説明

断層撮影装置、及び断層撮影装置における測定データの処理方法

【課題】 測定データのデータ量を正確に演算し、測定を行う前に測定データを格納可能かどうかを把握することのできる断層撮影装置及び断層撮影装置における測定データの処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 被検体から放出される放射線を検出して得る測定データを記憶部に格納し、前記記憶部に格納された測定データに基づき前記被検体の断層画像を再生成する断層撮影装置において、少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する予測データ量演算部と、前記予測データ量よりも前記記憶部の残存容量が大きいか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記予測データ量よりも前記記憶部の残存容量が大きいと判定された場合に、前記測定データを前記記憶部に格納する格納部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体内にある放射性同位元素から放出されるガンマ線を検出することによって断層撮影を行う断層撮影装置、及び断層撮影装置における測定データの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生体(被検体)の内部の情報を得るために断層撮影装置が広く用いられるようになってきた。中でも、ポジトロン断層撮影(PET)装置は、被検体内の機能情報の精密情報が得られるため、近年、さかんに用いられている。PET装置では被検体の体内の機能情報が得られるため、様々な難病の病理解明が可能である。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−119095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、PET装置、特に、半導体素子を検出素子として用いた半導体PET装置においては、コンピュータで画像を再生成するために必要な測定データのデータ量は、膨大なものとなる。これは、例えば、被検体から放出される放射線を検出する放射線検出装置は、被検体を囲むように16個配置され、各々の放射線検出装置には、放射線を検出する16個の半導体検出素子が2列配置され、このような多チャンネルのデータを測定するようなことが行われるからである。
【0005】
こうして得られた測定データは、例えば、コインシデンス形式のデータとしてメモリに格納されることによって保存され、コンピュータによって断層画像が再生成される。
【0006】
しかしながら、上述のような測定データのデータ量は、例えば、数100Gバイトに及ぶこともあるため、断層撮影装置のメモリ容量の残存度合によっては、測定を行ったものの、メモリに十分な空きがないために、測定データを保存できない場合があった。
【0007】
また、測定を行うためには装置の立ち上げ等の準備だけでなく、貴重な放射性物質を調達するスケジュール等の調整も関係するため、測定データを保存できないために測定を中断するようなことが生じると、作業効率が著しく低下するという問題があった。特に、放射性物質には半減期があるため、開始時刻等の予定の変更は極めて困難な場合もある。
【0008】
また、一般にはメモリを増設することも考えられるが、数100Gバイトのデータを幾つも保存するためにメモリを増設することは、メモリの容量が大きすぎるため、コスト面からも現実的ではなかった。
【0009】
また、測定データのデータ量は、核種、投与量、及び測定時間によって決まるが、従前はデータ量を予測する作業を手計算で行っていた。この計算には膨大な量の計算が必要であるため、例えば、計算ミス等によってデータ量が実際のデータ量と大きく異なるようなことがあると、測定データを保存できない可能性が生じるという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、測定データのデータ量を正確に演算し、測定を行う前に測定データを保存可能かどうかを把握することのできる断層撮影装置、及び断層撮影装置のデータの処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面の断層撮影装置は、被検体から放出される放射線を検出して得る測定データを記憶部に格納し、前記記憶部に格納された測定データに基づき前記被検体の断層画像を再生成する断層撮影装置において、少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する予測データ量演算部と、前記予測データ量よりも前記記憶部の残存容量が大きいか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記予測データ量よりも前記記憶部の残存容量が大きいと判定された場合に、前記測定データを前記記憶部に格納する格納部とを含む。
【0012】
また、少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、測定中に前記被検体から放出されると予測される予測放射線カウント数を演算する予測放射線カウント数演算部をさらに含み、前記予測データ量演算部は、前記予測放射線カウント数演算部によって演算される前記予測放射線カウント数に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算してもよい。
【0013】
また、前記判定部により、前記予測データ量が前記記憶部の残存容量より大きくないと判定された場合に、前記格納部による前記測定データの前記記憶部への格納を禁止するインターロック部をさらに含んでもよい。
