説明

散水スクリーン装置

【課題】スクリーンの着脱操作及びスクリーンの周辺に配置された機構部のメンテナンス等を容易に行うことができる散水スクリーン装置を提供する。
【解決手段】フレーム21に平行に支持されるとともに、モーター33により回転される回転軸30,31間にスクリーン32を張設する。そのスクリーン32に対して散水するための散水装置44を設ける。スクリーン32を帯状体61により構成するとともに、その帯状体61の両端をファスナ62によって連結して、スクリーン32を全体として環状となるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、屋外や屋内においてスクリーンに対して散水を行い、水の蒸発にともなう気化熱や輻射冷熱により屋外や屋内の空間を冷却するようにした散水スクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の空間を冷却するための技術としては、例えば、水を微細な霧状にして空中に噴霧するミスト散布が知られている。また、多孔質の舗装ブロック、その下部の砂層あるいは路盤等に水を保持させ、その水を舗装ブロック材料の毛細管作用により、舗装ブロックの表面にしみ出させて、打ち水効果を得るようにした舗装路も知られている。
【0003】
しかしながら、ミスト散布では、風の影響を受けやすく、風によってミストが拡散して冷却効果が著しく低下する。また、打ち水効果を狙った舗装路においては、舗装ブロックの表面にしみ出した水が、その気化熱により専ら熱容量の大きな舗装ブロックの温度を低減させるのみある。従って、前記の両従来技術ともに、屋外の空間を効果的に冷却することはできなかった。
【0004】
これに対し、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されるような冷却用のカーテンまたは網状遮蔽体も、従来から提案されている。特許文献1に記載の従来構成においては、屋外に吊り下げたカーテンの上部に水が供給されて、カーテン全体が湿潤される。そして、カーテン全体から水が蒸発されて、その気化熱により周囲空気が冷やされるようになっている。
【0005】
また、特許文献2に記載の従来構成においては、ブラインドやシャッターとして用いられる網状遮蔽体の上部に、水が供給されることにより、網状遮蔽体の全体が湿潤される。そして、網状遮蔽体の全体から水が蒸発されて、その気化熱により周囲空気が冷やされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3034820号公報
【特許文献2】特開2008−25142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のような構成において、カーテンや網状遮蔽体の表面に何らかの表示を施して、カーテンや網状遮蔽体をディスプレー機能が備えられたスクリーンとして用いることが考えられる。このような場合、散水ノズルを隠蔽したほうが外観上好ましい。従って、スクリーンを環状にすれば、その内部に散水ノズルを隠蔽できて好ましい。しかしながら、このように構成した場合は、装置に対するスクリーンの着脱において装置の分解等が必要になって、きわめて煩雑である。
【0008】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。この発明の目的は、スクリーンの着脱が容易になって、メンテナンス等を容易に行うことができる散水スクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、フレームに平行に支持されるとともに、モーターにより回転される回転軸間にスクリーンを張設し、そのスクリーンに対して散水するための散水装置を設けた散水スクリーン装置において、前記スクリーンを帯状体により構成するとともに、その帯状体の両端をファスナによって開放可能に連結して、スクリーンを全体として環状に構成したことを特徴としている。
【0010】
従って、この発明においては、モーターによって回転軸が回転されることにより、回転軸間に張設されたスクリーンが周回移動される。それとともに、散水装置によりスクリーンに対して散水が行われて、スクリーンの全面が湿潤される。そして、スクリーンの周回にともない、スクリーンに接触する空気により水が気化されて、空気から気化熱が奪われる。また、これとともに、周囲に対して輻射冷熱が与えられる。よって、広い面積のスクリーンの全面に水を適切に保持させることができて、周囲を効果的に冷却できる。
【0011】
しかも、この発明においては、環状のスクリーンが周回される。このため、スクリーンの表面に表示を施した場合、その表示を移動させることができて、高いディスプレー効果を得ることができる。しかも、スクリーンが環状に形成されているため、その内部に散水ノズル等を配置すれば、その散水ノズル等を隠蔽でき、良好な外観を得ることができる。加えて、スクリーンは帯状体の両端をファスナによって連結することにより全体として環状をなすように構成されている。このため、スクリーンを回転軸間に張設状態で取り付ける場合、あるいはスクリーンを交換等のために回転軸間から取り外す場合には、ファスナを開放させることにより、スクリーンを1枚の帯状体として取り扱うことができる。よって、スクリーンの着脱操作を容易に行うことができる。メンテナンスを行う場合、その作業を楽に行うことができる。
