に有する送受信部9を通じて送信する。これら何れかのスピーカ等を通じて発声するためのモジュールとして、音声処理部2Bを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は教習装置に関するものであり、特に、教習用の本に設けられている、この本のページに対応するスイッチを操作すると、該ページに対応した音声を再生させることができる教習装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、類似する従来製品はなく、全く新しい技術となり、例えば語学教材用として使用することが考えられる。そこで、語学教材用に使用すると考えた場合、現在、ヒヤリング用のメディアとして、主に本にCD(コンパクトディスク)を添付して販売するという形態が普及している。
【特許文献1】(特になし)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、本にCDを添付して販売するという形態は、CDを再生する機器が必要であり、またその再生機器側で音声の再生をコントロールしなくてはならないので、取り扱いが面倒という問題点があった。さらに、本を目で追って見ている位置と、CDの音声再生とのマッチングをとるのが難しく、学習者が本を目で追って見ている位置よりも、CDによる音声再生の方が先行してしまうのが一般的であり、学習効果の面でも問題を有していた。
【0004】
そこで、本を読みながら、この本の内容に対応する音声を簡単な方法で再生させ、読むのと聴くのとの双方を同時に行って、学習効果の向上を図ることができるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、本と、該本の内容がページ毎に音声データで蓄積されている音源メモリと、ページが指定されると該指定されたページに対応する前記音声データを前記音源メモリから読み出し、前記本に設けたスピーカに送信、あるいは、前記本とは別の外部位置に設けたスピーカを有する通信手段を通じて送信し、前記何れかのスピーカを通じて再生するようにしたモジュールとを備える教習装置を提供する。
【0006】
この構成によれば、本のページを指定すると、指定されたページに対応する音声データが、該本に設けたスピーカ、あるいは別の外部位置に設けた通信手段におけるスピーカを通じて発声される。従って、学習者によって指定された本のページ毎に音声が再生されるので、本のページ内容を見る(読む)のと、この本のページ内容に対応した音声とを相互一致させた状態で、効果的に学習等をすることができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1において、上記音源メモリを上記モジュール内に備え、かつ、該モジュールに、指定のページを指定するスイッチと、該スイッチが押されると前記音源メモリから該スイッチに対応した上記音声データを呼び出し、上記スピーカを介して再生する制御手段とを設けた教習装置を提供する。
【0008】
この構成によれば、指定のページに対応するスイッチを押すと、音源メモリから該スイッチに対応した音声データが呼び出され、この音声データがスピーカを通して再生される。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1または2において、上記モジュールが、上記音声データを上記通信手段に送信する手段として、ブルートゥースを用いている教習装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、無線通信技術であるブルートゥース(Bluetooth)を用いて音源メモリから呼び出された音声データを、外部位置に設けられた通信手段とケーブルを使わずにやり取りすることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明は、使用者が本のページを指定すると、その指定した本のページ毎に音声が再生されるので、本のページ内容を見るのと、このページ内容に対応した音声を聴くのとを同時に行いながら、効果的に学習等をすることができ、学習効果の向上が期待できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、ページに対応するスイッチを押すと、音源メモリから該スイッチに対応した音声データが呼び出され、この音声データがスピーカを介して再生されるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、さらに操作の簡略化が図れる。
【0013】
請求項3記載の発明は、外部位置に設けられた通信手段とケーブルを使わずに接続し、音源メモリから呼び出された音声データをやり取りすることができるので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、音声データのやり取りを簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の教習装置について、最良の実施形態をあげて説明する。
【0015】
本を読みながら、この本の内容に対応する音声を簡単な方法で再生させ、読むのと聴くのを同時に行って学習効果の向上を図るという目的を達成するために、本発明は、本と、該本の内容がページ毎に音声データで蓄積されている音源メモリと、ページが指定されると該指定されたページに対応する前記音声データを前記音源メモリから読み出し、前記本に設けたスピーカに送信、あるいは前記本とは別の外部位置に設けたスピーカを有する通信手段を通じて送信し、前記何れかのスピーカを通じて再生するようにしたモジュールとを備えることにより実現した。
【0016】
モジュール内には音源メモリを有し、モジュールに指定のページを指定するためのスイッチを具備する。さらに、このスイッチを押すと音源メモリから音声データを呼び出し、スピーカを介して再生する制御手段を設ける。
【0017】
本発明は、無線データ送受信技術を利用し、音声や音楽などの音をヘッドセットやその他対向機と自由に送受信できる。モジュールを制作し、それを本にセットし一体化する。これにより、モジュールを操作することで、本から音を対向機に音声を送信しうる有用な本、いわゆる音声付きの本となる。音声データを通信手段に送信する手段として、たとえばブルートゥースなどが用いられる。
【0018】
又、本発明は、本の視覚情報伝達能力に聴覚情報を付加できるものであり、主な用途は語学学習教材、および知育型児童書などであるが、これ以外の書籍分野においても勿論幅広く適用しうる。つまり、本発明は、視覚情報媒体に音声機能を付加することにより、音声情報、聴覚情報を必要とする、あらゆる本媒体に応用しうる新規有用な教習装置である。
【実施例】
【0019】
