説明

散気装置

【課題】本発明の散気装置によれば、散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく電動ファンの運転を持続させること。
【解決手段】送風用ファンを回転させるためのファンモータの回転が、回転期間と停止期間とを交互に有する間欠回転であって、回転期間が回転開始直後の高速回転期間とそれに続く低速回転期間とを有するものとなるように、モータ駆動回路の動作態様を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は散気装置に係り、例えば、家庭用芳香剤の室内散気等の用途に好適な電動ファン内蔵型の電池式の散気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用芳香剤の室内散気等の用途に好適な電動ファン内蔵型の電池式の散気装置は従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の散気装置は、気体放出口を備えたケースを有する。このケース内には、自然気化式の気体発生源と、気体発生源から気体放出口への気流を生じさせるための送風用ファンと、送風用ファンを回転させるためのファンモータと、ファンモータの電源となる乾電池と、乾電池からファンモータへの通電路に介在されるモータ駆動回路と、モータ駆動回路の動作態様を制御するための制御手段(マイコン等)と、が収容されている。
【0003】
自然気化式の気体発生源としては、例えば、芳香剤等の薬液が満たされた薬瓶内に薬液吸い上げ用芯材を差し込んだものが通常使用される。薬瓶内に満たされる薬液の量としては、最近の例では、少なくとも一ヶ月程度は散気継続が可能な程度の量に設定されることが多い。
【0004】
制御手段は、送風機を回転させるためのモータの回転が、回転期間と停止期間とを交互に有する間欠回転となるように、モータ駆動回路の動作態様を制御する。これは、少なくとも、単三乾電池2本程度の電源でも、一ヶ月程度は電池交換の必要なく、電動ファンの運転を持続できるように、省電力化を図ったものである。
【特許文献1】特開平7−33180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の電動ファン内蔵型の電池式の散気装置にあっては、単三乾電池2本程度の電源容量でも、少なくとも一ヶ月程度は電池交換の必要なく、電動ファンの運転を持続できるように、省電力化を図ってはいるものの、昨今の市場では、より長期間に亘って電池交換の必要なく電動ファンの運転を持続可能な散気装置が消費者により要望されている。
【0006】
しかしながら、消費電力低減のために、間欠回転運転に際する回転期間におけるファンモータの電流を単純に減少させたり、あるいは間欠回転運転に際する回転期間それ自体を単純に短縮した場合には、散気効果が著しく低下して実用に供し得ないことが判明した。
【0007】
この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく電動ファンの運転を持続可能とした散気装置を提供することにある。
【0008】
この発明のさらに他の目的並びに作用効果については、明細書の以下の記述を参照することにより、当業者であれば容易に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の散気装置は、気体放出口を備えたケースを有する。このケース内には、自然気化式の気体発生源と、気体放出口から臨む位置にあって、気体発生源から気体放出口への気流を生じさせるための送風用ファンと、送風用ファンを回転させるためのファンモータと、ファンモータの電源となる乾電池と、乾電池からファンモータへの通電路に介在されるモータ駆動回路と、モータ駆動回路の動作態様を制御するための制御手段と、が収容されている。
【0010】
制御手段は、送風用ファンを回転させるためのファンモータの回転が、回転期間と停止期間とを交互に有する間欠回転であって、回転期間が回転開始直後の高速回転期間とそれに続く低速回転期間とを有するものとなるように、モータ駆動回路の動作態様を制御するように構成されている。
【0011】
このような構成によれば、散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく、電動ファンの運転を持続可能となった。
【0012】
その理由は、本発明者の鋭意研究によれば、回転開始直後の高速回転期間を設けることにより、気流停止から気流再開への移行時間が短縮される結果、その後は、低速回転期間に切り替えても、気体の慣性の助けを借りて気流は維持されるため、高速回転期間と低速回転期間との全体として消費電力は従前の場合に比べて低減され、これにより散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく、電動ファンの運転を持続できたものと推定される。
