説明

料金自動収受機およびその処理方法

【課題】車両の利用料金を収受する料金自動収受機の利用者の貨幣の取り忘れを防止する効果を高め、貨幣を取り忘れた後のサービス対応を向上させるとともに、料金自動収受機の設置されている料金所における渋滞を緩和することのできる料金自動収受機を提供する。
【解決手段】貨幣の排出先口に貨幣を排出し、貨幣の排出前の排出先口の撮影画像と、排出直後の排出先口の撮影画像とを取得するとともに、現在の撮影画像を繰り返し連続して取得して、排出直後の排出先口の撮影画像と現在の撮影画像との差分に基づいて貨幣の取り出しを検知し、また現在の撮影画像と排出前の排出先口の撮影画像との差分に基づいて貨幣の取り忘れ有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の利用料金を収受する料金自動収受機およびその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料駐車場や高速道路等の有料道路には、車両の利用料金を収受する料金自動収受機が設置されている。この料金自動収受機は、無人で動作し、ユーザへの駐車券や通行券の発行、利用料の清算処理、釣銭の排出などを行う。なお、関連する技術として、銀行等に設置された現金自動取引装置の技術について開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−204549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のような現金自動取引装置は、静止した人が利用する装置であるため、車両からの利用者と比して、貨幣などが受け取りやすくまた、仮に排出口に排出された貨幣に取り忘れがあったとしても、それに気がつくことができれば、利用者は後戻りして排出口に排出された貨幣を取ることができる。しかしながら、高速道路等に設置される料金自動収受機を利用する通行車両のドライバーは、車両からの操作であるために装置の前で静止した利用者と比して貨幣の取り忘れが発生しやすかったり、また、一旦車を発進させてしまうと、貨幣の取り忘れに気づいたとしても後戻りして貨幣を取ることは難しい。従って、現金自動取引装置における貨幣の取り忘れ防止よりも、さらに、利用者の取り忘れを防止する効果の高い装置が必要であり、また、貨幣を取り忘れた後のサービス対応の向上のための対策や、料金自動収受機の設置されている料金所における渋滞緩和の対策を施す必要がある。
【0005】
そこでこの発明は、車両の利用料金を収受する料金自動収受機の利用者の貨幣の取り忘れを防止する効果を高め、貨幣を取り忘れた後のサービス対応を向上させるとともに、料金自動収受機の設置されている料金所における渋滞を緩和することのできる料金自動収受機およびその処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の利用料金を収受する料金自動収受機であって、貨幣の排出先口に貨幣を排出する貨幣排出部と、前記貨幣の排出前後の画像差分情報に基づき、前記排出された貨幣の取り忘れ有無を判定する取り忘れ有無判定部と、を備えることを特徴とする料金自動収受機である。
【0007】
また本発明は、上述の料金自動収受機において、前記取り忘れ有無判定部は、前記貨幣の排出前の前記排出先口の撮影画像と、現在の前記排出口の撮影画像とを取得して、それらの画像差分情報に基づいて前記貨幣の取り忘れ有無を判定することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述の料金自動収受機において、前記取り忘れ有無判定部は、前記排出の直後の前記排出先口の撮影画像を取得し、当該排出の直後の排出先口の撮影画像と前記現在の撮影画像との画像差分情報に基づいて、手の前記排出口への挿入有無による釣銭取出しの検知を行うことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述の料金自動収受機において、前記貨幣の排出後に取り忘れ防止アナウンスを前記取り忘れ有無判定部において取り忘れなしと判定するまで出力する報知音出力装置と、前記車両の発進を検知する発進検知部と、前記車両の発進の検知時に前記取り忘れがあると判定した場合に前記とり忘れ防止アナウンスの他に、取り忘れ報知情報を出力する防止装置制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述の料金自動収受機において、前記取り忘れ放置情報は、前記車両の発進を妨げる開閉バーを備えた発