説明

断熱板および断熱板の製造方法

【課題】発泡ポリウレタンの樹脂液を注入する為の窓部の位置により真空断熱材の形状や大きさが限定されず、また、真空断熱材の当初固定場所からの位置ズレを抑制する。
【解決手段】厚さA方向が幅B及び長さCよりも小さいケース11と、ケース11内に幅Bと長さCで形成される面12に少なくとも一つの面を密着し厚さA方向において片側に空間13を形成して配置された真空断熱材14とを具備した断熱板10において、空間13へ発泡ポリウレタン樹脂液15を注入する注入部16を厚さAを形成する面17に設けたことにより、発泡ポリウレタンの樹脂液15を注入する為のケース11に設けられた注入部16の位置により真空断熱材14の形状や大きさが限定されず、また、真空断熱材14の当初固定場所からの位置ズレを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空断熱材を使用した断熱板および断熱板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護が大きく叫ばれるなか、製品の省エネルギー化は緊急に取り組むべき重要な課題となってきている。この解決方法の一つとして、無駄な熱の伝熱を防ぐ目的での真空断熱材を使用した断熱板の適用がある。さらに断熱板の適用の一例として風呂蓋がある。
【0003】
風呂蓋は、浴槽に貯められたお湯の熱を、外部へ逃がしにくくするために、一般に熱伝導率の比較的低い材料である塩化ビニル樹脂が多く使用されてきた。しかし、塩化ビニル樹脂を使用した風呂蓋を、お湯を貯めた浴槽に使用すると、浴槽のお湯の熱が、風呂蓋を伝わって外部に放出されやすいために、長時間お湯の温度を低下させずに保つことは困難であるという課題がある。
【0004】
そこで、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができる風呂蓋について開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図12は、従来の風呂蓋の平面図である。図12に示すように、風呂蓋81は対向して平行に配設される2枚の樹脂製外板材82と、2枚の樹脂製外板材82の周縁部に沿って配設される樹脂製又はエラストマー製端縁被覆部材83と、端縁被覆部材83と2枚の樹脂製外板材82とによって形成された空間84に注入されて発泡して充填固化された発泡ポリウレタン85と、を備え、空間84内に真空断熱材86が内蔵されている。ここで、発泡ポリウレタン85の樹脂液は窓部87から注入され、最後に塞ぎ板88で塞がれる。また、窓部87は真空断熱材86以外の部分で、発泡ポリウレタン85の樹脂液が注入可能となる位置に設けられている。さらに、真空断熱材86は樹脂製外板材82と密着して配置している。
【0006】
このようにして風呂蓋81の内部に、低い熱伝導率である発泡ポリウレタン85とさらに低い熱伝導率である真空断熱材86を内蔵することにより、断熱性能を向上し、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができるというものである。
【特許文献1】特開2005−334141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示される上記従来の構成では、窓部87は真空断熱材86以外の部分で、発泡ポリウレタン85の樹脂液が注入可能となる位置に設けられているために、発泡ポリウレタン85の樹脂液を注入する為の窓部87の位置により真空断熱材86の形状や大きさが限定されるため、浴槽のお湯の熱が風呂蓋を伝わって外部へ放出されやすく、長時間お湯の温度を低下させずに保つことが困難であった。また、発泡ポリウレタン85の樹脂液の注入時に発泡圧力により動いて当初固定場所から位置ズレを生じ、位置ズレにより発泡不良を生じるという課題があった。さらに、発泡ポリウレタン85の樹脂液を注入する為の窓部87の位置が、風呂蓋の最も面積の広い面に存在するために立てて、発泡ポリウレタン85の樹脂液を注入することができず、作業時のスペースが広く必要であった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するために、厚さ方向が幅及び長さよりも小さいケース内に、真空断熱材をケースにおける最も大きな面積を有する一方の面に密着させ、厚さを形成する面より、前記ケース内に発泡ポリウレタン樹脂液を注入し、発泡ポリウレタンによって真空断熱材が包まれるように充填固化することにより、真空断熱材の有効断熱面積を向上させることができ、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができる高断熱な断熱板を提供できる。また、ウレタン樹脂液の注入時に発泡圧力により真空断熱材が動いて当初固定場所から位置ズレを生じることもなく高品質で長期間、省エネルギーを保つ断熱板を提供できる。さらに、断熱板の最も大きな面積を有する面を立てて、厚さを形成する面より、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入することができるために、作業時の省スペース化を図った断熱板を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の断熱板は、厚さ方向が幅及び長さよりも小さいケースと、前記ケース内に幅と長さで形成される面に少なくとも一つの面を密着し厚さ方向において片側に空間を形成して配置された真空断熱材とを具備した断熱板において、前記空間へ発泡ポリウレタン樹脂液を注入する注入部を前記厚さを形成する面に設けたのである。
【0010】