【0013】
本発明の一実施形態においては、モータ駆動回路は、乾電池からファンモータへと給電する低抵抗給電路と、乾電池からファンモータへと給電する高抵抗給電路と、それらの給電路を択一的に導通させるスイッチ回路と、を有すると共に、制御手段は、回転期間のうちの高速回転期間に対応して、低抵抗給電路のみが導通されるようにスイッチ回路を制御し、回転期間のうちの低速回転期間に対応して、高抵抗給電路のみが導通されるようにスイッチ回路を制御し、さらに停止期間に対応して、いずれの給電路も導通されないようにスイッチ回路を制御する、ように構成してもよい。
【0014】
本発明の他の実施形態においては、モータ駆動回路は、乾電池からファンモータへと給電するためのスイッチ回路と、ファンモータの両端子間の電位差を検出する検出回路とを有する。
制御手段は、
回転期間の開始から所定時間(A)は、スイッチ回路を高速で断続することにより、ファンモータに対して所定デューティ比を有するパルス列状電圧を継続的に印加し、所定時間(A)が経過したのちは、スイッチ回路を遮断することにより、ファンモータに対する電圧印加を停止状態にし、ファンモータの慣性回転で生ずる誘起電圧を検出回路により監視し、監視される誘起電圧が所定のしきい値電圧(Vth)に到達するのを待機し、
誘起電圧が所定のしきい値(Vth)に到達したのちは、スイッチ回路を所定時間(B)だけ投入する第1動作とモータの誘起電圧がしきい値電圧(Vth)に到達するのを検出回路を介して監視する第2動作とを交互に繰り返す。
【0015】
上述の本発明並びにその実施形態においては、低速回転期間は複数の長さが用意されており、それらの一つを任意に選択可能とされていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の散気装置によれば、散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく電動ファンの運転を持続させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る散気装置の好適な一実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本発明散気装置の外観図が図1に、同散気装置の内部構造を示す図が図2にそれぞれ示されている。
【0018】
それらの図から明らかなように、この散気装置1は、直方体状のケース10を有する。ケース10の前面板11には、気体放出口16と、運転ランプ17と、薬液の残量のぞき窓14とが設けられ、気体放出口16の内部には送風用ファン15が臨むように構成されている。
【0019】
このように送風用ファン15を、気体放出口16に臨む位置に設けたのは、気体発生源から気体放出口16への気流を確実に形成するためと、散気装置が運転中であることを送風用ファン15の回転を通じて目で確認できるようにするためである。
【0020】
ケース10の右側面板12には3つのスライド操作位置を有するスライド操作子18が設けられている。このスライド操作子18は、図3を参照して詳述するように、3種類のモードの回転パターンを選択するために使用される。
【0021】
ケース10の内部には、吸い上げ用芯材20aを有する薬瓶20が設けられている。この吸い上げ用芯材20aを有する薬瓶20には、芳香剤等の薬液が満たされ、これにより自然気化式の気体発生源が構成される。
【0022】
ケース10内にあって、気体放出口16に臨む位置には、送風用ファン15が設けられる。図示例では、送風用ファン15としてはシロッコファンが使用されている。送風用ファン15の真下には、駆動軸を直立させた状態でファンモータ19が内蔵されており、ファンモータ19が回転すると、これに連れて送風用ファン15が回転駆動される。その結果、気体発生源である芯材20aから気体放出口16へ向かう気流が形成される。なお、運転ランプ17は、装置が運転状態にあるときに、所定周期で点滅を繰り返すようになっている。
【0023】
図示しないが、ケース10内には、回路基板が装着されており、この回路基板上には後に図4または図7を参照して説明するように、ワンチップマイクロコンピュータで構成された回路装置が搭載されている。この回路装置は、図示しない乾電池(例えば、単三乾電池2本)からなる電源で動作する。
【0024】
また、この回路装置には、後に詳細に説明するように、乾電池からモータへの通電路に介在されるモータ駆動回路(図10参照)と、モータ駆動回路の動作態様を制御するための制御手段(マイコン)とが含まれている。
