説明

散気装置及び該散気装置の取り扱い方法

【課題】 比較的単純な構造でありながら容易に散気部を槽内外へ出し入れすることができる散気装置を提供することを課題としている。
【解決手段】 槽内に収容される液体中に気体を散気するために用いられ、該気体を液体中に散気するために備えられた散気部が前記槽の上部にある開口を介して前記槽の内外へ出し入れ可能な散気装置であって、前記槽内で使用する状態では、供給される気体を下方側へ送る第1供給管と、該第1供給管にて下方側へ送られた気体を水平方向へ送る第2供給管と、該第2供給管にて水平方向に送られた気体を液体中へ散気する前記散気部とを備えるように構成されており、前記第1供給管と前記第2供給管との間の角度が維持されるように構成されている散気装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽内に収容される液体中に気体を散気するために用いられる散気装置、及び、該散気装置の取り扱い方法に関する。具体的には、例えば、有機性排水を浄化処理する排水処理槽内で有機性排水に空気を散気するために用いられ、排水処理槽の上部にある開口を介し、空気を散気するために備えられた散気部を槽内外へ出し入れすることが可能な散気装置、及び、該散気装置の取り扱い方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の散気装置は、例えば、使用に伴って生じ得る故障部品を交換するために、又は、定期的な点検等のために、槽内の液体を抜き出さなくとも散気部を槽外へ取り出せるように構成されている。
【0003】
従来、この種の散気装置としては、様々なものが知られている。具体的には、例えば、槽内で使用する状態では、供給される気体を下方側へ送る第1供給管と、該第1供給管にて下方側へ送られた気体を水平方向へ送る第2供給管と、該第2供給管にて水平方向に送られた気体を液体中へ散気する散気部とを備え、さらに、槽内において上下方向に延在し且つ散気部に備えられた被案内部と係合する案内部を備えたものが知られている(特許文献1)。
【0004】
詳しくは、斯かる散気装置は、槽内にて斜め上下方向に延在する案内部と、散気部に備えられた被案内部とを備え、散気部を槽内に供給すべく、被案内部が案内部に係合しながら案内部に沿って移動するように構成されている。そして、被案内部の移動に応じて、第1供給管と第2供給管との間の角度が適宜変わるようになっている。
斯かる散気装置は、例えば槽内から取り出すときに、第1供給管を引き上げることによって、第2供給管が第1供給管との角度を90°から0°に変えて水平方向から上下方向に向きを変える。さらに、斯かる散気装置は、向きが変わった第2供給管の下方側にある散気部の被案内部と案内部とが係合しながら、上方向に容易に移動できる。なお、斯かる散気装置は、散気部を槽内へ入れるときも順序を逆にして同様にして操作される。
このように、斯かる散気装置は、第1供給管と第2供給管との間の角度を変えることにより、案内部に沿って散気部を移動させながら槽内外へ容易に出し入れすることが可能である。
【0005】
しかしながら、斯かる散気装置は、槽内外へ散気部を容易に出し入れするために案内部や被案内部を要するため、複雑な構造を有するという問題がある。また、第1供給管と第2供給管とを接合させつつこれら供給管の間の角度を自在に変えるための手段を要するため、構造が比較的複雑であり、故障を生じやすいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−188300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点等に鑑み、比較的単純な構造でありながら散気部を容易に槽内外へ出し入れすることができる散気装置を提供することを課題とする。また、散気部を容易に槽内外へ出し入れすることができる散気装置の取り扱い方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明に係る散気装置は、槽内に収容される液体中に気体を散気するために用いられ、該気体を液体中に散気するために備えられた散気部が前記槽の上部にある開口を介して前記槽の内外へ出し入れ可能な散気装置であって、前記槽内で使用する状態では、供給される気体を下方側へ送る第1供給管と、該第1供給管にて下方側へ送られた気体を水平方向へ送る第2供給管と、該第2供給管にて水平方向に送られた気体を液体中へ散気する前記散気部とを備えるように構成されており、前記第1供給管と前記第2供給管との間の角度が維持されるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記構成からなる散気装置によれば、前記第1供給管と前記第2供給管との間の角度が維持されるように構成されているため、前記第1供給管の上下方向の動きに追随して前記第2供給管が上下方向に動くことができる。