説明

断熱サッシ枠

【課題】 室外側枠材と室内側枠材を2つの断熱材で連結しながら、他のサッシと互換性を持たせることが可能で、尚且つサッシ枠内に水が浸入することを防止でき、強度も十分確保できる断熱サッシ枠の提供。
【解決手段】 金属製の室外側枠材1及び室内側枠材2と、室外側枠材と室内側枠材を連結する内周側と外周側の樹脂製の断熱材3a,3bとを備え、内周側の断熱材3aは外周側の断熱材3bよりも室内外何れか一方側に位置し、断熱材の端部が挿入される室外側枠材及び室内側枠材の連結溝4a,4b,4c,4dの開口縁部5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5hのうち、内周側の断熱材3aの一方側の端部が挿入される連結溝4aの内周側の開口縁部5a以外の室外側枠材及び室内側枠材の少なくともそれぞれ一箇所ずつの連結溝の開口縁部にナーリング加工27を施してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の室外側枠材と室内側枠材を樹脂製の断熱材で連結した断熱サッシ枠に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の断熱サッシ枠として、特許文献1に記載されているように、金属製の室外側枠材と室内側枠材を、内周側と外周側の2本の樹脂製断熱材で連結したものがある。
サッシ枠には、躯体に取付けるための躯体取付フィンや障子を案内するためのレール等が設けられるが、特許文献1記載のもののように、室外側枠材と室内側枠材を室内外方向の同じ位置に配置された2本の断熱材で連結する場合には、躯体取付フィンやレール等の配置に制約を受けるため、断熱材を介在しない一体成形のサッシ枠や、室外側枠材と室内側枠材間に断熱材を注型して連結したサッシ枠と、躯体取付フィン及びレールの位置関係やサッシ枠の見込み寸法を共通化するのが困難である。そのため、特殊な障子を製作したり、躯体への収まりを変更したりしなければならず、既存の他のサッシと互換性を持たせられない不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−158938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、室外側枠材と室内側枠材を2つの断熱材で連結しながら、他のサッシと互換性を持たせることが可能で、尚且つサッシ枠内に水が浸入することを防止でき、強度も十分確保できる断熱サッシ枠の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による断熱サッシ枠は、金属製の室外側枠材及び室内側枠材と、室外側枠材と室内側枠材を連結する内周側と外周側の樹脂製の断熱材とを備え、内周側の断熱材は外周側の断熱材よりも室内外何れか一方側に位置し、断熱材の端部が挿入される室外側枠材及び室内側枠材の連結溝の開口縁部のうち、内周側の断熱材の一方側の端部が挿入される連結溝の内周側の開口縁部以外の室外側枠材及び室内側枠材の少なくともそれぞれ一箇所ずつの連結溝の開口縁部にナーリング加工を施してあることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明による断熱サッシ枠は、請求項1記載の発明の構成に加え、外周側の断熱材の室内外何れか他方側の端部が挿入される連結溝の外周側の開口縁部にもナーリング加工を施していないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による断熱サッシ枠は、内周側と外周側の断熱材を室内外方向に適宜ずらして配置することで、躯体取付フィンやレール等の配置やサッシ枠の見込み寸法を他のサッシ枠と共通化することが可能になり、他のサッシと互換性を持たせることが可能になる。内周側の断熱材の一方側の端部が挿入される連結溝の内周側の開口縁部にはナーリング加工が施してないため、このナーリング加工のしてない開口縁部が断熱材に密着することで、内周面側からサッシ枠内に水が浸入するのを防止することができる。また、その開口縁部以外の室外側枠材及び室内側枠材の少なくともそれぞれ一箇所ずつの連結溝の開口縁部にナーリング加工を施してあるため、それらの開口縁部が断熱材に食い込むことで十分な強度を確保できる。
【0008】
請求項2記載の発明による断熱サッシ枠は、外周側の断熱材の室内外何れか他方側の端部が挿入される連結溝の外周側の開口縁部にもナーリング加工を施していないことで、外周面側からのサッシ枠内への水の浸入も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は図2のサッシの下枠を拡大して示す縦断面図であり、(b),(c)はこれと外形が同一な既存の他のサッシ下枠の縦断面図である。
