説明

整列可能なフレークを配向させて形成された運動学的画像

磁場中で整列させることができるインク・ビークルまたはペイントなどの担体中のフレークを含む画像が開示されている。フレークは、画像が傾けられるに従って、移動するように見えるローリング・バーなどの1つまたは複数の運動学的形体を作成するように整列されている。これらの画像は紙幣などの高価な文書上に保安用の形体を提供することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、その開示が全ての目的のために全体が本明細書に組み込まれているVladimir P. Rakshaによる2002年9月13日に出願の米国特許仮出願第60/410546号明細書、Vladimir P. Raksha、Paul G. Coombs、Charles T. Markantes、Dishuan Chu、および、Jay M. Holmanによる2002年9月13日に出願の米国特許仮出願第60/410547号明細書、および、Vladimir P. Raksha、Paul G. Coombs、Charles T. Markantes、Dishuan Chu、および、Jay M. Holmanによる2002年7月15日に出願の米国特許仮出願第60/396210号明細書からの優先権を主張する、2003年3月11日に出願の米国特許出願第10/386894号明細書であって現在は公開出願第2004/0051297号明細書となっている明細書からの優先権を主張する、2004年12月22日に出願の米国特許出願第11/022106号明細書であって現在は公開出願第2005−0106367号明細書となっている明細書の一部係属出願であり、これからの優先権を主張する。
【0002】
本発明は、全般的には光学的に可変な顔料、フィルム、インク、ペイント、デバイス、および、画像に関し、より詳細には、錯覚性の光学的効果を得るために、例えばペイント塗装または印刷の工程中に、整列された、または、配向された顔料フレークを使用した画像に関する。本発明は、磁気的に整列可能な顔料フレークを整列させるために特に適用可能であり、同様に、電場中の非磁性誘電体または半導体のフレークを整列させることに適用可能である。
【背景技術】
【0003】
光学的に可変なデバイスは、装飾的および実利的の双方で非常に様々な実用例に使用されている。光学的に可変なデバイスは、様々な効果を達成するために様々な方法で製作することができる。光学的に可変なデバイスの例は、クレジット・カードおよび標準ソフトウェア文書、紙幣に印刷された色変化画像に刷り込まれたホログラム、および、オートバイ用のヘルメットおよびホイール・カバーなどの品目の表面外観を強化するためのホログラムを含む。
【0004】
光学的に可変なデバイスは、物体に圧着、押印、糊付け、または、その他で装着されたフィルムまたはフォイルとして製作することができ、光学的に可変な顔料を使用して製作することもできる。1つのタイプの光学的に可変な顔料は、色変化顔料と一般に呼ばれている。なぜなら、そのような顔料を使用して適切に印刷された画像の外見上の色が、見る角度および/または照明の角度が傾くに従って変化するからである。一般的な例は、偽造防止デバイスとして機能している20米ドル札の右下の角に色変化顔料で印刷されている「20」である。
【0005】
いくつかの偽造防止デバイスは隠されている一方、他のデバイスは注目されることを意図されている。本発明は、注目されることを意図された明白な形体(feature)に関するが、証印などの隠された形体を内部に有するフレークを使用することができる。さらに、格子およびホログラフになった形体を備えたフレークを使用することができる。残念ながら、注目されることを意図したいくつかの光学的に可変なデバイスは広範には知られていない。なぜなら、このデバイスの光学的に可変な態様は十分には劇的でないからである。例えば、色変化顔料で印刷された画像の色の変化は、均一な天井の蛍光灯の下方では気付かれない可能性があるが、直接の太陽光において、または、単一点照明の下方ではより注目可能となる。このことは、偽造者が、光学的に可変な形体のない偽造紙幣を使うことをより容易にし得る。なぜなら、受け取った者が光学的に可変な形体を意識しない可能性があるから、または、偽造紙幣が、特定の条件下では本物の紙幣と実質的に同じに見える可能性があるからである。
【0006】
光学的に可変なデバイスは、表面に(典型的に、インク・ビークルまたはペイント・ビークルなどの担体中の)顔料を塗布した後に、磁場を使用して整列させられた磁気顔料を使用して製作することもできる。しかし、磁気顔料を使用したペイント塗装は、主として装飾の目的に対して使用されている。例えば、磁気顔料の使用は、三次元形状のように見える装飾的形体を有する塗装されたカバー・ホイールを生産するために説明されている。製品に磁場を印加することにより塗装済み製品上にパターンが形成されたが、ペイント媒体は未だに液体の状態であった。ペイント媒体は、磁力線に沿って整列された磁気非球形粒子を分散した。磁場は2つの領域を有した。第1の領域は、表面に平行に配向され、所望のパターンの形状に配列された磁力線を含んでいた。第2の領域は、塗装済み製品の表面に非平行であり、パターンの周囲に配列された線を含んでいた。このパターンを形成するために、所望のパターンの形状に対応した形状を持つ永久磁石または電磁石が、ペイントがまだ乾いていない間に、ペイント内に分散された非球形磁気粒子を磁場中で配向させるために、塗装済みの製品の下に置かれた。ペイントが乾燥すると、ペイント層に入射した光線が配向された磁気粒子により異なって影響を受けるに従って、塗装済み製品の表面上にパターンが目視可能となった。
【0007】
同様に、フッ化ポリマー・マトリクス内のフレークになった磁気粒子のパターンの作成のための処理が説明された。製品を液体形状の組成物でコーティングした後、所望の形状を持つ磁石が基板の下側に定置された。液体有機媒体中に分散された磁性フレークは磁力線に平行に配向し、本来の平面的な配向から傾く。この傾きは、基板の表面に垂直から本来の向きにまで変化し、これは、製品の表面に基本的に平行なフレークを含んでいた。平面的に配向したフレークは入射光を目視者に反射し戻す一方、再配向されたフレークは反射せず、コーティング中に三次元のパターンの外観をもたらした。
【0008】
財務書類および他の製品上に、より注目可能な光学的に可変な保安用形体を作成すること、および、偽造者にとってコピーすることが困難である形体を提供することが望ましい。
【0009】
整列可能なフレークを内部に有するインクおよびペイントを使用して製作された印刷画像の迫真性に、特に物体の印刷画像、より詳細には認識可能な三次元物体を加える形体を作成することも望ましい。
【0010】