従って、槽内から散気装置を取り出すときには、第1供給管を操作することによって、第2供給管を意図するように移動させることができる。そして、垂直方向に沿って配された第1供給管を上昇させながら徐々に水平方向に倒すことにより、水平方向に沿って配されていた第2供給管を徐々に垂直方法へと起立させることができる。最後に、垂直方向に起立した第2供給管を槽の開口から抜き出すとともに、散気部を取り出すことができる。また、順序を反対にして同様な操作をすることにより、槽内へ散気部を入れることができる。このように、前記散気装置は、出し入れするための手段がなくとも散気部を容易に槽内外へ出し入れすることができる。
【0010】
本発明に係る散気装置においては、前記第1供給管と前記第2供給管とが、前記第1供給管の散気側の先端部及び第2供給管の気体供給側の先端部にて接合されていることが好ましい。
斯かる構成により、散気装置を槽内外へ出し入れするときに、第1供給管と第2供給管との接合部分が槽の開口を通過しやすくなる。従って、槽の上部にある開口の面積が比較的小さくても、散気部を槽の内外へ出し入れすることがより容易になる。
【0011】
さらに、本発明に係る散気装置は、前記散気部が、前記第2供給管の散気側の先端に配されており且つ槽の底面に沿って接するように形成された土台を備えており、該土台の先端側が、槽内で使用する状態にて先端に向けて反り上がるように形成されていることが好ましい。
斯かる構成により、散気装置を槽内外へ出し入れすることがより容易にできるという利点がある。詳しくは、散気装置を槽外へ取り出すときは、水平方向に配置された土台の向きを、気体供給側が上側となるように徐々に垂直方向へと変えることができる。即ち、水平方向に配置されていた土台は、垂直方向に起立しつつ槽の底面上を水平方向に移動し得る。このとき、土台の下面が槽の底面上を摺動したとしても、土台の先端側が上述のごとく反り上がるように形成されていることにより、土台の先端が槽の底面に引っかかることを抑制することができる。即ち、反り上がり部分の下方側面が槽の底面上を円滑に移動することができる。従って、散気装置を槽外へ取り出すことがさらに容易になる。なお、同様の理由により、散気装置を槽内へ入れることもさらに容易になる。
【0012】
本発明に係る散気装置の取り扱い方法は、前記散気装置に対して、前記槽内で使用可能に配置された前記散気装置の第1供給管及び第2供給管を水平方向に移動させつつ第2供給管の向きを垂直方向へと変え第2供給管を上方に移動させることにより前記槽の開口を介して前記散気部を槽外へ出す槽外取出工程を実施することによって、散気装置に備えられた散気部を槽外へ出すことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る散気装置の取り扱い方法は、前記散気装置に対して、前記槽の外から槽の開口を介して前記散気部を槽内に入れ第1供給管及び第2供給管を下方に移動させつつ第2供給管の向きを垂直方向から水平方向へと変えることにより前記散気装置を使用可能に配置する槽内導入工程を実施することによって、散気装置に備えられた散気部を槽内へ入れることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上述の通り、本発明の散気装置は、比較的単純な構造でありながら容易に槽内外へ出し入れすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】散気装置が使用される様子、及び、散気部が槽内外から出し入れされる様子を槽の側面側から見た模式図。
【図2】散気部の側面図。
【図3】第2供給管の延在方向に垂直な方向に切断した土台の断面形状を表す図。
