説明

文書作成支援装置、文書作成支援方法、文書作成支援プログラムおよび記録媒体

【課題】期待されるテンプレートを基に文書が作成されていることを確認することができる文書作成支援装置、文書作成支援方法、文書作成支援プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】文書作成支援装置1は、記載項目対応関係記憶部101と、テンプレート生成部103と、文書記憶部104と、文書生成部106と、判定部105と、登録制御部107とを含んで構成される。記載項目対応関係記憶部101は、派生元の文書の記載項目と、派生先の文書の記載項目との対応関係を記憶する。テンプレート生成部103は、特定した記載項目と識別情報との組を含んだ文書を、派生先文書のテンプレートとして出力する。判定部105は、受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書の作成を支援する文書作成支援装置、文書作成支援方法、文書作成支援プログラムおよび記録媒体に関し、より詳細には、文書の項目間の関連付けに基づいた影響箇所の特定、およびバージョン番号の付与などによって文書を特定して文書の管理を行う文書作成支援装置、文書作成支援方法、文書作成支援プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にソフト開発においては、たとえば「要求定義→設計→実装→…」というように各作業の順序が決められており、それぞれの作業の結果として、記載項目が予め決められたテンプレートを使用して文書が作成される。テンプレートの使用は、特に大規模開発、たとえば多数の人、異なる組織および異なる拠点が関係するプロジェクトにおいて、記載項目の認識の齟齬をなくし関係者間でのコミュニケーションが円滑になるといった利点があることから効果的である。
【0003】
上記の「要求定義→設計→実装→…」の各作業で作成される文書のテンプレートの記載項目には、通常、テンプレート間で関連性があり、たとえば「要求定義」の作業で作成または修正した文書は、「設計」の作業で作成する文書に影響を与える。このため、派生元である「要求定義」の文書のどの記載項目が、派生先である「設計」の文書のどの記載項目に影響を与えるかの対応関係が明確になっていることが好ましい。この対応関係が明確になっていない場合、ある文書の修正が他の文書のどこに影響を与えるのかを人手によって特定する必要があるので、手間を要する。この人手による特定では、影響箇所の特定漏れを誘発し、工数超過、ソフトウェアの不具合および手戻りの発生を招くこととなる。
【0004】
第1の従来技術に係るドキュメント作成管理装置(たとえば特許文献1参照)、および第2の従来技術に係る定型文書作成装置(たとえば特許文献2参照)では、影響箇所間の関連付けを行うことによって、ある箇所の変更が他に与える影響を特定することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−46059号公報
【特許文献2】特開平4−211865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、第1の従来技術に係るドキュメント作成管理装置、および第2の従来技術に係る定型文書作成装置は、各装置を中心に据え、これに複数の利用者がアクセスする形で文書を作成する形態を想定している。したがって、システムの外で文書を作成してこれをシステムに登録するためには、必要な記載項目を含んだ文書、たとえばテンプレートまたはテンプレートに記載内容が埋め込まれた文書を、ファイルの形でシステムから取出し、記載項目の加筆または修正を行い、これを各装置に戻すといった仕組みが必要である。しかし、このような仕組みでは、最新ではない文書のファイルを基に加筆または修正が行われた場合、加筆または修正を行った記載項目以外の項目は古い情報のままである可能性があり、この古い情報でシステム上のデータが更新されてしまうという問題を有する。また、第1の従来技術に係るドキュメント作成管理装置では、項目間の関連付けが手作業で行われるので、作業ミスを誘発するという問題を有する。
【0007】
別の仕組みとして、変更が必要となると考えられる箇所だけを取出し、加筆または修正を行い、装置に戻すという仕組みが考えられるけれども、変更の過程で修正を必要とする項目が新たに明らかになる場合も考えられる。したがって、その都度装置から修正を必要とする項目を取出して修正し、修正した項目を装置へ戻すという作業が必要であり、作業負担が増加し、さらに作業ミスを誘発する可能性があるという問題を有する。
【0008】
本発明の目的は、期待されるテンプレートを基に文書が作成されていることを確認することができる文書作成支援装置、文書作成支援方法、文書作成支援プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援するための文書作成支援装置であって、
変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する記載項目対応関係記憶部と、
前記記載項目対応関係記憶部に記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定し、前記特定した記載項目と、前記特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容を識別する情報である識別情報との組を生成し、生成した前記特定した記載項目と前記識別情報との組を含んだ文書を、前記派生先文書のテンプレートとして出力するテンプレート生成部と、
文書を記載項目ごとに記憶する文書記憶部と、
前記テンプレート生成部からテンプレートを取得し、取得したテンプレートの記載項目に、文書記憶部に記憶されている記載項目の記載内容を転記して文書を生成する文書生成部と、
判定の対象とする受付文書を前記文書記憶部に記憶する際に、受付文書の作成に使われたテンプレートが、前記文書記憶部に記憶されている文書のうちで、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、前記識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する判定部と、
前記受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであると、前記判定部によって全ての記載項目について判定されたとき、前記判定文書を前記文書記憶部に記憶させる登録制御部とを含むことを特徴とする文書作成支援装置である。
【0010】
また本発明は、前記登録制御部は、前記受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートでないと、前記判定部によって判定されたとき、前記判定文書に対して記載項目ごとに予め定める加工を行い、加工した判定文書を出力することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記登録制御部は、前記テンプレート生成部によって生成された記載項目とは異なる追加記載項目を含む受付文書を取得するとき、前記追加記載項目と、前記受付文書の派生元となる文書の記載項目との対応関係を含めた受付文書を前記文書記憶部に記憶させ、
前記文書生成部は、前記文書記憶部に記憶される前記追加記載項目を含む文書を生成可能であることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援するための文書作成支援方法であって、
変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する記載項目対応関係記憶工程と、
前記記載項目対応関係記憶工程で記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定し、前記特定した記載項目と、前記特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容を識別する情報である識別情報との組を生成し、生成した前記特定した記載項目と前記識別情報との組を含んだ文書を、前記派生先文書のテンプレートとして出力するテンプレート生成工程と、
文書を記載項目ごとに記憶する文書記憶工程と、
前記テンプレート生成工程で出力されたテンプレートを取得し、取得したテンプレートの記載項目に、文書記憶工程に記憶されている記載項目の記載内容を転記して文書を生成する文書生成工程と、
判定の対象とする受付文書を前記文書記憶工程で記憶する際に、受付文書の作成に使われたテンプレートが、前記文書記憶工程で記憶された文書のうちで、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、前記識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する判定工程と、
前記受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであると、前記判定工程で全ての記載項目について判定されたとき、前記判定文書を前記文書記憶工程に記憶させる登録制御工程とを含むことを特徴とする文書作成支援方法である。
【0013】
また本発明は、コンピュータを、前記文書作成支援装置として機能させるための文書作成支援プログラムである。
【0014】
また本発明は、前記文書作成支援プログラムを記憶したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、文書作成支援装置は、一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援する。文書作成支援装置は、記載項目対応関係記憶部と、テンプレート生成部と、文書記憶部と、文書生成部と、判定部と、登録制御部とを含んで構成される。記載項目対応関係記憶部は、変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する。テンプレート生成部は、記載項目対応関係記憶部に記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定する。テンプレート生成部は、特定した記載項目と、特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容を識別する情報である識別情報との組を生成する。テンプレート生成部は、生成した特定された記載項目と識別情報との組を含んだ文書を、派生先文書のテンプレートとして出力する。文書記憶部は、文書を記載項目ごとに記憶する。文書生成部は、テンプレート生成部からテンプレートを取得し、取得したテンプレートの記載項目に、文書記憶部に記憶されている記載項目の記載内容を転記して文書を生成する。判定部は、判定の対象とする受付文書を文書記憶部に記憶する際に、受付文書の作成に使われたテンプレートが、文書記憶部に記憶されている文書のうちで、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する。登録制御部は、受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであると、判定部によって全ての記載項目について判定されたとき、判定文書を文書記憶部に記憶させる。
【0016】
