文書画像表示装置ならびにその動作制御方法およびその制御プログラム
【目的】一方向のみのスクロールで文書画像を見る。
【構成】文書を画像化し文書画像30が得られる。表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像32を生成する。この様な文書画像32を生成するときに,文書画像30に含まれる文字を画像として表す文字画像が抽出される。抽出された文字画像は,文字の並び順にしたがって配列し直されて,文書画像32が生成される。文書画像32は,表示領域60の横幅w1と同じ横幅をもつので,上下にスクロールするだけで,文書画像32を見ることができる。
【構成】文書を画像化し文書画像30が得られる。表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像32を生成する。この様な文書画像32を生成するときに,文書画像30に含まれる文字を画像として表す文字画像が抽出される。抽出された文字画像は,文字の並び順にしたがって配列し直されて,文書画像32が生成される。文書画像32は,表示領域60の横幅w1と同じ横幅をもつので,上下にスクロールするだけで,文書画像32を見ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,文書画像表示装置ならびにその動作制御方法およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テキスト・ファイルによって文書が表わされるのではなく,文書が画像化されている文書画像がある(特許文献1〜4)。そのような文書画像では,テキスト・ファイルによって表わされる文書に比べて編集しづらいので,文書の内容を変更させたくない場合に有効である。いわゆるスマートフォンと呼ばれるような携帯電話で文書画像を見る場合には,表示画面の大きさが小さいので,上下左右に多数スクロールする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-266068号公報
【特許文献2】特開2000-322511号公報
【特許文献3】特開平11-122398号公報
【特許文献4】特開平7-168911号公報
【発明の概要】
【0004】
この発明は,一方向のスクロールのみで文書画像を見ることができるようにすることを目的とする。
【0005】
この発明による文書画像表示装置は,文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めする表示領域位置決め手段,上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列する文字画像配列手段,および上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示する表示装置を備えていることを特徴とする。
【0006】
この発明は,上記文書画像表示装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,表示領域位置決め手段が,文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めし,文字画像配列手段が,上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,表示装置が,上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示するものである。
【0007】
この発明は,上記文書画像表示装置の動作制御方法を実施するためのコンピュータを制御するためのプログラムも提供している。そのようなプログラムを格納した記録媒体を提供するようにしてもよい。
【0008】
この発明によると,文書が画像化された文書画像に表示領域が位置決めされる。文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている。文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,文書の並び順が横書きの場合には表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に文字画像が表示領域内に配列され,文書の並び順が縦書きの場合には表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に文字画像が表示領域内に配列される。表示領域内に配列された文字画像が表示画面に表示される。この発明によると,文書画像に含まれる文字画像が文字ごとに切り出され,横書きの場合には左右にスクロールする必要が無いように,表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって配列され,縦書きの場合には上下にスクロールする必要が無いように,表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって配列される。文書が横書きの場合には,上下スクロールだけで文書画像を見ることができ,文書が縦書きの場合には,左右スクロールだけで文書画像を見ることができるようになる。
【0009】
拡大指令または縮小指令を与える指令手段,および上記指令手段から拡大指令が与えられたことに応じて上記表示領域を縮小し,上記指令手段から縮小指令が与えられたことに応じて上記表示領域を拡大する表示領変更手段をさらに備えてもよい。
【0010】
上記文書画像には,上記文字画像が含まれている文字画像領域のほかに上記文書が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像を表わすオリジナル画像領域が含まれている場合には,上記文字画像領域については上記文字画像配列手段によって上記文字画像が配列され,上記オリジナル画像領域については上記表示領域の中心となるようにセンタリング処理,上記表示領域内に含まれるように縮小処理または上記表示領域に合致するように拡大処理するオリジナル画像領域調整手段をさらに備えてもよい。
【0011】
上記文書が横書きのものについては,上記表示領域の幅と同じ幅をもち,かつ上記文書が縦書きのものについては上記表示領域の高さと同じ高さをもち,かつ上記オリジナル画像領域および上記文字画像領域の配置を文字の並び順に並び替えるレイアウト変更手段をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】文書画像通信システムの概要である。
【図2】携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】文書画像サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】文書画像の一例である。
【図5】文書画像の一部を示している。
【図6】位置座標リストである。
【図7】文書画像サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】携帯電話の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】文書画像の一例である。
【図10】文書画像を変更する様子を示している。
【図11】文書画像の一例である。
【図12】文書画像の一例である。
【図13】文書画像の一例である。
【図14】文書画像の一例である。
【図15】文書画像の一例である。
