説明

断熱箱体

【課題】真空断熱材を用いて断熱を行うものであり、真空断熱材の固定作業などを行いやすい断熱箱体を提供する。
【解決手段】本発明の断熱箱体1を構成する板状部19には、内側板22と外側板23からなる2重の金属板20と、2重の金属板20の間に形成される断熱層配置空間27に配置される真空断熱材25と発泡樹脂部26を有している。真空断熱材25は、外被材41,42と芯材43とを有するものであって、芯材43は複数の領域43aとなるように分割され、各領域43a同士の間の外被材41,42には仕切部46が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内側面と外側面が金属板で構成され、内側面と外側面の金属板の間に断熱材を有する断熱箱体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貨物を船舶や貨物列車などを用いて輸送する場合、コンテナに貨物を積み込んで行われている。そして、輸送の際に貨物の冷蔵や冷凍しなければならないものの場合には、低温輸送用の保冷コンテナ(断熱箱体)が用いられる。
【0003】
保冷コンテナは、貨物を積み込む内部空間がほぼ密閉状とすることができるものであり、また、内部空間の温度を低温に保つために、冷凍機などの低温環境を維持する手段が設けられている。そして、保冷コンテナの壁や天井などには断熱層が設けられ、内部空間と外部との間に温度差がある場合にも、熱の出入りを小さくすることができるような構造となっている。
【0004】
保冷コンテナは、通常、直方体の箱状であり、壁や天井などの各面に板状部が設けられている。この板状部の構造は2重の金属板を有しており、2重の金属板同士の間に断熱材を配置している構造となっており、内部空間と外部との間で熱の出入りを小さくするようにしている。この断熱材は発泡性の樹脂などを充填して形成される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−72881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保冷コンテナなどの断熱箱体は、輸送や保管の際に、断熱箱体同士を積み重ねる場合がある。そのため、所定の荷重が上側から作用しても壊れることがないようにする必要がある。また、輸送中の振動などにより、より大きな荷重が作用することがある。さらに、保冷コンテナなどの断熱箱体を船や貨物列車などに積み込んだり船や貨物列車などから降ろしたりする際に、衝撃力によって断熱箱体が破損するおそれがあるので、この衝撃力によって破損しない強度を有する必要がある。
【0006】
そのため、保冷コンテナなどの断熱箱体において、壁や天井に設けられる2重の金属板は、折り曲げたり湾曲させたりして変形部を形成して、金属板が変形しにくい形状となっている。
【0007】
一方で、圧縮されても空隙を維持することのできる芯材と、この芯材を包む袋材を有し、袋材内を真空にして製作される真空断熱材は、特に断熱性に優れるものである。そして、このような真空断熱材を2重の金属板の間に配置することができれば、保冷コンテナなどの断熱箱体の断熱性をより向上させることができる。
【0008】
真空断熱材は板状の部材であり、保冷コンテナなどの断熱箱体に真空断熱材を使用する場合には、2重の金属板の間に配置して製作することが考えられる。しかし、上記したように、コンテナの使用時には大きな力がかかるため、金属板がねじれたり撓んだりすることがあり、このような場合、真空断熱材と金属板との間や、真空断熱材と後から充填される発泡樹脂との間がずれてしまうおそれがあり、このような場合には断熱性が低下するおそれがある。
【0009】
また、少数の真空断熱材によって、広い面積に貼り付ける場合、1枚の真空断熱材の面積を広くする必要があるが、真空断熱材は湾曲しにくいので貼り付けの作業がしにくくなる。また、金属板の変形部には真空断熱材を固定しにくいので、変形部の両側を同じ真空断熱材を用いることはできず別々の真空断熱材を用いなければならなかった。そのため、真空断熱材の取り付けの際に、多くの真空断熱材を必要とするので、作業性が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、真空断熱材を用いて断熱を行うものであり、真空断熱材の固定作業などを行いやすい断熱箱体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の断熱箱体は、真空断熱材が用いられ、真空断熱材は、外被材と芯材とを有するものであって、前記芯材は複数の領域となるように分割され、前記各領域同士の間の外被材には仕切部が形成されており、真空断熱材を金属板に固定する際には、芯材の各領域を平面部に配置して行うものである。
【0012】
これによって、真空断熱材を用いて断熱を行うものであり、真空断熱材の固定作業などを行いやすくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の断熱箱体によれば、真空断熱材を用いて断熱を行うことができ、真空断熱材の固定作業などを行いやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
