整畦機
【課題】機枠体を移動機構により走行機体の進行方向に対して左右方向に移動させると共に放出位置変向機構により跳上回転体により跳ね上げられる泥土を一方側方位置又は他方側方位置の畦の上に選択的に放出案内させることができ、跳上回転体の後方位置に配置された左右一対の整畦体のいずれかの整畦体により一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦することができ、未整畦処理部分を残すことなく容易に整畦作業を行うことができる。
【解決手段】整畦機構7として、機枠体4に圃場Mの泥土を跳上可能な跳上回転体8を設け、跳上回転体の回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構9を設け、跳上回転体の後方位置に一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦可能な左右一対の整畦体10・10を設けてなる。
【解決手段】整畦機構7として、機枠体4に圃場Mの泥土を跳上可能な跳上回転体8を設け、跳上回転体の回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構9を設け、跳上回転体の後方位置に一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦可能な左右一対の整畦体10・10を設けてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の整畦機として、走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、取付枠体に機枠体を移動案内機構により走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設け、機枠体を左右方向に移動させる移動機構を設け、機枠体に整畦機構を配設し、取付枠体に走行機体を駆動源とする駆動軸を配設し、機枠体に整畦機構の駆動源となる従動軸を配設し、駆動軸と従動軸との間に該機枠体の左右方向の移動を許容する前後一対の自在継手からなる動力伝動機構を介装してなる構造のものが知られている。
【0003】
また、上記整畦機構として、走行機体の進行方向後方両側方位置に主整畦機構Q及び副整畦機構Hを配置し、図15に示す如く、圃場M内において、走行機体Sを図中矢印方向の反時計回りに走行しつつ走行機体の一方側方位置の主整畦機構Qにより整畦作業を行うと共に走行機体Sの前部から主整畦機構Qの作業部位までの不可避的に残った未整畦処理部分Tを走行機体Sを矢印方向とは反対回りの時計回りに走行して副整畦機構Hにより整畦作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−325502
【特許文献2】特許第4096275号
【特許文献3】実開昭60−119210号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来構造の場合、上記主整畦機構及び副整畦機構は、それぞれ、旧畦上に泥土を跳ね上げる盛土ロータ、畦面を回転整畦可能な回転整畦体及び駆動系統をそれぞれ備えており、それだけ、全体の構造が複雑化し易く、大型化及び重量化し易く、安全性の配慮が特に必要となると共に走行安定性が阻害されることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、該取付枠体に機枠体を該走行機体の進行方向に対して左右方向に移動させる移動機構を設け、該機枠体に整畦機構を配設し、該整畦機構を駆動するための動力伝動機構を配設してなり、上記整畦機構として、上記機枠体に圃場の泥土を跳上可能な跳上回転体を設け、該跳上回転体の回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置又は他方側方位置の畦の上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構を設け、該跳上回転体の後方位置に一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦可能な左右一対の整畦体を設けてなることを特徴とする整畦機にある。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、上記取付枠体に上記機枠体を移動案内機構により上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記左右一対の整畦体は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦の上面を整畦可能な上面整畦部及び畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、機枠体を移動機構により走行機体の進行方向に対して左右方向に移動させると共に放出位置変向機構により跳上回転体により跳ね上げられる泥土を一方側方位置又は他方側方位置の畦の上に選択的に放出案内させることができ、跳上回転体の後方位置に配置された左右一対の整畦体のいずれかの整畦体により一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦することができ、未整畦処理部分を残すことなく容易に整畦作業を行うことができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記取付枠体に上記機枠体を移動案内機構により走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設けているから、移動案内機構により機枠体を円滑に左右移動させることができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記左右一対の整畦体は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦の上面を整畦可能な上面整畦部及び畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部からなるので、畦を確実に締圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例の全体側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態例の全体平面図である。