【図16】文書画像の一部を示している。
【図17】位置座標リストである。
【図18】文書画像を変更する様子を示している。
【図19】文書画像の一例である。
【実施例】
【0013】
図1は,この発明の実施例を示すもので,文書画像(画像化された文書を文書画像ということにする)通信システムの概要を示している。
【0014】
この実施例による文書画像通信システムには,インターネット(インターネットに限らず社内LAN:ローカル・エリア・ネットワークなどでもよい)を介して互いに通信可能な携帯電話1および文書画像サーバ20が含まれている。携帯電話1からの要求に応じて,文書画像サーバ20から携帯電話1に文書画像を表わすファイルが送信される。
【0015】
図2は,いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【0016】
携帯電話1の全体の動作は,制御装置2によって統括される。
【0017】
携帯電話1には,他の携帯電話との通信,インターネットへのアクセス等のための通信装置10およびアンテナ11が設けられている。アンテナ11を介して後述する動作を行うプログラム12が携帯電話1にダウンロードされる。ダウンロードされたプログラム12が携帯電話1にインストールされることにより,携帯電話1は後述する動作を行う。もっとも,携帯電話1にメモリ・カード・リーダ(図示略)などが設けられている場合には,メモリ・カードに格納されたプログラムを,メモリ・カード・リーダを用いて読み取り,読み取られたプログラムを携帯電話1にインストールするようにしてもよい。
【0018】
さらに,携帯電話1には,表示画面に文書,画像などを表示するための表示装置3が設けられている。表示装置3の表示画面には,タッチ・パネル4が形成されている。表示画面上に形成されているタッチ・パネル4をタッチすることにより,ユーザは,携帯電話1にスクロール指令,拡大または縮小指令など様々な指令を与えることができる。
【0019】
携帯電話1には,プログラム,所定のデータが格納されるメモリ5も含まれている。さらに,携帯電話1には,スピーカ8およびマイクロフォン9も含まれている。音声信号は,増幅回路7によって増幅されてスピーカ8に与えられることによりスピーカ8から音声が出力される。また,マイクロフォン9から入力した音声を表わす音声信号は,増幅回路7によって増幅されて制御装置2に入力する。
【0020】
小さな表示画面に文書画像を表示して文書画像を見る場合には,上下左右にスクロールしなければならない。この実施例では,上下または左右のいずれかのスクロールだけで文書画像を見ることができるようにするものである。
【0021】
図3は,文書画像サーバ20の電気的構成を示すブロック図である。
【0022】
文書画像サーバ20の全体の動作は,CPU21によって統括される。
【0023】
文書画像サーバ21には,インターネットにアクセスするための通信装置22,所定のデータ等を記憶するメモリ23,キーボードなどの入力装置24,ハードディスク25,ハードディスク25にアクセスするためのハードディスク・ドライブ26およびCD−ROM(コンパクトディスク-リードオンリ・メモリ)ドライブ27が含まれている。後述する動作を制御するプログラムが格納されたCD−ROM28がCD−ROMドライブ27に装填され,そのプログラムが読み取られる。読み取られたプログラムが文書画像サーバ20にインストールされる。もっともプログラムは,CD−ROM28のような記録媒体に格納されていずに,インターネットを介して受信してもよい。
【0024】
文書を表わすテキスト・ファイルはハードディスク25に格納されている。ハードディスク25からテキスト・ファイルが読み取られ,CPU21によって文書画像を表わす画像ファイルに変換される。変換された画像ファイルもハードディスク25に格納される。
【0025】
図4は,文書画像30の一例である。
【0026】
文書画像30は,上述のようにテキスト・ファイルによって表わされるものではなく,テキスト・ファイルによって表わされる文書が画像化されたものである。文書画像30は,画像ファイルによって表わされる画像である。
【0027】
文書画像30は,文字の並び順が横書きであるので,左上の頂点が原点であり,位置座標(X0,Y0)で表わされる。右下の頂点は,位置座標(X1,Y1)で表わされる。
【0028】
図5は,文書画像30の一部を図4に比べて拡大したものである。
【0029】
この実施例では,文書画像30に含まれる文字を表わす文字画像31が矩形(他の形状でもよい)のものとして検出される。検出された文字画像31の位置座標も検出され,後述するように位置座標リストが生成される。
【0030】
文字画像31の位置座標は,文書画像の文字の並び順が横書きであるので,左上の頂点の座標と右下の頂点の座標とで表わされる。一文字目の文字「特」を表わす文字画像31の位置座標は,(x11,y11)および(x12,y12)で表わされる。同様に,二文字目の文字「許」を表わす文字画像31の位置座標は,(x21,y21)および(x22,y22)で表わされる。三文字目の文字「法」を表わす文字画像31の位置座標は,(x31,y31)および(x32,y32)で表わされる。三文字目の文字「法」を表わす文字座標31の次は改行となっており,四文字目の文字「第」を表わす文字座標31の座標は,(x41,y41)および(x42,y43)で表わされる。その他の文字画像31についても同様に位置座標が検出される。
【0031】
図6は,位置座標リストの一例である。位置座標リストは文書画像に対応して生成されている。
【0032】
位置座標リストには,上述したように文書画像30の並び順(上述した文書画像30では横書きであるが,並び順は縦書きであってもよい)を示すデータも格納されている。
【0033】
位置座標リストには,上述したように文字画像31の位置座標が文書画像30の文字の並び順にしたがって格納されている。改行がある場合には,その改行の前の文字画像31の位置座標の次の位置座標が空欄となる。
【0034】
図7は,文書画像サーバ20の処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
上述したように,テキスト・ファイルによって表わされる文書が画像化されて文書画像30が生成される(ステップ41)。つづいて,上述のように,文書画像30から文字画像が検出され,その位置座標が得られる(ステップ42)。得られた位置座標から上述したように位置座標リストが生成される(ステップ43)。
【0036】
図8は,携帯電話1の処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
携帯電話1から文書画像サーバ20に文書画像30のリクエスト・データが送信されており,そのリクエスト・データに応じて文書画像30を表わす画像ファイルおよび位置座標リストが文書画像サーバ20から携帯電話1に送信されているものとする。位置座標リストは文書画像30を表わす画像ファイルのヘッダに格納される。もちろん,位置座標リストを表わすデータは画像ファイルと別ファイルにより文書画像サーバ20から携帯電話1に送信されてもよい。
【0038】
画像ファイルが携帯電話1のメモリ5上で開かれて,開かれた画像ファイルによって表わされる文書画像30上で表示領域が位置決めされる(ステップ51)。表示領域の初期位置は,横書きの文書画像30であれば,文書画像30の左上となろう。文書画像30が縦書きであれば,文書画像30の右上となる。
【0039】
図9は,文書画像30の一例である。
