説明

断熱性板紙

【課題】良好な断熱特徴を有する、セルロース系材料から製造された断熱性板紙を提供することを課題とする。更に、特定の最終用途に合せて板紙の温度降下を調節できるように、種々の断熱特徴を提供するように作ることができる断熱性板紙を提供することを課題とする。
【解決手段】少なくとも1つのセルロース繊維層を含有する断熱性板紙。この1つの層は、少なくとも部分的に加工セルロース系繊維から構成される。断熱性板紙は、板紙全体にわたって熱水ΔTが厚さ0.1mmあたり少なくとも0.8℃であるような充分な断熱性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、断熱性板紙に関し、より特定的には、加工セルロース系繊維(processed cellulosic fibers)を含有する断熱性板紙に関する。
【0002】
高温の食物、特に高温の液体は、通常、使い捨て容器に給仕され消費される。これらの容器は、板紙や発泡ポリマーシート材料などの種々の材料から製造されている。板紙材料のうち最も費用のかからない供給源の一つは、セルロース繊維である。セルロース繊維を使用して、高温用カップ、プレス成形された板紙プレートやボウル、他の食物用及び飲料用容器を作るためのすぐれた板紙が製造される。しかし、セルロース系繊維から製造される慣用的な板紙は比較的高密度であり、それゆえ、例えば発泡ポリマーシート材料よりも熱を伝導しやすい。そのため、高温液体は、典型的には、慣用的な板紙でできたカップを二重にするか、又はスリーブを付けたカップに給仕される。
【0003】
良好な断熱特徴を有する、セルロース系材料から製造された断熱性板紙を入手することが望ましい。そうすれば、使用者は、容器の中の食物が温かいか又は熱いことを感知することができ、同時に容器の中の食物又は飲料の消費者は、過度な温度を感知することなく、容器を非常に長い間、手にもつことができるようになる。特定の最終用途に合せて板紙の温度降下を調節できるように、種々の断熱特徴を提供するように作ることができる断熱性板紙を提供することが更に望ましい。
【0004】
図1を参照すると、本発明の断熱性板紙12のための基板10は、セルロース系繊維などの容易に入手可能な繊維から慣用的な方法で製造される。本発明の板紙は、所望により、シングルプライ構造、2プライ構造、又は、多プライ構造に製造することができる。
【0005】
本発明の顕著な特徴は、シングルプライ構造であるか多プライ構造であるかにかかわらず、断熱性板紙の少なくとも1つのプライ14が、化学パルプ繊維に加えて加工セルロース系繊維を含有することである。加工セルロース系繊維は、板紙の断熱特徴を高める。本明細書中に定義するように、本発明に使用可能な化学パルプ繊維は、主として、木材パルプから誘導されるが、リファイニングされていてもよい。本発明に関して使用するのに適する木材パルプ繊維は、その後の漂白の有無にかかわらず、クラフト法や亜硫酸法などの周知の化学的方法から得ることができる。木材パルプ繊維の選択に関する詳細は、当業者には周知である。例えば、本発明において使用可能な、サザンパインから製造された適するセルロース系繊維(化学パルプ繊維)は、ウェアーハウザー・カンパニー(Weyerhaeuser Company)を含む数多くの会社から、CF416、PL416、FR416及びNB416の名称で入手可能である。漂白クラフトウェットラップパルプ、KKT、プリンスアルバート針葉樹材、及びグランドプレーリー針葉樹材は、すべてウェアーハウザー社により製造されたものであり、使用することができる北方針葉樹材の例である。本明細書中で定義するように、加工セルロース系繊維としては、1)化学的に処理して、セルロースをセルロースIからセルロースIIへと変化させた繊維が挙げられ、例えば、マーセル化が漂白工程において一段階で行われる、マーセル化繊維やマーセル化フラッシュ乾燥繊維などである。HPZなどのマーセル化繊維、ならびに、HPZ III(いずれも、テネシー州メンフィスのバックアイ・テクノロジーズ(Buckeye technologies)製)及びジョージア州ジェサップのレイヨニール・パフォーマンス・ファイバー・ディヴィジョン(Rayonier Performance Fibers Division)から入手可能なポロシニエール(Porosinier)−J−HPなどのマーセル化フラッシュ乾燥繊維は、本発明において使用するのに適している。これらのマーセル化針葉樹材パルプは、95%以上のα−セルロース純度を有しており、堅い繊維である。また、加工セルロース繊維としては、2)ケミサーモメカニカルパルプ繊維(CTMP)、漂白ケミサーモメカニカルパルプ繊維(BCTMP)、サーモメカニカルパルプ繊維(TMP)、リファイナー砕木パルプ繊維、及び砕木パルプ繊維などの機械的又は化学的機械的に処理された繊維が挙げられる。また、再利用された、又は二次的な木材パルプ繊維も適している。