【図4】本発明の実施の形態例の全体後面図である。
【図5】本発明の実施の形態例の全体後断面図である。
【図6】本発明の実施の形態例の全体前断面図である。
【図7】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態例の作業状態の全体平面図である。
【図9】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後面図である。
【図10】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後断面図である。
【図11】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
【図12】本発明の実施の形態例の作業状態の全体平面図である。
【図13】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後面図である。
【図14】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後断面図である。
【図15】整畦作業の説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図14は本発明の実施の形態例を示し、図1、図2の如く、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により取付枠体3を上下動可能に連結して構成している。この場合、上記取付枠体3は水平杆部3a及び中央縦杆部3bからなる全体として略T状に形成され、連結機構2は左右一対の下部リンク2a・2a、上部リンク2b、走行機体1に既設の上下揺動する左右一対の揺動リンク2c・2c及び吊下リンク2d・2dからなり、この下部リンク2a・2a及び上部リンク2bを走行機体1と取付枠体3との間に枢着連結し、左右一対の揺動リンク2c・2cの揺動により吊下リンク2d・2dを介して取付枠体3を上下動させるように構成している。
【0012】
4は機枠体であって、図2、図3、図4の如く、機枠体4は上記取付枠体3に移動案内機構5により走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに移動自在に設けられ、機枠体4を左右方向Bに移動させる移動機構6が設けられ、この場合、上記取付枠体3の水平杆部3aに左右一対の支持アーム3c・3cを後方に向けて突設し、支持アーム3c・3cに上下のガイド杆5a・5a及び左右の縦杆5b・5bからなる四角枠状のガイド枠体5cを取付け、機枠体4の進行方向の前部に上下一対のガイドロール5d・5dを左右二組設け、ガイド杆5a・5aとガイドロール5d・5dとのスライド嵌合により機枠体4を左右方向Bに移動自在に設け、機枠体4に作動用モータ6aを取り付けると共に機枠体4に軸受6b・6bにより作動軸6cを軸線を進行方向にして回転自在に架設し、作動用モータ6aの主軸と作動軸6cとを継手6dにより連結し、作動軸6cに移動用歯車6eを取り付けると共にガイド枠体5cにラック歯体6fを取付け、作動用モータ6aを正逆回転して移動用歯車6eとラック歯体6fとの歯合により機枠体4を左右方向Bに移動させるように構成している。
【0013】
7は整畦機構であって、上記機枠体4に設けられ、大別して、跳上回転体8及び整畦体10・10からなり、この場合、図5の如く、上記機枠体4に走行機体1の進行方向の回転軸線Oの廻りに一方向Nに回転して圃場Mの泥土を跳上可能な跳上回転体8を設け、跳上回転体8の上方位置に跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構9を設け、跳上回転体8の後方位置に一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上面W1及び一方側面W2を整畦可能な左右一対の整畦体10・10を設けて構成している。
【0014】
この場合、上記跳上回転体8は、図5、6の如く、ローター胴8aの外周面に複数個のナタ刃状の跳上刃8bを突設してなり、図5の如く、走行機体1の進行方向の回転軸線Oの廻りに一方向Nに回転して圃場Mの泥土を跳ね上げる構造となっており、又、上記放出位置変向機構9は、図2、図5の如く、機枠体4に上記跳上回転体8の上方位置、前後位置及び両側方位置を覆う上板11a、前板11b、後板11c及び側板11d・11dからなる底面が開口する略四角筒状の固定カバー部材11を取付け、この場合、固定カバー部材11は分割形成された左右一対の半カバー体11e・11eからなり、左右一対の半カバー体11e・11eは機枠体4にそれぞれ枢軸11f・11fにより上下退避回動自在に設けられ、上記機枠体4の下部に軸受筒部4aを進行方向に横設し、軸受筒部4aに駆動主軸4bを軸受し、軸受筒部4aの外周面に可動カバー部材12に形成した回動リング12aを回動自在に嵌合し、図2の如く、可動カバー部材12は跳上回転体8の上方位置、前後位置及び両側方位置を覆う半円弧状の上板12b、縁板状の前板12c及び後板12dからなり、上記作動軸6cに変向用歯車9aを取り付けると共に可動カバー部材12に弧状ラック歯体9bを取付け、作動用モータ6aを正逆回転して変向用歯車9aと弧状ラック歯体9bとの歯合により可動カバー部材12を正逆回動させるように構成している。
【0015】
しかして、上記放出位置変向機構9の作動用モータ6aにより作動軸6cを回転させると、図5から図10の如く、可動カバー部材12は反時計回りに回転して一方側方に開口部Kが形成され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土はそのまま一方側方の開口部Kを介して一方側方位置Rの畦Wの上に放出案内され、又、作動用モータ6aにより作動軸6cを逆回転させると、図5から図14の如く、可動カバー部材12は時計回りに回転して一方側方の開口部Kは閉口されて他方側方の開口部Fが形成され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土は可動カバー部材12の上部を経てから他方側方の開口部Fを介して他方側方位置Lの畦Wの上に放出案内されることになる。
