説明

数値解析装置、数値解析方法、及びコンピュータプログラム

【課題】 流体の流動現象を可及的に適切に数値化できるようにする。
【解決手段】 溶鋼30及びスラグ31の鍋10内における分布を求め、求めた分布の時系列データD1〜D5に基づいて解析対象となる領域を決定し、決定した領域の電磁場を求め、求めた電磁場の時系列データD6〜D10を用いて、検出装置20の2次コイル22に誘起される電圧を求め、求めた電圧の時間波形24aを表示することにより、可視化することが困難な鋳型10の中の状態を可及的に正確に数値化することが、オフラインで行えるようにして、鋼板の製造プロセスにとって重要な情報の1つであるスラグ31の流出状況を指標化することができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値解析装置、数値解析方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に流体の流動現象を数値化するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
流動現象を電磁気現象で検出する技術は、溶鋼に含まれるスラグを検知するスラグ検知センサおよび溶鋼の湯面の位置を検知する湯面レベルセンサなど、種々の電磁気センサを用いて実用化されている。かかる技術では、連続分布定数である流動現象と、電磁気センサの出力との間の関係が必ずしも明確にはなっていなかった。流動現象をより精緻に把握するためには、その関係を把握する必要が生じてきた。その一例として、ここでは、鉄鋼分野で問題となっているスラグ検知センサについて考える。
【0003】
鉄鋼業の分野では、転炉、二次精錬といった成分調整の終わった溶鋼をプールしておく鍋から、鋳型で溶鋼を凝固させて鋳片を鋳造する連続鋳造機などの手前にあるタンディッシュへ、ノズルを介して溶鋼が注入されるようにしている。鍋の殆どは溶鋼で占めているが、その上部には、非導電体であるスラグが浮遊している。
【0004】
鍋からタンディッシュに溶鋼を注入する場合、初期段階では溶鋼が殆ど注入されるが、注入末期になると、しばしば溶鋼に浮遊しているスラグがノズル注入に巻き込んでしまう。スラグがタンディッシュに注入されると、そのまま鋳型にスラグが注入され、鋳片の品質を悪化させてしまう。そこで、鍋からタンディッシュへのスラグの注入を回避させるために、溶鋼が鍋に残存した段階で、鍋からの注入を停止させることが考えられる。そうすると、溶鋼の歩留まりが悪化してしまう。したがって、鍋の中におけるスラグの流出状況を監視する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、溶鋼は1500度程度の高温体であり、分布定数系なので従来の技術では、鍋の状態の様子を適切に数値化することができなかった。センサでは鍋の中の状態を可視化することが困難であるので、鍋の中の状態を適切に数値化することは、極めて重要な課題となる。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、流体の流動現象を可及的に適切に数値化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の数値解析装置は、流体の分布を解析し、解析した結果に基づいて、前記流体の分布の時系列データを求める第1の解析手段と、前記第1の解析手段により求められた流体の分布の時系列データを用いて、前記流体を含む領域の電磁場を解析し、解析した結果に基づいて、前記電磁場の時系列データを求める第2の解析手段と、前記流体の状態を検出するための検出手段における検出信号の時系列データを、前記第2の解析手段により求められた電磁場の時系列データを用いて求めるデータ演算手段とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の数値解析方法は、流体の分布を解析し、解析した結果に基づいて、前記流体の分布の時系列データを求める第1の解析ステップと、前記第1の解析ステップにより求められた流体の分布の時系列データを用いて、前記流体を含む領域の電磁場を解析し、解析した結果に基づいて、前記電磁場の時系列データを求める第2の解析ステップと、前記流体の状態を検出するための検出手段における検出信号の時系列データを、前記第2の解析ステップにより求められた電磁場の時系列データを用いて求めるデータ演算手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、流体の分布を解析し、解析した結果に基づいて、前記流体の分布の時系列データを求める第1の解析ステップと、前記第1の解析ステップにより求められた流体の分布の時系列データを用いて、前記流体を含む領域の電磁場を解析し、解析した結果に基づいて、前記電磁場の時系列データを求める第2の解析ステップと、前記流体の状態を検出するための検出手段における検出信号の時系列データを、前記第2の解析ステップにより求められた電磁場の時系列データを用いて求めるデータ演算手段とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流体の分布の時系列データを求め、求めた流体の分布の時系列データを用いて、前記流体を含む領域の電磁場の時系列データを求め、求めた電磁場の時系列データを用いて、前記流体の状態を検出するための検出手段における検出信号の時系列データを求めるようにしたので、前記流体の状態と、前記検出信号との因果関係をオフラインで評価することができる。