断熱容器
【課題】保温性低下させる外装材の断熱材目地部への吸い込みを確実に防止する物理的な方法を提供し、熱伝導率の低下を防止した真空断熱材を使用することにより、熱損失を最小限に抑えた断熱容器を提供することにある。
【解決手段】板状体の固定部材80で断熱材の目地部44を覆った防止手段である。この固定部材80は、最低限断熱材の表面において目地部44を覆うように接着されているだけでもよい。但し、固定部材80は目地部44全てを覆う必要はなく、その一部を数箇所覆っていればよい。また、固定部材80の厚さは、目地幅の1/2よりも大きい方が好ましい。
【解決手段】板状体の固定部材80で断熱材の目地部44を覆った防止手段である。この固定部材80は、最低限断熱材の表面において目地部44を覆うように接着されているだけでもよい。但し、固定部材80は目地部44全てを覆う必要はなく、その一部を数箇所覆っていればよい。また、固定部材80の厚さは、目地幅の1/2よりも大きい方が好ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体を保温貯留する断熱容器に関するものであり、特に車両用エンジンの冷却水を保温貯留する断熱容器に適用する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として車両用エンジンの低燃費化が強く求められている。特に、エンジン始動直後の暖機運転時の燃費を向上させることは大きな課題となっている。
車両用エンジン始動直後の燃費を向上させることを目的として、エンジンの予熱で温められた、車両用エンジンの冷却水(ロング・ライフ・クーラント:以下LLCと記す)を断熱容器に保温貯留し、次のエンジン始動時に保温されたLLCをエンジンに循環させてエンジンの暖機運転を促進する技術がある。
【0003】
このLLCを保温貯留する断熱容器には、エンジンの予熱で温められたLLCを次のエンジン始動時まで高温に維持する高い保温性能、更に、車両原価低減に伴う製造コストの低減が求められている。また、この断熱容器はエンジンルーム内に設置されるため、車両によって異なるエンジンルーム内の限定されたスペースに収納可能な形状が強く求められており、その要求に対して、特許文献1では樹脂製内部容器の周囲に高性能真空断熱材を形成した、断熱容器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−105748号公報
【特許文献2】特開2004−308691号公報
【特許文献3】特開2004−84847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらLLCを保温貯留する断熱容器は立体的な形状であるため、断熱材は2パーツ以上に分割されているが、これら断熱材にそれぞれが別の真空系に封止された真空断熱パネル(特許文献2及び3等)を用いた場合、真空断熱パネル同士からなる目地部からの放熱を軽視することはできず、断熱容器の性能がそこなわれてしまう。
【0006】
そのため、内部容器ごと包み込んで一体成形する真空断熱材が考案された。しかしながら、この断熱材には、内部容器の形状に沿って予め成形された立体的なパーツを、複数個組み合わせて使用するため、外装材内部に断熱材を構成するパーツ部材同士の間に目地が形成される。そのため、真空封止時に、内部(断熱材)と外部の圧力差により、柔軟性のある外装材が目地に吸い込まれることが懸念される。こうした外装材は、熱伝導率の高い放熱経路となるため、保温性能の低下を招くことがわかった。
【0007】
そこで本願発明は、上記の問題点を鑑み、保温性低下させる外装材の断熱材目地部への吸い込みを確実に防止する物理的な方法を提供し、熱伝導率の低下を防止した真空断熱材を使用することにより、熱損失を最小限に抑えた断熱容器を提供することを目的とする。それによって、ひいては、エンジンルーム内等に設置され、低燃費化に寄与し、自動車から排出される温暖化ガスの低減につながるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成することを目的として、第1の発明では、液体を保温貯留する断熱容器であって、液体の流入出口部を備えた内部容器と、内部容器を収容するシート状の外装材と、内部容器と外装材との間に立体成形された複数個の断熱部材を組み合わせて構成される断熱材とガス吸着材が封入されて減圧空間とされた断熱空間とを備え、前記断熱部材同士の接合端に形成される目地部への前記外装材の吸い込みを防止する防止手段を備えたことを特徴とする断熱容器を提供する。
第2の発明では、前記断熱材が繊維質断熱材であり、前記目地部近傍において、圧縮された減圧後の断熱材外周長さに比べて外装材外周長さが同じか又は短いことを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで「繊維質断熱材」とは、圧縮率の高い表面と圧縮率の低い端面とを備える(すなわち、繊維が配向している)。そして、表面に垂直方向の熱伝導率が低い。
また「目地部近傍」とは、目地部上を覆う外装材が断熱材に接触するまでの間で囲まれた範囲を指す。
また「圧縮された減圧後の断熱材外周長さに比べて外装材外周長さが同じか又は短い」場合とは、例えば、内部容器の角部にて、繊維質断熱材の表面と端面とが隣接して目地部が形成される場合において、減圧前、端面が表面と同じ面(面一)か、端面が表面より高ければよい。
第3の発明では、前記断熱材が繊維質断熱材であり、減圧時に前記断熱材が目地部を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする同断熱容器を提供する。
「減圧時に前記断熱材が目地部を塞ぐ方向に圧縮される」とは、例えば、内部容器の角部にて、断熱材が印籠加工または突合せ加工されている場合である。
第4の発明では、前記断熱材が繊維質断熱材であり、目地部にて隣接する断熱部材同士が縫製加工またはニードル加工により接合されていることを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで、「縫製加工」に使用される糸が窒素、酸素、水、二酸化炭素の気体のうち少なくとも1つを吸着するガス吸着機能を備えていてもよい。
第5の発明では、前記断熱材の表面で前記目地部を覆う固定部材をさらに備えることを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで「固定部材」は、断熱材表面に接着されているだけでもよい。
また「固定部材」の厚さは、目地幅の1/2より大きいほうが好ましい。
また「固定部材」は、目地部すべてを覆う必要はなく、その一部を数箇所で覆っていればよい。
第6の発明では、前記固定部材が、断熱材内部に食い込む固定部と、目地部を覆う本体部とを備えることを特徴とする同断熱容器を提供する。
第7の発明では、前記固定部材が、断熱材の角部を跨る屈曲部をさらに備えることを特徴とする同断熱容器を提供する。
第8の発明では、前記目地部にて隣接する断熱部材同士が接合されていることを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで、「断熱部材同士の接合」は、接着剤により接合されていてもよい。あるいは、断熱材内部を貫通する連結具により接合されていてもよい。
第9の発明では、前記接着剤、固定部材が窒素、酸素、水、二酸化炭素の気体のうち少なくとも1つを吸着するガス吸着機能を備えていることを特徴とする同断熱容器を提供する。
なお「接着剤・固定部材」がガス吸着機能を備える場合には、同断熱容器の製造のために真空チャンバー内で作業する必要がある。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、以下の(1)〜(5)にあるような防止手段を用いることで、立体成形された真空断熱材内部の断熱材目地部で、外装材の吸い込みによって熱伝導経路が形成されるのを防止し、断熱容器の性能低下を防止する効果を得ることができる。