これによって、文書作成支援装置は、テンプレート生成部が生成したテンプレートおよび文書生成部が生成した文書を、たとえば文書を作成する利用者に提供することができる。したがって、利用者は、提供されたテンプレートまたは文書に対して、訂正または加筆などの編集をすることによって新たな文書を容易に作成することができる。
【0017】
また、文書作成支援装置は、文書の作成に利用されたテンプレートの問題の有無を記載項目ごとに判別するので、最新でない文書を基に編集された文書が、文書記憶部に記憶されることを防止することができる。これによって、文書作成支援装置は、利用者の意図に反した文書、たとえば編集された古い記載項目を含む文書が、文書記憶部において更新して記憶されることを防止することができる。
【0018】
また本発明によれば、登録制御部は、受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートでないと、判定部によって判定されたとき、判定文書に対して記載項目ごとに予め定める加工を行い、加工した判定文書を出力する。
【0019】
これによって、文書作成支援装置は、問題がある箇所を予め定める加工、たとえば色付け、または文字の大きさの変更などを行うことによって、問題がない箇所と区別して表示することができる。したがって、文書作成支援装置は、利用者が記憶させようとしている文書内の問題がある箇所を強調表示して利用者に報知することができる。これによって、利用者は、強調表示された問題のある箇所を修正することで、適切な文書を容易に作成することができる。
【0020】
また本発明によれば、登録制御部は、テンプレート生成部によって生成された記載項目とは異なる追加記載項目を含む受付文書を取得するとき、追加記載項目と、受付文書の派生元となる文書の記載項目との対応関係を含めた受付文書を文書記憶部に記憶させる。文書生成部は、文書記憶部に記憶される追加記載項目を含む文書を生成可能である。
【0021】
これによって、文書作成支援装置は、文書作成支援装置が自動で設ける記載項目以外に、新たな記載項目である追加記載項目を利用者が文書へ自由に追加できるので、文書の記載項目の柔軟性を高め、文書作成の利便性を向上させることができる。
【0022】
また本発明によれば、文書作成支援方法は、一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援する。文書作成支援方法は、記載項目対応関係記憶工程と、テンプレート生成工程と、文書記憶工程と、文書生成工程と、判定工程と、登録制御工程とを含む。記載項目対応関係記憶工程では、変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する。テンプレート生成工程では、記載項目対応関係記憶工程で記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定する。テンプレート生成工程では、特定した記載項目と、特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容を識別する情報である識別情報との組を生成する。テンプレート生成工程では、生成した特定された記載項目と識別情報との組を含んだ文書を、派生先文書のテンプレートとして出力する。文書記憶工程では、文書を記載項目ごとに記憶する。文書生成工程では、テンプレート生成工程で出力されたテンプレートを取得し、取得したテンプレートの記載項目に、文書記憶工程に記憶されている記載項目の記載内容を転記して文書を生成する。判定工程では、判定の対象とする受付文書を文書記憶工程で記憶する際に、受付文書の作成に使われたテンプレートが、文書記憶工程で記憶された文書のうちで、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する。登録制御工程では、受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであると、判定工程で全ての記載項目について判定されたとき、判定文書を文書記憶工程に記憶させる。
【0023】
これによって、文書作成支援方法では、テンプレート生成工程で生成したテンプレートおよび文書生成工程で生成した文書を、たとえば文書を作成する利用者に提供することができる。したがって、利用者は、提供されたテンプレートまたは文書に対して、訂正または加筆などの編集をすることによって新たな文書を容易に作成することができる。
【0024】
また、文書作成支援方法では、文書の作成に利用されたテンプレートの問題の有無を記載項目ごとに判別するので、最新でない文書を基に編集された文書が、文書記憶工程で記憶されることを防止することができる。これによって、文書作成支援方法は、利用者の意図に反した文書、たとえば編集された古い記載項目を含む文書が、文書記憶工程で更新して記憶されることを防止することができる。
【0025】
また本発明によれば、文書作成支援プログラムは、コンピュータを、文書作成支援装置として機能させる。
【0026】
また本発明によれば、コンピュータ読取り可能な記録媒体は、文書作成支援プログラムを記憶している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る文書作成支援装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】記載項目対応関係記憶部101が記憶する記載項目対応関係表20の一例を示す図である。
【図3】記載項目対応関係表20の属性205のイメージを示す図である。
【図4】文書記憶部104に格納される文書登録表40の一例を示す図である。
【図5】文書記憶部104に格納される記載項目登録表50の一例を示す図である。
【図6】記載項目対応関係登録部102が、記載項目対応関係表20を登録する処理を示すフローチャートである。
【図7】テンプレート生成部103が、派生元の文書から派生先の文書のテンプレートを生成し出力する処理を示すフローチャートである。
【図8】派生先項目生成結果リスト80の一例を示す図である。
【図9】テンプレート生成部103が出力するテンプレート90の一例を示す図である。
【図10】テンプレート生成部103が出力する記載項目候補リスト100の一例を示す図である。
【図11】判定部105による文書の判定および登録制御部107による文書の登録を示すフローチャートである。
【図12】登録制御部107が受付ける受付文書120の一例を示す図である。
【図13】受付文書120における派生元文書の記載項目と派生先文書の記載項目との対応関係の一例を示す図である。
【図14】登録制御部107が受付ける受付文書140の他の例を示す図である。
【図15】受付文書140における派生元文書の記載項目と派生先文書の記載項目との対応関係の他の例を示す図である。
【図16】登録制御部107が作成するエラーリスト160の一例を示した図である。
【図17】更新された文書登録表170の一例を示す図である。
【図18】更新された記載項目登録表180の一例を示す図である。
【図19】エラー表示文書190の一例を示す図である。
【図20】文書生成部106がテンプレート90に基づいて生成文書210を生成する処理を示すフローチャートである。
【0028】
【図21】文書生成部106によって生成された生成文書210の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る文書作成支援装置1の構成を示すブロック図である。文書作成支援装置1は、互いに関連を有する複数の文書の作成にあたり、最新でない文書が利用されることで文書作成者の意図に反した文書の更新が行われることを防止する。互いに関連を有する複数の文書とは、一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書のことをいう。文書作成支援装置1は、派生元となる文書の記載項目を識別する情報を活用し、これを派生先となる文書のテンプレートの各記載項目に結びつけることで、期待されるテンプレートを基に文書が作成されているかの判定、さらに問題がある可能性がある箇所の提示を行う。
【0030】
文書作成支援装置1は、記載項目対応関係記憶部101と、記載項目対応関係登録部102と、テンプレート生成部103と、文書記憶部104と、判定部105と、文書生成部106と、登録制御部107とを含んで構成される。
【0031】
記載項目対応関係記憶部101は、変更の派生元である一の文書の記載項目と、変更の派生先である他の文書の記載項目との間の対応関係を記憶する。記載項目対応関係登録部102は、前記対応関係の登録に必要な情報を受取り記載項目対応関係記憶部101に格納する。文書記憶部104は、利用者が作成した文書の内容を記憶する。文書記憶部104は、文書を記載項目ごとに記憶する。
【0032】
テンプレート生成部103は、派生元の文書または生成するテンプレートの指定を受取る。テンプレート生成部103は、派生元の文書の指定を受取った場合、派生元の文書から派生先の文書のテンプレートを生成し、生成するテンプレートの指定を受取った場合、派生先の文書のテンプレートを生成する。
【0033】
テンプレート生成部103は、記載項目対応関係記憶部101に記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定する。テンプレート生成部103は、特定した記載項目と、特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容を識別する情報である識別情報との組を生成する。テンプレート生成部103は、生成した特定された記載項目と識別情報との組を含んだ文書を、派生先文書のテンプレートとして出力する。
【0034】
文書生成部106は、テンプレート生成部103からテンプレートを取得し、取得したテンプレートの記載項目に、文書記憶部104に記憶されている記載項目の記載内容を転記して文書を生成し、生成した文書を出力する。
【0035】
判定部105は、利用者が作成した文書を受取り、期待されるテンプレートを使用して文書が作成されているかなどを基に登録可否を判定する。判定部105は、判定の対象とする受付文書を文書記憶部104に記憶する際に、受付文書の作成に使われたテンプレートが、文書記憶部104に記憶されている文書のうちで、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する。
【0036】
登録制御部107は、判定部105によって登録可能であると判定された場合、文書記憶部104に文書の内容を格納する。登録制御部107は、判定部105によって受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであると、全ての記載項目について判定されたとき、判定文書を文書記憶部104に記憶させる。
【0037】
登録制御部107は、テンプレート生成部103によって生成された記載項目とは異なる追加記載項目を含む受付文書を取得するとき、追加記載項目と、受付文書の派生元となる文書の記載項目との対応関係を含めた受付文書を文書記憶部104に記憶させる。文書生成部106は、文書記憶部104に記憶される追加記載項目を含む文書を生成可能である。
【0038】
本実施形態では、上記図1の文書作成支援装置1の各構成要素101〜107は、モニタ、キーボード、マウス、光学ドライブなどの利用者に供される入出力装置を備えたパーソナルコンピュータ内に論理的に配置され、実行され機能するものとするが、実現形態は任意であり特に問わない。パーソナルコンピュータは、図示しないCPU(Central
