説明

断熱パネル及び環境試験装置

【課題】断熱パネル内での圧力変動を緩和することにより、断熱パネルの断熱性能の劣化を抑制する。
【解決手段】複数のパネル材42が組み付けられた構成の中空状の本体部40aと、この本体部40aの内部に設けられた断熱材40bとを備えている断熱パネル40であって、本体部40a内と連通するバッファ空間SBを有し、このバッファ空間SBと本体部40a内との間で空気を流動させることによって本体部40a内の圧力変動を緩和する圧力調整部50を備えている。圧力調整部50は、変形自在な袋体50aを備えている。環境試験装置は、中空状に形成されるとともに内部に断熱材22aが配設され、出し入れ口を開閉可能な開閉扉22と、断熱パネル40の本体部40a内と開閉扉22内とを連通する連通管と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱パネル及び環境試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1及び2に開示されているように、板金等の複数のパネル材を中空状に組み付け、その内部に断熱材が設けられた断熱パネルが知られている。この断熱パネルは、パネル材を、その端部同士で繋ぎ合わせた構成のものである。より具体的には、パネル材の端部を折り曲げ、この折り曲げられた端部同士を重ね合わせてリベットによって締結し、これにより中空状に構成している。この断熱パネルは、冷却貯蔵庫の外壁として用いられており、断熱パネルで囲まれた庫内の圧力が変動すると、断熱パネル内外に圧力差が生ずるので、パネル材同士の接合部を通して空気が流通し得る。そして、庫内の圧力が低下したときには、庫外から断熱パネル内に外気が侵入し、外気に含まれる水分が断熱パネル内で結露して蓄積されることがある。特許文献2では、その対策として、庫外側のパネル材の接合部に水蒸気透過率の低いシール材を設ける一方、庫内側のパネル材の接合部に開口部を設けるようにしている。これにより、庫外側からの外気の侵入を抑制する一方、外気の侵入があったとしても、その外気を庫内側へ放出し、断熱パネル内で結露することを抑制するようにしている。なお、特許文献1のものでも、庫内側のパネル材に開口部を設けることにより、断熱パネル内に侵入した外気を庫内側へ放出するようにしている。
【特許文献1】特開2007−17144号公報
【特許文献2】特開2007−17145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1及び2に開示された従来の断熱パネルにおいては、パネル材の接合部を通して庫外から侵入した外気を庫内側へ放出するので、断熱パネル内を外気が通過することとなる。このため、庫内側のパネル材の接合部に開口部を設けることにより、外気が庫内側に放出され易いようにしているとはいえ、少なからず断熱パネル内に水分が残留することは避けられない。特に、庫内側の温度が低温であれば、断熱パネル内で結露することは避けられないため、それが繰り返されて水分が蓄積することにより、断熱パネルの断熱性能が劣化するという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、断熱パネル内での圧力変動を緩和することにより、断熱パネル内の結露を低減させるとともに断熱性能の劣化や水漏れの発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明は、複数のパネル材が組み付けられた構成の中空状の本体部と、この本体部の内側に設けられた断熱材とを備えている断熱パネルであって、前記本体部内と連通するバッファ空間を有し、前記本体部内の圧力変化に応じて前記バッファ空間と前記本体部内との間で空気を流動させることによって前記本体部内の圧力変化を緩和する圧力調整部を備えている断熱パネルである。
【0006】
本発明では、本体部内の空気が高温になって膨張すると、この本体部内の空気はバッファ空間内に流入する。このため、本体部内が昇温したときでも本体部内の圧力変動を緩和することができる。一方、本体部内の空気が低温になって収縮すると、バッファ空間内の空気が本体部内に流入する。このため、本体部内が降温したときでも本体部内の圧力変化を緩和することができる。したがって、本体部を構成するパネル材の接合部等を通して外気が本体部内に侵入することを抑制することができ、これにより、本体部内でも結露を抑制することができる。したがって、本発明によれば、本体部内において断熱材の濡れや水分の蓄積を抑制することができて、断熱性能が劣化することを抑制することができる。しかも、断熱パネル内で水分が蓄積されることを抑制できるので、断熱パネルから水漏れが生ずることを抑制することができる。