【0016】
又、この場合、上記左右一対の整畦体10・10は、相互に左右対称に形成され、図4の如く、それぞれ、畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部10a及び畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部10bからなり、上面整畦部10a及び側面整畦部10bは、それぞれ、ローター枠体10cの外周面部に複数個の圧締面部G・・を形成し、各々の圧締面部Gに隣り合う回転方向後方位置の圧締面部Gに至る長さの圧締板体Eを配設し、この圧締板体Eは可撓性を有するナイロン樹脂や塩化ビニール樹脂等の合成樹脂やステンレスやバネ鋼等の金属からなる外的負荷により弾性的に撓み得る材質の可撓性板材により形成されている。
【0017】
この場合、図2、図4の如く、上記機枠体4の下部に軸受筒部4aを縦架材4c・4cにより設け、軸受筒部4aに駆動主軸4bを軸受し、軸受筒部4aの後部に一体又は別体の支持駆動軸4d・4dを走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに横設し、駆動主軸4bと支持駆動軸4dとの間に歯車機構4eを設け、支持駆動軸4d・4dの左右両端部に左右一対の整畦体10・10を取り付け、走行機体1を駆動源として動力伝動機構13を介して駆動主軸4bを一方向Nに回転させ、跳上回転体8及び左右一対の整畦体10・10を図1中、矢印方向の一方向Cに回転させるように構成している。
【0018】
この場合、図2、図3の如く、上記取付枠体3の中央縦杆部3bの上部にブラケット3dを取り付け、ブラケット3dに走行機体1を駆動源とする駆動軸13aを軸受13bにより配設し、機枠体4に整畦機構7の駆動源となる従動軸13cを軸受13dにより配設し、駆動軸13aと従動軸13cとの間に機枠体4の左右方向Bの移動を許容するための前後一対の自在継手13e・13e及び伸縮自在な伝動軸13fからなる動力伝動機構13を介装してなり、この伝動軸13fは相互に回り止め状態でスライド自在に嵌合した六角内穴をもつ外筒体13g及び六角棒状の内杆体13hからなり、そして、上記機枠体4の左右移動により左右方向Bに振れ動作θする動力伝動機構13の上記伝動軸13fを、上記整畦機構7の上方位置とする干渉回避位置Dに配設し、この場合、干渉回避位置Dは上記整畦機構7及び上記機枠体4の上方位置であって、上記機枠体4の進行方向の後方位置にして上記従動軸13cを上記伝動軸13fが機枠体4を跨越する状態となる位置に配設している。
【0019】
又、この場合、図2、図3の如く、上記取付枠体3の水平杆部3aに上記走行機体1の動力取出軸1aにより自在継手機構1bを介して駆動される動力軸14aを配設し、上記取付枠体3の中央縦杆部3bに中間軸14cを配設し、動力軸14aと中間軸14cとの間に一対の変向用歯車14d・14eを配設し、中間軸14cと上記駆動軸13aとの間にチェーン14bからなる前部伝動機構14を介装し、かつ、上記機枠体4に上記従動軸13cの下方に位置して入力軸15aを配設し、入力軸15aと上記駆動主軸4bとを直結構造とし、入力軸15aと上記従動軸13cとの間にチェーン15bからなる後部伝動機構15を介装して構成している。
【0020】
16は前処理機構であって、図6の如く、跳上回転体8の進行方向前方位置に設けられ、この場合、上記軸受筒部4aの前部にチェーンケース16aの基部を一方側方位置Rの畦Wに向けて上下揺動自在に突設し、チェーンケース16aの前部に複数個の前処理刃16bをもつ前処理ロータ16cを回転自在に設け、チェーンケース16aを鎖材16dにより前記枢軸11fに係着し、前処理ロータ16cのロータ軸16fと駆動主軸4bとの間にチェーン機構16eを介在し、チェーン機構16eにより前処理ロータ16cと跳上回転体8の回転方向とを異方向に設定し、旧畦と盛土との結着性を高めるため、前処理ロータ16cの回転により一方側方位置Rの畦Wの上面W1を予め削取するように構成している。
【0021】
この実施の形態例は上記構成であるから、図8乃至図11の如く、移動機構6の作動用モータ6aの駆動により移動案内機構5のガイド杆5a・5aとガイドロール5d・5dとのスライド嵌合で機枠体4を一方側方位置Rとしての図9中、右側位置に移動させ、この状態で、走行機体1を図15中の矢印方向の反時計回りに旧畦に沿って走行させ、走行機体1の動力取出軸1aを回転させると、取付枠体3に配設された駆動軸13a、機枠体4に配設された従動軸13c、前後一対の自在継手13e・13e及び伸縮自在な伝動軸13fからなる動力伝動機構13を介して整畦機構7が駆動され、前処理機構16の前処理ロータ16cの回転により一方側方位置Rの畦Wの上面W1は削取され、放出位置変向機構9の可動カバー部材12の回動により開口部Kが開口され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる圃場Mの泥土はそのまま一方側方位置Rの畦Wの上に放出され、跳上回転体8の後方位置に配置された左右一対の整畦体10・10のうちの一方側方位置Rの整畦体10は一方側方位置Rの畦Wの上面W1及び一方側面W2に回転接触して畦Wの上面W1及び一方側面W2を回転整畦し、他方の整畦体10は圃場Mに沈入して整畦反力を受け、走行機体1の走行速度に対して整畦体10の回転速度を高めることにより整畦体10は畦W面に回転すべり接触し、回転すべり接触により畦W面を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、これにより図15に示す畦Wの四隅部分の未整畦処理部分Tを残して整畦作業が行われることになる。
【0022】