【0040】
上述のように,表示領域60が文書画像30において位置決めされる。表示領域60の横幅はw1,高さはh1とする。表示領域60内の文書画像30が携帯電話1の表示装置3の表示画面に表示されることとなる。表示領域60は,タッチ・パネル4に与えられるスクロール指令により移動し,拡大または縮小指令に応じて縮小または拡大する。
【0041】
つづいて,表示領域60の横幅w1と同じ横幅となるように文書画像30が変更される(図8ステップ52)。検出された文字画像31が文書画像30から切り出され,横幅が変更させられた文書画像に文書画像30の並び順にしたがって切り出された文字画像が並び替えられる。
【0042】
図10は,文書画像30が表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像32を生成する様子を示している。
【0043】
表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像32を生成するために,文書画像30を構成する文字画像31が位置座標リストにもとづいて切り出される。切り出された文字画像31が,位置座標リストにしたがった順序で並べられることにより,文書画像32が生成されていく。たとえば,文書画像30の一文字目の「特」,二文字目の「許」,三文字目の「法」がそれらの順序どおりに並べられて文書画像32が生成される。三文字目の「法」の後は,改行なので,文書画像32においても改行される。文書画像30において,第4行目では,表示領域60からはみ出る文字画像31が出てくる。このように,表示領域60からはみ出る文字画像31については文書画像32では改行される。文字画像31の左上の頂点のx座標と文字画像31の右下の頂点のx座標との差が文字画像31の横幅となる。複数の文字画像31の横幅の和が表示領域60の横幅w1内であって横幅w1にもっとも近くなるような数の文字画像31が並び順にしたがって並べられていくことにより,横幅w1をもつ文書画像32が生成されることとなる。
【0044】
このように,文字の並び順が横書きの場合には表示領域60の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に表示領域60内に配列されることとなる。文字の並び順が縦書きの場合には表示領域60の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に表示領域60に配列される。
【0045】
図11は,このようにして生成された文書画像32の一例である。
【0046】
文書画像32の横幅は表示領域60の横幅w1と同じw1となっている。生成された文書画像32は,文字画像31が文字の並び順に並び替えられているので,左右方向にスクロールする必要がなく,上下方向にスクロールするだけで文書画像32の内容をすべて読むことができる。
【0047】
図8に戻って,表示領域60内の文書画像32が携帯電話1の表示装置3の表示画面に表示されるようになる(ステップ53)。携帯電話1に与えられるユーザ操作に応じて表示領域60が移動または拡大もしくは縮小される(ステップ54)。
【0048】
携帯電話1に上または下方向へのスクロール指令が与えられると(ステップ54),そのスクロール指令に応じて表示領域60が上または下方向に移動する(ステップ56)。
【0049】
図11を参照して,表示領域60が文書画像32の上の位置にあった時に下方向へのスクロール指令が与えられると表示領域60は下方向に移動する。表示領域60の移動後の文書画像32が表示装置3の表示画面に表示されるようになる(スクロール)。
【0050】
携帯電話1に拡大指令が与えられると(図8ステップ54),図11に示すように表示領域60は縮小する(表示領域61)(図8ステップ55)。表示領域61の横幅はw2,高さはh2とする。
【0051】
縮小した表示領域61の横幅w2と同じ横幅となるように文書画像32(文書画像30を利用してもよい)の横幅の変更,文字画像31の再配列などが行われる(図8ステップ51,52)。
【0052】
図12は,縮小した表示領域61の横幅w2と同じ横幅とされた文書画像33の一例である。図11に示した文書画像32と同様に,上下スクロール指令が与えられるだけで,文書画像33を見ることができることが理解されよう。
【0053】
携帯電話1に拡大指令が与えられると(図8ステップ54),図13に示すように表示領域60は拡大する(表示領域62)(図8ステップ55)。表示領域62の横幅はw3,高さはh3とする。
【0054】
拡大した表示領域61の横幅w3と同じ横幅となるように文書画像32(文書画像30を利用してもよい)の横幅の変更,文字画像31の再配列などが行われる(図8ステップ51,52)。
【0055】
図14は,拡大した表示領域62の横幅w3と同じ横幅とされた文書画像34の一例である。図11,図12に示した文書画像32と同様に,上下スクロール指令が与えられるだけで,文書画像34を見ることができる。
【0056】
上述の実施例では,文字の並び順が横書きであったが,文字の並び順が縦書きの場合も同様である。文字の並び順が縦書きの場合には,表示領域の高さと同じ高さをもつように文書画像の大きさが変更される(文字画像の配列も変更される)。左右スクロール指令に応じて表示領域が左右に移動させられることにより,左右スクロールのみで文書画像を見ることができる。文字の並び順が縦書きであっても横書きと同様に,拡大または縮小指令に応じて拡大または縮小された文書画像が表示されるのはいうまでもない。
【0057】
図15から図19は,変形例を示している。
【0058】
図15は,文書画像70の一例である。
【0059】
図4に示す文書画像30は,文字のみから構成されている文書が画像化されたものであるのに対し,図15に示す文書画像70は,文字のほかに画像(文書が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像)が含まれている文書が画像化されたものである。
【0060】
文書画像70には,オリジナル画像領域71〜81と文字画像領域91〜105とが含まれている。オリジナル画像領域71〜81は,文書画像70が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像が含まれる領域である。文字画像領域91〜105は,文書画像70が画像化される以前はテキスト・ファイルによって表わされる文章が含まれる領域である。但し,文書画像70は画像化されているから,文字画像領域91〜105は文書画像70の一部の画像部分となっている。
【0061】
文書画像70は横書きであり,左上の頂点は座標(X3,Y3)で表わされ,右下の頂点は座標(X4,Y4)で表わされる。
【0062】
図16は,文書画像70を図15に比べて拡大して示すものである。
【0063】
文書画像70においては,上述のようにオリジナル画像領域71〜81と文字画像領域91〜105とが含まれている。これらの領域71〜81および91〜105の位置を特定するために,領域71〜81および91〜105のそれぞれにおいて,左上の頂点および右下の頂点の位置座標が検出され,位置座標リストに格納される。さらに,文字画像領域91〜105については,文字画像領域91〜105に含まれている文字画像31を囲む矩形の左上の頂点および右下の頂点の位置座標も検出され,位置座標リストに格納される。
【0064】