Processing Unit:中央処理装置)、図示しないメモリを含んで構成され、CPUがメモリに格納される制御プログラムを読出して実行することによって、文書作成支援装置1として機能する。本発明の文書作成支援方法は、文書作成支援装置1によって実行される。
【0039】
図2は、記載項目対応関係記憶部101が記憶する記載項目対応関係表20の一例を示す図である。記載項目対応関係表20は、派生元種別201、派生元記載項目種別202、派生先種別203、派生先記載項目種別204、および属性205の列を含み、参照符206〜212で示す行を含んで構成される。
【0040】
派生元種別201は、他の文書、すなわち派生先の記載項目の元となる派生元の文書の種別を表す列である。記載項目対応関係表20には、2種類の文書が派生元文書種別として含まれており、たとえば行209に「要求仕様書」が示され、行212に「アーキテクチャ設計書」が示されている。
【0041】
派生元記載項目種別202は、派生元文書に含まれ、かつ派生先文書の記載項目に影響を与える記載項目種別を表す列である。記載項目対応関係表20には、派生先の文書に影響を与える記載項目種別が含まれており、たとえば行209に要求仕様書の「ユースケース」が示され、行212にアーキテクチャ設計書の「機能ユニット」が示されている。
【0042】
派生先種別203は、派生元の文書の記載項目が、どの文書に影響を与えるかを表す列である。たとえば記載項目対応関係表20には、行209については、「要求仕様書」という文書種別403の文書の「ユースケース」という記載項目種別の記載項目が「アーキテクチャ設計書」という文書種別403の文書に影響を与えることを表し、行212については、「アーキテクチャ設計書」という文書種別403の文書の「機能ユニット」という項目種別の記載項目が「結合テスト仕様書」という種別の文書に影響を与えることを表している。
【0043】
派生先記載項目種別204は、派生元の文書の記載項目が、派生先の文書のどの記載項目に影響を与えるかを表す列である。たとえば記載項目対応関係表20には、行209については、「要求仕様書」という文書種別403の文書の「ユースケース」という記載項目種別の記載項目が「アーキテクチャ設計書」という文書種別403の文書の「機能ユニット」という記載項目種別の記載項目に影響を与えることを表し、行212については、「アーキテクチャ設計書」という文書種別403の文書の「機能ユニット」という記載項目種別の記載項目が「結合テスト仕様書」という文書種別403の文書の「テスト項目」という記載項目種別の記載項目に影響を与えることを表している。
【0044】
文書の中には、その文書固有の内容で、派生元の文書から影響を受けない記載項目を含むことが考えられる。その場合は、参照符206〜208、210、211で示す行のように、該当する派生元種別201の派生元記載項目について派生元から影響を受けないことを示す「―」を記載する。
【0045】
属性205は、派生元の文書の記載項目が派生先の文書の記載項目にどのような影響を与えるかなどを表す列である。たとえば、行209の「組み合わせ」では、派生元の文書に複数の同一種別の派生元記載項目が含まれる場合に、それらの全ての組み合わせの数について、派生先の記載項目が対応する。全ての組み合わせの数とは、派生元記載項目の数がn個の場合は、1個の組み合わせの数、2個の組み合わせの数、n個の組み合わせの数をいう。行212の「組み合わせ(2)」では、派生元の文書に複数の同一種別の派生元記載項目が含まれる場合に、その中の2つ要素の組み合わせそれぞれについて派生先の記載項目が対応する。
【0046】
また、本実施形態では206、207、210、211のように、文書に必ず1つは含むような記載項目種別には「デフォルト」を属性として指定し、テンプレート生成の際に必ずその記載項目種別の記載項目がテンプレートに含まれるようにするものとする。
【0047】
図3は、記載項目対応関係表20の属性205のイメージを示す図である。図3(a)は、記載項目対応関係表20の属性205の「組み合わせ」のイメージの一例を示す。たとえば要求仕様書に「ユースケース」という種別の記載項目が、ユースケース1,2の計2つあった場合、派生先の文書であるアーキテクチャ設計書には「機能ユニット」という種別の記載項目の3つが対応することを示している。
【0048】
具体的には、参照符301で示すユースケース1には、参照符303で示す機能ユニット1が対応し、参照符302で示すユースケース2には、参照符304で示す機能ユニット2が対応し、ユースケース1,2の組み合わせには、参照符305で示す機能ユニット3が対応することを示している。
【0049】
図3(b)は、記載項目対応関係表20の属性205の「組み合わせ(2)」のイメージの一例を示す。たとえばアーキテクチャ設計書に「機能ユニット」という種別の記載項目が機能ユニット1〜3の計3つあった場合、派生先の文書である結合テスト仕様書には「テスト項目」という種別の記載項目3つがそれぞれ機能ユニット1〜3の中の2つの組み合わせそれぞれに対応することを示している。テンプレート生成部では、この属性の情報を基に派生元の文書の記載項目から派生先の文書の記載項目を生成する。
【0050】
具体的には、機能ユニット1,2の組み合わせには、参照符306で示すテスト項目1が対応し、機能ユニット1,3の組み合わせには、参照符307で示すテスト項目2が対応し、機能ユニット2,3の組み合わせには、参照符308で示すテスト項目3が対応することを示している。
【0051】
図4は、文書記憶部104に格納される文書登録表40の一例を示す図である。文書登録表40は、文書の名前や種別を記憶するための表である。文書登録表40は、文書ID401、文書名402、文書種別403の列を含んで構成され、参照符404,405で示す行を含んで構成される。
【0052】
文書ID401は、文書作成支援装置1内で文書を一意に識別するためのIDを表す列である。文書のテンプレートの初回生成時に、たとえば1から始まる整数が、文書ID401として順番に付与される。
【0053】
文書名402は、文書の名前を表す列である。文書名402は、テンプレートの初回生成時には、文書作成支援装置1によって自動で生成され、テンプレートを用いて作成された文書を本文書作成支援装置1に格納する際に、文書内において利用者によって任意の文字列で置き換えることで更新が可能である。
【0054】
文書種別403は、文書の種別を表す列である。具体的には文書種別403は、図2の記載項目対応関係表20の派生元種別201および派生先種別203の列に示す要求仕様書、アーキテクチャ設計書、要求仕様書、アーキテクチャ設計書、および結合テスト仕様書などである。
【0055】
図5は、文書記憶部104に格納される記載項目登録表50の一例を示す図である。記載項目登録表50は、文書の内容を記載項目ごとに記憶するための表である。記載項目登録表50は、項目ID501、派生元項目ID502、識別情報503、有効504、文書ID505、記載項目名506、記載項目種別507、および記載内容508の列を含んで構成され、参照符509,510で示す行を含んで構成される。
【0056】
項目ID501は、文書作成支援装置1内で文書の記載項目を一意に識別するためのIDを表す列である。項目ID501には、文書登録時などの記載項目の追加の際に、たとえば1から始まる整数が順番に付与される。
【0057】
派生元項目ID502は、図2の記載項目対応関係表20に示される記載項目の対応関係を基に、既に登録されている派生元の記載項目のどの項目から派生しているかを表す列であり、既に付与されている項目ID501のいずれかが入る。ただし、派生元となる文書が存在しない文書の記載項目、各文書固有の記載項目などの場合は、派生元の記載項目が存在しないことを示す「―」が、派生元項目ID502に記載される。また、複数の記載項目から派生される項目もあるが、その場合は、「1:2:…」のように「:(コロン)」で区切るなどして記載される。
【0058】
識別情報503は、その記載項目の内容を識別する情報を表す列であり、本実施形態では、記載項目の初回登録時には「1」と記載され、それ以降、記載内容の更新がある度に「2、3、…」と1ずつ増えていくものとする。
【0059】
有効504は、その記載項目が、更新後の文書にも含まれているかを表す列であり、文書の初回登録時に、全ての記載項目は「有効」として登録され、更新後の文書を再登録する際に、その項目が削除されていれば「無効」とする。文書ID505は、その記載項目が、どの文書の記載項目かを表す列であり、図4の文書登録表40の文書ID401の対応する文書IDが使用される。
【0060】
記載項目名506は、記載項目の名前を表す列で、「ユースケース1」や「ユースケース1:○○操作を行う」など、利用者が文書を編集し、編集した文書を再登録することによって任意の名前にすることが可能である。記載項目種別507は、記載項目の種別を表す列で、図2の記載項目対応関係表20に示される派生元記載項目種別202および派生先記載項目種別204に含まれる記載項目の種別のいずれかを示す。
【0061】
記載内容508は、その記載項目自体の内容を表す列であり、本実施形態ではテキストで作成された文書を扱うことを前提とし、各記載項目のテキストの内容をそのままこの列に格納するものとする。他の実施形態では、文書内の図表を識別しテキストと図表とを分離する部分、または図表の差分の有無を識別する部分を文書作成支援装置1に含める構成とすることによって、図表などのテキスト以外の情報を扱うための拡張を行うことができる。
【0062】
以下、本発明の一般的な利用シーンである(1)記載項目対応関係を登録する処理、(2)テンプレートを生成する処理、(3)文書を登録する処理、および(4)文書を生成する処理の各処理についてフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0063】
「(1)記載項目対応関係を登録する処理」では、利用者は、記載項目対応関係表20が示す各記載項目の対応関係を文書作成支援装置1に登録する。この処理について、図1、図2、図6を用いて詳細に説明する。
【0064】
図6は、記載項目対応関係登録部102が、記載項目対応関係表20を登録する処理を示すフローチャートである。記載項目対応関係表20は、項目、すなわち行ごとに、記載項目対応関係登録部102によって、記載項目対応関係記憶部101に登録される。
【0065】
ステップS601において、記載項目対応関係登録部102は、記載項目関係の登録に必要な項目である5項目、すなわち派生元種別201、派生元記載項目種別202、派生先種別203、派生先記載項目種別204、および属性205の入力を利用者に促す画面を、モニタに表示する。利用者は、前記画面の表示に従って、上記5項目を入力し、記載項目対応関係登録部102は、これらを受付ける。
【0066】
ステップS602において、記載項目対応関係登録部102は、ステップS601において受付けた5つの入力項目のうち、派生元種別201、派生元記載項目種別202、派生先種別203、および派生先記載項目種別204の4項目の組が、記載項目対応関係記憶部101に既に格納されているか否かを判定する。記載項目対応関係登録部102によって、前記4項目の組が記載項目対応関係記憶部101に格納されていると判定されると、ステップS604に進み、前記4項目の組が記載項目対応関係記憶部101に格納されていないと判定されると、ステップS603に進む。