ここまでは、特許出願PCT/US2003/020665号明細書において、本出願の発明者は、運動学的な形体、すなわち、磁気的に整列可能な顔料フレークであって特定の形で整列されるフレークからなる画像に動きの光学的錯覚をもたらす形体をもたらす「ローリング・バー」および「フリップ・フロップ」として知られている発明の実施形態を説明した。これが顔料フレークの整列の場における重大な進歩として報告され、より一般的には、偽造防止コーティングに関するとしても、発明者はローリング・バー、および、以前には実現されていない整列可能な顔料フレークで形成された迫真的な3D状画像を作り出すローリング半球などの他のローリング物体の新しく、刺激的な実用例を見出した。ローリング半球は、画像が傾けられた角度、または、画像の上方の光源が変化した角度に依存してx−y平面上で全ての方向に移動するように見える。
【0011】
上述のPCT特許出願明細書に説明されているローリング・バーは長方形の画像にわたって移動するバーの錯覚を提供するが、同発明には限界がある。観察できるのは単一の運動学的形体である。コピーすることも幾分か困難である。しかし、基本的に、同発明は、観察者に、ローリング・バーが、これが一部となっている長方形の画像上の基板に沿って移動するように見える間、不変である均一なサイズおよび強度のバーを見る体験を提供している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
同発明において、その後、発明者は、曲面のある認識可能な物体、特に鐘、防護物、容器、または、サッカー・ボールなどの滑らかな曲面のある認識可能な物体の輪郭内の充填物として使用されるローリング・バーを提供することが、長方形のシート上を前後に移動するローリング・バーを越えるものに到達する著しい効果をもたらすことを見出した。このバーは、物体の画像に迫真的な動的陰影をもたらす一方で、画像にわたって移動するように見えるだけでなく、このバーが閉じ込められている閉鎖領域内でこの移動とともに成長および収縮、または、拡大および縮小するように見える。バーのサイズまたは区域が変化しないいくつかの事例、例えば、バーにより満たされた、間にある空間とともに移動する2つの一致する曲線間の画像内の部分的充填物としてバーが使用されている事例において、バーは、画像にわたって移動するように見える一方、同時に上下にも移動する。したがって、同発明は、物体の非長方形の輪郭を持つ閉鎖形状の内部でローリング・バーを使用することにより、高度に所望の光学的効果を提供し、ローリング・バーの区域はバーが画像にわたって移動するに従って変化し、または、バーは、画像が傾けられるか、画像の上方の光源が変化されるのと同時に水平かつ垂直に移動するように見える。加えて、もしバーが適したサイズおよび曲率半径となるように設計されていれば、このバーは、画像内の動的な、移動する、縮小する、または、拡大する陰影要素として使用することができ、例外的な迫真性をもたらす。光が物体に入射すると陰影を生成することが可能である現実の物体の画像上で移動する陰影を模倣するようにローリング・バーが見える時に、このローリング・バーは最も深遠な効果を有するように見えることも見出されている。これらの重要な実用例において、ローリング・バーを形成するフレークの曲率半径は、適用される現実の物体の画像が、現実的に見えるように正確に湾曲しているように見える値の範囲内にあることが好ましい。本発明の目的は、画像を傾けること、または、画像の上方の光源の位置を変化させることに依存する運動学的形体を有する光学的に錯覚性の画像を提供することである。
【0013】
本明細書で使用されている用語「長方形」は、4つの直角を持つ四角形を意味するように定義されている。したがって、非長方形の物体または画像は、4つの辺および4つの直角を有さない。
【0014】
本発明は物体の画像を形成することに言及し、物体の画像は、物体の画像が傾けられ、または、画像の上方の光源が変化されるに従って移動する陰影という錯覚を提供するローリング・バー効果などの特殊効果を含んでいる。この状況における「物体」の定義は、実体があり、目視可能な実体であり、すなわち、陰影を放つことができる実体である。
【0015】
用語「ローリング・バー」は、同バーが印加された場の形状に依存して湾曲バーとすることもできるように、真っ直ぐなバーに限定はされない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の実施形態によれば、内部にローリング・バーを有する物体の非長方形閉鎖領域を含む保安用形体または装飾用形体として特に有用な運動学的画像が提供され、ローリング・バーは、画像が傾けられ、または、画像の上方の光源の位置が変化されるに従って画像にわたって移動するように見え、ローリング・バーの区域は、バーが画像にわたって移動するに従って変化し、または、バーは、ローリング・バーが移動するように見えると同時に水平かつ垂直に移動するように見える。
【0017】
本発明の実施形態によれば、陰影を放つことができる三次元物体の運動学的画像が提供され、この画像は、ローリング・バーを形成するようにフレークが整列された領域を満たす複数の顔料フレークを含む保安用形体または装飾用形体として特に有用であり、ローリング・バーは三次元物体の画像に陰影および深さを与え、陰影は、画像の上方の光源が変化されるに従って移動するように見える。
【0018】
本発明によれば、遠近法画像が提供され、遠近法画像の少なくとも1つの領域は、遠近法画像上に陰影を与えるために、ローリング・バー内に形成されたフレークを有する。
【0019】
本発明によれば、複数の顔料フレークからなり基板上に印刷された画像を含む運動学的画像が提供され、フレークは、画像の少なくとも一部にわたる第1のコントラスト・バーを形成するための第1のアーチ・バー内にあり、フレークは、画像の少なくとも異なった一部にわたる第2のコントラスト・バーを形成するための第2のアーチ・バー内にあり、ならびに、第1および第2のコントラスト・バーは、目視角を基準として画像が傾けられると、同時に異なった方向に移動するように見える。
【0020】
本発明によれば、物体の運動学的画像が提供される。この画像は場に整列された複数の顔料フレークを含み、物体は三次元空間における認識可能な三次元の変化する形状を有し、ローリング・バーは、目視角を基準として画像が傾けられるに従って、変化する陰影効果をもたらすように、物体の表示の輪郭内に配置され、ならびに、ローリング・バーの区域は、目視角を基準として画像が傾けられるに従って、変化する。
【0021】
本発明によれば、画像が提供され、整列された顔料フレークを含む第1のローリング・バーは画像の第1の領域を占有し、第1の領域は、この領域の輪郭を規定している非長方形の湾曲領域を有し、第2のローリング・バーは画像の第2の領域内に配置され、ならびに、2つのローリング・バーは、目視者に、画像が一方向に傾けられるに従って、第1と第2の領域の間での相対的な移動の錯覚を提供する。
