説明

敷物類の連結体

【課題】並列した複数のマットを、連結具で連結したマット連結体について、マットと床の間に連結具が挟み込まれてマットが床から浮き上がるのを防ぐ。
【解決手段】各マット10の表皮材の角隅に、雌ファスナからなる着脱部13を設け、隣り合うマット10の着脱部13間に、ベースシートの一面に雄ファスナからなる着脱面を有する連結具20を架け渡し、雌雄の面ファスナの係合により着脱可能に取り付ける。このマットの連結体1を床に敷いた場合には、連結具20はマット10上に載って、マット10と床の間に挟み込まれることはないため、マット10が床から浮き上がらない。そのため、マット連結体1は滑りにくく、マット10の表面がデコボコにもならない。連結具20は、可撓性を有するため、マット10の連結が外れにくく、また厚みが小さいため、マット10表面から出張ることもない。着脱部13は角隅にあるため、マット10間に架け渡された連結具20は邪魔にならない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、並列した複数の敷物類を、連結具で連結してなる敷物類の連結体、およびこの敷物類の連結体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
玄関マット、敷物等の敷物類を複数並べて用いる場合、各敷物類がばらばらの方向にずれ動くと都合が悪いので、これら敷物類を連結して一体化することが行われている。
【0003】
たとえば、特許文献1から3には、図3のように、マット10の裏面側の縁部に、連結具20を着脱可能な着脱部を設け、隣り合うマット10の着脱部間に連結具20を架け渡して取り付けることで、マット10を連結具20で連結してなるマット連結体2が開示されている。
【特許文献1】特開2005−80686号公報
【特許文献2】特開2001−87117号公報
【特許文献3】登録実用新案第3023472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図示のように、このマット連結体2を床に敷いた場合、マット10の裏面側に連結具20が架け渡されているため、マット10と床Fの間に連結具20が挟み込まれ、連結具20のせいでマット10が床Fから浮き上がってしまう。
このようにマット10が床Fから浮き上がると、滑りやすくなって危険であり、また、マット10が床Fに着いた部分と、床Fから浮き上がった部分とで高低差が出来るため、マット10表面がデコボコに見えて見栄えも悪い。
【0005】
そこで、この発明の解決すべき課題は、マットをはじめとする敷物類が複数並列したものを、連結具で連結してなる敷物類の連結体について、敷物類と床の間に連結具が挟み込まれて敷物類が床から浮き上がるのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、並列する各敷物類の表面側に、連結具を着脱自在に取り付け可能な着脱部を設け、隣り合う敷物類の着脱部間に連結具を架け渡して取り付ける構成を採用したのである。
【0007】
このように、敷物類の表面側に連結具を架け渡す構成にすると、敷物類の連結体を床に敷いた場合には、連結具は敷物類の上に載る。
そのため、床と敷物類の間に連結具が挟み込まれることはなく、連結具のせいで敷物類が床から浮き上がることがない。
このように床からの浮き上がりがないため、敷物類は滑りにくく、その表面がデコボコ状になることもなく、見た目もよい。
【0008】
この敷物類は、一般に市販されているような着脱部を備えない敷物類の表面側に、連結具を着脱可能な面ファスナ等の部材を取り付け、着脱部を形成することにより製造すると、市販の敷物の有効再利用が図られるため好ましい。
【0009】
あるいはまた、敷物類が表皮材とゴム製の裏材からなる場合では、ゴム製の裏材の加硫成形前に、裏材のゴム原材料に連結具を着脱可能な面ファスナ等の部材を重ね、加硫により裏材の成形と同時に裏材に前記部材を接合させて着脱部を形成することにより製造すると、製造工程が簡略化される。
【0010】
ここで敷物類の着脱部は面ファスナの雌ファスナ(いわゆるループファスナ)からなり、連結具はその一面に面ファスナの雄ファスナ(いわゆるフックファスナ)からなる着脱面を有し、この敷物類の着脱部と連結具の着脱面の雌雄ファスナの係脱により、敷物類に連結具を着脱可能にするのが簡易である。
また、敷物類の着脱部はループ状の起毛が並ぶ雌ファスナからなるため、フック状またはマッシュルーム状の起毛が並ぶ雄ファスナと異なり、敷物類を洗濯しても着脱部に繊維等が絡みつく心配がない。