【図2】本発明に係るサッシの一実施形態を示す縦断面図である。
【図3】同サッシの横断面図である。
【図4−1】室外側枠材及び室内側枠材の各連結溝へのナーリング加工の施し方の例を示す図である。
【図4−2】室外側枠材及び室内側枠材の各連結溝へのナーリング加工の施し方の例を示す図である。
【図4−3】室外側枠材及び室内側枠材の各連結溝へのナーリング加工の施し方の例を示す図である。
【図5】室外側枠材及び室内側枠材の連結溝に断熱材をかしめ付けする装置の例を示す断面図である。
【図6】図5のX方向矢視図である。
【図7−1】室外側枠材及び室内側枠材の連結溝に断熱材をかしめ付けする装置の他の例を示す断面図である。
【図7−2】室外側枠材及び室内側枠材の連結溝に断熱材をかしめ付けする装置の他の例を示す断面図である。
【図8】室外側枠材及び室内側枠材の連結溝に断熱材をかしめ付けする際の補助ローラーが無い場合の参考断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2,3は、本発明に係るサッシの一実施形態であって、住宅用の引違いサッシに適用した例を示しており、図1(a)はそのサッシの下枠15を拡大した断面図である。本サッシは、躯体開口部に取付けたサッシ枠10と、サッシ枠10内に引違い開閉自在に収めた外障子11及び内障子12と、外障子11の室外側に左右方向に移動させて開閉する網戸13とを有する。
【0011】
サッシ枠10は、上枠14と下枠15と左右の竪枠16,16とを四方枠組みして構成される。下枠15は、図1(a)に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側枠材1及び室内側枠材2を、内周側と外周側の2つの断熱材3a,3bで連結した断熱サッシ枠となっている。
断熱材3a,3bは、内周側の断熱材3aが外周側の断熱材3bよりも室外側に位置するように、室内外方向に位置をずらして配置してある。両断熱材3a,3bの室内外方向にずれている量は、断熱材3a,3bの室内外方向の寸法の約半分である。断熱材3a,3bは、非収縮性の硬質樹脂材、例えばフェノール樹脂やポリエステル樹脂をガラス繊維で強化したものを用いている。断熱材3a,3bの室外側と室内側の端部は、断面略三角形状に膨らんだ形になっている。
【0012】
室外側枠材1は、外障子11を案内する外レール17を内周側に突出して有し、室内側端部に躯体に取付けるための躯体取付フィン18を外周側に突出して有している。室外側枠材1の室内側面には、内周側と外周側とに断熱材3a,3bの室外側端部が嵌合する連結溝4a,4bが、室内外方向に位置をずらして段違い状に形成してあり、連結溝4a,4b間に傾斜部19aを有している。
室内側枠材2は、室外側端部に内障子12を案内する内レール20を内周側に突出して有し、室内側面の外周側に躯体に取付けるための躯体取付フィン21を室内側に突出して有している。室内側枠材2の室外側面には、室外側枠材1と同様に、内周側と外周側とに断熱材3a,3bの室内側端部が嵌合する連結溝4c,4dが、室内外方向に位置をずらして段違い状に形成してあり、連結溝4c,4d間に傾斜部19bを有している。
各連結溝4a,4b,4c,4dは、溝の底側に向かって溝幅が次第に広くなったアリ溝状になっており、連結溝4a,4b,4c,4dの入口側が少し広がった状態で連結溝4a,4b,4c,4d内に断熱材3a,3bの端部を差し入れた後、図5に示すように、下枠15の内周側と外周側からかしめローラー22a,22bを押付けて、内周側と外周側の連結溝4a,4b,4c,4dの開口縁部5a,5d,5e,5hをかしめることで、連結溝4a,4b,4c,4d内に断熱材3a,3bの端部が強固に嵌合保持されている。
【0013】
内周側と外周側の断熱材3a,3bを室内外方向の同じ位置に配置する場合には、室外側枠材1の躯体取付フィン18と室内側枠材2の内レール20との間に、断熱材3a,3bの室内外方向の寸法と略同じだけ間隔が開くことになるが、本サッシ下枠15は、内周側の断熱材3aを外周側の断熱材3bよりも室外側にずらして配置したことで、室外側枠材1の躯体取付フィン18と室内側枠材2の内レール20との間の距離を近付けることができ、それに伴って下枠15の外形を図1(b),(c)に示す従来からある他のサッシの下枠91,92と同一にすることが可能になる。なお、図1(b)は、断熱材を介在しない一体成形の下枠91であり、図1(c)は、室外側枠材93と室内側枠材94間に断熱材95を注型して連結した下枠92である。