【0025】
そして、制御手段は、送風用ファンを回転させるためのファンモータの回転が、回転期間と停止期間とを交互に有する間欠回転であって、回転期間が回転開始直後の高速回転期間とそれに続く低速回転期間とを有するものとなるように、モータ駆動回路の動作態様を制御するように構成されている。
【0026】
ファンモータの回転パターンの説明図が図3に示されている。この散気装置1には、同図(a)〜同図(c)に示されるように、3種類の間欠回転パターンが用意されている。それらの回転パターンは、同一の周期(T0)を有すると共に、それぞれ固有の回転期間(T1,T2,T3)を有する。加えて、各回転期間(T1,T2,T3)は、回転数(N2)を有する高速回転期間(A)と回転数(N1)を有する低速回転期間(T1−A、T2−A、T3−A)とを有する。図から明らかなように、高速回転期間(A)は回転期間(T1,T2,T3)の開始直後に位置づけられている。
【0027】
本発明散気装置は以上のように構成されているため、散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく、電動ファンの運転を維持することが可能となった。
【0028】
その理由としては、本発明者等の鋭意研究によれば、回転開始直後の高速回転期間を設けることにより、気流停止から気流再開への移行期間が短縮される結果、その後は、低速回転期間に切り替えても、気体の慣性の助けを借りて気流は維持されるため、高速回転期間と低速回転期間との全体を通じての消費電力は従前の場合に比べて低減され、これにより散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく、電動ファンの運転を持続できたものと推定される。
【0029】
次に、以上述べたファンモータの回転パターンを実現するための具体的回路装置について説明する。回路装置のハードウェア構成図(第1実施形態)が図4に、同回路装置のソフトウェア構成図(第1実施形態)が図5に、ファンモータの印加電圧と回転数との関係を示す説明図が図6にそれぞれ示されている。
【0030】
図4に示されるように、この回路装置は、ワンチップマイクロコンピュータであるCPU100を中心として構成されている。CPU100の電源としては、乾電池(例えば、単三乾電池2本)101が使用される。
【0031】
CPU100は、マイクロプロセッサ、各種システムプログラムを格納するROM、ワーキングエリア等として使用されるRAM等のコンピュータとしての主要構成要素を含むと共に、複数の入力ポートまたは出力ポートを有する。
【0032】
ポートP00は運転ランプ17をオンオフ制御するための出力ポートである。このポートP00と乾電池101の低側電位(VSS)との間には、抵抗素子103と運転ランプを構成するLED102とが直列接続される。
【0033】
ポートP10,P11,P12は、スライド操作子18の各スライド操作位置を検出するための入力ポートであって、これらの入力ポートP10,P11,P12はそれぞれスライド操作子18の各スライド位置選択端子に接続される。
【0034】
ポートP30,P31及びポートP20〜P23はいずれも出力ポートである。これら出力ポートを構成する駆動回路としては、図10に示されるように、極めて一般的であるところのPチャンネル型MOSトランジスタ(TR1)とNチャンネル型MOSトランジスタ(TR2)とを相補接続してなるトライステート回路が使用されている。
【0035】
このトライステート回路は、電源の高側電位(VDD)と電源の低側電位(VSS)との間に接続されている。そのため、トランジスタTR1をオン、トランジスタTR2をオフすると、出力端子(OUT)には高側電位(VDD)が現れる。また、トランジスタTR1をオフ、トランジスタTR2をオンさせると、出力端子(OUT)には低側電位(VSS)が現れる。さらに、両トランジスタTR1,TR2をいずれもオフさせた状態では、出力端子(OUT)は両電位(VDD,VSS)から浮いた状態となる。
のちに詳述する第1実施形態では、トランジスタTR2を常時OFF、かつトランジスタTR1をON/OFFすることでスイッチ回路を実現している。もし、回路基板や電池接続の関係で、ファンモータを電源の高側電位(VDD)と出力端子(OUT)との間に接続する場合には、トランジスタTR1を常時OFFとし、トランジスタTR2をON/OFFすれば同様なスイッチ回路が得られることは言うまでもない。
【0036】