【0067】
ステップS603において、ステップS602における判定の結果、ステップS601で受付けた記載項目対応関係が記載項目対応関係記憶部101に登録されていなければ、記載項目対応関係登録部102は、ステップS601で入力された内容を、記載項目対応関係記憶部101に登録する。
【0068】
ステップS604において、ステップS602における判定の結果、ステップS601で受付けた記載項目対応関係が記載項目対応関係記憶部101に登録されていれば、記載項目対応関係登録部102は、入力内容が既に登録されている旨をモニタに表示する。
【0069】
ステップS605において、記載項目対応関係登録部102は、利用者に引き続き登録を行うか否かを確認する。記載項目対応関係登録部102は、利用者によって登録終了を表す情報が入力された場合、ステップS606に進んで処理を終了し、利用者によって引き続き登録を行うことを表す情報が入力された場合、ステップS601から再度処理を開始する。
【0070】
「(2)テンプレートを生成する処理」では、文書作成支援装置1は、派生元の文書から派生先の文書のテンプレートを生成する。この処理について、図1,図2,図4,図5,図7〜図10を用いて詳細に説明する。
【0071】
図7は、テンプレート生成部103が、派生元の文書から派生先の文書のテンプレートを生成し出力する処理を示すフローチャートである。ステップS701において、テンプレート生成部103は、テンプレートを生成する元となる派生元文書の指定、または生成するテンプレートの指定を受付ける。指定の方法は、派生元文書の指定には、文書ID401または文書名402を利用し、生成するテンプレートの指定には、文書種別403を利用する。
【0072】
なお、本実施形態では説明を簡単化するために、単一のプロジェクトでの開発、単一のプロジェクト内において同一種別の文書は一つのみ作成される場合、たとえば要求仕様書から複数のアーキテクチャ設計書が作成されることがない場合を想定して処理などを記載している。
【0073】
ただし、複数のプロジェクトでの開発で利用する場合は、どのプロジェクトについての文書のテンプレートを生成するのかを示す情報、たとえばプロジェクトID、プロジェクト名などの情報を、システムで扱うための拡張を行うことにより対応可能である。また、個々のプロジェクトにおいて同一種別の文書が複数作成される場合は、作成の元となる情報、たとえばアーキテクチャ設計書が要求仕様書に含まれるユースケースごとに作成される場合はユースケース名などの情報を識別するための情報を、システムで扱うための拡張を行うことにより対応可能である。
【0074】
ステップS702において、テンプレート生成部103は、ステップS701で派生元文書の指定を受付けた場合、文書記憶部104に記憶される文書登録表40から文書ID401、文書種別403を特定し、文書ID401に基づいて記載項目登録表50を検索し、文書ID505が同一でありかつ有効504を示す列が「有効」となっている記載項目を抽出する。そして、前記文書種別403を派生元種別201、前記抽出した記載項目の記載項目種別507を派生元記載項目種別202として、記載項目対応関係記憶部101に記憶される記載項目対応関係表20を検索し、該当する派生先種別203を派生先文書として特定し、リストに含める。
【0075】
たとえば、文書登録表40の文書ID401が「1」の「ソフトウェア要求仕様書」の派生先の文書のテンプレート作成の指示を受けた場合、テンプレート生成部103は、文書種別403「要求仕様書」を派生元文書として特定する。テンプレート生成部103は、記載項目登録表50から、文書ID505が「1」となっておりかつ有効504列が「有効」となっている項目、たとえば項目ID501「1」、「2」の記載項目種別507「ユースケース」を特定する。さらに、テンプレート生成部103は、記載項目対応関係表20から、派生元種別201が「要求仕様書」、派生元記載項目種別202が「ユースケース」となっている行208の派生先種別203「アーキテクチャ設計書」を、派生先文書として特定する。
【0076】
テンプレート生成部103は、ステップS701において生成するテンプレートの指定を文書種別403によって受付けた場合、受付けた文書種別403をリストに含める。
【0077】
ステップS703において、テンプレート生成部103は、ステップS702で作成したリストを参照し、リストの全ての要素、すなわち生成するテンプレートについてステップS704〜ステップS709の処理を行ったか否かを判定する。
【0078】
テンプレート生成部103によって、リストの全ての要素についてステップS704〜S709の処理を行ったと判定された場合、ステップS710に進んで本利用シーンの処理を終了し、ステップS704〜S709の処理を行っていないと判定された場合、ステップS704に進み、残りの要素に対してステップS704〜S709の処理を行う。
【0079】
ステップS704において、テンプレート生成部103は、文書記憶部104に記憶される文書登録表40を参照し、生成しようとするテンプレートに対応する文書種別403の文書が既に登録されているかどうかを確認し、登録されていればその文書ID401を特定し、登録されていなければ文書ID401を新たに発行し、文書名402、文書種別403を文書登録表40に記載する。ここで、文書名402は、利用者によって変更が可能であるけれども、文書作成支援装置1が生成する初期値としては文書種別403と同一の文字列を利用するものとする。
【0080】
ステップS705において、テンプレート生成部103は、記載項目対応関係記憶部101に記憶される記載項目対応関係表20を検索し、派生先種別203が生成しようとするテンプレートの文書種別403と同一となっている行の派生元種別201および派生元記載項目種別202の組を、派生先の文書に影響を与える記載項目として抽出する。たとえば、文書種別403がアーキテクチャ設計書である文書のテンプレートを生成しようとする場合、テンプレート生成部103は、図2の記載項目対応関係表20を検索し、派生先種別203が「アーキテクチャ設計書」となっている行209を特定し、派生元種別201および派生元記載項目種別202の組である要求仕様書およびユースケースを抽出する。
【0081】
ステップS706において、テンプレート生成部103は、文書記憶部104に記憶される文書登録表40を参照し、ステップS705で抽出した派生元種別201および派生元記載項目種別202の組の派生元種別201から、派生元種別201に対応する文書種別403を持った行の文書ID401を取得する。テンプレート生成部103は、文書ID401および派生元記載項目種別202の組を基に、図5の記載項目登録表50を検索し、対応する文書ID505および記載項目種別507の組を持ち、なおかつ、有効504列が「有効」となっている行を派生元文書の記載項目として特定する。
【0082】
たとえば、ステップS705で抽出した派生元種別201および派生元記載項目種別202の複数の組の中に、要求仕様書およびユースケースが含まれていた場合、テンプレート生成部103は、図4の文書登録表40から文書種別403が要求仕様書となっている文書ID401「1」を抽出し、図5の記載項目登録表50の中から、文書ID505が「1」で、派生元記載項目種別202「ユースケース」を記載項目種別507として持ち、なおかつ、有効504が「有効」となっている項目ID501「1」、「2」の行を特定する。
【0083】
ステップS707において、テンプレート生成部103は、ステップS706において特定した派生元文書の記載項目と、記載項目対応関係記憶部101に記憶される記載項目対応関係表20から、派生元の文書の記載項目に起因する派生先文書のテンプレートに必要な記載項目を特定し、記載項目ごとに記載項目名506、記載項目種別507、派生元記載項目の項目ID501、および派生元記載項目の識別情報503の組のリストである派生先項目生成結果リスト80を生成する。
【0084】
たとえば、テンプレート生成部103は、アーキテクチャ設計書のテンプレートを生成しようとしていて、ステップS706において派生元文書の記載項目として、図5の記載項目登録表50の項目ID501「1」、「2」が特定されていたとする。この場合、項目ID501「1」、「2」の記載項目種別507である「ユースケース」は、図2の記載項目対応関係表20の209の行によると、アーキテクチャ設計書の派生先記載項目種別204「機能ユニット」に影響を与え、さらに属性205が「組み合わせ」となっているので、項目ID501「1」に対応する「機能ユニット」、項目ID501「2」に対応する「機能ユニット」、項目ID501「1」と「2」の両方に対応する「機能ユニット」の3つの記載項目が派生先の文書であるアーキテクチャ設計書の記載項目に必要であることが分かる。この結果、3つの機能ユニットに対応した記載項目名506、記載項目種別507、派生元記載項目の項目ID501、および派生元記載項目の識別情報503の組を含んだリストが生成される。
【0085】
図8は、派生先項目生成結果リスト80の一例を示す図である。派生先項目生成結果リスト80は、3つの組を含んだリストを示したものであり、前記3つの記載項目に対応した要素を含んだリストが生成される。たとえば、参照符801で示す行は、左から順に、記載項目名506が「機能ユニット(ユースケース1)」、記載項目種別507が「機能ユニット」、派生元記載項目の項目ID501が「1」、派生元記載項目の識別情報503が「2」であることを示している。記載項目名506については、利用者が、その記載項目の派生元の記載項目が何であるかが分かるように、カッコ内に派生元記載項目の名前を付加する形態となっている。
【0086】
参照符802,803で示す行は、前述した行801と同様であるが、複数の派生元記載項目から派生している行803については、記載項目名506「機能ユニット(ユースケース1:ユースケース2)」、記載項目種別507が「機能ユニット」、派生元記載項目の項目ID501が「1:2」、派生元記載項目の識別情報503が「2:2」で、「機能ユニット(ユースケース1:ユースケース2)」という記載項目が、項目ID501「1」、識別情報503「2」の「ユースケース1」という記載項目と、項目ID501「2」、識別情報503「2」の「ユースケース2」という記載項目とから派生していることを示している。
【0087】
ステップS708において、テンプレート生成部103は、記載項目対応関係記憶部101に記憶される記載項目対応関係表20を参照し、生成しようとしている文書の文書名402および文書ID401と、テンプレートにデフォルトで含まれる記載項目とを取得する。テンプレート生成部103は、取得した文書名402、文書ID401、およびテンプレートにデフォルトで含まれる記載項目と、ステップS707で作成した派生先項目生成結果リストに含まれる要素を並べたものとをテンプレートとして出力し、また、ステップS707で作成した派生先項目生成結果リストのみを記載項目候補として別途出力する。記載項目候補とは、テンプレートに含まれる記載項目以外に利用者によって適宜追加され得る項目のことである。
【0088】