【0012】
また、前記の構成において、前記ファスナをスライドファスナにより構成するとよい。このように構成した場合には、市販のスライドファスナを使用して、スクリーンを安価に製造することができる。
【0013】
さらに、前記の構成において、前記フレームに、スクリーンの周回にともなってスクリーンの表面をその全幅にわたって清掃するための清掃手段を設けるとよい。このように構成した場合には、スクリーンの周回移動時に、清掃手段によりスクリーンの表面を清掃することができるとともに、ファスナを清掃することもできる。よって、スクリーンの着脱時には、ファスナの開閉操作を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明によれば、スクリーンの着脱を容易に行ってメンテナンス等を楽に行うことができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の散水スクリーン装置を示す斜視図。
【図2】図1の散水スクリーン装置の要部縦断面図。
【図3】図2の3−3線における部分拡大断面図。
【図4】図2の4−4線における部分拡大断面図。
【図5】図1の散水スクリーン装置におけるスクリーンを拡大して示す斜視図。
【図6】図5のスクリーンを展開して示す要部斜視図。
【図7】(a)は第2実施形態のスクリーンを展開状態で示す要部斜視図、(b)はスクリーンの簡略側面図。
【図8】第3実施形態の散水スクリーン装置を示す要部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した散水スクリーン装置の第1実施形態を、図1〜図7に従って説明する。はじめに、この実施形態の散水スクリーン装置の基本的構成を図1〜図4に基づいて説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、この実施形態の散水スクリーン装置は、箱状の支持台28と、その支持台28の上面に設置されたフレーム21を備えている。前記フレーム21は、左右一対の上下に平行に延びる支柱22,23と、両支柱22,23の上端部間に架設された上枠部24と、両支柱22,23の下端部間に架設された下枠部25とにより、全体として四角枠状をなすように構成されている。なお、ここで、左右は、便宜上図面における左右を指すものであって、限定されるものではない。
【0018】
図4に示すように、前記両支柱22,23は断面C型状のステンレス鋼材により構成され、その開口部を外側にした状態で配置されている。支柱22,23の外側開口部には、カバー26が複数のネジ27により着脱可能に取り付けられている。図3に示すように、上枠部24は断面C型状のステンレス鋼材により構成され、その開口部を下側にした状態で配置されている。下枠部25は断面C型状のステンレス鋼材により構成され、その開口部を上側にした状態で配置されている。そして、この下枠部25により、後述する散水装置44から散水された水を受けるための樋部材が構成されている。
【0019】
前記両支柱22,23の下端部には、取付板部22a,23aが溶接固定されている。そして、図3に示すように、この支柱22,23の取付板部22a,23aが複数のボルト29により支持台28の上面に取り付けられることにより、フレーム21の下部と支持台28とが着脱可能に固定されている。
【0020】
前記上枠部24内において両支柱22,23の上端部間には、円筒状の上部回転軸30が回転可能に、かつ水平面内に位置するように支持されている。下枠部25内において両支柱22,23の下端部間には、円筒状の下部回転軸31が回転可能に、かつ上部回転軸30と平行に延びるように支持されている。両回転軸30,31間には、環状のスクリーン32が張設されている。
【0021】
前記左側支柱22の上端内側面には、モーター33がそのほぼ全体を上部回転軸30の内部に収容した状態で支持されている。そして、このモーター33によって上部回転軸30が回転されることにより、スクリーン32が両回転軸30,31間で周回される。両回転軸30,31間において両支柱22,23の内側面には、それぞれ一対の断面L字状の案内板54が上下方向へ平行に延びるように固定されている。そして、これらの案内板54がスクリーン32の左右両端縁の裏面側(内面側)に係合することにより、スクリーン32の周回移動が案内される。スクリーン32は、両回転軸30,31の両端フランジ部55によって左右の幅端部が位置決めされ、スクリーン32の左右位置が規制される。
【0022】
前記左側支柱22の外側面には、操作パネル34が設けられている。この操作パネル34上には、装置の運転を自動と手動とに切り換えるための切換つまみ35、運転の開始ボタン36、運転の停止ボタン37、スクリーン32を正転させるための正転ボタン38、スクリーン32を逆転させるための逆転ボタン39、装置の運転を非常停止させるための非常停止ボタン40が設けられている。
【0023】
図4に示すように、前記左側支柱22の内部には、モーター33及び操作パネル34にそれぞれ対する駆動電力供給用及び制御用の2ラインの給電線41が収容されている。支持台28の左側面には前記両給電線41のコネクタ42が設けられている。そして、この両コネクタ42にそれぞれ外部給電線43が接続されることにより、給電線41を介してモーター33及び操作パネル34に給電されるようになっている。