たとえば,オリジナル画像領域71の左上の頂点の位置座標は,(xi11,yi11)であり,右下の頂点の位置座標は,(xi21,yi21)であるので,オリジナル画像領域71の位置座標として,これらの座標xi11,yi11,xi21,yi21が位置座標リストに格納される。文字画像領域91に含まれている文字画像31については上述のように,それらの文字画像31の左上の頂点の座標および右下の頂点の座標が位置座標リストに格納される。文字画像領域91に含まれている一文字目の文字画像31については,左上の頂点の位置座標は,(x11,y11)であり,右下の頂点の位置座標は,(x12,y12)であるので,文字画像領域91の一文字目の文字画像31の位置座標として,これらの座標x11,y11,x12,y12が位置座標リストに格納される。
【0065】
図17は,図15に示す文書画像70に対応する位置座標リストの一例である。
【0066】
位置座標リストには,文書画像70の位置座標および文書画像70に含まれる領域(オリジナル画像領域71〜81,文字画像領域91〜105)の位置座標が格納されている。文書画像70に含まれる領域(オリジナル画像領域71〜81,文字画像領域91〜105)については数字の識別符号が付されている。識別符号は,文書画像70のように横書きの場合,左から右に,かつ上から下に順番に付与されている。この識別符号にしたがって,後述するように文書画像70が変更させられるときに領域の位置が決定される。
【0067】
位置座標リストには,領域がオリジナル画像領域71〜81または文字画像領域91〜105のいずれかを示すデータも格納されている。さらに,位置座標リストには,文字画像領域91〜105のそれぞれに含まれている文字画像31の位置座標も,それらの文字画像31を含む文字画像領域91〜104に対応して格納されている。
【0068】
図18は,図10に対応するもので,文書画像70を表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像110に変更する(図8ステップ52)様子を示している。
【0069】
表示領域60の横幅w1と同じ横幅をもつ文書画像110に変更する場合には,識別符号の順に,オリジナル画像領域71〜81および文字画像領域91〜105が上から位置決めされていく。オリジナル画像領域71〜81については,一つの領域の中心が文書画像110の横方向の中心と一致するようにセンタリング処理される。もっとも,一つの領域の横方向の両端が文書画像110の横方向の両辺と一致するように拡大または縮小してもよい。文字画像領域91〜105については,上述したのと同様に,文字画像領域91〜105に含まれる文字画像31が抽出され,抽出された文字画像31が文字の並び順にしたがって配列し直される。
【0070】
図19は,表示領域60の横幅w1と同じ横幅をもつように生成された文書画像110の一例である。
【0071】
識別符号に対応する順番である領域71,72,73,74,91,92,93,75,94,76,96,97および77に対応する画像部分111,112,113,114,121,122,123,115,124,125,116,126,127および117が文書画像110に表わされている。
【0072】
文書画像110の横幅w1は表示領域60の横幅と同じなので,上述したのと同様に,上下スクロールだけで文書画像110を見ることができる。拡大または縮小指令に応じて表示領域60が縮小または拡大し,縮小または拡大された表示領域60の横幅と同じ横幅をもつように文書画像70(文書画像110)が変更させられるのは上述したのと同様である。
【0073】
上述した文書画像110は横書きであるが,縦書きであってもよい(横書きか縦書きかは指定できるものでもよい)。縦書きの場合には,識別符号は,上から下へ,右から左へと順番に決定される。また,縦書きの場合には,表示領域60の高さと同じ高さとなるように文書画像110が変更させられる。
【0074】
上述の実施例では,携帯電話1と文書画像サーバ20とが通信しているが,携帯電話1と文書画像サーバ20とが通信する必要は必ずしも無い。たとえば,文書の画像化,位置座標リストの生成を文書画像サーバ20で行わずに,携帯電話1において行うようにしてもよいし,すでに生成されている文書画像および位置座標リストを携帯電話1に入力するようにしてもよい。また,携帯電話に限らず,電子ブックの閲覧装置などにも適用できるのはいうまでもない。さらに,図7に示すステップ41から43の文書の画像化から位置座標リストの生成および図8に示すステップ51および52の表示領域の位置決めおよび文書画像の変更を文書画像サーバ20で行うようにしてもよい。性能の低いCPUが利用されている携帯電話であっても,一方向のスクロールのみで文書画像を見ることができるようになる。
【符号の説明】
【0075】
1 携帯電話(文書画像表示装置)
3 表示装置
4 タッチ・パネル
30,70 文書画像
31 文字画像
60 表示領域
【技術分野】
【0001】
この発明は,文書画像表示装置ならびにその動作制御方法およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テキスト・ファイルによって文書が表わされるのではなく,文書が画像化されている文書画像がある(特許文献1〜4)。そのような文書画像では,テキスト・ファイルによって表わされる文書に比べて編集しづらいので,文書の内容を変更させたくない場合に有効である。いわゆるスマートフォンと呼ばれるような携帯電話で文書画像を見る場合には,表示画面の大きさが小さいので,上下左右に多数スクロールする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-266068号公報
【特許文献2】特開2000-322511号公報
【特許文献3】特開平11-122398号公報
【特許文献4】特開平7-168911号公報
【発明の概要】
【0004】
この発明は,一方向のスクロールのみで文書画像を見ることができるようにすることを目的とする。
【0005】
この発明による文書画像表示装置は,文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めする表示領域位置決め手段,上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列する文字画像配列手段,および上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示する表示装置を備えていることを特徴とする。
【0006】
この発明は,上記文書画像表示装置に適した動作制御方法も提供している。すなわち,この方法は,表示領域位置決め手段が,文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めし,文字画像配列手段が,上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,表示装置が,上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示するものである。
【0007】
この発明は,上記文書画像表示装置の動作制御方法を実施するためのコンピュータを制御するためのプログラムも提供している。そのようなプログラムを格納した記録媒体を提供するようにしてもよい。
【0008】