図9は、テンプレート生成部103が出力するテンプレート90の一例を示す図である。たとえば、テンプレート90において、文書名402が「アーキテクチャ設計書」、文書ID401が「1」である文書のテンプレートを生成するにあたって、図8に示す派生先項目生成結果リスト80を受取った場合、テンプレート生成部103は、図2に示す記載項目対応関係表20からアーキテクチャ設計書のデフォルト記載項目である行210,211を特定し、これらと、派生先項目生成結果リスト80とを含んだテンプレート90を生成する。
【0089】
テンプレート90において、下線を引いている部分は、それぞれの記載項目を文書作成支援装置1にて識別するための情報である。参照符901で示す行では、文書名402として「アーキテクチャ設計書」、文書作成支援装置1が識別する情報として文書ID401「2」が出力されている。
【0090】
デフォルトの記載項目である行902,903では、記載項目名506として「目的」、「定義(用語および略語)」、文書作成支援装置1が識別する情報として記載項目種別507「目的」、「定義(用語および略語)」がそれぞれ出力されている。図9の項目904〜906は、図8の項目801〜803と同一である。項目904〜906では、記載項目名506として「機能ユニット(ユースケース1)」、「機能ユニット(ユースケース2)」および「機能ユニット(ユースケース1:ユースケース2)」が示され、文書作成支援装置1が識別する情報として記載項目種別507「機能ユニット」が示され、派生元記載項目の項目ID501として「1」、「2」および「1:2」が示され、派生元記載項目の識別情報503として「2」、「2」および「2:2」が示されている。それぞれの記載項目自体の内容は、項目902〜906のそれぞれの下に記載される。
【0091】
テンプレート90の出力形式は任意であり、他の実施形態では、たとえば文書作成支援装置1が利用する下線を引いた情報が利用者には見えない形で提供されること、下線を引いた情報の部分が誤って削除または書き換えが行われないように編集不能とすることなどの仕組みを文書作成支援装置1に適宜追加する構成であってもよい。これによって、文書作成支援装置1は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0092】
図10は、テンプレート生成部103が出力する記載項目候補リスト100の一例を示す図である。記載項目候補リスト100は、参照符1001〜1003で示す各項目を含み、これら各項目1001〜1003は、派生元の記載項目から生成される図9のテンプレート90に含まれる記載項目904〜906と同一である。
【0093】
これら各項目1001〜1003は、たとえば利用者がテンプレート90に基づいて文書を作成する際に、記載項目904、すなわちユースケース1に関連する機能ユニットの記載項目を複数記載したい場合に、項目1001をテンプレート90にコピーして利用することを目的としている。記載項目候補リスト100には、派生元の記載項目から生成される記載項目のみを含めているけれども、記載項目902,903などのデフォルトの記載項目を含めるような処理としても構わない。
【0094】
ステップS709において、テンプレート生成部103は、文書記憶部104に記憶される記載項目登録表50を参照し、ステップS704において特定または発行した文書ID401の文書の記載項目が存在するか否かを確認する。
【0095】
テンプレート生成部103は、前記文書ID401の文書の記載項目が存在すると判定する場合に、ステップS708で生成したテンプレート90を文書生成部106に渡し文書を生成させ、生成させた文書とステップS708で生成した記載項目候補リスト100とを出力する。文書生成部106が文書を生成する処理の詳細については、「(4)文書を生成する処理」で後述する。
【0096】
テンプレート生成部103は、前記文書ID401の文書の記載項目が存在しないと判定する場合に、ステップS708で生成したテンプレート90と記載項目候補リスト100とを出力する。
【0097】
また、ステップS705において、最初に作成される文書など、生成しようとするテンプレートが生成元の文書を持たない種別の文書のテンプレートであることが分かった場合には、ステップS706,S707の処理を行わずに、ステップS708を処理するものとする。その際、派生元の記載項目の項目ID501および識別情報503を取得することは不可能であるため、代わりに、文書作成支援装置1がその旨を認識できるための任意の文字列を含めるものとする。
【0098】
「(3)文書を登録する処理」では、受付けた文書が、文書記憶部104に記憶されているその文書の派生元の文書の記載項目から生成されたテンプレートを基に作成されたか否かを判定し、問題が無ければ、すなわち前記テンプレートを基に作成された文書であると判定された場合に、文書を登録する処理を行う。この処理について、図1、図2、図4、図5、図11〜図19を用いて詳細に説明する。以下、前記受付けた文書を、「受付文書」とも言う。
【0099】
図11は、判定部105による文書の判定および登録制御部107による文書の登録を示すフローチャートである。判定部105は、受付文書が上述の通り期待されるテンプレートを基に作成されたかどうかを判定する。受付文書がテンプレートを基に作成されているとは、受付文書がステップS709で出力されたテンプレート90に基づいて作成されていること、および受付文書が後述するステップS2006で出力された文書に基づいて作成されていることである。登録制御部107は、問題がなければ受付文書を記載項目ごとに文書記憶部104に登録する。
【0100】
ステップS1101において、登録制御部107は、文書を受付ける。文書の受付けに際しては、登録制御部107は、予め定めるチェック項目に基づいて、受付文書がテンプレート生成部103において生成されたテンプレートを基に作成されているかをチェックし、問題がないことを確認する。予め定めるチェック項目は、たとえば既に発行されている有効な文書ID505が文書に含まれていること、受付文書内で記載項目対応関係記憶部101に登録されている有効な記載項目種別507が使用されていることなどである。
【0101】
ステップS1102において、登録制御部107は、ステップS1101で受付けた受付文書の文書IDを識別し、文書記憶部104に記憶される文書登録表40から、受付けた文書の文書種別403を特定し、記載項目対応関係記憶部101に記憶される記載項目対応関係表20を参照し、受付文書の記載項目に影響を与える記載項目の種別、すなわち、派生先種別が受付けた文書の文書種別403となっている記載項目対応関係表20内の中の項目を、派生元文書の記載項目種別507として抽出する。
【0102】
図12は、登録制御部107が受付ける受付文書120の一例を示す図である。受付文書120は、ステップS1101で受付けた文書の例を示すものであり、参照符1206〜1209で示す記載項目は、それぞれ記載項目1202〜1205についての記載内容であることを示す。
【0103】
ステップS1101において、登録制御部107は、利用者によって作成された受付文書120を受付けた場合、記載項目1201から文書ID401「2」を識別し、文書登録表40から文書ID401「2」の文書の種別が「アーキテクチャ設計書」であることを特定し、記載項目対応関係表20から派生先種別203が「アーキテクチャ設計書」となっている行209の派生元種別201「要求仕様書」、派生元記載項目種別202「ユースケース」を、受付文書120の文書の記載項目に影響を与え得る記載項目種別507として抽出する。
【0104】
ステップS1103において、登録制御部107は、文書記憶部104に含まれる文書登録表40および記載項目登録表50を参照し、ステップS1102で抽出した派生元文書の記載項目種別507と同一の記載項目種別507となっていて、なおかつ、有効504列が「有効」となっている項目を派生元文書の記載項目として抽出する。
【0105】
たとえば登録制御部107は、ステップS1102において、派生元種別201「要求仕様書」、派生元記載項目種別202「ユースケース」を、ステップS1101において受付けた文書の記載項目に影響を与え得る記載項目種別507として特定した場合、文書登録表40および記載項目登録表50を参照し、文書種別403が「要求仕様書」で、記載項目種別507が「ユースケース」で、有効504が「有効」となっている記載項目として項目ID501「1」、「2」の行509,510を抽出する。
【0106】
ステップS1104において、登録制御部107は、文書記憶部104に記憶される記載項目登録表50を参照し、ステップS1103で抽出した派生元文書の記載項目の項目ID501の一つ以上の組み合わせを派生元項目ID502として持ち、なおかつ、有効504列が「有効」となっている項目を派生先文書の記載項目として抽出する。
【0107】
ただし、文書ID505がステップS1101において受付けた受付文書の文書ID505と同一のものは除外する。そして、ステップS1103で抽出した派生元文書の記載項目と、先ほど抽出した派生先文書の記載項目およびステップS1101において受付けた文書の記載項目との対応関係を生成する。ここで生成する対応関係は、ステップS1101で受付けた受付文書の登録によって、派生先文書の記載項目との対応がなくなる派生元文書の記載項目が発生するか否か、すなわち派生先文書における検討漏れの可能性を確認するために利用する。
【0108】
たとえば、ステップS1101において文書ID505が「2」の受付文書120を受付け、ステップS1103において派生元文書の記載項目として、記載項目登録表50の項目ID501「1」、「2」の行509、510を抽出した場合、記載項目登録表50から、派生元項目ID502が前記項目ID501「1」、「2」の一つ以上の組み合わせである「1」、「2」、「1:2」となっていて、有効504が「有効」となっていて、文書ID505が「2」以外の行を抽出する。具体的には、図5の記載項目登録表50では、該当する行はない。
【0109】
図13は、受付文書120における派生元文書の記載項目と派生先文書の記載項目との対応関係の一例を示す図である。図13に示す対応関係は、派生元文書の記載項目と、図5に含まれる派生先文書の記載項目およびステップS1101において受付けた文書図12の記載項目との対応関係を示したものである。
【0110】
派生元文書の記載項目は、たとえば記載項目登録表50内の項目ID501「1」、「2」の行509、510である。記載項目登録表50に含まれる派生先文書の記載項目は、たとえば項目ID501「1」、「2」の一つ以上の組み合わせを派生元項目ID502として持ち、受付文書120の文書IDである「2」以外を文書ID505として持つ項目である。
【0111】
図13に示す対応関係において、参照符1301,1302で示す項目は、それぞれ記載項目登録表50内の項目ID501「1」、「2」の行509,510に対応し、参照符1303,1304で示す項目は、それぞれ受付文書120内の記載項目1204,1205に対応することを示している。
【0112】
図14は、登録制御部107が受付ける受付文書140の他の例を示す図である。利用者によって作成された受付文書140は、一部の項目が不足しており、かつ識別情報503に誤記がある受付文書の例を示すものである。受付文書140は、参照符1401〜1404で示す記載項目を含む。受付文書140の記載項目1401〜1403は、受付文書120の記載項目1201から1203とそれぞれ同一である。受付文書140は、受付文書120の記載項目1205を含んでおらず、また、受付文書140の記載項目1404は、受付文書120の記載項目1204が示す派生元文書の記載項目の識別情報503を「2」から「1」に変えたものである。