進制御機を制御する情報であることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述の料金自動収受機において、前記取り忘れ放置情報は、前記車両のドライバーの視野に位置する取り忘れ報知情報の表示装置を制御する情報であることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上述の料金自動収受機において、前記取り忘れ放置情報は、前記取り忘れ防止アナウンスの出力を停止して、取り忘れ報知情報に基づいて他の報知音を出力するよう前記報知音出力装置を制御する情報であることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上述の料金自動収受機において、前記車両のドライバーの顔を撮影する撮影装置と、前記ドライバーの顔の撮影画像と、前記排出先口の貨幣の撮影画像とを少なくとも記録する撮影画像記録部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、車両の利用料金を収受する料金自動収受機における処理方法であって、前記料金自動収受機の貨幣排出部が貨幣の排出先口に貨幣を排出し、前記料金自動収受機の取り忘れ有無判定部が、前記貨幣の排出前後の画像差分情報に基づき、前記排出された貨幣の取り忘れ有無を判定することを特徴とする処理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、排出口撮影カメラによる撮影画像によって貨幣の取り忘れ有無を判定することによって、取り忘れ有無判定に必要な装置を小型化でき、また広範囲の貨幣取り忘れの有無を低コストで実現することができる。さらに本発明によれば、貨幣の排出口の撮影画像の単位時間当たりの撮影回数と、撮影画像の比較処理の速度を増加させることにより、短時間で貨幣の取り出し有無を判定でき、貨幣取り忘れの際に車両が発進できない時間を短縮することができる。これにより料金自動収受機の設置された道路上の料金所における渋滞を緩和することができる。また本発明によれば、通行車両の発進を検知した際に、貨幣の取り忘れがある場合には、貨幣取り忘れ防止のためのアナウンス出力のほかに、さらに所定の取り忘れ防止装置を制御することで、ドライバーに貨幣の取り忘れがあることを報知して車の発進を停止させる。通常のATM等の現金自動取引装置では、貨幣排出から所定の時間が経過してから警報を出力する等の処理を行って貨幣の取り忘れを防止しているが、本実施形態においては、車両の発進を検知した場合には直ちに取り忘れ防止の警報を発することなる。つまり、貨幣排出から所定の時間検出する前に通行車両が発進してしまった場合などにおいて取り忘れ防止の警報が発せられる。これにより、取り忘れた貨幣を取りに戻ることの難しい道路上の料金自動収受機において、貨幣の取り忘れの発生を軽減することができる。また、顔画像や貨幣排出口の撮影画像な通行車両100のナンバーを記録しておくことにより、後日、取り忘れた貨幣の返却を行うサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】料金自動収受システムの構成を示すブロック図である。
【図2】料金自動収受機と料金自動収受機用監視盤の機能ブロック図である。
【図3】料金自動収受システムの処理フローを示す図である。
【図4】排出口と排出口撮影カメラの構成を示す図である。
【図5】料金自動収受機用監視盤の取り忘れ有無判定部の処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態による料金自動収受機および料金自動収受システムを図面を参照して説明する。
図1は同実施形態による料金自動収受システムの構成を示すブロック図である。
この図において、符号1は料金自動収受機であり、ドライバーへの通行券の発行、通行券の収受、料金の収受などの処理を行うものである。また2は料金自動収受機1と通信ネットワークで接続された料金自動収受機用監視盤である。料金自動収受機用監視盤2は、主に料金自動収受機1の料金の自動収受処理を制御するものであり、特に本実施形態においては貨幣の取り忘れ防止処理を行う。また、図1において符号3は進入検知装置、4は信号灯、5は表示装置、6はカメラ、7は車両番号認識装置、8は発進制御機、10は発進検知機、11は報知音出力装置である。これら各装置も、料金自動収受機1や料金自動収受機用監視盤2と通信ネットワークを介して接続されている。なお、本実施形態においては、説明の便宜上、表示装置5と報知音出力装置11が一つの装置に一体となって収められているものとするが、料金自動収受機に内蔵又は別々の装置として設置されるようにしてもよい。