【0022】
本発明によれば、整列された顔料フレークでコーティングされた非長方形の閉鎖領域を含む基板上に印刷された画像が提供され、前記フレークは、バーまたはバーの内部の半球などの運動学的(kinematic)物体を作成するように整列されており、運動学的物体は、画像が傾けられ、または、画像の上方の光源が変化されるに従って、閉鎖領域にわたって移動するように見え、運動学的物体の区域は、物体が領域にわたって移動するように見えるに従って変化し、または、物体は、運動学的物体が移動するように見えるに従って、同時に水平かつ垂直に移動するように見える。
【0023】
本発明によれば、画像内に2つのローリング・バーを有する画像が提供され、ローリング・バーは、画像が一方向に傾けられるに従って、異なった方向に移動するように見える。
【0024】
本発明によれば、画像内に2つのローリング・バーを有する画像が提供され、ローリング・バーは、画像が一方向に傾けられるに従って、互いに向かって、または、互いから離れて移動するように見える。
【0025】
本発明の特定の実施形態において、ローリング・バーの曲率半径は、画像の輪郭内の曲線の1つの曲率半径の少なくとも4分の1であり、好ましくは2分の1より大きい。
【0026】
本発明の他の実施形態において、ローリング・バーの曲率半径は、画像の輪郭内の曲線の1つの曲率半径と少なくとも同じ大きさである。
【0027】
他の実施形態において、曲率半径は三次元の現実の物体の画像全体に広がるために十分である。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態によれば、基板上に印刷された画像が提供され、この画像は、整列された顔料フレークでコーティングされた第1の領域であって、前記フレークは、第1の運動学的物体を内部に作成するように整列されている領域と、整列された顔料フレークでコーティングされた第2の領域であって、前記フレークは、第2の運動学的物体を内部に作成するように整列されている領域と、を含み、前記第1および第2の運動学的物体は、画像が傾けられるに従って、同時に異なった方向に移動するように見える。
【0029】
本発明の代案実施形態において、顔料フレークでコーティングされた第1の領域を有する画像が形成され、前記フレークは、画像が傾けられ、または、光源が変化されるに従って、ローリング・ボールの外観を提供する観察可能な移動する半球を形成するように整列されている。
【0030】
本発明の実施形態において、画像は、ドーム形状または逆ドーム形状の磁場を設ける工程と、
磁気的に整列可能な顔料フレークのコーティングを備えた基板を設ける工程と、
ドーム形状または逆ドーム形状の磁場内にコーティングを配置する工程と、
基板と、ドーム形状または逆ドーム形状の磁場を相対的に回転させる工程と、
コーティングが硬化することを可能にする工程と、を含んで形成される。
【0031】
本発明による画像は、偽造が困難であり、視覚に訴え、容易に識別可能であり、保安用形体または装飾用形体として特に有用である。
【0032】
本発明の例示的な実施形態が図面により説明される。本出願に示された図面は、磁性フレークで製作された本発明による画像を表すため、これらの効果は、これらの運動学的かつ3−Dの形体を記述し説明しようと試みている本文書においては提供することができない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
I.序
本発明は、その様々な実施形態において、高速印刷プロセスとしていくつかの実施形態において適した光学的に可変なインクまたはペイントの磁性フレークの配向の方法を提供し、他の実施形態は、手作業による整列および印刷プロセスにより適している。加えて、本発明のいくつかの実施形態は、多工程印刷プロセスを必要とし、このプロセスでは、基板の第1の領域が磁性フレークでインク塗布され、磁場に露出され、ならびに、硬化された後、同じ基板は同じまたは異なった領域においてインク塗布され、第2の磁場に露出される。通常、液体のペイントまたはインク・ビークル中に分散された光学的に可変な顔料の粒子は、表面に印刷またはペイント塗装された際に、一般に表面に平行に配向する。表面に平行な配向は、コーティングされた表面からの入射光の大きな反射をもたらす。液体媒体中にある間、磁性フレークは磁場を印加することにより傾けることができる。フレークは、一般に、フレークの最長の対角線が磁力線を辿る形で整列する。磁石の位置および強さにより、磁力線は異なった角度で基板を貫通することができ、これらの角度に磁性フレークを傾ける。傾けられたフレークは、印刷基板の表面に平行なフレークよりも異なって入射光を反射する。反射率および色調はともに異なることがある。傾けられたフレークは、典型的により暗く見え、通常の目視角において表面に平行なフレークとは異なった色を有する。
【0034】
印刷画像内で磁性フレークを配向させることは、いくつかの問題を課する。静止した(非移動性)コーティングされた物品に対して磁石を当て、ペイントまたはインクが乾燥する間は磁石を所定の位置に保持するバッチ方式のプロセスに対し、多くの近代的な印刷プロセスは高速である。いくつかの印刷機において、紙製基板は毎分100から160mの速度で移動している。用紙は1つの印刷操作の後に積み重ねられ、他の操作に供給される。このような操作で使用されるインクは、典型的に数ミリ秒以内に乾燥する。従来のプロセスは、このような実用例には適していない。
【0035】
ペイント塗装/印刷された画像において強化された光学的効果を得るための1つの方法は、移動している基板の方向に垂直に磁性フレークを配向することによることであることが見出された。言い換えれば、基板上に分散されたフレークを持つペイント塗装または印刷された液体のペイントまたはインク媒体は、フレークの再配向を引き起こすために磁力線に垂直に移動する。このタイプの配向は、印刷画像に著しい錯覚性の光学効果を提供することができる。
【0036】
1つのタイプの光学効果は、検討の目的に対して運動学的光学効果と呼ぶ。錯覚性の運動学的光学効果は、一般に、目視角を基準として画像が傾けられるに従って、印刷画像中に移動の錯覚をもたらし、静止照射源として機能する。他の錯覚性の光学効果は印刷された二次元画像に仮想の深さを与える。いくつかの画像は移動および仮想の深さの双方を与えることができる。また、いくつかの画像はxy平面内のいずれの方向にも錯覚または移動の認識を与えることができる。他のタイプの錯覚性の光学効果は、画像が前後に傾けられるに従って、明色と暗色の間で交番することにより、印刷された場の外観を切替えた。他のタイプの光学効果は画像を作成することにより作成され、画像の形体は、画像が移動の錯覚を与えるに従って、サイズを変更するように見える。ローリング・バーが移動するように見えるようにローリング・バーなどの物体のサイズに変化をもたらすことは、迫真的なアニメーションの形態を提供する。
【0037】
II.印刷された錯覚性の画像の例
図1Aは、2004年3月18日公開の米国公開特許出願第20040051297号明細書に示されている印刷画像29の簡略断面図であり、それは議論の目的のために「ローリング・バー」と呼ばれる。インク・ビークルまたはペイント・ビークルなどの担体により取り囲まれた顔料フレークから形成された画像が、ローリング・バー効果をもたらす特定の方法で整列されている。フレークは断面図における短い線として図2Aに示されている。フレークは磁性フレーク、すなわち、磁場を使用して整列することができる顔料フレークである。フレークは残留磁化を保持していても、いなくてもよい。図面は縮尺通りに描かれてはいない。典型的なフレークは差し渡し20ミクロンかつ厚さ約1ミクロンとすることができ、そのため、図面は単に例示的なものである。画像は紙、プラスチック・フィルム、積層板、カード用紙、または、他の表面などの基板29上に印刷またはペイント塗装されている。検討の容易さのために、用語「印刷された」は、担体中の顔料の表面への塗布を記述するために一般に使用され、他者が「ペイント塗装」と呼ぶことがある技術を含めて、他の技術を含むことができる。
【0038】
一般に、フレークの平面に垂直に見たフレークは明るく見える一方、この平面の辺縁部に沿って見たフレークは暗く見える。
【0039】
担体は無色にせよ有色にせよ一般に透明であり、フレークは典型的にかなり反射性である。例えば、担体は緑に着色することができ、フレークは、アルミニウム、金、ニッケル、白金の薄膜、または、金属合金などの金属層を含むことができ、または、ニッケルまたは合金のフレークなどの金属フレークとすることができる。緑に着色された担体を介して金属層で反射された光は明るい緑に見える可能性がある一方、端部から見たフレークを持つ他の部分は暗い緑または他の色に見える可能性がある。もしフレークが無色の担体中の金属フレークにすぎなければ、画像の一部は明るい金属系色に見える可能性がある一方、他の部分は暗く見える可能性がある。代案として、金属性フレークは着色された層でコーティングすることができ、または、このフレークは、吸収体/スペーサ/反射体Fabry−Perot型構造などの光学的干渉構造を含むことができる。さらに、性能強化および追加の保安性形体を与えるために、回折構造を反射性表面上に形成することができる。回折構造は、反射性基板に形成された単純な線形格子を有することができ、または、拡大されるとはっきり認められるのみだが、見ていると全体的な効果を及ぼすことのみが可能であるさらに複雑な所定のパターンを有することができる。回折性反射層を設けることにより、色の変化または明るさの変化が、回折性フレークを有するシート、紙幣、または、構造体を単にめくることにより、目視者により見られる。
【0040】
回折性フレークを製造するプロセスは米国特許第6692830号明細書に詳細に説明されている。米国特許出願第20030190473号明細書は色彩回折性フレークの製造について説明している。磁性回折性フレークを作成することは回折性フレークを作成することと同様であるが、層の1つを磁性とすることが必要である。事実、磁性層はAl層の間に挟む方法により隠すことができ、このようにして磁性層、この磁性層はフレークの光学的設計に実質的に影響を及ぼさない、または、薄膜干渉光学機器の設計における吸収体、誘電体、または、反射体として光学的に能動的な役割を同時に果たすことができる。
【0041】
図2Aは、2004年3月18日に公開の米国公開特許出願第20040051297号明細書に示されている通りの運動学的光学「ローリング・バー」の印刷画像42の簡略断面図である。画像は基板29に印刷された透明担体28により取り囲まれた顔料フレーク26を含む。顔料フレークは湾曲した形で整列されている。フリップ・フロップの場合のように、光を顔料フレークの面で目視者に反射するローリング・バーの領域は、光を直接目視者には反射しない領域よりも明るく見える。この画像は、(固定された照射源を仮定すると)画像が目視角を基準として傾けられると、画像にわたって移動する(「転がる」)ように見える明るい縞または棒状体をもたらす。
【0042】
図2Bは、第1の選択目視角でのローリング・バー画像42の簡略平面図である。画像内の2つのコントラスト場46、48の間の第1の位置に明るい棒状体44が見えている。図2Cは、第2の選択目視角でのローリング・バー画像の簡略平面図である。明るい棒状体44’は画像内の第2の位置に「移動」したように見え、コントラスト場46’、48’のサイズは変化している。顔料フレークの整列は(固定目視角および固定照明において)画像が傾けられるに従って、画像を「転がり」落ちるバーの錯覚を作り出す。他の方向に画像を傾けることは、バーを反対方向(上向き)に転がるように見せる。
【0043】
バーは、バーが平面内に印刷されていたとしても、深さを有するようにも見せることができる。仮想の深さは、印刷画像の物理的厚さよりもはるかに大きいものであるように見せることができる。選択されたパターンにおけるフレークの傾斜は、一般に言及されるように、深さまたは「3D」の錯覚を提供するために光を反射する。三次元効果は、流体の担体中の基板に印刷された磁性顔料フレークを持つ紙または他の基板の背後に整形された磁石を定置することにより得ることができる。フレークは磁力線に沿って整列し、担体の固化(例えば、乾燥または硬化)の後に3D画像を作り出す。画像は、画像が傾けられるに従って、移動するようにしばしば見え、そのため、運動学的3D画像を形成することができる。
【0044】
米国特許出願第20040051297号明細書に開示されている単一の長方形ローリング・バーは興味深い人目を引く効果であるが、より大きな長方形の背景上に移動する長方形を設けることは、同出願の実用例において幾分か制限されている。
【0045】
図3Aは、ローリング・バー型の画像に対してペイントまたはインク中のフレークの半円形の配向を形成するための簡略断面図である。薄い永久磁石106は、示されたように自身の薄い断面を介して磁化されている。磁石は自身の端部に円形の磁気線108を有している。流体担体中に分散された印刷された磁性フレークを有する基板29は、目視者から紙面内に磁石に沿って移動する。フレーク26は磁気線108の方向に沿って傾き、磁石の上方に半円形のパターンを形成する。
【0046】