【0006】
これらのパルプの例は、ノースカロライナ州グリーンヴィルのボウォーター(Bowater)により製造されたTMP(サーモメカニカルパルプ)、ワシントン州フェデラルウェイのウェアーハウザーにより、木材チップをデュアルリファイナーの三段階に通過させることにより製造されたTMP(サーモメカニカルパルプ)、及びCTMP NORPAC新聞用紙グレード(白色度は53〜75である)として販売され、ワシントン州ロングビューのノルパック(NORPAC)から得られるCTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)である。他の加工繊維としては、2004年8月20日付けで出願された米国特許出願第10/923,447に記載の方法により、ウェアーハウザー・カンパニーにより製造された、ジェット乾燥セルロース系繊維及び処理ジェット乾燥セルロース系繊維が挙げられる。この方法では、パルプ繊維のスラリーをおよそ34%のコンシステンシーまで脱水し、次いで、入口温度がおよそ190℃〜400℃、出口温度がおよそ50℃〜205℃であり、流れの圧力がおよそ1082kPa(157psig)であるジェット乾燥機に通過させる。これらの繊維は、ねじれ、よれ、カールがついている。更なる加工繊維としては、米国特許第6,837,970号に記載されるようなフラッシュ乾燥繊維及び処理フラッシュ乾燥繊維が挙げられる。また、加工繊維の混合物も使用することができる。
【0007】
本発明の板紙は、幅広い特徴を有することができる。例えば、一の態様においては、本発明の板紙の坪量は、200gsm〜500gsmであることができ、別の態様においては、坪量は250gsm〜400gsmであることができる。更に別の態様においては、板紙の坪量は250gsm以上である。一の態様においては、断熱性板紙は、0.5g/cc未満の密度を有し、別の態様においては、密度は0.3g/cc〜0.45g/ccであり、別の態様においては、密度は0.35g/cc〜0.40g/ccである。
【0008】
板紙の少なくとも1つのプライが、本発明にしたがった加工セルロース系繊維を含有する場合は、有利な温度降下特徴を実現することができる。これらの温度降下特徴は、板紙に導入される加工繊維の量を変える、板紙の坪量を調節する、例えばニップロールを通過させることにより、製造された後の板紙の厚さを調節する、そしてもちろん、板紙構造中に組み込む追加のプライの数と厚さを変化させることにより、実現することができる。一の態様においては、板紙は、0.4mm以上の厚さ、230gsm以上の坪量、及び約0.5g/cc未満の密度を有する。断熱性板紙の特性を以下の表1に示す。
【0009】
【表1】

【0010】
別の態様においては、本発明の板紙は、0.5mmの厚さにて少なくとも4.4℃の熱水ΔT、また少なくとも1mmの厚さにて8.65℃の熱水ΔTを示す。厚さに対する熱水ΔT(以下に定義する)の関係は、0.4mm〜1mmの厚さにおいて一次の関係であり、厚さが0.4mm未満に減少するか又は1mmを超えて増加しても一次であり続ける。換言すれば、0.4mm以上の厚さを有する本発明にしたがって構成された板紙は、厚さ0.1mmあたり約0.8℃の熱水ΔTを示すことになる。これらの温度の値は、厚さ対ΔTの一次回帰式に基づいている。上方及び下方信頼限界は、以下の表2に示すデータから回帰線の各点について計算することができる。統計的なパラメータを表2に示す。
【0011】
【表2】

【0012】
上の表2において確立された係数を用いて、次の関係を異なる厚さレベルでのΔTを確立した。
【0013】
【表3】

【0014】
本発明の板紙は、シングルプライの製品であることができる。シングルプライの製品を使用する場合は、本発明の板紙の低密度特徴により、妥当な坪量にて厚い板紙の製造が可能となる。通常の板紙と同じ断熱特徴を実現するためには、通常の板紙の厚さを本発明の物に対して2倍にしなければならないであろう。本発明の加工セルロース系繊維を用いると、通常の板紙と同じ坪量を有する断熱性板紙を製造することができる。効果的なことには、小さな変更を加えて生産性がわずかに減損するが、このことにより現存する板紙製造機で断熱性板紙を製造することが可能となる。そのうえ、1プライの板紙は、全体の構造が低密度であるという利点を有する。別の態様では、本発明の板紙は多プライの製品であることができ、2プライ、3プライ、又はそれより多いプライが挙げられる。シングルプライより多くを含む板紙は、乾燥の前か後のいずれかに、複数のプライを組合わせることにより製造することができる。多プライの板紙は、ウェット・フォーミング・プロセスにおいて連続して配置した多数のヘッドボックスを使用するか、又は、受容する収容力を有するバッフル付きヘッドボックスを使用して、多数のパルプ紙料を配備することにより製造することができる。多プライ製品のうち個々のプライは、同じであっても異なっていてもよい。