【0011】
また、連結具をシート体から構成すると、人が連結具を踏んだりして、連結具に衝撃がかかっても、可撓性を有することから敷物類の連結が外れにくく、また厚みが小さいため、敷物類表面から出張ることもない。
【0012】
ここで、着脱部は、敷物類の表面側の任意の位置に設けてもよいが、表面側の隅部に設けると、敷物類の隅同士のみに連結具を架け渡すため、連結具が敷物類上に載る面積が小さく、邪魔にならない。
【発明の効果】
【0013】
敷物類の表面側に連結具を架け渡して連結したので、敷物類が床から浮き上がることが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1および図2に示す実施形態のマット連結体1は、並列する二枚の玄関マット10(以下、マット10と略す。)と、マット10同士を連結する二つの連結具20とからなる。
【0015】
マット10は、その表面となる表皮材11と、その裏面となる裏材12とを貼り合わせることで形成されている。
この表皮材11は、基布にパイルをタフティングした、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、アクリルなどからなるパイル生地であって、クッション機能、靴裏の清掃機能を発揮する。
また裏材12は、ゴム、エラストマーなどの弾性素材からなって、マット10を床Fに置いた場合に、滑り止め機能を発揮する。
図示のように、この裏材12は表皮材11よりも一回り大きく、また、表皮材11の四隅は方形に切り欠かれ、この切り欠き部分に面ファスナの雌ファスナが取り付けられて、着脱部13となっている。
ここで雌ファスナのマット10への取り付けは、縫製、電着、接着、ゴム加硫など任意の手段による。
【0016】
このようなマット10は、例えば、市販されているマットの表皮材11の四隅を切り剥がし、切り剥がして裏材12が表面側に露出した部分に上記任意の手段で雌ファスナを取り付ける加工を行うことで、市販マットを改造して容易に作製することができるため、市販マットの有効再利用が図られる。
【0017】
あるいはまた、裏材12がゴム製である場合には、マット10の製造工程において、その加硫前に裏材12のゴム原材料に雌ファスナを重ね、加硫により裏材12の成形と同時に雌ファスナを裏材12に接合させることで着脱部13を形成することもでき、このようにすると製造工程の簡略化が図られる。
【0018】
また、連結具20は、可撓性を有する厚みの薄いシート体からなる、短冊形のベースシート21の一面に、面ファスナの雄ファスナを取り付けて着脱面22を形成したシート体であって、この着脱面22は、上記マット10の着脱部13と係脱可能になっている。
この雄ファスナのベースシート21への取り付けも、任意の手段により、これら雌雄の面ファスナは、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン製であるのが好ましい。
【0019】
マット10、連結具20を以上のように構成し、隣り合うマット10の着脱部13間に連結具20を架け渡し、着脱部13と着脱面22の雌雄ファスナを係合させて連結具20をマット10に着脱可能に取り付けると、連結具20を介してマット10同士が連結され、マット連結体1が形成される。
【0020】
このように複数のマット10を一体的に連結すると、各マット10がばらばらにずれ動くことがないので、マット10間に隙間が生じることが防止される。
【0021】
また、マット10の表面側に連結具20を架け渡しているため、マット連結体1を床Fに敷いた状態で、連結具20はマット10の上に載っている。
そのため、マット10と床Fの間に連結具20が入りこむことがなく、マット10が連結具20のせいで床Fから浮き上がることはないため、マット連結体1が滑りにくくなっている。
さらに、図3の従来のマット連結体2と異なり、マット10の一部(縁部)が床Fから浮き上がってマット表面がデコボコに見えることがないため、体裁もよい。
【0022】
また、連結具20は、シート体であって可撓性を有しているため、人が踏んだりしてもマット10の連結が外れにくくなっている。
ここで、ベースシート21の厚みは小さいので、連結具20がマット10の上から出張ることもない。
【0023】
さらに、着脱部13は、マット10の四隅に設けられているため、隣接するマット10間に連結具20を架け渡した場合、連結具20がマット10上に載る面積は小さく、邪魔にならない。