次いで、上記未整畦処理部分Tの整畦に際しては、図12乃至図14の如く、移動機構6の作動用モータ6aの駆動により機枠体4を他方側方位置Lとしての図13中、左側位置に移動させ、この状態で、走行機体1を図15中の矢印方向とは反対回りの時計回りに旧畦に沿って走行し、走行機体1の動力取出軸1aを回転させると、放出位置変向機構9の可動カバー部材12の回動により一方側方の開口部Kは閉口されて他方側方の開口部Fが形成され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる圃場Mの泥土は可動カバー部材12の上部を介して他方側方の開口部Fを介して他方側方位置Lの畦Wの上に放出案内され、跳上回転体8の後方位置に配置された左右一対の整畦体10・10のうちの他方側方位置Lの整畦体10は他方側方位置Lの畦Wの上面W1及び一方側面W2に回転接触して畦Wの上面W1及び一方側面W2を回転整畦し、これにより図15に示す未整畦処理部分Tの整畦作業が行われることになる。
【0023】
したがって、機枠体4を移動機構6により走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに移動させると共に放出位置変向機構9により跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上に選択的に放出案内させることができ、跳上回転体8の後方位置に配置された左右一対の整畦体10・10のいずれかの整畦体10により一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wを整畦することができ、未整畦処理部分Tを残すことなく容易に整畦作業を行うことができる。
【0024】
この場合、上記取付枠体3に上記機枠体4を移動案内機構5により走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに移動自在に設けているから、移動案内機構5により機枠体4を円滑に左右移動させることができる。
【0025】
この際、上記機枠体4の左右移動により左右方向に振れ動作θする上記動力伝動機構13の伝動軸13fを、上記整畦機構7の上方位置とする干渉回避位置Dに配設してなるから、進行方向前方の取付枠体3に配設された駆動軸13aと機枠体4側の従動軸13cとの進行方向の距離を長く取ることができ、それだけ、伝動軸13fの伸縮量、すなわち、外筒体13gと内杆体13hとのスライド量を小さくすることができ、上記機枠体4の左右方向Bの移動による上記伝動軸13fの左右方向Bの振れ動作θを円滑に行うことができ、機枠体4の左右移動も円滑に行うことができ、自在継手13e・13eの折曲角度も小さくできて動力伝動を円滑に行うことができ、整畦作業性を向上することができる。
【0026】
又、この場合、上記干渉回避位置Dは上記整畦機構7及び上記機枠体4の上方位置であって、上記機枠体4に上記従動軸13cを上記伝動軸13fが機枠体4の上方を跨越する状態となる位置に配設されているから、上記機枠体4の左右方向の移動に支障を与えることがなくなり、機枠体4に配設される整畦機構7を構成する跳上回転体8などの構成要素の配置の融通性を高めることができ、又、この場合、上記取付枠体3に上記走行機体1の動力取出軸1aにより駆動される動力軸14aを配設し、動力軸14aと上記駆動軸13aとの間に前部伝動機構14を介装してなるから、走行機体1から整畦機構7への動力伝動構造を簡素化することができ、又、この場合、上記機枠体4に上記従動軸13cの下方に位置して入力軸15aを配設し、入力軸15aと上記従動軸13cとの間に後部伝動機構15を介装してなるから、走行機体1から整畦機構7への動力伝動構造を簡素化することができ、又、この場合、上記左右一対の整畦体10・10は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部10a及び畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部10bからなるので、畦Wを確実に締圧することができる。
【0027】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、移動機構として、走行機体1の駆動源により油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプにより油圧シリンダを駆動し、油圧シリンダにより機枠体4を左右移動させる構造を採用したり、走行機体1の電気駆動源を用いて電気制御される電動シリンダにより直接機枠体4を左右移動させる構造を採用したり、ハンドルにより回動される親ねじ構造を用いた手動式構造を採用したりすることができ、又、移動案内機構5として、左右一対の水平リンクからなる平行リンク機構を採用したり、他のリンク構造を採用したりすることもでき、その他、取付枠体3、移動案内機構5、移動機構6、整畦機構7、跳上回転体8、放出位置変向機構9、整畦体10の構造や形状等は適宜変更して設計されるものである。
【0028】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0029】
R 一方側方位置
L 他方側方位置
W 畦
W1 上面
W2 一方側面
M 圃場
B 左右方向
1 走行機体
2 連結機構
3 取付枠体
4 機枠体
5 移動案内機構
6 移動機構
7 整畦機構
8 跳上回転体
9 放出位置変向機構
10 整畦体
10a 上面整畦部
10b 側面整畦部
13 動力伝動機構
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば畦の造成作業や修復作業等に用いられる整畦機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の整畦機として、走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、取付枠体に機枠体を移動案内機構により走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設け、機枠体を左右方向に移動させる移動機構を設け、機枠体に整畦機構を配設し、取付枠体に走行機体を駆動源とする駆動軸を配設し、機枠体に整畦機構の駆動源となる従動軸を配設し、駆動軸と従動軸との間に該機枠体の左右方向の移動を許容する前後一対の自在継手からなる動力伝動機構を介装してなる構造のものが知られている。
【0003】