このように、下枠15の外形を既存の他のサッシの下枠91,92と同じにすることで、外障子11や内障子12等を他のサッシと共通化でき、他のサッシと互換性を持たせられる。本サッシ下枠15は、図1(b)に示す一体成形の下枠91と比較すると、室外側枠材1と室内側枠材2間に断熱材3a,3bを設けているため断熱性が向上し、室内側の結露を防止できる、冷暖房コストを低減できる等の利点がある。また、図1(c)に示すような断熱材95を注型したタイプは、断熱材95としてウレタン樹脂が用いられ、この断熱材95は硬度が低く熱にも弱いため、火災時に断熱材95が溶融して下枠が変形したり、溶融した断熱材95から燃えやすい可燃ガスが発生したりする問題があるが、本サッシ下枠15では、断熱材3a,3bとしてフェノール樹脂やポリエステル樹脂をガラス繊維で強化した非収縮性の硬質樹脂材を用いているため、火災の熱にも容易に変形せず、火災時に断熱材3a,3bから発生する可燃ガスも少ないため、サッシの防火性能を向上できる。
【0014】
図5,6は、室外側枠材1及び室内側枠材2の連結溝4a,4b,4c,4dに断熱材3a,3bをかしめ付けし、下枠15を一体化する装置の例を示している。本装置は、室外側面が上になるように横向きにした下枠15を上下から挟んで回転し、下枠15を長手方向に移動させる上ローラー23及び下ローラー24と、下枠15の内周側面と外周側面に押付けながら回転し、連結溝4a,4b,4c,4dの開口縁部5a,5d,5e,5hをかしめる左右のかしめローラー22a,22bと、一方のかしめローラー22aと同軸上にかしめローラー22aの上方に離間して設けられ、室外側枠材1の外周側面の水平部に当接しながらかしめローラー22aと共に回転する補助ローラー25とを有している。内周側と外周側の断熱材3a,3bの位置を室内外方向にずらしたため、左右のかしめローラー22a,22bが上下にオフセットした配置となっている。
【0015】
このように左右のかしめローラー22a,22bが上下にオフセットしているため、下枠15にはかしめローラー22a,22bから押圧力F1,F2が上下にずれた状態で掛かり、補助ローラー25が無い場合には下枠15が反時計回りに回転しようとするが(図8参照)、本装置では補助ローラー25がかしめローラー22aから離れた位置で室外側枠材1に当接することで、下枠15の回転やねじれを防止できる。補助ローラー25をかしめローラー22aと一体化することで、装置の構造を簡略化できると共に、下枠15の回転やねじれを防止する効果を高められる。
【0016】
図7−1,7−2は、補助ローラー25の配置の他の例を示している。図7−1(a)は、上ローラー23が補助ローラー25を兼ねるもので、上ローラー23の側面を室外側枠材1の網戸用レール40が突出する壁に当接させることで、下枠15の回転を規制している。図7−1(b)は、補助ローラー25を室外側枠材1の外レール17の室外側面に当接させて、下枠15の回転を規制している。図7−2(c)は、右側のかしめローラー22bと一体に補助ローラー25を設け、補助ローラー25を室内側枠材2の内周側面に当接させて、下枠15の回転を規制している。図7−2(d)は、下ローラー24が補助ローラー25を兼ねるもので、下ローラー24が室内側枠材2の室内側壁と躯体取付フィン21とのコーナー部に当接することで、下枠15の回転を規制している。図7−2(e)は、左側のかしめローラー22aと一体に補助ローラー25を設け、補助ローラー25を室外側枠材1の突出片26に当接させて、下枠15の回転を規制している。以上に述べたように、補助ローラー25は下枠15の回転を規制できる位置であればどこに設けてあってもよい。補助ローラー25を複数設けることもできる。
【0017】
本サッシ下枠15では、室外側枠材1及び室内側枠材2の連結溝4a,4b,4c,4dへの断熱材3a,3bの端部の嵌合強度を高めるため、かしめローラー22a,22bにてかしめる前に、連結溝4a,4b,4c,4dの所定の開口縁部にナーリング加工27(ギザ加工)を施している。連結溝4a,4b,4c,4dの開口縁部は全部で8箇所あるが、そのうちナーリング加工27を施すところとナーリング加工27を施さないところがあり、図4−1,4−2,4−3は、そのナーリング加工27の加工パターンの例を示している。
図4−1(a)は、内周側の断熱材3aの室外側の端部が挿入される連結溝4aの内周側の開口縁部5aにはナーリング加工27を施さず、それ以外の全ての開口縁部5b,5c,5d,5e,5f,5g,5hにナーリング加工27を施している。
図4−1(b)は、内周側の断熱材3aの室外側の端部が挿入される連結溝4aの内周側の開口縁部5aに加え、外周側の断熱材3bの室内側端部が挿入される連結溝4dの外周側の開口縁部5hにもナーリング加工27を施さず、それ以外の開口縁部5b,5c,5d,5e,5f,5gにナーリング加工27を施している。