この発明によると,文書が画像化された文書画像に表示領域が位置決めされる。文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている。文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,文書の並び順が横書きの場合には表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に文字画像が表示領域内に配列され,文書の並び順が縦書きの場合には表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に文字画像が表示領域内に配列される。表示領域内に配列された文字画像が表示画面に表示される。この発明によると,文書画像に含まれる文字画像が文字ごとに切り出され,横書きの場合には左右にスクロールする必要が無いように,表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって配列され,縦書きの場合には上下にスクロールする必要が無いように,表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって配列される。文書が横書きの場合には,上下スクロールだけで文書画像を見ることができ,文書が縦書きの場合には,左右スクロールだけで文書画像を見ることができるようになる。
【0009】
拡大指令または縮小指令を与える指令手段,および上記指令手段から拡大指令が与えられたことに応じて上記表示領域を縮小し,上記指令手段から縮小指令が与えられたことに応じて上記表示領域を拡大する表示領変更手段をさらに備えてもよい。
【0010】
上記文書画像には,上記文字画像が含まれている文字画像領域のほかに上記文書が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像を表わすオリジナル画像領域が含まれている場合には,上記文字画像領域については上記文字画像配列手段によって上記文字画像が配列され,上記オリジナル画像領域については上記表示領域の中心となるようにセンタリング処理,上記表示領域内に含まれるように縮小処理または上記表示領域に合致するように拡大処理するオリジナル画像領域調整手段をさらに備えてもよい。
【0011】
上記文書が横書きのものについては,上記表示領域の幅と同じ幅をもち,かつ上記文書が縦書きのものについては上記表示領域の高さと同じ高さをもち,かつ上記オリジナル画像領域および上記文字画像領域の配置を文字の並び順に並び替えるレイアウト変更手段をさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】文書画像通信システムの概要である。
【図2】携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】文書画像サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】文書画像の一例である。
【図5】文書画像の一部を示している。
【図6】位置座標リストである。
【図7】文書画像サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】携帯電話の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】文書画像の一例である。
【図10】文書画像を変更する様子を示している。
【図11】文書画像の一例である。
【図12】文書画像の一例である。
【図13】文書画像の一例である。
【図14】文書画像の一例である。
【図15】文書画像の一例である。
【図16】文書画像の一部を示している。
【図17】位置座標リストである。
【図18】文書画像を変更する様子を示している。
【図19】文書画像の一例である。
【実施例】
【0013】
図1は,この発明の実施例を示すもので,文書画像(画像化された文書を文書画像ということにする)通信システムの概要を示している。
【0014】
この実施例による文書画像通信システムには,インターネット(インターネットに限らず社内LAN:ローカル・エリア・ネットワークなどでもよい)を介して互いに通信可能な携帯電話1および文書画像サーバ20が含まれている。携帯電話1からの要求に応じて,文書画像サーバ20から携帯電話1に文書画像を表わすファイルが送信される。
【0015】
図2は,いわゆるスマートフォンと呼ばれる携帯電話の電気的構成を示すブロック図である。
【0016】
携帯電話1の全体の動作は,制御装置2によって統括される。
【0017】
携帯電話1には,他の携帯電話との通信,インターネットへのアクセス等のための通信装置10およびアンテナ11が設けられている。アンテナ11を介して後述する動作を行うプログラム12が携帯電話1にダウンロードされる。ダウンロードされたプログラム12が携帯電話1にインストールされることにより,携帯電話1は後述する動作を行う。もっとも,携帯電話1にメモリ・カード・リーダ(図示略)などが設けられている場合には,メモリ・カードに格納されたプログラムを,メモリ・カード・リーダを用いて読み取り,読み取られたプログラムを携帯電話1にインストールするようにしてもよい。
【0018】
さらに,携帯電話1には,表示画面に文書,画像などを表示するための表示装置3が設けられている。表示装置3の表示画面には,タッチ・パネル4が形成されている。表示画面上に形成されているタッチ・パネル4をタッチすることにより,ユーザは,携帯電話1にスクロール指令,拡大または縮小指令など様々な指令を与えることができる。
【0019】
携帯電話1には,プログラム,所定のデータが格納されるメモリ5も含まれている。さらに,携帯電話1には,スピーカ8およびマイクロフォン9も含まれている。音声信号は,増幅回路7によって増幅されてスピーカ8に与えられることによりスピーカ8から音声が出力される。また,マイクロフォン9から入力した音声を表わす音声信号は,増幅回路7によって増幅されて制御装置2に入力する。
【0020】
小さな表示画面に文書画像を表示して文書画像を見る場合には,上下左右にスクロールしなければならない。この実施例では,上下または左右のいずれかのスクロールだけで文書画像を見ることができるようにするものである。
【0021】
図3は,文書画像サーバ20の電気的構成を示すブロック図である。
【0022】
文書画像サーバ20の全体の動作は,CPU21によって統括される。
【0023】
文書画像サーバ21には,インターネットにアクセスするための通信装置22,所定のデータ等を記憶するメモリ23,キーボードなどの入力装置24,ハードディスク25,ハードディスク25にアクセスするためのハードディスク・ドライブ26およびCD−ROM(コンパクトディスク-リードオンリ・メモリ)ドライブ27が含まれている。後述する動作を制御するプログラムが格納されたCD−ROM28がCD−ROMドライブ27に装填され,そのプログラムが読み取られる。読み取られたプログラムが文書画像サーバ20にインストールされる。もっともプログラムは,CD−ROM28のような記録媒体に格納されていずに,インターネットを介して受信してもよい。
【0024】
文書を表わすテキスト・ファイルはハードディスク25に格納されている。ハードディスク25からテキスト・ファイルが読み取られ,CPU21によって文書画像を表わす画像ファイルに変換される。変換された画像ファイルもハードディスク25に格納される。
【0025】
図4は,文書画像30の一例である。
【0026】