【0014】
また、前記測定データは、コインシデンス測定データで表されてもよい。
【0015】
本発明の一局面の断層撮影装置における測定データの処理方法は、被検体から放出される放射線を検出して得る測定データに基づき前記被検体の断層画像を再生成する断層撮影装置における測定データの処理方法であって、少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する予測データ量演算工程と、前記予測データ量よりも記憶部の残存容量が大きいか否かを判定する判定工程と、前記判定工程において前記予測データ量よりも記憶部の残存容量が大きいと判定された場合に、前記測定データを前記記憶部に格納する格納工程とを含む。
【0016】
また、少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、測定中に前記被検体から放出されると予測される予測放射線カウント数を演算する予測放射線カウント数演算工程をさらに含み、前記予測データ量演算工程は、前記予測放射線カウント数演算工程において演算された前記予測放射線カウント数に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する工程であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、測定データのデータ量を正確に演算し、測定を行う前に測定データを保存可能かどうかを把握することのできる断層撮影装置、及び断層撮影装置のデータの処理方法を提供できるという特有の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施の形態のPET装置の構成を示すブロック図である。
【図2】放射線検出器111に含まれる半導体検出部20の構成を示す斜視図である。
【図3】半導体検出部の概略平面図である。
【図4】半導体検出素子の動作を説明するための図である。
【図5】半導体検出部の概略正面透視図である。
【図6】本実施の形態の断層撮影装置における測定データの処理方法で用いる入力画面である。
【図7】本実施の形態の断層撮影装置における測定データの処理方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の断層撮影装置、及び断層撮影装置のデータの処理方法を適用した実施の形態について説明する。
【0020】
本発明の断層撮影装置は、断層撮影装置として一般な、SPECT(Single Photon Emission CT:単一光子放射形コンピュータ断層撮影)装置、及びポジトロン断層撮影(PET)装置に適用が可能であるが、ここでは、特に分解能の高い半導体素子を用いたPET装置に適用した実施の形態について説明を行う。
【0021】
図1は、実施の形態のPET装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施の形態のPET装置10は、平面視で被検体Sを360度囲むように被検体Sの周囲に配置され、ガンマ線を検出する放射線検出器11と、放射線検出器11で検出される測定データを処理し、得られた被検体Sの体内のポジトロン核種RIの位置の画像データを再生成する情報処理部12と、画像データを表示等する表示部13と、被検体Sや放射線検出器11の移動等の制御を行う制御部14と、情報処理部12や制御部14に指示を送る端末や画像データを出力するプリンタ等を含む入出力部15と、放射線検出器11の測定データを格納する格納部であるデータ格納部100とを含む。
【0023】
放射線検出器11は、被検体Sの設置領域の周囲の環状の基台16上に配設され、被検体Sから放射されるγ線を検出する複数の検出器である。
【0024】
放射線検出器11は、半導体検出部20と検出回路30を含み、半導体検出部20は、ガンマ線γa,γbの入射面が被検体Sに面するように配置される。なお、予め被検体Sにはポジトロン核種RIで標識化された検査用薬剤が導入されている。
【0025】
半導体検出部20は、ポジトロン核種RIからの陽電子の消滅の際に、同時に発生する2つのガンマ線γ、γを検出する。2つのガンマ線γ、γは、互いに略180度をなして放出されるので、被検体Sを挟んで対向する放射線検出器11の半導体検出部20に入射する。ガンマ線γ、γが入射した2つの半導体検出部20の各々は、ガンマ線γ、γの入射により生じる電気信号(検出信号)を検出回路30に送出する。
【0026】
検出回路30は、例えば、検出信号を増幅するためのASICと、入射時刻および入射位置をデジタルデータとして情報処理部12に送出するFPGAを含む。検出回路30は、半導体検出部20で検出される検出信号から、ガンマ線γ、γが検出素子に入射した時刻(入射時刻)と入射位置を決定し、検出信号、入射時刻、及び入射位置を含む測定データを情報処理部12に送出する。
【0027】
情報処理部12は、検出回路30から入力される検出データに基づいてコインシデンス検出および画像再生成アルゴリズムによる画像データの再生成を行う。コインシデンス検出では、入射時刻が設定された時間幅以下の2つの検出データがある場合に、それらの検出データを有効と判定してコインシデンス検出データとし、一方、入射時刻が一致しない検出データを無効と判定して破棄する。情報処理部12は、コインシデンス測定データをデータ格納部100に格納する。
【0028】