(1)真空減圧時の圧縮率に異方性を持たせた(圧縮率の高い表面と圧縮率の低い端面を備えた配向性のある)繊維質断熱部材を使用し、圧縮後に「目地部近傍の外装材外周長さ≦断熱材外周長さ」とすることで、外装材に張力を与え、外装材の目地部への吸い込みを防止したことを特徴とする防止手段。
(2)繊維質断熱部材を使用し、減圧時に前記断熱部材が目地部を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする防止手段。
(3)繊維質断熱部材を使用し、目地部にて隣接する断熱部材同士を縫製加工又はニードル加工により接合することを特徴とする防止手段である。
(4)断熱材の表面で目地部を覆う固定部材を備えることを特徴とする防止手段。
(5)接着剤又は目地材を目地部に使用(塗布)して、隣接する断熱部材同士が接合されていることを特徴とする防止手段。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明に係る断熱容器の縦断面図。
【図2】フランジ部材を示す斜視図。
【図3】フランジ部材を示す断面図。
【図4】図1における液体流入出口周辺の部分拡大図。
【図5】断熱材の目地部へ外装材が吸い込まれる状態を示した説明図。
【図6】第1の実施形態を説明する説明図(その1)。
【図7】第1の実施形態を説明する説明図(その2)。
【図8】第1の実施形態を説明する説明図(その3)。
【図9】第2の実施形態を説明する説明図。
【図10】第3の実施形態を説明する説明図。
【図11】第4の実施形態を説明する説明図(その1)。
【図12】第4の実施形態を説明する説明図(その2)。
【図13】第5の実施形態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本願発明にかかる断熱容器の縦断面図である。
液体を保温貯留する断熱容器10は、液体の流入出口部21,21を備えた樹脂製内部容器20と、その内部容器20を収容し、その周囲にガスバリア層を形成する外装材50を備える。そして、この内部容器20と外装材50の間に断熱材41とガス吸着材42を封入し減圧状態とした断熱空間40を備える。なお、断熱容器10は、図1に示すように、内部容器20の周囲にガスバリア層を形成する内装材30を備え、この内装材30と外装材50の間に断熱空間40を備えるようにしてもよい。また、流入出口部21,21にあっては、外装材50や内装材30を接合するためのフランジ部材60,60を環装している。
【0012】
ここで、樹脂製内部容器20の素材として対応可能な樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリルニトリルスチレン共重合体(AS)、EEA樹脂(EEA)、エポキシ樹脂(EP)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、液晶ポリマー(LCP)、MBS樹脂(MBS)、メラミンホルムアルデヒド(MMF)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルポリマー(PFA)、ポリイミド(PI)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレンポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、等から選択使用される。こういった樹脂を用いることにより、射出成形や、押出し成形により複雑形状の内部容器の成形が可能となり、生産コストを抑えることができる。
【0013】
図2及び図3は、フランジ部材を示す斜視図及び断面図である。
断熱空間40は、ガスバリア層を形成する外装材50(又は内装材30及び外装材50)を用いて接合封止するが、この外装材50(又は内装材30及び外装材50)は液体流入出口21,21に環装したフランジ部材60,60を介して接合する。フランジ部材60は、中心に流入出口部用貫通孔61を備えるとともに、大径状の上端部62と下端部64を備えた円筒形部材であり、上端部62の上面は上部フランジ面63を、下端部64の下面は下部フランジ面65を形成する(図2、図3)。フランジ部材60の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱溶着が容易にできるものから選ばれ、気体の透過性能の低いエチレンビニルアルコールが好適である。
【0014】
図4は、図1における液体流入出口周辺の部分拡大図である。
図4に示すように、このようなフランジ部材60を流入出口部21に環装させ、下部フランジ面65を内装材30と接合し、上部フランジ面63を外装材50と接合する。こうすることで、内部容器20や内部容器20外から断熱空間40への気体透過を防止できることとなる。
そして、このようなフランジ部材60を使用した接合は、内装材30や外装材50の接合作業を容易にするとともに、断熱空間40を減圧状態に保持するあるいは断熱容器10の取扱い時に、内装材30と下部フランジ面65、或いは外装材50と上部フランジ面63の接合部分において、内装材30や外装材50を破断あるいは引き剥がすような力が加わらず、信頼性の高い真空断熱層を実現できることになる。また、フランジ部材60と流入出口部21との間には、無機繊維製ペーパーのような薄片状の断熱材が介在してもよい。こうした構成によれば、フランジ部材60と流入出口部21との間から流出する熱量を低減することができ、断熱容器の断熱性をさらに向上することができる。
【0015】
また、外装材50の他に内装材30を備えた場合、内装材30は内部容器20と対向する表面側31に接着層を備えることになるが、フランジ部材60の下部フランジ面65と接合する部分にも接着層を備えることが必要になる。そこで、流入出口部21の周辺部分にあっては内装材30の表面側31を断熱空間40側に向くように貼り替える向き切替え部32を設けることとした(図4)。
なお、内装材30に向き切替え部32を設けることに限定されるものではなく、内部容器20と接する部分以外で下部フランジ面65と接合する部分にも接着層を備えるものであればよい。
【0016】
内装材30及び外装材50はガスバリア層が形成されており、上述した気体透過度を満たしていれば、材質、構造、形態に特に制限はないが、シート状のものが好適に使用できる。こういった内装材および外装材の一例として、「保護層/ガスバリア層/接着層」からなる多層構造のラミネートフィルムが挙げられる。こういったラミネートフィルムの厚さは、45〜120μmであればよく、好ましくは60〜100μmである。
【0017】
ここで、「ガスバリア層とは、気体の透過を制限する層である。JIS-K7126-1にて測定したガスバリア層を積層したラミネートフィルムの酸素透過度が1.1×10-11m3/m2・s・mPa以下であれば良く、1.1×10-12m3/m2・s・mPa以下であれば好ましい。また、断熱空間は断熱性を向上させるために大気圧より低い圧力(減圧状態)に制御されており、0.01〜100Paであればよく、好ましくは0.1〜10Paである。
【0018】
接着層を形成する材質は内部容器との接合が可能であれば特に制限はないが、本発明においては気体透過率が低いものが望ましい。具体的には、フランジ部材の材質がポリエチレンの場合、接着層はポリエチレンであればよいし、ポリプロピレンの場合、接着層はポリプロピレンであればよいし、エチレンビニルアルコールまたは金属の場合、接着層はエチレンビニルアルコールとすることが望ましい。接着層の厚さは10〜70μmであればよく、好ましくは30〜50μmである。
【0019】