これによって、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入する為のケースに設けられた注入部の位置により、真空断熱材の形状や大きさが限定されないため、真空断熱材の有効断熱面積を向上させることができ、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができるという作用を有する。また、ウレタン樹脂液の注入時に発泡圧力により真空断熱材が動いて当初固定場所から位置ズレを生じることを抑制できるという作用を有する。さらに、断熱板の最も大きな面積を有する面を立てて、厚さを形成する面より、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の断熱板は、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入する為のケースに設けられた注入部の位置により、真空断熱材の形状や大きさが限定されないため、真空断熱材の有効断熱面積を向上させることができ、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができる高断熱な断熱板を提供できる。
【0012】
また、ウレタン樹脂液の注入時に発泡圧力により真空断熱材が動いて当初固定場所から位置ズレを生じることもなく高品質で長期間、省エネルギーを保つ断熱板を提供できる。
【0013】
さらに、断熱板の最も大きな面積を有する面を立てて、厚さを形成する面より、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入することができ、作業時の省スペース化を図った断熱板を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
請求項1に記載の発明は、厚さ方向が幅及び長さよりも小さいケースと、前記ケース内に幅と長さで形成される面に少なくとも一つの面を密着し厚さ方向において片側に空間を形成して配置された真空断熱材とを具備した断熱板において、前記空間へ発泡ポリウレタン樹脂液を注入する注入部を前記厚さを形成する面に設けたことを特徴とする断熱板である。
【0015】
これにより、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入する為のケースに設けられた注入部の位置により、真空断熱材の形状や大きさが限定されないため、真空断熱材の有効断熱面積を向上させることができるという作用を有し、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができる高断熱な断熱板を提供できる。
【0016】
また、発泡ポリウレタンの樹脂液の注入時に発泡圧力により真空断熱材が動いて当初固定場所から位置ズレを生じることを抑制できるという作用を有し、高品質で長期間、省エネルギーを保つ断熱板を提供できる。
【0017】
さらに、断熱板の最も大きな面積を有する面を立てて、厚さを形成する面より、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入することができるという作用を有し、作業時の省スペース化を図った断熱板を提供できる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、幅と長さで形成される少なくとも一つの面を別体にしたことを特徴とする断熱板である。
【0019】
これにより、面積の広い面を開口できるため、真空断熱材をケースへ取り付ける際の作業性が向上するという作用を有し、より高品質な断熱板を提供できる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、注入部を具備する面を別体にしたことを特徴とする断熱板である。
【0021】
これにより、注入部を具備する面の任意の位置から発泡ポリウレタン樹脂液を注入できるため、発泡ポリウレタン樹脂液の注入時の位置決めが容易で発泡ポリウレタン樹脂液のもれ発生を抑制できるという作用を有し、より高品質な断熱板を提供できる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、注入部は厚さを形成する面に設けた貫通穴を有していることを特徴とする断熱板である。
【0023】
これにより、発泡ポリウレタンの漏れ処理が貫通穴周辺に限られるため、発泡ポリウレタンのもれ処理を容易にできるという作用を有し、より高品質な断熱板を提供できる。
【0024】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、ケース内部に設けた支持手段に真空断熱材を支持したことを特徴とする断熱板である。
【0025】
これにより、真空断熱材をケースへ取り付ける際の位置決めが容易で作業性が向上するという作用を有し、より高品質な断熱板を提供できる。
【0026】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、支持手段は真空断熱材とケースの密着部を除いた全周に一定の空間を形成するように真空断熱材を支持することを特徴とする断熱板である。
【0027】
これにより、真空断熱材の密着部を除いた全周に一定の空間を形成できるという作用を有し、真空断熱材の密着部を除いた全周にウレタンを充填できるため、より高断熱な断熱板を提供できる。
【0028】
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、幅と長さ方向で形成される面又は幅と厚みで形成される面から、内部へ突出している支持手段を設けたことを特徴とする断熱板である。
【0029】
これにより、面と一体成型でき、コストを抑制できるという作用を有し、低価格な断熱板を提供できる。
【0030】
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、少なくとも真空断熱材の相対する1組の辺に対向して支持手段を設けたことを特徴とする断熱板である。
【0031】
これにより、真空断熱材の密着部を除いた全周に設けられた一定の空間のバラツキ精度を向上できるという作用を有し、バラツキ精度を向上させて発泡ポリウレタンを充填できるため、発泡ポリウレタンの断熱性能にむらがなく均一であり、さらに高品質な断熱板を提供できる。
【0032】
請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、空気抜き穴を少なくとも一つ設けたことを特徴とする断熱板である。
【0033】
これにより、空間内の空気が抜けて発泡ポリウレタン樹脂液の流動性が向上し、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制できるという作用を有し、さらに高品質な断熱板を提供できる。