また、上記整畦機構として、走行機体の進行方向後方両側方位置に主整畦機構Q及び副整畦機構Hを配置し、図15に示す如く、圃場M内において、走行機体Sを図中矢印方向の反時計回りに走行しつつ走行機体の一方側方位置の主整畦機構Qにより整畦作業を行うと共に走行機体Sの前部から主整畦機構Qの作業部位までの不可避的に残った未整畦処理部分Tを走行機体Sを矢印方向とは反対回りの時計回りに走行して副整畦機構Hにより整畦作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−325502
【特許文献2】特許第4096275号
【特許文献3】実開昭60−119210号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上記従来構造の場合、上記主整畦機構及び副整畦機構は、それぞれ、旧畦上に泥土を跳ね上げる盛土ロータ、畦面を回転整畦可能な回転整畦体及び駆動系統をそれぞれ備えており、それだけ、全体の構造が複雑化し易く、大型化及び重量化し易く、安全性の配慮が特に必要となると共に走行安定性が阻害されることがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、該取付枠体に機枠体を該走行機体の進行方向に対して左右方向に移動させる移動機構を設け、該機枠体に整畦機構を配設し、該整畦機構を駆動するための動力伝動機構を配設してなり、上記整畦機構として、上記機枠体に圃場の泥土を跳上可能な跳上回転体を設け、該跳上回転体の回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置又は他方側方位置の畦の上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構を設け、該跳上回転体の後方位置に一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦可能な左右一対の整畦体を設けてなることを特徴とする整畦機にある。
【0007】
又、請求項2記載の発明は、上記取付枠体に上記機枠体を移動案内機構により上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記左右一対の整畦体は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦の上面を整畦可能な上面整畦部及び畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、機枠体を移動機構により走行機体の進行方向に対して左右方向に移動させると共に放出位置変向機構により跳上回転体により跳ね上げられる泥土を一方側方位置又は他方側方位置の畦の上に選択的に放出案内させることができ、跳上回転体の後方位置に配置された左右一対の整畦体のいずれかの整畦体により一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦することができ、未整畦処理部分を残すことなく容易に整畦作業を行うことができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、上記取付枠体に上記機枠体を移動案内機構により走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設けているから、移動案内機構により機枠体を円滑に左右移動させることができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記左右一対の整畦体は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦の上面を整畦可能な上面整畦部及び畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部からなるので、畦を確実に締圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態例の全体側面図である。
【図2】本発明の実施の形態例の全体側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態例の全体平面図である。
【図4】本発明の実施の形態例の全体後面図である。
【図5】本発明の実施の形態例の全体後断面図である。
【図6】本発明の実施の形態例の全体前断面図である。
【図7】本発明の実施の形態例の部分拡大断面図である。
【図8】本発明の実施の形態例の作業状態の全体平面図である。
【図9】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後面図である。
【図10】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後断面図である。
【図11】本発明の実施の形態例の部分拡大側断面図である。
【図12】本発明の実施の形態例の作業状態の全体平面図である。
【図13】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後面図である。
【図14】本発明の実施の形態例の作業状態の全体後断面図である。
【図15】整畦作業の説明平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図14は本発明の実施の形態例を示し、図1、図2の如く、1は走行機体であって、この場合トラクタが用いられ、走行機体1の後部に三点リンク式の連結機構2により取付枠体3を上下動可能に連結して構成している。この場合、上記取付枠体3は水平杆部3a及び中央縦杆部3bからなる全体として略T状に形成され、連結機構2は左右一対の下部リンク2a・2a、上部リンク2b、走行機体1に既設の上下揺動する左右一対の揺動リンク2c・2c及び吊下リンク2d・2dからなり、この下部リンク2a・2a及び上部リンク2bを走行機体1と取付枠体3との間に枢着連結し、左右一対の揺動リンク2c・2cの揺動により吊下リンク2d・2dを介して取付枠体3を上下動させるように構成している。
【0012】