【0113】
図15は、受付文書140における派生元文書の記載項目と派生先文書の記載項目との対応関係の他の例を示す図である。図15に示す対応関係は、ステップS1101において登録制御部107が受付文書140を受付けた場合に生成する対応関係を示している。
【0114】
ステップS1105において、判定部105は、ステップS1104で登録制御部107が生成した対応関係を調べ、ステップS1101において受付けた文書によって、派生先文書の記載項目への対応関係がなくなる派生元文書の記載項目が存在するか否かを判定する。
【0115】
たとえば判定部105は、図13に示す対応関係の場合、全ての派生元文書の記載項目1301,1302は、対応する派生先文書の記載項目1303または記載項目1304が存在するので、派生先文書の記載項目への対応関係がなくなる派生元文書の記載項目が存在しない、すなわち受付文書120に問題がないと判定し、ステップS1107に進む。
【0116】
また、判定部105は、図15に示す対応関係の場合、派生元文書の記載項目の一つである記載項目1502に対応する派生先文書の記載項目が存在しないので、派生先文書の記載項目への対応関係がなくなる派生元文書の記載項目が存在する、すなわちステップS1101で受付けた受付文書140における検討漏れの可能性があるとして問題があると判定し、ステップS1106に進む。
【0117】
ステップS1106において、登録制御部107は、ステップS1105での判定において、派生先文書の記載項目への対応関係が無い派生元文書の記載項目が存在すると判定された場合、その旨を示す文字列とその派生先文書の記載項目の項目ID501の組を後続のエラー処理のために利用するリストに含める。以下、このエラー処理のために利用するリストを「エラーリスト」と言う。
【0118】
図16は、登録制御部107が作成するエラーリスト160の一例を示した図である。エラーリスト160は、ステップS1105に起因するエラーの例1601と、後述するステップS1107に起因するエラー1602とを含んでいる。エラーの例1601は、ステップS1104において図15に示す対応関係が生成された場合に、参照符1502で示す項目ID501「2」に対応する派生先文書の記載項目が無いため、その旨を示す文字列「対応項目なし」および項目ID501「2」の組が出力されたことを示す。
【0119】
ステップS1107において、判定部105は、ステップS1101において受付けた受付文書120,140に含まれる各記載項目の派生元項目ID502およびその派生元項目の識別情報503の組を取得し、これらが、文書記憶部104に含まれる記載項目登録表50における項目ID501と識別情報503の組と同一であるか否かを判定する。
【0120】
たとえば、判定部105は、受付文書120を受付けた場合、受付文書120の記載項目の一つである記載項目1204については、派生元項目ID502「1」、識別情報503「2」を取得する。判定部105は、記載項目登録表50を参照し、項目ID501が「1」である記載項目509の識別情報503が、先ほどの識別情報503と同一の「2」であることを確認して識別情報503が正しいと判定し、ステップS1109に進む。さらに判定部105は、記載項目1205についても同様に判定を行う。
【0121】
判定部105は、受付文書140を受付けた場合、受付文書140の記載項目1404の派生元項目ID502「1」、識別情報503「1」を取得するけれども、記載項目登録表50では項目ID501「1」である記載項目509の識別情報503は「2」であるので、識別情報503が正しくない、すなわち派生元文書の記載項目が更新される前に生成されたテンプレートを利用して文書が作成されたと判定し、ステップS1108に進む。
【0122】
ステップS1108において、登録制御部107は、ステップS1107の判定において、識別情報503が正しくない、すなわち同一でない記載項目が存在すると判定した場合、ステップS1101において受付けた文書の該当する記載項目ごとに、識別情報503が正しくない旨を示す文字列と、その記載項目をステップS1101で受付けた文書内にて特定するための情報と、正しい識別情報503との組をエラーリストに含める。
【0123】
たとえば登録制御部107は、ステップS1107において、受付文書140に対して、記載項目1404の派生元文書の記載項目の識別情報503が正しくないと判定されていた場合、エラーリスト160の項目1602に示すように、その旨を示す文字列「識別情報が正しくない」と、その記載項目を受付文書140内にて特定するための情報と、正しい識別情報503とをエラーリストに出力する。記載項目を受付文書140内にて特定するための情報とは、たとえば記載項目名506「機能ユニット:UI」、記載項目種別507「機能ユニット」、派生元文書に記載の項目ID501「1」である。正しい識別情報503とは、たとえば記載項目登録表50の行509から「2」である。
【0124】
ステップS1109において、判定部105は、上述のエラーリスト160が作成されているか否か、すなわち要素が存在するか否かを判定する。エラーリスト160が作成されていると判定部105によって判定された場合、ステップS1114に進み、エラーリスト160が作成されていないと判定部105によって判定された場合、ステップS1110に進む。
【0125】
ステップS1110において、登録制御部107は、ステップS1109の判定において、エラー処理のためのリストが作成されていないと判定された場合、ステップS1101において受付けた文書の文書名402と、文書記憶部104に含まれる文書登録表40の中の対応する文書IDの文書名402を比較し、内容が異なっていたら、受付けた文書の文書名402で文書登録表40の中の文書名402を更新する。
【0126】
図17は、更新された文書登録表170の一例を示す図である。更新された文書登録表170は、受付文書120を受付けた場合の文書登録表40の更新結果を示す。受付文書120内の記載項目1201から、文書名402が「○○ソフトウェアアーキテクチャ設計書」となっており、これが、文書登録表40の中の文書ID401が「2」となっている文書の文書名402「アーキテクチャ設計書」と異なっているので、行1702の文書名402が「○○ソフトウェアアーキテクチャ設計書」に更新されている。更新された文書登録表170は、文書登録表40と比べて、行1702のみが異なる。
【0127】
ステップS1111において、登録制御部107は、ステップS1101で受付けた受付文書120に含まれる記載項目の中で、文書ID505が含まれている記載項目、すなわち一度文書記憶部104に登録されている記載項目の記載内容について、文書記憶部104に格納されている対応する項目の記載内容と比較する。一度文書記憶部104に登録されている記載項目については、「(4)文書を生成する」で後述する。登録制御部107は、前記比較した結果、内容が変わっていれば更新が行われたと判断して、文書記憶部104の中の該当する項目ID501を持つ項目の識別情報503に1を加算して更新し、さらに記載内容の更新を行う。
【0128】
ステップS1112において、登録制御部107は、ステップS1101において受付けた受付文書120に含まれる記載項目の中で、文書ID505が含まれていない記載項目を、文書記憶部104に登録されていない新規の記載項目であると判断する。登録制御部107は、新規の記載項目であると判断した記載項目について、新たに項目ID501を付与して、有効504を「有効」とし、識別情報503を「1」として文書記憶部104に格納する。
【0129】
図18は、更新された記載項目登録表180の一例を示す図である。更新された記載項目登録表180は、文書記憶部104に記載項目登録表50が記憶されている状態のときに、登録制御部107が受付文書120を受付けた場合の記載項目登録表50の更新結果を示す。
【0130】
受付文書120に含まれる記載項目1202〜1205に対応する項目が、更新された記載項目登録表180の項目1801〜1804に、項目ID501が新たに割り当てられて登録されている。更新された記載項目登録表180において、項目1801、1802などのように派生元記載項目を持たない記載項目については、派生元項目ID502列が「―」で示される。
【0131】
ステップS1113において、登録制御部107は、文書記憶部104に含まれるステップS1101で受付けた受付文書120と同一の文書ID505を持つ記載項目と、受付文書120の中で項目ID501を持っている項目との対応関係を調べる。判定部105は、対応関係を調べた結果、前者のグループにのみ含まれる記載項目を、ステップS1101で受付けた文書中から削除された記載項目と判断して、この削除された記載項目に対応する文書記憶部104の中の記載項目の有効504列の値を、「有効」から「無効」に変更し、ステップS1115に進んで処理が終了する。
【0132】
ステップS1114において、登録制御部107は、ステップS1105の判定結果に起因するエラーについては、派生先文書の記載項目が存在しない派生元文書の記載項目の項目ID501を基に、その項目ID501の項目種別から派生され得る記載項目を、記載項目対応関係記憶部101を参照して特定する。登録制御部107は、この特定した記載項目を、受付文書120に埋め込む。
【0133】
また、ステップS1114において、登録制御部107は、ステップS1107の判定結果に起因するエラーについては、ステップS1101において受付けた文書の該当する箇所に、エラーに該当する旨を示すための予め定める加工、たとえば色付け、フォントの変更、文字の大きさの変更などの書式の変更を行う。この色付けは、エラーがある箇所と、エラーがない箇所との文字の色を異なる色で表示するものである。
【0134】
図19は、エラー表示文書190の一例を示す図である。エラー表示文書190は、ステップS1105またはステップS1107においてエラーが検出された場合に、登録制御部107によって生成される。
【0135】
登録制御部107は、判定部105によって受付文書の作成に使われたテンプレート90が、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレート90でないと判定されたとき、判定文書に対して記載項目ごとに予め定める加工を行い、加工した判定文書であるエラー表示文書190を出力する。
【0136】
登録制御部107は、エラーリスト160が生成されていた場合、1601のエラー、すなわちステップS1105の判定結果に起因するエラーについては、項目ID501「2」に基づいて、文書記憶部104に記憶される記載項目登録表50および文書登録表40から、派生元文書の文書種別403「要求仕様書」と記載項目種別507「ユースケース」とを特定する。
【0137】
登録制御部107は、記載項目対応関係記憶部101に記憶される記載項目対応関係表20から、ステップS1101において受付けた文書の文書種別403「アーキテクチャ設計書」に派生される記載項目種別507「機能ユニット」を特定する。
【0138】