ガスバリア層は気体の透過を制限することが可能であれば、その材質に特に制限はないが、例えばステンレス箔やアルミニウム箔といった金属箔が挙げられるが、低い気体透過率と安価で実用性の高いアルミニウム箔が好適に利用できる。ガスバリア層の厚さは5〜30μmであればよく、好ましくは6〜15μmである。
【0020】
保護層はガスバリア層を保護する層であり、例えば、アルミニウム箔にピンホール・クラック等の欠陥が形成されることを防ぎ、気体透過防止効果を確実にするものである。こういった保護層は、ポリエステル、ナイロンといった樹脂が好適に利用できる。保護層の厚さは10〜15μmあればよく、好ましくは20〜40μmである。また、保護層は必要に応じて複数層形成されてもよい。こうした構成によれば、樹脂の特性を生かした機能を付加することができる。
【0021】
真空断熱空間40の内部には、断熱部材43から発生するガスあるいは接合部樹脂を透過して外気より侵入するガス等により真空断熱層の真空度が万一低下することを防止するためにガス吸着剤42を封入する。ガス吸着剤42は、水分を吸着する酸化カルシウム層、酸素及び窒素を吸着するバリウム/リチウム合金層、水素を吸着する酸化コバルト層の3層構造のものを用いる。但し、バリウム/リチウム合金層は酸素及び窒素の他に水分も吸着する性質があるため、酸化カルシウム層と酸化コバルト層との間の中間層に位置する構造として夫々の層の吸着性を効率良く活用する。
【0022】
次に、図1〜4に示した断熱容器10における断熱材41を構成するために立体成形された断熱部材の製造方法を説明する。
断熱部材には、無機繊維として、ガラス長繊維をニードルパンチして作製されたガラスマットを使用する。このガラスマットの製造法としては様々な方法があるが、気流を用いてガラス長繊維を堆積させ、更にニードルパンチによるマット化する工法が好適である。この工法で繊維長さが30mm以上のガラス長繊維を用いて作製されたガラスマットは、繊維の長さ方向に破壊されることなく(短くなる)、伝熱方向(断熱部材の厚み方向)に対して垂直方向の繊維配向性が得られるため、真空断熱材を作製した際良好な断熱性能が得られる。
【0023】
前記ガラス長繊維の平均繊維径は、人体への悪影響を鑑みて6μm〜15μmが望ましいが、繊維径が太く、最も一般的で安価な10μm〜12μmが好適で実用化しやすい。また、この長繊維はロービングとヤーンの混合であり、混合比に関して製造のし易さという観点から検討を行った結果、ロービング/ヤーン比が50/50〜0/100(重量比)であればよく、好ましくは20/80〜40/60(重量比)である。
【0024】
ガラスマットの密度、厚みは、堆積させる目付量(単位面積あたりの重量)、ニードルパンチの針本数(単位面積あたりの打抜き本数)で調整することができる。厚みに関しては、真空断熱材の必要厚みによるため、特に規定するものではない。密度は50〜160kg/m3の範囲で製造できるが、好ましくは90〜160kg/m3である。ガラスマットの密度が高いほど、バインダーの添加量が少量でも、真空封止時の体積変化率の制御効果が得られるが、密度が160kg/m3を越えると、ガラスマットの熱伝導率が低下してしまい期待する断熱性能が得られなくなる可能性がある。
【0025】
ガラス長繊維はファイバー、ストランドを保護するために、サイジング処理がなされている。サイジング材は一般的にウレタン、エポキシ、ポリビニルアルコール、デンプン、植物油等の有機質材料が用いられている。サイジング材が真空封止後に気化して真空断熱材の真空度を低下させる(圧力上昇)可能性があるため、ガラスマット製造後にこれを除去する必要がある。サイジング材除去には400℃以上で30分以上の熱処理が好適である。
【0026】
上記ガラスマットの成形について説明する。水中に無機バインダーを分散させてガラスマットを含浸する。この時無機バインダーとしては、粘土、水ガラス、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等から選択するが、熱伝導率への影響、真空封止後の体積変化率の観点から検討した結果、粘土が最も優れており、中でもベントナイトが好適である。無機バインダーとしてベントナイトを使用した場合、水溶液を作製するが、ベントナイトの添加量は0.5〜3.0wt%が良く、好ましくは0.5〜1.5wt%である。上記ベントナイト水溶液にガラスマットを含浸させ、所定の形状に成形し、乾燥させる。乾燥温度は水の沸点である100℃以上であれば良く、好ましくは200℃以上である。乾燥後、端部の切断加工、孔開け加工等を施し、断熱材41を構成する断熱部材とする。
【0027】
そして、上記のようにして立体成形された複数個の断熱部材を組み合わせて断熱材41は構成される。しかし、図5に示すように、断熱部材43同士の接合端にできる目地部44へ外装材50が吸い込まれることによって熱伝導経路が形成されるおそれがある。このため、当該目地部44に外装材50の吸い込みを防止する「防止手段」を施すこととした。以下、この「防止手段」を施した断熱容器について、第1の実施形態〜第5の実施形態を挙げて具体的に説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図6〜図8は、第1の実施形態を示す説明図である。
第1の実施形態は、真空減圧時の圧縮率に異方性を持たせた(圧縮率の高い表面と圧縮率の低い端面を備えた配向性のある)繊維質断熱部材43を使用し、圧縮後に「目地部44近傍の外装材50外周長さ≦断熱材41外周長さ」とすることで、外装材50に張力を与え、外装材50の目地部44への吸い込みを防止したことを特徴とする防止手段である。
【0029】
すなわち、図6に示すように、断熱部材43を配置すると断熱部材43が圧縮されたときに「目地部44近傍の外装材50外周長さ>断熱材41外周長さ(破線45)」となり、外装材50が余る。そのため目地部44に吸い込まれる。
これに対して、図7に示すように、断熱部材43を配置すると断熱部材43が圧縮されたときに「目地部44近傍の外装材50外周長さ≦断熱材41外周長さ」となり、外装材50にテンションがかかるため吸い込まれない。
【0030】
第1の実施形態の防止手段を整理すると、図8に示すようになる。すなわち、断熱容器10の内部容器20端面からはみだした断熱部材43の寸法Xと断熱部材43の厚さaと厚さ方向への圧縮率αが、図8に示す関係を満たすように組み合わされたとき、外装材50の吸い込みを防止できるものである。ここで、a(1−α)とは真空封止による圧縮後の断熱部材43の厚さである。
なお、これらの関係は目地部44近傍で成り立てばよく、例えば目地のない辺において、一辺を覆うに余剰となった外装材50はシワをつくる。圧縮後のシワは大気圧により断熱材41に押し付けられているため、目地部44に吸い込まれることはない。
【0031】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態を説明する説明図である。
第2の実施形態は、繊維質断熱部材43を使用し、減圧時に前記断熱部材43が目地部44を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする防止手段である。
図9(A)では、断熱部材43を圧縮方向に対して平行にならない端面を重ね合わせる形状に加工(印籠加工)したものである。また、図9(B)では、圧縮方向に対して45度の角度をつけた端面同士を組み合わせるように加工(突合せ加工)したものである。図9に示した断熱部材43の端面は、真空減圧時の圧縮により目地部44を狭める方向圧縮されるため、外装材50が引き込まれることを防止できる。
【0032】
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態を説明する説明図である。
第3の実施形態は、繊維質断熱部材43を使用し、目地部44にて隣接する断熱部材43同士を縫製加工又はニードル加工により接合することを特徴とする防止手段である。