【0018】
このような料金自動収受システムにおいては、まず、通行車両100が道路上を走行して当該料金自動収受システムに接近すると、進入検知装置3が赤外線や車両の重みを検知する踏切盤検出器等を用いて通行車両100の料金自動収受システムへの進入を検知し、料金自動収受機1や料金自動収受機用監視盤2へ通知する。そして、料金自動収受機1は、通行券などを通行券挿入口から収受し、当該通行券に磁気記録されている情報を読み取って有料道路の走行区間などから通行料金(利用料金)を算出する。すると料金自動収受機1は、通行料金を表示部に表示し、貨幣の挿入口への挿入を待機する。貨幣が挿入されると、料金自動収受機1は通行料金と比較して清算処理を行う。料金自動収受機1は、清算処理において挿入された貨幣が多ければ、釣銭を算出して貨幣の排出口から釣銭の貨幣を排出する。また、通行料金の精算が完了すると、料金自動収受機1は、発進制御機8を制御して、開閉バーを開に制御する。このとき、料金自動収受機1は、貨幣の取り忘れ防止の処理を行う。
【0019】
図2は料金自動収受機と料金自動収受機用監視盤の機能ブロック図である。
次に、料金自動収受機1と料金自動収受機用監視盤2の機能について説明する。
図2で示すように、料金自動収受機1は、貨幣を排出先口に排出する貨幣排出部101、通行車両100の発進を検知する発進検知部102、貨幣排出後に当該貨幣の取り忘れがないかを判定するための情報を取得する取り忘れ有無判定情報取得部103、通行車両100の発進の検知時に取り忘れがあると判定した場合に取り忘れ報知情報を出力し、取り忘れ防止装置(発進制御機8または表示装置5、報知音出力装置11など)を制御する取り忘れ防止装置制御部104、料金自動収受機用監視盤2等の他の装置や機器と通信する通信処理部105、料金自動収受機1の各処理部を制御する制御部106、貨幣の排出口を撮影する排出口撮影カメラ107を備えている。
また、料金自動収受機用監視盤2は、料金自動収受機1等の料金自動収受システム内の各機器や装置と通信する通信処理部201、料金自動収受処理を行う料金自動収受管理部202、料金自動収受処理で利用する各種情報を記憶する記憶部203、料金自動収受機用監視盤2の各処理部を制御する制御部204を備えている。
なお、料金自動収受機1や料金自動収受機用監視盤2はその他の料金収受処理に必要な処理部等の構成を備えているが、本実施形態においては、図2で示した構成についてのみ説明するものとする。
【0020】
図3は料金自動収受システムの処理フローを示す図である。
次に料金自動収受システムの貨幣の取り忘れ防止の処理について説明する。
上述したように、通行車両100が料金自動収受システムに接近し、停止し、通行券が挿入されると、料金自動収受機1の制御部106が当該通行券の挿入を検知して、通行料の清算処理を開始する(ステップS1)。そして制御部106は、釣銭があるかを判定し(ステップS2)、釣銭がある場合、取り忘れ有無判定情報取得部103に情報取得要求を出力する。そして取り忘れ有無判定情報取得部103は、報知音出力装置11へ報知音出力要求を出力する。報知音出力要求を受信した報知音出力装置11は、当該出力要求に基づいて、『釣銭取り忘れにご注意ください』等の貨幣取り忘れ防止のためのアナウンス音声を出力する(ステップS3)。報知音出力装置11は、このアナウンス音声の出力を、次の報知音停止要求を受信するまで繰り返し行う。
【0021】
また、情報取得要求を受信した取り忘れ有無判定情報取得部103は、貨幣の排出口の画像撮影を開始する撮影開始信号を、料金自動収受機1に備えられた排出口撮影カメラ107へ送信する(ステップS4)。すると排出口撮影カメラ107は貨幣の排出口を撮影し、当該撮影画像を取り忘れ有無判定情報取得部103へ送信する。そして、取り忘れ有無判定情報取得部103は、撮影画像を受信すると(ステップS5)、当該撮影画像を制御部106へ出力し、当該制御部106が、その撮影画像を通信処理部105を介して料金自動収受機用監視盤2へ送信する(ステップS6)。料金自動収受機用監視盤2は受信した撮影画像を取り忘れ有無判定部205へ転送し、取り忘れ有無判定部205は次の撮影画像を取得するまで待機する。
【0022】