【0024】
前記スクリーン32の周回域内において、両支柱22,23間には散水装置44が支持されている。この散水装置44は、両支柱22,23間に架設されたステンレス鋼材よりなる四角パイプ状の導水管45と、その導水管45の外周面に長さ方向において所定間隔おきに突設された複数のミスト噴射ノズル46とにより構成されている。右側支柱23の内部には、散水装置44の導水管45に水を供給するための給水ホース47が収容されている。前記支持台28の右側面には接続口48が設けられ、給水ホース47の下端部が支持台28内において接続口48に接続されている。また、この接続口48には、図示しない一般上水道から延びる外部給水ホース49が接続される。
【0025】
そして、前記右側支柱23内において給水ホース47に接続された図示しない電磁バルブが開放されることにより、散水装置44の導水管45内に水が供給される。このため、各ミスト噴射ノズル46からスクリーン32の前面の裏面側に対して水がミスト状に散布される。そして、この水が気化されることにより、空気から気化熱が奪われて、周囲の空気が冷却される。また、スクリーン32の表面が冷熱輻射面になり、周囲に対して輻射冷熱効果が与えられる。
【0026】
前記フレーム21の下枠部25の左端下部には、排水部としての排水ホース50がジョイント51を介して接続されている。前記支持台28の左側面には接続口52が設けられ、排水ホース50の下端部が支持台28内において接続口52に接続されている。また、この接続口52には、図示しない排水路等に延びる排水延長ホース53が接続される。そして、前記散水装置44からスクリーン32に散水されて、そのスクリーン32の表面あるいは裏面に沿って流下する水が、樋部材としての下枠部25内に回収された後、排水ホース50を介して排出される。
【0027】
次に、前記スクリーン32の構成について詳細に説明する。
図5及び図6に示すように、スクリーン32は、塩化ビニール等の耐水性に優れた合成樹脂製の経糸と緯糸とからなる1枚の帯状体61により構成されている。この帯状体61の経糸と緯糸との間には、0.3〜3mm程度の細隙が形成されている。帯状体61の長さ方向(周回方向)の両端縁間には、ファスナ62が設けられている。そして、このファスナ62によって帯状体61の長さ方向の両端縁が連結され、スクリーン32が全体として環状をなすように構成されている。
【0028】
図5及び図6に示すように、前記ファスナ62はスライドファスナ62Aにより構成されている。このスライドファスナ62Aは、帯状体61の一端縁に配列された多数の務歯63と、その務歯63と係脱可能に対応するように、帯状体61の他端縁に配列された多数の務歯64と、両務歯63,64を結合・分離させるためのスライダ65と、一端部において連結分離可能なリテーナ68を備えている。スライドファスナ62Aの務歯63,64,スライダ65及びリテーナ68は、合成樹脂により形成されている。
【0029】
一方、図3に示すように、前記フレーム21における下枠部25の開口両側縁には、一対の清掃手段としての清掃ブラシ66がブラシホルダ67を介して取り付けられている。各清掃ブラシ66は、スクリーン32の表面全体に接触するように、スクリーン32の幅方向の全長にわたって延長されている。そして、モーター33によりスクリーン32が両回転軸30,31間で周回移動されるとき、各清掃ブラシ66によりスクリーン32の表面がその全幅にわたって清掃される。この場合、スクリーン32上のスライドファスナ62Aも、各清掃ブラシ66により全長にわたって清掃される。
【0030】
次に、前記のように構成された散水スクリーン装置の動作を説明する。
さて、この散水スクリーン装置が屋外等に設置された状態で、操作パネル34上の運転開始ボタン36がオンされると、モーター33により上部回転軸30が回転されて、両回転軸30,31間に張設されたスクリーン32が周回移動される。それとともに、散水装置44のミスト噴射ノズル46からスクリーン32の裏面側に水がミスト状に散布されて、スクリーン32の全面が湿潤される。そして、スクリーン32の周回にともない、スクリーン32に接触する空気によって水が気化されて、その空気から気化熱が奪われることにより、空気が冷却される。それとともに、スクリーン32の表面が冷熱輻射面になり、スクリーン32からその周囲に対して輻射冷熱が与えられる。
【0031】
この場合、前記散水装置44のミスト噴射ノズル46からスクリーン32に散布されて、そのスクリーン32の面に沿って流下する水は、樋部材としての下枠部25内に回収された後、排水ホース50を介して外部に排出される。よって、よって、スクリーン32から流下する水が散水スクリーン装置の設置個所の周囲に溜まったり、広まったりして、歩行等に支障をきたすことを回避できる。
【0032】
また、前記スクリーン32の交換等において、スクリーン32を両回転軸30,31間に対して脱着する場合には、スライドファスナ62Aを開放方向に移動させると、ファスナ62が開かれ、そしてリテーナ68を分離させれば、図6に示すように、スクリーン32が1枚の帯状体61となる。このため、スクリーン32が環状に構成されていても、回転軸30,31をフレーム21の支柱22,23から取り外すという面倒な作業を行うことなく、スクリーン32を1枚の帯状体61として取り扱って、両回転軸30,31に対して容易に脱着することができる。これとは逆に、スクリーン32が環状で、1枚の帯状体にできない場合には、スクリーン32の交換等のメンテナンスに際して、スクリーン32を取り外したりする場合、両回転軸30,31を左右の支柱22,23から外したりする必要があり、きわめて煩雑である。
