断線検出装置
【課題】測定したセルの電圧が正常な範囲であってもセルと検出端子との間に断線が生じている場合があり、そのような場合には断線の存在を検出することができなかった。
【解決手段】本発明の断線検出装置は、複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子(q1〜qN+1)と、複数の端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、複数の端子対の間の電圧を測定する電圧測定部(4)と、複数の端子対のそれぞれについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する端子電圧制御部(9)と、端子電圧制御部が端子の電圧を変化させた場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部(7)と、を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明の断線検出装置は、複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子(q1〜qN+1)と、複数の端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、複数の端子対の間の電圧を測定する電圧測定部(4)と、複数の端子対のそれぞれについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する端子電圧制御部(9)と、端子電圧制御部が端子の電圧を変化させた場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部(7)と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断線検出装置に関し、特に複数のセルを直列に接続した電池を構成する個々のセルとセルの電圧を測定するための電圧測定部との間の配線における断線の有無を検出する断線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車や、ハイブリッド自動車においては、モータ駆動用の電源として、リチウムイオン電池等の2次電池からなる複数のセルを直列に接続して所望の電圧を得るように積層(スタック)したスタック型の電池が用いられている。このようなスタック型の電池においては、自動車の外部に設置した給電設備から供給された電力や、モータで回生された電力を個々のセルに貯蔵できるようになっている。また、個々のセルの電圧は、充電又は放電により変動する。
【0003】
ここで、セルが過放電されたり過充電されたりすると、セルの特性に悪影響を及ぼし、ひいては電池がモータを駆動する能力が低下することとなる。そのため、スタック型の電池を構成する個々のセルの電圧を正確に測定し、測定したセルの電圧に応じて適切にセルの充電及び放電を行うことが重要であるが、セルと電圧測定装置との間の配線に断線が生じると、セルの電圧を正確に測定することが困難となる。そこで、セルと電圧測定装置との間の配線における断線の有無を検出する断線検出装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
図1に従来の断線検出装置の構成を示す。従来の断線検出装置によれば、電流バイパス電圧検出回路a1〜anは、各セルC1〜Cnの電圧と、バイパス作動電圧とを比較し、セル電圧がバイパス作動電圧を超えると、セルごとに設けられているN型MOSトランジスタQ1〜Qnをオンする。異常検出回路b1〜bnは、対応するセルの過充電状態および過放電状態を検出する。充放電制御回路105は、オア回路104を介して、所定時間内に、過充電異常検出信号および過放電異常検出信号が所定回数ずつ入力されると、組電池101を充電するようにし、その後、過充電異常検出信号および過放電異常検出信号が交互に入力されなくなると、検出端子q1〜qnとセルC1〜Cnとの間の接続線に断線が生じていると判断する。このような構成により、強制的に検出端子間を1つ置きに短絡させる処理を行わずに、セルと検出端子との間の接続線の断線を確実に検出することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−185685
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術によれば、セルの接続部の電圧を測定し、測定した電圧が異常な値を示すことにより発生させる過充電異常検出信号および過放電異常検出信号の有無に基づいて、セルと検出端子との間の接続線の断線の有無を検出している。しかしながら、測定したセルの電圧が正常な範囲であってもセルと検出端子との間の配線に断線が生じている場合があり、そのような場合には断線の存在を検出することができず、セルの電圧を正確に測定することができないという問題があった。
【0007】
図2を用いて従来の電圧測定回路を用いてスタック型の電池を構成する個々のセルと電圧測定回路との間の配線における断線の有無を検出する方法について説明する。ここでは、電圧測定回路として差動増幅回路を用いてセルの電圧を測定する場合を例にとって説明する。スタック型の電池1は、セルC1〜CNが直列接続されており、個々のセル同士はセルの両端に設けられた接続部j1〜jN+1のうちj2〜jNにより接続されている。各接続部j1〜jN+1には、配線W1〜WN+1を介して、セルの電圧V1〜VNを測定するためのセル側端子p1〜pN+1が設けられている。
【0008】
さらに、セル側端子p1〜pN+1は、電圧測定回路40の端子q1〜qN+1に接続されている。n番目のセルCnの電圧Vnを測定する場合には、セル側端子pn及びpn+1と、電圧測定回路40の端子qn及びqn+1とを介して、セルCnの両側の端子jn及びjn+1をそれぞれ電圧測定回路40内のオペアンプAの反転入力端子(+)及び非反転入力端子(−)に接続し、出力電圧Voutnの値を測定する。ここで、配線WnまたはWn+1の一方に、例えば図2に示すように断線箇所WbnまたはWbn+1において断線が生じているとする。このとき、出力電圧Voutnは、下記の式(1)で表される。
【0009】
【数1】
ここで、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aに設けられた抵抗、ΣVn-1はオフセット電圧と呼ばれ、電圧測定対象のセルCnの下層に積層されているセルC1〜Cn-1の電圧V1〜Vn-1の総和である。