文書画像30は,上述のようにテキスト・ファイルによって表わされるものではなく,テキスト・ファイルによって表わされる文書が画像化されたものである。文書画像30は,画像ファイルによって表わされる画像である。
【0027】
文書画像30は,文字の並び順が横書きであるので,左上の頂点が原点であり,位置座標(X0,Y0)で表わされる。右下の頂点は,位置座標(X1,Y1)で表わされる。
【0028】
図5は,文書画像30の一部を図4に比べて拡大したものである。
【0029】
この実施例では,文書画像30に含まれる文字を表わす文字画像31が矩形(他の形状でもよい)のものとして検出される。検出された文字画像31の位置座標も検出され,後述するように位置座標リストが生成される。
【0030】
文字画像31の位置座標は,文書画像の文字の並び順が横書きであるので,左上の頂点の座標と右下の頂点の座標とで表わされる。一文字目の文字「特」を表わす文字画像31の位置座標は,(x11,y11)および(x12,y12)で表わされる。同様に,二文字目の文字「許」を表わす文字画像31の位置座標は,(x21,y21)および(x22,y22)で表わされる。三文字目の文字「法」を表わす文字画像31の位置座標は,(x31,y31)および(x32,y32)で表わされる。三文字目の文字「法」を表わす文字座標31の次は改行となっており,四文字目の文字「第」を表わす文字座標31の座標は,(x41,y41)および(x42,y43)で表わされる。その他の文字画像31についても同様に位置座標が検出される。
【0031】
図6は,位置座標リストの一例である。位置座標リストは文書画像に対応して生成されている。
【0032】
位置座標リストには,上述したように文書画像30の並び順(上述した文書画像30では横書きであるが,並び順は縦書きであってもよい)を示すデータも格納されている。
【0033】
位置座標リストには,上述したように文字画像31の位置座標が文書画像30の文字の並び順にしたがって格納されている。改行がある場合には,その改行の前の文字画像31の位置座標の次の位置座標が空欄となる。
【0034】
図7は,文書画像サーバ20の処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
上述したように,テキスト・ファイルによって表わされる文書が画像化されて文書画像30が生成される(ステップ41)。つづいて,上述のように,文書画像30から文字画像が検出され,その位置座標が得られる(ステップ42)。得られた位置座標から上述したように位置座標リストが生成される(ステップ43)。
【0036】
図8は,携帯電話1の処理手順を示すフローチャートである。
【0037】
携帯電話1から文書画像サーバ20に文書画像30のリクエスト・データが送信されており,そのリクエスト・データに応じて文書画像30を表わす画像ファイルおよび位置座標リストが文書画像サーバ20から携帯電話1に送信されているものとする。位置座標リストは文書画像30を表わす画像ファイルのヘッダに格納される。もちろん,位置座標リストを表わすデータは画像ファイルと別ファイルにより文書画像サーバ20から携帯電話1に送信されてもよい。
【0038】
画像ファイルが携帯電話1のメモリ5上で開かれて,開かれた画像ファイルによって表わされる文書画像30上で表示領域が位置決めされる(ステップ51)。表示領域の初期位置は,横書きの文書画像30であれば,文書画像30の左上となろう。文書画像30が縦書きであれば,文書画像30の右上となる。
【0039】
図9は,文書画像30の一例である。
【0040】
上述のように,表示領域60が文書画像30において位置決めされる。表示領域60の横幅はw1,高さはh1とする。表示領域60内の文書画像30が携帯電話1の表示装置3の表示画面に表示されることとなる。表示領域60は,タッチ・パネル4に与えられるスクロール指令により移動し,拡大または縮小指令に応じて縮小または拡大する。
【0041】
つづいて,表示領域60の横幅w1と同じ横幅となるように文書画像30が変更される(図8ステップ52)。検出された文字画像31が文書画像30から切り出され,横幅が変更させられた文書画像に文書画像30の並び順にしたがって切り出された文字画像が並び替えられる。
【0042】
図10は,文書画像30が表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像32を生成する様子を示している。
【0043】
表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像32を生成するために,文書画像30を構成する文字画像31が位置座標リストにもとづいて切り出される。切り出された文字画像31が,位置座標リストにしたがった順序で並べられることにより,文書画像32が生成されていく。たとえば,文書画像30の一文字目の「特」,二文字目の「許」,三文字目の「法」がそれらの順序どおりに並べられて文書画像32が生成される。三文字目の「法」の後は,改行なので,文書画像32においても改行される。文書画像30において,第4行目では,表示領域60からはみ出る文字画像31が出てくる。このように,表示領域60からはみ出る文字画像31については文書画像32では改行される。文字画像31の左上の頂点のx座標と文字画像31の右下の頂点のx座標との差が文字画像31の横幅となる。複数の文字画像31の横幅の和が表示領域60の横幅w1内であって横幅w1にもっとも近くなるような数の文字画像31が並び順にしたがって並べられていくことにより,横幅w1をもつ文書画像32が生成されることとなる。
【0044】
このように,文字の並び順が横書きの場合には表示領域60の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に表示領域60内に配列されることとなる。文字の並び順が縦書きの場合には表示領域60の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に表示領域60に配列される。
【0045】
図11は,このようにして生成された文書画像32の一例である。
【0046】
文書画像32の横幅は表示領域60の横幅w1と同じw1となっている。生成された文書画像32は,文字画像31が文字の並び順に並び替えられているので,左右方向にスクロールする必要がなく,上下方向にスクロールするだけで文書画像32の内容をすべて読むことができる。
【0047】
図8に戻って,表示領域60内の文書画像32が携帯電話1の表示装置3の表示画面に表示されるようになる(ステップ53)。携帯電話1に与えられるユーザ操作に応じて表示領域60が移動または拡大もしくは縮小される(ステップ54)。
【0048】
携帯電話1に上または下方向へのスクロール指令が与えられると(ステップ54),そのスクロール指令に応じて表示領域60が上または下方向に移動する(ステップ56)。
【0049】
図11を参照して,表示領域60が文書画像32の上の位置にあった時に下方向へのスクロール指令が与えられると表示領域60は下方向に移動する。表示領域60の移動後の文書画像32が表示装置3の表示画面に表示されるようになる(スクロール)。
【0050】
携帯電話1に拡大指令が与えられると(図8ステップ54),図11に示すように表示領域60は縮小する(表示領域61)(図8ステップ55)。表示領域61の横幅はw2,高さはh2とする。
【0051】
縮小した表示領域61の横幅w2と同じ横幅となるように文書画像32(文書画像30を利用してもよい)の横幅の変更,文字画像31の再配列などが行われる(図8ステップ51,52)。