【0007】
ここで、前記圧力調整部は、変形自在な袋体を備えていてもよい。この態様では、本体部内での圧力変動に容易に追従して袋体が変形するので、本体部内の温度変化量が小さい場合でも、本体部内の圧力変動を抑制することができる。
【0008】
本発明は、試験室内の温度を変えることによって当該試験室内の試料に熱負荷を与え得る環境試験装置であって、前記断熱パネルによって構成される壁体を備えている環境試験装置である。
【0009】
本発明では、試験室内の温度が変化すると、壁体を構成する断熱パネルの内壁面温度がそれに応じて変化する。このため、試験室内の温度変化に応じて断熱パネルの本体部内の空気が収縮又は膨張するが、本体内部が圧力調整部のバッファ空間と連通しているので、本体部内の圧力変動は緩和される。このため、本体部内での結露を抑制することができ、試験室を構成する壁体の断熱性能が劣化することを抑制することができる。
【0010】
ここで、前記壁体が前記試料の出し入れ口を有している場合には、中空状に形成されるとともに内部に断熱材が配設され、前記出し入れ口を開閉可能な開閉扉と、前記断熱パネルの本体部内と前記開閉扉内とを連通する連通管と、を備えていてもよい。この態様では、試験室内の温度変化に伴い、壁体を構成する断熱パネルの内壁面温度が変化するとともに、開閉扉の内壁面の温度も変化する。このため、試験室内の温度変化に応じて断熱パネルの本体部内の空気と開閉扉内の空気が収縮又は膨張する。このとき、圧力調整部のバッファ空間によって本体部内の圧力変動が緩和される一方、連通管を通して本体部内と連通している開閉扉内の圧力変動も緩和される。このため、本体部内での結露を抑制できるとともに開閉扉内での結露を抑制することができる。したがって、開閉扉に圧力調整部を設けることなく、開閉扉での断熱性能が劣化することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、断熱パネル内での圧力変動を緩和することができるので、断熱パネル内での結露を抑制することができ、これによって断熱パネルの断熱性能の劣化を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る環境試験装置10は、試料Wを収納可能な試験室12を備えており、この試験室12に収納された試料Wに熱負荷を与えることができるものである。すなわち、この環境試験装置10は、試料Wを低温と高温に交互に曝して試料Wに熱ストレスを与える熱衝撃試験装置、あるいは試料Wを所定条件の雰囲気に曝し続けて試料Wに熱負荷を与える恒温槽又は恒温恒湿槽として構成されている。試料Wとしては、例えば半導体チップが実装されたプリント基板等を挙げることができる。
【0014】
環境試験装置10は、加熱室14、冷却室16、及び前記試験室12を画定する壁体18と、この壁体18に取り付けられた開閉扉22とを有している。加熱室14は、試験室12との間で循環する空気を加熱するための部屋で、試験室12内を昇温させるために使用される。加熱室14には、ヒータ24と送風機26とが配設されている。冷却室16は、試験室12との間で循環する空気を冷却するための部屋で、試験室12内を降温させるために使用される。冷却室16には、冷却器28と送風機30と補助加熱器32とが配設されている。補助加熱器32は、試験室12に供給される空気が目標温度よりも低温になった場合に駆動される。
【0015】
試験室12と加熱室14との間の高温側仕切り壁35には、吸入口35aと吹出し口35bが設けられており、これら吸入口35a及び吹出し口35bにはそれぞれ開閉ダンパー35cが配設されている。吸入口35aは、試験室12内の空気を加熱室14に導入するための開口部である。吹出し口35bは、加熱室14で加熱された高温の空気を試験室12に流入させるための開口部である。開閉ダンパー35cは、試験室12内を昇温させるときに吸入口35a及び吹出し口35bを開放する一方、試験室12内を降温させるときに吸入口35a及び吹出し口35bを閉じる。
【0016】
試験室12と冷却室16との間の低温側仕切り壁36には、吸入口36aと吹出し口36bが設けられており、これら吸入口36a及び吹出し口36bにはそれぞれ開閉ダンパー36cが配設されている。吸入口36aは、試験室12内の空気を冷却室16に導入するための開口部である。吹出し口36bは、冷却室16で冷却された低温の空気を試験室12に流入させるための開口部である。開閉ダンパー36cは、試験室12内を降温させるときに吸入口36a及び吹出し口36bを開放する一方、試験室12内を昇温させるときに吸入口36a及び吹出し口36bを閉じる。