4は機枠体であって、図2、図3、図4の如く、機枠体4は上記取付枠体3に移動案内機構5により走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに移動自在に設けられ、機枠体4を左右方向Bに移動させる移動機構6が設けられ、この場合、上記取付枠体3の水平杆部3aに左右一対の支持アーム3c・3cを後方に向けて突設し、支持アーム3c・3cに上下のガイド杆5a・5a及び左右の縦杆5b・5bからなる四角枠状のガイド枠体5cを取付け、機枠体4の進行方向の前部に上下一対のガイドロール5d・5dを左右二組設け、ガイド杆5a・5aとガイドロール5d・5dとのスライド嵌合により機枠体4を左右方向Bに移動自在に設け、機枠体4に作動用モータ6aを取り付けると共に機枠体4に軸受6b・6bにより作動軸6cを軸線を進行方向にして回転自在に架設し、作動用モータ6aの主軸と作動軸6cとを継手6dにより連結し、作動軸6cに移動用歯車6eを取り付けると共にガイド枠体5cにラック歯体6fを取付け、作動用モータ6aを正逆回転して移動用歯車6eとラック歯体6fとの歯合により機枠体4を左右方向Bに移動させるように構成している。
【0013】
7は整畦機構であって、上記機枠体4に設けられ、大別して、跳上回転体8及び整畦体10・10からなり、この場合、図5の如く、上記機枠体4に走行機体1の進行方向の回転軸線Oの廻りに一方向Nに回転して圃場Mの泥土を跳上可能な跳上回転体8を設け、跳上回転体8の上方位置に跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構9を設け、跳上回転体8の後方位置に一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上面W1及び一方側面W2を整畦可能な左右一対の整畦体10・10を設けて構成している。
【0014】
この場合、上記跳上回転体8は、図5、6の如く、ローター胴8aの外周面に複数個のナタ刃状の跳上刃8bを突設してなり、図5の如く、走行機体1の進行方向の回転軸線Oの廻りに一方向Nに回転して圃場Mの泥土を跳ね上げる構造となっており、又、上記放出位置変向機構9は、図2、図5の如く、機枠体4に上記跳上回転体8の上方位置、前後位置及び両側方位置を覆う上板11a、前板11b、後板11c及び側板11d・11dからなる底面が開口する略四角筒状の固定カバー部材11を取付け、この場合、固定カバー部材11は分割形成された左右一対の半カバー体11e・11eからなり、左右一対の半カバー体11e・11eは機枠体4にそれぞれ枢軸11f・11fにより上下退避回動自在に設けられ、上記機枠体4の下部に軸受筒部4aを進行方向に横設し、軸受筒部4aに駆動主軸4bを軸受し、軸受筒部4aの外周面に可動カバー部材12に形成した回動リング12aを回動自在に嵌合し、図2の如く、可動カバー部材12は跳上回転体8の上方位置、前後位置及び両側方位置を覆う半円弧状の上板12b、縁板状の前板12c及び後板12dからなり、上記作動軸6cに変向用歯車9aを取り付けると共に可動カバー部材12に弧状ラック歯体9bを取付け、作動用モータ6aを正逆回転して変向用歯車9aと弧状ラック歯体9bとの歯合により可動カバー部材12を正逆回動させるように構成している。
【0015】
しかして、上記放出位置変向機構9の作動用モータ6aにより作動軸6cを回転させると、図5から図10の如く、可動カバー部材12は反時計回りに回転して一方側方に開口部Kが形成され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土はそのまま一方側方の開口部Kを介して一方側方位置Rの畦Wの上に放出案内され、又、作動用モータ6aにより作動軸6cを逆回転させると、図5から図14の如く、可動カバー部材12は時計回りに回転して一方側方の開口部Kは閉口されて他方側方の開口部Fが形成され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土は可動カバー部材12の上部を経てから他方側方の開口部Fを介して他方側方位置Lの畦Wの上に放出案内されることになる。
【0016】
又、この場合、上記左右一対の整畦体10・10は、相互に左右対称に形成され、図4の如く、それぞれ、畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部10a及び畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部10bからなり、上面整畦部10a及び側面整畦部10bは、それぞれ、ローター枠体10cの外周面部に複数個の圧締面部G・・を形成し、各々の圧締面部Gに隣り合う回転方向後方位置の圧締面部Gに至る長さの圧締板体Eを配設し、この圧締板体Eは可撓性を有するナイロン樹脂や塩化ビニール樹脂等の合成樹脂やステンレスやバネ鋼等の金属からなる外的負荷により弾性的に撓み得る材質の可撓性板材により形成されている。
【0017】
この場合、図2、図4の如く、上記機枠体4の下部に軸受筒部4aを縦架材4c・4cにより設け、軸受筒部4aに駆動主軸4bを軸受し、軸受筒部4aの後部に一体又は別体の支持駆動軸4d・4dを走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに横設し、駆動主軸4bと支持駆動軸4dとの間に歯車機構4eを設け、支持駆動軸4d・4dの左右両端部に左右一対の整畦体10・10を取り付け、走行機体1を駆動源として動力伝動機構13を介して駆動主軸4bを一方向Nに回転させ、跳上回転体8及び左右一対の整畦体10・10を図1中、矢印方向の一方向Cに回転させるように構成している。
【0018】
この場合、図2、図3の如く、上記取付枠体3の中央縦杆部3bの上部にブラケット3dを取り付け、ブラケット3dに走行機体1を駆動源とする駆動軸13aを軸受13bにより配設し、機枠体4に整畦機構7の駆動源となる従動軸13cを軸受13dにより配設し、駆動軸13aと従動軸13cとの間に機枠体4の左右方向Bの移動を許容するための前後一対の自在継手13e・13e及び伸縮自在な伝動軸13fからなる動力伝動機構13を介装してなり、この伝動軸13fは相互に回り止め状態でスライド自在に嵌合した六角内穴をもつ外筒体13g及び六角棒状の内杆体13hからなり、そして、上記機枠体4の左右移動により左右方向Bに振れ動作θする動力伝動機構13の上記伝動軸13fを、上記整畦機構7の上方位置とする干渉回避位置Dに配設し、この場合、干渉回避位置Dは上記整畦機構7及び上記機枠体4の上方位置であって、上記機枠体4の進行方向の後方位置にして上記従動軸13cを上記伝動軸13fが機枠体4を跨越する状態となる位置に配設している。