登録制御部107は、派生元文書の文書種別403「要求仕様書」と、記載項目種別507「ユースケース」の記載項目「ユースケース2」とから派生される記載項目「機能ユニット(ユースケース2)」、「機能ユニット(ユースケース1:ユースケース2)」を、ステップS707と同様の特定方法によって特定し、項目1905,1906のように、その記載項目を受付文書120に含める。その際に、色付けなど、他の記載項目と区別がつく形で出力することによって利便性が向上する。
【0139】
また、参照符1602で示すエラー、たとえばステップS1107の判定結果に起因するエラーについては、ステップS1101において受付けた文書の該当する箇所に、参照符1904に示すように、エラーに該当する旨を示すための予め定める加工をして、エラー表示文書190として出力する。
【0140】
「(4)文書を生成する処理」では、生成されたテンプレートを基に文書を生成する処理を行う。この処理について、図1、図9、図17、図18、図20、図21を用いて詳細に説明する。
【0141】
図20は、文書生成部106がテンプレート90に基づいて生成文書210を生成する処理を示すフローチャートである。文書生成部106によって生成された文書を、「生成文書210」とも言う。本フローチャートでは、文書生成部106にて、テンプレート生成部103が生成したテンプレート90に、文書記憶部104に格納されている記載項目の記載内容を転記し、これを生成文書210として出力する処理を示す。ステップS2001において、文書生成部106は、テンプレート生成部103が生成して出力したテンプレート90を受付ける。
【0142】
ステップS2002において、文書生成部106は、ステップS2001で受付けたテンプレート90の文書ID401を調べ、文書記憶部104に含まれる文書登録表40,170を参照し、文書ID401に対応する文書の文書名402を取得する。たとえば文書生成部106は、文書記憶部104に図17の文書登録表170が記憶されているときに、ステップS2001でテンプレート90を受付けた場合、項目901から文書IDが「2」であることを識別し、更新された文書登録表170の文書IDの列が「2」となっている行1702の文書名の値「○○アーキテクチャ設計書」を取得する。
【0143】
ステップS2003において、文書生成部106は、ステップS2001で受付けたテンプレート90の文書ID505を調べ、文書記憶部104に記憶される記載項目登録表50,180を参照し、文書ID505が等しく、なおかつ、有効504列が「有効」となっている記載項目を全て取得する。
【0144】
たとえば文書生成部106は、文書記憶部104に図18の記載項目登録表180が記憶されているときに、ステップS2001でテンプレート90を受付けた場合、項目901から文書IDが「2」であることを識別し、記載項目登録表180から文書IDの列が「2」となっていて、有効504の列が「有効」となっている行1801〜1804を記載項目として取得する。
【0145】
ステップS2004において、文書生成部106は、ステップS2002で取得した文書名402、ステップS2003で取得した記載項目の記載項目名506、項目ID501、記載内容をステップS2001で受付けたテンプレート90の対応する箇所、すなわち、記載項目種別507および派生元項目ID502が同一の箇所に転記する。その際、文書生成部106は、テンプレート90の生成時に各記載項目に含められていた記載項目種別507および派生元項目ID502が、新たに転記する文書IDを用いて文書記憶部104に含まれる記載項目登録表50から取得可能であるので、削除する。
【0146】
ステップS2005において、文書生成部106は、ステップS1101で受付けたテンプレート90の各記載項目の中で、ステップS1104において転記が行われなかった記載項目を特定し、特定した記載項目を、生成しようとしている文書には含まれない記載項目と判断して削除する。
【0147】
図21は、文書生成部106によって生成された生成文書210の一例を示す図である。生成文書210は、文書記憶部104に文書登録表170および記載項目登録表180が記憶されているときに、テンプレート90をステップS2001において受付けた場合に、文書生成部106によって生成され出力される。
【0148】
テンプレート90内の項目901の文書名402「アーキテクチャ設計書」は、文書登録表170から項目2101において「○○ソフトウェアアーキテクチャ設計書」となる。項目902〜905には、記載項目登録表180の行1801〜1804から、記載項目種別507および派生元項目ID502が同一である項目の記載項目名506、項目ID501、および記載内容が、項目2102〜2109のように転記される。その際に、文書生成部106は、項目ID501から取得可能な情報、たとえば記載項目種別507および派生元項目ID502は、削除する。
【0149】
また、利用者が任意に追加する記載項目によって、テンプレート生成部103が生成する項目よりも多くの項目がステップS2003で特定される可能性がある。この場合には、文書生成部106は、ステップS2003で特定された項目を、適宜テンプレート90に転記するものとする。また、記載項目906に対応する記載項目、たとえば派生元項目ID502が「1:2」の項目は、記載項目登録表180には存在しないので、生成文書210においては、記載項目906に対応する記載項目が削除されている。
【0150】
ステップS2006において、文書生成部106は、ステップS1105で生成した生成文書210を、テンプレート生成部103に出力し、ステップS2007に進んで処理が終了する。
【0151】
上述した実施形態では、文書作成支援装置1において、CPUがメモリに記憶されるプログラムを実行することによって、上述した機能を実現するが、上述した機能を実現するためのプログラムは、メモリに記憶されることに限定されるものではなく、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体は、たとえば図示しない外部記憶装置としてプログラム読取装置を文書作成支援装置1に設け、そこに記録媒体を挿入することによって読取り可能な記録媒体であってもよいし、あるいは他の装置の記憶装置であってもよい。
【0152】
いずれの記録媒体であっても、記憶されているプログラムがコンピュータからアクセスされて実行される構成であればよい。あるいはいずれの記録媒体であっても、プログラムが読み出され、読み出されたプログラムが、記憶装置のプログラム記憶エリアに記憶されて、そのプログラムが実行される構成であってもよい。
【0153】
文書作成支援装置1と分離可能に構成される記録媒体は、たとえば磁気テープ/カセットテープなどのテープ系の記録媒体、フレキシブルディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクもしくはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magneto
Optical disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)/CD−R(
Compact Disk Recordable)/ブルーレイディスクなどの光ディスクのディスク系の記録
媒体、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系の記録媒体、またはマスクROM/EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)/
フラッシュROMなどの半導体メモリを含む固定的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。
【0154】
また、文書作成支援装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、VAN(Value
Added Network)、CATV(Community Antenna Television)通信網、仮想専用網(
Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、または衛星通信網など通信ネットワークが利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、たとえば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線などの有線でも、IrDA(Inf rared Data Association)あるいはリモートコントロールで用いられる赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(High Data Rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網などの無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0155】
このように、文書作成支援装置1は、一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援する。文書作成支援装置1は、記載項目対応関係記憶部101と、テンプレート生成部103と、文書記憶部104と、文書生成部106と、判定部105と、登録制御部107とを含んで構成される。記載項目対応関係記憶部101は、変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する。テンプレート生成部103は、記載項目対応関係記憶部101に記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定する。テンプレート生成部103は、特定した記載項目と、特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容508を識別する情報である識別情報503との組を生成する。テンプレート生成部103は、生成した特定された記載項目と識別情報503との組を含んだ文書を、派生先文書のテンプレート90として出力する。文書記憶部104は、文書を記載項目ごとに記憶する。文書生成部106は、テンプレート生成部103からテンプレート90を取得し、取得したテンプレート90の記載項目に、文書記憶部104に記憶されている記載項目の記載内容508を転記して生成文書210を生成する。判定部105は、判定の対象とする受付文書120,140を文書記憶部104に記憶する際に、受付文書120,140の作成に使われたテンプレート90が、文書記憶部104に記憶されている文書のうちで、受付文書120,140の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレート90であるか否かを、識別情報503を用いて、受付文書120,140の記載項目ごとに判定する。登録制御部107は、受付文書120,140の作成に使われたテンプレート90が、受付文書120,140の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレート90であると、判定部105によって全ての記載項目について判定されたとき、判定文書を文書記憶部104に記憶させる。
【0156】