図4に戻って、ファンモータ19の一方の端子は電源の低側電位(VSS)に接続されると共に、他方の端子は2系統に分岐され、一方は抵抗素子105を介してポートP30,P31に接続され、他方は抵抗素子105を経由することなく直接にポートP20〜P23に接続される。なお、2個の出力ポートP30,P31を、または4個の出力ポートP20〜P23を並列に使用しているのは、電流容量を確保するための工夫である。
【0037】
そして、ポートP30,P31を使用することによって、電源からファンモータ19へ至る高抵抗給電路が形成され、他方ポートP20〜P23を使用することによって、電源からファンモータ19へ至る低抵抗給電路が形成される。その他、符号104は水晶振動子であって、CPU100の基準クロックを生成するために使用される。
【0038】
次に、図5に示されるフローチャートを参照しながら、図4に示されるCPU100の動作について説明する。図5のフローチャートに示される処理は、乾電池101をケースにセットすることにより開始される。
【0039】
同図において、処理が開始されると、まずステップ501の処理が実行されて、ポートP20〜P23が能動化される一方、ポートP30,P31については不能化される。これにより、ポートP20〜P23からファンモータ19へと直接に給電する低抵抗給電路が選択される。
【0040】
この状態では、図6(a)に示されるように、時刻t0以降、ファンモータに対して符号aで示される高電圧(VDD)が印加される。これにより、図6(b)に示されるように、時刻t0以降、ファンモータ19の回転数は急激に上昇する。
【0041】
その後、一定時間(A)が経過して時刻t1に達すると(ステップ502YES)、ステップ503の実行により、ポートP30,P31が能動化される一方、P20〜P23は不能化される。これにより、電源の高側電位VDDから抵抗素子105を経由してファンモータ19へ通電する高抵抗給電路が形成される。
【0042】
この状態では、ファンモータ19に供給される電圧は、図6(a)に示されるように、時刻t1において、高電圧(a)から低電圧(b)へと切り替えられる。これにより、同図(b)に示されるように、ファンモータの回転数は回転数(N2)から回転数(N1)へと急激に減少し、以後回転数(N1)の状態が維持される。
【0043】
しかる後、設定された回転時間が経過して時刻(t2)になると(ステップ504YES)、ステップ505の実行により、出力ポートP30,P31及び出力ポートP20〜P23はいずれも不能化されて、ファンモータ19は電源から切り離された状態となる。すると、図6(a),(b)に示されるように、時刻t2以降、ファンモータの慣性回転数の低下と共に、ファンモータの誘導起電圧もなだらかなカーブを描いて低下することとなる。
【0044】
以後、設定された停止時間が経過するごとに(ステップ506YES)、以上説明したステップ501〜505が繰り返し実行される。その結果、先に図3を参照して説明したように、高速回転期間(A)及び低速回転期間(T1−A、T2−A、T3−A)を有する間欠回転パターンが実現される。
【0045】
なお、第1モード〜第3モードの切り替えは、ポートP10〜P12の検出入力に応じて、予め用意された3種類の設定時間のいずれかを選択することによって実現することができる。
【0046】
次に、電気回路装置の別の例について説明する。電気回路装置のハードウェア構成図(第2実施形態)が図7に、同装置のソフトウェア構成図(第2実施形態)が図8に、ポートP50の電圧とファンモータの回転数との関係を示す説明図が図9にそれぞれ示されている。
【0047】
図7に示されるように、ハードウェア構成図に関して、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、ポートP50の構成及びファンモータ19への給電路に抵抗素子が介在されていない点である。なお、その他の構成については第1実施形態と同様であるから、同符号を付して説明は省略する。
【0048】
ポートP50はファンモータ19の端子電圧をモニタするための入力用ポートとして構成されている。一方、ポートP40〜P43は、第1実施形態の図4におけるポートP20〜P23と同様な出力用ポートとされ、それぞれのドライブ素子としては図10に示されるトライステート回路が採用され、トランジスタTR2を常時OFFとし、かつトランジスタTR1をON/OFFすることでスイッチ回路を実現している。もし、回路基板や電池接続の関係で、ファンモータを電源の高側電位(VDD)と出力端子(OUT)との間に接続する場合は、トランジスタTR1を常時OFFとし、かつトランジスタTR2をON/OFFすれば、同様なスイッチ回路が得られることは言うまでもない。またそれらの出力ポートP40〜P43からは図11に示される所定デューティ比を有するファンモータ駆動用パルス列が出力される。