【0033】
従って、前記スクリーン32の周回域内に配置された散水装置44や回転軸30,31等の機構部のメンテナンスを行う場合にも、スライドファスナ62Aを開放移動させるとともに、リテーナ68を分離させることにより、その機構部の周辺が簡単に露出される。よって、散水装置44や回転軸30,31等の機構部のメンテナンスを、スクリーン32に邪魔されることなく容易に行うことができる。
【0034】
従って、この実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
(1) この実施形態においては、モーター33による回転軸30の回転にともなって、スクリーン32が回転軸30,31間で周回移動されながら、散水装置44からスクリーン32に対して散水されるようになっている。このため、広い面積のスクリーン32に対して、その全面に水を適切に供給させることができる。よって、スクリーン32の全面から水を効率良く気化させることができて、空気から気化熱を有効に奪うとともに、周囲に輻射冷熱を供給することが可能になり、高い冷却能力を得ることができる。
【0035】
(2) この実施形態においては、スクリーン32を環状に構成している。このため、スクリーン32の前後を表示面とすることができ、そのスクリーン32を周回移動させることにより、前後の表示を入れ換えて表示効果を高めることができる。
【0036】
(3) この実施形態においては、スクリーン32を環状に構成し、その内部に散水装置44等を配置した、このため、その散水装置44が外部に露呈せず、散水スクリーン装置としての外観を向上できる。
【0037】
(4) この実施形態においては、スクリーン32が帯状体61により構成されるとともに、その帯状体61の両端をファスナ62によって連結することにより全体として環状をなすように構成されている。このため、スクリーン32を交換時等において回転軸30,31に対して脱着する場合には、ファスナ62を開放させることにより、スクリーンを1枚の帯状体61として取り扱うことができる。よって、スクリーン32が環状に構成されていても、その脱着作業を容易に行うことができる。しかも、スクリーン32の周回域内に配置された回転軸30,31や散水装置44等の機構部のメンテナンスを行う場合にも、ファスナ62を開放させることにより、その機構部の周辺が露出されて、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0038】
(5) この実施形態においては、ファスナ62がスライドファスナ62Aにより構成されている。このため、市販のスライドファスナを使用することができて、スクリーン32を安価に製造することができる。
【0039】
(6) この実施形態においては、フレーム21の下枠部25に、スクリーン32の周回にともなってスクリーン32の表面をその全幅にわたって清掃するための清掃ブラシ66が設けられている。このため、スクリーン32の周回移動時に、清掃ブラシ66によりスクリーン32の表面を清掃することができる同時に、ファスナ62を清掃することもできる。よって、ファスナ62がスライドファスナ62Aにより構成されている場合、ファスナ62の務歯63,64間の隙間に対するゴミの沈着等を防止できる。従って、スクリーン32の着脱に際して、スライドファスナ62Aのスライダ65を軽く開閉操作することができるとともに、開閉にともなうファスナ損傷等を防止できる。
【0040】
(7) この実施形態においては、下枠部25の開口縁に設けられた清掃ブラシ66によりスクリーン32が清掃される。このため、清掃ブラシ66によって清掃された後の水がスクリーン32上を落下することがなく、スクリーン32の汚れを遅らせることができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した散水スクリーン装置の第2実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0042】
この第2実施形態においては、図7(a)(b)に示すように、スクリーン32の帯状体61の両端縁間を連結するためのファスナ62が面ファスナ62Bにより構成されている。この面ファスナ62Bは、帯状体61の一端縁に設けられた帯状の第1ファスナ片71と、その第1ファスナ片71に係脱可能に対応するように、帯状体61の他端縁に設けられた帯状の第2ファスナ片72とを備えている。そして、両ファスナ片71,72の係合によって帯状体61の両端縁が連結されることにより、スクリーン32が全体として環状をなすように構成されている。なお、図7(b)は、構成を明瞭にするために、第1,第2ファスナ片71,72を厚く、模式的に描いたが、実際には、無視できる程度の厚さである。
【0043】
従って、この第2実施形態においては、以下の効果がある。