【0034】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、ゲッター材を真空断熱材の内部に設けたことを特徴とする断熱板である。
【0035】
これにより、ゲッター材を内部に設けたために、真空断熱材の外部から内部へ侵入してくる空気を吸収し、断熱性能の低下を最小限に抑えることができるという作用を有し、長期信頼性がより向上した断熱板を提供できる。
【0036】
請求項11に記載の発明は、厚さ方向が幅及び長さよりも小さいケース内に、真空断熱材を前記ケースにおける最も大きな面積を有する一方の面に密着させ、厚さを形成する面より、前記ケース内に発泡ポリウレタン樹脂液を注入し、前記発泡ポリウレタンによって真空断熱材が包まれるように配設したことを特徴とする断熱板の製造方法である。
【0037】
これにより、真空断熱材をケースにおける最も大きな面積を有する一方の面に密着させ、次に、厚さを形成する面より、前記ケース内に発泡ポリウレタン樹脂液を注入し、前記発泡ポリウレタンによって真空断熱材が包まれるように配設できるという作用を有し、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入する為のケースに設けられた注入部の位置により、真空断熱材の形状や大きさが限定されないため、真空断熱材の有効断熱面積を向上させることができるという作用を有し、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができる高断熱な断熱板を提供できる。
【0038】
また、発泡ポリウレタンの樹脂液の注入時に発泡圧力により真空断熱材が動いて当初固定場所から位置ズレを生じることを抑制できるという作用を有し、高品質で長期間、省エネルギーを保つ断熱板を提供できる。
【0039】
さらに、断熱板の最も大きな面積を有する面を立てて、厚さを形成する面より、発泡ポリウレタンの樹脂液を注入することができるという作用を有し、作業時の省スペース化を図った断熱板を提供できる。
【0040】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、注入ノズルを注入方向から反注入方向へ移動させることを特徴とする断熱板の製造方法である。
【0041】
これにより、発泡ポリウレタンの樹脂液は、厚さを形成する面より、何ら障害を受けることなく、確実に空間の底部へ注入されるため、発泡ポリウレタンの流動性が向上するという作用を有し、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制することができ、高品質な断熱板を提供できる。
【0042】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0043】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における断熱板の斜視図、図2は同実施の形態の断熱板の要部断面図、図3は同実施の形態の断熱板の製造工程を示す説明図である。
【0044】
図1及び図2において、本実施の形態の断熱板10は、厚さA方向が幅B及び長さCよりも小さいケース11と、ケース11内に幅Bと長さCで形成される面12に少なくとも一つの面を接着部材20を介して密着し厚さA方向において片側に空間13を形成して配置された真空断熱材14とを具備して構成され、空間13へ発泡ポリウレタン樹脂液を注入する注入部16を厚さAを形成する面17に設け、空間13は、発泡ポリウレタン18で充填されている。
【0045】
ここで、ケース11はケース上11Aとケース下11Bからなり、ケース11Aはケース上11Aの端部11Cを、ケース下11Bの端部に設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着している。また、ケース11Bに設けた支持手段30に真空断熱材14を支持している。
【0046】
ここで、支持手段30は真空断熱材14とケース11Bの密着部31を除いた全周に一定の空間13を形成するように真空断熱材14を支持している。また、支持手段30は、幅と長さで作られる面12から、内部へ突出して設けられている。また、少なくとも真空断熱材の相対する1組の辺に対向して支持手段30は設けられている。
【0047】
ここで、注入部16は厚さAを形成する面17に設けた貫通穴32と空気抜き穴33を有し、貫通穴32と空気抜き穴33を封止部材34で覆って固着している。
【0048】
真空断熱材14は、2枚の外被材21で内部にゲッター材22を配置した1枚の芯材23を覆ってなり、内部を真空に保っている。さらに、真空断熱材14の外周のヒレ部24は真空断熱材14の同一面上に密着するように折り曲げられており、図示しないが固着部材で固着している。
【0049】
外被材21は外側から表面保護層と、ガスバリア層と、熱溶着層とを有するラミネートフィルムであり、2枚のラミネートフィルムを向かい合わせている。表面保護層はナイロンフィルム、ガスバリア層はアルミ蒸着フィルム、熱溶着層は低密度ポリエチレンフィルムを用いて、その厚さは、表面保護層は40μm、ガスバリア層は24μm、熱溶着層は50μmである。ガスバリア層は、アルミニウム箔を適用しても良く、また、アルミ蒸着フィルムとアルミニウム箔を組み合わせて適用しても良い。
【0050】
芯材23の材料はグラスウールである。
【0051】
ケース11の材料はABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂である。
【0052】
接着部材20の材料は瞬間接着剤、両面テープ、ホットメルト等である。
【0053】
封止部材34の材料はセロハンテープ等で、片側に粘着剤を有し空気や湿度に対し遮断性が高く、剥がれにくいものであれば特に限定はしない。
【0054】
固着部材の材料は瞬間接着剤、セロハンテープ、両面テープ、ホットメルト等であるが特に限定はしない。
【0055】
次に、断熱板10の製造方法を図1と図2と図3に基づき説明する。
【0056】
真空断熱材14を特許文献1に記載内容に基づき作製する。
【0057】
