説明

料理できる食器

【課題】毎日使えて料理できる食器として、マグカップと擂り鉢を合体した形を考えたが、一般の擂り鉢は固定し易いように重くできており、食器では重くては使えない。単純に軽くしては子供や病人では全体を片手で掴んで支えるのには無理がある。一方内部の底が擂り鉢状の凹凸になっていると、金属のスプーンや塗装してある箸は使えない。
【解決手段】先ず取っ手の一部をテーブルに接する位置まで延長し支える支点とした。腕をテーブルに密着させ取っ手を掴み、親指を取っ手の上に乗せることにより、親指の力が支える力となり、本体を軽量化しても弱い力で安心して料理出来るようになった。一方内部の底にある擂り鉢状の凹凸を一部に留め、凹凸のない部分との境に切れ目のある低い凸部を設けた。擦る、擦り潰すは擂り鉢状の部分で、他の加工は全体で、食器として使う時は凹凸のない部分を使用することで、弱い力でしっかり支えて各種の料理ができる食器になった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
現在、小家族化が進み、一人暮らしや老人家族が増え、料理やその後片付けが面倒なため、コンビニやスーパーなどで簡単な弁当やスナックなどを購入して食事を済ませている家庭が増えている。これではゴミばかり増え、健康的にも悪い影響を与えかねず、一人でもいろいろな料理をすれば、食器だけでなく包丁やまな板などの調理具が使われ、準備や後片付けに結構時間がかかっていた。それを一つのカップ内で料理してそのまま食器として使えれば、調理時間が僅かで済み、後片付けもカップ一つ洗うだけで終了する。そのレシピをいろいろと考えて行くうちに、マグカップの機能と擂り鉢の機能が合わさった形状が適しているのではないか、と結論付けた。
【0002】
実際の擂り鉢ではしっかりと押さえ固定するために、かなり重く出来ており、誰でも使える食器として考えると重過ぎる。とは言えこれを単に軽くするだけでは何処で支えても片手ではしっかり支えるのは難しい。マグカップ状の取っ手を付けたとしても、これで支えるのは心もとない。カップの下部を掴むようにするのが良いと考えたがカップの径を小さくしなければならず、仕方なく高台を掴むことを考えた。ところが高台をしっかりと掴んで固定するには必要な高さが必要で、その上に本体を乗せることを考えると、今度は不安定になり、ひっくり返す心配が出てきた。女性や子供、老人でも片手でしっかりて支えて作業が出来る安定した形状で軽く、食器にも適したマグカップと擂り鉢が合体したものが出来れば、考えた通りの料理できる食器が完成する。
【0003】
一方、内部が擂り鉢状では、食事する度に箸やスプーンが擦る部分に当り、多少なりとも削り取られ好ましくない。
【背景技術】
【0004】
フードプロセッサーのように数々の種類の加工が出来る、という調理具はいろいろ発売されているが、求めているものとは全く異なる。「捨てるものはラップか素材が包んであった包装紙くらい、洗うのはこのカップだけ」を基本に、これの食器だけで出来る数多くのヒントやレシピ集を用意し、今まで全く考えられなかった分野の、誰でも使え僅かな時間で簡単に数々の料理ができるの食器を作りたいと考えた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案公開平5-51221
【特許文献1】実用新案公開平1-66252
【特許文献1】実用新案公開昭57-64205
【特許文献1】実用新案公開昭55-68933
【特許文献1】実用新案3133707
【特許文献1】実用新案3126580
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実際の擂り鉢は安定して作業がし易い為にかなり重く出来ている。食器として扱い易くする為には軽く造る必要が不可欠だが軽くすると安定しない。マグカップ状の取っ手で支えるだけでは心もとない、カップの下部を利き手と反対の手で掴み固定、利き手ですりこ木の上部を掴んですり潰すのが最も安定安心して行えると判断した。それを満足させる形状を考えたが、普通に考えるとカップの径の下部を小さくしなければならず、返って滑り易く掴みにくくなる。下部を筒状にして上部を広いお椀状を考えたが、擂り鉢の細かい線が引けない、と言うことで断念、仕方なく高台を掴むことを考えた。ところが高台をしっかりと掴んで固定するにはかなりの高さが必要で、その上に本体を乗せることを考えると安定がむずかしくひっくり返る心配が出てきた。手の小さい女性や子供、握力が弱った老人でも軽く掴んで支えれば、安定して固定できる構造が必要だ。
【0007】
一方擂り鉢状の底では金属のスプーンは使えず、塗装してないスプーンや箸を使うしかない。例え「塗装した箸やスプーンは使わないでください」と書いておいたとしても、うっかり使ってしまわないとも限らず、先の塗りの部分が削れて以後、使えなくなってしまう心配がある。