これにより、前記流体の流動現象を可及的に適切に数値化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の数値解析装置が解析するプロセスモデルの概略構成の一例を示した図である。より具体的に説明すると、図1(a)は、数値解析装置の側断面図であり、図1(b)は、図1(a)をA−A´方向から見た断面図である。
【0012】
図1において、本実施形態の数値解析装置が解析するプロセスモデルは、流入した溶鋼30をプールするための鍋10と、溶鋼30の表面付近に形成され、鍋10の内方に流出したスラグ31を検出するための検出装置20とを有している。ここで、溶鋼30の導電率は7.7×106[S/m]程度である。一方、スラグ31の導電率は1.0×10-2[S/m]である。このようにスラグ31は、一般的には半導体に属するものである。ところが、本実施形態の数値解析装置が扱う0.1〜10k[Hz]程度の周波数帯域では、スラグ31は、絶縁体と見なすことができる。
【0013】
このように、本明細書において導電体とは、導電率が1[S/m]よりも大きいもの、好ましくは導電率が103[S/m]よりも大きいものを指す。一方、非導電体とは、導電率が1[S/m]以下、好ましくは導電率が10-1[S/m]以下のものを指す。
【0014】
検出装置20は、1次コイル21と、2次コイル22と、交流電源23と、電圧センサ24とを有している。
1次コイル21及び2次コイル22は、鍋10の側壁に巻き回されている。交流電源23は、1次コイル21の両端に交流電流を供給する。交流電源23により1次コイル21に交流電流が供給されると、1次コイル21から交流磁束が発生する。この発生した交流磁束が、2次コイル22と磁気的に鎖交することにより、誘導起電圧の法則にしたがって、その両端に電圧が誘起される。電圧センサ24は、この誘起された電圧を計測する。
【0015】
1次コイル21が巻き回されている領域に、溶鋼30だけが存在しているときと、溶鋼30とスラグ31とが混在しているときとで、交流磁束の流れに変化が生じ、検出装置20におけるインピーダンスが変わる。そうすると、1次コイル21が巻き回されている領域に、溶鋼30だけが存在しているときと、溶鋼30とスラグ31とが混在しているときとで、2次コイル22に誘起される電圧が変わる。本実施形態の検出装置20では、2次コイル22に誘起される電圧の変化により、1次コイル21が巻き回されている領域にスラグ31が流出したことを検出する。
【0016】
本実施形態の数値解析装置は、以上のようなプロセスモデルにおいて、鍋10の内方にスラグ31が流出する様子と、電圧センサ24で計測される電圧の時間波形との関係を可及的に適切に評価するためのデータをユーザに提供する装置である。
【0017】
ここで、図2及び図3を参照しながら、本実施形態の数値解析装置が行う処理動作の一例を説明する。
図2は、本実施形態の数値解析装置が行う処理の概要の一例を説明するフローチャートである。図3は、本実施形態の数値解析装置が行う処理の一例を概念的に示した図である。
【0018】
図2及び図3のステップS1において、以下の(1)式で表されるナビエ・ストークス方程式を用いて混相流動解析を行い、溶鋼30及びスラグ31の鍋10内における分布を求める。具体的に説明すると、例えばVOF(Volume Of fluid)法を用いて、溶鋼30及びスラグ31の自由表面形状の変形を求める。VOF法では、複数に分割された各セルの液体充填率(0から1の間の値をとる)を定義した上で、液体と気体が共存する共存セル内の液体位置を決定し、各セルの液体充填率を計算された流速場に従って移流させる。そして、時間を進めて計算を繰り返すことにより、液面の移動を解析する。この場合に、液体充填率の時間依存性は、以下の(4)式で表される。
【0019】
以上のような計算を、溶鋼30とスラグ31のそれぞれについて行う。そうすると、鋳型10における溶鋼30及びスラグ31の分布を示す時系列データが得られる。なお、本実施形態では、溶鋼30及びスラグ31が受ける電磁力が無視できるほど小さいとしている。よって、以下の(1)式では、電磁力がゼロ(0)であるとしている。
【0020】
【数1】

【0021】