情報処理部12は、データ格納部100に格納されたコインシデンス測定データと、コインシデンス測定データに含まれる位置情報(入射位置の情報)を用いてサイノグラムを作成し、サイノグラムを用いて所定の画像再生成アルゴリズム(例えば、期待値最大化(Expectation Maximization)法)に基づいて画像データを再生成する。表示部13は、入出力部15の要求に応じて再生成された画像データを表示する。なお、コインシデンス検出および画像再生成アルゴリズムは上述した事項に限定されず、公知の事項を用いることができる。
【0029】
また、情報処理部12は、データ格納部100の残存容量(空き容量)を検出できるように構成されており、測定開始前に、放射線検出器11で検出される測定データのデータ量の予測値(予測データ量)とデータ格納部100の残存容量とを比較し、測定によって得られる測定データをデータ格納部100に格納できるかどうかを判定することができる。
【0030】
このような処理を行うために、情報処理部12は、主制御部121、予測放射線カウント数演算部122、予測データ量演算部123、及び判定部124を含む。
【0031】
ここで、予測放射線カウント数演算部122は、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、測定中に被検体Sから放出されると予測される予測放射線カウント数を演算する。
【0032】
予測データ量演算部123は、予測放射線カウント数演算部122によって演算される予測放射線カウント数に基づき、測定データの予測データ量を演算する。
【0033】
判定部124は、予測データ量よりも格納部100の残存容量が大きいか否かを判定する。
【0034】
主制御部121は、予測放射線カウント数演算部122、予測データ量演算部123、及び判定部124の間におけるデータの授受、及びその他の処理を統括的に行う情報処理部12内のメインの制御部である。
【0035】
これらの処理を行う主制御部121、予測放射線カウント数演算部122、予測データ量演算部123、及び判定部124は、情報処理部12の内部で図示しないバスによって接続されている。
【0036】
なお、この判定処理の詳細については後述する。
【0037】
データ格納部100は、放射線検出器11内の半導体検出部20に含まれる検出素子で検出される測定データ(コインシデンス測定データ)を格納する格納部である。データ格納部100は、放射線検出器11内の半導体検出部20に含まれる検出素子の識別番号と測定データとを関連付けて格納する。検出素子の識別番号は、検出素子の位置情報と関連付けられているため、データ格納部100に格納される測定データは、検出素子の位置情報と関連付けられている。また、データ格納部100の残存容量は、情報処理部12によって監視される。
【0038】
また、データ格納部100には、核種の半減期を表すデータが格納されている。この半減期を表すデータは、情報処理部12で測定データ量の予測値(予測データ量)を計算する際に参照される。
【0039】
以上の構成および動作により、PET装置10は、被検体Sの体内に選択的に位置するポジトロン核種RIからのガンマ線を検出し、サイノグラムの作成を経て、ポジトロン核種RIの分布状態の画像データを再生成する。なお、本実施の形態に係るPET装置10は、放射線検出器11に主な特徴がある。以下、放射線検出器11を詳しく説明する。
【0040】
PET装置10の放射線検出器111〜118は、被検体Sの周囲に360度に亘って配置される。各々の放射線検出器111〜118には、被検体S側に半導体検出部20が設けられている。ここで、被検体Sの体軸方向(紙面を貫く方向)をZ軸方向(紙面裏側から表側に向かう方向が+Z方向、紙面表側から裏側に向かう方向が−Z方向)とする。
【0041】
また、放射線検出器111の半導体検出部20の幅方向を+x方向とするx軸をとり、放射線検出器111の半導体検出部20の奥行き方向を+y方向とするy軸をとる。
【0042】
ここで、放射線検出器11は、被検体Sに対して相対的にZ軸方向に移動可能としてもよい。なお、図1において8個の放射線検出器111〜118が示されているがこれらの数は一例に過ぎず、放射線検出器の数は適宜選択される。
【0043】
図2は、放射線検出器111に含まれる半導体検出部20の構成を示す斜視図であり、ガンマ線の略入射側から半導体検出部を見た図である。図3は、半導体検出部の模式的平面図である。図4は、半導体検出素子の動作を説明するための図である。
【0044】
図2〜図4を参照するに、半導体検出部20は、配線基板21と、配線基板21上に配置された2つの半導体検出素子アレイ22a,22bと、半導体検出部20の出力を検出回路(図1に示す検出回路30)に送出するためのコネクタ29等を含む。半導体検出素子アレイ22a,22bは、各々、略平板状の半導体結晶体24のZ軸方向に垂直な2つの面に、第1電極25および第2電極26が設けられてなる。半導体検出素子アレイ22a,22bは、各々、第2電極26側の面にY軸方向に沿って形成された溝部24bによって半導体結晶体24がX軸方向に互いに区切られてなる半導体検出素子231〜236と、半導体検出素子231〜236の配列方向の両側(X軸方向外側)に設けられたガード部材28a,28b等を含む。半導体結晶体24とガード部材28a,28bとは同一材料からなり一体化されている。なお、図2および図3では、隣接する半導体検出素子231〜236間に、破線あるいは実線で区切り位置を示しているが、区切り位置は溝部のX軸方向の中央を通り、かつY軸方向に沿って延びている。半導体検出素子231〜236の間隔は、隣接する区切り位置間の距離に相当する。
【0045】