図10(A)は、縫製加工を示したものであり、縫い糸70を使用して祭り縫いなどで目地部44を数cmピッチで縫うことで、目地部44を閉めるとともに縫い糸70で外装材50の吸い込みを防止できる。図10(B)は、ニードル加工を示したものであり、ニードルパンチ71を突き刺し、一方の断熱部材43の繊維を他方の断熱部材43の繊維に絡ませて目地部44を閉じることで、外装材50の吸い込みを防止できる。
【0033】
縫製加工やニードル加工を行い、糸状物による目地部の接合を行う場合は、断熱材41の目地部44が開かないよう固定されていればよい。ニードルパンチ71の針数や打ちつけ深さなど限定されるものではない。また、縫製に用いる繊維としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、炭素繊維、ガラス繊維、フッ素樹脂被覆されたガラス繊維、金属繊維、等から選択使用されるが、これらに限定されるものではない。
こうした第3の実施形態は、上述した第1の実施形態または第2に実施形態と組み合わせることもできる。
【0034】
[第4の実施形態]
図11及び図12は、第4の実施形態を説明する説明図である。
第4の実施形態は、断熱材41の表面で目地部44を覆う固定部材を備えることを特徴とする防止手段である。
図11では、板状体の固定部材80で目地部44を覆った防止手段を示している。この固定部材80は、最低限断熱材41の表面において目地部44を覆うように固定されているだけでもよい。但し、固定部材80は目地部44全てを覆う必要はなく、その一部を数箇所覆っていればよい。また、固定部材80の厚さは、目地幅の1/2よりも大きい方が好ましい。仮に固定部材80が二つ折りになった場合でも、当該寸法であれば目地幅より大きくなり吸い込まれないからである。なお、固定部材を固定するために、例えば接着剤を使用して断熱材41の表面に接着すればよい。
【0035】
ここで、固定部材80の材質は特に限定されるものではなく、例えば、有機物・無機物・金属・もしくはそれらの複合物からなるものいずれの材料を使用してよいが、真空中での揮発性分量が少ない方が好ましい。また、板状物は外装材を傷つけない程度の柔軟性を持つ材質が好ましい。アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、エポキシ樹脂(EP)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレンポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、等が例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、固定部材80の強度が大気圧に耐えうる強度を有していれば、施工性や外装材破損の危険性はあるが厚さを目地幅の1/2以下としてもよい。
【0036】
図12では、フック・ステープル等固定具の固定部材85で目地部44を覆った防止手段を示している。断熱部材43同士を固定部材85で固定するとともに、目地部を覆って外装材50の目地部44への吸い込みを防止するものである。さらに、固定部材85の剛性を利用することにより、目地幅を例えば外装材50の厚さ1/2以下に狭めることもでき、より効率的に外装材50の目地部44への吸い込みを防止することができる。こうした固定部材85は、断熱部材43に食い込む固定部86と目地部44を覆う本体部87を備えるとともに、場合によっては、断熱材41の角部をまたがる屈曲部88を備えていればよい。こうした固定部材85の材質は金属、無機物、有機物を用いてよいが、外装材50の屈曲にあわせて変形可能であったり、目地部に入り込まないように剛性を備えるものが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)といった樹脂製の薄板や、アルミニウムやステンレスといった金属製の薄板、鋼板を使用してよいが限定されるものではない。
こうした第4の実施形態は、上述した第3の実施形態と組み合わせることもできる。
【0037】
[第5の実施形態]
図13は、第5の実施形態を説明する説明図である。
第5の実施形態は、図13(A)に示されるように、接着剤又は目地材90を目地部44に使用(塗布)して、隣接する断熱部材43同士が接合されていることを特徴とする防止手段である。接着剤又は目地材90の材質は、一種類以上の有機物・無機物又はそれらの混合物からなるもの等特に限定されるものではないが、断熱部材43にしみこみにくいものがよく、揮発成分の少ないものが好ましい。なお、第5の実施形態では、図13(B)に示されるように、接着剤又は目地材90以外にも、断熱材41内部を貫通する連結具95によって断熱部材43同士を接合するものであってもよい。
こうした第5の実施形態は、上述した第1の実施形態〜第4の実施形態のいずれか1つと組み合わせることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本願発明によれば、液体を保温貯留する断熱容器として利用でき、特に車両用エンジンのLLCを保温貯留する断熱容器に適用するものである。その他に、電気ポットなどの保温容器あるいは液化ガスなどの保冷容器にも利用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 断熱容器
20 内部容器
21 流入出口部
30 内装材
40 断熱空間
41 断熱材
42 ガス吸着材(ゲッター材)
43 断熱部材
44 目地部
45 目地部近傍の断熱材の長さ(破線部)
50 外装材
60 フランジ部材
70 糸
71 ニードルパンチ
80 固定部材(板状体)
85 固定部材(固定具)
86 固定部
87 本体部
88 屈曲部
90 接着剤又は目地材
95 連結具
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体を保温貯留する断熱容器に関するものであり、特に車両用エンジンの冷却水を保温貯留する断熱容器に適用する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策として車両用エンジンの低燃費化が強く求められている。特に、エンジン始動直後の暖機運転時の燃費を向上させることは大きな課題となっている。
車両用エンジン始動直後の燃費を向上させることを目的として、エンジンの予熱で温められた、車両用エンジンの冷却水(ロング・ライフ・クーラント:以下LLCと記す)を断熱容器に保温貯留し、次のエンジン始動時に保温されたLLCをエンジンに循環させてエンジンの暖機運転を促進する技術がある。
【0003】
このLLCを保温貯留する断熱容器には、エンジンの予熱で温められたLLCを次のエンジン始動時まで高温に維持する高い保温性能、更に、車両原価低減に伴う製造コストの低減が求められている。また、この断熱容器はエンジンルーム内に設置されるため、車両によって異なるエンジンルーム内の限定されたスペースに収納可能な形状が強く求められており、その要求に対して、特許文献1では樹脂製内部容器の周囲に高性能真空断熱材を形成した、断熱容器について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−105748号公報
【特許文献2】特開2004−308691号公報
【特許文献3】特開2004−84847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらLLCを保温貯留する断熱容器は立体的な形状であるため、断熱材は2パーツ以上に分割されているが、これら断熱材にそれぞれが別の真空系に封止された真空断熱パネル(特許文献2及び3等)を用いた場合、真空断熱パネル同士からなる目地部からの放熱を軽視することはできず、断熱容器の性能がそこなわれてしまう。