【図4】散気装置が使用される様子を槽の上方側から見た模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の散気装置の実施形態について、好気性微生物を利用して有機性排水を浄化する排水処理槽において用いる散気装置を例に挙げて、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本実施形態の散気装置10を槽内に入れ使用する状態にさせたものを側方側から見たときの模式図である。図2は、散気部の側面図であり、図3は、散気部の土台の気体供給側を第2供給管の延在方向に対して垂直に切断した切断面である。図4は、本実施形態の散気装置10を槽内に入れ使用する状態にさせたものを上方側から見たときの模式図である。
【0018】
本実施形態の散気装置10は、図1に示すように、槽11内に収容される液体13中に気体14を散気するために用いられ、該気体14を液体13中に散気するために備えられた散気部3が前記槽11の上部にある開口12を介して前記槽11の内外へ出し入れ可能な散気装置10であって、前記槽11内で使用する状態では、供給される気体を下方側へ送る第1供給管1と、該第1供給管にて下方側へ送られた気体を水平方向へ送る第2供給管2と、該第2供給管にて水平方向に送られた気体を液体13中へ散気する散気部3とを備えるように構成されており、前記第1供給管1と前記第2供給管2との間の角度が維持されるように構成されている。
【0019】
前記散気装置10は、第1供給管1と第2供給管2とが一体化されていることにより、前記第1供給管1と前記第2供給管2との間の角度が維持されている。
【0020】
前記散気装置10は、図1に示すように、前記第1供給管1と前記第2供給管2とを互いに支え前記第1供給管1と前記第2供給管2との間の角度をより確実に維持するための角度維持部材4を備えていることが好ましい。
また、前記散気装置10は、前記第1供給管1と前記第2供給管2との間の角度が特に限定されるものではないが、図1に示すように、通常、その角度が直角となるように構成されている。
【0021】
前記散気装置10は、第1供給管1及び第2供給管2の外方側全体にわたって第1供給管1及び第2供給管2を保護する保護部材(図示せず)を備えていてもよい。
なお、前記散気装置10は、前記槽11において複数が同時に用いられ得る。
【0022】
前記槽11としては、例えば、本実施形態のように好気性微生物を利用して有機性排水などの液体を処理するための排水処理槽などが挙げられる。また、微生物による排水処理を行わない槽も挙げられる。具体的には、例えば、汚泥や懸濁物を含む排水における汚泥や懸濁物の沈降を防止すべく曝気撹拌するための槽、液体を混合して均一化するために用いる槽、腐敗防止のために曝気を行う槽などが挙げられる。
前記液体13としては、具体的には、例えば、工場から排出され有機物を含む有機性工場排水、し尿などを含む下水等の有機性排水が挙げられる。また、このような有機性排水に限定されず、曝気撹拌され得る一般的な排水が挙げられる。
前記気体14としては、通常、空気が採用される。前記液体13中に空気を散気することにより、好気性微生物を利用して有機性排水を浄化する排水処理においては、水の浄化をより確実に行うことができる。
【0023】
前記槽11においては、上部に開口12がある。有機性排水を浄化処理する排水処理槽においては、該開口12は、有機性排水の臭気が槽外へ拡散することを抑制する目的等のため、散気部3の出し入れが可能な範囲で、できるかぎり開口面積が小さくなるように形成されている。
【0024】
前記第1供給管1は、中空の管状に形成されており、槽11外から供給される気体を前記第2供給管2に送るように構成されている。
【0025】
また、前記第1供給管1は、長さが前記槽11内の底面から開口12までの長さより長くなるように形成されている。従って、散気装置10を槽11内の底面に置いた状態では、第1供給管1の上端は、開口12より上方側にある。
前記第1供給管1は、槽11の開口12より上方側にある部分が保持手段(図示せず)によって保持されることにより、槽11内で位置が変わることが抑制される。従って、散気装置10を安定的に使用することができる。
【0026】
前記第1供給管1は、材質が特に限定されるものではなく、その材質としては、例えば、ステンレス鋼などの金属、ポリエチレンなどのプラスチック等が挙げられる。前記第1供給管1の材質としては、強度に優れる点、また、散気装置10が液体の浮力によって槽の底面から離れることを重みにより抑制できるという点で、金属が好ましい。該金属としては、耐腐食性に優れるという点で、SUS304、SUS316などのステンレス鋼が好ましい。
【0027】