また料金自動収受機1においては貨幣排出部101が、制御部106の清算処理によって算出された釣銭額を当該制御部106より受信し、その釣銭額で示される貨幣を排出口から排出する処理を行う(ステップS7)。このとき、制御部106は貨幣排出を示す貨幣排出信号を通信処理部105を介して料金自動収受機用監視盤2へ送信する(ステップS8)。なお貨幣を排出する処理については従来の料金自動収受機において行われる処理と同様の公知技術であるためその説明は省略する。そして貨幣排出部101は釣銭の貨幣の排出完了を検知すると、取り忘れ有無判定情報取得部103に情報取得要求を出力する。すると、取り忘れ有無判定情報取得部103は、貨幣の排出口の画像を撮影開始する撮影開始信号を料金自動収受機1に備えられた排出口撮影カメラ107へ送信する(ステップS8)。すると排出口撮影カメラ107は貨幣の排出口を撮影し、当該撮影画像を取り忘れ有無判定情報取得部103へ送信する。そして、取り忘れ有無判定情報取得部103は撮影画像を受信すると(ステップS9)、当該撮影画像を制御部106へ出力し、当該制御部106が、その撮影画像を通信処理部105を介して料金自動収受機用監視盤2へ送信する(ステップS10)。料金自動収受機用監視盤2は受信した撮影画像を取り忘れ有無判定部205へ転送する。
【0023】
次に貨幣排出前と排出後の2つの撮影画像を取得した料金自動収受機用監視盤2の取り忘れ有無判定部205は、それら2つの撮影画像を比較して取り忘れの有無を判定し(ステップS11)、その判定結果を制御部204へ通知する。制御部204は記憶部203に、取り忘れ有無判定結果と料金自動収受機1が持つ情報(個々の利用者に対応する利用者番号などの利用者明細等や料金自動収受機1のID等)とを対応付けて記憶する。そして、料金自動収受機1は、所定の間隔のタイミングで貨幣排出後の排出口の撮影画像を排出口撮影カメラ107から取得し、料金自動収受機用監視盤2へ送信する。また料金自動収受機用監視盤2の取り忘れ有無判定部205は、撮影画像を取得するたびに、前回取得した撮影画像と今回取得した撮影画像とを比較して、取り忘れ有無を判定する。記憶部203は、取り忘れなしと判定されるまで残留有無フラグ「残留有り」の情報を記録し(ステップS12)、取り忘れ有無判定部205が取り忘れなしと判定した場合には、取り忘れ有無判定部205は記憶部203の記録する残留有無フラグを「残留有り」から「残留なし」に更新する(ステップS13)。
【0024】
また、料金自動収受機1においては、通行車両100の料金自動収受システムへの進入が検知され車両が停止した後は、発進検知部102が発進検知機10へ通行車両100の発進検知要求を出力する。発進検知機10は例えば赤外線や踏切盤検出器等で通行車両100の発進を検知するものであり、発進を検知した場合には発進検知部102へ発進検知信号を出力する。発進検知部102は、発進検知機10からの発進検知信号を受信すると(ステップS14)、制御部106へ発進検知信号を転送する。そして、制御部106は、通信処理部105を介して料金自動収受機用監視盤2へ発進検知信号を送信する(ステップS15)。
【0025】
料金自動収受機用監視盤2においては料金自動収受管理部202が通信処理部201を介して発進検知信号を受信すると、当該発進検知信号に格納される料金自動収受機1が持つ情報を読み取り、当該情報に対応付けられて記憶部203に記録されている残留有無フラグ取得する。そして、残留有無フラグが『残留有り』であれば料金収受処理未完了を示す信号、『残留なし』であれば料金収受処理完了を示す信号を料金自動収受機1へ送信する(ステップS16)。
【0026】
料金自動収受機1の制御部106は、通信処理部105を介して料金収受処理未完了の信号と料金収受処理完了の信号の何れを受信したかを判定し(ステップS17)、料金収受未完了を示す信号を受信した場合には、取り忘れ防止装置制御部104へ料金収受処理未完了を通知する。すると、取り忘れ防止装置制御部104は、報知音出力装置11へ料金収受未完了の信号を転送し、当該信号を受信した報知音出力装置11は、音声アナウンスを停止して、料金収受未完了をドライバーへ伝えるための警報音を、音声アナウンスと比較して大きな音量で出力する(ステップS18)。これにより、貨幣の取り忘れがあった場合には、ドライバーに貨幣取り忘れを通知することができる。また、取り忘れ防止装置制御部104は、通常は発進検知部102が通行車両100の発進を検知した場合には、発進制御機8へ開信号を出力し、発進制御機8が開閉バーを開に制御する。しかしながら、発進検知信号の料金自動収受機用監視盤2への送信に基づいて、料金収受処理未完了を示す信号を受信した場合には、発進制御機8へ開閉バーを閉に制御する信号を送信し、発進制御機8が開閉バーを閉に制御するようにしてもよい。これにより、ドライバーは車両を停止させ、貨幣の取り忘れに気づくことができる。また、取り忘れ防止装置制御部104は、料金収受処理未完了を示す信号を受信した場合には、表示装置5へ料金収受処理が未完了であることを示す表示を出力するようにしてもよい。料金自動収受機1の制御部106が通信処理部105を介して料金収受処理完了を示す信号を受信した場合には、処理を終了する(ステップS19)。