なお、図2では、放射線検出器111に含まれる半導体検出部20内の半導体検出素子231〜236が配列されている方向を配列方向(X軸方向)、2つの半導体検出素子アレイ22a,22bが配列される方向を奥行き方向(Y軸方向)、配線基板21と半導体検出素子アレイ22a,22bとが積層される方向を積層方向(Z軸方向)と称する。また、ここでは、半導体検出素子アレイ22a,22bの各々の半導体検出素子231〜236の数を6個としているが、2個以上であればその数に特に制限はない。
【0046】
また、図2には、放射線検出器111に含まれる半導体検出部20が配線基板21に搭載されている状態を示すが、放射線検出器11〜11に含まれる半導体検出部20も同一の配線基板21に搭載されている。
【0047】
各々の半導体検出素子231〜236は、それぞれ、半導体結晶体24と、半導体結晶体24の上面に形成された第1電極部25と下面に形成された第2電極部26を含む。
【0048】
半導体結晶体24は、その材料としては、例えば、エネルギーが511keVのガンマ線に有感なテルル化カドミウム(CdTe)、Cd1-xZnxTe(CZT)、臭化タリウム(TlBr)、シリコンなどが挙げられる。また、これらの材料には導電性等を制御するためのドーパントが含まれていてもよい。
【0049】
また、半導体結晶体24は、半導体検出素子231〜236のいずれのものも、幅、奥行き、および幅がそれぞれ同等に設定されている。半導体結晶体24は、例えば、幅(X軸方向)が1.2mm、奥行き(Y軸方向)が5mm、厚さが約1mmの寸法を有する。なお、半導体結晶体24は、半導体の結晶成長法であるブリッジマン法や、移動加熱法を用いて半導体結晶を形成し、所定の結晶方位に切出される。
【0050】
第1電極25は、半導体結晶体24の上面を略覆う導電膜である。第1電極25には負のバイアス電圧Vbが印加され、カソードとなっている。半導体結晶体24がCdTeで構成される場合は第1電極25には例えばPtが用いられる。バイアス電圧Vbは、直流電圧で例えば−60V〜−1000Vに設定される。なお、第1電極25は、6つの半導体結晶体24の上面全体に亘って連続して形成されている。但し、第1電極25は、ガード部材28a,28bの上面を覆っているが、これは必須ではない。なお、バイアス電圧は、配線基板21の外部から配線パターン36およびワイヤ配線35を介して供給される。
【0051】
第2電極26は、半導体結晶体24の溝部24bと溝部24bとの間の下面を略覆う導電膜を含む。第2電極26はアノードとして機能する。なお、第2電極26側の半導体結晶体24中にはIn(インジウム)が注入されている。半導体結晶体24がCdTeで構成される場合は、第2電極26に例えばAuが用いられる。第2電極26は半導体検出素子231〜236のそれぞれに設けられており、互いに隣接する第2電極26同士は電気的に絶縁されている。第2電極26は、導電性接着層27およびパッド電極32を介して配線基板21に設けられた配線パターン(不図示)を介してコネクタ29と電気的に接続される。
【0052】
なお、第2電極25は、ガード部材28a,28bの下面にも形成されており、導電性接着層27およびパッド電極32を介して接地されている。このようにすることで、ガード部材28a,28bに入射したガンマ線により生じた電子正孔対を接地電位に流すことで、検出信号に雑音として混入することを回避できる。なお。このガード部材28a,28bの下面の構造は必須ではなく、ガード部材を半導体結晶体以外の材料を用いた場合は設けなくともよい。
【0053】
導電性接着層27は、Au、Ag、Cu、およびこれらの合金から選択される金属粉やカーボンフィラーと、樹脂製の導電性接着剤で構成され、例えば、導電性ペーストや異方性接着剤を用いることができる。
【0054】
図4に示すように、半導体検出素子23は、半導体結晶体24にガンマ線γが入射すると、ガンマ線のエネルギーに応じた数の電子正孔対が生成される。半導体結晶体24には、第2電極26から第1電極25の方向に電界が印加されているので正孔は第1電極25に引きつけられ、電子は第2電極26に引きつけられる。これにより検出信号が生じ検出回路に送出される。なお、ガンマ線γが半導体結晶体24に入射しても電子正孔対の生成は確率的であり、半導体結晶体24中で電子正孔対の生成が行われず、突き抜けてしまう場合もある。
【0055】
図2および図3に戻り、ガード部材28a,28bは、半導体検出素子アレイ22a,22bの配列方向の両端部に設けられ、半導体検出素子231および236の外側面を保護する。ガード部材28a,28bの材料は第1電極25と第2電極26とを電気的に導通させない材料であれば特に限定されないが、製造工程における加熱によって熱膨張係数差により生じる応力による悪影響を回避できる点で、半導体結晶体24と同一材料を含むことが好ましい。さらに、ガード部材28a,28bは、半導体結晶体24と連続した同一結晶板から形成されてなることがとりわけ好ましい。これにより、ガード部材28a,28bを半導体結晶体24に接着する必要がなく、ガード部材28a,28bの形成工程を簡略化できる。但し、ガード部材28aと半導体検出素子231との間、およびガード部材28bと半導体検出素子236との間には、溝部24cを形成することが好ましい。これによりガード部材28a,28bに入射したガンマ線によって生じた電子正孔対が隣接する半導体検出素子231,236の第2電極26に流れ込むことを回避できる。なお、溝部24cは、溝部24bと同等の形状に形成すればよい。また、ガード部材28a,28bの幅は、後ほど詳述するが半導体検出素子231〜236の間隔に基づく所定の幅に設定される。
【0056】
2つの半導体検出素子アレイ22a,22bは、いずれも上述した構造を有しているが、図3に示すように配線基板21上の配置が異なっている。以下、ガンマ線γが入射する側に配置された半導体検出素子アレイを第1半導体検出素子アレイ22a、奥側に配置された半導体検出素子アレイを第2半導体検出素子アレイ22bと呼ぶ。但し両者の区別が不要な場合は単に半導体検出素子アレイ22a,22bと呼ぶ。