前記第2供給管2は、中空の管状に形成されている。また、前記第2供給管2は、前記第1供給管1から供給される気体を前記散気部3に送るように構成されている。即ち、前記第1供給管1と前記第2供給管2とは、それぞれの中空部分が連通するように構成されている。
【0028】
前記第2供給管2の材質としては、前記第1供給管1の材質と同様のものが挙げられる。
【0029】
前記散気装置10は、図1に示すように、第1供給管1の散気側の先端部と第2供給管2の気体供給側の先端部とが接合されていることが好ましい。斯かる構成により、槽11の上部にある開口12の面積が比較的小さくても、第1供給管1と第2供給管2との接合部分が開口12を通過しやすくなるという利点がある。
即ち、斯かる構成により、第1供給管1と第2供給管2との接合部分が略L字状になるため、散気部3を槽11内外に出し入れするときに、その接合部分が開口12を通過しやすくなる。従って、槽11の上部にある開口12の面積が比較的小さくても、散気部3を槽11の内外へ出し入れすることが容易になる。
具体的には、前記散気装置10の第1供給管1及び第2供給管2は、例えば、中空円筒状の管が曲げられたステンレス製の継手(エルボ)を介してそれぞれの先端部において接合され一体化されていることにより、各供給管の間の角度が維持されるように構成されている。
【0030】
前記第1供給管1の先端部及び第2供給管2の先端部が結合している略L次形状の結合部分は、図1に示すように、頂部表面が凸状曲面となるように形成されていることが好ましい。斯かる構成により、前記散気部3を槽の内外へ出し入れするときに第1供給管1及び第2供給管2の結合部分が槽の側壁面に沿って摺動したとしても、側壁面に沿って前記結合部分が円滑に移動することができる。従って、前記散気部3を槽の内外へより容易に出し入れすることができる。
【0031】
前記散気部3は、前記第2供給管2から供給される気体14を槽11内の液体13中に散気するように構成されている。
前記散気部3は、第2供給管2に接続されて使用できるものであれば特に限定されず、メンブレン、セラミック、又は散気管など各種の部材を用いて構成され得る。図2に示す具体例においては、前記散気部3は、槽11内で散気する状態において、上部に散気口9のある筒状体6を備えている。また、前記散気部3は、前記筒状体6の側面に第2供給管2の端部が取り付けられていることにより、第2供給管2から送られた気体14が筒状体6の散気口9を介して槽11内の液体13中に散気されるように構成されている。
前記散気部3に備えられた筒状体6の形状としては、具体的には、例えば、円筒状、又は、中空四角柱状などの中空多角柱状等が挙げられる。
【0032】
前記散気部3は、散気装置10に1つ備えられていてもよく、又は、複数備えられていてもよい。
前記散気部3が散気装置10に複数備えられている場合、前記第2供給管は、送られてきた気体を複数の方向に分けるべく、分岐した構造を有するように構成され得る。そして、分岐した第2供給管の散気側にそれぞれ取り付けられた複数の散気部から、送られた気体が液体13中に散気される。
【0033】
前記散気部3は、図2に示すように、第2供給管2を土台5に固定する固定部材7、及び、槽11内で使用する状態にて第2供給管2を下方側から支持する支持部材8を備え得る。
【0034】
前記散気部3は、図2に示すように、前記第2供給管の散気側の先端に配されており、槽11内で使用する状態にて槽11の底面に沿って接するように形成された土台5を備えていることが好ましい。
斯かる土台5が槽11の底面に沿って接するように形成されていることにより、該土台5が槽11の底面と安定的に接することができるため、槽11内において散気部3が意図せず移動することが抑制される。従って、散気部3から気体14を安定的に散気することができる。
具体的には、前記土台5は、例えば、図2のZ−Z線断面図である図3(a)に示すように、気体供給側が平板状となるように形成され得る。
【0035】
前記土台5の先端側は、図2に示すように、槽11内で使用する状態にて先端に向けて反り上がるように形成されていることが好ましい。
また、前記土台5は、周方向に垂直な断面にて周端面が円弧状となるように形成されていることが好ましい。即ち、板状の前記土台5の周端面は、図2に示すように、R加工されていることが好ましい。
これらの構成により、後述するように、散気部3の槽11内外への出し入れをより容易に行うことができる。