【0027】
なお料金自動収受機2の排出口撮影カメラ107は貨幣排出後、短い時間間隔で連続して排出口を撮影し、制御部106がその撮影画像を料金自動収受機用監視盤2へ送信する。そして、排出口から貨幣が取られた際には料金自動収受機用監視盤2が料金収受処理完了を示す信号を送信する。料金自動収受機2の取り忘れ防止装置制御部104は、料金収受処理完了の信号を受信した場合には、直ちに発進制御機8の開閉バーを開にする信号を、当該発進制御機8へ送信することにより、当該車両が早く料金所を通過できるよう制御する。
【0028】
ここで、取り忘れ防止装置制御部104は、料金収受処理未完了を示す信号を受信した場合には、開閉バーを閉にする処理を行う代わりに、ドライバーの顔画像を撮影するようカメラ6へ撮影開始信号を出力するようにしてもよい。この場合、カメラ6で撮影されたドライバーの顔画像を取り忘れ防止装置制御部104がカメラ6から受信し、制御部106へ出力する。制御部106は、顔画像と、排出口撮影カメラ107で撮影された貨幣排出口の撮影画像とを通信処理部105を介して料金自動収受機用監視盤2へ送信する。料金自動収受機用監視盤2の料金自動収受管理部202は、顔画像と排出口の撮影画像とを受信すると、料金自動収受機1が持つ情報に対応付けて、記憶部203内の貨幣取り忘れ記録テーブルに登録する。このとき、料金自動収受管理部202は、通行車両100の進入時に車両番号認識装置7より通知された車両ナンバーの情報を記憶しておき、ドライバーの顔画像や貨幣排出口の撮影画像、料金自動収受機1が持つ情報に、共に対応付けて貨幣取り忘れ記録テーブルに登録するようにしてもよい。料金自動収受システムを管理する業者は、貨幣取り忘れ記録テーブルの情報を印刷することで、貨幣を取り忘れた通行車両100のドライバーからの後日の報告を受け、取り忘れた貨幣を返金するサービスを行うようにしてもよい。この場合、後続の通行車両100のドライバーに、取り忘れられた貨幣が取得されないよう、当該取り忘れられた貨幣を料金自動収受機1内に搬送する機構を、料金自動収受機1に備えるようにしてもよい。
【0029】
図4は排出口と排出口撮影カメラの構成を示す図である。
この図が示すように、例えば、排出口撮影カメラ107は、釣銭受け皿の画像を上方から撮影する。排出口撮影カメラ107は、撮影した画像をNTSC信号により取り忘れ有無判定情報取得部103へ出力し、当該取り忘れ有無判定情報取得部103がTCP/IPのプロトコルで送出できる画像情報に変換して制御部106、通信処理部105を介して料金自動収受機用監視盤2へ送信する。排出口の釣銭受け皿は、通行車両100内部からドライバーが貨幣を取得するため、広い受け皿である必要がある。従って、排出口の撮影カメラ17は広い受け皿内に散らばった広範囲の貨幣の撮影ができるものである必要である。これにより、市販の金属検知器のような検知範囲が狭く、大型なものとなるため料金自動収受機1内に設置する貨幣の検出装置としては用いることができない。従って、排出口撮影カメラ107による撮影画像によって貨幣の取り忘れ有無を判定することによって、小型化でき、また広範囲の貨幣の有無を低コストで実現することができる。
【0030】
なお、貨幣の取り忘れ有無の判定は、釣銭の質量を計測するもの、渦電流センサによって貨幣の有無を検出するものであってもよい。また、釣銭受け皿が箱型になっており当該箱型の側面に開口部が備えられているような場合には、内部にハーフミラー等を配置して、箱型の釣銭受け皿の奥まで視認できるような構成としてもよい。
【0031】
図5は料金自動収受機用監視盤の取り忘れ有無判定部の処理フローを示す図である。
次に、図5を用いて料金自動収受機用監視盤2の取り忘れ有無判定部205の処理について説明する。