【0019】
又、この場合、図2、図3の如く、上記取付枠体3の水平杆部3aに上記走行機体1の動力取出軸1aにより自在継手機構1bを介して駆動される動力軸14aを配設し、上記取付枠体3の中央縦杆部3bに中間軸14cを配設し、動力軸14aと中間軸14cとの間に一対の変向用歯車14d・14eを配設し、中間軸14cと上記駆動軸13aとの間にチェーン14bからなる前部伝動機構14を介装し、かつ、上記機枠体4に上記従動軸13cの下方に位置して入力軸15aを配設し、入力軸15aと上記駆動主軸4bとを直結構造とし、入力軸15aと上記従動軸13cとの間にチェーン15bからなる後部伝動機構15を介装して構成している。
【0020】
16は前処理機構であって、図6の如く、跳上回転体8の進行方向前方位置に設けられ、この場合、上記軸受筒部4aの前部にチェーンケース16aの基部を一方側方位置Rの畦Wに向けて上下揺動自在に突設し、チェーンケース16aの前部に複数個の前処理刃16bをもつ前処理ロータ16cを回転自在に設け、チェーンケース16aを鎖材16dにより前記枢軸11fに係着し、前処理ロータ16cのロータ軸16fと駆動主軸4bとの間にチェーン機構16eを介在し、チェーン機構16eにより前処理ロータ16cと跳上回転体8の回転方向とを異方向に設定し、旧畦と盛土との結着性を高めるため、前処理ロータ16cの回転により一方側方位置Rの畦Wの上面W1を予め削取するように構成している。
【0021】
この実施の形態例は上記構成であるから、図8乃至図11の如く、移動機構6の作動用モータ6aの駆動により移動案内機構5のガイド杆5a・5aとガイドロール5d・5dとのスライド嵌合で機枠体4を一方側方位置Rとしての図9中、右側位置に移動させ、この状態で、走行機体1を図15中の矢印方向の反時計回りに旧畦に沿って走行させ、走行機体1の動力取出軸1aを回転させると、取付枠体3に配設された駆動軸13a、機枠体4に配設された従動軸13c、前後一対の自在継手13e・13e及び伸縮自在な伝動軸13fからなる動力伝動機構13を介して整畦機構7が駆動され、前処理機構16の前処理ロータ16cの回転により一方側方位置Rの畦Wの上面W1は削取され、放出位置変向機構9の可動カバー部材12の回動により開口部Kが開口され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる圃場Mの泥土はそのまま一方側方位置Rの畦Wの上に放出され、跳上回転体8の後方位置に配置された左右一対の整畦体10・10のうちの一方側方位置Rの整畦体10は一方側方位置Rの畦Wの上面W1及び一方側面W2に回転接触して畦Wの上面W1及び一方側面W2を回転整畦し、他方の整畦体10は圃場Mに沈入して整畦反力を受け、走行機体1の走行速度に対して整畦体10の回転速度を高めることにより整畦体10は畦W面に回転すべり接触し、回転すべり接触により畦W面を円滑かつ強固に締圧整畦することができ、これにより図15に示す畦Wの四隅部分の未整畦処理部分Tを残して整畦作業が行われることになる。
【0022】
次いで、上記未整畦処理部分Tの整畦に際しては、図12乃至図14の如く、移動機構6の作動用モータ6aの駆動により機枠体4を他方側方位置Lとしての図13中、左側位置に移動させ、この状態で、走行機体1を図15中の矢印方向とは反対回りの時計回りに旧畦に沿って走行し、走行機体1の動力取出軸1aを回転させると、放出位置変向機構9の可動カバー部材12の回動により一方側方の開口部Kは閉口されて他方側方の開口部Fが形成され、跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる圃場Mの泥土は可動カバー部材12の上部を介して他方側方の開口部Fを介して他方側方位置Lの畦Wの上に放出案内され、跳上回転体8の後方位置に配置された左右一対の整畦体10・10のうちの他方側方位置Lの整畦体10は他方側方位置Lの畦Wの上面W1及び一方側面W2に回転接触して畦Wの上面W1及び一方側面W2を回転整畦し、これにより図15に示す未整畦処理部分Tの整畦作業が行われることになる。
【0023】
したがって、機枠体4を移動機構6により走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに移動させると共に放出位置変向機構9により跳上回転体8の一方向Nの回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wの上に選択的に放出案内させることができ、跳上回転体8の後方位置に配置された左右一対の整畦体10・10のいずれかの整畦体10により一方側方位置R又は他方側方位置Lの畦Wを整畦することができ、未整畦処理部分Tを残すことなく容易に整畦作業を行うことができる。
【0024】
この場合、上記取付枠体3に上記機枠体4を移動案内機構5により走行機体1の進行方向に対して直交する左右方向Bに移動自在に設けているから、移動案内機構5により機枠体4を円滑に左右移動させることができる。
【0025】
この際、上記機枠体4の左右移動により左右方向に振れ動作θする上記動力伝動機構13の伝動軸13fを、上記整畦機構7の上方位置とする干渉回避位置Dに配設してなるから、進行方向前方の取付枠体3に配設された駆動軸13aと機枠体4側の従動軸13cとの進行方向の距離を長く取ることができ、それだけ、伝動軸13fの伸縮量、すなわち、外筒体13gと内杆体13hとのスライド量を小さくすることができ、上記機枠体4の左右方向Bの移動による上記伝動軸13fの左右方向Bの振れ動作θを円滑に行うことができ、機枠体4の左右移動も円滑に行うことができ、自在継手13e・13eの折曲角度も小さくできて動力伝動を円滑に行うことができ、整畦作業性を向上することができる。
【0026】