図3Bは、図7Aによる装置の簡略斜視図である。基板29は矢印の方向に磁石106を横切って移動する。画像110は、画像が傾けられ、または、目視角が変化するに従って、上下に移動するように見えるローリング・バー形体114を形成する。フレーク26は、磁力線に関して傾けられているように示されている。画像は典型的に非常に薄く、フレークは示されたようにこぶは形成していないが、ローリング・バー効果を作り出すために所望のアーチ状反射特性をもたらすために、一般に磁力線に沿って整列する。1つの実施例において、約25度の角度を介して傾けられると、バーは画像を上下に転がるように見える。
【0047】
ローリング・バー効果の強度は、磁石の後縁118を面取り116することにより増強できることが見出された。このことが、画像が磁石を排除するに従って、磁場を徐々に低減させると確信されている。そうでなければ、磁石の鋭い角に発生する磁性遷移は、フレークの配向を再配列し、ローリング・バーの視覚効果を劣化させる可能性がある。特定の実施形態において、磁石の角は基板の平面から30度の角度で面取りされていた。代案の手法は、フレークが磁石の後縁を通過する前にフレークを固定することである。このことは、例えばUV硬化担体、または、揮発性担体に対する乾燥源に対して、磁石の経路の一部にUV光源を設けることにより行なうことができる。
【0048】
図5Aを参照すると、4つの辺を持つ輪郭または閉鎖領域の形態の画像が示され、頂部辺は下方に湾曲している。この図を見ると、画像との特定の関連は作成されておらず、一般的な物体として認識されないこと、単に2D多角形であることに注目することが興味深い。他方、同じ輪郭および同じフレークを有するが異なって配向されている図5Bを見ると、知られている一般的な認識可能な物体、シリンダとの関連が作られている。この領域に広がる大きなローリング・バーを提供することにより、ローリング・バーは、ユーザが深さおよび三次元性を感知するように陰影を加える。これに加えて、磁気的に配向された顔料フレークからなる図5Bにおける画像を傾けることにより、ローリング・バーは画像にわたって移動するように見え、自身がシリンダを掃引するに従って、自身の区域を変化させる。図4Bは同じ関連を引き出してはいず、バーが図4Bにおいて移動するように見えるに従って、バーの寸法は変化しない。図5Bを見ていると経験されるこのローリング・バー区域の変化は、バーが縮小し、続いて、高さが拡大するように見えるに従って、物体がより本物に見えるように大幅に増す。それが中央から辺に向かって移動するように見えるに従って、それはより小さな領域を満たし、その後、より大きな領域を実質的に満たす。さらに、図5Aと5Bを比較すると、図5Bの湾曲した上部領域内のローリング・バーは、目視者に強制的に、シリンダの白い蓋または内部の存在を少なくとも部分的に経験させるように見える。このことは、図4A、4B、または、5Aを見ている時には起こらない。したがって、湾曲した多角形をローリング・バーで満たすことには、いくつかの長所がある。図6および7は2つの他の形状のローリング・バーを示し、ローリング・バーは深さおよび移動の認識をもたらし、バーの実際の区域は、バーが画像を掃引するに従って、変化する。
【0049】
図12を参照すると、内部に配置された磁気的に配向された顔料フレークを有する輪郭を含み、大きな曲率半径を有するローリング・バーの形態に配向された盾が示されている。作成された画像を最も厳密に表すための深さおよび湾曲の予測された感覚を与える曲率半径を選択することは重要である。これまで説明された湾曲画像の全てにおいて、ローリング・バーの存在は、画像が傾けられるに従って、ローリング・バーの区域の認識される変化をもたらし、かつ、バーは画像にわたって移動するように見える。この現象は非常に著しく、一連の図14Aから14Dにより示されている。これらの図は、異なった角度で傾けられた同じ画像のものであり、図14Aが垂直入射であり、後続の各図において角度は増大していく。図4Bのより単純なローリング・バーと比較すると、そこではバーが、単純に、1つの位置から次の位置に移動するように見え、異なった位置におけるバー自体の外観の変化があることとは関係がない。バーが移動するように見えるに従って、1つの場所または他の場所にある図4bのバーは、同じ形の移動を提示する。しかし、図14Aおよび14bのバーは完全に異なった形状を有し、画像が傾けられるに従って、ローリング・バーの形状は連続的に変化し、バーの移動であるように見えるものの定義および相乗効果により、上昇および下降するバーと組み合わされたバーのモーフィングと組み合わされ、画像の魅力に大きく加わる。これらの形体を持つ画像は、物品上の保安用形体として、装飾として、または、視覚的芸術における使用に対する複雑な動きという錯覚をもたらす手段として使用することができる。
【0050】
図5B、6、7、10、12、および、13に示されたローリング・バーの変化する形状はさほど明瞭ではないとしても、このバーはまだ存在し、横方向および上向きまたは下向きに移動するバーの錯覚をもたらしている。なぜなら、バーが滑らかな曲面を辿るからである。
【0051】
図6を参照すると、自身の直径に広がるローリング・バーを有する円が示されている。ローリング・バーのない円は、単に目視者が円として認識するものにすぎないが、ローリング・バーの存在は、目視者に、物体が球体であるという錯覚を与える。図には移動が示されていないが、画像が傾けられ、バーが左に移動するに従って、円に沿って転がるバーが明らかにより小さくなっていくのを目撃している目視者は、目視者に三次元性および迫真性の感覚を与える。光および陰影ならびに明るい部分が固定されている絵を見ることに対立するものとして、この運動学的画像は、目視者に、画像が傾けられるに従って、ボールを横切って移動する光および陰影の経験をもたらす。この光景は、物体の周囲で移動する認識、または、見ている物体が回転された認識を有する。さらに、バーが左に移動するに従って、バーの区域が減少するため、目視者は、この物体が単なる絵または写真以上のものであるという認識を有する。それは、全ての意図および目的のために、平坦な画像とはいえ、目視者が深さおよび動き、ならびに、「通常」の画像を見るのとは対照的な強化された見る経験を認識するものである。この画像は、物体を見て傾けた時に起こる三次元性、動き、および、形状の変化を有する。
【0052】
図7において、画像にわたって掃引するように見えるに従って、辺に向かって暗い領域に薄れていく中央部の明るい部分により示されたローリング・バーの領域は、実質的に均一な領域を有するが、バーが輪郭を満たし、ページの外に飛び出し、上昇するに従って、中央の低い位置から最も上の右端または最も上の左端の位置に移動するに従って、バーは上部および下部の壁の湾曲した軌道を辿るように見える。ここで、目視者は、バーの横向きおよび上向きの移動ならびに3−D効果を経験する。