【0049】
次に、図8のフローチャート及び図9の波形図を参照しつつ、図7に示されるCPUの動作について説明する。
【0050】
図8において処理が開始されると、まずステップ801が実行されて、ポートP40〜P43が能動化され、これらのポートP40〜P43から図11に示されるファンモータ駆動用パルス列が出力されて、ファンモータ19の回転数は、図9(b)に示されるように、時刻t0以降、回転数(N2)まで急激に上昇する。
【0051】
その後、一定時間(A)が経過すると(ステップ802YES)、ステップ803が実行されて、ポートP40〜P43のそれぞれを構成するトライステート回路が、両トランジスタTR1,TR2がいずれもオフされた状態となり、ファンモータ19は電源から切り離されて慣性で回転する。この時慣性回転で生ずる誘起電圧はポートP50においてモニタされる。
【0052】
図9に示されるように、一定時間(A)が経過した時刻(t1)以降、ファンモータ19の端子電圧は慣性回転の低下とともに低下していく。その後、このポートP50でモニタされる電圧の値が所定のしきい値(Vth)に到達するとステップ804の判定処理において、モータの逆起電圧(ファンの回転数)が下がったと判定され(ステップ804YES)、再度ポートP40〜P43が能動化され、図11に示されるファンモータ駆動パルス列が一定時間(B)だけ供給される(ステップ805)。
【0053】
一定時間(B)が経過した時点で、ポートP40〜P43は再び不能化されて、ファンモータ19はそれらのポートから切り離される。以後、予め設定された回転時間が経過して時刻(t2)が到来するまで、所定時間(B)の電圧印加(ステップ805)と電圧の印加の停止(ステップ803)とが交互に繰り返され、これにより図9(b)に示されるように、モータの回転数はN1に維持される。
【0054】
しかる後、設定された回転時間が経過して時刻t2に達すると(ステップ806YES)、ステップ807が実行されて、ポートP40〜P43はいずれもモータ100から切り離されて、モータに対する電圧の印加は停止する(ステップ807)。
【0055】
以後、設定された停止時間が経過するごとに(ステップ808YES)、以上説明したステップ801〜807が繰り返されることによって、図3に示されるファンモータの回転パターンが実現されることとなる。
【0056】
この第2実施形態にあっては、ファンモータ19の電流を切り替えるについて、抵抗素子を用いていないため、抵抗による無駄な電力損失を回避して、より一層の低消費電力化を実現することができる。また、ソフトウェアを簡素化する意味で、低速回転時の一定時間(B)は、一定時間(A)のときに出力する図11の1パルスの幅(第2実施形態の場合は18ms)と同じ時間に設定することも出来る。
【0057】
また、この第2実施形態においても、スライド操作子18の操作位置に応じて、図3に示される第1モード〜第3モードの回転パターンを選択できることは勿論である。
【0058】
また、ケース10の外表面に設けられた運転ランプ17は、図5のフローチャートのステップ500または図8のフローチャートのステップ800の処理を実行することによって、決められたパターンで点滅動作を継続するから、夜間などにおいても、散気装置が稼働中であることを利用者に報知することができる。
【0059】
また、以上の実施形態においては、送風用ファン15としてシロッコファンを用いられているため、送風能力が高いことに加え、低速回転においても羽根の枚数が多いことから、利用者に対して比較的高速回転しているように印象づけることができ、低消費電力化のために送風用ファンを低速回転させても、利用者に違和感を与えないという利点もある。
【0060】
殊に、この実施形態においては、送風用ファン15であるシロッコファンが気体放出口16の内部に露出するため、利用者は散気装置1が稼働中であるか電池切れで停止しているかを送風用ファンの動作で視覚的に確認することができ、加えて本発明にあっては、回転開始直後の回転数が高速回転であることから、利用者に対して長期間に亘り確実に稼働している印象を与えるという利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、散気効果をさほど低下させることなく、ファンモータによる消費電力を低下させて、より長期間に亘って電池交換の必要なく電動ファンの運転を持続可能とした散気装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明散気装置の外観図である。
【図2】本発明散気装置の内部構造を示す図である。
【図3】ファンモータの回転パターンの説明図である。