【0036】
また、前記土台5は、槽11の底面上をより円滑に移動できるという点で、散気装置10を槽内で使用する状態において、槽11の底面との接触面積がより小さくなるように形成されていることが好ましい。即ち、図3(b)〜(d)に示すように、接触面積が小さくなるようにエッジを備えた構造を有することが好ましい。
具体的には、前記土台5は、例えば、気体供給側の下方面が凹状曲面となるように且つ第2供給管の延在方向に沿って槽11の底面と接するように形成されていることが好ましい。即ち、図3(b)に示すように、前記土台5は、前記第2供給管の延在方向に垂直な方向に切断した断面にて、気体供給側の下方面がアーチ状になるように形成されていること、換言すると、気体供給側の下方面が上方向に凸の円弧状となるように形成されていることが好ましい。このようにアーチ状の下面を有する土台5の端縁が第2供給管の延在方向に沿って槽11の底面と接していることにより、図3(b)に示すように、端縁がエッジとなり土台5の両端側で槽11の底面と接する。斯かる構成により、使用状態における前記土台5と槽11の底面との接触面積がより小さくなる。
【0037】
また、例えば、前記土台5は、図3(c)又(d)に示すように、板状に形成された板状部5aと、該板状部5aから下方側に突出し前記第2供給管の延在方向に沿って配された突出部5bとを備えていることが好ましい。具体的には、前記土台5は、前記第2供給管の延在方向に垂直な方向に切断した断面にて、例えば図3(c)に示すように、気体供給側の断面が略T字状になるように形成されていることが好ましい。又は、図3(d)に示すように、気体供給側の断面が略L字状になるように形成されていることが好ましい。
なお、アングル材の曲げ加工によって前記土台5をより容易に製作できるという観点から、前記土台5は、図3(d)に示すように、気体供給側の断面が略L字状に形成されていることがより好ましい。この場合、上方側から見た前記筒状体6の半分が、板状部5a及び突出部5bの接合部分の上方側に配され得る。
前記土台5は、前記突出部5bを備えていることにより、突出部5bがエッジとなって槽11の底面と接することから、槽11の底面と接する接触面積がより小さくなる。
【0038】
以上のように、前記土台5は、図3(b)〜(d)に示すように、槽11の底面との接触面積がより小さくなるように形成されていることにより、第2供給管の延在方向に沿った移動がより円滑になる。これにより、散気部3を槽11の内外へ出し入れするときに、土台5が第2供給管の延在方向に沿って槽11の底面に当接しながらより円滑に移動できる。
【0039】
前記散気装置10は、従来公知の材料を用いて、一般的な方法によって製造することができる。
【0040】
次に、本発明に係る散気装置の取り扱い方法の実施形態について説明する。
【0041】
本実施形態の散気装置の取り扱い方法は、前記散気装置10に対して、槽11内に使用可能に配置された前記散気装置10の第1供給管1及び第2供給管2を水平方向に移動させつつ第2供給管2の向きを垂直方向へと変え第2供給管2を上方に移動させることにより前記槽11の開口12を介して前記散気部3を槽外へ出す槽外取出工程を実施することによって、散気装置10に備えられた散気部3を槽11の外へ出すものである。
また、本実施形態の散気装置の取り扱い方法は、前記散気装置10に対して、前記槽11の外から槽11の開口12を介して前記散気部3を槽11内に入れ第1供給管1及び第2供給管2を下方に移動させつつ第2供給管2の向きを垂直方向から水平方向へと変えることにより前記散気装置10を使用可能に配置する槽内導入工程を実施することによって、散気装置10に備えられた散気部3を槽11の内へ入れるものである。
【0042】
図1に示すように、前記散気装置10(a)は、前記槽11内で使用する状態において、前記第1供給管が起立し且つ第2供給管が水平方向に延在して槽11内に配置されている。
【0043】
前記槽外取出工程においては、前記散気装置10(b)における前記第1供給管と前記第2供給管との間の角度が維持されているため、図1に示すように、前記第1供給管の上下方向の動きに追随して前記第2供給管が上下方向に動くことができる。従って、槽11内から散気部3を槽外へ出すべく、第1供給管を操作することによって、第2供給管及び散気部3を意図するように上下方向に移動させることができる。具体的には、第1供給管を水平方向に移動させつつ上昇させ徐々に水平方向へと倒すことにより、水平に延在していた第2供給管を水平方向に移動させつつ徐々に垂直方法へと起立させ、さらに上昇させることができる。