ここで、真空断熱材14の外周のヒレ部24は真空断熱材14の同一面上に密着するように折り曲げ、図示しないが固着部材で固着する。また、真空断熱材14の内部に配置した芯材23は1枚であり、芯材23の内部にゲッター材22を配置する。なお、芯材23は複数の芯材でもかまわない。また、芯材23の内部に図示しないが水分吸着剤を配置してもかまわない。
【0058】
断熱板10の製造方法を、組立工程、ウレタン注入工程、ウレタン発泡工程、保管工程、と順に説明する。
【0059】
組立工程について説明する。
【0060】
真空断熱材14をケース下11Bの幅Bと長さCで形成される面12に設けた支持手段30の内側に支持される様に接着部材20を介して密着する。ここで、幅Bと長さCで形成される面12とは、ケースにおける最も大きな面積を有する面である。
【0061】
次に、ケース上11Aはケース11Aの端部11Cを、ケース下11Bの端部に設けられた凸部19に勘合し、接着部材20で固着する。
【0062】
次に、ウレタン注入工程について説明する。
【0063】
厚さを形成する面17に設けた注入部16が上になるように断熱板10を立て、注入部16に位置する貫通穴32から注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させ、発泡ポリウレタン樹脂液15を注入する。次に、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させ、注入部16に位置する貫通穴32から注入ノズル35の先端35Aを完全に抜く。ここで、注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させることは、注入ノズルを注入方向Dへ移動させることである。また、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させることは、注入ノズルを反注入方向Eへ移動させることである。次に、発泡ポリウレタン樹脂液15が反応して発泡ポリウレタン18が漏れないように貫通穴32を図示しないが治具で塞ぐ。
【0064】
次に、ウレタン発泡工程について説明する。
【0065】
この時、注入された発泡ポリウレタン樹脂液15は空間13の底部36へ注入され、その後、底部36から注入部16へと発泡しながら流動し、空間13の全体を充填固化し、ケース上11A、ケース下11B及び真空断熱材14と、強く接着し全体的に一体化する。ここで、断熱板10内に存在していた空気は、発泡ポリウレタン樹脂液15が発泡しながら流動していく際に、空気は押されて、空気だまりを作ることなく、空気抜き穴33から抜けていく。これにより、発泡ポリウレタン18によって真空断熱材14が包まれるように配設する。次に、空気抜き穴33から漏れ出た発泡ポリウレタン18をへら(図示せず)で取り除き、貫通穴32と空気抜き穴33を封止部材34で覆って固着する。
【0066】
次に、保管工程について説明する。
【0067】
作製した断熱板10をウレタン発泡工程時と同様に注入部16が上になるように断熱板10を立てた状態で保管する。
【0068】
以上のように、厚さA方向が幅B及び長さCよりも小さいケース11と、ケース11内に幅と長さで形成される面12に少なくとも一つの面を密着し厚さA方向において片側に空間13を形成して配置された真空断熱材14とを具備した断熱板10において、空間13へ発泡ポリウレタン樹脂液15を注入する注入部16を前記厚さを形成する面17に設けたことにより、発泡ポリウレタンの樹脂液15を注入する為のケース11に設けられた注入部16の位置により、真空断熱材14の形状や大きさが限定されないため、真空断熱材14の有効断熱面積を向上させることができるという作用を有し、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができる高断熱な断熱板10を提供できる。
【0069】
言い換えると、厚さA方向が幅B及び長さCよりも小さいケース11内に、真空断熱材14をケース11における最も大きな面積を有する一方の面に密着させ、厚さAを形成する面17より、ケース11内に発泡ポリウレタン樹脂液15を注入し、発泡ポリウレタン18によって真空断熱材14が包まれるように配設した断熱板10の製造方法を実施したことにより、発泡ポリウレタンの樹脂液15を注入する為のケース11に設けられた注入部16の位置により、真空断熱材14の形状や大きさが限定されないため、真空断熱材14の有効断熱面積を向上させることができるという作用を有し、長時間お湯の温度を低下させずに保つことができる高断熱な断熱板10を提供できる。
【0070】
また、発泡ポリウレタンの樹脂液15の注入時に発泡圧力により真空断熱材14が動いて当初固定場所から位置ズレを生じることを抑制できるという作用を有し、高品質で長期間、省エネルギーを保つ断熱板10を提供できる。
【0071】
また、断熱板の最も大きな面積を有する面を立てて、厚さを形成する面17より、発泡ポリウレタンの樹脂液15を注入することができるという作用を有し、作業時の省スペース化を図った断熱板10を提供できる。
【0072】
また幅と長さで形成される少なくとも一つの面を別体にしたことにより、面積の広い面を開口できるため、真空断熱材14をケース11へ取り付ける際の作業性が向上するという作用を有し、より高品質な断熱板10を提供できる。
【0073】
また、注入部16は厚さを形成する面17に設けた貫通穴32を有していることにより、発泡ポリウレタン18の漏れ処理が貫通穴周辺に限られるため、発泡ポリウレタン18のもれ処理を容易にできるという作用を有し、より高品質な断熱板10を提供できる。
【0074】
また、ケース内部に設けた支持手段30に真空断熱材14を支持したことにより、真空断熱材14をケース11へ取り付ける際の位置決めが容易で作業性が向上するという作用を有し、より高品質な断熱板10を提供できる。
【0075】
また、支持手段30は真空断熱材14とケース11の密着部31を除いた全周に一定の空間13を形成するように真空断熱材14を支持したことにより、真空断熱材14の密着部31を除いた全周に一定の空間13を形成できるという作用を有し、真空断熱材14の密着部31を除いた全周にウレタンを充填できるため、より高断熱な断熱板10を提供できる。