【0010】
出力電圧Voutnが、異常に低い値(例えば、0〜1[V])を示す場合や、異常に高い値(例えば、4.8〜5[V])を示す場合には、配線WnまたはWn+1に断線が生じているものと判断できる。しかしながら、式(1)より、オフセット電圧ΣVn-1の値によっては、出力電圧Voutnが正常な電圧(例えば、1〜4.8[V])を示す場合があり、このような場合においては、単にセルの電圧を測定するだけではセルと電圧測定部との間の配線に生じている断線を検出することができず、セルの電圧を正確に測定することができない場合があるという問題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明では、セルと電圧測定部との間の配線に断線が生じているにもかかわらず、電圧測定部がセル電圧として正常な電圧値を示すような場合であっても、セルと電圧測定部との間の配線における断線を検出することができる断線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の断線検出装置は、複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子と、複数の端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、複数の端子対の間の電圧を測定する電圧測定部と、複数の端子対のそれぞれについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する端子電圧制御部と、端子電圧制御部が端子の電圧を変化させた場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セルと電圧測定部とを接続する配線において断線が生じているにもかかわらず、電圧測定部がセル電圧として正常な電圧値を示すような場合であっても、セルと電圧測定部との間の配線における断線を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の断線検出装置の構成図である。
【図2】スタック型の電池を構成する個々のセルの電圧を測定するセル電圧測定回路の構成図である。
【図3】本発明の実施例1に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る断線検出装置において、電圧測定部に差動増幅回路を用いた場合の断線検出装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る断線検出装置において、電圧測定部に差動増幅回路を用いた場合の断線検出装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例2に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例3に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例3に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例3に係る断線検出装置において、断線が生じていない場合の出力電圧の波形を示す図である。
【図12】本発明の実施例3に係る断線検出装置において、断線が生じている場合の出力電圧の波形を示す図である。
【図13】本発明の実施例4に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の実施例4に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る断線検出装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【実施例1】
【0016】
図3に本発明の実施例1に係る断線検出装置を示す。断線検出装置2は、端子電圧入力部3と、電圧測定ユニット4と、制御部5と、記憶部6と、断線判定部7と、データ送信部8と、端子電圧制御部9と、を有する。電池1は複数のセルC1〜CNが直列に接続されて積層(スタック)されており、各セル同士は、セルの両端に設けられた接続部j1〜jN+1のうちのj2〜jNを介して接続されている。セルの接続部j1〜jN+1には、配線W1〜WN+1を介して個々のセルの電圧を測定するためのセル側端子p1〜pN+1が設けられており、セル側端子p1〜pN+1は、セルの接続部j1〜jN+1に対応して設けられた、断線検出装置2の端子q1〜qN+1にそれぞれ接続されている。このように、端子q1〜qN+1は、複数のセルC1〜CNを直列接続する複数の接続部j1〜jN+1に各々設けられている。
【0017】
電圧測定ユニット4には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部401〜40Nが設けられている。電圧測定部401〜40Nは、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)に各々接続され、それぞれ複数の端子対の間(端子間)の電圧を測定し、測定電圧Vout1〜VoutNを出力する。ここで、i番目のセルCiに着目すると、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット4の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1がそれぞれ電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iに接続されている。電圧測定部401〜40Nとして、例えば図4に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0018】
端子電圧入力部3は、端子q1〜qN+1と端子電圧制御部9との間に抵抗R1〜RN+1とダイオードD1〜DN+1からなる保護回路を備えている。端子電圧制御部9は、複数の電圧測定部401〜40Nがそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、セルC1〜CNに接続された複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)のそれぞれについて、電圧を測定する対象のセルのみについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する。例えば、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セルCiに接続された端子qi及びqi+1の電圧を変化させる。具体的には、端子電圧制御部9が、端子qi及びqi+1に電圧0[V]を供給した状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(0))を測定し、次に、端子電圧制御部9が、端子qi及びqi+1に電圧5[V]を供給した状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(5))を測定し、測定電圧Vouti(0)及びVouti(5)を記憶部6に出力する。