【課題を解決するための手段】
【0008】
先ず高台を掴んで固定するのを諦め、この食器をテーブルに置いた時、取っ手の一部をテーブルに接する位置まで延長することにした。これにより、テーブルに接する部分を支点として上からの力がプラスされる。親指を取っ手の上部に乗せて支えれば更に支える力が強くなる。即ち利き手の逆の腕をテーブルに密着させてこの取っ手を掴み、親指で上から押しつけるように支えれば、本体が軽くても楽に片手で支えられる。これで手の小さな子供や握力の弱くなった老人でもしっかり支え固定できるようになった。
【0009】
この食器は擂り鉢機能はあるが、それほど完全に擦れなくても我慢できる。そこで底全体ではなく、擂り鉢状の凹凸を1/2以下に押さえ、普通の食器同様の何にもない部分を広く設け、平らな部分との間に、邪魔にならない程度の切れ目にある低い塀を設けた。これにより、すりこ木が凹凸のない部分に、スプーンや箸が凹凸部分に行きにくくなった。更に塗りのないスプーンや箸を付属品に付けることにした。
【発明の効果】
【0010】
これで擦リ潰す、潰す、押し混ぜるの作業と、電子レンジが使える新しいタイプの食器が出来た。擦る、擦り潰す料理は擂り鉢状の凹凸のある部分で、それ以外の料理は全体で、箸、スプーン使用時は凹凸のない部分で、と使い分ける。軽くても手の小さな子供や老人病人でも、しっかりと支えて料理できる。各種の新鮮出来たて料理が数秒〜数分で出来あがり、そのまま食器として使える。他の調理具や食器を汚さないので後片付けが楽、ゴミも最小で済む。信用できる安心素材だけを使い、一人一人違った調味料や素材を使うことで、好みの味付けや、制限されている調味料などを使わず簡単調理できるようになった。
【0011】
これで出来る簡単料理の例だ。
ラップに包んでチンしたジャガイモをラップの上で開き皮を剥き、箸で幾つか切り分け、一部をこのカップに入れマヨネーズと混ぜ合わせ、残りのジャガイモを加えれば、出来たてポテトサラダ。マカロニに水を加えチン、マヨネーズを加え掻き混ぜればマカロニサラダ。梅干を潰し、残りご飯を入れお湯を加えながら潰し、軽くチンすれば梅干粥の出来あがり。缶詰のコーンに調味料を加え擦り潰し牛乳を加えればコーンスープ。味噌を加えれば中華風コーンスープ。残りの焼き餃子に味噌を加えて潰し、お湯を注げば1〜2分で簡易豚汁。味噌の代りに塩コショウを加え、仕上げに胡麻油を垂らせば簡易スープ豚汁。チンしたサツマイモの皮を剥き潰し、剥き栗を加えラップで絞れば茶巾絞り、クッキー型に入れて型抜きしてトッピングで飾れば変形芋羊羹、など数多く料理が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】は全体斜視図
【図2】は取っ手を掴みテーブル上に固定した図
【図3】は部分的に設けた擂り鉢状の角度の異なった連続線と、凹凸の無い部分との境に低い塀を設けた説明図
【図4】はテーブルに置いた時、テーブルに接している取っ手の例
【図5】は取っ手がすりこ木などの収納部分を有する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
大きさやデザイン、好みにより、マグカップの内部の底を擂り鉢状に湾曲させた形状、或いはお椀に取っ手を付けた形状、どんぶりに取っ手を付けた形状が基本の形になる。その内部の湾曲した部分とそれに接している壁面の一部に擂り鉢状の角度の異なる連続線を設けた(1)。擦っている時、すりこ木が凹凸部より食み出にくくする為と、食事時は逆にスプーンや箸が凹凸部に入りにくくする為に、料理や食事に邪魔にならない程度の低い塀状に凸部(2)を設け、液体などがどちらかに溜まってしまうのを防ぐ為に、その凸部に切れ目(3)を入れた。そこに付ける取っ手(4)は、いろいろなデザインが考えられるが、テーブルに置いた時、テーブルに接する支点部分(5)があれば良い。取っ手を掴み、その接する部分を支点として親指を上から押さえ付けるようにすることにより、安定して作業ができる(図2)。これにより擂り鉢のように重く造らなくても片手でしっかり押さえ付けて安定した作業ができる。他の例として取っ手を太く筒状にしてすりこ木(7)などの収納部(6)を設けても良い。
【符号の説明】
【0014】
1 擂り鉢状の角度の異なる連続線の凹凸部分
2 擂り鉢状の部分との境に設けた低い塀状の凸部
3 その凸部に設けられた切れ目
4 取っ手
5 その取っ手のテーブルに接している部分
6 すりこ木などの収納部
7 すりこ木


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底の内側が擂り鉢状に湾曲している取っ手付きの食器において、内側底の一部及びそれに接している周囲の壁の一部に、擂り鉢状の、方向が異なった連続線の凹凸を設けた料理のできる食器
【請求項2】
その食器をテーブルに置いた時、その取っ手が、テーブル面に接する部分を有する請求項1の料理できる食器
【請求項3】
その食器の取っ手に、すりこ木などを収納できる筒状の凹みを設けた請求項1の料理のできる食器
【請求項4】
その食器に付いている擂り鉢状の連続線の凹凸と、凹凸のない部分との境に低い仕切りを設けた請求項1の料理のできる食器







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−29745(P2012−29745A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169984(P2010−169984)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000159803)
【出願人】(510208309)
【上記1名の代理人】
【識別番号】000159803
【氏名又は名称】吉田 恵雄
【Fターム(参考)】