【0015】
本発明の板紙は、例えば、ロトフォーマー、フォードリニア(長網式)、傾斜ワイヤ・デルタフォーマー、及びツインワイヤ・フォーミング・マシンを含む慣用的な抄紙機を用いて形成することができる。
【0016】
一の態様において、シングルプライの板紙を本発明にしたがって使用する場合は、その組成は均一である。しかし、シングルプライは組成に関して層状にしてもよく、一方の層が加工セルロース系繊維を多く含み、他方の層が、滑らかで、密度が高く、小孔が少ない表面を提供するためにセルロース系繊維を多く含んでいてもよい。
【0017】
最も経済的であるのは、組成が均一な板紙であって、加工セルロース系繊維をセルロース繊維と均一に混合したものを製造することである。一の態様においては、加工セルロース系繊維は、約25%〜約70%の量で断熱性プライ又は層中に存在し、別の態様においては、約30%〜約60%の量で存在する。2プライ構造においては、例えば、第一のプライはセルロース系繊維を100%含有し、第二のプライは加工セルロース繊維を35%〜60%含有してもよい。一の態様においては、3プライの層において、底層及び上層はセルロース系繊維を100%含有し、中間層は加工セルロース系繊維を約25%〜約75%含有してもよい。別の態様においては、3プライの層において、中間層は加工セルロース系繊維を約35%〜約60%含有してもよい。
【0018】
本発明の板紙は、幅広い強度特性を有する。例えば、一の態様においては、テーバー剛性は、約125g−cm〜約1100g−cmであることができる。別の態様においては、テーバー剛性は、約400g−cm〜約800g−cmであり、更に別の態様においては、テーバー剛性は、約500g−cm〜約650g−cmである。テーバー剛性は、報告される単位を除いて、ISO24393:1992Eにより測定した。対応するTAPPIは、489 OM−92である。
【0019】
また、かかる板紙は、調節することができる一定の範囲の引張特性を有する。一の態様においては、比引張強さは、約20Nm/g〜約70Nm/gである。別の態様においては、比引張強さは、約30Nm/g〜約50Nm/gであり、更に別の態様においては、35Nm/g〜45Nm/gである。比引張強さは、TAPPI494により測定した。
【0020】
慣用的な厚紙からカップへの加工操作においては、この操作の間に層間剥離が起きないように、適切なリム又はトップ・カールを形成するためには、最小のZ方向の引張り(ZDT)が275kPaであることが必要だと見積もられている。本発明の板紙に関して、下方の範囲をおよそ100kPaまで広げることができる。一の態様においては、ZDT(Z方向の引張り)は約150kPa〜約650kPaであり、別の態様においては、ZDTは約300kPa〜約500kPaである。ZDTは、TAPPI541により測定した。
【0021】
シートの嵩は、TAPPI411により測定し、シート密度はシートの嵩の逆数として計算した。
【0022】
本発明の板紙は、断熱特徴を有することが望ましい種々の構造、特に容器を作るために利用することができる。図2を参照すると、これらの容器のうちで最も一般的なもののひとつは、コーヒーや茶などのような温かい飲み物用に利用される広く普及している高温用カップである。また、改良された断熱特性から利益を得ることができるであろう、スープカップやプレス成形されたプレート及びボウルなどの、他の食品サービス用品も本発明の板紙を組み込むことができる。更に、慣用的に板紙や発泡材料から製造される持ち帰り用容器も本発明の板紙を使用することができる。図2に示すように、本発明にしたがって製造される高温用カップタイプの容器は、一つ又はそれより多いプライ22及び24を含んでもよく、そのうちの一つ、この例では24が、加工セルロース系繊維を含有する。この態様においては、加工セルロース系繊維は、内部のプライ24中に存在する。液体不浸透性の裏材26は、好ましくは、内部プライに積層される。裏材は、例えば、ポリエチレンのような種々の熱可塑性材料を含んでもよい。カップの底部において使用される板紙は、加工セルロース系繊維を含有しないことが好ましい。
【0023】