【0076】
また、幅と長さ方向で形成される面12から、内部へ突出している支持手段30を設けたことにより、面と一体成型でき、コストを抑制できるという作用を有し、低価格な断熱板10を提供できる。
【0077】
また、少なくとも真空断熱材14の相対する1組の辺に対向して支持手段30を設けたことにより、真空断熱材14の密着部31を除いた全周に設けられた一定の空間13のバラツキ精度を向上できるという作用を有し、バラツキ精度を向上させて発泡ポリウレタン18を充填できるため、発泡ポリウレタン18の断熱性能にむらがなく均一であり、さらに高品質な断熱板10を提供できる。
【0078】
また、空気抜き穴33を少なくとも一つ設けたことにより、空間内の空気が抜けて発泡ポリウレタン樹脂液15の流動性が向上し、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制できるという作用を有し、さらに高品質な断熱板10を提供できる。
【0079】
また、ゲッター材22を真空断熱材14の内部に設けたことにより、真空断熱材14の外部から内部へ侵入してくる空気を吸収し、断熱性能の低下を最小限に抑えることができるという作用を有し、長期信頼性がより向上した断熱板10を提供できる。
【0080】
また、注入ノズル35を注入方向Dから反注入方向Eへ移動させることにより、発泡ポリウレタン樹脂液15は、厚さを形成する面17より、何ら障害を受けることなく、確実に空間13の底部36へ注入されるため、発泡ポリウレタン18の流動性が向上するという作用を有し、ボイドや断熱材未充填部の発生を抑制することができ、高品質な断熱板10を提供できる。
【0081】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明するが実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0082】
図4は本発明の実施の形態2における組立工程時の断熱板の断面図である。
【0083】
図5は同実施の形態における断熱板の断面図である。
【0084】
図4及び図5における本実施の形態2の断熱板40と、図2及び図3における断熱板10との相違点は、断熱板10において真空断熱材14は平板状のケース下11Bに密着していたが、断熱板40において真空断熱材14は箱状のケース下41Bに密着している。また、断熱板10において貫通穴32と空気抜き穴33は箱状のケース上11Aの厚さを形成する面17に設けられていたが、断熱板40において貫通穴32と空気抜き穴33は箱状のケース下41Bの厚さを形成する面17に設けられている。ここで、ケース下41Bの端部41Cはケース上41Aに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着している。なお、空間13は、断熱板10と同様に発泡ポリウレタン18で充填されている。
【0085】
次に、断熱板40の製造方法を図3、図4及び図5に基づき説明する。
【0086】
断熱板10を製造した製造方法と同様に実施することができるため、実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0087】
真空断熱材14を特許文献1の記載内容に基づき作製する。
【0088】
断熱板40の製造方法を、組立工程、ウレタン注入工程、ウレタン発泡工程、保管工程、と順に説明する。
【0089】
組立工程について説明する。
【0090】
真空断熱材14をケース下41Bの幅Bと長さCで形成される面12に設けた支持手段30の内側に支持される様に接着部材20を介して密着する。ここで、幅Bと長さCで形成される面12とは、ケースにおける最も大きな面積を有する面である。
【0091】
次に、ケース下41Bの端部41Cはケース上41Aに設けられた凸部19に勘合し、接着部材20で固着する。
【0092】
次に、ウレタン注入工程について説明する。
【0093】
断熱板10の製造工程図である図3と同様に、断熱板40においても、注入部16が上になるように断熱板40を立て、注入部16に位置する貫通穴32から注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させ、発泡ポリウレタン樹脂液15を注入する。次に、図3と同様に、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させ、注入部16に位置する貫通穴32から注入ノズル35の先端35Aを完全に抜く。ここで、注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させることは、注入ノズルを注入方向Dへ移動させることである。また、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させることは、注入ノズルを反注入方向Eへ移動させることである。
【0094】
次に、図3と同様に、発泡ポリウレタン樹脂液15が反応して発泡ポリウレタン18が漏れないように貫通穴32を図示しないが治具で塞ぐ。
【0095】
次に、ウレタン発泡工程について説明する。
【0096】
図3と同様に、この時、注入された発泡ポリウレタン樹脂液15は空間13の底部36へ注入され、その後、底部36から注入部16へと発泡しながら流動し、空間13の全体を充填固化し、ケース上11A、ケース下41B及び真空断熱材14と、強く接着し全体的に一体化する。ここで、断熱板40内に存在していた空気は、発泡ポリウレタン樹脂液15が発泡しながら流動していく際に、空気は押されて、空気だまりを作ることなく、空気抜き穴33から抜けていく。これにより、発泡ポリウレタン18によって真空断熱材14が包まれるように配設する。次に、空気抜き穴33から漏れ出た発泡ポリウレタン18をへら(図示せず)で取り除き、貫通穴32と空気抜き穴33を封止部材34で覆って固着する。
【0097】
次に、保管工程について説明する。
【0098】
図3と同様に、作製した断熱板40をウレタン発泡工程時と同様に注入部16が上になるように断熱板40を立てた状態で保管する。
【0099】
以上のように、断熱板40は、断熱板10と同様の製造方法で作製する。