【図4】ハードウェア構成図(第1実施形態)である。
【図5】ソフトウェア構成図(第1実施形態)である。
【図6】ファンモータの印加電圧と回転数との関係を示す説明図である。
【図7】ハードウェア構成図(第2実施形態)である。
【図8】ソフトウェア構成図(第2実施形態)である。
【図9】ポートP50の電圧とファンモータの回転数との関係を示す説明図である。
【図10】CPUの出力ポートの回路構成図である。
【図11】ファンモータ駆動用パルス列の説明図である。
【符号の説明】
【0063】
1 散気装置
10 ケース
11 前面板
12 右側面板
13 上面板
15 送風用ファン
16 気体放出口
17 運転ランプ
18 スライド操作子
19 ファンモータ
20 薬瓶
20a 芯材
100 CPU
101 乾電池
102 LED
103 抵抗素子
104 水晶振動子
105 抵抗素子
P00 運転ランプ用出力ポート
P10,P11,P12 スライド操作子用入力ポート
P20〜P23 低抵抗給電路選択用出力ポート
P30,P31 高抵抗給電路選択用出力ポート
P40〜P43 給電用出力ポート
P50 モータ電圧監視用入力ポート
Vdd 電源の高側電位
Vss 電源の低側電位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体放出口を有するケース内に、
自然気化式の気体発生源と、
気体放出口から臨む位置にあって、気体発生源から気体放出口への気流を生じさせるための送風用ファンと、
送風用ファンを回転させるためのファンモータと、
ファンモータの電源となる乾電池と、
乾電池からファンモータへの通電路に介在されるモータ駆動回路と、
モータ駆動回路の動作態様を制御するための制御手段と、
を収容してなり、
制御手段は、
送風用ファンを回転させるためのファンモータの回転が、回転期間と停止期間とを交互に有する間欠回転であって、回転期間が回転開始直後の高速回転期間とそれに続く低速回転期間とを有するものとなるように、モータ駆動回路の動作態様を制御するものである、
ことを特徴とする散気装置。
【請求項2】
モータ駆動回路は、
乾電池からファンモータへと給電する低抵抗給電路と、
乾電池からファンモータへと給電する高抵抗給電路と、
それらの給電路を択一的に導通させるスイッチ回路と、を有すると共に、
制御手段は、
回転期間のうちの高速回転期間に対応して、低抵抗給電路のみが導通されるようにスイッチ回路を制御し、
回転期間のうちの低速回転期間に対応して、高抵抗給電路のみが導通されるようにスイッチ回路を制御し、さらに
停止期間に対応して、いずれの給電路も導通されないようにスイッチ回路を制御するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の散気装置。
【請求項3】
モータ駆動回路は、
乾電池からファンモータへと給電するためのスイッチ回路と、ファンモータの両端子間の電位差を検出する検出回路とを有すると共に、
制御手段は、
回転期間の開始から所定時間(A)は、スイッチ回路を高速で断続することにより、ファンモータに対して所定デューティ比を有するパルス列状電圧を継続的に印加し、所定時間(A)が経過したのちは、スイッチ回路を遮断することにより、ファンモータに対する電圧印加を停止状態にし、ファンモータの慣性回転で生ずる誘起電圧を検出回路により監視し、監視される誘起電圧が所定のしきい値電圧(Vth)に到達するのを待機し、
誘起電圧が所定のしきい値(Vth)に到達したのちは、スイッチ回路を所定時間(B)だけ投入する第1動作とモータの誘起電圧がしきい値電圧(Vth)に到達するのを検出回路を介して監視する第2動作とを交互に繰り返す、
ことを特徴とする請求項1に記載の散気装置。
【請求項4】
低速回転期間は複数の長さが用意されており、それらの一つを任意に選択可能とされている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の散気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−150317(P2006−150317A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348764(P2004−348764)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(302032107)シンコー リミテッド (2)
【出願人】(303006743)株式会社マルマンプロダクツ (5)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)
【Fターム(参考)】