図1は本発明の学習装置の一実施例の構造をイメージ的に示す概略構成図である。本実施例は、本と無線データ送受信機とのメディアミックス、すなわち、視覚情報と聴覚情報との同時提供情報媒体を提供するものである。この学習装置1は、学習者Mの手元に置かれる本2と、この学習者Mの耳部等、本2とは別の外部に配置される通信手段としてのヘッドホーン3とで構成されている。
【0020】
図2に示すように、ヘッドホーン3は、送受信部3aを有し、この送受信部3aを介することによって、音声データを外部の通信手段とケーブルを使わずにやり取りが可能になっている。
【0021】
本2は、内容が活字で印刷されている冊子部2Aと、その内容を音声で記録している音声処理部2Bとでなる。冊子部2Aは、図1,図3,図4に示すように、表裏面が表表紙4と裏表紙5とでカバーされ、その間に綴られた複数のページ6と、このページの内容に対応する音声データを処理する上記音声処理部2Bとを配置している。
【0022】
なお、本例では、ページ6の下側に音声処理部2Bを配設している。また、音声処理部2Bは、図3に示すように、表表紙4が閉じられているとき、この表表紙4で隠され、図1,図4に示すように、表表紙4が開かれると露出される。
【0023】
音声処理部2Bはモジュールを構成しているもので、この音声処理部2Bの全体を制御する、マイクロコンピュータで構成された制御部8と、ヘッドホーン3の送受信部3aと無線通信で信号のやりとりを行う送受信部9と、本2の内容に対応する音声データをページ6毎に記憶している音源メモリ10とを備え、この他に、スイッチ部11、音声再生部12、スピーカ12a、及び液晶表示装置13等も備える。
【0024】
また、制御部8と送受信部9とは、ブルートゥースを構成しており、制御部8が音源メモリ10から呼び出した音声データを、ケーブルを使わずに送受信部9と送受信部3aの無線通信で、ヘッドホーン3側に送ることができるようになっている。
【0025】
スイッチ部11に設けられるスイッチとしては、ページを指定するための0〜9までのテンキー15と、ヘッドホーン3側でのスピーカ(図示せず)を使用した外部再生と、本2内に配置されたスピーカ14を使用した内部再生との、何れか一方での再生に切り換えるためのスピーカ切換スイッチ16等である。
【0026】
このように構成された学習装置1では、まず、本2の表表紙4と所定のページを開く。そして、その開いたページ6をテンキー15で指定すると、制御部8は指定されたページ数を液晶表示装置13に数字で表示するとともに、音源メモリ10内から指定されたページに対応する音声データを呼び出す。ついで、この音声データをスピーカ切換スイッチ16の切り換え位置に応じて、ヘッドホーン3あるいは音声再生部12に送る。
【0027】
そして、スピーカ切換スイッチ16が、ヘッドホーン3側に切り換えられているときには、送受信部8及び送受信部3aを介して、ヘッドホーン3に無線送信され、ヘッドホーン3のスピーカで再生される。反対に、スピーカ切換スイッチ16が、内蔵のスピーカ14側に切り換えられているときには、音声再生部12に送られ、内蔵のスピーカ14で再生される。
【0028】
これにより、学習者は、自分の目で実際に追って読んでいるページの内容を、同時に音声で聴きながら学習することができる。また、そのページが終了したら、続いて次ページを指定すると、その指定されたページに対応した音声データを同様にして再生することができる。
【0029】
従って、この実施例の学習装置1によれば、学習者が本2のページを指定すると、その指定した本2のページ毎に音声が再生される。したがって、本2のページ内容を見て読みながら、かつ、このページ内容に対応した音声を聴きながら、同時に効果的に学習等をすることができる。
【0030】
これにより、学習効果の向上が期待できる。また、ページに対応するスイッチを押すと、音源メモリ10から該スイッチに対応した音声データが呼び出され、この音声データがスピーカを介して再生されるので、操作の簡略化が図れる。さらに、ブルートゥースを用い、外部位置に設けられた通信手段である送受信部3aと送受信部9とをケーブルを使わずに無線で接続し、音源メモリ10から呼び出された音声データをやり取りすることができるので、音声データのやり取りを簡単に行うことができる。
【0031】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。たとえば、無線データ送信技術を使った音の出る学習装置であれば、本発明を広範に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る学習装置の一実施例をイメージ的に示す概略構成図。
【図2】本発明に係る学習装置の構成ブロック図。
【図3】本発明に係る学習装置を適用した本を閉じた状態で示す斜視図。
【図4】本発明に係る学習装置を適用した本を開いた状態で示す斜視図。
【符号の説明】
【0033】
1 学習装置
2 本
2A 冊子部
2B 音声処理部(モジュール)
3 ヘッドホーン(通信手段)
3a 送受信
4 表表紙
5 裏表紙
6 ページ
7 筐体
8 制御部
9 送受信部
10 音源メモリ
11 スイッチ部
12 音声再生部
13 液晶表示装置
14 スピーカ
15 テンキー
16 スピーカ切換スイッチ
M 学習者


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本と、該本の内容がページ毎に音声データで蓄積されている音源メモリと、ページが指定されると該指定されたページに対応する前記音声データを前記音源メモリから読み出し、前記本に設けたスピーカに送信、あるいは、前記本とは別の外部位置に設けたスピーカを有する通信手段を通じて送信し、前記何れかのスピーカを通じて再生するようにしたモジュールとを備えることを特徴とする教習装置。
【請求項2】
上記音源メモリを上記モジュール内に備え、かつ、該モジュールに、指定のページを指定するスイッチと、該スイッチが押されると前記音源メモリから該スイッチに対応した上記音声データを呼び出し、上記スピーカを介して再生する制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1記載の教習装置。
【請求項3】
上記モジュールが、上記音声データを上記通信手段に送信する手段として、ブルートゥースを用いていることを特徴とする請求項1または2記載の教習装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−17711(P2007−17711A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−199214(P2005−199214)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000205823)大昭和紙工産業株式会社 (28)
【出願人】(593193000)日本ライトン株式会社 (10)
【Fターム(参考)】