【0019】
制御部5は、端子電圧制御部9を制御して、端子電圧入力部3の端子の電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット4に端子間(例えば、qi−qi+1間)の電圧Vout1〜VoutNの測定を実行させる。電圧測定ユニット4は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vout1〜VoutNを測定する。
【0020】
記憶部6は、電圧測定ユニット4が測定したセルC1〜CNについての測定電圧Vout1〜VoutNの値を記憶するとともに、制御部5を制御するためのプログラムを格納している。
【0021】
断線判定部7は、記憶部6に記憶されている電圧測定ユニット4内の電圧測定部401〜40Nが測定した端子対の間の測定電圧Vout1〜VoutNに基づいて、端子q1〜qN+1と接続部j1〜jN+1との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0022】
データ送信部8は、断線判定部7による配線W1〜WN+1における断線の有無に関する情報を断線検出装置2の外部の電池ECU10に送信し、電池ECU10は配線W1〜WN+1における断線の有無に関する情報に基づいて、断線が生じていない場合に電池1の個々のセルC1〜CNの充電及び放電の制御を行う。
【0023】
次に、本発明の実施例1に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図5に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図3及び4に示すようにN個のセルを有する電池1のセルC1〜CNと断線検出装置2との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部401〜40Nとして図4に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図4において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0024】
まず、ステップS101において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及びWi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS102において、iを1つ増加させる(インクリメントする)。次に、ステップS103において、端子電圧制御部9が端子qi及び端子qi+1に0[V]を印加する。ここで、端子電圧制御部9から端子電圧が入力されるのは、電圧の測定を行う対象のセルの両端の端子qi及びqi+1のみである。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(=Vouti(0))を測定し、測定したVouti(0)の値を記憶部6に格納する。
【0025】
ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(0)は、下記の式(2)から算出することができる。
【0026】
【数2】
ここで、Viはi番目のセルの電圧である。一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(0)は、下記の式(3)から算出することができる。
【0027】
【数3】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(0)は、下記の式(4)から算出することができる。
【0028】
【数4】
【0029】
次に、ステップS104において、端子電圧制御部9が端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加する。ここで、端子電圧制御部9から端子電圧が入力されるのは、電圧の測定を行う対象のセルの両端の端子qi及びqi+1のみである。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(5)を測定し、測定したVouti(5)の値を記憶部6に格納する。ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(5)は、下記の式(5)から算出することができる。
【0030】
【数5】
【0031】
式(2)及び(5)を対比すると分かるように、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加した場合のVouti(5)は、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qi及び端子qi+1に0[V]を印加した場合のVouti(0)と同じである。即ち、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合は、出力電圧Vouti(0)=Vouti(5)である。
一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(5)は、下記の式(6)から算出することができる。
【0032】
【数6】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(5)は、下記の式(7)から算出することができる。
【0033】
【数7】
【0034】