図4−1(c)は、内周側の断熱材3aの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4a,4cの内周側の開口縁部5a,5eにはナーリング加工27を施さず、それ以外の開口縁部5b,5c,5d,5f,5g,5hにナーリング加工27を施している。
図4−2(d)は、内周側の断熱材3aの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4a,4cの内周側の開口縁部5a,5eと、外周側の断熱材3bの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4b,4dの外周側の開口縁部5d,5hにはナーリング加工27を施さず、それ以外の開口縁部5b,5c,5f,5gにナーリング加工27を施している。
図4−2(e)は、内周側の断熱材3aの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4a,4cの内周側の開口縁部5a,5eと、外周側の断熱材3bの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4b,4dの内周側の開口縁部5c,5gにはナーリング加工27を施さず、それ以外の開口縁部5b,5d,5f,5hにナーリング加工27を施している。
図4−2(f)は、内周側の断熱材3a用の連結溝4a,4cの開口縁部5a,5b,5e,5fの全てにナーリング加工27を施さず、外周側の断熱材3b用の連結溝4b,4dの開口縁部5c,5d,5g,5hの全てにナーリング加工27を施している。
図4−3(g)は、内周側の断熱材3aの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4a,4cの外周側の開口縁部5b,5fにだけナーリング加工27を施し、それ以外の開口縁部5a,5c,5d,5e,5g,5hにはナーリング加工27を施していない。
図4−3(h)は、外周側の断熱材3bの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4b,4dの内周側の開口縁部5c,5gにだけナーリング加工27を施し、それ以外の開口縁部5a,5b,5d,5e,5f,5hにはナーリング加工27を施していない。
図4−3(i)は、外周側の断熱材3bの室外側及び室内側の端部が挿入される連結溝4b,4dの外周側の開口縁部5d,5hにだけナーリング加工27を施し、それ以外の開口縁部5a,5b,5c,5e,5f,5gにはナーリング加工27を施していない。
【0018】
上述の図4−1〜3の(a)〜(i)は、内周側の断熱材3aの室外側の端部が挿入される連結溝4aの内周側の開口縁部5aにナーリング加工27を施していない点と、室外側枠材1と室内側枠材2に少なくとも一箇所ずつナーリング加工27を施した開口縁部がある点で共通している。
図5に示すように、左右のかしめローラー22a,22bをオフセットした配置にすると、内周側の断熱材3aの室外側の端部が挿入される連結溝4aの内周側の開口縁部5aは、反対側のかしめローラー22aから外れた位置になるため、この開口縁部5aのかしめ強さを十分確保できないおそれがあるが、この開口縁部5aにナーリング加工が施してないことで、サッシ枠内周側の水28(図1(a)参照)がナーリング加工の溝から下枠15の内部に浸入するのを防ぐことができる。
外周側の断熱材3bの室内側の端部が挿入される連結溝4dの外周側の開口縁部5hも、反対側のかしめローラー22bから外れた位置になるため、この開口縁部5hも同様にかしめ強さを十分確保できないおそれがあるが、図4−1(b),図4−2(d),図4−3(g),(h)は、この開口縁部5hにナーリング加工がしてないことで、サッシ枠外周側の水29(図1(a)参照)がナーリング加工の溝から下枠15の内部に浸入するのを防ぐことができる。
図4−1〜3の(a)〜(i)の何れも、室外側枠材1と室内側枠材2に少なくとも一箇所ずつナーリング加工27を施した開口縁部があるため、そのナーリング加工27を施した開口縁部が断熱材3a,3bに食い込むことで断熱材3a,3bの滑りが規制され、下枠15の強度を十分確保できる。