【0006】
そのため、内部容器ごと包み込んで一体成形する真空断熱材が考案された。しかしながら、この断熱材には、内部容器の形状に沿って予め成形された立体的なパーツを、複数個組み合わせて使用するため、外装材内部に断熱材を構成するパーツ部材同士の間に目地が形成される。そのため、真空封止時に、内部(断熱材)と外部の圧力差により、柔軟性のある外装材が目地に吸い込まれることが懸念される。こうした外装材は、熱伝導率の高い放熱経路となるため、保温性能の低下を招くことがわかった。
【0007】
そこで本願発明は、上記の問題点を鑑み、保温性低下させる外装材の断熱材目地部への吸い込みを確実に防止する物理的な方法を提供し、熱伝導率の低下を防止した真空断熱材を使用することにより、熱損失を最小限に抑えた断熱容器を提供することを目的とする。それによって、ひいては、エンジンルーム内等に設置され、低燃費化に寄与し、自動車から排出される温暖化ガスの低減につながるものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成することを目的として、第1の発明では、液体を保温貯留する断熱容器であって、液体の流入出口部を備えた内部容器と、内部容器を収容するシート状の外装材と、内部容器と外装材との間に立体成形された複数個の断熱部材を組み合わせて構成される断熱材とガス吸着材が封入されて減圧空間とされた断熱空間とを備え、前記断熱部材同士の接合端に形成される目地部への前記外装材の吸い込みを防止する防止手段を備えたことを特徴とする断熱容器を提供する。
第2の発明では、前記断熱材が繊維質断熱材であり、前記目地部近傍において、圧縮された減圧後の断熱材外周長さに比べて外装材外周長さが同じか又は短いことを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで「繊維質断熱材」とは、圧縮率の高い表面と圧縮率の低い端面とを備える(すなわち、繊維が配向している)。そして、表面に垂直方向の熱伝導率が低い。
また「目地部近傍」とは、目地部上を覆う外装材が断熱材に接触するまでの間で囲まれた範囲を指す。
また「圧縮された減圧後の断熱材外周長さに比べて外装材外周長さが同じか又は短い」場合とは、例えば、内部容器の角部にて、繊維質断熱材の表面と端面とが隣接して目地部が形成される場合において、減圧前、端面が表面と同じ面(面一)か、端面が表面より高ければよい。
第3の発明では、前記断熱材が繊維質断熱材であり、減圧時に前記断熱材が目地部を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする同断熱容器を提供する。
「減圧時に前記断熱材が目地部を塞ぐ方向に圧縮される」とは、例えば、内部容器の角部にて、断熱材が印籠加工または突合せ加工されている場合である。
第4の発明では、前記断熱材が繊維質断熱材であり、目地部にて隣接する断熱部材同士が縫製加工またはニードル加工により接合されていることを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで、「縫製加工」に使用される糸が窒素、酸素、水、二酸化炭素の気体のうち少なくとも1つを吸着するガス吸着機能を備えていてもよい。
第5の発明では、前記断熱材の表面で前記目地部を覆う固定部材をさらに備えることを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで「固定部材」は、断熱材表面に接着されているだけでもよい。
また「固定部材」の厚さは、目地幅の1/2より大きいほうが好ましい。
また「固定部材」は、目地部すべてを覆う必要はなく、その一部を数箇所で覆っていればよい。
第6の発明では、前記固定部材が、断熱材内部に食い込む固定部と、目地部を覆う本体部とを備えることを特徴とする同断熱容器を提供する。
第7の発明では、前記固定部材が、断熱材の角部を跨る屈曲部をさらに備えることを特徴とする同断熱容器を提供する。
第8の発明では、前記目地部にて隣接する断熱部材同士が接合されていることを特徴とする同断熱容器を提供する。
ここで、「断熱部材同士の接合」は、接着剤により接合されていてもよい。あるいは、断熱材内部を貫通する連結具により接合されていてもよい。
第9の発明では、前記接着剤、固定部材が窒素、酸素、水、二酸化炭素の気体のうち少なくとも1つを吸着するガス吸着機能を備えていることを特徴とする同断熱容器を提供する。
なお「接着剤・固定部材」がガス吸着機能を備える場合には、同断熱容器の製造のために真空チャンバー内で作業する必要がある。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、以下の(1)〜(5)にあるような防止手段を用いることで、立体成形された真空断熱材内部の断熱材目地部で、外装材の吸い込みによって熱伝導経路が形成されるのを防止し、断熱容器の性能低下を防止する効果を得ることができる。
(1)真空減圧時の圧縮率に異方性を持たせた(圧縮率の高い表面と圧縮率の低い端面を備えた配向性のある)繊維質断熱部材を使用し、圧縮後に「目地部近傍の外装材外周長さ≦断熱材外周長さ」とすることで、外装材に張力を与え、外装材の目地部への吸い込みを防止したことを特徴とする防止手段。
(2)繊維質断熱部材を使用し、減圧時に前記断熱部材が目地部を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする防止手段。
(3)繊維質断熱部材を使用し、目地部にて隣接する断熱部材同士を縫製加工又はニードル加工により接合することを特徴とする防止手段である。
(4)断熱材の表面で目地部を覆う固定部材を備えることを特徴とする防止手段。
(5)接着剤又は目地材を目地部に使用(塗布)して、隣接する断熱部材同士が接合されていることを特徴とする防止手段。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本願発明に係る断熱容器の縦断面図。
【図2】フランジ部材を示す斜視図。
【図3】フランジ部材を示す断面図。
【図4】図1における液体流入出口周辺の部分拡大図。
【図5】断熱材の目地部へ外装材が吸い込まれる状態を示した説明図。
【図6】第1の実施形態を説明する説明図(その1)。
【図7】第1の実施形態を説明する説明図(その2)。
【図8】第1の実施形態を説明する説明図(その3)。
【図9】第2の実施形態を説明する説明図。
【図10】第3の実施形態を説明する説明図。
【図11】第4の実施形態を説明する説明図(その1)。
【図12】第4の実施形態を説明する説明図(その2)。
【図13】第5の実施形態を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本願発明にかかる断熱容器の縦断面図である。
液体を保温貯留する断熱容器10は、液体の流入出口部21,21を備えた樹脂製内部容器20と、その内部容器20を収容し、その周囲にガスバリア層を形成する外装材50を備える。そして、この内部容器20と外装材50の間に断熱材41とガス吸着材42を封入し減圧状態とした断熱空間40を備える。なお、断熱容器10は、図1に示すように、内部容器20の周囲にガスバリア層を形成する内装材30を備え、この内装材30と外装材50の間に断熱空間40を備えるようにしてもよい。また、流入出口部21,21にあっては、外装材50や内装材30を接合するためのフランジ部材60,60を環装している。
【0012】