【0100】
以上のように、本実施の形態において、断熱板40においても、断熱板10と同様の効果が期待できる。
【0101】
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、図面を参照しながら説明するが実施の形態1及び2と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0102】
図6は実施の形態3における組立工程時の断熱板の断面図である。
【0103】
図7は同実施の形態における断熱板の断面図である。
【0104】
図6及び図7における本実施の形態3の断熱板50と、図4及び図5における本実施の形態2の断熱板40との相違点は、断熱板40において真空断熱材14は箱状のケース下41Bの幅と長さ方向で形成される面12から内部へ突出している支持手段30に支持されているが、断熱板50においては真空断熱材14は箱状のケース下51Bの幅と厚みで形成される面52から内部へ突出している支持手段30に支持されている。ここで、ケース下51Bの端部51Cはケース上41Aに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着している。なお、空間13は、断熱板40と同様に発泡ポリウレタン18で充填されている。
【0105】
次に、断熱板50の製造方法を図3、図6及び図7に基づき説明する。
【0106】
断熱板10及び断熱板40を製造した製造方法と同様に実施することができるため、実施の形態1及び2と同一構成については同一符号を付して、相違点だけを説明し、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0107】
図6及び図7における本実施の形態3の断熱板50と、本実施の形態2の図4及び図5における断熱板40との製造方法における相違点は、組立工程においてのみ発生する。すなわち、本実施の形態2の図4及び図5における断熱板40は、真空断熱材14をケース下41Bの幅Bと長さCで形成される面12に設けた支持手段30の内側に支持される様に接着部材20を介してケース下41Bと密着していたが、本実施の形態3の図6及び図7における断熱板50においては真空断熱材14は箱状のケース下51Bの幅と厚みで形成される面52から内部へ突出している支持手段30に支持される様に接着部材20を介してケース下51Bと密着させている。
【0108】
次に、ウレタン注入工程、ウレタン発泡工程、保管工程と続くが、これら工程には相違点がなく、説明を省略する。
【0109】
以上のように、本実施の形態において、断熱板50は、幅と厚みで形成される面52から、内部へ突出している支持手段30を設けたことにより、面と一体成型でき、コストを抑制できるという作用を有し、低価格な断熱板50を提供できる。
【0110】
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、図面を参照しながら説明するが実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0111】
図8は実施の形態4における組立工程時の断熱板の断面図である。
【0112】
図9は同実施の形態における断熱板の断面図である。
【0113】
図8及び図9における本実施の形態4の断熱板60と、図2及び図3における断熱板10との相違点は、断熱板10においてケース上11Aは注入部16を設けた厚さを形成する面17を一体とした構成であるが、断熱板60においてケース上61Aは注入部16を設けず注入部を具備する面62を別体とした構成である。
【0114】
また、断熱板10において貫通穴32と空気抜き穴33は箱状のケース11Aの厚さを形成する面17に設けられていたが、断熱板60においては貫通穴32は存在せず空気抜き穴33は注入部を具備する面62に設けられている。ここで、ケース上61Aの端部61Cはケース下11Bに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着している。同様に、注入部を具備する面62はケース上61Aに設けられた凸部19及びケース下11Bに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着している。なお、空間13は、断熱板10と同様に発泡ポリウレタン18で充填されている。
【0115】
次に、断熱板60の製造方法を図3、図8及び図9に基づき説明する。
【0116】
断熱板10を製造した製造方法と同様に実施することができるため、実施の形態1と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0117】
真空断熱材14を特許文献1の記載内容に基づき作製する。
【0118】
断熱板60の製造方法を、組立工程、ウレタン注入工程、ウレタン発泡工程、保管工程、と順に説明する。
【0119】
組立工程について説明する。
【0120】
真空断熱材14をケース下11Bの幅Bと長さCで形成される面12に設けた支持手段30の内側に支持される様に接着部材20を介して密着する。ここで、幅Bと長さCで形成される面12とは、ケースにおける最も大きな面積を有する面である。
【0121】
次に、ケース上61Aの端部61Cはケース下11Bに設けられた凸部19に勘合するように設け、接着部材20で固着する。ここで、注入部を具備する面62はケース上61A及びケース下11Bに取り付けず、次のウレタン注入工程へ進む。
【0122】
次に、ウレタン注入工程について説明する。
【0123】
断熱板10の製造工程図である図3と同様に、断熱板60においても、注入部16が上になるように断熱板60を立てる。この時、注入部を具備する面62は取り付けられておらず開放している。次に、開放している注入部16から注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させ、発泡ポリウレタン樹脂液15を注入する。次に、図3と同様に、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させ、注入部16に位置する貫通穴32から注入ノズル35の先端35Aを完全に抜く。ここで、注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させることは、注入ノズルを注入方向Dへ移動させることである。また、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させることは、注入ノズルを反注入方向Eへ移動させることである。