【0053】
図8Aを参照すると、本発明の代案実施形態が示され、2つのローリング・バーは、画像が1つの方向、例えば、ローリング・バーの1つの縦軸について右を指す矢印に向かって傾けられると、同時に逆に移動するように設計されている。
【0054】
図8Bおよび8Cに示されている本発明の実施形態において、「二連ローリング・バー」を備えた画像が示され、1つの部分44’は凸状の形に配向された磁性フレークを有する一方、画像の他の部分44’’は凹状の配向に配向された磁性フレークを有する。この凸状配向を達成するために、「ローリング・バー」磁石が紙製基板の下方に定置される。凹状配向に対して、磁石は紙製基板の上方に定置される。「二連傾き」画像は、画像の2つの領域にある磁性フレークが異なった、逆の配向、例えば、+30度および−30度を有する時に形成される。印刷画像の1つの傾いた位置において、画像の1つの部分は暗く、他の部分は明るい。印刷画像が逆の方向に傾けられると、第1の画像が明るくなり、第2の画像が暗くなるように、両領域は自身の明るい領域と暗い領域を切換える。意図された設計によっては、明るさと暗さのこの切換えは、フレークの配向に依存して、頂部から底部に、および、その逆に、ならびに、左から右に、および、その逆に起きてもよい。図8Cおよび8Dにおいて、明るいバー44’は画像の第2の位置に「移動」したように見え、コントラスト場46’、48’のサイズが変化した。さらに、明るいバー44’’は画像における異なった位置に「移動」したように見え、コントラスト場46’’、48’’のサイズが変化した。
【0055】
図15Aから15Dによる本発明の実施形態が説明される。図15Bから15Dにおいて、「自由の鐘」が示されている。図15Aにおいて、垂直の入射角における画像が示されている。図15Bから15Dにおいて、同じ印刷が、軸について矢印により示されている通りの異なった入射角に傾けられて示されている。観察され得るように、大きな曲率半径を有する図15Bに示されたローリング・バー150は、図15Cを見ると左に移動したように見え、鐘の内側表面上のより小さな凹状反転ローリング・バー152は、反対に、左に移動するように見える。図15Dは反対の認識された移動を示し、反対に傾けられると、より大きなバー150は右に移動するように見える大きなバー150を示す一方、より小さなバー152は、同時に、左に転がるように見える。画像に入射した光のこの挙動は、自由の鐘などの現実の物体上の現実の光の状況を模倣している。照明は、現実の物体から予想されるように異なった領域において同時かつ反対に移動する。したがって、この錯覚は現実の物体上の自然光の物理に従うように設計されている。錯覚とは、画像が本物となることである。図15Aを参照すると、鐘を構成する4つの要素154a、154b、154c、および、154dは、理解の容易さのために別個に示され、これらの各々は、図15Aに示された画像を形成するために基板上に正しい位置に1回に1つずつ印刷される。画像は各領域を印刷し、2つのローリング・バーを作成するために逆にアーチ状になったパターンに整列されたフレークを形成するために磁石を当てることにより形成されているが、この画像および同様の画像を作成するために、順次自動印刷プロセスを使用することができる。
【0056】
興味深く、著しい効果は、図16F、16G、16H、および、16Jにおける本発明の代案実施形態において示されている。図16Fは半球の印刷画像であり、画像全体は整列可能な顔料フレークでコーティングされている。以下に説明される通りのフレークの整列の後、半球が形成される。図16Fに示された半球の印刷画像は、基板が傾けられたか、または、光源が変化されるに従って、図16Gに示された画像のように見える。画像が、中心を介した垂直軸について垂直から左に傾けられるに従って、非常にボールのように見える明るい半球は、傾き角の変化とともに転がる。線に沿った平面内を転がることができたローリング・バーとは対照的に、図16Fの半球は、傾きの角度に依存していずれのx−y方向にも移動するように見えることができる。したがって、xまたはy軸について画像を傾けることは、移動するように見えることをもたらす。
【0057】
図16Jの盾は、非常に興味深い効果の組合せをもたらすためにローリング・バーと半球の効果の組合せを使用しており、盾および半球はページの外に飛び出すように見えている。この組合せは2段階のプロセスで作成され、図16Hに示されているように、基板はまず磁性コーティングでコーティングされ、ならびに、半球が形成され、硬化される。第2のコーティングは、図16Iのコーティングを形成するためにマスクまたはステンシルを介して塗布され、追加のコーティング材料が半球を覆わないことを確実にする。第2のコーティングは、ローリング・バーを作成するように磁場中に定置される。上述の動的または運動学的な半球画像を形成する方法は、ローリング・バーを形成する方法よりも複雑である。図16Aから図16Eを参照して方法が説明される。実施例の方法により、図16Aに示された磁石160aは2つのループを形成する磁石の上方および下方の磁力線を示している。この図は意図的にこれらの2本の磁力線のみを示しているが、これらの磁力線に平行に発生された磁力線の前部が基本的に存在し、磁石全体に広がっている。半球を作成するために使用される磁石160a、160bは、図16B、および、より詳細には16Cに示されたよりも複雑である。図16Bの磁石の一部は磁力線のいくつかを示すために切り落とされている。図16Cにおいて、一群の磁石160a、160b、160cの上方に延在する磁場が、下方に延在する磁場のようにドーム形状であることは明白である。流体インクを備えたコーティングされた基板167を、図16Dに示されたように磁石のすぐ上方に、または、磁石からより大きく離して磁場の中央に向けて支持される一方、磁石は自転して、ドーム形状磁場中に配置することにより、半球形運動学的画像の印刷物は図16Dまたは16Eにおけるように形成される。この例示的実施形態において、磁石または画像が相対的に回転される速度は約120rpmである。続いて、画像は磁場の領域から除去され、硬化される。粒子の磁気特性およびインク・ビークルの粘度によっては、磁石の回転速度を120rpmより遅く、または、速くすることができる。しかし速度が遅すぎる場合、画像の品質は劣化する。
【0058】
図17Aは図16Fに示された画像と同様だが反転された代案実施形態の図である。シミュレーションによる半球磁石からの磁場が図17Aに示されている。これが、図17Cに示されている画像を作り出した磁場の形状である。磁石のN極は頂部にあり、粒子は漏斗状の形に同心円上に整列されている。図17Bの磁場194が示され、基板191上に配置された担体192中のフレーク193は磁力線を辿って漏斗状の配向に整列されている。半球効果とは逆に、この磁場は画像191の中央に明るい運動学的スポット192を作成し、フレークの漏斗状整列は画像の中央に暗い運動学的スポットを作成した。示され、説明された磁場は永久磁石から形成されたものであるが、電場または電磁場も多くの実施形態において使用することができる。当然、磁場および粒子は、粒子が特定の磁場によって配向されることが可能であるように、互換性を持っていなければならない。