ここで、樹脂製内部容器20の素材として対応可能な樹脂は、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリルニトリルスチレン共重合体(AS)、EEA樹脂(EEA)、エポキシ樹脂(EP)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、液晶ポリマー(LCP)、MBS樹脂(MBS)、メラミンホルムアルデヒド(MMF)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルポリマー(PFA)、ポリイミド(PI)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレンポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、等から選択使用される。こういった樹脂を用いることにより、射出成形や、押出し成形により複雑形状の内部容器の成形が可能となり、生産コストを抑えることができる。
【0013】
図2及び図3は、フランジ部材を示す斜視図及び断面図である。
断熱空間40は、ガスバリア層を形成する外装材50(又は内装材30及び外装材50)を用いて接合封止するが、この外装材50(又は内装材30及び外装材50)は液体流入出口21,21に環装したフランジ部材60,60を介して接合する。フランジ部材60は、中心に流入出口部用貫通孔61を備えるとともに、大径状の上端部62と下端部64を備えた円筒形部材であり、上端部62の上面は上部フランジ面63を、下端部64の下面は下部フランジ面65を形成する(図2、図3)。フランジ部材60の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱溶着が容易にできるものから選ばれ、気体の透過性能の低いエチレンビニルアルコールが好適である。
【0014】
図4は、図1における液体流入出口周辺の部分拡大図である。
図4に示すように、このようなフランジ部材60を流入出口部21に環装させ、下部フランジ面65を内装材30と接合し、上部フランジ面63を外装材50と接合する。こうすることで、内部容器20や内部容器20外から断熱空間40への気体透過を防止できることとなる。
そして、このようなフランジ部材60を使用した接合は、内装材30や外装材50の接合作業を容易にするとともに、断熱空間40を減圧状態に保持するあるいは断熱容器10の取扱い時に、内装材30と下部フランジ面65、或いは外装材50と上部フランジ面63の接合部分において、内装材30や外装材50を破断あるいは引き剥がすような力が加わらず、信頼性の高い真空断熱層を実現できることになる。また、フランジ部材60と流入出口部21との間には、無機繊維製ペーパーのような薄片状の断熱材が介在してもよい。こうした構成によれば、フランジ部材60と流入出口部21との間から流出する熱量を低減することができ、断熱容器の断熱性をさらに向上することができる。
【0015】
また、外装材50の他に内装材30を備えた場合、内装材30は内部容器20と対向する表面側31に接着層を備えることになるが、フランジ部材60の下部フランジ面65と接合する部分にも接着層を備えることが必要になる。そこで、流入出口部21の周辺部分にあっては内装材30の表面側31を断熱空間40側に向くように貼り替える向き切替え部32を設けることとした(図4)。
なお、内装材30に向き切替え部32を設けることに限定されるものではなく、内部容器20と接する部分以外で下部フランジ面65と接合する部分にも接着層を備えるものであればよい。
【0016】
内装材30及び外装材50はガスバリア層が形成されており、上述した気体透過度を満たしていれば、材質、構造、形態に特に制限はないが、シート状のものが好適に使用できる。こういった内装材および外装材の一例として、「保護層/ガスバリア層/接着層」からなる多層構造のラミネートフィルムが挙げられる。こういったラミネートフィルムの厚さは、45〜120μmであればよく、好ましくは60〜100μmである。
【0017】
ここで、「ガスバリア層とは、気体の透過を制限する層である。JIS-K7126-1にて測定したガスバリア層を積層したラミネートフィルムの酸素透過度が1.1×10-11m3/m2・s・mPa以下であれば良く、1.1×10-12m3/m2・s・mPa以下であれば好ましい。また、断熱空間は断熱性を向上させるために大気圧より低い圧力(減圧状態)に制御されており、0.01〜100Paであればよく、好ましくは0.1〜10Paである。
【0018】
接着層を形成する材質は内部容器との接合が可能であれば特に制限はないが、本発明においては気体透過率が低いものが望ましい。具体的には、フランジ部材の材質がポリエチレンの場合、接着層はポリエチレンであればよいし、ポリプロピレンの場合、接着層はポリプロピレンであればよいし、エチレンビニルアルコールまたは金属の場合、接着層はエチレンビニルアルコールとすることが望ましい。接着層の厚さは10〜70μmであればよく、好ましくは30〜50μmである。
【0019】
ガスバリア層は気体の透過を制限することが可能であれば、その材質に特に制限はないが、例えばステンレス箔やアルミニウム箔といった金属箔が挙げられるが、低い気体透過率と安価で実用性の高いアルミニウム箔が好適に利用できる。ガスバリア層の厚さは5〜30μmであればよく、好ましくは6〜15μmである。
【0020】
保護層はガスバリア層を保護する層であり、例えば、アルミニウム箔にピンホール・クラック等の欠陥が形成されることを防ぎ、気体透過防止効果を確実にするものである。こういった保護層は、ポリエステル、ナイロンといった樹脂が好適に利用できる。保護層の厚さは10〜15μmあればよく、好ましくは20〜40μmである。また、保護層は必要に応じて複数層形成されてもよい。こうした構成によれば、樹脂の特性を生かした機能を付加することができる。
【0021】
真空断熱空間40の内部には、断熱部材43から発生するガスあるいは接合部樹脂を透過して外気より侵入するガス等により真空断熱層の真空度が万一低下することを防止するためにガス吸着剤42を封入する。ガス吸着剤42は、水分を吸着する酸化カルシウム層、酸素及び窒素を吸着するバリウム/リチウム合金層、水素を吸着する酸化コバルト層の3層構造のものを用いる。但し、バリウム/リチウム合金層は酸素及び窒素の他に水分も吸着する性質があるため、酸化カルシウム層と酸化コバルト層との間の中間層に位置する構造として夫々の層の吸着性を効率良く活用する。
【0022】
次に、図1〜4に示した断熱容器10における断熱材41を構成するために立体成形された断熱部材の製造方法を説明する。
断熱部材には、無機繊維として、ガラス長繊維をニードルパンチして作製されたガラスマットを使用する。このガラスマットの製造法としては様々な方法があるが、気流を用いてガラス長繊維を堆積させ、更にニードルパンチによるマット化する工法が好適である。この工法で繊維長さが30mm以上のガラス長繊維を用いて作製されたガラスマットは、繊維の長さ方向に破壊されることなく(短くなる)、伝熱方向(断熱部材の厚み方向)に対して垂直方向の繊維配向性が得られるため、真空断熱材を作製した際良好な断熱性能が得られる。
【0023】
前記ガラス長繊維の平均繊維径は、人体への悪影響を鑑みて6μm〜15μmが望ましいが、繊維径が太く、最も一般的で安価な10μm〜12μmが好適で実用化しやすい。また、この長繊維はロービングとヤーンの混合であり、混合比に関して製造のし易さという観点から検討を行った結果、ロービング/ヤーン比が50/50〜0/100(重量比)であればよく、好ましくは20/80〜40/60(重量比)である。
【0024】
ガラスマットの密度、厚みは、堆積させる目付量(単位面積あたりの重量)、ニードルパンチの針本数(単位面積あたりの打抜き本数)で調整することができる。厚みに関しては、真空断熱材の必要厚みによるため、特に規定するものではない。密度は50〜160kg/m3の範囲で製造できるが、好ましくは90〜160kg/m3である。ガラスマットの密度が高いほど、バインダーの添加量が少量でも、真空封止時の体積変化率の制御効果が得られるが、密度が160kg/m3を越えると、ガラスマットの熱伝導率が低下してしまい期待する断熱性能が得られなくなる可能性がある。