【0057】
第1半導体検出素子アレイ22aおよび第2半導体検出素子アレイ22bは、互いの半導体検出素子の位置関係に特徴がある。第1半導体検出素子アレイ22aおよび第2半導体検出素子アレイ22bのいずれも配列方向(X軸方向)にそれぞれ所定の間隔PTで配置されている。さらに、第1半導体検出素子アレイ22aの半導体検出素子231の紙面左側面231aは、基準線Xa−Xaから間隔PTだけ離隔した位置に配置されている。他方、第2半導体検出素子アレイ22aの半導体検出素子231の紙面左側面231bは、基準線Xa−Xaから間隔PT/2だけ離隔した位置に配置されている。このようにして、第1半導体検出素子アレイ22aの半導体検出素子231〜236の各々と、第2半導体検出素子アレイ22bの半導体検出素子231〜236の各々とは、互いに配列方向にPT/2だけ変位して配置される。
【0058】
また、第1半導体検出素子アレイ22aの紙面左端のガード部材28aは間隔PTと同等の幅に設定され、紙面右端のガード部材28bは間隔PTの1/2に設定される。他方、第2半導体検出素子アレイ22bの紙面左端のガード部材28bは間隔PTの1/2に設定され、紙面右端のガード部材28aは間隔PTに設定される。このようにガード部材28a,28bを設けることにより、半導体検出素子アレイ22aおよび22bの幅(配列方向の長さ)を互いに同等とする。そして、半導体検出素子アレイ22aおよび22bはその紙面左端が基準線Xa−Xaに一致するように配置される。このようにすることで、半導体検出部20の組立工程において、2つの半導体検出素子アレイ22aおよび22bを配置する際に、それぞれの半導体検出素子231〜236を上述した位置関係になるようにする位置決めが飛躍的に容易になる。なお、このようにガード部材28a、28bは設ける方が好ましいが、本発明に必須のものではない。
【0059】
なお、上記では、半導体検出素子アレイ22a、22bの紙面左端の端部で位置決めを行ったが、紙面右端の基準線Xb−Xbで位置決めを同様に行ってもよい。
【0060】
このように、第1半導体検出素子アレイ22aおよび第2半導体検出素子アレイ22bは、半導体検出素子231〜236の間隔PTの1/2だけ配列方向にずらして、かつ奥行き方向に配列されることにより、半導体検出部20は、その視野中央(すなわち、半導体検出部20の略正面から入射するガンマ線)の空間分解能が、半導体検出素子アレイを一つだけ設けた場合の視野中央の空間分解能よりも向上する。その向上の程度は、半導体検出部20の視野中央の空間分解能は、半導体検出素子の幅を1/2に設定したときの視野中央の空間分解能に略同等となる。
【0061】
さらに、第1半導体検出素子アレイ22aおよび第2半導体検出素子アレイ22bはそれぞれ奥行き方向(Y軸方向)に配列され、各々の半導体検出素子アレイ22a、22bは、半導体検出素子アレイを一個だけ設けてその半導体検出素子の奥行きを半導体検出素子アレイ22aおよび22bの奥行きの和と同等に設定した場合よりも短小化されている。これにより、先の図2(B)において説明したように、半導体検出部20の視野周辺部での空間分解能を向上できる。
【0062】
さらに、半導体検出部20の検出効率は、半導体検出素子アレイを一個だけ設けてその半導体検出素子の奥行きを半導体検出素子アレイ22aおよび22bの奥行きの和と同等に設定した場合と同様となるので、検出効率を維持できる。これらの点については後述するシミュレーションによって示すが、以下、その効果を簡単に説明する。
【0063】
図5は、半導体検出部の概略正面透視図である。なお、図5中、第1電極、第2電極、および導電性接着層の図示を省略している。
【0064】
図5を参照するに、半導体検出部20をその正面(ガンマ線の入射側)から透視すると、第1半導体検出素子アレイ22aの半導体検出素子231〜236と第2半導体検出素子アレイ22bの半導体検出素子231〜236とが互いに重なり、あたかも間隔PTの1/2の半導体検出素子が一列に配列して形成されているように見える。ガンマ線は、第1半導体検出素子アレイ22aで電子正孔対を生成するものと、第1半導体検出素子アレイ22aを透過して第2半導体検出素子アレイ22bで電子正孔対を生成するものとが確率的に存在する。そのため、ガンマ線にとって、半導体検出素子アレイ22a、22bは、図5の透視図のように、1/2の半導体検出素子が一列に配列して形成されているのと略同等となる。このことから、半導体検出部20は、その視野中央の空間分解能が、半導体検出素子の間隔PTの1/2に設定したときの空間分解能に近づくことが十分推察される。さらにこのことは、半導体検出部20の視野周辺部の空間分解能の向上にも寄与すると推察される。
【0065】
なお、ここでは、放射線検出器111に含まれる半導体検出部20内の半導体検出素子231〜236について説明したが、放射線検出器11〜11も同様に考えることができる。
【0066】
次に、図7及び図6を用いて本実施の形態の断層撮影装置における測定データの処理方法について説明する。
【0067】
図6は、本実施の形態の断層撮影装置における測定データの処理方法で用いる入力画面である。この入力画面200は、表示部13に表示される。入力画面200への数値等の入力は、入出力部15を介して行うことができる。
【0068】
入力画面200は、核種入力部201、投与放射能量入力部202、計測時間入力部203、実行ボタン204、及び結果表示部205を含む。
【0069】
核種入力部201は、被検体Sに導入される核種を入力する入力部である。図6に示す画面例には、18−F(フッ素)が入力されている状態を示す。