繊維質の材料のほかに、本発明の板紙は結合剤を含んでいてもよい。適する結合剤は、水中において溶解性であるか、分散性であるか、懸濁液を形成する。適する結合剤としては、製紙産業においてかかる製品に湿潤及び乾燥引張・引裂強さを付与するために広く使用されるものが挙げられる。適する湿潤強度向上剤としては、ニュージャージー州ブリッジウォーターのナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Corp.)から入手可能なものなどの、窒素含有基(例えば、アミノ基)を有するカチオン化工デンプン;ラテックス;ポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂(例えば、KYMENE 557LX,ハーキュリーズ社(Hercules, Inc.),ウィルミントン,デラウェア州)及びポリアクリルアミド樹脂(例えば、米国特許第3,556,932号を参照されたい。また、コネチカット州スタンフォードのアメリカン・シアナミド社(American Cyanamid Co.)によりPAREZ 631 NCの商品名で市販される商業的に入手可能なポリアクリルアミド。)などの、湿潤強力樹脂;尿素ホルムアルデヒド及びメラミンホルムアルデヒド樹脂;及びポリエチレンイミン樹脂が挙げられる。製紙分野において利用され、本発明において一般的に適用可能な湿潤強力樹脂に関する一般的な解説は、TAPPIモノグラフシリーズNo.29,「紙及び板紙の湿潤強度(Wet Strength in Paper and Paperboard)」,米国紙パルプ技術協会(ニューヨーク,1965年)に見出すことができる。
【0024】
他の適する結合剤としては、デンプン、化工デンプン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレン/アクリル酸コポリマー、アクリル酸ポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアミン、グアールガム、酸化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/アクリル酸コポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、及びポリアクリロニトリルが挙げられる。これらのうち殆どは、水中に分散又は懸濁させるためのラテックスポリマーへと形成されることになる。
【0025】
熱水ΔT試験手順
以下の実施例では種々の試験方法を利用する。熱水ΔTは、紙製カップにおける熱移動を模擬するシミュレート試験機で測定する。12.1cm×12.1cm×12.1cm寸法のプレクシグラス製の箱は、8.9cm×8.9cmの開口部を有している。この箱は、厚さ2.54cmのポリスチレンフォームにより断熱されている。板紙の試料は、3M(ミネソタ州セントポール)によるTartan(商標)ラベル保護テープ・クリア3765を用いて一表面上を積層する。別の方法では、ポリエチレンを板紙の表面上に押出してもよい。87.8℃の温度の熱水をこの箱に注ぎ、小さい攪拌子を挿入し、試料のポリエチレンコート面を装置中に入れる。次いで、この箱を、水が完全に試料と接触するように水平面に対して90°回転し、攪拌板上に置いて測定段階の間に攪拌できるようにする。熱電対マイクロプローブを5つ、板紙表面の外部に伝導性テープにより貼る。データ自動記録装置により、内部の水の温度と外部表面の温度を記録する。これらの温度から温度降下(熱水ΔT)を計算することができる。換言すれば、ΔTは、内部の水の温度と外部の表面温度の差である。水の温度が82.2℃に到達したら、放射率0.93の赤外線カメラを29.7cm離れた試料の外部に向け、IR放射を測定する。このIR銃を使用して、熱電対の精度を校正する。
【0026】
以下の実施例において、本発明にしたがって表1に示す手すき紙試料を調製した。
【0027】
実施例1
この方法は、60%のCTMPを含む300gsmの板紙を製造する例である。種々の坪量及び加工繊維レベルである表1に示す他の板紙は、繊維及び他の添加物を適する量及び重量に調節して製造することができる。表1に示すすべての試料において、漂白ダグラスファー成分は510CSFまでリファイニングし、クリル(crill)(50CSFまでリファイニングした漂白ダグラスファー)を全乾燥繊維重量の5%のレベルですべての試料に添加した。
【0028】
CTMP繊維(40.83%コンシステンシー)44.44g、510CSFまでリファイニングしたダグラスファー(29.1%コンシステンシー)37.4g、50CSFまでリファイニングしたダグラスファー(2.5%コンシステンシー)(クリル(crill))60.5g、及びポリビニルアルコール(テキサス州ダラスのセラニーズ(Celanese)から入手可能なCelvol 165SF PVOH)3.02g(100%固体)をブリティッシュ・ディスインテグレーター中で5分間崩壊させた。この混合物を脱イオン水により4Lに希釈して、NaHCOを用いて7.2−7.4のpHに調節した。等量である1g/kg(2Lb/T)Kymene及び0.13g/kg(0.26lb/T)のPerform−PC8138(いずれもデラウェア州ウィルミントンのハーキュリーズ(Hercules)から入手可能)をそれぞれ1%溶液から添加し、2分間混合した。