最後に、垂直方向に起立した第2供給管を散気部3と共に槽11の開口12から抜き出すことができる(散気装置10(c)にて図示)。
即ち、前記槽外取出工程においては、前記散気装置10を水平方向に移動させつつ上昇させ、例えば90°回転させることにより、散気部3を槽11内から取り出すことができる。
【0044】
一方、前記槽内導入工程においては、上記の順序を反対にして同様な操作をすることにより、散気部3を槽11内へ入れることができる。
【0045】
前記槽外取出工程又は前記槽内導入工程を実施することにより、前記槽11の開口12の面積が比較的小さくとも、散気部3を槽11の外へ出すこと、又は、槽11の内へ入れることが容易にできる。
【0046】
また、前記取り扱い方法においては、上述したように、前記散気部3の土台5の先端側が、槽11内で使用する状態にて先端に向けて反り上がるように形成されていることにより、より容易に前記散気部3を槽11内外へ出し入れすることができる。
詳しくは、散気部3を槽11外へ取り出すべく前記槽外取出工程を実施するとき、水平方向に配置された土台5が、気体供給側が上側となるように徐々に垂直方向へと向きを変える。即ち、水平方向に配置されていた土台5は、先端側の端縁が槽11の底面に当接しながら垂直方向に起立しつつ槽11の底面上を水平方向に移動し得る。このとき、土台5の下方側が槽11の底面上を摺動しても、土台5の先端側が上述のごとく反り上がるように形成されていることにより、土台5の先端が槽11の底面に引っかかることを抑制することができる。即ち、土台5の反り上がり部分の下方側面が凸状曲面であることにより、散気部3が槽11の底面上を円滑に移動することができる。従って、散気部3を槽11外へ取り出す前記槽外取出工程をより容易に実施することができる。
なお、順序を逆にして散気装置10を同様に取り扱うことにより、散気部3を槽11内へ入れるべく前記槽内導入工程をより容易に実施することができる。
【0047】
また、前記取り扱い方法においては、上述したように、前記土台5の周端面がR加工されていることにより、前記土台5が槽11の底面上を移動するときに土台5の端縁が槽11の底面に引っかかることを抑制することができる。即ち、周端面のR加工により、土台5が槽11の底面上を円滑に移動することができる。従って、前記槽外取出工程、及び、前記槽内導入工程をより容易に実施することができる。
【0048】
具体的には、前記取り扱い方法においては、例えば、汚泥が蓄積し得る槽11の内外へ散気部3を出し入れする場合、散気部3の移動に伴って汚泥が液体中に拡散し得るが、上記のごとく散気部3を槽11の底面上にて円滑に移動させることにより、汚泥の拡散を抑制することができる。さらに、槽11内に複数の散気装置10がある場合、それぞれの散気装置10を取り扱って各散気装置10の散気部3を出し入れすることができるため、複数の全ての散気装置10を取り扱うことを要せず、汚泥の拡散を抑制することができる。この結果、汚泥拡散の排水処理への悪影響を最小限にとどめることができる。
【0049】
このように、前記散気装置10の取り扱い方法においては、散気部3を槽内外へ出し入れするための手段がなくとも容易に散気部3を槽11内外へ出し入れすることができる。なお、上述した槽外取出工程又は槽内導入工程は、槽11内に液体13があっても、また、槽11内に液体13がなくても実施することができる。槽11内の液体を抜き出すことなく散気部3を槽11内外へ出し入れすることができるため、例えば、散気部3を修理又は交換すべく前記槽外取出工程及び前記槽内導入工程を実施するために、液体を槽11から抜き出す工程を必ずしも必要としない。そのため、散気部3の交換作業に要する工程を簡略化でき、散気部3を交換するための工期を短縮できるという利点がある。また、汚泥が蓄積し得る槽11において、散気部3を交換するための工期中に、堆積汚泥の処分を要しないという利点がある。さらに、液体を槽から抜き出す工程が不要であるため、微生物を利用した排水処理を槽11内で行う場合、排水処理に必要な微生物を槽11内にとどめて微生物の活性を維持したまま散気部3の交換が可能であり、散気部3を交換した後に排水処理を再度立上げることが極めて容易になるという利点もある。
【0050】