【0052】
図12は,縮小した表示領域61の横幅w2と同じ横幅とされた文書画像33の一例である。図11に示した文書画像32と同様に,上下スクロール指令が与えられるだけで,文書画像33を見ることができることが理解されよう。
【0053】
携帯電話1に拡大指令が与えられると(図8ステップ54),図13に示すように表示領域60は拡大する(表示領域62)(図8ステップ55)。表示領域62の横幅はw3,高さはh3とする。
【0054】
拡大した表示領域61の横幅w3と同じ横幅となるように文書画像32(文書画像30を利用してもよい)の横幅の変更,文字画像31の再配列などが行われる(図8ステップ51,52)。
【0055】
図14は,拡大した表示領域62の横幅w3と同じ横幅とされた文書画像34の一例である。図11,図12に示した文書画像32と同様に,上下スクロール指令が与えられるだけで,文書画像34を見ることができる。
【0056】
上述の実施例では,文字の並び順が横書きであったが,文字の並び順が縦書きの場合も同様である。文字の並び順が縦書きの場合には,表示領域の高さと同じ高さをもつように文書画像の大きさが変更される(文字画像の配列も変更される)。左右スクロール指令に応じて表示領域が左右に移動させられることにより,左右スクロールのみで文書画像を見ることができる。文字の並び順が縦書きであっても横書きと同様に,拡大または縮小指令に応じて拡大または縮小された文書画像が表示されるのはいうまでもない。
【0057】
図15から図19は,変形例を示している。
【0058】
図15は,文書画像70の一例である。
【0059】
図4に示す文書画像30は,文字のみから構成されている文書が画像化されたものであるのに対し,図15に示す文書画像70は,文字のほかに画像(文書が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像)が含まれている文書が画像化されたものである。
【0060】
文書画像70には,オリジナル画像領域71〜81と文字画像領域91〜105とが含まれている。オリジナル画像領域71〜81は,文書画像70が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像が含まれる領域である。文字画像領域91〜105は,文書画像70が画像化される以前はテキスト・ファイルによって表わされる文章が含まれる領域である。但し,文書画像70は画像化されているから,文字画像領域91〜105は文書画像70の一部の画像部分となっている。
【0061】
文書画像70は横書きであり,左上の頂点は座標(X3,Y3)で表わされ,右下の頂点は座標(X4,Y4)で表わされる。
【0062】
図16は,文書画像70を図15に比べて拡大して示すものである。
【0063】
文書画像70においては,上述のようにオリジナル画像領域71〜81と文字画像領域91〜105とが含まれている。これらの領域71〜81および91〜105の位置を特定するために,領域71〜81および91〜105のそれぞれにおいて,左上の頂点および右下の頂点の位置座標が検出され,位置座標リストに格納される。さらに,文字画像領域91〜105については,文字画像領域91〜105に含まれている文字画像31を囲む矩形の左上の頂点および右下の頂点の位置座標も検出され,位置座標リストに格納される。
【0064】
たとえば,オリジナル画像領域71の左上の頂点の位置座標は,(xi11,yi11)であり,右下の頂点の位置座標は,(xi21,yi21)であるので,オリジナル画像領域71の位置座標として,これらの座標xi11,yi11,xi21,yi21が位置座標リストに格納される。文字画像領域91に含まれている文字画像31については上述のように,それらの文字画像31の左上の頂点の座標および右下の頂点の座標が位置座標リストに格納される。文字画像領域91に含まれている一文字目の文字画像31については,左上の頂点の位置座標は,(x11,y11)であり,右下の頂点の位置座標は,(x12,y12)であるので,文字画像領域91の一文字目の文字画像31の位置座標として,これらの座標x11,y11,x12,y12が位置座標リストに格納される。
【0065】
図17は,図15に示す文書画像70に対応する位置座標リストの一例である。
【0066】
位置座標リストには,文書画像70の位置座標および文書画像70に含まれる領域(オリジナル画像領域71〜81,文字画像領域91〜105)の位置座標が格納されている。文書画像70に含まれる領域(オリジナル画像領域71〜81,文字画像領域91〜105)については数字の識別符号が付されている。識別符号は,文書画像70のように横書きの場合,左から右に,かつ上から下に順番に付与されている。この識別符号にしたがって,後述するように文書画像70が変更させられるときに領域の位置が決定される。
【0067】
位置座標リストには,領域がオリジナル画像領域71〜81または文字画像領域91〜105のいずれかを示すデータも格納されている。さらに,位置座標リストには,文字画像領域91〜105のそれぞれに含まれている文字画像31の位置座標も,それらの文字画像31を含む文字画像領域91〜104に対応して格納されている。
【0068】
図18は,図10に対応するもので,文書画像70を表示領域60の横幅w1と同じ横幅w1をもつ文書画像110に変更する(図8ステップ52)様子を示している。
【0069】
表示領域60の横幅w1と同じ横幅をもつ文書画像110に変更する場合には,識別符号の順に,オリジナル画像領域71〜81および文字画像領域91〜105が上から位置決めされていく。オリジナル画像領域71〜81については,一つの領域の中心が文書画像110の横方向の中心と一致するようにセンタリング処理される。もっとも,一つの領域の横方向の両端が文書画像110の横方向の両辺と一致するように拡大または縮小してもよい。文字画像領域91〜105については,上述したのと同様に,文字画像領域91〜105に含まれる文字画像31が抽出され,抽出された文字画像31が文字の並び順にしたがって配列し直される。
【0070】
図19は,表示領域60の横幅w1と同じ横幅をもつように生成された文書画像110の一例である。
【0071】
識別符号に対応する順番である領域71,72,73,74,91,92,93,75,94,76,96,97および77に対応する画像部分111,112,113,114,121,122,123,115,124,125,116,126,127および117が文書画像110に表わされている。
【0072】
文書画像110の横幅w1は表示領域60の横幅と同じなので,上述したのと同様に,上下スクロールだけで文書画像110を見ることができる。拡大または縮小指令に応じて表示領域60が縮小または拡大し,縮小または拡大された表示領域60の横幅と同じ横幅をもつように文書画像70(文書画像110)が変更させられるのは上述したのと同様である。
【0073】
上述した文書画像110は横書きであるが,縦書きであってもよい(横書きか縦書きかは指定できるものでもよい)。縦書きの場合には,識別符号は,上から下へ,右から左へと順番に決定される。また,縦書きの場合には,表示領域60の高さと同じ高さとなるように文書画像110が変更させられる。
【0074】