2g/kg(4lb/T)のAKD(デラウェア州ウィルミントンのハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)から入手可能なアルキルケトンダイマー)及び4.25g/kg(8.25lb/トン)のデンプン(イリノイ州ディケーターのテート・ライル(Tate-Lyle)から入手可能なSta−Lok 300)をそれぞれ添加し、混合物を2分間攪拌した。31.75cm×31.75cmのフォーミング・ワイヤ(155メッシュ)をノーブル・アンド・ウッド(Noble & Wood)の12インチ×12インチの手すき紙用型の底に入れ、このスラリーを手すき紙用型に注ぎ、脱イオン水で35リットルまで希釈し、プランジャーで混合した。次いで、スラリーを排出し、シートがおよそ20%のコンシステンシーに到達するまで、平らなハンドプレスにより吸い取り紙を用いることにより脱水した。シートをスクリーンから取り出し、更におよそ30%固形物まで吸い取った。試料の各々の面上に吸い取り紙を置き、この試料を湿りフェルトの間に入れ、次いで137.8kPa(20psi)にてプレスを通過させて、更に試料を脱水した。この時点での固体含量は、およそ40%であった。得られたシートを、ドラム乾燥機上で2枚の乾燥吸い取り紙の間に入れ(表面温度121℃)、10分間乾燥させた。次いで、試料を反転させ、更に10分間乾燥させた。この試料を試験の前に最低4時間、相対湿度50%の部屋の中で適応させた。
【0029】
前述の本願明細書は、好ましい態様と種々の変更及び変法に関連して説明してきた。当業者であれば、本明細書中に与えられた広い概念から逸脱することなく、開示された発明において均等物と置換することができるであろう。したがって、本発明は、添付する特許請求の範囲に記載された規定によってのみ限定されるものと意図している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明にしたがって構成することができる2プライ板紙の概略断面図である。
【図2】図2は、図1に示したものと同様の板紙から作られた高温用カップについて一部を破断した等尺図である。
【図3】図3は、図2に示す高温用カップを作るために使用した板紙の一部の拡大断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセルロース繊維の層を含む断熱性板紙であって、該セルロース繊維の少なくとも一部が加工セルロース系繊維を含み、前記加工繊維が前記少なくとも1つの層の25%〜70%の量で存在し、前記板紙が、該板紙全体にわたって厚さ0.1mmあたり少なくとも0.8℃である熱水ΔTを与えるのに充分に断熱性である、前記断熱性板紙。
【請求項2】
加工繊維が、化学的に処理された繊維、マーセル化繊維、機械的に処理された繊維、化学的機械的に処理された繊維、ジェット乾燥された繊維、フラッシュ乾燥された繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1記載の断熱性板紙。
【請求項3】
加工繊維がマーセル化繊維である、請求項2記載の断熱性板紙。
【請求項4】
加工繊維がCTMP繊維である、請求項2記載の断熱性板紙。
【請求項5】
加工繊維がBCTMP繊維である、請求項2記載の断熱性板紙
【請求項6】
加工繊維がTMP繊維である、請求項2記載の断熱性板紙。
【請求項7】
加工繊維がジェット乾燥繊維である、請求項2記載の断熱性板紙。
【請求項8】
加工繊維がフラッシュ乾燥繊維である、請求項2記載の断熱性板紙。
【請求項9】
板紙が0.5g/cc未満の密度を有する、請求項1記載の断熱性板紙。
【請求項10】
板紙が250gsm〜400gsmの坪量を有する、請求項1記載の断熱性板紙。
【請求項11】
板紙が250gsm以上の坪量を有する、請求項1記載の断熱性板紙。
【請求項12】
板紙の厚さが0.5mm以上である、請求項1記載の断熱性板紙。
【請求項13】
板紙が、0.6mmの厚さにて少なくとも5.3℃の熱水ΔT及び1.25mmの厚さにて10.8℃の熱水ΔTを有し、前記熱水ΔTが、4℃未満から10.3℃を超えるまでの温度範囲において、厚さに対して実質的に一次の推移を示す、請求項1記載の断熱性板紙。
【請求項14】
一次の推移が、4℃のΔTから10.3℃のΔTまで継続する、請求項13記載の断熱性板紙。
【請求項15】
板紙が少なくとも2プライの板紙であり、少なくとも1つのプライが加工セルロース系繊維を含有する、請求項1記載の断熱性板紙。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−9399(P2007−9399A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166082(P2006−166082)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(302009279)ウェヤーハウザー・カンパニー (36)
【Fターム(参考)】