まず、取り忘れ有無判定部205は、前回の通行車両100の処理の後、初期化し(ステップS21)、料金自動収受機1から送信された1つ目の撮影画像Img0と共に制御部204から処理開始要求を受信したかを判定する(ステップS22)。そして、取り忘れ有無判定部205は、処理開始要求を受信した場合には、1つ目の貨幣排出前の撮影画像Img0を取得してメモリ等に記録する(ステップS23)。また取り忘れ有無判定部205は、処理開始応答を出力する(ステップS24)。次に取り忘れ有無判定部205は、料金自動収受機1から貨幣排出信号の受信に基づいて記憶部203に格納される排出実行フラグが立っているかを判定し(ステップS25)、排出実行フラグが立っている場合には貨幣排出が行われたと判断して、貨幣排出後の撮影画像Img1の取得を待機して、料金自動収受機1から貨幣排出後の撮影画像Img1を取得する(ステップS26)。
【0032】
その後排出口撮影カメラ107は所定の間隔で現在の撮影画像Imgを撮影し、その撮影の度に料金自動収受機1の制御部106が通信処理部を介して現在の撮影画像Imgを料金自動収受機用監視盤2へ送信する。そして、料金自動収受機用監視盤2の取り忘れ有無判定部205は、料金自動収受機1から現在の撮影画像Imgを取得し(ステップS27)、当該現在の撮影画像Imgと貨幣排出後の撮影画像Img1の画素の差分を算出する(ステップS28)。そして、それら2つの撮影画像の差分を2値化する(ステップS29)。このとき、例えば、差分の一定閾値未満の画素を0、差分の一定閾値以上の画素を1とする。取り忘れ有無判定部205は撮影画像の差分を2値化した情報のうち、差分が一定閾値以上であった画素の面積Area1を算出し(ステップS30)、当該面積Area1が所定の面積A1以上であるかを判定し(ステップS31)、面積A1以上である場合には、手が排出口に挿入されたと判定し、釣銭取り出しを検知する(ステップS32)。そして、取り出し完了フラグをセットして、制御部204へ通知する。なお、貨幣排出直の画像とその後の撮影画像の比較によって手の排出口への挿入有無の判定を行うことにより、貨幣(硬貨)における太陽光の反射による画像差分の検知不可となる現象が発生するような場合であっても、貨幣の取り出し行為が行われたかどうかについては、手の挿入された画像によって検知することができる。
【0033】
またその後、料金自動収受機用監視盤2の取り忘れ有無判定部205は、継続して料金自動収受機1から送信される現在の撮影画像Imgを取得し(ステップS33)、その度に貨幣排出前の撮影画像Imgと貨幣排出前の撮影画像Img0の画素の差分を算出する(ステップS34)。そして、平均化フィルタ処理を施し(ステップS35)、それら2つの撮影画像の差分を2値化する(ステップS36)。このとき、例えば、差分の一定閾値未満の画素を0、差分の一定閾値以上の画素を1とする。取り忘れ有無判定部205は撮影画像の差分を2値化した情報のうち、差分が一定閾値未満であった画素の面積Area0を算出し(ステップS37)、当該面積Area0が、貨幣が無いと判定できる所定の面積A0Lより広く、面積が完全に一致すると判定されない程度の面積Area0より小さい面積A0Hより小さい面積(完全に一致することはありえないため、面積Area0がある程度の面積以下となる必要がある)であるかを判定する(ステップS38)。この判定においてYes場合には、貨幣が取り出されたと判断し、残留有無フラグ「残留なし」とセットする(ステップS39)。またNoの場合には、貨幣が取り出されていないと判断し、残留有無フラグ「残留有り」とセットする(ステップS40)。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の処理によれば、通行車両の発進を検知した際に、貨幣の取り忘れがある場合には、貨幣取り忘れ防止のためのアナウンス出力のほかに、さらに所定の取り忘れ防止装置を制御することで、ドライバーに貨幣の取り忘れがあることを報知して車の発進を停止させる。通常のATM等の現金自動取引装置では、貨幣排出から所定の時間が経過してから警報を出力する等の処理を行って貨幣の取り忘れを防止しているが、本実施形態においては、車両の発進を検知した場合には直ちに取り忘れ防止の警報を発することなる。つまり、貨幣排出から所定の時間検出する前に通行車両が発進してしまった場合などにおいて取り忘れ防止の警報が発せられる。これにより、取り忘れた貨幣を取りに戻ることの難しい道路上の料金自動収受システムにおいて、貨幣の取り忘れの発生を軽減することができる。また、顔画像や貨幣排出口の撮影画像な通行車両100のナンバーを記録しておくことにより、後日、取り忘れた貨幣の返却を行うサービスを提供することができる。
また本発明によれば、排出口撮影カメラによる撮影画像によって貨幣の取り忘れ有無を判定することによって、小型化でき、また広範囲の貨幣の有無を低コストで実現することができる。