【0059】
本発明は特定の実施形態および本発明を実施する最良の形態を参照して上記に説明された一方、当業者には様々な修正および代案が本発明の範囲および精神から逸脱せずに明らかとなろう。したがって、上記の説明が単に例示的なものであること、および、本発明が冒頭の特許請求の範囲に述べられていることを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】第1の選択目視角におけるローリング・バー画像の簡略平面図である。
【図1B】第2の選択目視角におけるローリング・バー画像の簡略平面図である。
【図2A】本発明の他の実施形態による検討の目的に対する「ローリング・バー」と呼ばれる印刷画像の簡略断面図である。
【図3A】ローリング・バー型の画像のためのペイントまたはインクにおけるフレークの半円形の配向を形成するための本発明の他の実施形態の簡略断面図である。
【図3B】図7Aによる装置の簡略斜視図である。
【図4A】基板上で硬化された非整列磁気顔料フレークからなる画像の平面図である。
【図4B】図1Aおよび1Bと同様のローリング・バー内にフレークを配向するように、顔料を硬化することによりフレークが整列され、恒久的に固定された後の図4Aに示されたフレークおよび基板の平面図である。
【図5A】非整列磁気顔料フレークからなる湾曲した上部輪郭を有する画像の平面図である。
【図5B】実質的に大きな曲率半径を持つ大きなローリング・バーに整列されたフレークを備えた図5Aと同様の画像の平面図である。
【図6】球体の画像の部分斜視図であり、円の外形が円の直径に広がるローリング・バーを有し、球体の錯覚を提供している図である。
【図7】図5Bと同様の球体であり、頂部および底部の双方の表面が湾曲している図である。
【図8A】外部前壁に塗布されたローリング・バー、および、内部後壁に他のローリング・バーを有する容器の斜視図における画像であり、2つのローリング・バーは、矢印の1つの方向に画像が傾けられるに従って、同時に反対方向に移動する図である。
【図8B】図8Aとは別の用紙上に示されている図8Cに示された2つのローリング・バーの断面図である。
【図8C】画像が傾けられるに従って、同時に逆に移動する2つのローリング・バーのより単純な配列の平面図である。
【図9】ローリング・バーが外側内側の各表面に隣接して示され、ローリング・バーは逆に移動し、内側の表面上のローリング・バーは、傾けられて移動するように認知されるに従って、区域および形状を変化させる、図8Aに示された容器と同様の容器の画像の斜視図である。
【図10】画像が傾けられた画像として、画像に3−Dの迫真的な品質を与える2つの転がる細長い形状を有して示された球体の画像の図である。
【図11】シリンダの外側前面表面上にローリング・バーを有するシリンダの画像の図である。
【図12】ローリング・バーが運動学的効果をもたらし、バーが陰影および深さを与えて、写真およびペイント塗装では達成できない画像への迫真性を加えている盾の画像の図である。
【図13】凹状ローリング・バーは内壁に示され、2つのローリング・バーは、現実の物体の陰影および光が動くに従って、逆に移動する二連(凹状および凸状)のローリング・バーを備えた中空シリンダまたはパイプの画像の図である。
【図14】図14Aないし図14Dは4つの異なる目視角において示されたローリング・バーを有する湾曲画像の図である。
【図15A】長方形基板に印刷された自由の鐘の4つの構成部分を示す図である。鐘の内側部分は凹状ローリング・バーを使用して印刷され、鐘の外側部分は凸状ローリング・バーを使用して印刷されている。
【図15B】通常の角度における自由の鐘の画像の図である。
【図15C】基板が右に傾けられた時の鐘を示す図である。
【図15D】基板が左に傾けられた時の鐘を示す図である。
【図16A】図16Cに示されているようなドーム形状の磁場を提供するために、図16Cに示された磁石の形態を作る磁石の斜視図である。
【図16B】ドーム形状の場を提供するための図示の容易さのために切り落とされたいくつかの磁石を有する斜視図である。
【図16C】ドーム形状磁場を提供するための磁気的な配列の斜視図である。
【図16D】フレーク化インクが塗布されたシートがドーム形状の場に配置され、シートおよび場が後続の2つの図における矢印により示される相対的に回転される図16Cの磁気的な配列の斜視図である。
【図16E】シートがドーム形状の場の頂部により近く配置され、インクで形成された半球形の画像が図16Dにおける画像より小さい図16Dの斜視図と同様の斜視図である。
【図16F】画像が1つの位置から他の位置に傾けられるに従って、異なった位置に示された図16Eの磁石を使用して製作されたローリング3−D半球の画像の図である。
【図16G】画像が1つの位置から他の位置に傾けられるに従って、異なった位置に示された図16Eの磁石を使用して製作されたローリング3−D半球の画像の図である。
【図16H】盾の画像において配置されたドーム形状のフレークを有する半球の印刷画像である。
【図16I】1つの軸に沿って形成されたローリング・バーを有する盾の印刷画像である。
【図16J】図16Iが図16Hを覆って当てられるように、インクおよび磁場が各段階で塗布および印加され、ローリング半球を形成する際に中央領域が1回のみコーティングされる図16Hおよび図16Iにおいて形成された画像の合成画像である。
【図17A】図17Cの画像を形成するために使用されるボール形状の場の断面を示す図である。
【図17B】図17Aに示された磁場中に整列された担体における顔料フレークの断面図である。
【図17C】ページ中に沈み込んだローリング・ボールであるように見える反転された半球の図17Aに示された場において磁性フレークを使用して形成された画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に印刷された画像であって、
整列された顔料フレークでコーティングされた非長方形閉鎖領域を含み、
前記フレークは内部に運動学的物体を作成するように整列され、
前記運動学的物体は、前記画像が傾けられ、または、前記画像の上方の光源の位置が変化されるに従って、前記閉鎖領域にわたって移動するように見え、
前記運動学的物体の区域は、それが前記領域にわたって移動するように見えるに従って変化し、または、