前記取り扱い方法においては、使用可能の状態に配置された散気装置10の散気部3の位置を変える配置変更工程を実施することができる。即ち、いったん散気部3を槽11内へ入れ使用可能の状態に配置しても、容易に前記散気部3の位置を変えることができる。詳しくは、上述したように、前記第1供給管の動きに追随して前記第2供給管が動き得るため、配置変更工程においては、いったん槽11内に散気部3を設置した後に、第1供給管を操作することにより第2供給管を移動させることができる。具体的には、例えば図4に示すように、第1供給管を中心軸として第1供給管の動きに追随させて第2供給管を回動させることにより、容易に前記散気部3の位置を変えることができる(矢印により図示)。
【0051】
上記実施形態の散気装置及び取り扱い方法は、上記例示の通りであるが、本発明は、上記例示の散気装置及び取り扱い方法に限定されるものではない。
また、一般の散気装置及び取り扱い方法において用いられる種々の態様を、本発明の効果を損ねない範囲において、採用することができる。
【0052】
例えば、上記実施形態では、第1供給管と第2供給管との間の角度を維持する角度維持部材を備えている散気装置について説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、例えば、第1供給管と記第2供給管との間の角度を維持しつつ第1供給管を中心軸として第2供給管が回動できるように構成された散気装置であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1:第1供給管、 2:第2供給管、 3:散気部、 4:角度維持部材、 5:土台、 5a:板状部、 5b:突出部、 10:散気装置、 11:槽、 12:開口、 13:液体(排水)、 14:気体(空気)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽内に収容される液体中に気体を散気するために用いられ、該気体を液体中に散気するために備えられた散気部が前記槽の上部にある開口を介して前記槽の内外へ出し入れ可能な散気装置であって、
前記槽内で使用する状態では、供給される気体を下方側へ送る第1供給管と、該第1供給管にて下方側へ送られた気体を水平方向へ送る第2供給管と、該第2供給管にて水平方向に送られた気体を液体中へ散気する前記散気部とを備えるように構成されており、
前記第1供給管と前記第2供給管との間の角度が維持されるように構成されていることを特徴とする散気装置。
【請求項2】
前記第1供給管と前記第2供給管とが、前記第1供給管の散気側の先端部及び第2供給管の気体供給側の先端部にて接合されている請求項1記載の散気装置。
【請求項3】
前記散気部が、前記第2供給管の散気側の先端に配されており、且つ槽の底面に沿って接するように形成された土台を備えており、該土台の先端側が、槽内で使用する状態にて先端に向けて反り上がるように形成されている請求項2記載の散気装置。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載された散気装置に対して、前記槽内で使用可能に配置された前記散気装置の第1供給管及び第2供給管を水平方向に移動させつつ第2供給管の向きを垂直方向へと変え第2供給管を上方に移動させることにより前記槽の開口を介して前記散気部を槽外へ出す槽外取出工程を実施することによって、散気装置に備えられた散気部を槽外へ出すことを特徴とする散気装置の取り扱い方法。
【請求項5】
前記請求項1〜3のいずれか1項に記載された散気装置に対して、前記槽の外から槽の開口を介して前記散気部を槽内に入れ第1供給管及び第2供給管を下方に移動させつつ第2供給管の向きを垂直方向から水平方向へと変えることにより前記散気装置を使用可能に配置する槽内導入工程を実施することによって、散気装置に備えられた散気部を槽内へ入れることを特徴とする散気装置の取り扱い方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200717(P2012−200717A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70598(P2011−70598)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(390015990)神鋼環境メンテナンス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】