【0017】
壁体18は、試験室12を構成する壁体20と、加熱室14を構成する壁体19と、冷却室16を構成する壁体21とからなるが、これら壁体19,20,21は何れも、図2に示すように、断熱パネル40によって構成されている。断熱パネル40は、複数のパネル材42が組み付けられた構成の中空状の本体部40aと、この本体部40aの内部に設けられた断熱材40bとを備えている。パネル材42は例えばステンレス板等の板金からなり、断熱パネル40の本体部40aは、例えば折り曲げ加工したパネル材42や平板状のままのパネル材42の縁部同士を接合することによって中空状に形成されている。具体的に、室外側のパネル材42については、パネル材42の縁部を折り曲げ、その折り曲げられた縁部同士を重ね合わせて溶接し、接合部42aとしている。ここでの溶接は例えばスポット溶接とすることができる。このパネル材42同士の接合部42aには、シール材45が施されており、外部の空気が接合部42aを通して本体部40a内になるべく侵入しないようにしている。一方、室内側のパネル材42については、縁部を折り曲げ、その折り曲げられた縁部同士を重ねて溶接している。この溶接部42cでの溶接は例えばアルゴン溶接とすることができる。アルゴン溶接により全周シールとなる。断熱材40bは、グラスウール等の繊維状の断熱材40bである。パネル材は板金等の金属製のため、パネル材42を通して室内の熱が伝達し易く、その影響で、本体部40a内の空気が膨張、収縮し易い。なお、冷却室16を構成する断熱パネル40の断熱材40bは、ウレタン発泡剤等の連続気泡を有する樹脂で構成してもよい。
【0018】
前記開閉扉22は、試験室12を構成する壁体20に設けられた試料Wの出し入れ口を開閉可能に設けられている。この開閉扉22も壁体20と同様に断熱性を有している。すなわち、開閉扉22は、複数のパネル材44を中空状に組み付けるとともにその内部に断熱材22aが配設された構成となっている。この断熱材22aは、グラスウール等の繊維状の断熱材22aである。
【0019】
環境試験装置10には、図3に示すように、壁体20の内部空間STと開閉扉22の内部SDとを連通する連通管46が設けられている。この連通管46は、開閉扉22のヒンジ側に設けられていて、開閉扉22の開閉動作に追従可能に構成されている。したがって、開閉扉22の内部は、試験室12を構成する壁体20の内部空間STと常時連通している。
【0020】
試験室12を構成する壁体20には、バッファ空間SBを有する圧力調整部50が設けられている。圧力調整部50は、袋体50aとダクト50bとを有する。袋体50aは、バッファ空間SBを形成する部位であり、ポリエチレン、ビニル樹脂等の軟質材からなり、変形自在に構成されている。ダクト50bは、袋体50aの内部と、試験室12を構成する壁体20の内部空間STとを連通させるように、一端部が袋体50aに接続される一方、他端部が試験室12を構成する壁体20の外壁20aに接続されている。このダクト50bの他端部は、壁体20の外壁20aを構成するパネル材42を貫通して壁体20(断熱パネル40)の内部にまで進入している。これにより、ダクト50bを介して袋体50aの内部SBと壁体20(断熱パネル40)の内部空間STとの間で空気が流通可能となっている。壁体20の内部空間STの圧力が袋体50a内部の圧力よりも高ければ、壁体20の内部空間STから袋体50a内部に向かって空気が移動して袋体50aを膨張させる。一方、壁体20の内部空間STの圧力が袋体50a内部の圧力よりも低ければ、袋体内部から壁体20の内部空間STに向かって空気が移動して袋体50aを収縮させる。
【0021】
以上のように構成された環境試験装置10の運転動作について説明する。以下に説明する運転動作は、試験室12内の試料Wを高温雰囲気と低温雰囲気に交互に繰り返して曝す熱衝撃試験を行うときの運転動作である。
【0022】
試験室12内に試料Wをセットした状態で高温雰囲気に曝すときには、高温側仕切り壁35の吸入口35a及び吹出し口35bを開放する一方、低温側仕切り壁36の吸入口36a及び吹出し口36bを閉じる。そして、ヒータ24及び送風機26を駆動して、加熱室14で空気を加熱するとともにこの高温に加熱された空気を加熱室14と試験室12との間で循環させる。これにより試験室12内が所定の温度まで昇温し、この所定の温度に一定時間維持され、試料Wの高温曝しが行われる。
【0023】
この高温曝しの際には、試験室12を構成する壁体20の内壁20bが高温空気によって加熱され、その結果、壁体20(断熱パネル40)の内部空間STも加熱される。これに伴い、壁体20内の空気が膨張されるが、その一部がダクト50bを通して袋体50a内に流れて袋体50aを膨らませるので、壁体20内の圧力上昇が緩和される。また、開閉扉22の内壁22bも同様に加熱されて開閉扉22内の空気も膨張するが、その一部が連通管46を通して壁体20の内部空間STに流れ込むので、開閉扉22内の圧力上昇も緩和される。壁体20内及び開閉扉22内の圧力上昇が抑制されるため、壁体20内の空気がパネル材42同士の接合部42aを通して外部に漏れるのが抑制される。
【0024】
一定の時間が経過すると、今度は高温側仕切り壁35の吸入口35a及び吹出し口35bを閉じる一方、低温側仕切り壁36の吸入口36a及び吹出し口36bを開放する。そして、冷却器28及び送風機30を駆動して、冷却器28で空気を冷却するとともにこの低温に冷却された空気を冷却室16と試験室12との間で循環させる。これにより試験室12内が所定の温度まで低下し、この所定の温度に一定時間維持され、試料Wの低温曝しが行われる。以降、高温曝しと低温曝しを交互に繰り返すことにより、試料Wに熱的ストレスを付加することができる。
【0025】
低温曝しの際には、試験室12を構成する壁体20の内壁20bが低温空気によって冷却され、その結果、壁体20(断熱パネル40)の内部空間STも冷却される。これに伴い、壁体20内の空気が収縮されるが、袋体50aが縮むことで袋体50a内の空気がダクト50bを通して壁体20内に流れるので、壁体20内の圧力低下が緩和される。また、開閉扉22の内壁22bも同様に冷却されて開閉扉22内の空気も収縮するが、壁体20内の空気が連通管46を通して開閉扉22内に流れ込むので、開閉扉22内の圧力低下も緩和される。このため、パネル材42同士の接合部42aを通して壁体20内及び開閉扉22内に外気が流入することが抑制される。
【0026】
以上説明したように、本実施形態では、断熱パネル40の本体部40a内の空気が高温になって膨張すると、この本体部40a内の空気はバッファ空間SB内に流入する。このため、本体部40a内が昇温したときでも本体部40a内の圧力変動を緩和することができる。一方、本体部40a内の空気が低温になって収縮すると、バッファ空間SB内の空気が本体部40a内に流入する。このため、本体部40a内が降温したときでも本体部40a内の圧力変動を緩和することができる。したがって、本体部40aを構成するパネル材42の接合部42a等を通して外気が本体部40a内に侵入することを抑制することができ、これにより、本体部40a内でも結露を抑制することができる。したがって、本体部40a内において断熱材40bの濡れや水分の蓄積を抑制することができて、断熱性能が劣化することを抑制することができる。しかも、断熱パネル40内で水分が蓄積されることを抑制できるので、断熱パネル40からの水漏れが生ずることを抑制することができる。
【0027】
また本実施形態では、圧力調整部50が変形自在な袋体50aを備えているので、本体部40a内での圧力変動に容易に追従して袋体50aが変形する。このため、本体部40a内の温度変化量が小さい場合でも、本体部40a内の圧力変動を抑制することができる。
【0028】
また本実施形態では、壁体20の内部空間STと開閉扉22内とを連通する連通管46を備えているので、本体部40a内での結露を抑制できるとともに開閉扉22内での結露を抑制することができる。したがって、開閉扉22に圧力調整部50を設けることなく、開閉扉22での断熱性能が劣化することを抑制することができる。
【0029】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。前記実施形態では、壁体18の内部空間Sが、加熱室14を構成する壁体19の内部空間SHと、試験室12を構成する壁体20の内部空間STと、冷却室16を構成する壁体21の内部空間SLとに仕切られる構成について示したが、この構成に限られるものではない。すなわち、壁体18の内部空間Sが、加熱室14を構成する壁体19の内部空間SHと、試験室12を構成する壁体20の内部空間STと、冷却室16を構成する壁体21の内部空間SLとに亘る1つの空間として形成される構成であってもよい。この場合、圧力調整部50が取り付けられる部位は、試験室12の壁体20の内部空間STに連通するところであれば、加熱室14を構成する壁体19でも、冷却室16を構成する壁体21でもいい。したがって、環境試験装置10の天井を構成する壁体19でも可能である。
【0030】
前記実施形態では、壁体20の内部空間STと開閉扉22内とを連通する連通管46を備えた構成を示したが、開閉扉22の大きさや構成によっては連通管46を省略する構成としてもよい。
【0031】
前記実施形態では、圧力調整部50が袋体50aとダクト50bを有する構成としたが、これに限られるものではない。例えばダクト50bを省略し、袋体50aを壁体20に直接取り付ける構成としてもよい。なお、この場合でも壁体20の外壁20aに貫通孔を設ける必要がある。また、袋体50aに代え、ピストンや蛇腹等の内容積を容易に変えられるバッファ空間を有するものによって構成してもよい。
【0032】
また、前記実施形態では、壁体18によって区画される室内空間が断熱壁35,36によって3つの空間(試験室12、加熱室14、冷却室16)に仕切られた3ゾーン構成としたが、これに限られるものではない。例えば図4に示すように、壁体18によって区画される室内空間が断熱壁によって仕切られていない一槽構造の環境試験装置70としてもよい。この環境試験装置70では、室内空間が試験室12として構成されるが、この試験室12は、仕切り板72により、試料Wがセットされる試料室12aと、試験室12内の空気を加熱又は冷却する空調室12bとに仕切られている。仕切り板72には、試料室12aと空調室12bとを連通させる連通孔が設けられている。空調室12bには、送風機26、ヒータ24、冷却器28等が配設されている。そして、送風機26を駆動することにより、試料室12aと空調室12bとの間で空気が循環し、ヒータ24を駆動することにより、試験室12内の空気を加熱する一方、冷却器28を駆動することにより試験室12内の空気を冷却する。この環境試験装置70においても、試験室12内の空気の加熱又は冷却に伴って、壁体18が加熱又は冷却されることにより、内部空間ST(S)内の空気が膨張又は収縮し、袋体50aが膨張又は収縮する。したがって、3ゾーン構成の環境試験装置10と同様に、断熱性能の劣化や水漏れの発生を抑制することができる。なお、この一槽構造の環境試験装置70においても、前述した種々の形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る環境試験装置の全体構成を概略的に示す断面図である。
【図2】前記環境試験装置の壁体の一部を概略的に示す断面図である。
【図3】前記環境試験装置の壁体の一部及び開閉扉を概略的に示す断面図である。
【図4】一槽構造の態様の環境試験装置を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
SB バッファ空間
W 試料
10 環境試験装置
12 試験室
18 壁体
20 壁体
22 開閉扉
22a 断熱材
40 断熱パネル
40a 本体部
40b 断熱材
42 パネル材
42a 接合部
46 連通管
50 圧力調整部
50a 袋体
50b ダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパネル材が組み付けられた構成の中空状の本体部と、この本体部の内側に設けられた断熱材とを備えている断熱パネルであって、
前記本体部内と連通するバッファ空間を有し、前記本体部内の圧力変化に応じて前記バッファ空間と前記本体部内との間で空気を流動させることによって前記本体部内の圧力変化を緩和する圧力調整部を備えている断熱パネル。
【請求項2】
前記圧力調整部は、変形自在な袋体を備えている請求項1に記載の断熱パネル。
【請求項3】
試験室内の温度を変えることによって当該試験室内の試料に熱負荷を与え得る環境試験装置であって、
請求項1又は2に記載の断熱パネルによって構成される壁体を備えている環境試験装置。
【請求項4】
前記壁体は、前記試料の出し入れ口を有しており、
中空状に形成されるとともに内部に断熱材が配設され、前記出し入れ口を開閉可能な開閉扉と、
前記断熱パネルの本体部内と前記開閉扉内とを連通する連通管と、を備えている請求項3に記載の環境試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−257955(P2009−257955A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107845(P2008−107845)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(000108797)エスペック株式会社 (282)
【Fターム(参考)】