【0124】
次に、図3と同様に、発泡ポリウレタン樹脂液15が反応して発泡ポリウレタン18が漏れないように、注入部16を注入部を具備する面62で塞ぐ。この時、注入部を具備する面62はケース上61Aに設けられた凸部19及びケース下11Bに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着する。
【0125】
次に、ウレタン発泡工程について説明する。
【0126】
図3と同様に、この時、注入された発泡ポリウレタン樹脂液15は空間13の底部36へ注入され、その後、底部36から注入部16へと発泡しながら流動し、空間13の全体を充填固化し、ケース上61A、ケース下11B、注入部を具備する面62及び真空断熱材14と、強く接着し全体的に一体化する。ここで、断熱板60内に存在していた空気は、発泡ポリウレタン樹脂液15が発泡しながら流動していく際に、空気は押されて、空気だまりを作ることなく、空気抜き穴33から抜けていく。これにより、発泡ポリウレタン18によって真空断熱材14が包まれるように配設する。次に、空気抜き穴33から漏れ出た発泡ポリウレタン18をへら(図示せず)で取り除き、空気抜き穴33を封止部材34で覆って固着する。
【0127】
次に、保管工程について説明する。
【0128】
図3と同様に、作製した断熱板60をウレタン発泡工程時と同様に注入部16が上になるように断熱板60を立てた状態で保管する。
【0129】
以上のように、断熱板60は、断熱板10と同様の製造方法で作製する。
【0130】
以上のように、注入部を具備する面62を別体にしたことにより、注入部を具備する面の任意の位置から発泡ポリウレタン樹脂液15を注入できるため、発泡ポリウレタン樹脂液15の注入時の位置決めが容易で発泡ポリウレタン樹脂液15のもれ発生を抑制できるという作用を有し、より高品質な断熱板を提供できる。
【0131】
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5について、図面を参照しながら説明するが実施の形態1及び4と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0132】
図10は実施の形態5における組立工程時の断熱板の断面図である。
【0133】
図11は同実施の形態における断熱板の断面図である。
【0134】
図10及び図11における本実施の形態5の断熱板70と、図8及び図9における断熱板60との相違点は、断熱板60において真空断熱材14は平板状のケース下11Bに密着していたが、断熱板70においては真空断熱材14は注入部を具備する面62を別体とした略箱状のケース下71Bに密着している。ここで、ケース下71Bの端部71Cはケース上41Aに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着している。同様に、注入部を具備する面62はケース上41Aに設けられた凸部19及びケース下71Bに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着している。なお、空間13は、断熱板60と同様に発泡ポリウレタン18で充填されている。
【0135】
次に、断熱板70の製造方法を図3、図10及び図11に基づき説明する。
【0136】
断熱板10及び断熱板60を製造した製造方法と同様に実施することができるため、実施の形態1及び実施の形態4と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0137】
真空断熱材14を特許文献1の記載内容に基づき作製する。
【0138】
断熱板70の製造方法を、組立工程、ウレタン注入工程、ウレタン発泡工程、保管工程、と順に説明する。
【0139】
組立工程について説明する。
【0140】
真空断熱材14をケース下71Bの幅Bと長さCで形成される面12に設けた支持手段30の内側に支持される様に接着部材20を介して密着する。ここで、幅Bと長さCで形成される面12とは、ケースにおける最も大きな面積を有する面である。
【0141】
次に、ケース下71Bの端部71Cはケース上41Aに設けられた凸部19に勘合するように設け、接着部材20で固着する。ここで、注入部を具備する面62はケース上61A及びケース下11Bに取り付けず、次のウレタン注入工程へ進む。
【0142】
次に、ウレタン注入工程について説明する。
【0143】
断熱板10の製造工程図である図3と同様に、断熱板70においても、注入部16が上になるように断熱板70を立てる。この時、注入部を具備する面62は取り付けられておらず開放している。次に、開放している注入部16から注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させ、発泡ポリウレタン樹脂液15を注入する。次に、図3と同様に、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させ、注入部16に位置する貫通穴32から注入ノズル35の先端35Aを完全に抜く。ここで、注入ノズル35の先端35Aを空間13の底部36に位置させることは、注入ノズルを注入方向Dへ移動させることである。また、注入ノズル35を底部36から注入部16方向へ移動させることは、注入ノズルを反注入方向Eへ移動させることである。
【0144】
次に、図3と同様に、発泡ポリウレタン樹脂液15が反応して発泡ポリウレタン18が漏れないように、注入部16を注入部を具備する面62で塞ぐ。この時、注入部を具備する面62はケース上41Aに設けられた凸部19及びケース下71Bに設けられた凸部19に勘合するように設けられ、接着部材20で固着する。
【0145】
次に、ウレタン発泡工程について説明する。
【0146】