【0070】
投与放射能量入力部202は、投与放射能量を入力する入力部である。図6に示す画面例には、2Mbq(メガベクレル)の投与放射能量が入力されている状態を示す。
【0071】
計測時間入力部203は、被検体Sから放射される放射能を計測する時間を入力するための入力部である。計測の種類によっては、計測時間が10時間以上(例えば一晩中)にわたる場合もあるが、図6の画面例には、計測時間として30分が入力されている状態を示す。
【0072】
実行ボタン204は、核種入力部201に入力される核種の半減期、投与放射能量入力部202に入力される被検体Sへの投与放射能量、及び計測時間入力部203に入力される放射線の測定時間に基づいて、測定中に被検体から放射される予測放射線カウント数を演算し、この予測放射線カウント数を測定データ量に変換した値(予測データ量)を導出し、さらに、予測データ量の測定データをデータ格納部100に格納可能か否かの演算を実行するためのボタンである。すなわち、この実行ボタン204は、これから行う測定によって得られる測定データを保存できるだけの残存データ量がデータ格納部100にあるか否かの判定処理を実行するためのボタンである。
【0073】
結果表示部205は、残存データ量から予測データ量を減算して残存容量を計算した結果を表す表示部であり、図6に示す画面例には、保存可能である旨(残量OK)、予測データ量、及び予測残存容量が表示されている。
【0074】
なお、核種の壊変定数をλ、半減期をTとすると時刻tにおける放射能量A(t)は次式で求まる。
【0075】
A(t)=A(0)e−λt、ただしλ=(ln2/T)
時刻0〜tの間にこの核種から放出される放射線対の数は、上式を時間tで積分することによって求まる。
【0076】
予測データ量は、この放射線の数に半導体検出素子の感度等によって決まる係数を乗ずることによって導出することができる。
【0077】
また、以上で説明した予測データ量は、コインシデンス測定データの予測データ量であるが、格納部100に格納するデータの量をより正確に把握するためには、補正のためのランダムデータ(ランダム補正データ)の予測データ量(予測ランダム補正データ量)をさらに考慮することが好ましい。
【0078】
予測ランダム補正データ量は、放射能量A(t)を2乗したものを時間tで積分し、半導体検出素子の感度やタイムウィンドウ等によって決まる値を乗ずることによって導出できる。
【0079】
従って、格納部100に格納するデータのトータルの予測データ量は、予測コインシデンス測定データ量と予測ランダム補正データ量とを加算することによって求められる。
【0080】
このため、以下では、予測データ量とは、予測コインシデンス測定データ量と予測ランダム補正データ量とを加算して得るデータ量を意味することとする。
【0081】
図7は、本実施の形態の断層撮影装置における測定データの処理方法の手順を示す図である。これは、情報処理部12内の主制御部121、予測放射線カウント数演算部122、予測データ量演算部123、及び判定部124によって実行される処理である。
【0082】
次に図7に示す処理について説明する。
【0083】
主制御部121は、核種の入力があったか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1の処理は、核種の入力が確認されるまで繰り返し実行される。図6に示す画面例のように、例えば、核種の種類を表す18−Fが入力されると、ステップS1の処理は終了してステップS2に進行する。
【0084】
主制御部121は、投与放射能量の入力があったか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の処理は、投与放射能量の入力が確認されるまで繰り返し実行される。図6に示す画面例のように、例えば、投与放射能量を表す数値(2Mbq)が入力されると、ステップS2の処理は終了してステップS3に進行する。
【0085】
主制御部121は、計測時間の入力があったか否かを判定する(ステップS3)。ステップS2の処理は、計測時間の入力が確認されるまで繰り返し実行される。図6に示す画面例のように、例えば、計測時間を表す数値(2Mbq)が入力されると、ステップS3の処理は終了してステップS4に進行する。
【0086】
主制御部121は、実行ボタン204が入力されたか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の処理は、核種の入力が確認されるまで繰り返し実行される。主制御部121は、核種が入力されると、予測放射線カウント数演算部122に予測放射線カウント数の演算を実行させる。
【0087】
予測放射線カウント数演算部122は、ステップS1で入力された核種を表すデータ、ステップS2で入力された投与放射能量、及びステップS3で入力された計測時間に基づき、予測放射線カウント数を演算する(ステップS5)。
【0088】
具体的には、ステップS1で入力された核種を表すデータを用いてデータ格納部100から核種の半減期を読み込み、この核種の半減期と、ステップS2で入力された投与放射能量と、ステップS3で入力された計測時間とを用いて予測放射線カウント数を導出する。なお、主制御部121は、予測放射線カウント数が演算されると予測データ量演算部123に予測データ量の演算を実行させる。
【0089】
予測データ量演算部123は、S5で演算された予測放射線カウント数に基づき、予測データ量を演算する(ステップS6)。予測データ量は、予測放射線カウント数で表される放射線の数に半導体検出素子の感度等によって決まる係数を乗ずることによって導出される。