(8) 第2実施形態においては、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。また、この第2実施形態においては、ファスナ62が面ファスナ62Bにより構成されているため、構造が簡単であるとともに、面ファスナ62Bの開閉作業,すなわち、スクリーン32の着脱を容易に行うことができる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した散水スクリーン装置の第3実施形態を、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0045】
この第3実施形態においては、図8に示すように、一対の回転軸30,31が垂直軸線を中心に回転可能に配置され、それらの回転軸30,31間にスクリーン32が横方向へ周回するように張設されている。そして、前記第1実施形態の場合と同様に、スクリーン32が1枚の帯状体61により構成され、その帯状体61の両端縁がスライドファスナ62Aからなるファスナ62によって連結されることにより、スクリーン32が環状をなすように構成されている。前記ファスナ62のスライダ65は、ファスナ62を閉じた状態において下端側に配置される。従って、ファスナ62が自然に開放されるような事態を回避できる。なお、前記回転軸30,31は上下の枠部24,25の両端間に支持される。
【0046】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様な効果を得ることができる。
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
【0047】
・ 前記各実施形態において、3本以上の複数の回転軸を相互間隔をおいて平行に配置し、それらの回転軸に環状のスクリーン32を周回可能に張設すること。
・ 前記第3実施形態において、スクリーン32の帯状体61の両端縁間を連結するためのファスナ62を、第2実施形態と同様な面ファスナ62Bにより構成こと。
【0048】
・ スクリーン32として、2枚以上の帯状体をファスナを介して連結すること。
・ スクリーン32として、網材,編み地等の他の構成のものを用いること。
・ 清掃ブラシ66を上枠部24の開口縁に設けたり、上下の両枠部24,25の開口縁に設けたりすること。
【0049】
(別の技術的思想)
さらに、上記実施形態により把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
【0050】
(A) 前記ファスナの務歯及びスライダを合成樹脂により構成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の散水スクリーン装置。
この構成によれば、スクリーンを軽量に構成することができるとともに、スライダを円滑に開閉操作することができる。
【0051】
(B) 前記ファスナを面ファスナにより構成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の散水スクリーン装置。
この構成によれば、構造が簡単であるとともに、面ファスナの係脱操作により、スクリーンの着脱を容易に行うことができる。
【0052】
(C) 前記スクリーンの周回部の下部に樋部材を設け、前記清掃手段をその樋部材に支持したことを特徴とする請求項3に記載の散水スクリーン装置。
このようにすれば、清掃手段によって落とされた水滴がスクリーン上を落下することがなく、スクリーンの汚れを少なくすることができる。
【符号の説明】
【0053】
21…フレーム、22…左側支柱、23…右側支柱、24…上枠部、25…下枠部、30…上部回転軸、31…下部回転軸、32…スクリーン、33…モーター、44…散水装置、45…散水部材、46…ミスト噴射ノズル、61…帯状体、62…ファスナ、62A…スライドファスナ、62B…面ファスナ、63,64…務歯、65…スライダ、66…清掃手段としての清掃ブラシ、71…第1ファスナ片、72…第2ファスナ片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに平行に支持されるとともに、モーターにより回転される回転軸間にスクリーンを張設し、そのスクリーンに対して散水するための散水装置を設けた散水スクリーン装置において、
前記スクリーンを帯状体により構成するとともに、その帯状体の両端をファスナによって開放可能に連結して、スクリーンを全体として環状に構成したことを特徴とする散水スクリーン装置。
【請求項2】
前記ファスナをスライドファスナにより構成したことを特徴とする請求項1に記載の散水スクリーン装置。
【請求項3】
前記フレームに、スクリーンの周回にともなってスクリーンの表面をその全幅にわたって清掃するための清掃手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の散水スクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−38664(P2011−38664A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184507(P2009−184507)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(390023353)協立工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】