ここで、uは、流体の速度ベクトル[m/s]である。速度ベクトルuは、x軸方向の速度をa、y軸方向の速度b、及びz軸方向の速度cを用いて(2)式により定義される。(D/Dt)は、全微分であることを示し、(3)式により定義される。ρは、流体の密度[kg/m3]である。ηは、流体の粘性係数[kg/ms]である。Pは、流体の圧力[N/m2]である。gは、重力ベクトル[m/s2]である。Fiは物質iの液体充填率である。
【0022】
なお、前記(1)式から(4)式の添字(サフィックス)iは、溶鋼30に対する式と、スラグ31に対する式とを区別するためのものである。本実施形態では、この添字iが1の場合に、その式が溶鋼30に対する式であることを示す。一方、添字iが2の場合に、その式がスラグ31に対する式であることを示す。そうすると、以下の(5)式が成立する。
1+F2=1 ・・・(5)
【0023】
この(5)式は、溶鋼30とスラグ31との界面のみに従う制約式である。以上のように、(1)式から(5)式を用いることにより、溶鋼30とスラグ31との界面の形状を解析することができ、解析結果に基づいて、鍋10における溶鋼30及びスラグ31の分布を示す時系列データD1〜D5が得られる。
【0024】
次に、ステップS2において、ステップS1で得られた鍋10における溶鋼30及びスラグ31の分布を示す時系列データD1〜D5を、RAM等の記憶媒体に記憶する。鋳型10における溶鋼30及びスラグ31の分布を示す時系列データD1〜D5は、数値解析装置が、鋳型10内の時々刻々の様子(時々刻々でのプロセス状態)を判別するために必要なデータである(図3のステップS2に示す図を参照)。
【0025】
次に、ステップS3において、ステップS2で記憶媒体に記憶された、鍋10における溶鋼30及びスラグ31の分布を示す時系列データD1〜D5に基づいて、解析対象となる領域を決定し、決定した解析対象となる領域を複数の要素に分割する。つまり、時系列データD1〜D5により、それぞれ、溶鋼30とそれ以外(スラグ31も含む)とに分けられ、溶鋼30が存在している部分には、溶鋼30の電気導電率を入れ、スラグ31を含むそれ以外の部分には導電率としてゼロ(=0)を入れる。このため、時系列データD1〜D5は、それぞれ、異なった導電率の分布を持つことになる。そして、時系列データD1〜D5に対応する各要素に生じる磁束密度Bと、磁界Hを、マックスウェルの電磁方程式に基づく有限要素法による電磁場解析により求める演算を行う。
具体的に説明すると、例えば、以下の(6)式に示す渦電流場に関する方程式を用いて演算を行う。
【0026】
【数2】

【0027】
ここで、[μ]-1は、透磁率の逆数である。また、Aは、ベクトルポテンシャル[Wb/m]である。このベクトルポテンシャルAは、(7)式のように定義される。σは、導電率[S/m]である。ψは、スカラーポテンシャル[V/m]である。J0は、溶鋼30及びスラグ31に励磁される電流密度[A/m2]である。
【0028】
この式を基に、空間的に離散化された分割領域(要素)での補間関数を用いて、変分法またはガラーキン法により構成方程式を求める。そして、ガウスの消去法またはICCG法を用いて、前記分割領域(要素)でのベクトルポテンシャルAを求め、求めたベクトルポテンシャルAにおける磁束密度Bと磁界Hを求める。このようにして電磁場解析を行うと、鍋10内における磁束密度B及び磁界H(電磁場)の時系列データD6〜D10が得られる(図3のステップS3に示す図を参照)。
【0029】
なお、本実施形態では、渦電流場解析を行うようにした。有限要素法の詳細は、例えば、「中田、高橋『電気工学の有限要素法第二版』森北出版、1982」に記載されているので、ここでは、概略のみを記した。
【0030】
次に、ステップS4において、例えば、2次コイル22の巻き数Nsと、交流電源23により1次コイル21に供給される交流電源の周波数に基づく角周波数ω[rad/s]と、2次コイル22における鎖交磁束密度(linkage magnetic flux density)Bn[T]とを用いて、2次コイル22に誘起される電圧(出力電圧)Eの値を、以下の(8)式により求める。これにより、2次コイル22に誘起される電圧の時系列データが得られる(図3のステップS4に示す図を参照)。
【0031】
【数3】

【0032】
次に、ステップS5において、ステップS4で得られた2次コイル22に誘起される電圧の時間波形24aを作成し、作成した時間波形24aを表示装置に表示する(図3のステップS5に示す図を参照)。
なお、以上の計算においては、スラグ31を検出するためのサンプリング時間は、例えば、0.1秒程度ときわめて長く、交流電源23の交流周波数は、例えば1[kHz]と比べて十分に長いために、検出装置(電磁気センサ)20の2次コイル22から電圧を出力するに際しては、スラグ31の変化は極めて少ない、と仮定している。
【0033】
図4は、以上のような処理を行う本実施形態の数値解析装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0034】