上述の実施例では,携帯電話1と文書画像サーバ20とが通信しているが,携帯電話1と文書画像サーバ20とが通信する必要は必ずしも無い。たとえば,文書の画像化,位置座標リストの生成を文書画像サーバ20で行わずに,携帯電話1において行うようにしてもよいし,すでに生成されている文書画像および位置座標リストを携帯電話1に入力するようにしてもよい。また,携帯電話に限らず,電子ブックの閲覧装置などにも適用できるのはいうまでもない。さらに,図7に示すステップ41から43の文書の画像化から位置座標リストの生成および図8に示すステップ51および52の表示領域の位置決めおよび文書画像の変更を文書画像サーバ20で行うようにしてもよい。性能の低いCPUが利用されている携帯電話であっても,一方向のスクロールのみで文書画像を見ることができるようになる。
【符号の説明】
【0075】
1 携帯電話(文書画像表示装置)
3 表示装置
4 タッチ・パネル
30,70 文書画像
31 文字画像
60 表示領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めする表示領域位置決め手段,
上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列する文字画像配列手段,および
上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示する表示装置,
を備えた文書画像表示装置。
【請求項2】
拡大指令または縮小指令を与える指令手段,および
上記指令手段から拡大指令が与えられたことに応じて上記表示領域を縮小し,上記指令手段から縮小指令が与えられたことに応じて上記表示領域を拡大する表示領変更手段,
をさらに備えた請求項1に記載の文書画像表示装置。
【請求項3】
上記文書画像には,上記文字画像が含まれている文字画像領域のほかに上記文書が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像を表わすオリジナル画像領域が含まれており,
上記文字画像領域については上記文字画像配列手段によって上記文字画像が配列され,上記オリジナル画像領域については上記表示領域の中心となるようにセンタリング処理,上記表示領域内に含まれるように縮小処理または上記表示領域に合致するように拡大処理するオリジナル画像領域調整手段,
をさらに備えた請求項1または2に記載の文書画像表示装置。
【請求項4】
上記文書が横書きのものについては,上記表示領域の幅と同じ幅をもち,かつ上記文書が縦書きのものについては上記表示領域の高さと同じ高さをもち,かつ上記オリジナル画像領域および上記文字画像領域の配置を文字の並び順に並び替えるレイアウト変更手段,
をさらに備えた請求項3に記載の文書画像表示装置。
【請求項5】
表示領域位置決め手段が,文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めし,
文字画像配列手段が,上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,
表示装置が,上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示する,
文書画像表示装置の動作制御方法。
【請求項6】
文書画像表示装置のコンピュータを制御するためのコンピュータが読み取り可能なプログラムであって,
文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めさせ,
上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列させ,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列させ,
上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示させるように文書画像表示装置のコンピュータを制御するプログラム。
【請求項1】
文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めする表示領域位置決め手段,
上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列する文字画像配列手段,および
上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示する表示装置,
を備えた文書画像表示装置。
【請求項2】
拡大指令または縮小指令を与える指令手段,および
上記指令手段から拡大指令が与えられたことに応じて上記表示領域を縮小し,上記指令手段から縮小指令が与えられたことに応じて上記表示領域を拡大する表示領変更手段,
をさらに備えた請求項1に記載の文書画像表示装置。
【請求項3】
上記文書画像には,上記文字画像が含まれている文字画像領域のほかに上記文書が画像化される以前から画像ファイルによって表わされる画像を表わすオリジナル画像領域が含まれており,
上記文字画像領域については上記文字画像配列手段によって上記文字画像が配列され,上記オリジナル画像領域については上記表示領域の中心となるようにセンタリング処理,上記表示領域内に含まれるように縮小処理または上記表示領域に合致するように拡大処理するオリジナル画像領域調整手段,
をさらに備えた請求項1または2に記載の文書画像表示装置。
【請求項4】
上記文書が横書きのものについては,上記表示領域の幅と同じ幅をもち,かつ上記文書が縦書きのものについては上記表示領域の高さと同じ高さをもち,かつ上記オリジナル画像領域および上記文字画像領域の配置を文字の並び順に並び替えるレイアウト変更手段,
をさらに備えた請求項3に記載の文書画像表示装置。
【請求項5】
表示領域位置決め手段が,文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めし,
文字画像配列手段が,上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列し,
表示装置が,上記文字画像配列手段によって上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示する,
文書画像表示装置の動作制御方法。
【請求項6】
文書画像表示装置のコンピュータを制御するためのコンピュータが読み取り可能なプログラムであって,
文書が画像化された文書画像に,表示装置の表示画面に表示する範囲を規定する表示領域を位置決めさせ,
上記文書画像に含まれる文字を表わす文字画像が文字ごとに切り出されている,そのような文字画像を,上記文書画像に含まれる各文字の位置座標にもとづいて,上記文書の並び順が横書きの場合には上記表示領域の最上段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列させ,上記文書の並び順が縦書きの場合には上記表示領域の最右段に表示されている文字から文字の並び順にしたがって順に上記表示領域内に配列させ,
上記表示領域内に配列された文字画像を表示画面に表示させるように文書画像表示装置のコンピュータを制御するプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−108750(P2012−108750A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257494(P2010−257494)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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