請求項1に記載の断熱箱体の発明は、板状部と、前記板状部によって囲まれる内部空間とを備え、前記板状部は、内側板と外側板からなる2重の金属板と、前記金属板の間に配置される発泡樹脂部及び真空断熱材とを有し、前記内側板の内側に前記内部空間が形成されるものであり、前記内側板及び前記外側板は平板を用いて形成されるものであって、折り曲げ又は湾曲によって形成された変形部と、平面部とが設けられ、前記真空断熱材は、外被材と芯材とを有するものであって、前記芯材は複数の領域となるように分割され、前記各領域同士の間の前記外被材には仕切部が形成されており、前記真空断熱材を前記金属板に固定する際には、前記芯材の各領域を前記平面部に配置して行うことを特徴とするものであり、真空断熱材は仕切部で変形することが可能となり、真空断熱材の固定作業の際などに作業を行いやすい。
【0015】
請求項2に記載の断熱箱体の発明は、請求項1に記載の発明において、真空断熱材の仕切部が変形部に位置するように、前記真空断熱材が固定されていることを特徴とするものであり、1枚の真空断熱材により、広い範囲の断熱を行うことができ、少ない枚数の真空断熱材で断熱を行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の断熱箱体の発明は、請求項2に記載の発明における変形部が所定の方向に並んで複数設けられており、真空断熱材の芯材の領域の配列方向を、前記変形部に対して横断するように配置していることを特徴とするものであり、真空断熱材の設置を行いやすい。
【0017】
請求項4に記載の断熱箱体の発明は、請求項1に記載の発明における変形部が所定の方向に延びるものであり、真空断熱材の芯材の領域の配列方向を、前記変形部の延びる方向に合わせたことを特徴とするものであり、真空断熱材の設置を行いやすい。
【0018】
請求項5に記載の断熱箱体の発明は、請求項4に記載の発明における真空断熱材が、変形部同士の間に配置されていることを特徴とするものであり、真空断熱材の設置作業をさらに容易に行うことができる。
【0019】
請求項6に記載の断熱箱体の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、真空断熱材の仕切部では外被材が密着し、芯材の各領域で独立して密閉状態となっていることを特徴とするものであり、断熱箱体の使用時に、真空断熱材が部分的に破損した場合にも、残りの部分の断熱性を維持することができる。
【0020】
請求項7に記載の断熱箱体の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明に加えて、内部空間には温度調節装置が配置され、前記内部空間内を所定の温度に制御することができることを特徴とするものであり、貨物の温度を安定させることができる。
【0021】
以下、本発明の断熱箱体の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものでない。
【0022】
図1は、本発明の実施の形態1における断熱箱体の斜視図である。図2は、図1に示す断熱箱体のA−A断面図である。図3は、図2に示す断熱箱体のB部の拡大断面図である。図4は、(a)は本発明の実施の形態1の断熱箱体に用いる真空断熱体を示す斜視図、(b)は(a)のC−C矢視断面斜視図である。図5は、同実施の形態の断熱箱体の板状部(側板部)の内側板に真空断熱材を貼り付けた状態を示す拡大断面図である。図6は、同実施の形態の断熱箱体の板状部(側板部)の拡大断面図である。図7は、同実施の形態の断熱箱体の板状部(側板部)の変形例を示す拡大断面図である。
【0023】
本発明の実施の形態1における断熱箱体1は、図1に示されるように、直方体の箱状であって板状部19を有している。板状部19は6面に設けられ、全て長方形状であり、上側に配置される天板部10、下側に配置される底板部11と、4枚の側板部12とが設けられている。そして、板状部19によって囲まれる空間である内部空間13が内部に形成されている。また、板状部19は枠材30に固定されている。
【0024】
天板部10及び底板部11の形状はほぼ同じであり、対向する1組の辺である長辺15が、他の二辺である短辺16よりも長く、細長い長方形状となっている。また、短辺16側に配置される側板部12は、開閉可能な扉部17となっており、必要に応じて開閉することができる。内部空間13に貨物を積み込んだり取り出したりする場合には扉部17を開け、輸送する場合には、扉部17は閉じられる。そして、扉部17を閉じた状態では、内部空間13がほぼ密閉状となる。
【0025】
また、図1、図2に示されるように、断熱箱体1の内部空間13には、温度調節装置18が設けられている。温度調節装置18は、内部空間13内の温度を所定の温度に維持することができるものであり、具体的には冷凍機である。そして、断熱箱体1を用いて輸送する場合には、必要に応じて温度調節装置18を稼働させ、内部空間13の温度を所定の温度で維持させることができる。