図3と同様に、この時、注入された発泡ポリウレタン樹脂液15は空間13の底部36へ注入され、その後、底部36から注入部16へと発泡しながら流動し、空間13の全体を充填固化し、ケース上41A、ケース下71B、注入部を具備する面62及び真空断熱材14と、強く接着し全体的に一体化する。ここで、断熱板70内に存在していた空気は、発泡ポリウレタン樹脂液15が発泡しながら流動していく際に、空気は押されて、空気だまりを作ることなく、空気抜き穴33から抜けていく。これにより、発泡ポリウレタン18によって真空断熱材14が包まれるように配設する。次に、空気抜き穴33から漏れ出た発泡ポリウレタン18をへら(図示せず)で取り除き、空気抜き穴33を封止部材34で覆って固着する。
【0147】
次に、保管工程について説明する。
【0148】
図3と同様に、作製した断熱板70をウレタン発泡工程時と同様に注入部16が上になるように断熱板70を立てた状態で保管する。
【0149】
以上のように、断熱板70は、断熱板10及び断熱板60と同様の製造方法で作製する。
【0150】
以上のように、本実施の形態において、断熱板70においても、断熱板60と同様の効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
以上のように本発明にかかる断熱板は、ケースに設けられた注入部の位置により、真空断熱材の形状や大きさが限定されないため、真空断熱材の有効断熱面積を向上させることができ、かつ、ウレタン樹脂液の注入時に発泡圧力により真空断熱材が動いて当初固定場所から位置ズレを生じることを抑制できるため、冷蔵庫や自動販売機等のように、真空断熱材の周囲に発泡ポリウレタンが充填されるような用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱板の斜視図
【図2】同実施の形態の断熱板の断面図
【図3】同実施の形態の断熱板の製造工程を示す説明図
【図4】本発明の実施の形態2における組立工程時の断熱板の断面図
【図5】同実施の形態の断熱板の断面図
【図6】本発明の実施の形態3における組立工程時の断熱板の断面図
【図7】同実施の形態の断熱板の断面図
【図8】本発明の実施の形態4における組立工程時の断熱板の断面図
【図9】同実施の形態の断熱板の断面図
【図10】本発明の実施の形態5における組立工程時の断熱板の断面図
【図11】同実施の形態の断熱板の断面図
【図12】従来の風呂蓋の平面図
【符号の説明】
【0153】
10,40,50,60,70 断熱板
11 ケース
12 幅と長さで形成される面
13 空間
14 真空断熱材
15 発泡ポリウレタン樹脂液
16 注入部
17 厚さを形成する面
18 発泡ポリウレタン
22 ゲッター材
30 支持手段
31 密着部
32 貫通穴
33 空気抜き穴
35 注入ノズル
52 幅と厚みで形成される面
62 注入部を具備する面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さ方向が幅及び長さよりも小さいケースと、前記ケース内に幅と長さで形成される面に少なくとも一つの面を密着し厚さ方向において片側に空間を形成して配置された真空断熱材とを具備した断熱板において、前記空間へ発泡ポリウレタン樹脂液を注入する注入部を前記厚さを形成する面に設けたことを特徴とする断熱板。
【請求項2】
幅と長さで形成される少なくとも一つの面を別体にしたことを特徴とする請求項1に記載の断熱板。
【請求項3】
注入部を具備する面を別体にしたことを特徴とする請求項1または2に記載の断熱板。
【請求項4】
注入部は厚さを形成する面に設けた貫通穴を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱板。
【請求項5】
ケース内部に設けた支持手段に真空断熱材を支持したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の断熱板。
【請求項6】
支持手段は真空断熱材とケースの密着部を除いた全周に一定の空間を形成するように真空断熱材を支持することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の断熱板。
【請求項7】
幅と長さ方向で形成される面又は幅と厚みで形成される面から、内部へ突出している支持手段を設けたことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の断熱板。
【請求項8】
少なくとも真空断熱材の相対する1組の辺に対向して支持手段を設けたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の断熱板。
【請求項9】
空気抜き穴を少なくとも一つ設けたことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の断熱板。
【請求項10】
ゲッター材を真空断熱材の内部に設けたことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の断熱板。
【請求項11】
厚さ方向が幅及び長さよりも小さいケース内に、真空断熱材を前記ケースにおける最も大きな面積を有する一方の面に密着させ、厚さを形成する面より、前記ケース内に発泡ポリウレタン樹脂液を注入し、発泡ポリウレタンによって真空断熱材が包まれるように配設したことを特徴とする断熱板の製造方法。
【請求項12】
注入ノズルを注入方向から反注入方向へ移動させることを特徴とする請求項11に記載の断熱板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−281554(P2009−281554A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136236(P2008−136236)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成17年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「高性能、高機能真空断熱材」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】