【0025】
ガラス長繊維はファイバー、ストランドを保護するために、サイジング処理がなされている。サイジング材は一般的にウレタン、エポキシ、ポリビニルアルコール、デンプン、植物油等の有機質材料が用いられている。サイジング材が真空封止後に気化して真空断熱材の真空度を低下させる(圧力上昇)可能性があるため、ガラスマット製造後にこれを除去する必要がある。サイジング材除去には400℃以上で30分以上の熱処理が好適である。
【0026】
上記ガラスマットの成形について説明する。水中に無機バインダーを分散させてガラスマットを含浸する。この時無機バインダーとしては、粘土、水ガラス、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル等から選択するが、熱伝導率への影響、真空封止後の体積変化率の観点から検討した結果、粘土が最も優れており、中でもベントナイトが好適である。無機バインダーとしてベントナイトを使用した場合、水溶液を作製するが、ベントナイトの添加量は0.5〜3.0wt%が良く、好ましくは0.5〜1.5wt%である。上記ベントナイト水溶液にガラスマットを含浸させ、所定の形状に成形し、乾燥させる。乾燥温度は水の沸点である100℃以上であれば良く、好ましくは200℃以上である。乾燥後、端部の切断加工、孔開け加工等を施し、断熱材41を構成する断熱部材とする。
【0027】
そして、上記のようにして立体成形された複数個の断熱部材を組み合わせて断熱材41は構成される。しかし、図5に示すように、断熱部材43同士の接合端にできる目地部44へ外装材50が吸い込まれることによって熱伝導経路が形成されるおそれがある。このため、当該目地部44に外装材50の吸い込みを防止する「防止手段」を施すこととした。以下、この「防止手段」を施した断熱容器について、第1の実施形態〜第5の実施形態を挙げて具体的に説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図6〜図8は、第1の実施形態を示す説明図である。
第1の実施形態は、真空減圧時の圧縮率に異方性を持たせた(圧縮率の高い表面と圧縮率の低い端面を備えた配向性のある)繊維質断熱部材43を使用し、圧縮後に「目地部44近傍の外装材50外周長さ≦断熱材41外周長さ」とすることで、外装材50に張力を与え、外装材50の目地部44への吸い込みを防止したことを特徴とする防止手段である。
【0029】
すなわち、図6に示すように、断熱部材43を配置すると断熱部材43が圧縮されたときに「目地部44近傍の外装材50外周長さ>断熱材41外周長さ(破線45)」となり、外装材50が余る。そのため目地部44に吸い込まれる。
これに対して、図7に示すように、断熱部材43を配置すると断熱部材43が圧縮されたときに「目地部44近傍の外装材50外周長さ≦断熱材41外周長さ」となり、外装材50にテンションがかかるため吸い込まれない。
【0030】
第1の実施形態の防止手段を整理すると、図8に示すようになる。すなわち、断熱容器10の内部容器20端面からはみだした断熱部材43の寸法Xと断熱部材43の厚さaと厚さ方向への圧縮率αが、図8に示す関係を満たすように組み合わされたとき、外装材50の吸い込みを防止できるものである。ここで、a(1−α)とは真空封止による圧縮後の断熱部材43の厚さである。
なお、これらの関係は目地部44近傍で成り立てばよく、例えば目地のない辺において、一辺を覆うに余剰となった外装材50はシワをつくる。圧縮後のシワは大気圧により断熱材41に押し付けられているため、目地部44に吸い込まれることはない。
【0031】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態を説明する説明図である。
第2の実施形態は、繊維質断熱部材43を使用し、減圧時に前記断熱部材43が目地部44を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする防止手段である。
図9(A)では、断熱部材43を圧縮方向に対して平行にならない端面を重ね合わせる形状に加工(印籠加工)したものである。また、図9(B)では、圧縮方向に対して45度の角度をつけた端面同士を組み合わせるように加工(突合せ加工)したものである。図9に示した断熱部材43の端面は、真空減圧時の圧縮により目地部44を狭める方向圧縮されるため、外装材50が引き込まれることを防止できる。
【0032】
[第3の実施形態]
図10は、第3の実施形態を説明する説明図である。
第3の実施形態は、繊維質断熱部材43を使用し、目地部44にて隣接する断熱部材43同士を縫製加工又はニードル加工により接合することを特徴とする防止手段である。
図10(A)は、縫製加工を示したものであり、縫い糸70を使用して祭り縫いなどで目地部44を数cmピッチで縫うことで、目地部44を閉めるとともに縫い糸70で外装材50の吸い込みを防止できる。図10(B)は、ニードル加工を示したものであり、ニードルパンチ71を突き刺し、一方の断熱部材43の繊維を他方の断熱部材43の繊維に絡ませて目地部44を閉じることで、外装材50の吸い込みを防止できる。
【0033】
縫製加工やニードル加工を行い、糸状物による目地部の接合を行う場合は、断熱材41の目地部44が開かないよう固定されていればよい。ニードルパンチ71の針数や打ちつけ深さなど限定されるものではない。また、縫製に用いる繊維としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、炭素繊維、ガラス繊維、フッ素樹脂被覆されたガラス繊維、金属繊維、等から選択使用されるが、これらに限定されるものではない。
こうした第3の実施形態は、上述した第1の実施形態または第2に実施形態と組み合わせることもできる。
【0034】
[第4の実施形態]
図11及び図12は、第4の実施形態を説明する説明図である。
第4の実施形態は、断熱材41の表面で目地部44を覆う固定部材を備えることを特徴とする防止手段である。
図11では、板状体の固定部材80で目地部44を覆った防止手段を示している。この固定部材80は、最低限断熱材41の表面において目地部44を覆うように固定されているだけでもよい。但し、固定部材80は目地部44全てを覆う必要はなく、その一部を数箇所覆っていればよい。また、固定部材80の厚さは、目地幅の1/2よりも大きい方が好ましい。仮に固定部材80が二つ折りになった場合でも、当該寸法であれば目地幅より大きくなり吸い込まれないからである。なお、固定部材を固定するために、例えば接着剤を使用して断熱材41の表面に接着すればよい。
【0035】
ここで、固定部材80の材質は特に限定されるものではなく、例えば、有機物・無機物・金属・もしくはそれらの複合物からなるものいずれの材料を使用してよいが、真空中での揮発性分量が少ない方が好ましい。また、板状物は外装材を傷つけない程度の柔軟性を持つ材質が好ましい。アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、エポキシ樹脂(EP)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリテトラフルオロエチレンポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、等が例として挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、固定部材80の強度が大気圧に耐えうる強度を有していれば、施工性や外装材破損の危険性はあるが厚さを目地幅の1/2以下としてもよい。
【0036】