【0026】
側板部12の構造は、図3に示されるように、内側板22及び外側板23により構成される2重の金属板20と、真空断熱材25及び発泡樹脂部26により構成される断熱層21とからなっている。そして、断熱層21は、内側板22及び外側板23の間に形成される断熱層配置空間27に配置されている。
【0027】
内側板22及び外側板23は、平板の鋼板が用いられている。この鋼板の材質は、アルミやステンレスなどの耐腐食性に優れる材質のものを用いることができる。
【0028】
また、内側板22及び外側板23には、図1、図3に示すように、上下方向に延びる変形部28が形成されている。変形部28は、折り曲げて形成される部分であり、断熱層配置空間27側が突出するように形成され、外部が凹んだ形状となっている。そして、変形部28以外の部分は平面状である平面部29となり、後述するように、真空断熱材25は平面部29に接着されている。変形部28の形成はプレスなどにより行うことができる。
【0029】
なお、変形部28は折り曲げる方法以外にも、湾曲によって形成することもできる。
【0030】
変形部28は所定の間隔を設けるようにして、複数形成され、全体に配置されている。したがって、内側板22及び外側板23に、変形部28に沿う方向(上下方向)に圧縮力が作用した場合や、変形部28が湾曲する方向に曲げ応力が加わった場合に、より高強度となる。
【0031】
内側板22及び外側板23の変形部28は、上下方向に延びるように形成されており、これらの方向は平行な関係となっている。
【0032】
また、変形部28は上下方向の全域に伸びており、左右の平面部29を分割する状態となっている。
【0033】
真空断熱材25は、図4(a),(b)の様に、繊維材を圧縮成形した芯材43をガスバリア性を有する外被材41,42で覆い、当該外被材41,42で覆われた内部を減圧したものである。
【0034】
外被材41,42は、ガスバリア層、熱溶着層及び保護層を有する長方形状のシートである。そして、ガスバリア層はアルミニウムなどの金属箔や、金属または無酸化物の蒸着されたフィルムである。熱溶着層は、当該ガスバリア層の内面側に、無延伸ポリプロピレン等のフィルムを熱溶着層として積層したものである。そして、保護層は、ガスバリア層の外面側に、ナイロンやポリエチレンテレフタレートなどのフィルムを積層したラミネートフィルムである。
【0035】
芯材43は、圧縮されても空隙を維持することのできるものであり、繊維材などを用いて形成される。芯材43を繊維材を用いて形成する場合には、グラスウールやグラスファイバーなどの無機繊維が好ましい。また、芯材43には、繊維材以外の材料を用いても良い。
【0036】
そして、真空断熱材25は、外被材41,42を重ね合わせ、一部が開口となるように、周りを加熱溶着して袋状とし、さらに芯材43を袋内に挿入し、さらに、開口部分から袋内を減圧した状態で開口部分を加熱溶着して封止される。
【0037】
このようにして、製作された真空断熱材25には、図4(a)に示すように、外被材41,42の各辺に重ね合わせて加熱溶着される部分である、4ヵ所のひれ部25c,25d,25e,25fが形成される。
【0038】
また、芯材43は複数の領域43aに分割されており、芯材43の隣接する領域43aの同士の間は仕切部46が形成されている。仕切部46は、外被材41,42同士が重なり合わさって密着する部分であり、外被材41,42の周りのひれ部25c,25d,25e,25fと同様に、加熱溶着される。そして、仕切部46を通過して、芯材43の隣接する領域43aの間で気体が流れない状態となり、各領域43aは独立して密閉状態となっている。
【0039】
仕切部46は、芯材43がないため変形させやすい。そのため、全体が湾曲するような力が作用すると、湾曲しにくい芯材43が曲がらなくても、仕切部46で曲がるため、全体の形状を湾曲させることができる。そのため、板状部19を製作する際に作業しやすく、また、断熱箱体1の使用時に、金属板20が変形した場合にも真空断熱材25との間に隙間ができにくくすることができる。
【0040】
本実施の形態の真空断熱材25では、芯材43の領域43aは一列に並んだ状態となっている。そして、後述するように、真空断熱材25は、芯材43の領域43aの配列方向を、変形部28の延びる方向に対して横断するように横方向となるように配置される。なお、芯材43の領域43aを二列以上並んだ状態として、芯材43の領域43aを格子状に配列したものを用いても良い。
【0041】
また、仕切部46の間隔は、内側板22や外側板23の変形部28の間隔に合わせて形成されており、真空断熱材25を固定する際には、図5のように、仕切部46が内側板22や外側板23の変形部28に配置するようにして行われる。
【0042】
真空断熱材25は、図5に示されるように、内側板22及び外側板23の両方に配置され、接着剤で固定されている。具体的には、芯材43の各領域43aが、内側板22及び外側板23の平板部29に配置され、変形部28には配置されていない。