図4において、数値解析装置は、CPU101と、ROM102と、RAM103と、キーボード(KB)104のキーボードコントローラ(KBC)105と、表示部としてのCRTディスプレイ(CRT)106のCRTコントローラ(CRTC)107と、ハードディスク(HD)108及びフレキシブルディスク(FD)109のディスクコントローラ(DKC)110と、ネットワーク111との接続のためのネットワークインターフェースコントローラ(NIC)112とが、システムバス113を介して互いに通信可能に接続された構成としている。
【0035】
CPU101は、ROM102或いはHD108に記憶されたソフトウェア、或いはFD109より供給されるソフトウェアを実行することで、システムバス103に接続された各構成部を総括的に制御する。
すなわち、CPU101は、所定の処理シーケンスに従った処理プログラムを、ROM102、或いはHD108、或いはFD109から読み出して実行することで、後述する動作を実現するための制御を行う。
【0036】
RAM103は、CPU101の主メモリ或いはワークエリア等として機能する。
KBC105は、KB104や図示していないポインティングデバイス等からの指示入力を制御する。
【0037】
CRTC107は、CRT106の表示を制御する。
DKC110は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、編集ファイル、ユーザファイル、ネットワーク管理プログラム、及び本実施の形態における所定の処理プログラム等を記憶するHD108及びFD109とのアクセスを制御する。
NIC112は、ネットワーク111上の装置或いはシステムと双方向にデータをやりとりする。
【0038】
以上のように本実施形態では、溶鋼30及びスラグ31の鍋10内における分布を求め、求めた分布の時系列データD1〜D5に基づいて解析対象となる領域を決定し、決定した領域の電磁場を求め、求めた電磁場の時系列データD6〜D10を用いて、検出装置20の2次コイル22に誘起される電圧を求め、求めた電圧の時間波形24aを表示するようにしたので、可視化することが困難な鍋10の中の状態を可及的に正確に数値化することが、オフラインで行える。
【0039】
これにより、例えば、鋼板の製造プロセスにとって重要な情報の1つであるスラグ31の流出状況を指標化することができる。したがって、例えば、オペレータは、本実施形態の数値解析装置により求められた時間波形24aと、2次コイル22に誘起される電圧の実際の操業における時間波形とを比較することで、鍋10の内方に大量のスラグ31が流出するタイミングを可及的に正確に知ることができる。よって、鋳造される鋳片の品質が劣化してしまうことを可及的に防止することができる。
【0040】
また、本実施形態の数値解析装置を用いれば、鍋10の内部の状態と、2次コイルに誘起される電圧との関係を、検出装置毎に求めることができる。これにより、鍋10の内部の状態をより適切に指標化することができる検出装置がどのようなものであるのかを知ることができ、検出装置の開発の一助となり得る。
【0041】
例えば、図5に示すように、第1の検出装置の2次コイルに誘起される電圧の時間波形51では、スラグ31が大量に流出する時刻tNよりも遅れて変化が生じている。これに対して、第2の検出装置の2次コイルに誘起される電圧の時間波形52では、スラグ31が大量に流出する時刻tNよりも前に振動が生じている。
【0042】
よって、第2の検出装置は、スラグ31が大量に流出することを事前に予測することができるという点で、第1の検出装置に比べて優れているといえる。このように、鍋10の内部の状態と、検出装置の2次コイルに誘起される電圧との関係とを、本実施形態の数値解析装置を用いて、検出装置毎に求めれば、どのような検出装置が、鍋10の内部の状態を検出するのに適切な装置であるのかを知ることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、検出装置20を用いて、鍋10の内方に流出したスラグ31を検出するようにしたが、鍋10内の様子を数値化することができれば、必ずしも鍋10の内方に流出したスラグ31を検出しなくてもよい。例えば、鍋10内の湯面の位置を検出したり、鍋10内に溶鋼30を流し込むためのノズルの内部における溶鋼30の流動を検出したりしてもよい。
【0044】
(本発明の他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現するべく各種のデバイスを動作させるように、該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、前記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0045】