内周側の断熱材3aの室内側の端部が挿入される連結溝4cと、外周側の断熱材3bの室外側の端部が挿入される連結溝4bは、左右のかしめローラー22a,22bで挟まれる位置にあるため、これらの連結溝4c,4bの開口縁部5c,5d,5e,5fにナーリング加工27がしてあると、嵌合強度を高めるのに効果的である(図4−1(a),(b),(c),図4−2(d),(e))。特に図4−1(b)と図4−2(d)は、内周側の断熱材3aの室外側の端部が挿入される連結溝4aの内周側の開口縁部5aと外周側の断熱材3bの室内側の端部が挿入される連結溝4dの外周側の開口縁部5hにナーリング加工27が施してないので、内周側からの水の浸入も外周側からの水の浸入も阻止でき、且つ高い嵌合強度を確保できる。
図4−2(d)は、下枠15の内周側面と外周側面に位置する開口縁部5a,5d,5e,5hの全てにナーリング加工27を施さず、これらと対向する開口縁部5b,5c,5f,5gの全てにナーリング加工27を施したことで、防水性に優れ且つ強度も高い下枠15となる。
【0019】
上枠14は、図2に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる室外側枠材30と室内側枠材31とを樹脂製の断熱材32で連結したものとなっている。断熱材32は、下枠15の断熱材3a,3bと同様に、フェノール樹脂やポリエステル樹脂をガラス繊維で強化した非収縮性の硬質樹脂材を用いている。上枠14は、下枠15のように障子11,12の荷重が掛からないため、断熱材32は1つだけにしている。
竪枠16は、図3に示すように、アルミニウム合金の押出形材よりなる一体成形の枠となっており、室内側に樹脂製のアングル材33を取付けることで、室内側の結露を防止している。
【0020】
外障子11と内障子12は、図2,3に示すように、上框34a,34bと下框35a,35bと戸先框36a,36bと召し合せ框37a,37bを四周框組みし、その内周にガラス38をグレージングチャンネルを介して嵌め込んで取付けてある。ガラス38は、複層ガラスを使用している。上框34a,34bと下框35a,35bと戸先框36a,36bは、室外側の部分がアルミで形成され、室内側の部分は樹脂で形成してあり、内障子12の召し合せ框37bは樹脂製のカバー39で室内側が覆われている。外障子11と内障子12は、框の室内側が樹脂で覆ってあることと複層ガラスを使用したことにより、室内側の結露を防止している。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。実施形態のように、サッシ枠10を構成する上枠14と下枠15と竪枠16のうち、下枠15だけが本発明の断熱サッシ枠であってもよいし、上枠14と竪枠16にも本発明を適用することができる。本発明は、障子が2枚の引違いサッシに限らず、障子が3枚建てや4枚建ての引違いサッシにも適用できる。また、外障子11と内障子12の何れか一方をサッシ枠10に固定した片引きサッシにも適用できる。本発明は、引違いサッシに限らず、あらゆるサッシの枠に適用することができ、カーテンウォールの方立や無目等に用いることもできる。断熱材3a,3bの材質は任意であり、枠の断面形状は適宜変更することができる。他のサッシのサッシ枠と外形を同じにするかどうかは任意である。内周側の断熱材3aが外周側の断熱材3bに対して室内側にずれたものであってもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 室外側枠材
2 室内側枠材
3a,3b 断熱材
4a,4b,4c,4d 連結溝
5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h 連結溝の開口縁部
27 ナーリング加工

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の室外側枠材及び室内側枠材と、室外側枠材と室内側枠材を連結する内周側と外周側の樹脂製の断熱材とを備え、内周側の断熱材は外周側の断熱材よりも室内外何れか一方側に位置し、断熱材の端部が挿入される室外側枠材及び室内側枠材の連結溝の開口縁部のうち、内周側の断熱材の一方側の端部が挿入される連結溝の内周側の開口縁部以外の室外側枠材及び室内側枠材の少なくともそれぞれ一箇所ずつの連結溝の開口縁部にナーリング加工を施してあることを特徴とする断熱サッシ枠。
【請求項2】
外周側の断熱材の室内外何れか他方側の端部が挿入される連結溝の外周側の開口縁部にもナーリング加工を施していないことを特徴とする請求項1記載の断熱サッシ枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−229558(P2012−229558A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98553(P2011−98553)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)