さらに本発明によれば、貨幣の排出口の撮影画像の単位時間当たりの撮影回数と、撮影画像の比較処理の速度を増加させることにより、短時間で取り出し有無を判定でき、貨幣取り忘れの際に通行車両100が発進できない時間を短縮することができる。これにより料金自動収受システムの設置された道路上の料金所における渋滞を緩和することができる。
【0035】
上述の料金自動収受機や料金自動収受機用監視盤は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。
【0036】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0037】
1・・・料金自動収受機
2・・・料金自動収受機用監視盤(料金収受管理装置)
101・・・貨幣排出部
102・・・発進検知部
103・・・取り忘れ有無判定情報取得部
104・・・取り忘れ防止装置制御部
105・・・通信処理部
106・・・制御部
107・・・排出口撮影カメラ
201・・・通信処理部
202・・・料金自動収受管理部
203・・・記憶部
204・・・制御部
205・・・取り忘れ有無判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の利用料金を収受する料金自動収受機であって、
貨幣の排出先口に貨幣を排出する貨幣排出部と、
前記貨幣の排出前後の画像差分情報に基づき、前記排出された貨幣の取り忘れ有無を判定する取り忘れ有無判定部と、
を備えることを特徴とする料金自動収受機。
【請求項2】
前記取り忘れ有無判定部は、
前記貨幣の排出前の前記排出先口の撮影画像と、現在の前記排出口の撮影画像とを取得して、それらの画像差分情報に基づいて前記貨幣の取り忘れ有無を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の料金自動収受機。
【請求項3】
前記取り忘れ有無判定部は、
前記排出の直後の前記排出先口の撮影画像を取得し、当該排出の直後の排出先口の撮影画像と前記現在の撮影画像との画像差分情報に基づいて、手の前記排出口への挿入有無による釣銭取出しの検知を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の料金自動収受機。
【請求項4】
前記貨幣の排出後に取り忘れ防止アナウンスを前記取り忘れ有無判定部において取り忘れなしと判定するまで出力する報知音出力装置と、
前記車両の発進を検知する発進検知部と、
前記車両の発進の検知時に前記取り忘れがあると判定した場合に前記とり忘れ防止アナウンスの他に、取り忘れ報知情報を出力する防止装置制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の料金自動収受機。
【請求項5】
前記取り忘れ放置情報は、前記車両の発進を妨げる開閉バーを備えた発進制御機を制御する情報である
ことを特徴とする請求項4に記載の料金自動収受機。
【請求項6】
前記取り忘れ放置情報は、前記車両のドライバーの視野に位置する取り忘れ報知情報の表示装置を制御する情報である
ことを特徴とする請求項4に記載の料金自動収受機。
【請求項7】
前記取り忘れ放置情報は、前記取り忘れ防止アナウンスの出力を停止して、取り忘れ報知情報に基づいて他の報知音を出力するよう前記報知音出力装置を制御する情報である
ことを特徴とする請求項4に記載の料金自動収受機。
【請求項8】
前記車両のドライバーの顔を撮影する撮影装置と、
前記ドライバーの顔の撮影画像と、前記排出先口の貨幣の撮影画像とを少なくとも記録する撮影画像記録部と、
を備えることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の料金自動収受機。
【請求項9】
車両の利用料金を収受する料金自動収受機における処理方法であって、
前記料金自動収受機の貨幣排出部が貨幣の排出先口に貨幣を排出し、
前記料金自動収受機の取り忘れ有無判定部が、前記貨幣の排出前後の画像差分情報に基づき、前記排出された貨幣の取り忘れ有無を判定する
ことを特徴とする処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−170788(P2011−170788A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36408(P2010−36408)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】