又、この場合、上記干渉回避位置Dは上記整畦機構7及び上記機枠体4の上方位置であって、上記機枠体4に上記従動軸13cを上記伝動軸13fが機枠体4の上方を跨越する状態となる位置に配設されているから、上記機枠体4の左右方向の移動に支障を与えることがなくなり、機枠体4に配設される整畦機構7を構成する跳上回転体8などの構成要素の配置の融通性を高めることができ、又、この場合、上記取付枠体3に上記走行機体1の動力取出軸1aにより駆動される動力軸14aを配設し、動力軸14aと上記駆動軸13aとの間に前部伝動機構14を介装してなるから、走行機体1から整畦機構7への動力伝動構造を簡素化することができ、又、この場合、上記機枠体4に上記従動軸13cの下方に位置して入力軸15aを配設し、入力軸15aと上記従動軸13cとの間に後部伝動機構15を介装してなるから、走行機体1から整畦機構7への動力伝動構造を簡素化することができ、又、この場合、上記左右一対の整畦体10・10は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦Wの上面W1を整畦可能な上面整畦部10a及び畦Wの一方側面W2を整畦可能な側面整畦部10bからなるので、畦Wを確実に締圧することができる。
【0027】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、移動機構として、走行機体1の駆動源により油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプにより油圧シリンダを駆動し、油圧シリンダにより機枠体4を左右移動させる構造を採用したり、走行機体1の電気駆動源を用いて電気制御される電動シリンダにより直接機枠体4を左右移動させる構造を採用したり、ハンドルにより回動される親ねじ構造を用いた手動式構造を採用したりすることができ、又、移動案内機構5として、左右一対の水平リンクからなる平行リンク機構を採用したり、他のリンク構造を採用したりすることもでき、その他、取付枠体3、移動案内機構5、移動機構6、整畦機構7、跳上回転体8、放出位置変向機構9、整畦体10の構造や形状等は適宜変更して設計されるものである。
【0028】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0029】
R 一方側方位置
L 他方側方位置
W 畦
W1 上面
W2 一方側面
M 圃場
B 左右方向
1 走行機体
2 連結機構
3 取付枠体
4 機枠体
5 移動案内機構
6 移動機構
7 整畦機構
8 跳上回転体
9 放出位置変向機構
10 整畦体
10a 上面整畦部
10b 側面整畦部
13 動力伝動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、該取付枠体に機枠体を該走行機体の進行方向に対して左右方向に移動させる移動機構を設け、該機枠体に整畦機構を配設し、該整畦機構を駆動するための動力伝動機構を配設してなり、上記整畦機構として、上記機枠体に圃場の泥土を跳上可能な跳上回転体を設け、該跳上回転体の回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置又は他方側方位置の畦の上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構を設け、該跳上回転体の後方位置に一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦可能な左右一対の整畦体を設けてなることを特徴とする整畦機。
【請求項2】
上記取付枠体に上記機枠体を移動案内機構により上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設けてなることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】
上記左右一対の整畦体は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦の上面を整畦可能な上面整畦部及び畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部からなることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【請求項1】
走行機体に連結機構により取付枠体を連結し、該取付枠体に機枠体を該走行機体の進行方向に対して左右方向に移動させる移動機構を設け、該機枠体に整畦機構を配設し、該整畦機構を駆動するための動力伝動機構を配設してなり、上記整畦機構として、上記機枠体に圃場の泥土を跳上可能な跳上回転体を設け、該跳上回転体の回転により跳ね上げられる泥土を一方側方位置又は他方側方位置の畦の上に選択的に放出案内可能な放出位置変向機構を設け、該跳上回転体の後方位置に一方側方位置又は他方側方位置の畦を整畦可能な左右一対の整畦体を設けてなることを特徴とする整畦機。
【請求項2】
上記取付枠体に上記機枠体を移動案内機構により上記走行機体の進行方向に対して直交する左右方向に移動自在に設けてなることを特徴とする請求項1記載の整畦機。
【請求項3】
上記左右一対の整畦体は、相互に左右対称に形成され、それぞれ、畦の上面を整畦可能な上面整畦部及び畦の一方側面を整畦可能な側面整畦部からなることを特徴とする請求項1又は2記載の整畦機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−231803(P2012−231803A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193869(P2012−193869)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2011−51961(P2011−51961)の分割
【原出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(395008849)株式会社富士トレーラー製作所 (32)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【分割の表示】特願2011−51961(P2011−51961)の分割
【原出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(395008849)株式会社富士トレーラー製作所 (32)
【Fターム(参考)】
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