また、この場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば、かかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記憶する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0046】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0047】
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態を示し、数値解析装置が解析するプロセスモデルの概略構成の一例を示した図である。
【図2】本発明の実施形態を示し、数値解析装置が行う処理の概要の一例を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態を示し、数値解析装置が行う処理の一例を概念的に示した図である。
【図4】本発明の実施形態を示し、数値解析装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示し、数値解析装置により求められた出力電圧の時間波形を、検出装置毎に示した図である。
【符号の説明】
【0049】
10 鍋
20 検出装置
21 1次コイル
22 2次コイル
23 交流電源
24 電圧センサ
30 溶鋼
31 スラグ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の分布を解析し、解析した結果に基づいて、前記流体の分布の時系列データを求める第1の解析手段と、
前記第1の解析手段により求められた流体の分布の時系列データを用いて、前記流体を含む領域の電磁場を解析し、解析した結果に基づいて、前記電磁場の時系列データを求める第2の解析手段と、
前記流体の状態を検出するための検出手段における検出信号の時系列データを、前記第2の解析手段により求められた電磁場の時系列データを用いて求めるデータ演算手段とを有することを特徴とする数値解析装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記流体が入っている容器の側壁に巻き回された1次コイル及び2次コイルと、
前記1次コイルに交流電力を与える交流電源と、
前記交流電源により前記1次コイルに交流電力を与えることによって、前記2次コイルに誘起された電圧を測定するセンサとを有し、
前記検出手段における検出信号は、前記センサにより測定された電圧を示す電圧信号を含むことを特徴とする請求項1に記載の数値解析装置。
【請求項3】
前記第1の解析手段は、前記流体の分布を、ナビエ・ストークスの方程式を用いて解析し、
前記第2の解析手段は、前記第1の解析手段により解析された流体の分布の時系列データを用いて、解析対象となる領域を決定し、決定した解析対象となる領域の電磁場を、マックスウェルの方程式を用いて解析することを特徴とする請求項1又は2に記載の数値解析装置。
【請求項4】
前記流体は、導電体と非導電体とを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の数値解析装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記流体に含まれる非導電体を検出することを特徴とする請求項4に記載の数値解析装置。
【請求項6】
流体の分布を解析し、解析した結果に基づいて、前記流体の分布の時系列データを求める第1の解析ステップと、
前記第1の解析ステップにより求められた流体の分布の時系列データを用いて、前記流体を含む領域の電磁場を解析し、解析した結果に基づいて、前記電磁場の時系列データを求める第2の解析ステップと、
前記流体の状態を検出するための検出手段における検出信号の時系列データを、前記第2の解析ステップにより求められた電磁場の時系列データを用いて求めるデータ演算手段とを有することを特徴とする数値解析方法。
【請求項7】
流体の分布を解析し、解析した結果に基づいて、前記流体の分布の時系列データを求める第1の解析ステップと、
前記第1の解析ステップにより求められた流体の分布の時系列データを用いて、前記流体を含む領域の電磁場を解析し、解析した結果に基づいて、前記電磁場の時系列データを求める第2の解析ステップと、
前記流体の状態を検出するための検出手段における検出信号の時系列データを、前記第2の解析ステップにより求められた電磁場の時系列データを用いて求めるデータ演算手段とをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−302139(P2006−302139A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125565(P2005−125565)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】