図12では、フック・ステープル等固定具の固定部材85で目地部44を覆った防止手段を示している。断熱部材43同士を固定部材85で固定するとともに、目地部を覆って外装材50の目地部44への吸い込みを防止するものである。さらに、固定部材85の剛性を利用することにより、目地幅を例えば外装材50の厚さ1/2以下に狭めることもでき、より効率的に外装材50の目地部44への吸い込みを防止することができる。こうした固定部材85は、断熱部材43に食い込む固定部86と目地部44を覆う本体部87を備えるとともに、場合によっては、断熱材41の角部をまたがる屈曲部88を備えていればよい。こうした固定部材85の材質は金属、無機物、有機物を用いてよいが、外装材50の屈曲にあわせて変形可能であったり、目地部に入り込まないように剛性を備えるものが好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)といった樹脂製の薄板や、アルミニウムやステンレスといった金属製の薄板、鋼板を使用してよいが限定されるものではない。
こうした第4の実施形態は、上述した第3の実施形態と組み合わせることもできる。
【0037】
[第5の実施形態]
図13は、第5の実施形態を説明する説明図である。
第5の実施形態は、図13(A)に示されるように、接着剤又は目地材90を目地部44に使用(塗布)して、隣接する断熱部材43同士が接合されていることを特徴とする防止手段である。接着剤又は目地材90の材質は、一種類以上の有機物・無機物又はそれらの混合物からなるもの等特に限定されるものではないが、断熱部材43にしみこみにくいものがよく、揮発成分の少ないものが好ましい。なお、第5の実施形態では、図13(B)に示されるように、接着剤又は目地材90以外にも、断熱材41内部を貫通する連結具95によって断熱部材43同士を接合するものであってもよい。
こうした第5の実施形態は、上述した第1の実施形態〜第4の実施形態のいずれか1つと組み合わせることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本願発明によれば、液体を保温貯留する断熱容器として利用でき、特に車両用エンジンのLLCを保温貯留する断熱容器に適用するものである。その他に、電気ポットなどの保温容器あるいは液化ガスなどの保冷容器にも利用することも可能である。
【符号の説明】
【0039】
10 断熱容器
20 内部容器
21 流入出口部
30 内装材
40 断熱空間
41 断熱材
42 ガス吸着材(ゲッター材)
43 断熱部材
44 目地部
45 目地部近傍の断熱材の長さ(破線部)
50 外装材
60 フランジ部材
70 糸
71 ニードルパンチ
80 固定部材(板状体)
85 固定部材(固定具)
86 固定部
87 本体部
88 屈曲部
90 接着剤又は目地材
95 連結具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保温貯留する断熱容器であって、液体の流入出口部を備えた内部容器と、内部容器を収容するシート状の外装材と、内部容器と外装材との間に立体成形された複数個の断熱部材を組み合わせて構成される断熱材とガス吸着材が封入されて減圧空間とされた断熱空間とを備え、前記断熱部材同士の接合端に形成される目地部への前記外装材の吸い込みを防止する防止手段を備えたことを特徴とする断熱容器。
【請求項2】
請求項1に記載の断熱容器において、前記断熱材は繊維質断熱材であり、前記目地部近傍において、断熱材外周長さに比べて外装材外周長さが同じか又は短いことを特徴とする断熱容器。
【請求項3】
請求項1に記載の断熱容器において、前記断熱材は繊維質断熱材であり、前記断熱材が目地部を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする断熱容器。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の断熱容器において、前記断熱材は繊維質断熱材であり、目地部にて隣接する断熱材同士が縫製加工またはニードル加工により接合されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項5】
請求項1に記載の断熱容器において、前記断熱材の表面で前記目地部を覆う固定部材をさらに備えることを特徴とする断熱容器。
【請求項6】
請求項5に記載の断熱容器において、前記固定部材は、断熱材内部に食い込む固定部と、目地部を覆う本体部とを備えることを特徴とする断熱容器。
【請求項7】
請求項6に記載の断熱容器において、前記固定部材は、断熱材の角部を跨る屈曲部をさらに備えることを特徴とする断熱容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の断熱容器において、前記目地部にて隣接する断熱材同士が接合されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項9】
請求項5〜8いずれか1つに記載の断熱容器において、前記接着剤、固定部材が窒素、酸素、水、二酸化炭素の気体のうち少なくとも1つを吸着するガス吸着機能を備えていることを特徴とする断熱容器。
【請求項1】
液体を保温貯留する断熱容器であって、液体の流入出口部を備えた内部容器と、内部容器を収容するシート状の外装材と、内部容器と外装材との間に立体成形された複数個の断熱部材を組み合わせて構成される断熱材とガス吸着材が封入されて減圧空間とされた断熱空間とを備え、前記断熱部材同士の接合端に形成される目地部への前記外装材の吸い込みを防止する防止手段を備えたことを特徴とする断熱容器。
【請求項2】
請求項1に記載の断熱容器において、前記断熱材は繊維質断熱材であり、前記目地部近傍において、断熱材外周長さに比べて外装材外周長さが同じか又は短いことを特徴とする断熱容器。
【請求項3】
請求項1に記載の断熱容器において、前記断熱材は繊維質断熱材であり、前記断熱材が目地部を塞ぐ方向に圧縮されることを特徴とする断熱容器。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載の断熱容器において、前記断熱材は繊維質断熱材であり、目地部にて隣接する断熱材同士が縫製加工またはニードル加工により接合されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項5】
請求項1に記載の断熱容器において、前記断熱材の表面で前記目地部を覆う固定部材をさらに備えることを特徴とする断熱容器。
【請求項6】
請求項5に記載の断熱容器において、前記固定部材は、断熱材内部に食い込む固定部と、目地部を覆う本体部とを備えることを特徴とする断熱容器。
【請求項7】
請求項6に記載の断熱容器において、前記固定部材は、断熱材の角部を跨る屈曲部をさらに備えることを特徴とする断熱容器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の断熱容器において、前記目地部にて隣接する断熱材同士が接合されていることを特徴とする断熱容器。
【請求項9】
請求項5〜8いずれか1つに記載の断熱容器において、前記接着剤、固定部材が窒素、酸素、水、二酸化炭素の気体のうち少なくとも1つを吸着するガス吸着機能を備えていることを特徴とする断熱容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−235176(P2010−235176A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86777(P2009−86777)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
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