【0043】
また、図6、図7に示されるように、真空断熱材25の仕切部46が、内側板22及び外側板23の変形部28に位置しており、真空断熱材25は、変形部28を横断するように配置されている。
【0044】
発泡樹脂部26は、流動状の樹脂を充填しながら発泡硬化させることができるものを用いて成形するものであり、充填することのできる空間に合わせた形状とすることができる。発泡樹脂部26に用いられる材料としては、ウレタン樹脂材料が用いられるが他の材料でもよい。
【0045】
側板部12の形成の方法は、以下の通りである。
【0046】
まず、真空断熱材25の表面25a、裏面25bの両面に接着剤を塗布する。この接着剤の種類は限定されるものでないが、発泡樹脂部26にウレタン樹脂材料を用いた場合は、真空断熱材25の表面25aと発泡樹脂部26との接着面の接着層50aにウレタン系接着剤を用いと、真空断熱材25の表面25aと発泡樹脂部26との接着性が良い。
【0047】
そして、図5に示されるように、表面25a、裏面25bの両面に接着剤を塗布された真空断熱材25を、内側板22の断熱層配置空間27側に貼り付ける。このとき、真空断熱材25の芯材43の領域43aの配列方向を、変形部28の配列する方向となるようにする。
【0048】
また、真空断熱材25の貼り付けは、芯材43の各領域43aが平面部29に、仕切部46が変形部28となるように配置されており、また、内側板22及び外側板23の両側に設けられる。
【0049】
なお、内側板22及び外側板23の内側の面(断熱層配置空間27側の面)に、あらかじめ接着剤を塗布しておき、発泡樹脂部26と、内側板22及び外側板23との間の強度を高強度とすることができる。
【0050】
真空断熱材25を取り付けた後、内側板22と外側板23は所定の間隔となるような状態で固定される。この固定は、枠材30に溶接するなどして行われる。そして、内側板22と外側板23との間に形成される断熱層配置空間27に、流動状の樹脂を充填しながら発泡硬化させて発泡樹脂部26が形成される。断熱層配置空間27に流動状の樹脂を充填する場合には、内側板22や外側板23などに設けられる注入孔(図示せず)から注入されて、図6に示されるような状態となる。そして、注入された樹脂が発泡しながら硬化して、断熱層配置空間27に合わせるような形状となり、断熱層配置空間27には隙間が形成されない状態となる。
【0051】
このとき、図5に示すように、仕切部46と金属板20との間に隙間46aが形成された状態となっていても、図6に示すように、流動状の樹脂の注入により外側に押されて、この隙間46aの空間がほとんどなくなる状態となる。
【0052】
本実施の形態の断熱箱体1の、天板部10、底板部11及び他の側板部12の構造ついても、上記した側板部12と同様の構造が採用されており、同様な方法で製作され、これらの板状部19を用いて箱状とし、内部空間13が形成される。なお、天板部10や底板部11の変形部28は、短辺16に平行となる方向に延びるように形成されている。
【0053】
さらに、温度調節装置18を、扉部17が設けられる側板部12とは反対側付近の内部空間13に配置して、断熱箱体1が完成する。
【0054】
上記の断熱箱体1の真空断熱材25では、内側板22と外側板23との間に形成される断熱層配置空間27に配置されているので、断熱性を向上させることができる。また、真空断熱材25の芯材43は、複数の領域43aに分割されて仕切部46が設けられているので、全体形状を容易に曲げることが可能となる。さらに、仕切部46が変形部28となるように真空断熱材25を配置することにより、大きな真空断熱材25を用いて広い面積をカバーすることができ、少ない枚数の真空断熱材25で断熱箱体1を製作することができる。
【0055】
また、上記断熱箱体1では、真空断熱材25の芯材43が複数の領域43aに分割され、各領域43aは、独立して密閉状態となっているので、外被材41,42の一部分が破損した場合にも、他の部分の領域43aは真空を維持することができるので、かかる場合に断熱性の低下を最小限に抑えることができる。また、板部材19を補修する場合などにも、真空断熱材25の一部分が破損するおそれがあるので、かかる場合にも、断熱性の低下を最小限に抑えることができる。
【0056】
また、図7に示される側板部12のように、真空断熱材25の仕切部46の間隔を短くして、変形部28の間隔の約半分程度とし、変形部28の間に配置する芯材43の領域43aを2ヵ所とし、一部の仕切部46を変形部28に配置して、他の仕切部46を平面部29に配置して、変形部28の間に配置する芯材43の領域43aを2ヵ所とすることができる。さらに、変形部28の間に配置する芯材43の領域43aを3ヵ所以上としてもよい。
【0057】