前記運動学的物体は、前記運動学的物体が移動するように見えるに従って、同時に水平および垂直に移動するように見える画像。
【請求項2】
前記運動学的物体は、前記運動学的物体が移動するように見えるに従って、周囲のフレークよりも明るく見え、
前記閉鎖領域は湾曲した面を有する請求項1に記載の画像。
【請求項3】
前記運動学的物体は、前記運動学的物体が移動するように見えるに従って、周囲のフレークよりも暗く見える請求項1に記載の画像。
【請求項4】
前記運動学的物体は第1のローリング・バーである請求項1に記載の画像。
【請求項5】
第2のローリング・バーを含む請求項4に記載の画像。
【請求項6】
前記第1および第2のローリング・バーは、前記画像が傾けられるに従って、または、異なった方向から見た時に、異なった方向に移動するように見える請求項5に記載の画像。
【請求項7】
前記運動学的物体はローリング・バーまたはローリング半球であり、
前記物体は、前記画像が傾けられた時に前記物体が移動するように見えるに従って、サイズが変化する請求項1に記載の画像。
【請求項8】
前記画像は第2の閉鎖領域を有し、
前記第2の閉鎖領域は、整列された顔料フレークを有するコーティングを含む請求項1に記載の画像。
【請求項9】
前記非長方形閉鎖領域は、陰を放つことができる物体を表し、
前記物体内の前記運動学的物体は、陰影、ならびに、前記物体の認識を強める深さおよび移動の認識をもたらす請求項1に記載の画像。
【請求項10】
前記閉鎖領域は1つまたは複数の曲線を有し、前記運動学的物体は、前記運動学的物体が移動するように見えるに従って、前記1つまたは複数の曲線を辿る請求項9に記載の画像。
【請求項11】
前記運動学的物体を作成するための前記整列された顔料フレークは、前記非長方形閉鎖領域内でアーチ状形態に配向され、
第2の運動学的物体は前記画像内に作成され、前記第2の運動学的物体内のフレークは逆にアーチ状である請求項1に記載の基板上に印刷された画像。
【請求項12】
基板上に印刷された画像であって、
整列された顔料フレークでコーティングされた非長方形閉鎖領域を含み、
前記フレークは内部に運動学的物体を作成するように整列され、
前記運動学的物体は、前記画像が傾けられ、または、前記画像の上方の光源の位置が変化されるに従って、前記閉鎖領域にわたって移動するように見え、
前記運動学的物体の区域は、前記物体が前記領域にわたって移動するように見えるに従ってサイズが変化し、または、
前記物体は、前記運動学的物体が移動するように見えるに従って、同時に水平および垂直に移動するように見える画像。
【請求項13】
基板上に印刷された画像であって、前記画像は、
担体中に複数の磁性顔料フレークを含み、
前記複数の磁性フレークの一部は、第1の隣接する場および第2の隣接する場の間に現れる前記画像を横切るコントラスト・バーを作成するように、前記基板の表面を基準としてアーチ状パターンに整列され、前記コントラスト・バーは、前記画像が傾けられるに従って、前記第1の隣接する場および前記第2の隣接する場に関連して移動するように見え、
複数の磁性フレークは、前記画像が傾けられるに従って、前記画像にわたる二連コントラスト・バーを作成するようにパターンに整列されている画像。
【請求項14】
基板上に印刷された画像であって、
整列された顔料フレークでコーティングされた第1の領域を含み、このフレークは内部に第1の運動学的物体を作成するように整列され、
整列された顔料フレークでコーティングされた第2の領域を含み、このフレークは内部に第2の運動学的物体を作成するように整列され、
前記第1および第2の運動学的物体は、画像が傾けられるに従って、同時に異なった方向に移動するように見える画像。
【請求項15】
前記第1および第2の運動学的物体はローリング・バーであり、前記ローリング・バーは、前記画像が傾けられるに従って、反対方向に移動する請求項14に記載の画像。
【請求項16】
影を放つことができる三次元物体の運動学的画像であって、
前記画像の少なくとも一部を形成するための領域を満たす複数の顔料フレークを含み、
前記領域内の顔料フレークは、ローリング・バーを形成するように整列され、
前記ローリング・バーは前記三次元物体の前記画像に陰影および深さをもたらし、
前記陰影は、前記画像の上方の光源が変化されるに従って、移動するように見える画像。
【請求項17】
物体の遠近法画像であって、
前記遠近法画像の少なくとも1つの領域は、前記物体上に陰影を与えるために、ローリング・バーまたはローリング半球に形成された基板上にコーティングされた担体中に整列可能顔料フレークを有する遠近法画像。
【請求項18】
前記画像の一部はローリング半球を有し、前記画像の他の部分はローリング・バーを有する請求項17に記載の物体の遠近法画像。
【請求項19】
運動学的半球または反転半球を有する画像を形成する方法であって、
ドーム形状または反転ドーム形状の磁場を設ける工程と、
磁気的に整列可能な顔料フレークのコーティングを備えた基板を設ける工程と、
前記ドーム形状または反転ドーム形状の磁場中に前記コーティングされた基板を配置する工程と、
前記コーティングされた基板と、前記ドーム形状または反転ドーム形状の磁場を相対的に回転する工程と、
前記コーティングの硬化を可能にする工程と、を含む方法。
【請求項20】
画像を形成する方法であって、
顔料フレークのコーティングで基板をコーティングする工程と、
前記コーティングが硬化する前に、前記基板を磁場中で移動することにより、または、前記コーティングを通過している磁場を変化させることにより、前記コーティングを変動磁場にさらす工程と、を含む方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図16G】
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【図16H】
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【図16I】
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【図16J】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【公表番号】特表2008−528312(P2008−528312A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548462(P2007−548462)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046538
【国際公開番号】WO2006/069218
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】