【0090】
主制御部121は、データ格納部100にアクセスし、現在の残存容量を取得する(ステップS7)。ステップS6で導出した予測データ量と比較することにより、データを保存可能かどうか判定するためである。
【0091】
主制御部121は、ステップS7で取得した残存容量からステップS6で導出した予測データ量を減算し、予測残存容量を演算する(ステップS8)。減算結果によってデータを保存可能かどうかの判定に用いるためである。なお、主制御部121は、ステップS8の処理が終了すると、判定部124に判定処理を実行させる。
【0092】
判定部124は、予測データ量を減じても残存容量があるか否かを判定する(ステップS9)。予測データ量を減じた結果、残存容量が残らなければ、測定データをデータ格納部100に格納することができない(すなわち、保存不可能である)からである。
【0093】
主制御部121は、ステップS9において、現在の残存容量から予測データ量を減じた結果、残存容量が残ると判定した場合は、保存可能である旨の表示「残存容量OK」を入力画面200の結果表示部205に表示する(ステップS10A)。このとき、予測データ量、及び予測残存容量も併せて表示される。
【0094】
一方、主制御部121は、ステップS9において、現在の残存容量から予測データ量を減じた結果、残存容量が残らないと判定した場合は、保存不可能である旨の表示「残存容量NG」を入力画面200の結果表示部205に表示する(ステップS10B)。
【0095】
以上により、情報処理部12によって演算された予測データ量よりもデータ格納部100の残存容量が大きいか否かが判定され、予測データ量よりもデータ格納部100の残存容量が大きいと判定された場合に、測定データがデータ格納部100に格納される。
【0096】
なお、ステップS10Bにおいて保存不可能であると判定された場合においても、入力画面200の結果表示部205に予測データ量、及び予測残存容量が表示されるため、既にデータ格納部100に格納されているデータの少なくとも一部を削除すれば、即座に格納可能な残存容量を確保することができる。
【0097】
以上、本実施の形態の断層撮影装置及び断層撮影装置における測定データの処理方法によれば、放射線の測定を行う前に、その測定によって得られる測定データを保存可能であるか否かを判定することができるので、データ格納部100の残存容量が不足することを未然に防止でき、効率的に断層画像を撮影することができる。
【0098】
貴重な放射性物質を扱う断層撮影では、半減期がある放射性物質を調達するスケジュール等を守ることには非常な厳格さが求められるため、本実施の形態のように、保存可能かどうかを測定前に予め判断できることは、作業効率の著しい向上に繋がるという効果がある。
【0099】
また、一般にはメモリを増設することも考えられるが、数100Gバイトのデータを幾つも保存するためにメモリを増設することは、メモリの容量が大きすぎるため、本実施の形態のように、保存可能かどうかを測定前に予め判断できることにより、コスト面でも非常に有利な断層撮影装置を提供することができる。
【0100】
また、測定データの予測データ量は、核種、投与量、及び測定時間に基づいて情報処理部12によって導出されるため、計算ミス等を未然に排除でき、作業効率を向上させることができる。
【0101】
なお、以上では、核種の半減期、被検体Sへの投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて予測放射線カウント数を演算し、この予測放射線カウント数から予測データ量を導出する形態について説明した。このように予測データ量を導出する際に、予測放射線カウント数の演算を経ることは、特に、測定規格等で放射線のカウント数に制限があるような場合に、測定前に放射線のカウント数の予測値が分かるため、作業効率を向上させることができる。また、コインシデンス測定データに対して、予測ランダム補正データ量を得るためのランダム補正データは投与放射能量の2乗に比例して増加する。このため、コインシデンス測定データのカウント数の予測値とランダム補正データのカウント数の予測値を別々に把握できれば、特に、ランダム補正データのカウント数の予測値が多く演算された場合に、投与放射能量を減らすための判断材料として利用できるので便利であり、作業効率を向上させることができる。
【0102】
しかしながら、予測放射線カウント数(あるいはこれに加えてランダム補正データのカウント数の予測値)の演算は、必ずしも必要ではなく、予測放射線カウント数(あるいはこれに加えてランダム補正データのカウント数の予測値)の演算を行なわずに、核種の半減期、被検体Sへの投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、直接的に予測データ量を導出するように構成してもよい。このように予測放射線カウント数(あるいはこれに加えてランダム補正データのカウント数の予測値)の演算を行なわずに直接的に予測データ量を導出する場合は、放射線カウント数の演算を行わないため、演算工程が少なくなり、より迅速に予測データ量を導出することができる。このため、特に、測定規格等で放射線のカウント数に制限がないような場合には、測定を迅速に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0103】
また、以上では、データ格納部100の残存容量から予測データ量を減算することによって、予測データ量とデータ格納部100の残存容量とを比較する形態について説明したが、減算処理を行わずに、予測データ量とデータ格納部100の残存容量とを比較するようにしてもよい。
【0104】