上記した実施の形態の真空断熱材25の芯材43の領域43aの配列方向は、変形部28の配列する方向であって、変形部28の延びる方向に対して垂直であって、真空断熱材25が変形部28を横断するように配置されるものであったが、図8(a)、(b)に示されるように、芯材43の領域43aの配列方向を、変形部28の延びる方向に沿うようにして配置して、縦方向に配列することもできる。この場合、真空断熱材25の幅を変形部28同士の間の平面部29の大きさに合わせるようにして、変形部28同士の間に、真空断熱材25を配置することができる。さらに、芯材43の領域43aを2列以上とした格子状に配列したものを用いることができる。
【0058】
なお、上記した実施の形態の断熱箱体1では、天板部10、底板部11及び4枚の側板部12の板状部19の全てにおいて用いられる真空断熱材25の芯材43が複数の領域43aに分割されるものであったが、この構造を採用する板状部19を一部としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる断熱箱体は、真空断熱材が、外被材と芯材とを有するものであって、芯材が複数の領域となるように分割され、各領域同士の間の外被材には仕切部が形成されており、真空断熱材を金属板に固定する際には、芯材の各領域を平面部に配置して行うものであるので、真空断熱材を用いて断熱を行うことができ、真空断熱材の固定作業などを行いやすく、一部が破損した場合にも、断熱性の低下を小さくすることができる。したがって、船舶による貨物輸送、鉄道や道路による貨物輸送の保冷コンテナに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態1における断熱箱体の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】図2のB部の拡大断面図
【図4】(a)は本発明の実施の形態1の断熱箱体に用いる真空断熱体を示す斜視図、(b)は(a)のC−C矢視断面斜視図
【図5】同実施の形態の断熱箱体の板状部(側板部)の内側板に真空断熱材を貼り付けた状態を示す拡大断面図
【図6】同実施の形態の断熱箱体の板状部(側板部)の拡大断面図
【図7】同実施の形態の断熱箱体の板状部(側板部)の変形例を示す拡大断面図
【図8】(a)は芯材の配置の変形例を示した正面図、(b)は(a)の断面図
【符号の説明】
【0061】
1 断熱箱体
12 側板部
13 内部空間
18 温度調節装置
19 板状部
20 金属板
22 内側板
23 外側板
25 真空断熱材
26 発泡樹脂部
28 変形部
29 平面部
41,42 外被材
43 芯材
43a 領域
46 仕切部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部と、前記板状部によって囲まれる内部空間とを備え、
前記板状部は、内側板と外側板からなる2重の金属板と、前記金属板の間に配置される発泡樹脂部及び真空断熱材とを有し、前記内側板の内側に前記内部空間が形成されるものであり、
前記内側板及び前記外側板は平板を用いて形成されるものであって、折り曲げ又は湾曲によって形成された変形部と、平面部とが設けられ、
前記真空断熱材は、外被材と芯材とを有するものであって、前記芯材は複数の領域となるように分割され、前記各領域同士の間の前記外被材には仕切部が形成されており、
前記真空断熱材を前記金属板に固定する際には、前記芯材の各領域を前記平面部に配置して行うことを特徴とする断熱箱体。
【請求項2】
真空断熱材の仕切部が変形部に位置するように、前記真空断熱材が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の断熱箱体。
【請求項3】
変形部は所定の方向に並んで複数設けられており、真空断熱材の芯材の領域の配列方向を、前記変形部に対して横断するように配置していることを特徴とする請求項2に記載の断熱箱体。
【請求項4】
変形部は所定の方向に延びるものであり、真空断熱材の芯材の領域の配列方向を、前記変形部の延びる方向に合わせたことを特徴とする請求項1に記載の断熱箱体。
【請求項5】
真空断熱材は、変形部同士の間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の断熱箱体。
【請求項6】
真空断熱材の仕切部では外被材が密着し、芯材の各領域で独立して密閉状態となっていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の断熱箱体。
【請求項7】
内部空間には温度調節装置が配置され、前記内部空間内を所定の温度に制御することができることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の断熱箱体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−131319(P2007−131319A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−325699(P2005−325699)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】