これによって、文書作成支援装置1は、テンプレート生成部103が生成したテンプレート90および文書生成部106が生成した生成文書210を、たとえば文書を作成する利用者に提供することができる。したがって、利用者は、提供されたテンプレート90または生成文書210に対して、訂正または加筆などの編集をすることによって新たな文書を容易に作成することができる。
【0157】
また、文書作成支援装置1は、文書の作成に利用されたテンプレート90の問題の有無を記載項目ごとに判別するので、最新でない文書を基に編集された文書が、文書記憶部104に記憶されることを防止することができる。これによって、文書作成支援装置1は、利用者の意図に反した文書、たとえば編集された古い記載項目を含む文書が、文書記憶部104において更新して記憶されることを防止することができる。
【0158】
さらに、登録制御部107は、受付文書120,140の作成に使われたテンプレート90が、受付文書120,140の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレート90でないと、判定部105によって判定されたとき、判定文書に対して記載項目ごとに予め定める加工を行い、加工した判定文書であるエラー表示文書190を出力する。
【0159】
これによって、文書作成支援装置1は、問題がある箇所を予め定める加工、たとえば色付け、または文字の大きさの変更などを行うことによって、問題がない箇所と区別して表示することができる。したがって、文書作成支援装置1は、利用者が記憶させようとしている文書内の問題がある箇所を強調表示して利用者に報知することができる。これによって、利用者は、強調表示された問題のある箇所を修正することで、適切な文書を容易に作成することができる。
【0160】
さらに、登録制御部107は、テンプレート生成部103によって生成された記載項目とは異なる追加記載項目を含む受付文書120,140を取得するとき、追加記載項目と、受付文書120,140の派生元となる文書の記載項目との対応関係を含めた受付文書120,140を文書記憶部104に記憶させる。文書生成部106は、文書記憶部104に記憶される追加記載項目を含む文書を生成可能である。
【0161】
これによって、文書作成支援装置1は、文書作成支援装置1が自動で設ける記載項目以外に、新たな記載項目である追加記載項目を利用者が文書へ自由に追加できるので、文書の記載項目の柔軟性を高め、文書作成の利便性を向上させることができる。
【0162】
さらに、文書作成支援方法は、一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援する。文書作成支援方法は、記載項目対応関係記憶工程と、テンプレート生成工程と、文書記憶工程と、文書生成工程と、判定工程と、登録制御工程とを含む。記載項目対応関係記憶工程では、変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する。テンプレート生成工程では、記載項目対応関係記憶工程で記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定する。テンプレート生成工程では、特定した記載項目と、特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容508を識別する情報である識別情報503との組を生成する。テンプレート生成工程では、生成した特定された記載項目と識別情報503との組を含んだ文書を、派生先文書のテンプレート90として出力する。文書記憶工程では、文書を記載項目ごとに記憶する。文書生成工程では、テンプレート生成工程で出力されたテンプレート90を取得し、取得したテンプレート90の記載項目に、文書記憶工程に記憶されている記載項目の記載内容508を転記して文書を生成する。判定工程では、判定の対象とする受付文書120,140を文書記憶工程で記憶する際に、受付文書120,140の作成に使われたテンプレート90が、文書記憶工程で記憶された文書のうちで、受付文書120,140の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレート90であるか否かを、識別情報503を用いて、受付文書120,140の記載項目ごとに判定する。登録制御工程では、受付文書120,140の作成に使われたテンプレート90が、受付文書120,140の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレート90であると、判定工程で全ての記載項目について判定されたとき、判定文書を文書記憶工程に記憶させる。
【0163】
これによって、文書作成支援方法では、テンプレート生成工程で生成したテンプレート90および文書生成工程で生成した文書を、たとえば文書を作成する利用者に提供することができる。したがって、利用者は、提供されたテンプレート90または文書に対して、訂正または加筆などの編集をすることによって新たな文書を容易に作成することができる。
【0164】
また、文書作成支援方法では、文書の作成に利用されたテンプレート90の問題の有無を記載項目ごとに判別するので、最新でない文書を基に編集された文書が、文書記憶工程で記憶されることを防止することができる。これによって、文書作成支援方法は、利用者の意図に反した文書、たとえば編集された古い記載項目を含む文書が、文書記憶工程で更新して記憶されることを防止することができる。
【0165】
さらに、文書作成支援プログラムは、コンピュータを、文書作成支援装置1として機能させる。
【0166】
さらに、コンピュータ読取り可能な記録媒体は、文書作成支援プログラムを記憶している。
【符号の説明】
【0167】
1 文書作成支援装置
101 記載項目対応関係記憶部
102 記載項目対応関係登録部
103 テンプレート生成部
104 文書記憶部
105 判定部
106 文書生成部
107 登録制御部
201 派生元種別
202 派生元記載項目種別
203 派生先種別
204 派生先記載項目種別
205 属性
401 文書ID
402 文書名
403 文書種別
501 項目ID
502 派生元項目ID
503 識別情報
504 有効
505 文書ID
506 記載項目名
507 記載項目種別
508 記載内容

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援するための文書作成支援装置であって、
変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する記載項目対応関係記憶部と、
前記記載項目対応関係記憶部に記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定し、前記特定した記載項目と、前記特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容を識別する情報である識別情報との組を生成し、生成した前記特定した記載項目と前記識別情報との組を含んだ文書を、前記派生先文書のテンプレートとして出力するテンプレート生成部と、
文書を記載項目ごとに記憶する文書記憶部と、
前記テンプレート生成部からテンプレートを取得し、取得したテンプレートの記載項目に、文書記憶部に記憶されている記載項目の記載内容を転記して文書を生成する文書生成部と、
判定の対象とする受付文書を前記文書記憶部に記憶する際に、受付文書の作成に使われたテンプレートが、前記文書記憶部に記憶されている文書のうちで、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、前記識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する判定部と、
前記受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであると、前記判定部によって、全ての記載項目について判定されたとき、前記判定文書を前記文書記憶部に記憶させる登録制御部とを含むことを特徴とする文書作成支援装置。
【請求項2】
前記登録制御部は、前記受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートでないと、前記判定部によって、判定されたとき、前記判定文書に対して記載項目ごとに予め定める加工を行い、加工した判定文書を出力することを特徴とする請求項1に記載の文書作成支援装置。
【請求項3】
前記登録制御部は、前記テンプレート生成部によって生成された記載項目とは異なる追加記載項目を含む受付文書を取得するとき、前記追加記載項目と、前記受付文書の派生元となる文書の記載項目との対応関係を含めた受付文書を前記文書記憶部に記憶させ、
前記文書生成部は、前記文書記憶部に記憶される前記追加記載項目を含む文書を生成可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の文書作成支援装置。
【請求項4】
一の文書の変更が他の文書へも変更を及ぼす関係を有する複数の文書の作成を支援するための文書作成支援方法であって、
変更の派生元である前記一の文書の記載項目と、変更の派生先である前記他の文書の記載項目との対応関係を記憶する記載項目対応関係記憶工程と、
前記記載項目対応関係記憶工程で記憶される対応関係から、派生元となる文書に含まれる記載項目を基に、派生先となる文書に含まれるべき記載項目を特定し、前記特定した記載項目と、前記特定した記載項目に対応する派生元の文書の記載項目の記載内容を識別する情報である識別情報との組を生成し、生成した前記特定した記載項目と前記識別情報との組を含んだ文書を、前記派生先文書のテンプレートとして出力するテンプレート生成工程と、
文書を記載項目ごとに記憶する文書記憶工程と、
前記テンプレート生成工程で出力されたテンプレートを取得し、取得したテンプレートの記載項目に、文書記憶工程に記憶されている記載項目の記載内容を転記して文書を生成する文書生成工程と、
判定の対象とする受付文書を前記文書記憶工程で記憶する際に、受付文書の作成に使われたテンプレートが、前記文書記憶工程で記憶された文書のうちで、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであるか否かを、前記識別情報を用いて、受付文書の記載項目ごとに判定する判定工程と、
前記受付文書の作成に使われたテンプレートが、受付文書の派生元の文書の記載項目を基にして生成されたテンプレートであると、前記判定工程で全ての記載項目について判定されたとき、前記判定文書を前記文書記憶工程に記憶させる登録制御工程とを含むことを特徴とする文書作成支援方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1〜3のいずれか1つに記載の文書作成支援装置として機能させるための文書作成支援プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の文書作成支援プログラムを記憶したコンピュータ読取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−227684(P2011−227684A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96464(P2010−96464)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】