【0024】
なお、このマット10を洗濯する場合、着脱部13はループ状の雌ファスナからなるので、フック状またはマッシュルーム状の雄ファスナと異なり、この部分にマット10の表皮材11のパイル等が絡みつく心配はない。
【0025】
また、このように構成すると、大きなマット連結体1を比較的小さな各マット10に分割できるため、業務用洗濯機でなく、市販の洗濯機で洗濯可能である。
そのため、例えばコンビニエンスストアの出入口(玄関)にこのマット連結体1を使用する場合などでも、連結を解いて各マット10に分割し、各コンビニエンスストアで洗濯できる。
よって、回収してクリーニング業者に洗濯を依頼するなどの必要がなく、手間やコストがかからない。
【0026】
この例では、マット10に連結具20を着脱可能とするために、面ファスナを用いているが、着脱可能な構成としては、これに限られず、スナップボタン、スライドファスナなどを用いてもよい。
また、この例では、マット10に雌ファスナを、連結具20に雄ファスナを取り付けているが、逆にマット10に雄ファスナを、連結具20に雌ファスナを取り付けてもよい。
【0027】
また、マット10や連結具20の構造、素材は、この例に限られず、マット10の表皮材11を不織布から構成したり、不織布とパイル生地の二層としたり、マット連結具20の基材を合成樹脂のプレートとしたりしてもよい。
【0028】
マット10や連結具20の形状についても、特に限定はされず、マット10を円形や楕円形にしたり、連結具20を正方形にしたりしてもよい。
勿論、マット10や連結具20の数も、この例には限定されず、マット10を連結具を介して床F面に沿って二次元方向に適宜連結することが可能である。
【0029】
さらに、連結具20のベースシート21の着脱面22と逆側の面(連結状態で表面側となる面)に、パイル生地を貼り付けて、連結具20にもクッション機能、清掃機能を持たせ、かつ目立ちにくくしてもよい。
【0030】
この例では、マット連結体1のマットを玄関マット10としているが、これに限られず、バスマット、キッチンマットなどでもよいし、これらマットに限らずカーペット等の敷物類全般にこの発明の連結構造を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態のマット連結体の全体斜視図
【図2】マット連結体の連結部分の(a)は分解状態を示す拡大図、(b)は連結状態を示す拡大図
【図3】従来のマット連結体の連結部分の拡大図
【符号の説明】
【0032】
1 実施形態のマット連結体
2 従来のマット連結体
10 玄関マット
11 表皮材
12 裏材
13 着脱部(雌ファスナ)
20 連結具
21 ベースシート
22 着脱面(雄ファスナ)
F 床

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列する複数の敷物類の表面側に、連結具を着脱可能な着脱部を設け、隣り合う敷物類の着脱部間にこの連結具を架け渡して取り付けることで、敷物類を連結具で連結してなる敷物類の連結体。
【請求項2】
上記敷物類の着脱部は面ファスナの雌ファスナからなり、上記連結具は面ファスナの雄ファスナからなる着脱面を有し、敷物類の着脱部と連結具の着脱面との雌雄ファスナの係脱により、敷物類に連結具を着脱可能とした請求項1に記載の敷物類の連結体。
【請求項3】
上記連結具は、シート体からなる請求項1または2に記載の敷物類の連結体。
【請求項4】
上記着脱部は、各敷物類の表面側の隅部に形成された請求項1から3のいずれかに記載の敷物類の連結体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の敷物類の連結体の製造方法であって、
着脱部を備えない敷物類の表面側に、連結具を着脱可能な部材を取り付けて着脱部を形成したことを特徴とする敷物類の連結体の製造方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の、表皮材とゴム製の裏材とからなる敷物類を連結具で連結した敷物類の連結体の製造方法であって、
前記ゴム製の裏材の加硫成形前に、裏材のゴム原材料に連結具を着脱可能な部材を重ね、加硫により裏材の成形と同時に裏材に前記部材を接合して着脱部を形成することを特徴とする敷物類の連結体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate