説明

断熱壁、冷蔵庫、機器

【課題】段差などの斜面部を有する真空断熱材を内部にテーパ面を有する断熱壁に斜面部がテーパ面に対向するように配置した容易に製造でき、断熱性能の優れた断熱壁、冷蔵庫を得ることを目的とする。
【解決手段】内部に芯材を収納し、端部が外側方向に向かって徐々にあるいはステップ的に厚さが小さくなる斜面部分を有する真空断熱材と、内部の厚さ方向における一方の面が他方の面に対して傾斜するテーパ面あるいは段差を有する外郭と、を備え、真空断熱材の端部の斜面部分が前記外郭のテーパ面側あるいは段差側に対向するように真空断熱材を前記外郭内に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱材及び真空断熱材を用いた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば冷蔵庫などの断熱箱に使用される断熱材としては、ウレタンフォームが用いられてきた。近年は、省エネや省スペース大容量化に対する市場要請から、ウレタンフォームよりも断熱性能がよい真空断熱材をウレタンフォーム中に埋設して併用する形態が用いられるようになってきている。かかる真空断熱材は、冷蔵庫などにも使用されるものである。
【0003】
真空断熱材は、ガスバリア層にアルミ箔を使用したプラスチックラミネートフィルムなどでできた外包材の中に、粉末、発泡体、繊維体などを芯材として挿入して構成される。真空断熱材の内部は、数Pa(パスカル)以下の真空度に保たれている。
【0004】
また、真空断熱材の断熱性能の低下要因となる真空度劣化を抑制するために、ガスや水分を吸着する吸着剤が外包材の中に配置されている。真空断熱材の芯材としては、シリカなどの粉末、ウレタンなどの発泡体、繊維体などが用いられる。現状は、断熱性能に優れるガラス繊維のものが真空断熱材の芯材の主流になっている。
【0005】
繊維の素材としては、ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維がある(例えば、特許文献1及び特許文献8参照)。
【0006】
また、ポリプロピレン繊維、ポリ乳酸繊維、アラミド繊維、LCP(液晶ポリマー)繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、セルロース繊維などの有機繊維がある(例えば、特許文献2及び特許文献7参照)。
【0007】
繊維体の形状には、綿状のもの、シートを積層したもの(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)や、シートを繊維配向が交互になるように積層したもの(例えば、特許文献5及び特許文献6参照)がある。
【0008】
また、シートの積層方法においては、連続した帯状のシート状部材を交互に異なった方向に折り返すことによって重ね合わせるように積層するものがある(例えば、特許文献9参照)。
【0009】
また、厚さの異なる真空断熱材を使用し、厚さの厚い部分を外部との温度勾配の大きな冷凍温度室側に配置した冷蔵庫が記載されている(例えば、特許文献10参照)。
【0010】
また、真空断熱材の芯材部の側面を傾斜させて隣り合う真空断熱材の側壁が密着しやすいように形成して隣り合う真空断熱材の側面の傾斜面をガイド面として押し付けることで傾斜面全体を密着させることで貯湯タンクの周囲に配設するものが記載されている(例えば、特許文献11参照)。
【0011】
また、発泡ウレタンの流動性改善のために真空断熱材の端部に傾斜を備えたものが記載されている(例えば、特許文献12参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−028776号公報
【特許文献2】特開2002−188791号公報
【特許文献3】特開2005−344832号公報
【特許文献4】特開2006−307921号公報
【特許文献5】特開2006−017151号公報
【特許文献6】特公平7−103955号公報
【特許文献7】特開2006−283817号公報
【特許文献8】特開2005−344870号公報
【特許文献9】特開昭62−204093号公報
【特許文献10】特開2006−182896号公報
【特許文献11】特開2007−212061号公報
【特許文献12】特開2000−320958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように、現在の真空断熱材には、主にガラス繊維が芯材として使用されている。しかし、ガラス繊維は硬くて脆いため、真空断熱材の製造時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着すると刺激を受ける可能性があり、その取り扱い性、作業性が課題となっている。
【0014】
また、リサイクルの観点からみた場合、例えば冷蔵庫では、リサイクル工場で製品ごとに粉砕される。このとき、ガラス繊維は、ウレタン屑などに混じってサーマルリサイクルに供される。ガラス繊維は、燃焼効率を落としたり、残渣となるなど、リサイクル性が良くないという課題がある。
【0015】
一方、ポリエステル繊維を芯材として用いたものは、取り扱い性、リサイクル性に優れる。しかし、ポリエステル繊維を芯材として用いたものは、断熱性能を表す指標である熱伝導率が0.0030[W/mK]程度である(例えば、特許文献7参照)。ポリエステル繊維を芯材として用いたものは、ガラス繊維を芯材として用いた一般的な真空断熱材(熱伝導率0.0020[W/mK]程度)に比べて断熱性能に劣るという難点がある。
【0016】
このため、有機繊維の層を薄くし繊維の配向を伝熱方向と垂直にし断熱性能を向上させることもできる。しかし、それでは積層枚数が数百枚以上になり、生産性が悪い。また、曲げ加工も積層枚数が多いため、曲げにくく、取り扱い性・生産性が悪い。
【0017】
また、ガラス繊維などの芯材をアルミ箔ラミネートフィルム等の外包材内に挿入して内部を減圧封止して真空断熱材を製造する場合、芯材をアルミ箔ラミネートフィルム等の外包材内に挿入場合に特にガラス繊維などの無機繊維を使用した場合にガラス繊維が外包材を突き刺し外包材を傷つけたり破ったりする恐れがあり、外包材内にガラス繊維の芯材を直接挿入せずにポリ袋などの別体の袋に挿入した状態で外包材に挿入しており、余分にポリ袋などが必要であり芯材や真空断熱材の製造工程が複雑になったり、またコストアップになっていた。
【0018】
また、特許文献9のように連続した帯状のシート状部材(古紙)を交互に異なった方向に折り返すことによって折り目をつけて重ね合わせるように積層して芯材を形成することも考えられるが、折り目をつけて折り返す装置が必要であり、この折り返す装置の構造が複雑で高価でありコストアップになっていた。
【0019】
また、ガラス繊維を芯材に使用した真空断熱材の場合、ガラス繊維は断熱性能に優れる。しかし、ガラス繊維は、硬くて脆いため、真空後に曲げ加工を行うのが困難であった。
【0020】
また、ガラス繊維を芯材に使用した真空断熱材の場合、ガラス繊維は断熱性能に優れる。しかし、ガラス繊維は、硬くて脆いため、凝縮パイプなどの配管を真空断熱材と真空断熱材の間に挟みこんで断熱しようとしても配管形状に変形できず、真空断熱材間にパイプの直径に相当する分だけのすきまが存在する。そのため、真空断熱材間のすきまから熱漏れが発生し、断熱性能が大幅に悪化していた。
【0021】
また、有機繊維を芯材に使用する場合で、一枚のシートを複数積層して芯材にするときも、真空断熱材の積層枚数が多いほど硬くなる。そのため、真空後に曲げ加工を行なう場合、曲げが必要な部分で曲げにくく、曲げたくない部分まで変形してしまうという課題があった。
【0022】
また、特許文献10に記載の真空断熱材では、芯材に無機繊維を使用して積層厚さを変更して段差を設けるようにしているが、上述したように、ガラス繊維は硬くて脆いため、真空断熱材の製造時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着すると刺激を受ける可能性があり、その取り扱い性、作業性が問題であり、また、リサイクルの観点からみた場合、例えば冷蔵庫では、リサイクル工場で製品ごとに粉砕される。このとき、ガラス繊維は、ウレタン屑などに混じってサーマルリサイクルに供される。ガラス繊維は、燃焼効率を低下させたり、残渣となるなど、リサイクル性が良くないという課題もある。また、段差を形成させるために大きさの異なる芯材を複数準備する必要があり、手間と時間とコストがかかっていた。
【0023】
また、特許文献11や特許文献12に記載の真空断熱材では、真空断熱材の端面形状を傾斜させているが、芯材を斜めにカットするなど芯材を傾斜させる加工が困難であり、手間と時間が必要であり、コストアップとなっていた。また、真空断熱材を並列配置する場合の端面形状については考慮していなかった。
【0024】
また、先端方向に向かって徐々に厚さが薄くなる仕切り壁などの断熱壁面内への真空断熱材の適用における断熱性能の向上ついては、考慮されていなかった。
【0025】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、少なくとも以下に示す特性のいずれかを有する真空断熱材及びこの真空断熱材を用いた冷蔵庫を提供することを目的とする。
(1)断熱性能が良く、生産性(特に芯材の生産性)に優れる。
(2)断熱性能が良く、しかも取り扱い性やリサイクル性に優れる。
(3)芯材に有機繊維集合体を使用した場合に、生産性に優れる。
(4)曲げ加工の曲げの大きさに合わせて芯材を製造でき、しかも製造が容易である。
(5)段差を有する芯材や端部に斜面部を有する芯材、真空断熱材を容易に製造できる。
(6)長さ方向や幅方向に複数並べても熱漏れの少ない真空断熱材を容易に製造できる。
(7)断熱性能の優れた断熱壁、冷蔵庫が得られる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この発明に係る真空断熱材は、内部に芯材を収納し、端部が外側方向に向かって徐々にあるいはステップ的に厚さが小さくなる斜面部分を有する真空断熱材と、内部の厚さ方向における一方の面が他方の面に対して傾斜するテーパ面あるいは段差を有する外郭と、を備え、前記真空断熱材の端部の前記斜面部分が前記外郭内の前記先端側であって前記真空断熱材の斜面部分が前記外郭のテーパ面側あるいは段差側に対向するように前記真空断熱材を前記外郭内に配置したものである。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、真空断熱材の斜面部分が外郭のテーパ面側に対向するように配置したので、断熱効率が向上する。
【0028】
また、本発明によれば、断熱性能の良好な冷蔵庫などの機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1を示す図で、真空断熱材7の模式図であって、不織布シートを複数積層した真空断熱材7の芯材5の斜視図。
【図2】実施の形態1を示す図で、真空断熱材7の模式図であって、不織布シート1枚における繊維の配向を表した側面図。
【図3】実施の形態1を示す図で、真空断熱材7の模式図であって、芯材5に厚みがある場合の繊維の配向具合を示す側面図。
【図4】実施の形態1を示す図で、真空断熱材7の構成を示す分解斜視図。
【図5】実施の形態1を示す図で、真空断熱材7を形成する芯材5の積層状態を模式的に示す斜視図。
【図6】実施の形態1を示す図で、真空断熱材7を形成する芯材5の積層装置の原反ローラと巻枠について模式的に示す斜視図。
【図7】実施の形態1を示す図で、真空断熱材製造装置の巻枠の構造を表す図であり、図7(a)は有機繊維集合体を巻き取るときの巻枠の状態を表し、図7(b)は連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取り終了後に連続したシート状繊維集合体1Jから巻枠を取り除く(取り去る)場合の巻枠の状態を表した図。
【図8】実施の形態1を示す図で、真空断熱材製造装置の巻枠に巻き取られた有機繊維集合体をクランプするクランプ部材を表す図。
【図9】実施の形態1を示す図で、真空断熱材の製造方法を表す図。
【図10】実施の形態1を示す図で、別の巻枠の模式図。
【図11】実施の形態1を示す図で、原反ロールを複数組み合わせて1つの大きな幅を有する組み合わせ原反ロールの構成を表す図。
【図12】実施の形態1を示す図で、組み合わせ原反ロールを2つ使用して巻枠に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図。
【図13】実施の形態1を示す図で、組み合わせ原反ロールを2つ(上側原反ロール、下側原反ロール)使用する巻き取り装置にて巻き取られる有機繊維集合体の構成を表す模式図。
【図14】実施の形態1を示す図で、組み合わせ原反ロールを2つ使用する巻き取り装置にて巻き取られた芯材の断面図。
【図15】実施の形態1を示す図で、原反ロールを3つ組み合わせた組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って芯材550を製造した場合の芯材550の斜視図。
【図16】実施の形態1を示す図で、別の組み合わせ原反ロールの構成について説明するための図。
【図17】実施の形態1を示す図で、真空断熱材750を折り曲げた様子を表した斜視図。
【図18】実施の形態1を示す図で、真空断熱材750を幅方向から見た図。
【図19】実施の形態1を示す図で、冷蔵庫100の断面図。
【図20】実施の形態1を示す図で、第1の所定幅を有する少なくとも1つの原反ロール1307と、第1の所定幅よりも小さな幅の原反ロールを第1の所定幅と略同等になるように幅方向に組み合わせた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール1305とを使用して巻枠1311に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図であり、本実施の形態の別の芯材の製造法を表す図。
【図21】実施の形態1を示す図で、少なくとも1つの所定幅を有する原反ロール1307と、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材の斜視図である。
【図22】実施の形態1を示す図で、少なくとも1つの所定幅を有する原反ロールと、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材の断面図。
【図23】実施の形態1を示す図で、少なくとも1つの所定幅を有する原反ロールと、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材を使用した真空断熱材の斜視図。
【図24】実施の形態1を示す図で、真空断熱材の形状を示す模式図。
【図25】実施の形態1を示す図で、第4の所定幅を有する少なくとも1つの原反ロールと、第4の所定幅よりも小さな幅の少なくとも1つの原反ロールとを使用して巻枠に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図。
【図26】実施の形態1を示す図で、図25の巻き取り装置にて巻き取られた後に平板状に成形されて製造された芯材、および真空断熱材の模式図。
【図27】実施の形態1を示す図で、図26の芯材を外包材内に挿入して減圧した後に密封した真空断熱材を表す図。
【図28】実施の形態1を示す図で、真空断熱材を形成する芯材の積層状態を模式的に示す説明図。
【図29】実施の形態1を示す図で、芯材の製造方法を示す図。
【図30】実施の形態1を示す図で、図29の製造方法にて製造された芯材を示す図。
【図31】実施の形態1を示す図で、断熱壁(断熱部材)の構造を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施の形態1.
図1乃至図4は実施の形態1を示す図で、図1は真空断熱材7の模式図であって、不織布シートを複数積層した真空断熱材7の芯材5の斜視図、図2は真空断熱材7の模式図であって、不織布シート1枚における繊維の配向を表した側面図、図3は真空断熱材7の模式図であって、芯材5に厚みがある場合の繊維の配向具合を示す側面図、図4は真空断熱材7の構成を示す分解斜視図である。
【0031】
(積層構造)
図1において、芯材5は、例えば、少なくとも1つの端面1aがカットされたシート状有機繊維集合体(以下、「有機繊維集合体1」と称す)を積層した積層構造を有している。すなわち、図1に示す芯材5は、略長方形状の有機繊維集合体1が複数積層されたのち略長方形の4辺がカットされたシート状を形成している。あるいは、略長方形状の有機繊維集合体1の4辺がカットされた後に複数積層されて略長方形のシート状を形成している。
【0032】
図2において、有機繊維集合体1は、所定の間隔を空けて配置された複数本の有機繊維2xと、有機繊維2xと略直交する方向で、所定の間隔をあけて配置された複数本の有機繊維2yと、から形成されている。
【0033】
このとき、有機繊維2xと有機繊維2yとは、ほぼ点接触している。有機繊維2y間には、断熱空間である空気層3が形成されている。
【0034】
有機繊維2xと有機繊維2yとの総称として、有機繊維2とする。
【0035】
ここで、図3に示されるように、一枚のシート(有機繊維集合体1)の厚さが厚くなると、繊維が伝熱方向である厚さ方向を向くように配向されやすくなる。特に有機繊維2(単に、繊維と呼ぶ場合もある)が、繊維長の短い短繊維(繊維長が例えば5〜150mm程度)の場合には、短繊維が伝熱方向である厚さ方向を向くように配向されやすくなる。この短繊維を介してシートの表側から裏側へ熱が伝達されて(図3に矢印で示す)断熱性能が悪化する。
【0036】
したがって、有機繊維集合体1を薄く積層して厚さの薄いシート状にすることで、繊維が伝熱方向(有機繊維集合体1の繊維の積層方向、シート状の有機繊維集合体1の厚さ方向)へ向いて配向されるのを抑えることができる。それにより、伝熱方向へ向いて配向された繊維を熱が伝わって断熱性能が低下するのを抑制できる。そのため、芯材5の熱伝導率を、小さくでき、断熱性能を向上させることができる。
【0037】
図2において、実線矢印と点線矢印が、熱の伝わる方向を示している。有機繊維2xと有機繊維2yとが略直交しているため、有機繊維2xと有機繊維2yとの接触部分が点接触になり熱抵抗が増加して断熱性能が向上する。
【0038】
なお、以上は、有機繊維2xと有機繊維2yとが互いに略直交する場合を示しているが、本実施の形態は、これに限定するものではない。有機繊維2xと有機繊維2yとが、互いに直角でない角度で交わってもよい。有機繊維2xと有機繊維2yのすべてが、平行配置になっていなければよい。伝熱方向へ向いて配向された繊維を熱が伝わって断熱性能が低下するのを若干でも抑制できれば、断熱性能を向上させることができる。
【0039】
図4において、真空断熱材7は、空気遮断性を有するガスバリア性容器(以下、「外包材4」と称す)と、外包材4の内部に封入された芯材5および吸着剤6(例えばガス吸着剤や水分吸着剤(CaO)など)と、を有している。そして、外包材4の内部は、所定の真空度(数Pa(パスカル)〜数百Pa程度)に減圧されている。
【0040】
(有機繊維)
真空断熱材7の芯材5を形成する有機繊維2に用いる材料として、ポリエステルや、その他に、ポリプロピレン、ポリ乳酸、アラミド、LCP(液晶ポリマー)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリスチレンなどを用いることができる。また、芯材5の耐熱性を向上させたい場合は、有機繊維2にLCP(液晶ポリマー)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)など耐熱性のある樹脂を使用すれば良い。また、圧縮クリープ特性を向上させたい場合は、繊維径の大きなものを使用すれば良い。また、上記の樹脂を混合させて使用すれば、圧縮クリープ特性の優れた耐熱性が高く断熱性の高い真空断熱材7が得られる。ポリスチレンは、固体熱伝導率が小さく断熱材の断熱性能の向上が期待でき、しかも安価に製造できる。
【0041】
ポリプロピレンは、吸湿性が低いため、乾燥時間や真空引き時間を短縮でき生産性の向上が可能である。また、ポリプロピレンは、固体熱伝導が小さいので真空断熱材7の断熱性能の向上が期待できる。
【0042】
また、ポリ乳酸には生分解性があるので、製品の使用後に解体、分別された芯材は埋め立て処理を行うこともできる。
【0043】
また、アラミドやLCPは剛性が高いので、真空包装されて大気圧を受けたときの形状保持性が良く、空隙率を高めることができ断熱性能の向上が期待できるなどのメリットがある。
【0044】
芯材5は、例えば、プラスチックラミネートフィルムを外包材4に用いる真空断熱材7においては、大気圧を支えて真空断熱材7内の空間を確保する役割と、空間を細かく分割してガスの熱伝導などを低減する役割を担っている。なお、ガスの熱伝導抑制の観点から、この空間の距離をその真空度における空気分子の自由行程距離より小さくなるようにすることが望ましい。
【0045】
本実施の形態では、真空断熱材7の芯材5には、例えば有機繊維2を使用しているので、従来のように硬くて脆いガラス繊維が芯材として使用されている場合に比べて、真空断熱材7の製造時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着して刺激を与えるということも無くなり取り扱い性、作業性が向上する。
【0046】
(繊維集合体素材(原反ロール素材)の製造方法)
芯材5を形成する有機繊維集合体1(有機繊維集合体、シート状集合体に同じ)は、製造したい幅に対して横一列に並んだいくつものノズルから加熱溶融したポリエステル樹脂やポリスチレン樹脂などの樹脂を、コンベア上に自由落下させ、コンベアを任意の速度で動かしながら加圧ローラで加圧して円筒状の原反用ローラに巻き取って略円筒状の原反ロール素材を製造する。有機繊維集合体1の嵩密度は、溶融樹脂の吐出量とコンベアの速度により調整し、厚さの異なる繊維集合体を得ることができる。
【0047】
また、有機繊維集合体1である長繊維不織布は、押出機で溶融させて紡糸ノズルから押出した連続繊維を、コンベア上に捕集し、コンベアを任意の速度で送りシート状に形成することで、原反用ローラに巻き取り可能な連続した長繊維不織布が得られる。連続した有機繊維2で形成され連続したシート状の有機繊維集合体1が得られるので、円筒状の原反用ローラに連続して巻き付け可能となり、長繊維不織布の原反ロールを得ることが可能になる。
【0048】
また、紡糸には、ノズル直下で樹脂を冷風などで冷却した後、圧縮空気などで延伸を行って繊維化する方法や、ノズル穴脇から樹脂の溶融温度と同等の高温エアで吹いて繊維化する方法を用いることができる。
【0049】
なお、上記の方法で得た有機繊維集合体1は、有機繊維2同士がばらばらなため真空断熱材7の製造時の取り扱い性が悪い場合がある。そこで、加圧時に、有機繊維2同士を加熱溶着しても良い。この際、過度の加圧、加熱溶着は、有機繊維2間の接触面積を増大し、伝熱の増加を招き、溶着部からの熱伝導が発生して断熱性能の低下を引き起こす。そのため、有機繊維2間の接触面積をできるだけ少なくした方が良い。有機繊維2間の接触面積は、全面積(シート面積)の20%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは8%以下に抑えることが望ましい。
【0050】
加熱溶着の占める割合が全面積(シート面積)の20%を超えると熱伝導率が大きくなり、断熱性能が悪くなっていくことが確認できたため、加熱溶着の占める割合は全面積(シート面積)の20%以下にした方が好ましい。ここで、全面積(シート面積)に対して加熱溶着の占める割合を小さくすれば、断熱性能が格段に向上するので、加熱溶着の占める割合を全面積(シート面積)の15%以下、さらには全面積(シート面積)の8%以下に抑えることが望ましい。
【0051】
加熱溶着は、熱ローラなどで、例えばドット状の溶着部をつけるエンボス加工を行うことで、取り扱い強度を確保しながら巻き取り可能で断熱性能の良い長繊維不織布(有機繊維集合体1)が得られる。なお、本実施の形態では、熱ローラの温度は約195℃とすればよい。
【0052】
ここで、加熱溶着の代わりにフックのついた多数の針を垂直に突き刺したり引き上げたりすることを繰り返し、繊維同士を互いに絡ませることにより繊維同士がばらばらにならないようにシート状にするニードルパンチ法でも良いが、加熱溶着(例えばエンボス加工)によりシート状に形成した方が簡単な設備で対応可能であり、コンベア上での作業も容易なため良い。
【0053】
(繊維径)
本実施の形態1では繊維集合体として、例えば、有機繊維集合体1を使用するが、この有機繊維集合体1の繊維径は、これを成形するノズル径により調整し、約15μmとした。断熱性能上は、繊維径はより細い方が良い。理論的に繊維径は、真空断熱材7の内部真空度と繊維で細分化される空間距離、気体分子の自由行程距離の関係から小さいほうが好ましい。繊維径は、15μm以下が望ましく、好ましくは10μm以下が良く、平均繊維径が9μm程度のものを使用すれば良い。
【0054】
平均繊維径の測定は、マイクロスコープを用いて数箇所〜数十箇所(例えば十箇所)測定し、平均値を使用するようにすれば良い。また、重量目付け(1mあたりの繊維の重量(g))は、シート1枚の面積と重量を測定して、シート1枚の単位面積あたりの重量として求めればよい。
【0055】
本実施の形態では、断熱方向である厚さ方向に対して略垂直となる方向に繊維の配向方向を整えて、有機繊維集合体1を複数重ねた多層構造としている。
【0056】
また、有機繊維集合体1に短繊維不織布を使用すると繊維の長さが短いため有機繊維2xや有機繊維2yが断熱方向(シートの厚さ方向)へ向いて配向されやすくなる。断熱方向へ向いて配向された繊維を熱が伝わって断熱性能が低下するのを抑制するために、長繊維を使用した長繊維不織布としている。
【0057】
本実施の形態では、繊維の長さはシートの長さと略同等以上のものを使用するようにしているので、シートの途中で繊維が切れて繊維の一部(途中)や端部が断熱方向に配向されにくくなるようにして断熱性能が低下しないようにしている。
【0058】
(繊維集合体の積層方法、芯材の製造方法1)
次に、得られたシート状の有機繊維集合体1を、例えば所定の大きさである(幅210mm×長さ297mm)になるように端面1aをカット(裁断)する。これらを、複数層(例えば25層)に積層して端面5aがカットされた所定の大きさと厚さの芯材5を形成した。芯材5は、シート状の有機繊維集合体1を複数積層した後に、端面5aをカットして所定の大きさに形成しても良い。なお、積層する枚数は、得られた有機繊維集合体1の厚さと製造したい真空断熱材7の厚さを基に任意に設定して良い。
【0059】
(外包材)
真空断熱材7の外包材4(図4)には、厚さ5μm以上100μm以下のラミネートフィルムを使用している。本実施の形態では、例えば、ナイロン(6μm)、アルミ蒸着PET(ポリエチレンテレフタレート)(10μm)、アルミ箔(6μm)、高密度ポリエチレン(50μm)で構成されるガスバリア性のあるプラスチックラミネートフィルムを使用している。
【0060】
真空断熱材7の外包材4に、その他に、ポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレンの構成などのアルミ箔を含まないラミネートフィルムを用いると、ヒートブリッジによる断熱性能の低下を抑制できる。なお、外包材4の四辺のうち三辺がシール包装機によってヒートシールされている。残りの一辺は芯材5を挿入後にヒートシールされる。
【0061】
(真空断熱材の製造方法1)
真空断熱材7の製造は、先ず開口部4aを有する袋状である外包材4に所定の大きさと厚さの芯材5を挿入し、開口部4aが閉まらないように固定して、恒温槽にて約105℃の温度下で半日(約12時間)乾燥を行った。その後、真空包装後の残存ガスや経時的に放出される芯材5からのアウトガス、外包材4のシール層を通して進入する透過ガスを吸着するための吸着剤6(ガス吸着剤や水分吸着剤など)を外包材4(フィルム袋)内に挿入し、柏木式真空包装機(NPC社製;KT−650)にて真空引き(減圧処理)を行った。真空引きは、チャンバ内真空度が1〜10Pa程度になるまで行い、そのままチャンバ内で外包材4(フィルム袋)の開口部4aをヒートシールして板状の真空断熱材7を得た。
【0062】
(繊維集合体の積層方法、芯材の製造方法2)
上述のようにシート状の有機繊維集合体1を所定の大きさにカットして複数枚積層して芯材5を形成して真空断熱材7を製造しても良いし、シート状の有機繊維集合体1を複数積層した後に端面5aをカットして所定の大きさに形成して芯材5を形成して真空断熱材7を製造しても良いが、ここでは、芯材5の別の製造方法について説明する。連続したシート状の繊維集合体(例えば、有機繊維集合体1)を連続して巻き取って芯材5を製造する方法について説明する。
【0063】
図5、図6は実施の形態1を示す図で、図5は真空断熱材7を形成する芯材5の積層状態を模式的に示す斜視図、図6は真空断熱材7を形成する芯材5の積層装置の原反ローラと巻枠について模式的に示す斜視図である。
【0064】
図5、図6において、連続した繊維(例えば、有機繊維2)で形成された、連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1、厚さは30μm程度以上500μm程度以下、好ましくは80μm以上300μm以下)が巻き取り途中で切断されたり、切断されないまでも伸びきって繊維として必要な特性が不足しないような所定の張力で巻枠1311に巻き取られた後(巻枠1311に連続して巻回された後)に平板状に成形されて芯材5が製造される。すなわち、芯材5は、長さ方向(巻き方向)に連続したシート状繊維集合体1Jが内側から外側に向かって連続して巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jの積層構造で構成されている。ここで、平板状に成形されて芯材5の幅をH、長さをL、厚をtとする(図5参照)。また、芯材5の巻き終わりの端部を、巻き終わり端部1Jeとする。
【0065】
芯材5は、例えば略円筒状の原反ローラ1302に巻かれた所定の幅を有する連続したシート状繊維集合体1J(原反ロール1301)を、巻枠1311に連続して複数回巻いた状態(連続して所定回数だけ巻き取った状態)で、巻枠1311を巻枠1311の軸心方向(巻き取り方向に対して略90度ずれた回転軸1315の軸心方向)に抜き取って略円筒状に巻かれた連続したシート状繊維集合体1Jを平板状(シート状)につぶすようにして成形される。この平板状の芯材5は、連続したシート状繊維集合体1Jが複数積層されて平板状(平滑状)を形成する平板部5g(平滑部)と、この平板部5gの長さ方向に対する両側端部(連続したシート状繊維集合体1Jが巻き取り方向に連続した状態で巻かれているため、平板状の長さ方向両端側で連続したシート状繊維集合体1Jが折れ曲がって巻かれた状態になっている)で連続したシート状繊維集合体1Jが折れ曲がった状態に形成された折れ曲がり端部5fとを有する平板状(シート状、平滑状)に成形されている。
【0066】
このとき、芯材5は、平板状に成形されて外包材4内で略真空状態でシールされた状態で所定の厚さtになるように巻枠1311に巻きつける回数Rが決められている。例えば、芯材5の必要な厚さt(芯材5の所定の厚さ)が8mmで、連続したシート状繊維集合体1Jの1枚の厚さが80μmだとすれば、必要な積層枚数が100枚(8mm/80μm)となるので、巻枠1311に巻きつけなければならない必要な所定巻き付け回数Rは連続したシート状繊維集合体1Jの50枚分に相当する50回となる。芯材5の厚さtは、巻枠1311が抜き取られた状態(円筒状)の芯材5を押しつぶすようにして平板状(シート状)に成形するので、原反ロール1301に巻かれた回数Rである50回の2倍に相当する枚数100枚分の厚さになり、芯材5は、連続したシート状繊維集合体1Jが複数枚積層(所定枚数である100枚積層)された状態となる。
【0067】
また、芯材5に必要な幅(所定の幅)Hは、原反ローラ1302に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1J(原反ロール1301)の幅や巻枠1311の幅により適宜調整される。例えば、芯材5の必要な幅H(所定の幅)が1500mmだとすれば、巻枠1311の幅を所定の幅である1500mm程度、あるいは所定の幅である1500mmより若干大きい幅(例えば1520mm程度)に設定して余分な部分(両幅部分)を切断するようにしても良い。
【0068】
図7、図8は実施の形態1を示す図で、図7は真空断熱材製造装置の巻枠の構造を表す図であり、図7(a)は連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取るときの巻枠の状態を表し、図7(b)は連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取り終了後に連続したシート状繊維集合体1Jから巻枠を取り除く(取り去る)場合の巻枠の状態を表した図、図8は真空断熱材製造装置の巻枠に巻き取られた有機繊維集合体をクランプするクランプ部材を表す図である。
【0069】
本実施の形態では、巻枠1311は、例えば略円筒状をしており、円周方向に例えば複数の円周部材1312にて複数分割されている。例えば、巻枠1311は、円周部材1312a,1312b,1312c,1312dにて4分割されている。図7では、円周部材1312を図示していないが、円周部材1312a,1312b,1312c,1312dを総称して、「円周部材1312」とする。ここで、円周部材1312は、複数に分割された円周部材1312a,1312b,1312c,1312dの個々の周方向略中央近傍内周側に巻枠1311の回転軸1315に接続された円周部材保持軸1316(円周部材保持軸1316a,1316b,1316c,1316d)がそれぞれに設けられており、複数の円周部材1312が円周部材保持軸1316を介して巻枠1311の回転軸1315に接続・保持されている。巻枠1311の回転軸1315には、電動機などで駆動される駆動軸が挿入・接続されている。
【0070】
複数に分割された円周部材1312(本実施の形態では、4つの円周部材1312a,1312b,1312c,1312d)のうちの少なくとも1つの円周部材(本実施の形態では、半径方向に対向する2つの円周部材1312a,1312b)は、半径方向に伸縮・可動できる円周部材保持軸1316(本実施の形態では円周部材保持軸1316a,1316b)が設けられているので、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き付けた後に円周部材保持軸1316,1316bを半径方向中心側に向かって縮む方向に可動させることで、所定の張力をもって巻枠1311に略円筒状に巻きつけられている連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめることができ、巻枠1311から略円筒状に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを回転軸1315の軸芯方向に抜き取ることができる。すなわち、巻枠1311に所定の張力を持って巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめることにより巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311から抜き取りやすくなるので、連続したシート状繊維集合体1Jを傷つけることなく容易に抜き取ることができる。
【0071】
ここで、巻枠1311には少なくとも1箇所に巻枠1311を抜き取った後に略円筒状の有機繊維集合体1を保持あるいは固定するクランプ部材1320が設けられている。本実施の形態では、クランプ部材1320は、少なくとも2箇所(対向する2箇所)の円周部材1312c,1312d、あるいは円周部材保持軸1316c,1316dにそれぞれ設けられたクランプ部材設置部1313c,1313dに着脱自在にそれぞれ設けられる。また、2つのクランプ部材設置部1313c,1313dは、半径方向に伸縮・可動できる円周部材保持軸1316(本実施の形態では、円周部材保持軸1316a,1316b)とは異なる部位(例えば、異なる円周部材保持軸1316c,1316d)に設けられている。
【0072】
このクランプ部材1320は、巻枠1311に連続したシート状繊維集合体1Jが略円筒状に巻きつけられた状態で、略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの内周側と巻枠1311の外周側との間に、連続したシート状繊維集合体1Jを保持あるいは固定(たとえば挟みこんで保持あるいは固定)できるように設けられている。このクランプ部材1320は、例えば棒状や板状であって、連続したシート状繊維集合体1Jが巻きつけられる前から巻枠1311とは着脱自在に巻枠1311側に設けておいても良いし、巻枠1311に連続したシート状繊維集合体1Jが巻きつけられた状態で後から連続したシート状繊維集合体1J(内周側)と巻枠1311(外周側)との間に、例えば2箇所のクランプ部材設置部1313(例えば円周部材1312c,1312dや円周部材保持軸1316c,1316dにそれぞれ設けられたクランプ部材設置部1313c,1313d)に回転軸1315の軸方向から挿入するように設けて連続したシート状繊維集合体1Jを保持しても良いし、連続したシート状繊維集合体1Jを2箇所のクランプ部材設置部1313(例えば、クランプ部材設置部1313c,1313d)で2箇所を挟み込んで保持するようにしても良い。尚、図8ではクランプ部材設置部1313は図示していないが、クランプ部材設置部1313c,1313dを総称して、「クランプ部材設置部1313」とする。
【0073】
ここで、本実施の形態では、巻枠1311のうち、クランプ部材1320が設けられる円周部材1312(例えば、半径方向に可動しない円周部材1312c,1312d)の外周面側には、巻枠1311の回転軸1315の軸方向にクランプ部材が収納可能あるいは挿入可能なクランプ部材設置部1313(例えば回転軸1315方向に向かって、例えば所定の幅(あるいは長さ)を有するように設けられる凹部や切欠きなど)が設けられている。
【0074】
クランプ部材設置部1313(例えば1313c、1313d)に収納あるいは挿入されるクランプ部材1320は、例えば棒状や板状であって、連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に巻きつけられる前に、クランプ部材設置部1313(クランプ部材設置部1313c,1313d)に設けておいて連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き取り後に円周部材1312a,1312bを半径方向の中心方向(縮む方向)へ可動させて巻枠1311に所定の張力で巻き付けられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめてから連続したシート状繊維集合体1Jをクランプ部材1320でクランプして(本実施の形態では少なくとも2箇所(クランプ部材設置部1313c,1313d)でクランプして)から巻枠1311から抜き取るようにすれば良い。
【0075】
または、巻枠1311に所定の張力で連続したシート状繊維集合体1Jが略円筒形状に巻きつけられた後、連続したシート状繊維集合体1Jの内周側と巻枠1311の外周側との間に位置する巻枠1311の可動しない円周部材1312c,1312dに設けられたクランプ部材設置部1313(クランプ部材設置部1313c,1313d)の凹部や切欠きなどに巻枠1311の回転軸1315の軸方向から少なくとも1つのクランプ部材1320を挿入して略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jをクランプして(本実施の形態では少なくとも2箇所(クランプ部材設置部1313c,1313d)でクランプして)から、円周部材1312a,1312bを半径方向の中心方向(縮む方向)へ可動させて巻枠1311に所定の張力で巻き付けられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめて巻枠1311を抜き取るようにしても良い。
【0076】
ここで、少なくとも1つのクランプ部材1320(本実施の形態では、2つのクランプ部材1320c,1320d)は、巻枠1311とは着脱自在に設けられており、巻枠1311の可動しない少なくとも1つの円周部材(本実施の形態では、2つの円周部材1312c,1312d)に設けられている。
【0077】
このように少なくとも1つの可動可能な円周部材1312a,1312bを張力がゆるむ方向に可動させることで、巻枠1311に所定の張力で巻き付けられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jの張力を容易に緩めることが可能である。したがって、連続したシート状繊維集合体1Jや有機繊維2を傷つけたり痛めたりすることなく簡単に連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から取り外すことができるので、構造簡単で信頼性の高い巻き取り装置を得ることができ、しかも低コストで信頼性の高い連続したシート状繊維集合体1Jや真空断熱材7を得ることができる。
【0078】
ここで、連続したシート状繊維集合体1Jをクランプする位置は、略円筒状の繊維集合体1Jの断面円の円周方向の周長を略同等長さに略2等分する位置の2箇所(巻枠1311の回転軸1315の軸方向に対して略直角方向の断面を考えた時の断面形状(略円筒形の場合は、断面形状は略円形になる)において、巻枠1311の回転軸1315の回転中心を通る直線が断面形状(断面の外形形状、円の場合は円周)と交わる2箇所(円の場合は円周と交わる2箇所))にしている。
【0079】
したがって、クランプする位置が略円筒状の断面の外形形状(略円筒形状の場合は、円形)の周長さを略2等分する2箇所の位置であるため、2つのクランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)で連続したシート状繊維集合体1Jをクランプした状態のままで巻枠1311から取り外して2つのクランプ部材1320c,1320dを略直線方向反対側方向(略180度反対方向)に可動あるいは移動させることで複数回巻き付けられて複数積層された連続したシート状繊維集合体1Jは2つのクランプ部材1320c,1320dにより相反する方向に引っ張られるので、クランプ部材1320c,1320dにてクランプされる部分より連続したシート状繊維集合体1Jが折れ曲がった平板状に形成される。その後、クランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)が複数層積層された状態で平板状に形成された連続したシート状繊維集合体1Jから抜き取られることで、連続したシート状繊維集合体1Jが連続したシート状のまま複数積層され、折れ曲がり端部5fで折れ曲がり平板(シート)状の平板部5gを有する所定の幅Hと長さLを有する平板状の芯材5が形成される。
【0080】
(真空断熱材の製造方法2)
次に図9に基づいて、本実施の形態での真空断熱材7の製造方法について説明する。図9は実施の形態1を示す図で、真空断熱材の製造方法を表す図である。図9において、図9(a)〜(h)は、真空断熱材7の製造の工程を表している。図9(a)は、連続したシート状繊維集合体1J(例えば連続した有機繊維2で製造された有機繊維集合体1、不織布シート)を巻枠1311に巻き始める、巻き始めステップである。連続したシート状繊維集合体1Jが複数回巻きつけられて形成され、所定の幅に切断された原反ロール1301と、原反ロール1301に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取る所定幅を有する巻枠1311と、を備え、原反ロール1301、巻枠1311を回転させることにより原反ロール1301に巻きつけられている連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き付け始めるが、この工程が巻き始めステップである。
【0081】
図9(b)は、連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に所定回数Rだけ巻き付けられて巻き取りが終了する、巻き終わりステップである。巻き始めステップにて、原反ロール1301より巻枠1311に連続したシート状繊維集合体1Jが巻きつけられていくが、このとき、連続したシート状繊維集合体1Jの巻枠1311に巻き付けられた厚さa(図示せず)が、芯材5の必要な所定厚さtの半分の厚さt/2に相当するようになるので、所定の厚さaに相当する所定回数R回分だけ巻き付けられると、原反ロール1301、巻枠1311の回転が停止し、連続したシート状繊維集合体1Jの巻き取りが終了するが、この工程が巻き終わりステップである。
【0082】
図9(c)は、連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)を切断する切断ステップである。巻き終わりステップにて、連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に巻き付けられるが、巻きつけられる回数Rが、芯材5の必要な所定厚さtの半分の厚さt/2に相当する回数に達すると、原反ロール1301、巻枠1311の回転が停止するので、切断ステップでは、連続したシート状繊維集合体1Jを所定箇所で切断するステップであり、連続したシート状繊維集合体1Jを原反ロール1301と巻枠1311との間の所定の切断箇所において、所定の切断箇所の前後をクランプした状態で切断して、原反ロール1301を巻枠1311から切り離すステップである。
【0083】
ここで、巻枠1311に巻き取られた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jは、クランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)によりクランプされて保持される(図9(d)参照)。このとき、巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jの切断された巻き終わり端部1Je(切断端面)が、ばらけたりしないように、あるいは巻き終わり端部1Je(切断端面)が芯材5に成形された時に、図5に示すように折れ曲がり端部5fに配置されるように(すなわち平板部5gに位置しないように)連続したシート状繊維集合体1Jはクランプ部材1320でクランプされる位置の後位置(例えばクランプされる位置の直後)で切断されることが望ましい。
【0084】
図9(d)は略円筒状の連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)をクランプ部材1320にてクランプする芯材固定ステップである。切断ステップにて、連続したシート状繊維集合体1Jが切断された後、巻枠1311に設けられた凹部や切欠きなどのクランプ部材設置部1313(クランプ部材設置部1313c,1313d)にクランプ部材1320が挿入されて連続したシート状繊維集合体1Jの巻き終わり端部1Je(切断端面)が、ばらけたりはがれたりしないように巻き終わり端部1Je(切断端面)近傍がクランプされる。
【0085】
図9(e)は巻枠1311の周方向に設けられた複数の円周部材(1312a〜1312d)のうち、少なくとも1つの円周部材(1312a、1312b)を半径方向中心方向に可動・変形させて巻枠1311に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jの巻きつけ張力をゆるめる巻枠変形ステップである。芯材固定ステップにて、巻き終わり端部1Je(切断端面)近傍がクランプされるが、巻枠変形ステップでは、連続したシート状繊維集合体1Jは、巻枠1311に所定の厚さ(t/2)相当分の回数Rだけ巻き取られてクランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)によりクランプされた状態で、巻枠1311の複数の円周部材1312(円周部材1312a〜1312d)のうち、少なくと1つの円周部材(本実施の形態では、半径方向に対向する2つの円周部材1312a,1312b)が、巻枠1311の半径方向中心側に向かって縮む方向に可動する。すなわち、連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311に巻き付けられた後に円周部材保持軸1316a,1316bが半径方向中心側に向かって縮む方向に可動することで、円周部材1312a,1312bも半径方向中心側に向かって縮む方向に可動する。
【0086】
したがって、円周部材1312a,1312bが半径方向中心側に向かって縮む方向に可動することで、所定の張力をもって巻枠1311に略円筒状に巻きつけられていた連続したシート状繊維集合体1Jの張力がゆるむので、巻枠1311から略円筒状に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを容易に抜き取ることができる(巻枠1311の回転軸1315の軸芯方向からクランプされた連続したシート状繊維集合体1Jを容易に抜き取ることができる)。すなわち、巻枠1311に所定の張力を持って巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)の張力をゆるめることにより巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311から抜き取りやすくなる。
【0087】
図9(f)は、巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jから巻枠1311を抜き取って、略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jから巻枠を分離する巻枠分離ステップである。巻枠変形ステップにて、巻枠1311の少なくとも1つの円周部材1312(円周部材1312a,1312b)が半径方向中心側に可動・変形して巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jの巻きつけにより発生した張力がゆるめられるので、巻枠分離ステップでは、張力がゆるめられた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から回転軸1315の軸心方向に抜き取る。あるいは、巻枠1311を略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jからクランプした状態のまま抜き取っても良い。
【0088】
図9(g)は巻枠1311と分離された略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jを成形部材であるクランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)にて略反対方向(逆方向)に引っ張って平板状の芯材5を成形する芯材成形ステップである。巻枠分離ステップにて巻枠1311から成形部材であるクランプ部材1320にてクランプされた状態で連続したシート状繊維集合体1Jが分離されるが、芯材成形ステップでは、巻枠1311から2つのクランプ部材1320c,1320dにてクランプされた状態で抜き取られた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jを、2つのクランプ部材1320c,1320dを略直線方向反対側にそれぞれ逆方向側に引っ張ることで略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jが成形部材であるクランプ部材1320のクランプ位置で折りたたまれるので、折れ曲がり端部5fと平板部1311gを有する平板状(シート状)の芯材5に成形される。成形部材であるクランプ部材1320によって平板状に成形された連続したシート状繊維集合体1Jから構成される芯材5は、2つのクランプ部材1320で折れ曲がり端部5fをクランプされた状態でコンベア1400上に移されて、クランプ部材1320が取り除かれることで芯材5として成形される。すなわち、連続した繊維(例えば、有機繊維2)から形成された連続した平板状(シート状)の連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)が内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状の芯材5が形成、製造され、コンベア1400上を移動する。
【0089】
図9(h)は、コンベア1400上で成形された芯材5が、一端が開口した開口部4aを有するガスバリア性の外包材4に挿入された後に内部が減圧された状態で略密封されて真空断熱材7を製造する真空断熱材製造ステップである。連続したシート状繊維集合体1Jが複数層積層され、内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に形成された芯材5は、少なくとも一端が開口した開口部4aを有するガスバリア性の外包材4内に挿入され、真空炉内に運搬されて略真空状態で外包材4のシール部(例えば開口部4a)がヒートシールされることで真空断熱材7が完成する。
【0090】
ここで、巻枠1311の円周部材1312が巻き付け方向(円周方向)にほぼ連続した円筒形状を成しているので、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き付けた時に巻きつけにより発生する張力が巻き付け方向(円周方向)に略均一になり、巻き付け時に連続したシート状繊維集合体1Jに傷付や切断などが発生せず、信頼性の高い芯材5、真空断熱材7が得られる。
【0091】
本実施形態では、巻枠1311に巻き付け方向(円周方向)がほぼ連続して略円筒状を成す円周部材1312を使用したが、略円筒形状でなくてもよく多角形(8角形状、6角形状、平板状など)でも良い。
【0092】
図10は実施の形態1を示す図で、別の巻枠の模式図である。図10において、(a)は8角形の巻枠の一例を表す図であり、(b)は8角形の巻枠に連続したシート状繊維集合体1Jを巻きつけた状態を表す図である。図に示すように、円周部材1312は、巻き付け方向(円周方向)に連続していなくても良い。図10において、巻枠1311は棒状(例えば角柱や円柱)の円周部材1312が円周方向に8箇所略均等に設けられており、回転軸1315を中心に回転することで原反ロール1301から連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取るようにしている。図10に示すように、例えば、複数(例えば、8箇所)の円周部材1312が巻きつけ方向に連続していない場合は、巻き付け方向に略等間隔で配置された角柱状や円柱状などの複数の円周部材1312間(円周部材1312と円周部材1312の間の空間)にクランプ部材1320(図8参照、図10では図示せず)を挿入して巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jをクランプすることが可能となるので、クランプ部材設置部1313が不要となり、構造が簡単で軽量でしかも低コストの巻枠1311が得られる。
【0093】
本実施の形態では、連続した有機繊維2で形成された連続したシート状繊維集合体1Jが略円筒状の原反用ローラ1302に連続して巻き付けられて得られる長繊維不織布の原反ロール1301と、原反ロール1301とは別に設けられ、原反ロール1301の長繊維不織布の連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取る所定の幅を有する巻枠1311と、を備えている。巻枠1311に原反用ローラ1302に巻きつけられている連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)を所定回数R(芯材5の必要な所定厚さtの半分の厚さt/2に相当)分だけ巻きつけることで芯材5の必要な所定厚さtだけ連続したシート状繊維集合体1Jが積層されるので、所定の大きさ(幅や長さ)にカットされた不織布シート(繊維集合体)を1枚づつ積層する必要がなく、安価な製造設備で簡単に低コストで芯材5を製造できる。
【0094】
すなわち、芯材5が、連続した繊維(例えば、有機繊維2)から形成された連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)が内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に形成されており、略長方形状で平板状の芯材5の4つある端面のうち長さ方向の端部(折れ曲がり端部5f)は連続したシートを折り曲げ(折りたたみ)成形しているので、折り曲げ加工(折りたたみ加工)された2つの折れ曲がり端部5fは、端面がカットされたものではないので折れ曲がり端部5fから有機繊維2がはみだしたりしないし、また端面がみだれたりしていないため端面をカットする必要がない。また、カットする箇所(部位)が少なくなり、低コストで加工が容易な芯材5や真空断熱材7が得られる。また、原反ロール1301を必要な所定幅にカットして使用する場合は、略長方形状で平板状の芯材5の4つある端面のうち、幅方向の2つの端面が芯材5の幅方向端面に相当することになり、芯材5の幅方向の2つの端面も原反ロール1301の時に予め所定幅にカットされていることになるため、芯材5に形成された後でカットする必要がなくなり、芯材5の製造ラインが簡略になり、低コストな芯材5、真空断熱材7が得られる。
【0095】
また、芯材5の端面から繊維がはみだしたり、端面がみだれたりしていないため端面をカットする必要がなくなるので、端面をカットすることにより残存繊維の繊維長が短くなり、残存繊維がカットした端面からはみ出して外包材4のシール部のシール性を損なうことも無くなる。
【0096】
また、図24に示されるように真空断熱材7,750,760に内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に積層された芯材5,550,560を使用した場合には、芯材5の長さ方向端部(折れ曲がり端部5f)の長さ方向の断面(幅方向に直角な断面)形状が外側に突出した略三角形状になる。図24は実施の形態1を示す図で、真空断熱材の形状を示す模式図で、図24(a)は真空断熱材7,750,750の長さ方向の断面(幅方向に直角な断面)図であり、図24(b)は真空断熱材7,750,760の長さ方向端部を長さ方向に直角な方向から見た要部正面図である。
【0097】
図24において、真空断熱材7,750,760に内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に積層された芯材5を使用した場合には、平板状の平滑部Lg(長さL1の部分)と断面が外側に突出した略三角形状の長さ方向両端部Lf(長さL2の部分)とから構成される。このとき芯材5の長さ方向の両端部(折れ曲がり端部5f)が外包材4に挿入されて減圧された状態でシールされると、長さ方向両端部Lfの断面形状(幅方向に直角(垂直)な断面形状)が長さ方向に対し外側方向に向かって徐々に厚さが小さくなるような長さ方向の断面形状(幅方向に直角(垂直)な断面形状)が外側に突出した略三角形となるので、外包材4にしわがよりにくく、またやぶれにくくなり、信頼性の高い真空断熱材が得られる。すなわち、所定の幅を有し、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が内側から外側に向かって巻かれた状態で平板状に形成された積層構造の芯材5と、芯材5を開口部4aから内部に収納し、内部が減圧された状態で開口部4aがシールされるガスバリア性の外包材4と、を備え、芯材5が外包材4内で減圧された状態で前記芯材5の長さ方向端部(長さ方向の両端部である折れ曲がり端部5f)における幅方向に直角な断面形状が、長さ方向外側に向かって徐々に厚さが小さくなる外側に突出した略三角形である真空断熱材が得られる。また、1つの真空断熱材7,750,760を円筒形状に折り曲げるなどして加工する場合に長さ方向の端面同士を突き合わせて接続使用する場合や、2つ以上の複数の真空断熱材7の端面同士を突き合わせて使用する場合に、複数の真空断熱材7,750,760の外側に突出した略三角形状の端面の斜面部分(図24の斜面部Lfs)同士が接触するように接続すれば、接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材7,750,760、真空断熱材7,750,760を搭載した冷蔵庫などの機器を得ることができる。
【0098】
(繊維集合体の積層方法、芯材の製造方法3)
次に原反ロール1301を複数組み合わせて芯材5を製造する方法について説明する。図11乃至図14は実施の形態1を示す図で、図11は原反ロールを複数組み合わせて1つの大きな幅を有する組み合わせ原反ロールの構成を表す図、図12は組み合わせ原反ロールを2つ使用して巻枠に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図、図13は組み合わせ原反ロールを2つ(上側原反ロール、下側原反ロール)使用する巻き取り装置にて巻き取られる有機繊維集合体の構成を表す模式図、図14は組み合わせ原反ロールを2つ使用する巻き取り装置にて巻き取られた芯材の断面図である。
【0099】
例えば、ほぼ同じ巻き回数(同じ積層枚数)だけ巻きつけられた複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)を幅方向(横方向)に隣接(隙間無く並べることが望ましいが後述するようにすきまが必要な場合は所定すきまを設けても良い)するように組み合わせ、所定幅を有する第1の原反ロール1305(上側ロール)を形成する。また、第1の原反ロール1305と同じように同じ巻き回数(同じ積層枚数)だけ巻きつけられた複数の原反ロール(例えば、本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h、いずれも図示せず)を幅方向(横方向)に隣接(隙間無く並べることが望ましいが、所定すきまを設けても良い)するように組み合わせ、所定幅を有する第2の原反ロール1306(下側ロール)を形成する。
【0100】
ここで、複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)は同じ幅であっても異なる幅であっても良い。同様に複数の原反ロール(例えば、本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h、いずれも図示せず)も同じ幅であっても異なる幅であっても良く、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロールの数と第2の原反ロール1306に使用される複数の原反ロールの数は同じでも異なっても良い。
【0101】
第1の原反ロール1305、及び第2の原反ロール1306は、ともに複数の原反ロール(例えば複数の本体部)が隣接するように幅方向に並べられているので、隣り合う本体部間(例えば、本体部A1301a、本体部B1301bなど)には隙間(微小隙間、所定すきま)が存在し、隣り合う本体部(例えば、本体部A1301a、本体部B1301bなど)は連続しておらず断続するため、スリット部(例えば、本体部A1301aと本体部B1301bとの間のスリット部A、本体部B1301bと本体部C1301cの間のスリット部B、本体部C1301cと本体部D1301dの間のスリット部Cなど)が存在する。また、本実施の形態では、第1の原反ロール1305、第2の原反ロール1306の少なくとも1つは複数の原反ロールのうちの幅方向の端側に配置される原反ロール(例えば、本体部A1301aや本体部D1301d、本体部E1301eや本体部H1301hなど)に原反ロール素材を所定の幅にカットしたときに発生する稜線の揃っていない耳部を有する耳部原反ロールを使用している(図11参照)。
【0102】
本実施の形態では、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロールの数(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの4つ)と、第2の原反ロール306に使用される複数の原反ロールの数(本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301hの4つ)は同じにしている。また、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロール(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)と第2の原反ロール1306に使用される複数の原反ロール(本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)はそれぞれ幅方向に所定量Xb(図14参照)だけずらして配置されており、第1の原反ロール1305に巻かれている第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の原反ロール1306に巻かれている第2の(有機)繊維集合体1Hが上下(シート面に対して略直角方向)に重なるようにしてシート面の幅方向に所定量Xbだけずれた状態で一緒に巻枠1311に巻き取られる。例えば、第1の(有機)繊維集合体1Kは、有機繊維集合体でもよいし、その他の繊維集合体(例えば、無機繊維集合体)でもよいことを示している。第2の(有機)繊維集合体1Hについても、同様である。このとき、第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306は、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの移動方向(巻き取られる方向)に対して前後方向、あるいは上下方向や斜め方向に配置される。第1の原反ロール1305の複数の原反ロールに対応する第2の原反ロール1306の複数の原反ロールの幅は略同等にして所定量Xbだけずらしている。
【0103】
すなわち、第1の原反ロール1305を構成する個々の原反ロール(例えば、本体部A1301a)とこの第1の原反ロール1305の後方(あるいは下方など)に配置される第2の原反ロール1306を構成する個々の原反ロール(例えば、本体部E1301e)の幅は略同等にしている。同様に個々の原反ロール(本体部B1301bと本体部F1301f、本体部C1301cと本体部G1301g、本体部D1301dと本体部H1301h)は、それぞれ略同等幅に設定されている。ただし、第1の原反ロール1305(上ロール)の所定幅と第2の原反ロール1306(下側ロール)の所定幅は略同等が望ましい。
【0104】
また、本実施の形態では、図12に示すように芯材製造装置の第1の原反ロール1305(上側ロール)と第2の原反ロール1306(下側ロール)との配置は、第1の原反ロール1305(上ロール)を第2の原反ロール1306(下側ロール)よりも巻枠1311方向(連続したシート状繊維集合体1Jの送り方向)に対して後ろ側(あるいは上側や斜め上側など)に配置している。すなわち巻枠1311方向に向かって、第2の原反ロール1306(下側ロール)、第1の原反ロール1305(上側ロール)の順に配置されている。このとき、第1の原反ロール1305(上側ロール)に巻かれている第1の(有機)繊維集合体1Kが第2の原反ロール1306(下側ロール)に巻かれている第2の(有機)繊維集合体1Hよりも上側に配置されている。巻枠1311で巻き取られるため、第1の原反ロール1305(上側ロール)に巻かれている第1の(有機)繊維集合体1Kが第2の原反ロール1306(下側ロール)に巻かれている第2の(有機)繊維集合体1Hに対して常に巻枠1311の半径方向外側に位置するように巻き取られるようにしている。ここで、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hとが上下に重なった状態で巻枠1311に巻き取られる構成となるように第1の原反ロール1305(上側ロール)と第2の原反ロール1306(下側ロール)を配置すれば良い。
【0105】
ここで、製品で必要な所定幅が小さい場合(例えば、100mmとか200mm程度)であれば、原反ロール(第1の原反ロール1305(上側ロール)、第2の原反ロール1306(下側ロール)等)の製造も場所を必要とせず容易だが、製品で必要な所定幅が大きい場合(例えば、1100mmとか2000mmなど)には、原反ロール(第1の原反ロール1305(上側ロール)、第2の原反ロール1306(下側ロール)等)の製造が困難となる。また、製品によっては、幅の異なる真空断熱材7が必要な場合があるが、1つの原反ロールで対応しようとすると必要な所定幅の数だけ原反ロールが必要となり、原反ロールの製造が困難であるばかりか原反ロールの種類が多くなりコストアップとなる。したがって、本実施の形態では、複数の原反ロールを幅方向に隣接するように組み合わせて組み合わせロール(例えば第1の原反ロール1305、第2の原反ロール1306)として使用している。
【0106】
本実施の形態のように複数の幅の(幅の異なる)原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)を幅方向に隣接させて1つの大きな幅の原反ロール(例えば、第1の原反ロール1305)として使用するようにすれば、個々の原反ロールの幅が小さくて良くなるので原反ロール(例えば、本体部A1301aや本体部B1301bなど)の製造場所を選ばず容易に製造できる。しかも大きな幅の原反ロールが必要なときには、小さな幅の原反ロールを複数組み合わせて大きな幅の1つの原反ロール(例えば、第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306など)を製造することができるようになり、原反ロールの製造場所を選ばず、また原反ロールの種類を低減でき、低コストで設計の自由度の大きな芯材5、真空断熱材7を得ることができる。例えば、幅の異なる原反ロール(本体部A1301aや本体部B1301bなど)を複数組み合わせたり、幅が略同等の小さな原反ロール(例えば、本体部B1301bなど幅の同じ1つの原反ロール)を複数組み合わせて1つの大きな幅の原反ロールとしても良い。
【0107】
また、本実施の形態では、複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)から構成される組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305(上ロール)に巻きつけられている第1の(有機)繊維集合体1Kと、複数の原反ロール(例えば、本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)から構成される組み合わせ原反ロールである第2の原反ロール1306(下ロール)に巻きつけられている第2の(有機)繊維集合体1Hとを、幅方向(横方向)に所定量Xb(例えば5mm〜40mm程度、好ましくは10mm〜20mm)だけずらして配置しているが、その理由は、以下による。
【0108】
(1)例えば、第1の原反ロール1305を構成する複数の原反ロール(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)のうち幅方向に隣接する原反ロール(例えば、本体部A1301aと本体部B1301bなど)の接続部位は、実際には若干の隙間が存在するがもしも隙間無く接しているとしても隣接部位にはスリット部(例えば、本体部Aと本体部Bとの間にはスリット部A)が存在するため連続していないため、所定量Xbだけずらさずに複数枚積層するとスリット部(接続部、隣接部)が略同等位置にくるため、スリット部で分断されるようになる。すなわち、スリット部(接続部、隣接部)が連続していないためスリット部から折れたりちぎれたりするため芯材5としての必要曲げ強度が得られないし、スリット部(隣接部)が連続しておらず切れ目になっているのでそこからばらばらになってしまい外包材4がやぶれるなどして必要な幅の芯材5が得られなくなり、また、真空断熱材7としての性能も得られなくなる。本実施の形態では、第1の原反ロール1305(上ロール)に対して第2の原反ロール1306(下ロール)を所定量Xbだけラップするようにずらして複数層積層しているので、所定量Xbだけずれた部分の摩擦などによりスリット部(隣接部位)でばらばらになったり、分断されることがなくなり、必要な断熱性能を有する必要な所定の大きさの芯材5を得ることができる。
【0109】
(2)隣接部位で第1の原反ロール1305(上ロール)と第2の原反ロール1306(下ロール)とを所定量Xbだけラップするようにずらしているが、スリット部(隣接部位)が存在するため、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hはそれぞれ同一平面上では連続していない。したがって、スリット部分で折れ曲がりやすくなる。従来の真空断熱材では、折り曲げるために凹溝加工を施すなど特別な工夫を行っており、製造コストがアップしているが、本実施の形態では、製造過程で隣接する部位(スリット部)が折れ曲がりやすく製造されるので、この折れ曲がりやすくなった部位を製品の折り曲げ必要な部位に配置して有効に利用している。例えば、冷蔵庫の場合では、背面壁と上面壁など所定の角度(例えば略90度)に折れ曲がった壁面間に跨って真空断熱材7を配置することが考えられるが、そのためには大きな真空断熱材7が必要で、しかも折り曲げることが必要なため、原反ロール素材を製造するための大きな製造設備が必要なため製造場所が限定されたり製造困難であり、折り曲げるための特別な加工が必要になるためコストアップにもなり対応困難であった。本実施の形態の真空断熱材7では、複数の原反ロールを幅方向に隣接させて大きな1つの原反ロールとして使用することが可能であり、しかも折り曲げが必要な部位にスリット部(隣接部)を配置すれば良いので、原反ロールの幅を小さな幅の原反ロールの組み合わせで自由に選定でき、また、折り曲げのための特別な加工が不要であり、また、小さな幅の原反ロールを複数組み合わせることで大きな幅の芯材5を製造できるので、従来は困難であった冷蔵庫などの所定の角度で折れ曲がった壁面間に跨って真空断熱材7を配置することが可能となる。
【0110】
(3)幅方向両端をカットする前の原反ロール素材の幅方向の両側端部は、耳部と言われ、有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの繊維が必要な厚さ分だけ存在せず厚さにバラツキが生じたり、幅方向端面の稜線が揃っていないため、原反ロールとして使用するに際しては、原反ロール素材をあらかじめ必要な所定幅で両側をカッとして原反ロールとして使用している。したがって、この原反ロール素材から幅方向の両側部分の耳部がカットされた耳部原反ロールは、強度が弱く端面(稜線)が揃っていないため従来は廃棄されていた。本実施の形態では、従来は廃棄されていた耳部原反ロール(本実施の形態では、例えば本体部A1301aや本体部D1301dが相当する)を図11に示すように第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306を構成する複数の原反ロールのうち幅方向両側に使用される原反ロール(例えば本体部A1301aや本体部D1301dなど)に使用しており、第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306を所定量Xbだけずらして複数層積層するので、交互に耳部と耳部でない部分が積層されるようになり、耳部位置がずれて配置されるので、耳部と耳部が連続して積層されることがない。よって耳部原反ロールを使用しても芯材5に必要な強度が得られる。
【0111】
ここで、図11に示すように第1の原反ロール1305は、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dが幅方向に順に隣接するように配置されているが、ここで、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの幅はそれぞれT1、T2、T3、T4であり、第1の原反ロール1305の幅はTA(TA=T1+T2+T3+T4)である。したがって、製品に必要な所定幅に合わせて第1の原反ロール1305の個々の原反ロールの幅(T1、T2、T3、T4)を決定すれば良い。同様に第2の原反ロール1306の個々の原反ロールの幅も決定すればよい。すなわち、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの幅(本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301hの幅)を選定すればよい。このとき幅T1、T2、T3、T4は同じでも異なっても良い。
【0112】
したがって、複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d、本体部E1301e、本体部F1301f、本体部G1301g、本体部H1301h)の幅を個別に適宜選定できるので、設計の自由度が増加し、低コストな芯材5、真空断熱材7、および冷蔵庫などの機器が得られる。また、第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306を所定量Xbだけずらして巻枠1311に巻き取って芯材5を製造するので、スリット部で折り曲げ容易となり、折り曲げ可能な真空断熱材7を特別な加工などが不要で容易に製造でき、所定角度で折れ曲がったような断熱壁面を有する冷蔵庫などの機器の断熱壁にも容易に設置することができ、したがって、真空断熱材7の被覆率を大きくすることが可能であり、高性能で低コストな真空断熱材や機器を得ることができる。
【0113】
図13に示すように、連続したシート状繊維集合体1Jは巻枠1311に巻き取られるときには、第1の原反ロール1305(上側ロール)よりの第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd、上側有機繊維集合体)と第2の原反ロール1306(下側ロール)よりの第2の(有機)繊維集合体1H(第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1hd、下側有機繊維集合体)は所定量Xbだけずれた状態で巻枠1311に巻き取られる。巻枠1311に巻き取られた状態での巻き取り方向に垂直な断面での第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hは、図14に示すように、所定量Xbだけずれた状態で交互に積層されており、内側から外側に向かって連続的に巻き付けられて積層されている。したがって、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hとが所定量Xbだけずれているので、第1の(有機)繊維集合体1K(上側有機繊維集合体)の第1のスリット部57(上側スリット部)と第2の(有機)繊維集合体1H(下側有機繊維集合体)の第2のスリット部58(下側スリット部)との距離がずれ量Xbに相当し、このXbの量だけ第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hが重なって積層されることになり、摩擦などにより第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hとが分離しにくくなっている。
【0114】
ここで、有機繊維集合体1(連続したシート状繊維集合体1J、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1H)が複数積層された芯材5は、真空引きされた状態(減圧された状態)での厚さtが厚くなればなるほど折り曲げにくくなるが、本実施の形態では、所定量Xbだけ離れた位置に2つのスリット部(第1のスリット部57、第2のスリット部58)が存在するため、これら2つのスリット部(第1のスリット部57、第2のスリット部58)で2段階に折り曲げることで厚さが厚くなっても容易に折り曲げる(所定の折り曲げ角度を得る)ことが可能になる。
【0115】
本実施の形態では、芯材5の厚さに応じてラップ代Xbを決定している。すなわち芯材5の厚さが小さいときは所定量Xbは小さくて良いが、芯材5の厚さが大きくなれば曲げにくくなるため所定量Xbを適宜大きくして対応している。ここで、所定量Xbは小さすぎると重なる長さ(ラップ代)が短くなり摩擦力が得られなくなって、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hが、ラップ部(本体部間)で分離してしまい所定幅の芯材5が得られなくなるので、本実施の形態では、ラップ代Xbは7mm以上(好ましくは10mm以上)としている。ラップ代が5mmの場合には、ラップ代が短いために必要な摩擦力が得られず第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの個々の有機繊維集合体(第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)がスリット部より分離してしまい、所定の幅を有する芯材5が得られなかった。ここで、ラップ代Xbが10mm以上の場合は、ラップ部に耳部を使用しても安定して摩擦力を得ることができ、しかも熱伝導率の低下も小さく抑えられることが分かった。
【0116】
また、ラップ代Xbは、大きければ大きいほど必要な摩擦力が大きく得られるので芯材5としては信頼性が向上して良いが、真空断熱材7の厚さに対してラップ代Xbが大きすぎると折り曲げ時に2つのスリット部間の距離(Xb)が大きくなり折り曲げ部の幅が大きくなり、また、折り曲げにくくなるので、真空断熱材7を折り曲げる場合には、ラップ代Xbは真空断熱材7の厚さの3倍程度以下が良い(例えば、真空断熱材の厚さtが10mmのときはラップ代Xbは30mm程度以下が良い)。
【0117】
図15は実施の形態1を示す図で、原反ロールを3つ組み合わせた組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って芯材550を製造した場合の芯材550の斜視図である。図15において、芯材550は、図11〜図14に示した芯材5と同様の要領により、第1の原反ロール1305(上側ロール)よりの第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kd)(上側有機繊維集合体)と、第2の原反ロール1306(下側ロール)よりの第2の(有機)繊維集合体1H(第2の(有機)繊維集合体1Ha,1Hb,1Hd)(下側有機繊維集合体)は所定量Xbだけずれた状態で巻枠1311に巻き取られ、内側から外側に向かって連続的に巻き付けられて積層される。そして、2つのクランプ部材1320で2箇所をクランプされてクランプされた部分で折り曲げられて平板状の芯材550が製造される。但し、図15では、同図に示す符号以外は省略している。真空断熱材702(図示せず)は、芯材550を用いて製造されるものとする。
【0118】
芯材550は、クランプ部材1320によって折り曲げられた(折りたたまれた)2つの折り曲げ部551f(折り曲げ端部)と、2つの折り曲げ部551f間に設けられる平板状の平板部551g(平滑部)とから構成される。また、第1の(有機)繊維集合体1K(上側有機繊維集合体)の個々の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kdの隣接部が、図14に示した第1のスリット部57(上側スリット部)であり、第2の(有機)繊維集合体1H(下側有機繊維集合体)の個々の第2の(有機)繊維集合体1Ha,1Hb,1Hdの隣接部が、第2のスリット部58(下側スリット部)である。この第1のスリット部57と第2のスリット部58との幅方向の距離(長さ)がずれ量Xbに相当する。したがって、この第1のスリット部57及び第2のスリット部58にて容易に折り曲げ加工が行える。
【0119】
ここで、巻き終わり端部551Jeは、図15では平板部551g上に配置されているが、折り曲げ部551f近傍に配置されることが望ましい。巻き終わり端部551Jeが平板部551gに配置されると平板部551gに段差が生じやすくなるので好ましくない。また、クランプ部材1320によって芯材551を平板状に形成するときに巻き終わり端部551Jeがクランプ部材1320の位置から離れるため、このクランプ部材1320の位置と巻き終わり端部551Jeまでの長さが長くなる。このクランプ部材1320の位置と巻き終わり端部551Jeまでの第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの部分はクランプされていないため芯材550から、ばらけて折れ曲がったりする恐れがあるので、巻き終わり端部551Jeはクランプ部材1320でクランプ可能な折り曲げ部551f近傍になるようにカットした方が好ましい。クランプ部材1320にてクランプした後(直後が好ましい)でカットするのが好ましく、折り曲げ部551f近傍で平板部551gに段差が生じない範囲でカットするのが好ましい。ばらばらになって折れ曲がったりする恐れが低減し、しかも平板部551gに段差が生じにくく、段差がひっかかったりせず、また見た目も良い。
【0120】
図16は実施の形態1を示す図で、別の組み合わせ原反ロールの構成について説明するための図である。ここで、図16に示すように、複数の原反ロールで構成される組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306に3つの原反ロール(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部D1301d)を使用する場合に、幅方向両側の原反ロール(本体部A11301a、本体部D1301d1)に片側が耳部である耳部原反ロールを使用しても良い。この場合には、耳部原反ロールの耳部が中央に配置される耳部を有さない原反ロールである本体部原反ロールである本体部B11301b側を向くように並べても良い。
【0121】
図16において、組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305(上側ロール)は、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部D1301dから構成され、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部D1301dの順に隣接するように幅方向に並べられている。すなわち、幅方向中央位置には耳部を有さない本体部原反ロールである本体部B1301b、その両側に耳部を有する耳部原反ロールである本体部A1301a、本体部D1301dが配置されており、耳部原反ロールの耳部側が、中央位置に配置される耳部を有さない本体部B1301b側に隣接するように配置されている。図示はしないが、組み合わせ原反ロールである第2の原反ロール1306(下側ロール)も、第1の原反ロール1305(上側ロール)と同様の構成である。すなわち、幅方向中央位置には耳部を有さない本体部原反ロールである本体部F1301f、その両側に耳部を有する耳部原反ロールである本体部E1301e、本体部H1301hが配置されており、耳部原反ロールの耳部側が、中央位置に配置される耳部を有さない本体部本体部F1301f側に隣接するように配置されている。図示はしないが、図16の原反ロールで成形されるものも芯材550とし、真空断熱材702が、芯材550を用いて製造されるものとする。
【0122】
このように耳部原反ロールに巻かれている耳部有機繊維集合体の耳部が組み合わせロールである第1の原反ロール1305や第2の原反ロール1306の幅方向両端側に配置されないようにしているので、巻枠1311に巻き取られて芯材550が成形されたときに、幅方向両側には、耳部でなくカット面がくるので芯材550の幅方向の両側をカットする必要がなくなり、低コストの真空断熱材702が得られる。このとき、幅方向中央位置に耳部を有さない本体部原反ロール(本体部B1301b)、その両側に耳部を有する耳部原反ロール(本体部A1301a、本体部D1301d)を配置する場合に、耳部原反ロール(本体部A1301a、本体部D1301d)の耳部のうち、どちらか1つの耳部が中央位置の本体部原反ロール(本体部B1301b)側に隣接するように配置しても良い。組み合わせ原反ロールの片側にのみ耳部がくるように耳部原反ロールを配置してもよく、この場合には、組み合わせ原反ロールの両側に耳部原反ロールを配置する場合に比べて一方の幅方向側のみをカットすればよいので、低コストな真空断熱材702が得られる。もちろん、耳部を有する耳部原反ロール(本体部A1301a、本体部D1301d)であっても、耳部の繊維が必要な厚さ分だけ存在して厚さのバラツキが小さかったり、端面位置(稜線)のバラツキが小さく芯材550や真空断熱材702の断熱性能や製造上問題ないレベルであれば、耳部原反ロールを組み合わせ原反ロールの幅方向端側に使用しても幅方向端面をカットする必要はない。
【0123】
したがって、本実施の形態では、芯材550の製造に関し、1枚ずつ積層する必要がなく、繊維集合体IJを巻き取るだけの簡単な設備で製造できるので、組み合わせ繊維集合体IJである第1の(有機)繊維集合体1K(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd)あるいは第2の(有機)繊維集合体1H(例えば、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)を構成する複数の繊維集合体(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)の少なくとも1つに、従来は廃棄されていた幅方向端側に稜線の揃っていない(カット面ではない)耳部を有する耳部繊維集合体(例えば、耳部原反ロールである本体部A1301aや本体部D1301daに巻かれている繊維集合体)を容易に使用することができる。よって、従来は廃棄されていた耳部を有する耳部繊維集合体(耳部原反ロールに巻かれている繊維集合体)をカットしたりすることなく、耳部原反ロールをそのまま利用でき、無駄が生じない。したがって、低コストな芯材550や真空断熱材702が得られる。
【0124】
図17は実施の形態1を示す図で、真空断熱材750を折り曲げた様子を表した斜視図である。図17において、図17(a)は真空断熱材750を折り曲げた状態の斜視図、図17(b)は真空断熱材750の折り曲げ部の要部拡大図である。真空断熱材750は、芯材550がガスバリア性を有する外包材4内に挿入され、内部が減圧された状態でシールされている。真空断熱材750は芯材550の第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分で2段階で折り曲げられて折り曲げ部59を形成している。このとき、折り曲げ部59の幅はラップ代Xbの幅で折り曲げられている。ラップ代Xbの幅は、第1のスリット部57と第2のスリット部58との距離(長さ)に相当し、略同等長さである。
【0125】
また、真空断熱材750は、有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを幅方向にラップ代Xbだけずらして2枚重ねて複数積層しているので、ラップ代Xbだけずらしたことにより第1のスリット部57、第2のスリット部58が外包材4内に挿入されて減圧したときに外包材4が第1のスリット部57、第2のスリット部58で、それぞれ凹んで凹み部751,752が形成される。また、この2つの第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分がそれぞれ凹んだ2つの凹み部751,752間に突出するように略台形形状の突出部753が形成される。折り曲げ部59は、2つの第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分がそれぞれ凹んだ凹み部751,752と、2つの凹み部751,752間に突出するように形成される略台形形状の突出部753と、からなるので、この凹み部751,752を基点にして略台形形状の突出部753の斜面を利用することで容易に折り曲げることができる。また、第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分の凹み部751,752とこれら凹み部751,752間に形成される台形形状の突出部753が真空断熱材750の厚さ方向の両側にできるため、例えば真空断熱材750の厚さが厚くなった場合であってもシート面の両側に形成される第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分で容易に折り曲げ可能となるため折り曲げても外包材4が破れたり傷ついたりして断熱性能が低下することもなくなるので、信頼性が高く、断熱性能の低下を抑制でき、厚さによらず曲げ加工が可能な設置の自由度の高い真空断熱材が得られる。
【0126】
本実施形態のように複数の第1のスリット部57、第2のスリット部58により形成される凹み部751,752と、この第1のスリット部57、第2のスリット部58に形成される略台形形状の突出部753とによって構成される折り曲げ部59を備えた真空断熱材750において、厚さtが5mm、7mm、10mm、30mmで折り曲げ確認を行ったが、いずれも問題なかった。ただし、真空断熱材7の厚さtが厚くなると(例えばt=30mmの場合は)、図12や図13に示されるように有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1J(第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1H)の重ねる枚数が2枚(図12では、第1の(有機)繊維集合体1K、第2の(有機)繊維集合体1Hの2枚)だと1箇所の折り曲げ部59に対してスリット部が2箇所のため凹み部751,752も2箇所と少なく曲げづらいので、重ねる枚数は3枚以上にして1箇所の折り曲げ部59に対するスリット部を3箇所以上にしてスリットによる凹み部を3箇所以上にした方がよく、真空断熱材750の厚さtや有機繊維集合体1の材料や特性や外包材4の材質や引っ張り強度などによって適宜選定すればよい。
【0127】
以上より、本実施の形態のように、有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを複数枚(例えば2枚)重ねて幅方向に所定長さ(ラップ代Xb)だけずらして複数回積層して芯材5,550を製造するようにすれば、1箇所の折り曲げ部に対するスリットの数も有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを重ねた枚数の数(複数個、例えば3枚重ねてずらした場合は1箇所の折り曲げ部に対してスリットは3つ)できるので、真空断熱材750の厚さが厚くなってもシート面の両面側に設けられるスリット部(例えば、第1のスリット部57、第2のスリット部58)により形成される凹み部751,752によって折り曲げ部59より容易にシート面の両側に折り曲げることが可能となる。
【0128】
ここで、ラップ代Xbが大きくなると、図18に示すように真空断熱材750の幅方向の両端部にラップ代Xbと略同等長さ分だけ厚さの薄い部分が生じる。図18は実施の形態1を示す図で、真空断熱材750を幅方向から見た図である。真空断熱材750は、所定の厚さtを有する所定厚さ部750cと、所定の厚さtの約1/2の厚さを有し、所定厚さ部750cの幅方向両側に設けられた薄肉部750a,750bを有する。この薄肉部750a,750bは所定厚さ部750cよりも断熱厚さが薄いので、所定厚さ部750cに比べて断熱性能が若干低下する。したがって、ラップ代Xbが大きくなると、薄肉部750a,750bの幅H1,H2(ラップ代Xbの長さと略同等長さ)が大きくなるので、ラップ代はあまり大きすぎない方が良い。すなわち、ラップ代Xbは、真空断熱材750を折り曲げて使用する場合には、7mm以上30mm程度以下が好ましい。
【0129】
また、折り曲げて使用しない場合には、ラップ代Xbは大きければ大きいほど摩擦力が大きくなり信頼性が向上するので、ラップ代Xbは7mm以上、好ましくは10mm以上が良く、ラップ代Xbが大きくなればなるほど薄肉部750a,750bの長さが大きくなり、断熱性能が若干低下する部分が大きくなるので、ラップ代Xbは30mm程度以下が好ましい。また、ラップ代Xbは真空断熱材750の厚さtにも影響されるので、真空断熱材750の所定厚さtの1倍以上5倍以下(好ましくは3倍以下)程度が良い。本実施の形態では、所定量Xbを7mm以上として芯材550がばらばらになることを抑制し、所定量Xbを外包材4内で略真空状態の芯材550の厚さtの3倍程度以下として折り曲げ性が良好で、しかも芯材550の幅方向両端部の幅を小さくして断熱性能の低下を抑制するようにしている。また、減圧時の芯材550の厚さによってラップ代Xbの範囲を設定すれば、信頼性(芯材550がスリット部で分離やバラけたりしない)が得られ、また、折り曲げやすく断熱性能の良い芯材550や真空断熱材750が得られる。
【0130】
本実施の形態では、2つのスリット部(第1のスリット部57、第2のスリット部58)で2段階に折り曲げた例を示したが、原反ロールを複数組み合わせた組み合わせ原反ロールを2つ使用するのでなく複数個使用して複数の組み合わせ原反ロールを所定量Xbだけずらした状態で重ねて巻枠に巻き取るようにすればスリット部が複数存在するので、複数段階で折り曲げることが可能となり、1個のスリット部での折り曲げ角度を小さくできるので、芯材550や外包材4に折り曲げ時に無理な力がかからず容易に所定の角度に折り曲げることが可能となる。また、1箇所の折り曲げ部59に対して複数段階で折り曲げることが可能となるため、鋭角にも折り曲げることが可能となりあらゆる機器の断熱材として適用が可能となる。したがって、冷蔵庫や空調機などの機器の凝縮パイプなどの配管を断熱することも可能となる。また、本実施の形態の真空断熱材は曲げ加工性に優れるので、真空断熱材と真空断熱材の間に凝縮パイプなどの配管を挟みこんで断熱しても配管形状に沿って曲げ変形させることができ、真空断熱材間とパイプとのすきまからの熱漏れを抑制でき、断熱性能の低下も抑制できる。
【0131】
すなわち、本実施の形態の真空断熱材7,702,750は、長さ方向に連続したシート状の有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jが幅方向に複数隣接して並んだ第1の(有機)繊維集合体1Kと、第1の(有機)繊維集合体1Kに対して上下あるいは前後あるいは左右に重なるように設けられ、長さ方向に連続したシート状の有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jが幅方向に複数隣接して並んだ第2の(有機)繊維集合体1Hと、第1の(有機)繊維集合体1Kと第2の(有機)繊維集合体1Hが幅方向に所定量Xbだけずれた状態で内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に形成された連続したシート状繊維集合体1Jの積層構造で構成される芯材5,550と、芯材5,550を内部に収納し、内部が減圧された状態で周囲がシールされるシール部を有するガスバリア性の外包材4と、を備え、外包材4の内部を略真空状態にしてシール部をシールすることで外包材4を密封するので、小さな幅の連続したシート状繊維集合体1J(原反ロールの本体部に巻かれた繊維集合体)を複数組み合わせることで大きな幅の芯材5,550を形成できる。また、複数の有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの数や複数の有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの幅を適宜選定することによって、連続したシート状繊維集合体1Jの幅にとらわれずに芯材5,550の幅を自由に設定できるので、芯材5,550や真空断熱材7,702,750の設計の自由度が大きくなる。また、連続したシート状繊維集合体1Jを複数層積層するためにわざわざ1枚ごとに所定の大きさにカットして1枚ずつ積層する必要もないので、切断設備や積層設備などが不要であり、芯材5,550の製造が連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取るだけの簡単な設備で短時間で容易に芯材5,550が製造できる。
【0132】
また、折り曲げが必要な部位にスリット部(隣接部)が配置できるように有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの幅(原反ロールの本体部の幅)を適宜選定でき、また、第1の(有機)繊維集合体1Kと、第2の(有機)繊維集合体1Hのラップ代(所定量Xb)を適宜選定することが可能であり、折り曲げのための特別な加工が不要となる。また、折り曲げ部59がシート面に対して表裏両面に形成されるので、第1のスリット部57、第2のスリット部58を利用してシート面に対して表裏両方向に容易に折り曲げることが可能となる。
【0133】
また、第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hの隣接する繊維集合体1J(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)間の接続部で折り曲げ可能としたので、別途、折り曲げのための凹部などの加工を行う必要がなく、芯材550を製造する過程で形成される第1のスリット部57、第2のスリット部58による凹み部751,752で容易に折り曲げることが可能となる。また、第1のスリット部57、第2のスリット部58により形成される凹み部751,752が真空断熱材750の厚さ方向の両側(シート面の表裏)にできるため、例えば芯材550の厚さが厚くなった場合であってもシート面の両面側に第1のスリット部57、第2のスリット部58が形成されるので、片面側に形成される場合に比べて容易に折り曲げ可能となるため、折り曲げ時に芯材550や外包材4が破れたり傷ついたりすることもなくなり、断熱性能が低下することが抑制できる。
【0134】
また、所定量(ラップ代)Xbを7mm以上、外包材4内で略真空状態の芯材5の厚さtの3倍以下とすれば、ラップ代Xbが7mm以上のため、芯材5がばらばらになるのを抑制でき、しかもばらばらになって断熱性能が低下するのも抑制できる。また、ラップ代Xbを外包材4内で略真空状態の芯材5の厚さtの3倍以下としているので、折り曲げ部59での折り曲げ性も良好にできる。したがって、冷蔵庫などの所定の角度で連続した2つの壁面を有する機器の断熱材として容易に適用でき、しかも断熱性能の低下が抑制できる。
【0135】
また、第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hを構成する複数の繊維集合体1J(例えば、第1の(有機)繊維集合体1Ka〜1Kd、第2の(有機)繊維集合体1Ha〜1Hd)の少なくとも1つに幅方向端側に稜線の揃っていない(カット面ではない)耳部を有する耳部繊維集合体を使用するようにした場合、従来は廃棄されていた耳部を有する耳部繊維集合体(耳部原反ロールに巻かれている繊維集合体)を使用することができ、素材の無駄が生じない。したがって、低コストな芯材5,550や真空断熱材7,702,750が得られる。
【0136】
また、本実施の形態の真空断熱材を適用した冷蔵庫や機器は、真空断熱材を第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hの隣接する繊維集合体間の接続部(スリット部)で所定角度(例えば略90度)に折り曲げ、上面、両側面、背面、底面を有する断熱箱体の少なくとも2つの連続する壁面に配置するようにしたので、従来は真空断熱材を自由に必要な所定角度に折り曲げることが困難だったため連続する2つの壁面への適用も困難だったが、本実施の形態の真空断熱材750を使用すれば必要な箇所で折り曲げ容易となるため、所定の角度を有する2つの連続する壁面へも適用可能となる。したがって、所定の角度を有する2つの連続する壁面間の角部にも真空断熱材を連続して配置できるので、冷蔵庫などの機器の扉を除いた箱体(外箱)の外表面積に対する真空断熱材の被覆率を大幅に向上させることができる。例えば、冷蔵庫の場合であれば、従来は困難であった外箱表面積に対する被覆率80%以上が可能となる。
【0137】
(芯材の製造方法4)
以上は、シート状の繊維集合体1を所定の大きさにカットして複数枚積層して芯材5を形成して真空断熱材7を製造したり、シート状の繊維集合体1を複数積層した後に端面5aをカットして所定の大きさに形成して芯材5を形成して真空断熱材7を製造する場合(芯材の製造方法1)や、連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体)を連続してコイル状に巻き取って芯材5を製造する方法(芯材の製造方法2)や、原反ロールを幅方向に複数組み合わせて1つの大きな幅を有する組み合わせ原反ロール(たとえば組み合わせ原反ロール1305,1306)を複数組み合わせてシート面に対して略直角方向に重ねた状態で巻き取って芯材5,550を製造する方法(芯材の製造法3)について説明した。
【0138】
上述した芯材の製造方法3では、複数の原反ロールを幅方向に複数並べて1つの所定幅を有する組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール(上側原反ロール)1305と、複数の原反ロールを幅方向に複数並べて1つの所定幅を有する組み合わせ原反ロールである第2の原反ロール(下側原反ロール)1306と、少なくとも1つづつ使用し、第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kと第2の原反ロール1306の繊維集合体1Hをシート面に対して略直角方向(巻枠1311の半径方向)に重ねて巻枠1311に巻き取って芯材5を製造する方法について説明したが、ここでは、組み合わせ原反ロールである第2の原反ロール1306の代わりに第1の所定幅を有する単一の原反ロールである第3の原反ロール1307を使用する場合について説明する。
【0139】
すなわち、少なくとも1つの原反ロールが所定幅を有する連続したシート状の繊維集合体1、1J(例えば、有機繊維集合体)を連続してコイル状に巻き取った第1の所定幅を有する第3の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jと、第1の所定幅よりも小さい幅を有し連続したシート状の繊維集合体を幅方向に複数組み合わせて略第1の所定幅とする組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kとをシート面に略直角方向に重ねた状態で第1の原反ロール1305が第3の原反ロール1307に対して巻枠1311の半径方向外側になるように巻き取って芯材560を製造する方法について図20〜図23を用いて説明する。
【0140】
図20は、第1の所定幅を有する少なくとも1つの原反ロール1307と、第1の所定幅よりも小さな幅の原反ロールを第1の所定幅と略同等になるように幅方向に組み合わせた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール1305とを使用して巻枠1311に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図であり、本実施の形態の別の芯材の製造法を表す図である。図21は少なくとも1つの所定幅を有する原反ロール1307と、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材の斜視図である。図22は少なくとも1つの所定幅を有する原反ロールと、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材の断面図であり、図23は少なくとも1つの所定幅を有する原反ロールと、少なくとも1つの組み合わせ原反ロールを使用して巻枠に巻き取って製造した芯材を使用した真空断熱材の斜視図である。
【0141】
複数の原反ロールのうち、少なくとも1つの原反ロールが第1の所定幅を有する長さ方向に連続したシート状の繊維集合体1、1J(例えば、有機繊維集合体)を連続してコイル状に巻き取った第1の所定幅を有する第3の原反ロール1307と、第1の所定幅よりも小さい第2の所定幅を有する長さ方向に連続した繊維集合体が第1の所定幅と略同等幅となるように複数組み合わされた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール(たとえば第1の所定幅よりも小さい幅である第2の所定幅の原反ロールのみの組み合わせ、あるいは第2の所定幅の原反ロールと第2の所定幅よりも小さい幅の第3の所定幅の原反ロールとの組み合わせ,あるいは耳部原反ロールとの組み合わせなど)である第1の原反ロール1305とを繊維集合体1、1J、1Kのシート面に略直角方向で第3の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jが巻枠1311の半径方向内側になるように重ねた状態で巻き取って芯材560を製造する場合について説明する。
【0142】
図において、第1の原反ロール1301は、図12で説明した第1の原反ロール1305(あるいは第2の原反ロール1306)と同等であり同等部分は同一の符号を付して詳細説明は省略するが、ほぼ同じ巻き回数(同じ積層枚数)だけ巻きつけられた略円筒状(あるいはコイル状)の複数の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)を幅方向にすきま(微小すきまとなるように隣接させて並べても良いし、隙間無く並べても良いし、所定すきまを設けるようにスペーサを介して並べても良い)を有するように組み合わせて第1の所定幅と略同等の幅を有するように形成されている。
【0143】
第3の原反ロール1307は、図6〜図9で説明した所定幅を有する長さ方向に連続した繊維集合体1、1Jが巻かれた所定幅を有する略円筒状の原反ロール1301と同等であり同等部分は同一の符号を付して詳細説明は省略する。第3の原反ロール1307は、第1の所定幅を有し、長さ方向に連続した繊維集合体1、1Jがコイル状に連続して巻かれて第1の所定幅を有するように形成されている。ここで、第3の原反ロール1307に巻かれている繊維集合体1、1Jは幅方向に連続しており芯材560の幅Hと同等寸法に設定されている。ここで、第3の原反ロール1307は、第1の所定幅の繊維集合体1、1Jを巻いて製造しても良いし、あるいは、第1の所定幅よりも大きな幅の繊維集合体を略円筒状に巻いたあとで幅寸法が第1の所定幅となるように幅方向をカットすることにより製造してもよい。
【0144】
ここで、第1の原反ロール1305の複数の略円筒状(あるいはコイル状)の原反ロール(例えば、本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301d)は同じ幅であっても良いし異なる幅であっても良い。また、図12に示すような耳部原反ロールであっても良い。
【0145】
第1の原反ロール1305は、図12に示すように第1の原反ロール1301と同等構造であり、複数の原反ロール(例えば、複数の本体部)が隣接するように幅方向に並べられている組み合わせ原反ロールなので、隣り合う本体部間(例えば、本体部A(1301a)と本体部B(1301b)との間)には微小すきまあるいは所定すきまが存在し、隣り合う本体部は連続しておらず断続するためスリット部(例えば、本体部A1301aと本体部B1301bとの間のスリット部A、本体部B1301bと本体部C1301cの間のスリット部B、本体部C1301cと本体部D1301dの間のスリット部Cなど)が存在する。また、第3の原反ロール1307は複数の原反ロールのうちの幅方向の端側に配置される原反ロール(例えば本体部A1301aや本体部D1301dなど)に原反ロール素材を所定の幅にカットしたときに発生する稜線の揃っていない耳部を有する耳部原反ロールを使用しても良い。
【0146】
したがって、第1の所定幅を有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が巻かれた少なくとも1つの第1の所定幅と略同等幅の単一の原反ロール(例えば第3の原反ロール1307)と第1の所定幅よりも小さな幅を有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が幅方向に複数並べられて第1の所定幅と略同等の幅となるように幅方向に複数組み合わされた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール(例えば第1の原反ロール1305)とを備え、第1の所定幅を有する単一の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jと組み合わせ原反ロール1305の繊維集合体1Kをシート面に対して略直角方向に単一の原反ロール1307の繊維集合体1、1Jが巻枠1311の半径方向内側になるように重ねた状態で内から外へ連続してコイル状に巻き取られて芯材560が形成される。
【0147】
したがって、連続した繊維集合体1、1J、1Kをシート面に略直角方向に重ねて巻き取るだけで芯材560を容易に製造することができるまた、従来は廃却される耳部原反ロールを有効に利用でき、低コストで無駄を生じない芯材560、真空断熱材760が得られる。
【0148】
第1の所定幅を有し、長さ方向に連続したシート状の第3の繊維集合体(第3の原反ロール1307に巻かれた繊維集合体1,1J)と、第1の所定幅よりも小さな幅を有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が第1の所定幅と略同等幅となるように幅方向に所定すきまを介して複数並んだ第1の繊維集合体(組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305の繊維集合体1K)と、第1の繊維集合体と第3の繊維集合体が、第1の繊維集合体1Kあるいは第3の繊維集合体1、1Jのシート面に対して略直角方向に重ねられた状態で内側から外側に向かって連続してコイル状に巻かれて平板状に成形された繊維集合体の積層構造から構成された芯材と、芯材を内部に収納し、内部が減圧された状態で周囲がシールされるシール部を有するガスバリア性の外包材と、外包材の内部が略真空状態でシール部をシールすることで外包材を密封して製造された真空断熱材を備えたので、原反ロールを所定幅にカットした残りの耳部原反ロールなどの端材を効率良く使用できるので、従来は廃却していた耳部などの端材の有効活用が行える。
【0149】
また、組み合わせ原反ロールである第1の原反ロール1305の個々の原反ロール間(たとえば本体部Aと本体部Bとの間、本体部Bと本体部Cとの間、本体部Cと本体部Dとの間など)に所定幅のスペーサなどを設けて第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kの個々の繊維集合体間(たとえば繊維集合体1Kaと1Kbとの間、1Kbと1Kcとの間、1Kcと1Kdとの間など)にスペーサの幅だけの所定すきまが設定されることになるので、真空断熱材560にも略所定幅の凹部が形成され、この凹部に配管を埋設したり位置決めすることができ、配管の断熱や配管設置の作業時間が低減でき、高効率で低コストの真空断熱材や機器が得られる。
【0150】
ここで、図20に示すように組み合わせロールである第1の原反ロール1305の第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd)と第3の原反ロール1307の第3の繊維集合体1,1Jをシート面に対して略直角方向に重ねて巻枠1311に巻き取る場合は、第1の原反ロール1305の第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd)を第3の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jよりも巻枠1311の回転軸1315に対して半径方向外側になるように重ねた方が良い。
【0151】
図9(e)に示すように巻枠1311に連続したシート状の第3の繊維集合体1,1Jと連続したシート状の第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd)が重なった状態で所定の張力で巻枠1311に略円筒形状(コイル状)に巻きつけられ、クランプ部材1320で略円筒状の繊維集合体1,1J,1Kをクランプした後に張力をゆるめて巻枠1311を抜き取る場合に、幅方向に切れ目などの無い第1の所定幅を有する第4の繊維集合体を複数の繊維集合体を隣接させて幅方向に組み合わせたことによって幅方向に切れ目やすきまなどが存在する第1の繊維集合体よりも略円筒状の繊維集合体の最内周側にくるように第3の繊維集合体を第1の繊維集合体よりも巻枠1311の半径方向内側になるようにシート面に対して略直角方向に重ねて巻き取った方が、略円筒状の繊維集合体を巻枠1311から抜き取る場合に最内周側に繊維集合体がばらけて乱れたり、巻枠にひっかかったりしないので良い。
【0152】
すなわち、第1の繊維集合体と第3の繊維集合体を重ねた状態で巻く場合に、第3の繊維集合体が第1の繊維集合体に対して内側になるように重ねた状態で巻枠1311に内側から外側に向かって巻くようにしているので、巻枠1311に巻かれた略円筒状の繊維集合体を巻枠1311から抜き取るときに、第1の所定幅を有し、幅方向に連続した第3の繊維集合体1,1Jが略円筒状の繊維集合体の最も内側に配置されるようになるため、最も内側に配置される繊維集合体が幅方向に連続していることから幅方向に複数並べられた第1の所定幅よりも小さい幅の繊維集合体を組み合わせた第1の繊維集合体が最内側に配置される場合と比べて繊維集合体がばらけて乱れたり、乱れた繊維集合体が巻枠1311から抜き取る時に巻枠1311にひっかかったりしないので抜き取りやすく芯材560の製造が容易であり作業性が向上し製造時間が短縮できる。また、巻枠1311から抜き取った略円筒状の繊維集合体1,1J,1Kが平板状に成形されて製造される芯材560の品質が安定する。
【0153】
ここで、第1の原反ロール1305に使用される複数の原反ロールの幅や使用する数(本体部A1301a、本体部B1301b、本体部C1301c、本体部D1301dの4つ)については、第1の所定幅を有する第3の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jの第1の所定幅と略同等となるように適宜設定すれば良いが、幅方向に複数並べたときの第1の原反ロール1305の幅(複数の原反ロールと原反ロール間のすきまを加えた合計の幅)は、第3の原反ロール1305の第1の所定幅よりも若干小さい幅に設定した方が第1の原反ロール1305に巻かれた繊維集合体1Kと第3の原反ロール1307に巻かれた繊維集合体1,1Jを第1の原反ロールの繊維集合体1Kが第3の原反ロールの繊維集合体1,1Jよりもシート面に対して略直角方向外側になるように重ねて巻枠1311に巻き取った方が、巻枠1311に巻き取る場合にも個々の繊維集合体がばらばらになりにくく巻き取りやすい。
【0154】
また、第1の原反ロール1305と第3の原反ロール1307は、第1の原反ロール1305の繊維集合体1Kが第3の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jよりも巻枠1311に巻き取る場合にシート面に対して略直角方向外側になるように重ねて巻き取られるが、真空断熱材560の製造方法は図9と同等である。図9において巻枠1311に巻き取られる1つの原反ロール1301の代わりに、シート面に対して略直角方向に重ねられた少なくとも2つの原反ロール(例えば図12〜図18にて示した第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306を重ねた場合や、図20〜図23に示した第1の原反ロール1305と第3の原反ロール1307を重ねた場合など)の組み合わせであっても巻き取り方法や芯材の製造方法や真空断熱材の製造方法などは図9に示す工程と同等である。
【0155】
以上のように、第1の所定幅を有し長さ方向に連続した繊維集合体が巻かれた少なくとも1つの幅方向に単一の原反ロール(例えば第3の原反ロール1307)と第1の所定幅よりも小さな幅を有し長さ方向に連続した繊維集合体が巻かれた原反ロールが幅方向に複数並べられて第1の所定幅と略同等の幅となるように幅方向に複数組み合わされた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール(例えば第1の原反ロール1305)とを備え、組み合わせ原反ロールである第1の原反ロールに耳部原反ロールなどの端材が使用できるので、従来廃棄していた端材などを廃棄する必要がなくなり、低コストで効率よく芯材や真空断熱材が製造できる。
【0156】
また、単一の原反ロール1307の繊維集合体1,1Jと組み合わせ原反ロール1305の繊維集合体1Kをシート面に対して略直角方向に複数枚重ねて略円筒状の巻枠1311に所定の張力で内から外へ向かって巻きとり、その後に略円筒状の繊維集合体をクランプ部材1320でクランプしてから張力を緩めて巻枠1311から抜き取って芯材560を製造するようにしたので、簡単な設備で容易に芯材が製造できる。
【0157】
以上のようにして製造された芯材560の斜視図を、図21に示す。図21において、第1の原反ロール1305(上側ロール)の第1の(有機)繊維集合体1K(たとえば、1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Ke)と第3の原反ローラ1307(下側ロール)の第3の繊維集合体1,1J(下側繊維集合体)は所定すきまXKを介して幅方向に5つの原反ロールが並べられた状態で巻枠1311に巻き取られ、内側から外側に向かって連続的に巻き付けられて積層される。芯材560は、繊維集合体1、1Jのシート面に対して略直角方向に組み合わせ繊維集合体集合体である第1の繊維集合体が単一の第3の繊維集合体の外側に重ねられて巻かれているので、芯材560の外表面には組み合わせ繊維集合体である第1の繊維集合体を構成する複数の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Keが幅方向にすきま(微小隙間であっても良いし所定すきまであっても良い)を介して並んで配置されている。
【0158】
ここで、第3の繊維集合体1,1Jの幅と第1の繊維集合体1Kの幅を略同等にしても良いが、図43に示すように第3の繊維集合体1,1Jの幅を第1の繊維集合体1Kの幅よりも大きくして、第1の繊維集合体1Kの幅方向外側に長さXT(たとえばXTaやXTe)分だけの所定すきまが得られるように第1の繊維集合体1Kを配置しても良い。このように配置すると、第3の繊維集合体1,1Jの幅方向の少なくとも一方の端側には、長さXTの部分において第1の繊維集合体1Kが無いので、長さXTの部分においては第3の繊維集合体1,1Jのみが存在する。
【0159】
したがって、第1の繊維集合体1Kと第3の繊維集合体1,1Jとを重ねて内から外へ巻いて平板状に成形したときに、少なくとも一方の幅方向端側の長さXTの部分には第1の繊維集合体1Kが存在しない芯材560が製造される。よって第1の繊維集合体1Kと第3の繊維集合体1,1Jとを重ねて内から外へ巻いて平板状に成形された芯材を外包材4内に挿入し減圧した状態で外包材4をシールして真空断熱材760を製造した場合、図19に示す真空断熱材750と同様に真空断熱材760には幅方向端側に薄肉部H1,H2を有する。この場合、薄肉部H1の長さがXTaと略同等であり、薄肉部H2の長さがXTeと略同等であり、中央部分の幅H3が第1の繊維集合体1Kの幅と略同等となる。薄肉部は真空断熱材760の幅方向両端側に設けてもよいが、少なくとも一方の幅方向端側に設けても良い。
【0160】
すなわち、第1の繊維集合体1Kにおいて幅方向に所定すきまXKを介して隣接して並んだ複数の繊維集合体(1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Ke)のうちの幅方向両端側に配置される幅方向端側繊維集合体1Ka,1Keと第3の繊維集合体1,1Jの幅方向の端部との間の長さXT(たとえば図43においては、第3の繊維集合体1,1Jの2つの幅方向端部のうち、一方の幅方向端部と幅方向端側繊維集合体である繊維集合体1Kaの第3の繊維集合体1,1Jの一方の幅方向端部側の端部との長さXTa、あるいは第3の繊維集合体1,1Jの他方の幅方向端部と幅方向端側繊維集合体である繊維集合体1Keの第3の繊維集合体1,1Jの他方の幅方向端部側の端部との長さXTe)分だけ少なくとも第3の繊維集合体1,1Jの幅が第1の繊維集合体1Kの幅よりも大きくなるので、真空断熱材760に真空断熱材750と同様に少なくとも幅方向の一方の端側に薄肉部H1(あるいはH2)が得られる。
【0161】
すなわち、真空断熱材750,760は、芯材550,560が外包材4内で減圧されてシールされた状態で所定厚さtを有し、芯材550,560の幅方向端部の幅方向の断面形状が幅方向外側に向かって突出する薄肉の段部形状(薄肉部H1あるいはH2)となる。
【0162】
以上のように真空断熱材750,760には、特別な加工などを行わなくても芯材550、560の幅方向の一方の端側あるいは幅方向両端側に真空断熱材750,760の厚さ(芯材5,550,560の厚さt)よりも薄い厚さの薄肉部(図19におけるH1やH2)が得られるので、1つの真空断熱材750,760を円筒形状に折り曲げる場合などに幅方向の端面(薄肉部(H1やH2))同士を厚さ方向に重ね合わせて真空断熱材750,760を接続して使用する場合や、2つ以上の複数の真空断熱材750,760の幅方向端面(薄肉部)同士を厚さ方向に重ね合わせて連続して使用する場合に、複数の真空断熱材750,760の幅方向の端面の薄肉部の厚さ方向の表面同士が接触するように重ねるようにすれば、芯材550,560の存在する部分で接触させることができ、しかも厚さの薄い薄肉部(2枚重ねで1枚がずれている場合は厚さが約半分)を重ねることになるので接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材750,760や真空断熱材750,760を搭載した圧縮機や冷蔵庫や給湯機などの機器を得ることができる。
【0163】
また、複数の真空断熱材7,700,701,750,760の長さ方向における端面の幅方向に略直角断面での断面形状が長さ方向外側に向かって厚さが小さくなる外側に突出した略三角形状であるので、略三角形状の斜面部分(図11の長さL2の斜面部分)同士が接触するように接続すれば、芯材550,560の存在する部分で接触させることができ、しかも接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材7,700,701,750,760、真空断熱材7,700,701,750,760を搭載した冷蔵庫などの機器を得ることができる。
【0164】
ここで、長さ方向端部の形状に関しては、繊維集合体1、1Jは長さ方向に連続していなくてもよく、繊維集合体が積層された状態で略三角形状の断面形状であれば良い。すなわち、外包材4の内部で芯材5,550,560が減圧された状態で密封され、所定の長さLと所定の幅Hと所定の厚さtを有する真空断熱材7,700,701,750,760において、芯材5,550,560が繊維集合体1,1Jの積層構造で構成され、長さ方向あるいは幅方向の少なくとも一部の端部の断面が外側に向かって厚さが小さくなる外側に突出した略三角形状であれば良い。また、芯材5,550,560が、所定の幅Hを有し長さ方向に連続したシート状の繊維集合体1,1Jが内から外に向かって連続して巻かれた積層構造であり、芯材5,550,560が外包材4内に密封された状態で芯材5,550,560の長さ方向端部が略三角形状であれば、同様の効果が得られる。
【0165】
また、幅方向の薄肉部形状(薄肉の突出形状)においても、繊維集合体1、1Jは長さ方向に連続していなくてもよく、長さLの繊維集合体を複数積層しても良い。すなわち、外包材4の内部で芯材5,550,560が減圧された状態で密封され、所定の長さLと所定の幅Hと所定の厚さtを有する真空断熱材7,700,701,750,760において、長さ方向あるいは幅方向のいずれかの端部に厚さの薄い薄肉部750a,750bを有し、薄肉部750a,750bが外側に向かって突出していれば良い。また、芯材5,550,560は所定の幅Hを有する複数のシート状の繊維集合体1,1Jが重った状態で積層された積層構造であり、薄肉部750aは複数の繊維集合体1、1Jのうちの少なくとも1つが幅方向に所定量だけずれた状態で複数積層されることで形成されていれば同等の効果が得られる。
【0166】
以上より本実施の形態の真空断熱材750,760は、所定厚さを有する平板状であり、平板状の一方向(たとえば長さ方向)端部の断面形状が外方に向かって厚さが小さくなる外側に突出した略三角形状とし、あるいは他方向(たとえば幅方向)端部の断面形状が厚さの薄い薄肉部を有する段部形状としているので、芯材550,560を重ねて巻き取るだけの簡単な方法で容易に製造でき、端材を有効に利用できる。
【0167】
また、長さ方向や幅方向に特別な加工など施さなくても端部形状を接続可能な形状にできるので、端部を接触させて接続すれば接触部分の接合厚さを小さくでき、しかも接触部分からの熱漏れを低減でき、高性能な真空断熱材750,760や真空断熱材750,760を搭載した圧縮機や冷蔵庫や給湯機などの機器を得ることができる。
【0168】
ここで、芯材560は、図9に示された芯材5や芯材550と同様に2つのクランプ部材1320で2箇所をクランプされた状態で2つのクランプ部材1320を相反する方向(離間する方向)へ移動させるため、クランプされた部分で繊維集合体が折れ曲がり端部560fで折りたたまれて(折り曲げられて)平板状に製造される。芯材560の長さ方向の端部である折れ曲がり端部560fで折りたたまれた芯材560は、図9に示された芯材5と同様に繊維集合体1,1J,1Kの巻き方向上流側560fa側から外包材4の開口部4a内に挿入され、内部が減圧された状態でシールされて真空断熱材760が完成する。
【0169】
図22は、平板状に折りたたまれた芯材560の幅方向の断面形状を示しており、芯材560は内側から外側に向かって長さ方向に連続し、幅方向にも連続した幅方向に単一の繊維集合体1,1Jと長さ方向に連続し、幅方向に複数に分割された幅方向に複数の第1の(有機)繊維集合体1Kとがシート面に略直角方向に重なった状態で連続して巻き取られ、平板状に折りたたまれている。そして、幅方向に連続し幅方向に単一の繊維集合体1、1Jが、幅方向に複数の繊維集合体が並んだ第1の(有機)繊維集合体1Kよりも内側になるように重ねて内側よりコイル状に巻き取られているので、第1の(有機)繊維集合体1K(第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Ke)が芯材560の外表面にくるように巻かれる。このとき、第1の(有機)繊維集合体1Kの個々の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Keの間は所定隙間XKに設定されており、スリット部560K(第3のスリット部)が形成されている。所定すきまXKは、個々の所定すきまXKab,XKbc,XKcd,XKdeであって、この個々の所定すきまXKab,XKbc,XKcd,XKdeは、同じあっても異なっていても良い。
【0170】
図23は、芯材560が外包材4の内部に挿入され、内部が減圧された状態で外包材4の開口部4aがシールされて密封された真空断熱材760を表している。真空断熱材760には、幅方向に芯材560に設けられている所定すきまXKと略同等幅の凹み部760x(溝部であって、たとえば、第1の凹み部760x1,第2の凹み部760x2,第3の凹み部760x3,第4の凹み部760x4)が長さ方向に連続して幅方向に複数設けられている。ここで、第1の凹み部760x1,第2の凹み部760x2,第3の凹み部760x3,第4の凹み部760x4の幅は、同じでも異なっても良く、配管の大きさなどにより適宜設定すれば良い。
【0171】
ここで、所定すきまXKは、芯材560の巻き方向(長さ方向)に連続しているので、芯材560を使用して真空断熱材760を製造すれば、所定すきまXKと略同等幅で長さ方向に連続し、深さが真空断熱材760の厚さの約1/4の凹み部560X(溝部)が平板状の真空断熱材760の平板面の両側(両側の凹み部の凹み深さを合わせると真空断熱材760の厚さの約半分(約1/2)の深さとなる)にできるので、この凹み部内に配管(たとえば凝縮パイプや吸入配管や吐出配管など)やリード線などの少なくとも一部を配置することで配管の断熱や、リード線の収納が別部材を用いなくても容易にできる。また、配管やリード線などの位置決めが凹み部760x内に配置するだけで位置決めも同時に可能となるため、位置決めのための別部材が不要であり、作業性も大幅に向上する。また、別途、レーザー加工などで折り曲げのための凹部を設けることなく、凹み部760xより容易に折り曲げることもできる。
【0172】
以上説明したように、本発明の真空断熱材の製造装置は、所定幅にカットされた略円筒形状の原反ロール1301に巻きつけられた所定の幅を有する有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを所定回数R分だけ巻き取る巻枠1311と、巻枠1311に巻き取られた有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを切断する切断手段と、巻枠1311に所定回数R分だけ巻き取られて切断された有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311より抜き取った後に有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを平板状の芯材5,550、560に成形する成形部材(例えば、クランプ部材1320)と、を備えたので、簡単な構成で容易に芯材5,550,560を製造することができ、製造時間も短縮できる。また、巻き方向に連続して巻かれるため、長さ方向端面をカットする必要がなくなり、幅方向も予めカットされた原反ロールを使用するのでカットする必要がないので、芯材5,550,560をカットする必要がない。また、芯材5,550,560の端面をカットするための製造設備も不要であり、カットする時間も不要となるので、製造設備も安価にでき、低コストな芯材5,550,560、真空断熱材7,702,750,760が得られる。また、小さな幅の原反ロールの本体部(繊維集合体)を複数組み合わせることで大きな幅の芯材5,550,560を製造できる。また、複数の原反ロールの数や複数の原反ロールの幅を適宜選定することによって、原反ロールの幅にとらわれずに芯材5,550,560の幅を自由に設定できるので、芯材5,550,560の設計の自由度が大きくなる。また、幅の小さな原反反ロールから幅の大きな芯材5,550,560を製造できるので、原反ロールの保管場所が小さくて済み、大きな保管場所が必要ない。また、繊維集合体を複数積層するためにわざわざ1枚ごとに所定の大きさにカットする必要がなく、また、1枚ずつ積層する必要もない。また、連続した帯状のシート状部材を交互に異なった方向に折り返して折り目をつけて重ね合わせるように積層して芯材を形成する場合に比べて、高価な折り目をつけて折り返す装置などが不要である。したがって、積層設備などが不要であり、芯材5,550の製造が連続したシート状繊維集合体1Jを巻き取るだけの簡単な設備で短時間で容易に芯材5,550を製造できる。
【0173】
また、本発明の真空断熱材7,702,750,760の製造装置は、巻枠1311が複数分割された円周部材1312を備え、複数の円周部材1312のうちの少なくとも1つ(例えば可動可能な円周部材1312a,1312b)を回転中心(回転軸1315)方向に可動とし、巻枠1311に有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jが巻き取られた後に可動可能な円周部材1312a,1312bを回転中心方向に稼動させて有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめて有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から抜き取るようにしたので、所定の張力をもって巻枠1311に、例えば略円筒状に巻きつけられていた連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめてから、略円筒状に巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から容易に抜き取ることができる。すなわち、巻枠1311に所定の張力を持って巻き付けられた連続したシート状繊維集合体1Jの張力をゆるめることにより巻枠1311に巻きつけられた連続したシート状繊維集合体1Jが巻枠1311から抜き取りやすくなる。
【0174】
また、本発明の真空断熱材7,702,750,760の製造装置は、有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311から抜き取る場合にクランプ部材1320にてクランプして抜き取るようにしたので、簡単な構成で容易に巻枠1311から有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを抜き取ることが可能となる。また、2つのクランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)を使用して連続したシート状繊維集合体1Jを2箇所でクランプした状態のままで2つのクランプ部材1320c,1320dを略直線方向反対側方向(略180度反対方向)に可動あるいは移動させるようにすれば、複数回巻き付けられて複数積層された連続したシート状繊維集合体1Jが2つのクランプ部材1320c,1320dにより相反する方向に引っ張られてクランプされた部分より折れ曲がった平板状に形成されるので、連続したシート状繊維集合体1Jが内側から外側に向かって連続的に巻かれて複数層積層された平板状の芯材5,550,560が簡単な設備で容易に成形できる。
【0175】
また、本発明の真空断熱材7,702,750,760の製造方法によれば、所定幅にカットされた略円筒形の原反ロール1301に巻きつけられた所定の幅を有する連続したシート状繊維集合体1Jを所定回数R分だけ巻枠1311に巻き取る巻き取りステップと、巻枠1311に巻き取られた連続したシート状繊維集合体1Jを切断する切断ステップと、巻枠1311に所定回数R分だけ巻き取られて切断された連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311より抜き取る分離ステップと、分離ステップにて巻枠1311より抜き取られた連続したシート状繊維集合体1Jを平板状の芯材5,550,560に成形する成形ステップと、ガスバリア性を有する外包材4の内部に芯材5,550,560を収納して内部を減圧した状態でシールする外包材シールステップと、を備えたので、簡単な方法で芯材5,550,560を短時間で製造できる。また、巻き方向に連続して巻かれるため、長さ方向端面をカットする必要がなくなり、幅方向も予めカットされた原反ロールを使用するのでカットする必要がないので、芯材5,550,560をカットする必要がない。したがって、芯材5,550,560の端面をカットするための製造設備も不要であり、カットする時間も不要となるので、低コストな芯材5,550,560、真空断熱材7,702,750,760が得られる。
【0176】
また、本発明の真空断熱材7,702,750,760の製造方法によれば、分離ステップが、巻枠1311に所定回数R分だけ巻き取られて切断された連続したシート状繊維集合体1Jをクランプ部材にてクランプするクランプステップと、クランプステップにてクランプされた連続したシート状繊維集合体1Jの巻枠1311に対する張力をゆるめる繊維集合体張力緩和ステップと、張力緩和ステップにて張力が緩められた連続したシート状繊維集合体1Jを巻枠1311より抜き取る巻枠除去ステップ、とから構成されてなるので、簡単な方法で容易に巻枠1311から連続したシート状繊維集合体1Jを抜き取ることができる。
【0177】
また、本発明の真空断熱材7,702,750,760の製造方法によれば、成形ステップが、クランプ部材1320を2つ(クランプ部材1320c,1320d)使用して連続したシート状繊維集合体1Jを2箇所でクランプして2つのクランプ部材(クランプ部材1320c,1320d)を略反対方向に可動させて芯材を平板状に成形するようにしたので、クランプ部材1320を使用するだけの簡単な方法で容易にシート状の芯材550,560を製造できる。
【0178】
また、連続したシート状繊維集合体1Jが連続した有機繊維をシート状に形成したものであるので、無機繊維であるガラス繊維を使用した場合に比べて粉塵による人体への悪影響が抑制でき、リサイクル性も良好な芯材550,560、真空断熱材7,702,750,760が得られる。
【0179】
本実施の形態では、繊維に連続した有機繊維2を使用し、有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを使用して内側から外側に向かって連続的に巻枠に巻きつけて芯材5,550,560や真空断熱材7,702,750,760などを製造する製造装置や製造方法であっても良く、本実施の形態の製造装置や製造方法においては、使用する繊維は連続した長繊維でなくてもよい。ただし繊維集合体は連続したシート状であればよく、巻枠1311に所定の張力で巻きつけるときに連続したシート状繊維集合体1Jが破損などしなければ良い。したがって有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jでなくても良く、無機繊維集合体であっても良い。本実施の形態の製造装置や製造方法においては、連続したシート状の繊維集合体であれば、同様の効果を奏する。なお、連続したシート状の繊維集合体をそのまま使用しても良いが、連続したシート状の繊維集合体が原反ローラに巻かれた原反ロールの状態であれば、製造が容易でしかも取り扱い性が向上するのでさらに良い。
【0180】
ここで、有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを重ねて巻き取って芯材550を製造する場合、所定量Xbだけラップさせずに巻き取って芯材を製造しても良い。有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jの重ねる枚数を多くすれば、重ねる枚数分だけ繊維集合体の種類を変更することができる。すなわち、繊維集合体の重量目付けの異なる繊維集合体を使用したり、繊維集合体に使用する繊維の種類が異なる繊維集合体(例えば温度特性の異なる繊維や、繊維径の異なる繊維や、引っ張り強度の良い繊維や、熱伝導率特性の異なる繊維など)を機器の使用環境に合わせて混在させることができるので、使用形態に合わせた芯材や真空断熱材が得られる。したがって、断熱性能の確保と高温耐力の両立や、断熱性能の確保と人体への悪影響の回避、リサイクル性の向上の両立が可能となる。この場合は複数枚繊維集合体を重ねるとしても所定量Xbだけずらす必要がないので、同じ幅の繊維集合体をずらさずに重ねて巻き取って芯材5を形成すれば良い。また、異なる幅の繊維集合体を重ねて巻き取って芯材5を形成しても良い。
【0181】
ここで、高温貯湯される給湯機の貯湯タンクや高温になる部分を有する圧縮機などの高温部(例えば70℃以上)を有する機器の断熱に使用される真空断熱材が必要な場合は、高温耐力(耐熱性)のある繊維(有機繊維であるLCPやPPS、あるいは無機繊維であるガラス繊維などを単独、あるいは組み合わせた繊維)を少なくとも1枚の繊維に使用するようにすれば良い。この場合、高温耐力(耐熱性)のある繊維を使用した繊維集合体を芯材が形成されたときの表面側に配置されるように重ねて真空断熱材を製造すれば良い。このようにすれば、真空断熱材としても表面側には高温耐力(耐熱性)のある繊維を使用した繊維集合体が配置されるので、高温耐力(耐熱性)のある繊維を使用した繊維集合体が機器の高温部側に配置されるように真空断熱材を設置すれば、高温部を有する機器の断熱が可能となる。
【0182】
また、高断熱性能が要求される冷蔵庫などの機器や断熱箱体などの断熱に使用される真空断熱材の場合は、断熱性能が要求されるので、固体熱伝導率が小さく断熱性能の向上が期待できる繊維(例えば有機繊維であるポリスチレンや無機繊維であるガラス繊維など)を少なくとも1枚の繊維に使用するようにすれば良い。
【0183】
また、リサイクル性が要求される冷蔵庫や空調機や給湯機などの機器の断熱に使用される真空断熱材の場合には、無機繊維であるガラス繊維を使用すると、例えば冷蔵庫では、リサイクル工場で製品ごと粉砕されるので、ガラス繊維は、ウレタン屑などに混じってサーマルリサイクルに供されるが、ガラス繊維は、燃焼効率を落としたり、残渣となるなど、リサイクル性が良くないので、ポリエステルやポリスチレンやLCPなどの有機繊維を使用するようにすれば良い。
【0184】
また、環境問題や人体への悪影響を考えた場合でも、ガラス繊維は硬くて脆いため、真空断熱材の製造時や解体時に粉塵が飛び散り作業者の皮膚・粘膜などに付着すると刺激を受ける可能性があり、その取り扱い性、作業性が課題となるので、有機繊維を使用した方が良い。
【0185】
(芯材の製造方法5)
次に段差を有する芯材の製造方法について説明する。図20では第1の所定幅を有する少なくとも1つの原反ロール1307と、第1の所定幅よりも小さな幅の原反ロールを第1の所定幅と略同等になるように幅方向に組み合わせた少なくとも1つの組み合わせ原反ロール1305とを使用して巻枠1311に巻き取る場合について説明したが、ここでは、第4の所定幅を有する少なくとも1つの原反ロール1308と、第4の所定幅よりも小さな幅の少なくとも1つの原反ロール1309とを使用して巻枠1311に巻き取って幅方向に段差を有する芯材、真空断熱材を製造する場合について説明する。
【0186】
図25は、第4の所定幅を有する少なくとも1つの原反ロール1308と、第4の所定幅よりも小さな幅の少なくとも1つの原反ロール1309とを使用して巻枠1311に巻き取る場合の巻き取り装置の模式図であり、本実施の形態を表す別の芯材の製造法を説明するための図である。図26は、図25の巻き取り装置にて巻き取られた後に平板状に成形されて製造された芯材、および真空断熱材の模式図であり、図26(a)は、芯材を幅方向からみた図、図26(b)は芯材を図26(a)における矢視Aから見た図(芯材を長さ方向から見た図)、図27は、図26の芯材を外包材内に挿入して減圧した後に密封した真空断熱材を表す図であり、図27(a)は芯材を外包材内で減圧した状態の真空断熱材の長さ方向から見た図、図27(b)は真空断熱材を図27(a)における矢視Bから見た図(真空断熱材を構成する芯材の長さ方向から見た図)である。
【0187】
図25において、第4の所定幅を有する第4の原反ロール1308は、図6〜図9、図20で説明した所定幅を有する長さ方向に連続した繊維集合体1Jが巻かれた所定幅を有する略円筒状の原反ロール1301、1307と同等であり同等部分は同一の符号を付して詳細説明は省略する。第4の原反ロール1308は、第4の所定幅を有し、長さ方向に連続した第4の繊維集合体1JAがコイル状に連続して巻かれて第4の所定幅を有するように形成されている。ここで、第4の原反ロール1308に巻かれている第4の繊維集合体1JAは幅方向に連続しておりその幅HG1は芯材570に必要な幅HGと略同等寸法に設定されている。ここで、第4の原反ロール1308は、第4の所定幅HGに予めカットされた繊維集合体1JAを巻いて製造しても良いし、あるいは、第4の所定幅HGよりも大きな幅の繊維集合体を略円筒状に巻いたあとで幅寸法が第4の所定幅HGとなるように幅方向をカットすることにより製造してもよい。
【0188】
また、幅広の第4の所定幅よりも小さい幅である幅狭の第5の所定幅を有する第5の原反ロール1309も第4の原反ロール1308と同様に、幅広の第4の所定幅よりも小さな幅狭の第5の所定幅を有し、長さ方向に連続した幅狭の第5の繊維集合体1JBがコイル状に連続して巻かれて第5の所定幅を有するように形成されている。ここで、第5の原反ロール1309に巻かれている第5の繊維集合体1JBは幅方向に連続しており芯材570の幅HG1よりも小さな幅HG2に設定されている。ここで、第5の原反ロール1309は、第5の所定幅HG2に予めカットされた繊維集合体1JBを巻いて製造しても良いし、あるいは、第5の所定幅HG2よりも大きな幅の繊維集合体(たとえば所定幅HG1の第4の原反ロール1308に巻かれた第4の繊維集合体1JA)を略円筒状に巻いたあとで幅寸法が第5の所定幅1JBとなるように幅方向をカットすることにより製造してもよい。
【0189】
したがって、幅の異なる連続した繊維集合体(幅広の第4の繊維集合体1JA、幅狭の第5の繊維集合体1JB)をシート面に対して略直角方向に重ねて巻き取るだけで幅方向に厚肉部571と薄肉部572を有することから幅方向に厚肉部571と薄肉部572の厚さの差分だけの段差を有する芯材570を容易に製造することができる。この芯材570は、繊維集合体1JA、1JBを巻き取ることで厚肉部571と薄肉部572が形成されるため、厚さ方向両側に略同等高さTfの段差が得られる。ここで、厚肉部571の厚さts1は薄肉部572の厚さts2よりも厚く形成される(厚肉部571の厚さts1は、薄肉部572の厚さts2の約2倍の厚さとなり、ts1=ts2+2×Tfの関係を有する)。
【0190】
この場合、芯材570が外包材4内に挿入されて減圧された状態で密封されて形成される真空断熱材770も、幅方向に厚肉部771と薄肉部772を有することから幅方向に厚肉部771と薄肉部772の厚さの差分Tgだけの段差を有する。この真空断熱材770の段差Tgは、厚さ方向両側に形成され、減圧された分だけ芯材570の段差Tfよりも小さい(Tg<Tf)。真空断熱材770は、厚肉部771と薄肉部772とを有し、厚肉部771の厚さtv1は薄肉部772の厚さtv2よりも厚く形成される(厚肉部771の厚さtv1は、薄肉部772の厚さtv2の約2倍の厚さとなり、tv1=tv2+2×Tgの関係を有する)。
【0191】
したがって、連続した繊維集合体1JA、1JBをシート面に略直角方向に重ねて巻き取って平板状の成形するだけで幅方向に段差Tfを有する芯材570を容易に製造することができ、この芯材570を使用すれば幅方向に段差Tgを有する真空断熱材770も容易に製造できる。また、この段差Tf、Tgは厚さ方向の両側に形成される。
【0192】
ここで、幅方向に設ける段差の位置は、第4の原反ロール1308の幅方向位置に対する第5の原反ロール1309の設置位置を適宜選定(第4の原反ロール1308の幅方向中央部に第5の原反ロール1309を配置するのか、あるいは第4の原反ロール1308の幅方向端側に第5の原反ロール1309の端側を揃えて配置するのかなどを設定)することで、幅方向の段差位置を自由に設定できる。また、段差の幅HG2も第5の原反ロール1309の第5の所定幅HG2の大きさを変更することで自由に設定できる。(芯材570の幅HG1に対する厚肉部571の幅HG2の割合についても第4の原反ロール1308の第4の所定幅HG1と第5の原反ロール1308の第5の所定幅HG2の大きさを適宜変更することで自由に設定できる。)
【0193】
ここで、図25に示すように第4の原反ロール1308の第4の(有機)繊維集合体1JAと第5の原反ロール1309の第5の繊維集合体1JBをシート面に対して略直角方向に重ねて巻枠1311に巻き取る場合は、第5の原反ロール1309の第5の(有機)繊維集合体1JBを第4の原反ロール1308の第4の(有機)繊維集合体1JAよりも巻枠1311に対して半径方向外側になるように重ねて巻き取るようにした方が良い。
【0194】
ここで、たとえば図9で説明した方法で芯材を製造する場合は、巻枠1311に連続したシート状の第4の(有機)繊維集合体1JAと連続したシート状の第5の(有機)繊維集合体1JBが重なった状態で所定の張力で巻枠1311に略円筒形状(コイル状)に巻きつけられ、クランプ部材1320で略円筒状の繊維集合体1JA、1JBをクランプした後に張力をゆるめて巻枠1311を抜き取る場合に、幅の大きな第4の所定幅を有する第4の繊維集合体を幅の小さな第5の繊維集合体よりも略円筒状の繊維集合体の内周側にくるようにシート面に対して略直角方向に重ねて巻き取った方が、略円筒状の繊維集合体を巻枠1311から抜き取る場合に最内周側で繊維集合体が巻枠にひっかかったりしないので良い。
【0195】
すなわち、第4の繊維集合体1JAと第5の繊維集合体1JBを重ねた状態で巻く場合に、第4の繊維集合体が第4の繊維集合体よりも幅の狭い第5の繊維集合体に対して内側になるように重ねた状態で巻枠1311に内側から外側に向かって巻くようにしているので、巻枠1311に巻かれた略円筒状の繊維集合体を巻枠1311から巻枠1311から抜き取るときに、第4の所定幅を有し、幅方向に連続した第4の繊維集合体1JAが略円筒状の繊維集合体の最も内側に配置されるようになるため、最も内側に配置される繊維集合体が第4の所定幅で幅方向に広く連続していることから幅方向に第4の所定幅よりも小さい幅の第5の繊維集合体1JBが最内側に配置される場合と比べて繊維集合体がばらけて乱れたり、乱れた繊維集合体が巻枠1311から抜き取る時に巻枠1311にひっかかったりしないので抜き取りやすく芯材570の製造が容易であり作業性が向上し製造時間が短縮できる。また、巻枠1311から抜き取った略円筒状の繊維集合体1JA、1JBが平板状に成形されて製造される芯材570の品質が安定する。
【0196】
ここで、第4の原反ロール1308と第5の原反ロール1309は、第5の原反ロール1309の繊維集合体1JBが第4の原反ロール1308の繊維集合体1JAよりも巻枠1311に巻き取る場合にシート面に対して略直角方向外側になるように重ねて巻き取られるようにしており、また、芯材570や真空断熱材770の製造方法も図9と同等である。
【0197】
図9の製造方法において、巻枠1311に巻き取られる1つの原反ロール1301の代わりに、シート面に対して略直角方向に重ねられた少なくとも2つの原反ロール(例えば図12〜図18にて示した第1の原反ロール1305と第2の原反ロール1306を重ねた場合や、図20〜図23に示した第1の原反ロール1305と第3の原反ロール1307を重ねた場合や図25、図26に示した第4の原反ロール1308と第5の原反ロール1309を重ねて巻き取る場合など)複数の原反ロールを適用しても良い。複数の原反ロールの組み合わせであっても本実施の形態では、巻き取り方法や芯材の製造方法や真空断熱材の製造方法などは図9に示す工程と同等であっても良いし異なっていても良い。図9に示す工程と同等の方が巻き取るだけの簡単な方法で芯材や凹み部や段差を有する芯材、真空断熱材が容易に製造できる。
【0198】
以上のように、第4の所定幅を有し長さ方向に連続した繊維集合体1JAが巻かれた少なくとも1つの幅方向に単一の原反ロール(例えば第4の原反ロール1308)と第4の所定幅よりも小さな幅を有し長さ方向に連続した繊維集合体1JBが巻かれた少なくとも1つの原反ロール(例えば第5の原反ロール1309)とを備え、第4の原反ロール1308と第5の原反ロール1309をシート面に略直角方向に重ねて巻き取るだけで、低コストで効率の良い、幅方向の任意の位置に任意の幅の段差を有する芯材570や真空断熱材570を製造できる。
【0199】
また、単一の原反ロール1308、1309の繊維集合体1JA、1JBをシート面に対して略直角方向に複数枚重ねて略円筒状の巻枠1311に所定の張力で内から外へ向かって巻きとり、その後に略円筒状の繊維集合体をクランプ部材1320でクランプしてから張力を緩めて巻枠1311から抜き取って芯材570を製造するようにしたので、簡単な設備で容易に幅方向の任意の位置に任意の幅の段差を有する芯材が製造できる。
【0200】
ここでは、第4の原反ロール1308の幅広の第4の所定幅よりも小さな幅である幅狭の第5の所定幅の第5の原反ロール1309を幅広の第4の原反ロール1308に対してシート面に略直角方向外側に重ねて巻き取る場合を例として説明したが、幅方向に第4の所定幅を有する少なくとも1つの幅広の第4の原反ロールに対して、この幅広の第4の所定幅よりも小さな幅の複数の幅狭の原反ロール(同じ幅であっても異なる幅であっても良い)を少なくとも1カ所は幅方向にすきまを設けて複数並べた状態で巻きとるようにすれば、少なくとも幅方向に設けられたすきまの数だけは幅方向に段差(同じ幅、あるいは異なる幅の段差、すきまが複数であれば段差も複数となる)あるいは凹み部を有する芯材や真空断熱材が得られる。すなわち、複数の幅狭の繊維集合体をすきまを有するように並べた状態で幅広の繊維集合体の上に重ねた状態(複数の幅狭の繊維集合体が幅広の繊維集合体よりも半径方向外側になるように重ねた状態)で巻き取るようにすれば、幅方向に複数の段差(同じ幅、あるいは異なる幅の段差)を有する芯材や真空断熱材が得られる。また、複数の幅狭の繊維集合体間のすきま部分(複数の段差や凹み部)から真空断熱材を容易に折り曲げることが可能となり、任意の角度で折り曲げ可能で角度を有する壁面などにも適用可能な芯材、真空断熱材を得ることができる。
【0201】
ここで、冷蔵庫の貯蔵室と貯蔵室とを仕切る中空で先端部に向かって厚さが薄くなった(先細りとなった)テーパ形状の仕切壁内に断熱材(発泡ウレタンや真空断熱材など)が挿入されて断熱壁を形成するものにおいて、真空断熱材770が幅方向に薄肉部772と厚肉部771とを有する段差を備えるので、薄肉部772が先細りの仕切壁の先端部側になるように真空断熱材770を挿入するようにすれば、段差を有さない厚さが厚肉部771で略均一の厚さの真空断熱材を挿入する場合に比べて、薄肉部772を有する分だけ先細りの仕切壁の先端部付近まで真空断熱材770を挿入することが可能となり、断熱性能を向上させることができる。
【0202】
(芯材の製造方法6)
上記図25〜図27では、芯材や真空断熱材に段差を設ける場合について説明したが、ここでは芯材や真空断熱材の長さ方向端部の断面形状を略三角形形状とする場合の芯材の製造方法について説明する。図24でも真空断熱材7、750、760において長さ方向の端部が略三角形状にする場合について説明しているが、図24の場合は、真空断熱材7、750、760の長さ方向端部形状が、厚さ方向の両面(上下面)ともが長さ方向外側方向であって厚さ方向の略中心面方向に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状である場合である。ここでは、真空断熱材780の長さ方向端部形状が、長さ方向外側方向であって厚さ方向の一方の面(片がわ面)が厚さ方向の他方の面(厚さ方向反対側の面)に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状を形成する場合について説明する。
【0203】
真空断熱材の端部の断面形状をたとえば外側に突出した略三角形状とすることで、冷蔵庫の貯蔵室と貯蔵室とを仕切る中空で厚さが先細りとなったテーパ形状の仕切壁内に断熱材(発泡ウレタンや真空断熱材など)が挿入されて断熱壁を形成するものにおいて、真空断熱材の端部形状が外側に突出した略三角形状で先端部に向かって厚さが小さくなるため、真空断熱材を先細りの仕切壁内の先端部付近まで挿入することが可能となり、断熱性能を向上させることができる。
【0204】
図28は、真空断熱材7を形成する芯材5の積層状態を模式的に示す説明図であり、図5と同等部分は同一の符号を付して説明は省略する。図28(a)は芯材5の斜視図、図28(b)は、芯材5を厚さ方向の所定位置(たとえば厚さ方向の略1/2位置、厚さ方向の略中央位置))で厚さ方向に略直角な平面で切断して芯材を2つに分けた図である。
【0205】
図28(a)において、芯材5は、図5で説明した芯材5と同等であり、たとえば図9に示した製造方法などによって製造される。図28(b)に示される芯材580A、580Bは、芯材5を厚さ方向の略1/2位置で厚さ方向に略直角な平面で切断した場合に形成される2つの芯材であり、この切断された2つの芯材580A、580Bは、長さ方向の端面585A、585B、586A、586Bが外側に突出した略三角形状となる。すなわち、連続した繊維(例えば、有機繊維2)から形成された連続したシート状(平板状)の繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)を内側から外側に向かって連続して巻くことによって平板状の芯材5が形成されるが、この場合、芯材5を厚さ方向の所定位置(略1/2位置、たとえば芯材5の長さ方向端部(たとえば折れ曲がり端部5f)のクランプ部材1320でクランプする位置)で厚さ方向に略直角な平面で切断すると、芯材5は長さ方向端部(折れ曲がり端部5f)の切断位置では、内側から外側に向かって連続して巻かれているため内側よりも外側の方が半径が大きくなりその分だけ周長が長くなる。したがって、芯材5は、外周側の繊維集合体の方が内周側の繊維集合体よりも外周側に位置する分だけ繊維集合体1Jの長さが長くなり、切断された状態の2つの芯材580A、580Bは、長さ方向端部585A、585B、586A、586Bは切断された状態では4分の1の円弧状に折れ曲がった複数積層された繊維集合体の積層構造をしているが、この円弧状に折れ曲がった複数の厚さ方向に積層された繊維集合体1Jを略平面状に延ばすことで、芯材580A、580Bの長さ方向の長さは外周側部分583A、584Aの長さが最も長く内側部分583B、584Bに向かって徐々に長さが短くなるので、長さ方向端部585A、585B、586A、586Bの断面形状あるいは幅方向から見た長さ方向端部の形状が長さ方向先端側に向かって徐々に厚さが小さくなる外側に突出した略三角形状となる。
【0206】
上記説明では、連続した繊維(例えば、有機繊維2)から形成された連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)を内側から外側に向かって巻枠1311などに連続して巻くことによって略円筒状の繊維集合体が得られ、この略円筒状の繊維集合体を平板状の芯材5に形成した後にたとえば厚さ方向略中央位置で切断して長さ方向端部585A、585B、586A、586Bが略三角形状の2つの芯材580A、580Bを製造する方法について説明したが、連続した繊維(例えば、有機繊維2)から形成された連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)を内側から外側に向かって巻枠1311などに連続して巻くことによって略円筒状の繊維集合体が得られるが、この略円筒状の繊維集合体の円周上の2カ所で切断して平板状に広げる成形を行っても図28に示したように長さ方向端部が斜面部分を有する外側に突出した略三角形状の芯材が2つ(580A、580B)形成される。この場合、略円筒状の繊維集合体を平板状に成形する工程が不要になるので簡単な製造設備において簡単な製造工程で一度に芯材が2つ得られるので、製造工程が簡単で低コストな芯材や真空断熱材が得られる。また、略円筒状の繊維集合体の円周上の複数カ所で切断して平板状に広げる成形を行えば芯材が複数形成されるので、簡単な製造設備において簡単な製造工程で一度に芯材が複数得られるので、製造工程が簡単で低コストな芯材や真空断熱材が得られる。
【0207】
また、略円筒状の繊維集合体の円周上の1カ所で切断して平板状に広げる成形を行えば、製造設備の巻枠1311の直径よりも長さ方向に長い芯材を得ることができるので、小さな製造設備で長さの長い芯材や真空断熱材が得られる。したがって、大きな敷地が不要なので、製造設備が場所をとらず、しかも芯材の長さに比べて製造設備の小型化が可能なので、製造設備が安くでき、したがって、製造コストの安い芯材や真空断熱材が得られる。
【0208】
すなわち、芯材580A、580Bは、長さ方向の長さが厚さ方向に徐々に短くなる(あるいは長さ方向の長さが徐々に長くなる)繊維集合体1Jが順次、シート面に略直角方向に複数枚重なることで長さ方向の端部形状が長さ方向先端側(外側方向)に向かって厚さが徐々に小さくなる略三角形状を形成している。ここで、芯材580A、580Bは長さ方向から見た場合、あるいは幅方向断面が、略台形形状をしている。
【0209】
ここで、図9のように、巻枠1311に巻き取られた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jが、クランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)によりクランプされて保持されるので、このクランプ部材1320で保持される位置にて切断装置などを設けて切断するようにすれば、芯材5の厚さ方向の略1/2位置で厚さ方向に略直角な平面で切断可能となる。このとき、クランプ部材1320にて芯材5を切断可能なようにクランプ部材1320にカッター機能を持たせるようにしておけば別途芯材切断装置などを設けなくて良いので低コストで効率よく長さ方向端面形状が略三角形状の芯材が得られる。
【0210】
この芯材580(580A、580B)をそれぞれ別々に外包材4内に挿入して減圧した状態で密封した真空断熱材780(780A、780B)は芯材の長さ方向端部が外側に突出した略三角形状に形成される。真空断熱材の端部の断面形状を略三角形状とすることで、冷蔵庫の貯蔵室と貯蔵室とを仕切る中空で厚さが先細りとなったテーパ形状の仕切壁内や段差となった仕切壁内に断熱材(発泡ウレタンや真空断熱材など)が挿入されて断熱壁を形成するものにおいて、真空断熱材780の端部形状が外側に突出した略三角形状で先端部に向かって厚さが小さくなる形状であるため、真空断熱材780を先細りの仕切壁内の先端部付近まで挿入することが可能となり、断熱性能を向上させることができる。冷蔵庫に限らず、中空で厚さが先細りとなったテーパ形状や段差を有する仕切壁や断熱壁であれば、適用可能である。
【0211】
上記説明では、芯材の長さ方向端部形状を略三角形状に形成する例について説明したが、次に芯材の幅方向端部形状を略三角形状にする場合について説明する。ここでは、たとえば図9に示す製造方法において、原反ロール1301を巻枠1311の回転軸1315の軸方向に連続的に移動させながら巻枠1311に巻き取る方法について説明する。
【0212】
図29は、本実施の形態を表す芯材の製造方法を示す図であり、原反ロール1301を巻枠1311の回転軸1315の軸方向に連続的あるいはステップ的に移動させながら原反ロール1301に巻かれている繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き取る場合の模式図、図30は図29の製造方法にて製造された芯材590を示す図であり、図30(a)は芯材590を幅方向から見た図、図29(b)は芯材590を長さ方向(図30(a)のF方向)から見た図、図30(c)は、芯材590を厚さ方向の略1/2位置で厚さ方向に略直角な平面で2つの芯材(芯材590A、590B)に切断した状態を示す図である。図30(d)は、図30(c)の芯材590A、590Bを外包材内に挿入して減圧した状態で密封して形成された真空断熱材の正面図である。
【0213】
図29に示すように連続した繊維(例えば、有機繊維2)から形成された連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)が巻かれた原反ロール1301を巻き方向と略直角方向で原反ロール1301の回転軸の軸長(軸心)方向(幅方向)に連続的、あるいはステップ的に移動させながら連続して内側から外側に向かって巻枠1311に巻きとることによって巻枠1311には略円筒状の繊維集合体1Jが形成される(図9で説明した工程では、原反ロール1301が回転軸の軸長方向(軸心方向、幅方向)には移動しないが、ここでは、原反ロール1301が回転軸の軸長方向(軸心方向、幅方向)に連続的あるいはステップ的に所定量移動しながら巻枠1311に繊維集合体1Jが連続して巻き取られる。)。
【0214】
このとき、原反ロール1301の移動は一方向のみの移動でも、往復方向の移動でもどちらであっても良い。また、原反ロール1301の代わりに巻枠1311の方が巻枠1311の回転軸の軸長方向(軸心方向、幅方向)に連続的にあるいはステップ的に移動しながら巻き取っても良い。また、原反ロール1301、あるいは巻枠1311の回転軸の軸芯方向(軸長方向)への移動速度については、一定速で移動させれば、幅方向端面の断面形状が斜面部分591A1、591A2、591B1、591B2を有する略三角形状となり、この斜面部分591A1、591A2、591B1、591B2は略直線状となる。また、移動速度を連続的に変更しても、幅方向端面が略三角形状となるが、この場合の略三角形状の断面における斜面部分の形状は、斜面部分591A1、591A2、591B1、591B2が内側へ凹、あるいは外側へ凸の略円弧状など曲線形状となる。また、複数の移動速度を組み合わせて変更しても、幅方向端面が略三角形状となるが、この場合の略三角形状の断面における斜面部分の形状は、直線や曲線が組み合わされた複雑な形状(たとえば凸形状や凹形状や凹凸形状であって折れ曲がり形状や段差形状等)となる。特に、移動速度を幅方向途中で複数段階(たとえば2段階や3段階)に変更しても、幅方向端面が外側に突出した略三角形状となるが、この場合は斜面部分591A1、591A2、591B1、591B2は、内側へ凹、あるいは外側へ凸、あるいは凹と凸の組み合わせで複数の直線(平面)や曲線(曲面)が接続された形状となる。
【0215】
また、原反ロール1301と巻枠1311の両方が各々の回転軸の軸長方向に対し同方向、あるいは逆方向に移動するようにしても良い。この巻枠1311に巻き取られた略円筒状の繊維集合体1Jは、たとえば図9と同様の工程にて平板状の芯材590(図30(a)、図30(b)に示される芯材590)に形成される。ここで、原反ロール1301は回転軸の軸心方向に所定量だけ移動するので、この移動量相当分の長さ以上分だけ原反ロール1301の幅よりも巻枠1311の幅の方を大きくした方が繊維集合体1Jを巻枠1311に巻き取るときに巻枠1311の幅方向から繊維集合体1Jがはみ出して幅方向端面が巻き取り時や巻取り後の他の作業時に他の機械などに接触して折れ曲がったり、破れたりすることがなくなるので、巻き取りやすく芯材590の品質が良好となる。
【0216】
図30(b)に示される芯材590は、幅方向の2つの端面は、略三角形状であるが一方の端部は斜面部分591A1、591B1により外側に凸となるような略三角形状であり、他方の端部は斜面部分591A2、591B2により内側に凹となるような略三角形状となるので、芯材590の断面形状は矢印形状となる。
図30(c)に示される芯材590A、590Bは、図30(b)で示される芯材590を厚さ方向の略1/2位置(巻枠1311に巻かれた略円筒状の繊維集合体1Jの巻枠1311に対して巻き始め部分位置)で厚さ方向に略直角な平面(図30(b)のF位置)で切断した場合に形成される2つの芯材であり、この切断された2つの芯材590A、590Bは、切断された幅方向の端面が、外側方向に向かって厚さが小さくなる外側に突出した略三角形状となる。すなわち、連続した繊維(例えば、有機繊維2)から形成された連続したシート状の連続したシート状繊維集合体1J(例えば、有機繊維集合体1)を内側から外側に向かって巻き方向と略直角方向(回転軸の軸心方向)に原反ロール1301を連続的、あるいはステップ的に移動させながら連続して巻枠1311に巻きとることによって平板状の芯材590が形成されるが、この場合、芯材590を厚さ方向の略1/2位置(たとえば芯材590のクランプ部材1320でクランプする位置、図30(b)の厚さ方向略中心の一点鎖線で示される位置)で厚さ方向に略直角な平面で切断すると、芯材590は幅方向端部の切断位置では、切断された2つの芯材の幅方向端部の断面形状(あるいは長さ方向から見た幅方向端部の形状)は幅方向外側(先端側)に向かって徐々に厚さが小さくなる外側に突出した略三角形状となる。
【0217】
このとき、図30に示したように2つの芯材590A、590Bは、幅方向端部の断面形状あるいは長さ方向から見た幅方向端部の形状は、幅方向の両端とも外側に突出した略三角形状となるが、1つの芯材の両端に形成される2つの略三角形の斜面部分(たとえば芯材590Aの場合は、斜面591A1と斜面591A2)の傾斜方向が同じ方向(略平行)となるので、2つに切断された芯材590A、590Bは、幅方向断面形状あるいは長さ方向から見た形状は略平行四辺形状となる。
【0218】
ここで、芯材590を2つの芯材590A、590Bに切断する方法について説明する。図9で説明したように、巻枠1311に巻き取られた略円筒状の連続したシート状繊維集合体1Jは、クランプ部材1320(クランプ部材1320c,1320d)によりたとえば2箇所でクランプされて保持されることで平板状に製造されるので、このクランプ部材1320で保持される位置にて切断装置などを設けて切断するようにすれば、芯材5の厚さ方向の略1/2位置(略中央位置)で厚さ方向に略直角な平面で切断可能となる。このとき、クランプ部材1320にて芯材590を切断可能なようにクランプ部材1320にカッター機能を持たせるようにしておけば別途芯材切断装置などを設けなくて良いので低コストで効率よく幅方向端面形状が略三角形状の芯材が得られる。
【0219】
次に芯材590の長さ方向端部の形状について説明する。
芯材590は、図28で説明した芯材580と同様に、平板状の芯材590をたとえば厚さ方向の略1/2位置(たとえば芯材5の長さ方向端部のクランプ部材1320でクランプする位置)で厚さ方向に略直角な平面で切断すると、芯材590は長さ方向端部の切断位置(折れ曲がり端部5fの位置)では、繊維集合体1Jが内側から外側に向かって連続的に巻かれているため内側よりも外側の方が外周側に位置する分だけ繊維集合体1Jの周の長さが長くなる。したがって、平板状の芯材590は、長さ方向端部(折れ曲がり端部5f部分)は、繊維集合体1Jが円弧状に折れ曲がって複数積層されているため、芯材590を2つに切断した場合、2つの芯材の切断位置(長さ方向端部位置)では繊維集合体1Jが円弧状に折れ曲がっているため、円弧状に折れ曲がった繊維集合体1Jを略平面状に延ばすことで外周側部分の長さが最も長く内側部分に向かって徐々に長さが短い長さ方向端部断面形状が外側に突出した略三角形状の2つの繊維集合体590A、590Bが得られる。すなわち、切断された芯材590A、590Bは長さ方向端部の断面形状あるいは幅方向から見た長さ方向端部の形状が長さ方向外側(先端側)に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状となる。
【0220】
したがって、切断された2つの芯材590A、590Bは、長さ方向断面形状、幅方向断面形状とも厚さ方向に徐々に厚さが小さくなる略三角形状となる。すなわち、長さ方向端部の断面形状あるいは幅方向から見た長さ方向端部の形状が長さ方向先端側に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状となり、しかも幅方向端部の断面形状あるいは長さ方向から見た幅方向端部の形状が幅方向先端側に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状となる。
【0221】
この芯材590(590A、590B)をそれぞれ別々に外包材4内に挿入して減圧した状態で密封した真空断熱材790(790A、790B)は芯材の長さ方向端部、及び幅方向端部が外側に突出した略三角形状に形成される。真空断熱材の端部の断面形状を外側に突出した略三角形状とすることで、冷蔵庫の貯蔵室と貯蔵室とを仕切る中空で厚さが先細りとなったテーパ形状の仕切壁内や段差となった仕切壁や断熱壁内に断熱材(発泡ウレタンや真空断熱材など)が挿入されて断熱壁を形成するものにおいて、真空断熱材790の端部形状が略三角形状で先端部に向かって厚さが小さくなる形状であるため、真空断熱材790を先細りの仕切壁内の先端部付近まで挿入することが可能となり、断熱性能を向上させることができる。また、真空断熱材790A、790Bの幅方向端部の断面形状は略三角形状であるが、1つの真空断熱材(たとえば790A)では長さ方向の両端側の略三角形状の端部の2つの斜面部分(たとえば791A1、791A2)の向きが略並行なため、1つの真空断熱材(たとえば790A)を長さ方向から見ると略平行四辺形状をなしている。
【0222】
また、真空断熱材790は、長さ方向断面形状及び幅方向断面形状とも外側に向かって徐々に厚さが小さくなる外側に突出した略三角形状(先端側に突出した凸形状)であるため、真空断熱材790を冷凍・空調装置や冷蔵庫や給湯機などの機器への設置時に真空断熱材の長さ方向、幅方向のどちらでも設置可能となるので、設置方向を選ばない設計の自由度の大きな真空断熱材が得られる。また、真空断熱材780、790を複数連続的に並べて設置する場合に、略三角形状の端部の斜面部分(たとえば781A、781B、791A、791Bなど)が接触するように組み合わせれば、真空断熱材の接続部分においても断熱厚さの低下を抑制できる高性能な真空断熱材が得られる。また、接続部分に別の部品や断熱材を挟み込んで長さの調節や断熱性能の向上を図っても良い。
【0223】
ここで、テーパ形状や段差を有する仕切壁や断熱壁内に真空断熱材780、790を挿入する場合には、仕切壁や断熱壁の先細りとなったテーパ形状のテーパ面側に真空断熱材780、790の斜面部分781、791の面が対向するように挿入した方が真空断熱材780、790をテーパ形状の仕切壁や断熱壁内や段差となった仕切壁や断熱壁内に真空断熱材780、790を仕切壁や断熱壁内の先端部近傍まで挿入可能となるので断熱効率が向上する。また、芯材580、590については、略円筒状や平板状の繊維集合体を複数箇所(たとえば2箇所)で切断する例について説明したが、1カ所で切断して広げても長さ方向両端部が略三角形状の芯材、真空断熱材が得られる。長さ方向の一方の端部のみ略三角形状にしたい場合には、長さ方向の所定長さ位置で切断すれば良い。
【0224】
図31は断熱壁(断熱部材)の構造を説明する図である。図において、断熱壁800は、外郭805の内部の空洞830内に真空断熱材780、790が挿入されており、真空断熱材780、790の周囲には真空断熱材780、790とは別の断熱材(たとえばウレタンなど)が封入されている。外郭805は、上面(厚さ方向の一方の面)810と下面(厚さ方向の他方の面)820と先端部840とから構成され、上面810あるいは下面820の少なくとも一面(一方)には、製造上射出成形などで製造されるため、抜き勾配を設ける必要性等から先端部840側に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さく先細りとなるように例えば角度θで傾斜している。したがって、下面820は上面810に対して角度θで斜面するように成形されているため、下面820は上面810に対して傾斜していることになり、下面820は斜面部分(外側斜面821、内側斜面822)を有する。すなわち、上面810あるいは下面820のいずれか一方に斜面(テーパ)部分を有する。
【0225】
ここで、真空断熱材780、790の斜面部分781、791は外郭805内でテーパ面(821、822)側に対向するように挿入され、しかも真空断熱材780、790の外側に突出した略三角形状の端部が外郭805の先端部840側となるように挿入されて配置されている。
【0226】
したがって、断熱壁800は、内部830が先端840側に向かって徐々に厚さが小さくなり、少なくとも上面810あるいは下面820のどちらか一方が他方に比べて傾斜するテーパ面821、822を有する外郭805と、長さ方向の端部あるいは幅方向の端部が長さ方向あるいは幅方向の外側に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる斜面部分(781、791)を有する略三角形状の真空断熱材780、790と、を備え、真空断熱材780、790の端部の斜面部分781、791が外郭805内の先端840側になるように挿入され真空断熱材780、790の斜面部分781、791が外郭805のテーパ面821、822側に対向するように真空断熱材780、790を外郭905内に配置したので、真空断熱材780、790をテーパ形状を有する断熱壁800内や段差となった断熱壁内の先端部近傍まで挿入可能となり断熱効率が向上する。また、この断熱壁800を冷蔵庫の設定温度の異なる貯蔵室間(たとえばマイナス温度帯の貯蔵室(冷凍室300や製氷室500や切替室200など)とゼロ℃近傍やプラス温度帯の貯蔵室(冷蔵室150や野菜室400など))とを仕切る仕切壁に適用すれば、真空断熱材が仕切壁の先端近傍まで挿入可能となるので、断熱効率の良い省エネルギーな冷蔵庫が得られる。
【0227】
また、真空断熱材780(780A、780B)、790(790A、790B)は、端部形状が外側に突出した略三角形状であるため、斜面部分が接するように重ねて複数設置することで、2つ、あるいは3つ以上の複数の真空断熱材780、790を連続して設置しても、真空断熱材780、790の接続部分からの熱漏れを小さくでき、従来のように2つ以上の真空断熱材を並べて設置する場合に真空断熱材間にすきまを設けて設置する場合よりも熱漏れを抑制でき、高性能な真空断熱材を得ることができる。また、冷蔵庫に限らず、中空で厚さが先細りとなったテーパ形状や段差を有する仕切壁や断熱壁であれば、適用可能である。
【0228】
特にたとえば図29、図30で説明した真空断熱材790などでは、幅方向端部、及び長さ方向端部の両方ともが斜面部分を有する略三角形状に形成されるため、幅方向、長さ方向の両方向に複数の真空断熱材の斜面部分同士を重ねることで複数枚接続することが可能なため、接続部位で真空断熱材の切れ目が無く又真空断熱材の厚さも大きくすることなく熱漏洩の少ない真空断熱材、断熱壁、冷蔵庫などの機器が得られる。
【0229】
また、図25〜図27で説明したように芯材や真空断熱材の厚さ方向に段差を設ける場合であっても、端部形状を略三角形状にすることが可能である。図25〜図27で説明した厚さ方向に段差を有するように芯材を形成した後に図28で説明したように芯材を厚さ方向の略1/2位置で厚さ方向に略直角な平面で切断すれば、長さ方向端部の切断位置(折れ曲がり端部5f)では、内側よりも外側の方が外周側に位置する分だけ繊維集合体1Jの長さが長くなる。したがって、芯材5が切断された状態の2つの芯材は、厚さ方向に段差を有すると共に、長さ方向端部の断面形状あるいは幅方向から見た長さ方向端部の形状が長さ方向先端側に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状となる。
【0230】
本発明では、単一の原反ロール1301の繊維集合体1Jを略円筒状の巻枠1311に所定の張力で内から外へ向かって巻きとる場合に、原反ロール1301を原反ロール1301の回転軸の軸長(軸心)方向に連続的あるいはステップ的に移動させながら巻枠1311に巻き取るか、あるいは巻枠1311を巻枠1311の回転軸1315の軸長(軸心)方向に連続的あるいはステップ的に移動させながら巻枠1311に巻き取って、その後に略円筒状の繊維集合体をクランプ部材1320でクランプしてから張力を緩めて巻枠1311から抜き取って厚さ方向の略1/2位置(たとえば芯材580、590の長さ方向端部のクランプ部材1320でクランプする位置)で厚さ方向に略直角な平面で切断して製造するようにしたので、簡単な設備で容易に幅方向に段差を有し幅方向端部の断面形状が略三角形である芯材が製造できる。
【0231】
また、図25〜図27で説明した幅方向に段差を有するように芯材を形成する場合に、図25に示すように第4の原反ロール1308の第4の(有機)繊維集合体1JAと第5の原反ロール1309の第5の繊維集合体1JBをシート面に対して略直角方向に重ねて巻枠1311に巻き取るが、このとき、第4の原反ロール1308の第4の(有機)繊維集合体1JAと第5の原反ロール1309の第5の繊維集合体1JBをシート面に対して略直角方向に重ねた状態で巻枠1311の回転軸1315の軸方向に連続的に移動させながら巻枠1311に巻きとることで、幅方向に段差を有すると共に、幅方向端部の断面形状あるいは長さ方向から見た幅方向端部の形状が幅方向先端側に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状となる。
【0232】
したがって、単一の原反ロール1308、1309の繊維集合体1JA、1JBをシート面に対して略直角方向に複数枚重ねて略円筒状の巻枠1311に所定の張力で内から外へ向かって巻きとる場合に、巻枠1311の回転軸1315の軸方向に連続的に移動させながら巻枠1311に巻き取り、その後に略円筒状の繊維集合体をクランプ部材1320でクランプしてから張力を緩めて巻枠1311から抜き取って芯材590を製造するようにしたので、簡単な設備で容易に幅方向に段差を有し幅方向端部の断面形状が略三角形である芯材が製造できる。
【0233】
また、壁面800内に真空断熱材とともにウレタン断熱材も挿入するような機器の場合には、真空断熱材の端部が外側方向(先端方向)に向かって徐々にあるいは段階的に厚さが小さくなる略三角形状であり、斜面部分781、791を有するので、真空断熱材を壁面800や仕切壁190内の先端近傍まで挿入でき、しかも斜面に沿ってウレタン断熱材が仕切壁内の先端近傍(奥側)にまで流れやすくなり、仕切壁内の隅々までウレタン断熱材を封入・発泡させることができ、断熱効率の高い断熱壁や仕切壁が得られる。
【0234】
以上のように本発明の真空断熱材750、760、770、780、790は、長さ方向の端部あるいは幅方向の端部が外側方向に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる略三角形状となるように所定の幅を有するシート状の繊維集合体が複数積層された芯材550、560、570、580、590と、芯材を内部に収納し、内部が減圧された状態で周囲がシールされるシール部を有するガスバリア性の外包材4と、を備え、外包材の内部が略真空状態でシール部をシールすることで外包材を密封するようにしたので、長さ方向あるいは幅方向の大きさが徐々にあるいはステップ的に異なる繊維集合体を複数積層するだけで少なくとも1つの端部が略三角形状の芯材、真空断熱材が得られる。また、真空断熱材の端部が斜面部分を有する略三角形状とすることが可能なので、真空断熱材を幅方向、あるいは長さ方向に複数重ねて並べる場合に斜面部分が対向するように重ねることで重ねた部分の厚さの増加を小さく抑えることができ、しかも断熱性能の低下を抑制できる。また、繊維集合体に有機繊維を使用すれば、ガラス繊維を使用する場合に比べて人体への影響がなく、リサイクル性も向上する。
【0235】
また、芯材590は、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が幅方向に連続的あるいはステップ的に移動しながら内側から外側に向かって連続して巻かれた積層構造であり、幅方向端部の断面形状が外側方向に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる略三角形状であるので、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体を幅方向に移動させながら巻枠に巻き取るだけの簡単な構成でありながら端部が略三角形状の芯材、真空断熱材が得られる。また、真空断熱材の端部が斜面部分を有する略三角形状であれば、真空断熱材を幅方向に複数重ねて並べる場合に斜面部分が対向するように重ねることで重ねた部分の厚さの増加を小さく抑えることができ、しかも断熱性能の低下を抑制できる。また、繊維集合体に有機繊維を使用すれば、ガラス繊維を使用する場合に比べて人体への影響がなく、リサイクル性も向上する。
【0236】
また、芯材590A、590Bは、幅方向の断面形状が略平行四辺形状であるので、幅方向の両端部がともに略三角形状の芯材、真空断熱材が得られる。また、真空断熱材790も幅方向の断面形状が略平行四辺形状であるので、真空断熱材の両端部が斜面部分791A1、791A2を有する略三角形状となり、真空断熱材を幅方向両側に複数重ねて並べる場合に斜面部分が対向するように重ねることで重ねた部分の厚さの増加を小さく抑えることができ、しかも断熱性能の低下を抑制できる。また、幅方向の両端部に斜面部分が設けられるので、別途芯材を加工するなどの手間や作業を加えることなく幅方向の両側に真空断熱材を複数重ねることが可能となり、真空断熱材の設置の自由度が向上し、しかも低コストな真空断熱材を得ることができる。
【0237】
また、芯材580A、580Bは、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が内側から外側に向かって連続して巻かれた積層構造であり、積層構造の繊維集合体5の厚さ方向の所定位置(たとえば厚さ方向の1/2位置)で2つの芯材に切断されたものであるので、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体を巻き取るだけの簡単な構成でありながら端部が略三角形状の芯材、真空断熱材が得られる。また、真空断熱材の端部が斜面部分581A、581B、582A、582Bを有する略三角形状であれば、真空断熱材を長さ方向に複数重ねて並べる場合に斜面部分が対向するように重ねることで重ねた部分の厚さの増加を小さく抑えることができ、しかも断熱性能の低下を抑制できる。また、繊維集合体に有機繊維を使用すれば、ガラス繊維を使用する場合に比べて人体への影響がなく、リサイクル性も向上する。
【0238】
また、芯材580A、580Bは長さ方向の断面形状が略台形状であるので、幅方向の両端部がともに略三角形状の芯材、真空断熱材が得られる。また、真空断熱材780の長さ方向の断面形状が略台形状であるので、真空断熱材の両端部が斜面部分781A、781Bを有する略三角形状となるので、真空断熱材を長さ方向両側に複数重ねて並べる場合に斜面部分が対向するように重ねることで重ねた部分の厚さの増加を小さく抑えることができ、しかも断熱性能の低下を抑制できる。また、長さ方向の両端部に斜面部分が設けられるので、別途芯材を加工するなどの手間や作業を加えることなく長さ方向の両側に真空断熱材を複数重ねることが可能となり、真空断熱材の設置の自由度が向上し、しかも低コストな真空断熱材を得ることができる。
【0239】
また、芯材570が、所定の幅を有し、長さ方向に連続したシート状の幅広の繊維集合体1JAと、幅広の繊維集合体1JAに重なるように設けられ、所定の幅よりも小さな所定幅を有する長さ方向に連続したシート状の幅狭の繊維集合体1JBと、を備え、幅広の繊維集合体と幅狭の繊維集合体とが厚さ方向に重なった状態で内側から外側に向かって連続して巻かれて段差(圧肉部571と薄肉部572の厚さ方向の高さの差)を有する平板状に形成されるので、繊維集合体1JA、1JBを重ねて巻き取るだけの簡単な構成でありながら、段差を有する芯材、真空断熱材を得ることができる。また、真空断熱材に段差を有することで、異なる厚さの真空断熱材が必要な部位(必要な断熱性能が異なる部位)に適用できる。
【0240】
ここで、異なる厚さの真空断熱材が必要な部位については、例えば冷蔵庫の場合には、冷蔵室150や野菜室400などプラス温度帯の貯蔵室の断熱には真空断熱材770の厚さの薄い薄肉部分772を配置し、冷凍室300や製氷室500や切替室200などマイナス温度帯の貯蔵室の断熱には真空断熱材770の厚さの厚い厚肉部分771を配置すれば良い。また、給湯機の貯湯タンクの場合には、高温水が貯湯されるタンクの上部の断熱には真空断熱材の厚さの厚い部分を使用し、低温水が貯湯されるタンクの下部部分には真空断熱材の厚さの薄い部分を使用するようにすれば良い。このように段差を有する真空断熱材が容易に製造でき、しかも冷蔵庫や給湯機などの機器の断熱性能が向上する。
【0241】
また芯材が、所定の幅を有し、長さ方向に連続したシート状の幅広の繊維集合体と、幅広の繊維集合体に重なるように設けられ、幅広の繊維集合体の所定の幅よりも小さく長さ方向に連続したシート状の幅狭の繊維集合体が少なくとも一箇所は幅方向にすきまを設けて複数並べられた幅狭の繊維集合体と、を備え、幅広の繊維集合体と幅方向に複数並べられた幅狭の繊維集合体の組み合わせ繊維集合体とが厚さ方向に重ねられた状態で内側から外側に向かって連続して巻かれてすきま部分が段差となる平板状に形成されるので、繊維集合体を重ねて巻き取るだけの簡単な構成でありながら、幅狭の繊維集合体間のすきま部分で真空断熱材の段差や凹み部を構成できる。したがって、真空断熱材として凹み部の厚さが薄くできるため、厚さの厚い部分(第1の厚さ部分)、厚さ薄い部分(第2の厚さ部分であってすきま部分)、厚さの厚い部分(第3の厚さ部分)を有する芯材、真空断熱材を得ることができる。また、例えば温度帯が異なる複数の貯蔵室を備えた冷蔵庫において、上から冷蔵室150(プラス温度帯)、製氷室500(マイナス温度帯)、野菜室400(プラス温度帯)、冷凍室300(マイナス温度帯)の順に配置されている場合、真空断熱材としては必要な断熱性能より各貯蔵室の大きさ(高さ)に合わせて上から厚さ薄、厚さ厚、厚さ薄、厚さ厚の順に構成されたものが理想的であり、本発明では厚さ薄、厚さ厚、厚さ薄、厚さ厚の順に構成された真空断熱材を芯材を巻き取るだけの簡単な構成でありながら容易に提供できる。
【0242】
また、真空断熱材を芯材のすきま部分で折り曲げ可能とできるので、繊維集合体を巻き取るだけの簡単な構成でありながら、芯材の必要な箇所にすきま部分を設けることが可能で、しかもすきま部分より容易に折り曲げ可能な真空断熱材を得ることができる。
【0243】
また、本発明の断熱壁800、あるいは冷蔵庫1は、内部が先端側に向かって徐々に厚さが小さくなり、少なくとも厚さ方向の一方の面(たとえば図31では上面810)あるいは厚さ方向の他方の面(たとえば図31では下面820)のどちらか一方の面が他方の面に比べて傾斜するテーパ面(たとえば図31では下面820)を有する外郭805と、長さ方向あるいは幅方向の端部が外側方向に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる斜面部分(たとえば781、791)を有する略三角形状の真空断熱材(たとえば780、790)と、を備え、真空断熱材の端部の斜面部分が外郭内の先端側840であって真空断熱材の斜面部分が外郭のテーパ面側に対向するように真空断熱材を外郭内に配置したので、真空断熱材790を先細りの仕切壁内の先端部付近まで挿入することが可能となり、仕切壁や断熱壁の断熱性能を向上させることができる。
【0244】
また、複数の貯蔵室と、貯蔵室間を仕切る仕切壁(たとえば図19では仕切壁190)と、を備えた冷蔵庫において、断熱壁(図31では断熱壁800)を仕切壁として使用したので、仕切壁の先端側840(たとえば冷蔵庫の前面側)近傍まで真空断熱材(たとえば780、790)が挿入されることになるので、断熱性能の良い仕切壁が得られ、しかも断熱効率が良く省エネルギーな冷蔵庫を得ることができる。
【0245】
また、複数の貯蔵室を有する冷蔵庫において、長さ方向あるいは幅方向の端部が外側方向に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる斜面部分を有する略三角形状の真空断熱材(たとえば780、790)と、前面側に向かって徐々に厚さの小さくなるテーパ面を有し、前記複数の貯蔵室を仕切る仕切壁(たとえば190、800)と、を備え、真空断熱材の端部の斜面部分(たとえば781A1、791A1)が仕切壁内で冷蔵庫の前面側であって仕切壁(たとえば190、800)のテーパ面に対向するように真空断熱材を仕切壁内に配置したので、仕切壁のテーパ面に真空断熱材の略三角形状の斜面部分が対向するため、仕切壁がテーパ状で先細り形状であっても真空断熱材を仕切壁の先端側近傍まで挿入可能となり、断熱効率の良い仕切壁が得られる。
【0246】
また、本発明の真空断熱材の製造方法は、略円筒形の原反ロール1301に巻きつけられた所定の幅を有する繊維集合体1Jを所定回数分だけ巻枠1315に巻き取る巻き取りステップと、巻枠1315に巻き取られた繊維集合体1Jを切断する切断ステップと、巻枠1315に所定回数分だけ巻き取られて切断された繊維集合体を巻枠より抜き取る分離ステップと、分離ステップにて巻枠より抜き取られた繊維集合体を平板状の芯材に成形する成形ステップと、ガスバリア性を有する外包材の内部に芯材を収納して内部を減圧した状態でシールする外包材シールステップと、を備え、巻き取りステップは、原反ロールあるいは巻枠のいずれかを原反ロールの回転軸の軸心方向あるいは巻枠の回転軸の軸心方向に連続的あるいはステップ的に移動させながら巻枠に巻き取るようにしたので、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体を原反ロールあるいは巻枠の回転軸の軸心方向へ移動させながら巻き取るだけの簡単な方法でありながら端部が略三角形状の芯材、真空断熱材が得られる。また、真空断熱材の端部が斜面部分を有する略三角形状とすることが可能なので、真空断熱材を幅方向に複数重ねて並べる場合に斜面部分が対向するように重ねることで重ねた部分の厚さの増加を小さく抑えることができ、しかも断熱性能の低下を抑制できる。また、繊維集合体に有機繊維を使用すれば、ガラス繊維を使用する場合に比べて人体への影響がなく、リサイクル性も向上する。
【0247】
また、分離ステップは、巻枠に所定回数分だけ巻き取られて切断された繊維集合体をクランプ部材にてクランプするクランプステップと、クランプステップにてクランプされた繊維集合体の巻枠に対する張力をゆるめる繊維集合体張力緩和ステップと、張力緩和ステップにて張力が緩められた繊維集合体を巻枠より抜き取る巻枠除去ステップ、とからなるので、巻枠に巻かれた略円筒状の繊維集合体をクランプするだけの簡単な方法でありながら繊維集合体が複数積層した平板状の芯材を得ることができる。
【0248】
また、成形ステップは、クランプ部材を2つ使用して繊維集合体を2箇所でクランプして2つのクランプ部材を略反対方向に可動させて芯材を平板状に成形するようにしたので、巻枠に巻かれた略円筒状の繊維集合体を2箇所でクランプするだけの簡単な方法でありながら繊維集合体が複数積層した平板状の芯材を得ることができる。
【0249】
(冷蔵庫)
図19は実施の形態1を示す図で、冷蔵庫100の断面図である。図19において、冷蔵庫100の食品貯蔵室は、最上部に開閉ドアである冷蔵室扉160を備えて配置される冷蔵室150、冷蔵室150の下方に冷凍温度帯(−18℃)から冷蔵、野菜、チルド、ソフト冷凍(−7℃)などの温度帯に切り替えることのできる引き出しドア式の切替室扉210を備える切替室200、切替室200と並列に引き出しドア式の製氷室扉510を備える製氷室500、最下部に配置される引き出しドア式の冷凍室扉310を備えた冷凍室300、冷凍室300と切替室200及び製氷室500との間に引き出しドア式の野菜室扉410を備えた400等から構成される。冷蔵庫100の冷蔵室扉160の前面側表面には、各室の温度や設定を調節する操作スイッチと、そのときの各室の温度を表示する液晶などから構成される操作パネル180が設けられている。
【0250】
冷蔵庫100の背面側には、下部に冷凍サイクルを構成する圧縮機600を配置する機械室601及び冷却器650、および冷却器650により冷却された冷気を冷蔵室150や切替室200に送風するためのファン660などが配置される冷却器室640が設けられる。
【0251】
この冷却器室640から、冷却器650により冷却された冷気を冷蔵室150内に導入するための冷却風路680や冷却器650により冷却された冷気を冷凍室300内に導入するための風路690などが設けられている。
【0252】
また、冷蔵庫100の上部で冷蔵室150の背面の断熱壁背面において、制御基板収納室910(図示せず)に制御基板900(図示せず)が収納される。この制御基板900には、圧縮機600や冷却風路の開閉を行なうダンパなどと接続されて圧縮機600や冷却風路の開閉制御を行って冷蔵室150や冷凍室300などの貯蔵室内の温度制御を行うための制御用のリード線や電源線などが設けられている。
【0253】
なお、切替室200には収納ケース201が、冷凍室300には収納ケース301が、野菜室400には収納ケース401が、それぞれ設置されており、それらのケース内に食品を収納することができる。
【0254】
ここで、冷蔵庫100下部の機械室601と冷却器室640との間の断熱壁には、真空断熱材750,760が設けられている。この真空断熱材750、760は単独でも、あるいは発泡断熱材11中に埋め込まれたり、配置される構成であっても良い。
【0255】
すなわち、本実施の形態の冷蔵庫100は、開閉式の冷蔵室扉160備えた冷蔵室150や、引き出し式の切替室扉210、冷凍室扉310、野菜室扉410、製氷室扉510を備えた切替室200、冷凍室300、野菜室400、製氷室500などを含む複数の貯蔵室と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、貯蔵室に冷気を生成する冷却器650と、冷却器650及び冷却器650で生成された冷気を各貯蔵室へ送風する庫内ファン660と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、冷却器と庫内ファンを収容する冷却器室640と、冷蔵庫本体の下部あるいは上部に設けられ、冷凍サイクルを構成する圧縮機600を収容する機械室601と、機械室601と冷却器室640との間に設けられた第1の断熱壁と、機械室と貯蔵室の間に設けられた第2の断熱壁と、貯蔵室の扉あるいは第1の断熱壁あるいは第2の断熱壁に設けられ、有機繊維2をシート状に形成した有機繊維集合体1の積層構造で構成され、端面がカットされたカット部を有する芯材5,550を外包材4内に挿入してシート周囲の外包材4のシール部をシールすることで内部が略真空状態で密封して形成された真空断熱材7,702,750,760と、を備えている。
【0256】
この機械室601と冷却器室640との間の断熱壁に設けられる真空断熱材750は、図17に示すように第1のスリット部57、第2のスリット部58などにより形成される折り曲げ部59により三箇所で折れ曲がったW字状の複雑な構造をしている。真空断熱材750,760は、外包材4内に長繊維で形成された有機繊維集合体1が積層された芯材5,550が端面がカット(切断)された所定の大きさのシート状態で挿入されており、乾燥、真空引き後に外包材4の挿入部分が熱溶着などによりシールされて完成する。
【0257】
また、真空断熱材750が、図17に示すように、第1のスリット部57、第2のスリット部58などにより形成される折り曲げ部59によりL字状に折り曲げられて冷蔵庫100の上面壁と背面壁に跨って配置されており、さらに上述のようにW字状に折り曲げられて冷蔵庫100の背面壁と底面壁に跨って配置されている。また、図23に示したように真空断熱材760には、長さ方向に連続した溝部である凹み部760Xが設けられているので、芯材750と同様に凹み部760XよりL字状やW字状に折り曲げることができる。このように本実施の形態で説明した真空断熱材750,760を折り曲げるなどして使用するようにすれば、冷蔵庫の圧縮機600を収納する機械室601のように複雑な形状をした壁面であっても容易に適用できる。
【0258】
ここで、本実施の形態では、有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを複数枚(例えば2枚)重ねて幅方向に所定長さ(ラップ代Xb)だけずらして複数回積層して芯材5,550を製造するようにすれば、1箇所の折り曲げ部に対するスリットの数も有機繊維集合体1、連続したシート状繊維集合体1Jを重ねた枚数の数(複数個、3枚重ねてずらした場合は1箇所の折り曲げ部に対してスリットは3つ)できるので、真空断熱材750の厚さが厚くなっても折り曲げ部59(第1のスリット部57、第2のスリット部58)で容易にシート面の両側に折り曲げることが可能となる。また、第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分が凹んだ台形形状になり、しかも真空断熱材750の厚さ方向の両側にできるため、例えば厚さが厚くなった場合であってもシート面の両側に形成される第1のスリット部57、第2のスリット部58の部分で折り曲げ部より容易に折り曲げ可能となるため外包材4が破れたり傷ついたりすることもなくなる。
【0259】
したがって、本実施の形態の真空断熱材750を第1の(有機)繊維集合体1Kあるいは第2の(有機)繊維集合体1Hの隣接する繊維集合体間の接続部(スリット部)で所定の角度(例えば略90度)で折り曲げ、例えば冷蔵庫100の上面、両側面、背面、底面を有する断熱箱体の少なくとも2つの連続する壁面に配置することが可能となる。具体的には、冷蔵庫100の場合には、所定の角度を略90度としてL字状に折り曲げた場合には、(1)側壁と背面壁、(2)上面壁と背面壁、(3)上面壁と側壁、(4)底面壁と側壁、(5)底面壁と背面壁などの連続した2壁面に適用できる。また、2箇所折り曲げてコ字状とした場合には、(1)背面壁と両側壁、(2)上面壁と両側壁、(3)底面壁と両側壁、(4)上面壁、背面壁、底面壁などの連続した3壁面に適用できる。
【0260】
以上説明したように、真空断熱材750の代わりに真空断熱材760を使用しても良い。真空断熱材760を使用すれば、真空断熱材750の折り曲げ部59(第1のスリット部57、第2のスリット部58)と同様に凹み部760Xで容易に折り曲げることができるし、また、真空断熱材750の第1のスリット部57、第2のスリット部58と同様に凹み部760Xに配管(凝縮パイプや吸入配管)などを配置して収納することで配管の断熱が容易に行え、しかも、従来は困難であった真空断熱材の外表面での配管の固定や位置決めが、別途配管の収納箇所をレーザー加工などで設けることなく凹み部760Xに配管を収納するだけで位置決めや固定が容易に行える。また、別途固定部材を設けなくても位置決めが可能となる。部材など不要で容易にできる。また、凹み部760Xに配線(制御用リード線など)を収納すれば、別途配線の収納箇所を設けなくても収納可能で、また、別途固定部材を設けなくても位置決めが可能となる。このとき、凹み部760Xの幅は収納する配管や配線の大きさに合わせて設定しておけば良い。すなわち、凹み部760Xの幅は第1の(有機)繊維集合体1Kの個々の第1の(有機)繊維集合体1Ka,1Kb,1Kc,1Kd,1Ke間の所定すきまXK(例えば所定すきまXKab,XKbc,XKcd,XKde)と略同等になるため、所定すきまXKを適宜設定すれば良い。
【0261】
ここで、図19において、上部に設けられた冷蔵室150と、冷蔵室150の下部に設けられた切替室200及び切替室200と並列に横に設けられた製氷室500との間を仕切る仕切壁190は、冷蔵庫100の奥側(背面側)から手前側(前面側)に向かって徐々に厚さが小さくなるテーパ面を有する内部が空洞のテーパ形状を成しており、内箱と一体あるいは別体で射出成形などで成形されている。すなわち、仕切壁190は、外形形状が先端部(冷蔵庫100の前面部)側に向かって少なくとも一部が徐々に厚さの小さくなるテーパ形状をしており、内部の空洞形状も同様に先端部(冷蔵庫100の前面部)側に向かって少なくとも一部が徐々に厚さの小さくなるテーパ形状を成している。この仕切壁190は内部の空洞に真空断熱材780、790が挿入された後、発泡ウレタンが封入されて断熱壁を形成する。
【0262】
このテーパ状の仕切壁190は断熱壁800と同等構造であり、詳細説明は省略するが、この仕切壁190の内部には、真空断熱材780、790の略三角形状を成す端部側が仕切壁190の厚さの小さくなる冷蔵庫の前側に位置するように冷蔵庫奥側(内箱側)の開口部から挿入されており、真空断熱材780、790の周囲には発泡ウレタンが内箱側の開口部から仕切壁190内に発泡して充満するように封入されて断熱壁を形成している。真空断熱材780、790は、端部が外側(先端部側)に向かって徐々に厚さが小さくなる略三角形状をしており、斜面部分781、791を有するので、仕切壁190が内部が奥側(背面側)から先端部側(手前側、前面側)に向かって徐々に厚さが小さくなるテーパ面を有するテーパ形状であっても、端部が略三角形状でない真空断熱材に比べて端部が略三角形状をなす真空断熱材は、仕切壁190内の挿入できる長さを大きくでき仕切壁190内の先端部近傍まで挿入することが可能となる。したがって、先端部近傍まで断熱性能の良好な仕切壁や断熱壁を得ることができる。
【0263】
ここで、仕切壁190は、真空断熱材780、790や発泡ウレタンが封入される前の外形形状や内部の空洞形状は、ともに先端部(冷蔵庫100の前面部)側に向かって少なくとも一部が徐々に厚さの小さくなるテーパ形状を形成している場合について説明したが、外形形状はどのような形状であっても内部の空洞形状が先端部(冷蔵庫100の前面部)側に向かって少なくとも一部が徐々に厚さの小さくなるテーパ形状であれば、真空断熱材780、790を挿入する挿入深さを大きくでき真空断熱材780、790を先端部近傍まで挿入できる。したがって先端部近傍まで断熱性能の良好な仕切壁190、断熱壁800を得ることができる効果を奏する。
【0264】
ここで、テーパ形状や段差を有する仕切壁や断熱壁内に真空断熱材780、790を挿入する場合には、仕切壁190や断熱壁800の先細りとなったテーパ形状のテーパ面側や段差側の面に真空断熱材780、790の斜面部分781、791が対向するように挿入した方が真空断熱材780、790を内部がテーパ形状や段差を有する仕切壁内や断熱壁内に真空断熱材780、790を先端部近傍まで挿入可能となるので断熱効率が向上する。
【0265】
また、本実施の形態の真空断熱材750、760は、冷蔵庫100以外の圧縮機や貯湯タンクなどの円筒形容器の周囲の断熱や空調機の室外機や給湯機の熱源機の筐体(容器)の断熱であっても容易に適用できるのは言うまでもない。
【0266】
本実施の形態では、冷蔵庫100についての適用事例について説明したが、冷蔵庫100以外の給湯機や冷凍・空調装置などの機器であっても適用できる。また、本実施の形態では、一箇所で折れ曲がった「L」状や三箇所で折れ曲がった「W字状」の複雑な構造をした真空断熱材750について説明したが、二箇所で折れ曲がった「Z」状でも良く、また、2箇所で折れ曲がった「コ」状や複数箇所で折れ曲がった「C」状や「J」状であっても容易に適用できる。したがって、本実施の真空断熱材は、今まで曲げ加工が困難であったため真空断熱材の搭載が困難であった複雑な形状の箇所(「Z」状、「コ」状、「C」状、「J」状や「W」状などの箇所やあるいは突起や配管などがあるような箇所)にも適用可能であり、あらゆる機器に搭載可能である。本実施の真空断熱材を搭載した冷蔵庫などの機器は、リサイクル性が良好で人体への悪影響もなく、断熱性能の向上が見込める。
【0267】
すなわち、本実施の形態の冷蔵庫100は、開閉式、あるいは引き出し式の扉(冷蔵室扉160、切替室扉210、冷凍室扉310、野菜室扉410、製氷室扉510)を備えた冷蔵室150や冷凍室300などを含む複数の貯蔵室(冷蔵室150、切替室200、冷凍室300、野菜室400、製氷室500)と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、貯蔵室に冷気を生成する冷却器650と、冷却器650及び冷却器650で生成された冷気を各貯蔵室へ送風する庫内ファン660と、貯蔵室の背面側に仕切り壁を介して配置され、冷却器と庫内ファンを収容する冷却器室640と、冷蔵庫本体の下部あるいは上部に設けられ、冷凍サイクルを構成する圧縮機600を収容する機械室601と、機械室601と冷却器室640との間に設けられた断熱壁と、貯蔵室の扉あるいは断熱壁に設けられ、有機繊維2をシート状に形成した有機繊維集合体1の積層構造で構成され、端面がカットされたカット部を有する芯材5を外包材4内に挿入してシート周囲の外包材4のシール部をシールすることで内部が略真空状態で密封して形成された真空断熱材750、760と、を備え、有機繊維2に有機繊維集合体1の長さと同等かそれ以上の長繊維を使用するようにしている。したがって、真空断熱材750、760の断熱性能が良く、リサイクル性に優れ、シール不良などが発生せず信頼性が高いので、この真空断熱材750、760を適用した冷蔵庫100などの機器も長期間にわたり高性能でリサイクル性が良い。
【0268】
ここでは、真空断熱材750,760を機械室601と冷却器室640との間の断熱壁に設ける例を示したが、真空断熱材開口部71を冷却風路に適用しても良く、この場合は、冷却風路を有する区画壁や仕切り壁や断熱壁に真空断熱材750、760を使用すれば良い。また、冷却器室640を構成する断熱壁に設けても良い。
【0269】
また、本発明の断熱壁800は、内部830が先端840側に向かって徐々に厚さが小さくなり、少なくとも上面810あるいは下面820のどちらか一方が他方に比べて傾斜するテーパ面821、822を有する外郭805と、長さ方向の端部あるいは幅方向の端部が外側方向に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる略三角形状で斜面部分781、791を有する真空断熱材780、790と、真空断熱材780、790の端部の斜面部分781、791が外郭805内の先端840側に挿入され真空断熱材780、790の斜面部分781、791が外郭805のテーパ面821、822側に対向するように真空断熱材780、790を外郭805内に配置したので、真空断熱材780、790をテーパ形状の断熱壁内や段差となった断熱壁800内の先端部近傍まで挿入可能となり断熱壁の先端部近傍の断熱効率が向上する。
【0270】
また、本発明の冷蔵庫100は、複数の貯蔵室を有する冷蔵庫において、長さ方向の端部あるいは幅方向の端部が外側方向に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる略三角形状であり、この略三角形状の端部に斜面部分を有する真空断熱材と、前面側に向かって徐々に厚さの小さくなるテーパ面を有し、前記複数の貯蔵室を仕切る仕切壁と、を備え、真空断熱材の端部の斜面部分が仕切壁内の前面側であって仕切壁のテーパ面側に対向するように真空断熱材を仕切壁内に配置したので、真空断熱材780、790をテーパ形状の仕切壁内や段差となった仕切壁内に先端部近傍まで挿入可能となるので断熱性能の良好な冷蔵庫が得られる。
【0271】
また、真空断熱材(例えば750、760、770、780、790)の端部が斜面部分を有する略三角形状となるので、冷蔵庫の内箱と外箱との間に複数枚真空断熱材を並べて配置する場合や給湯機の貯湯タンクの周囲を囲むように複数枚並べて配置する場合に、真空断熱材の長さ方向端部、あるいは幅方向端部に略三角形状の斜面部分を有するので、この略三角形状の斜面部分同士が対向するように当接(あるいは斜面部分間に樹脂などの別の断熱材を挟んで接続)するように複数並べて配置することが可能であり、重ねた部分の厚さの増加を小さく抑えることができ、しかも断熱性能の低下を抑制できる。また、真空断熱材780、790の場合には、長さ方向端部および幅方向端部の両端部に略三角形状の斜面部分を有するので、長さ方向端部および幅方向端部の両方向に略三角形状の斜面部分が対向するように重ねて配置することが可能となるので、広範囲に亘って真空断熱材をすきまなく配置させることが可能となる。
【符号の説明】
【0272】
1 有機繊維集合体、1a 端面、1J 連続したシート状繊維集合体、1JA 第3の(有機)繊維集合体、1JB 第4の(有機)繊維集合体、1Je 巻き終わり端部、1K 第1の(有機)繊維集合体、1Ka 第1の(有機)繊維集合体、1Kb 第1の(有機)繊維集合体、1Kc 第1の(有機)繊維集合体、1Kd 第1の(有機)繊維集合体、1H 第2の(有機)繊維集合体、1Ha 第2の(有機)繊維集合体、1Hb 第2の(有機)繊維集合体、1Hc 第2の(有機)繊維集合体、1Hd 第2の(有機)繊維集合体、2 有機繊維、2a 残存繊維、2b 切断繊維、2x 有機繊維、2y 有機繊維、3 空気層、4 外包材、4a 開口部、5 芯材、5a 端面、5f 折れ曲がり端部、5g 平板部、6 吸着剤、7 真空断熱材、8 スペーサ、9 外箱、10 内箱、11 発泡断熱材、12 断熱壁、41 外包材開口部、45 シール部分、51 芯材開口部、52 貫通穴、53 切り欠き、55 曲げ加工部、56 曲げ加工部、57 第1のスリット部、58 第2のスリット部、59 折り曲げ部、71 真空断熱材開口部、72 貫通穴、73 切り欠き、75 真空断熱材開口部シール代、100 冷蔵庫、110 エンボス加工、150 冷蔵室、160 冷蔵室扉、200 切替室、201 収納ケース、210 切替室扉、300 冷凍室、301 収納ケース、310 冷凍室扉、400 野菜室、401 収納ケース、410 野菜室扉、500 製氷室、510 製氷室扉、550 芯材、551f 折り曲げ部、551g 平板部、551Je 巻き終わり端部、560 芯材、570 芯材、571 厚肉部、572 薄肉部、570 芯材、571 厚肉部、572 薄肉部、580、580A、580B 芯材、581A、581B 斜面部分、585A、585B、586A、586B 長さ方向端面、590、590A、590B 芯材、591A1、591A2、591B1、591B2 斜面部分、600 圧縮機、601 機械室、640 冷却器室、650 冷却器、660 ファン、680 冷却風路、690 風路、702 真空断熱材、750 真空断熱材、750a 薄肉部、750b 薄肉部、750c 所定厚さ部、751 凹み部、752 凹み部、753 突出部、760 真空断熱材、760X 凹み部、770 真空断熱材、771 厚肉部、772 薄肉部、780 真空断熱材、781A、781B 斜面部分、790 真空断熱材、791A1、791A2 斜面部分、800 断熱壁(断熱部材)、805 外郭、810 上面、820 下面、821 下面テーパ面、822 上面テーパ面、830 内部(空洞)、840 先端、900 制御基板、910 制御基板収納室、1301 原反ロール、1301a 本体部A、1301b 本体部B、1301c 本体部C、1301d 本体部D、1305 第1の原反ロール、1306 第2の原反ロール、1307 第3の原反ロール、1308 第4の原反ロール、1309 第5の原反ロール、1311 巻枠、1312 円周部材、1313 クランプ部材設置部、1315 回転軸、1316 円周部材保持軸、1316a 円周部材保持軸、1316b 円周部材保持軸、1316c 円周部材保持軸、1316d 円周部材保持軸、1320 クランプ部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に芯材を収納し、端部が外側方向に向かって徐々にあるいはステップ的に厚さが小さくなる斜面部分を有する真空断熱材と、内部の厚さ方向における一方の面が他方の面に対して傾斜するテーパ面あるいは段差を有する外郭と、を備え、前記真空断熱材の端部の前記斜面部分が前記外郭のテーパ面側あるいは段差側に対向するように前記真空断熱材を前記外郭内に配置したことを特徴とする断熱壁。
【請求項2】
前記外郭は、内部の少なくとも一部が先端側に向かって厚さが小さくなっており、前記真空断熱材は、前記斜面部分を有する端部側が前記外郭の先端側になるように前記外郭内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の断熱壁。
【請求項3】
前記芯材は、所定の幅を有するシート状の繊維集合体が複数積層されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の断熱壁。
【請求項4】
前記芯材は、長さ方向の端部あるいは幅方向の端部が外側方向に向かって厚さが徐々にあるいはステップ的に小さくなる略三角形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項5】
前記真空断熱材または前記芯材は、断面形状が、略平行四辺形状あるいは略台形状であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項6】
前記芯材は、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が内側から外側に向かって連続して巻かれた積層構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項7】
前記真空断熱材または前記芯材は、段差を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項8】
前記芯材が、所定の幅を有し、長さ方向に連続したシート状の幅広の繊維集合体と、前記幅広の繊維集合体に重なるように設けられ、前記所定の幅よりも小さな所定幅を有する長さ方向に連続したシート状の幅狭の繊維集合体と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項9】
前記芯材は、前記幅広の繊維集合体と前記幅狭の繊維集合体とが厚さ方向に重なった状態で内側から外側に向かって連続して巻かれて段差を有する平板状に形成されたことを特徴とする請求項7に記載の断熱壁。
【請求項10】
前記芯材は、前記幅狭の繊維集合体が少なくとも一箇所は幅方向にすきまを設けて複数並べられ、
前記幅広の繊維集合体と前記幅方向に複数並べられた幅狭の繊維集合体とが厚さ方向に重ねられた状態で内側から外側に向かって連続して巻かれて前記すきま部分が段差となる平板状に形成されたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の断熱壁。
【請求項11】
前記芯材は、長さ方向に連続したシート状の繊維集合体が内側から外側に向かって連続して巻かれた積層構造であり、前記積層構造の繊維集合体の厚さ方向の所定位置で切断されたものであることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項12】
前記幅狭の繊維集合体が少なくとも一箇所は幅方向にすきまを設けて複数並べられ、
前記幅広の繊維集合体と前記幅方向に複数並べられた幅狭の繊維集合体とが厚さ方向に重ねられた状態で内側から外側に向かって連続して巻かれて平板状に形成され、前記すきま部分で折り曲げ可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項13】
前記外郭内には、前記真空断熱材とともにウレタン断熱材が封入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の断熱壁。
【請求項14】
圧縮機が配置された機械室と、冷却器が配置された冷却器室と、複数の貯蔵室と、を備え、前記貯蔵室間を仕切る仕切壁、あるいは前記機械室と前記冷却器室の間に設けられた第1の断熱壁、あるいは前記機械室と前記貯蔵室の間に設けられた第2の断熱壁に請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の断熱壁を使用したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項15】
請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の断熱壁を備えたことを特徴とする機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−76471(P2013−76471A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−15239(P2013−15239)
【出願日】平成25年1月30日(2013.1.30)
【分割の表示】特願2010−213569(P2010−213569)の分割
【原出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】