また、ステップS10Bにおいて、データ格納部100の現在の残存容量から予測データ量を減じた結果、残存容量が残らないと判定した場合は、保存不可能である旨を入力画面200の結果表示部205に表示することに加えて、測定データをデータ格納部100に格納できないように、インターロックをかけるように構成してもよい。このような処理は、情報処理部12が行うように構成すればよい。
【0105】
また、以上では、測定データに基づいてサイノグラムを作成し、サイノグラムに基づいて断層画像を再生成する形態について説明したが、断層画像を得るためのプロセスで必ずしもサイノグラムを作成する必要はなく、サイノグラム以外の2値データで表すバイナリデータを測定データに基づいて作成してもよい。
【0106】
また、以上では、核種として18−F(フッ素)を入力する形態について説明したが、被検体に投与する核種は、18−Fに限られず、例えば、15−N(窒素)、11−C(炭素)でもよい。
【0107】
また、投与放射能量は、被検体Sの種類や測定内容等に応じて任意の量に設定することができ、同様に、計測時間は、被検体Sの種類や測定内容等に応じて任意の量に設定することができる。
【0108】
なお、本実施の形態では、PET装置を例に説明したが、本発明は、SPECT(単一光子放射形コンピュータ断層撮影)装置や、X線コンピュータ断層撮影装置にも適用できる。
【0109】
以上、本発明の例示的な実施の形態の断層撮影装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0110】
10 PET装置
11、111〜118 放射線検出器
12 情報処理部
13 表示部
14 制御部
15 入出力部
16 基台
20、40、50 半導体検出部
21 配線基板
22、221〜22n 半導体検出素子アレイ
22a 第1半導体検出素子アレイ
22b 第2半導体検出素子アレイ
23、231〜236 半導体検出素子
24 半導体結晶体
24a 入射面
24b、24c 溝部
25 第1電極
26 第2電極
27 導電性接着層
28a、28b、281〜28n ガード部材
29 コネクタ
30 検出回路
100 データ格納部
121 主制御部
122 予測放射線カウント数演算部
123 予測データ量演算部
124 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から放出される放射線を検出して得る測定データを記憶部に格納し、前記記憶部に格納された測定データに基づき前記被検体の断層画像を再生成する断層撮影装置において、
少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する予測データ量演算部と、
前記予測データ量よりも前記記憶部の残存容量が大きいか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記予測データ量よりも前記記憶部の残存容量が大きいと判定された場合に、前記測定データを前記記憶部に格納する格納部と
を含む、断層撮影装置。
【請求項2】
少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、測定中に前記被検体から放出されると予測される予測放射線カウント数を演算する予測放射線カウント数演算部をさらに含み、
前記予測データ量演算部は、前記予測放射線カウント数演算部によって演算される前記予測放射線カウント数に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する、請求項1に記載の断層撮影装置。
【請求項3】
前記判定部により、前記予測データ量が前記記憶部の残存容量より大きくないと判定された場合に、前記格納部による前記測定データの前記記憶部への格納を禁止するインターロック部をさらに含む、請求項1又は2に記載の断層撮影装置。
【請求項4】
前記測定データは、コインシデンス測定データで表される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の断層撮影装置。
【請求項5】
被検体から放出される放射線を検出して得る測定データに基づき前記被検体の断層画像を再生成する断層撮影装置における測定データの処理方法であって、
少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する予測データ量演算工程と、
前記予測データ量よりも記憶部の残存容量が大きいか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記予測データ量よりも記憶部の残存容量が大きいと判定された場合に、前記測定データを前記記憶部に格納する格納工程と
を含む断層撮影装置における測定データの処理方法。
【請求項6】
少なくとも、核種の半減期、被検体への投与放射能量、及び放射線の測定時間に基づいて、測定中に前記被検体から放出されると予測される予測放射線カウント数を演算する予測放射線カウント数演算工程をさらに含み、
前記予測データ量演算工程は、前記予測放射線カウント数演算工程において演算された前記予測放射線カウント数に基づいて、前記測定データの予測データ量を演算する工程である、請求項5に記載の断層撮影装置における測定データの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−185675(P2010−185675A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28214(P2009−28214)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】