次に、ステップS105において、断線判定部7が、記憶部6に格納されたVouti(0)及びVouti(5)の値に基づいて、Vouti(0)=Vouti(5)であるか否かを判断することにより配線における断線の有無を判断する。即ち、上述のように、式(2)、(5)より、Wi及びWi+1に断線が生じていない場合はVouti(0)=Vouti(5)となるので、Vouti(0)=Vouti(5)である場合は、ステップS106において、配線Wi及びWi+1に断線が生じていないと判断する。Vouti(0)≠Vouti(5)である場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方に断線が生じていると判断されるため、次に、断線箇所の特定を行う。断線箇所の判断は、上下の出力電圧の変化、即ちVouti+1とVoutiの変化の有無により行う。
【0035】
ステップS107において、端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加した状態で、配線Wiに断線が生じている場合のVoutiの値を式(6)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi)として記憶部6に格納しておく。さらに、端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加した状態で、配線Wi+1に断線が生じている場合のVoutiの値を式(7)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi+1)として記憶部6に格納しておく。
【0036】
次に、ステップS108において、電圧測定部40iが測定したVouti(5)と、ステップS107において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(5)≠Vouti(Wi+1)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(5)≠Vouti(Wi+1)である場合には、配線Wi+1には断線が生じていないものと判断できるので、ステップS105での判断結果と併せて、ステップS109において、断線判定部7は、Wiが断線しているものと判断する。
【0037】
ステップS108において、Vouti(5)=Vouti(Wi+1)である場合は、少なくとも配線Wi+1は断線していると判断でき、この場合は、配線Wi+1のみが断線している場合と、配線Wiと配線Wi+1の両者が断線している場合が考えられるので、上記の何れであるかを判断する。ステップS110において、電圧測定部40iが測定したVouti(5)と、ステップS107において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(5)≠Vouti(Wi)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(5)≠Vouti(Wi)である場合には、ステップS111において、断線判定部7は、配線Wi+1のみが断線しているものと判断する。一方、Vouti(5)=Vouti(Wi)である場合には、断線判定部7は、配線Wi及び配線Wi+1の両者が断線しているものと判断する。
【0038】
次に、ステップS113において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の測定が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線検出は完了していないと判断し、ステップS102に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線検出が完了するまでステップS102〜S113を繰り返す。
【0039】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1に電圧を印加し、端子qi、qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1とqi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0040】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WNの断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi、qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、配線の断線が生じた場合に測定される出力電圧を予め算出しておき、測定した出力電圧と比較することにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【実施例2】
【0041】
図6に本発明の実施例2に係る断線検出装置を示す。実施例2に係る断線検出装置21は、端子電圧入力部31と、電圧測定ユニット4と、制御部5と、記憶部6と、断線判定部71と、データ送信部8と、端子電圧制御部91と、を有しており、端子電圧制御部91が複数の端子対のうちの所定の端子対の一方の端子の電位をグランド電位とする点を特徴としている。電池1の構成は実施例1と同様である。
【0042】
電圧測定ユニット4には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部401〜40Nが設けられ、それぞれ測定電圧Vout1〜VoutNを出力する。ここで、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット4の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1をそれぞれ電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iに接続する。このように、個々のセルC1〜CNの電圧V1〜VNを測定するように、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に対応して設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)にそれぞれ電圧測定部401〜40Nが接続されている。電圧測定部401〜40Nとして、例えば図7に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0043】
端子電圧入力部31は、端子q1〜qN+1と断線検出装置21内のグランドとの間にスイッチSW1〜SWN+1を設けており、端子電圧制御部91からの制御信号により、スイッチSW1〜SWN+1をスイッチングすることにより、端子q1〜qN+1のうちの任意の端子の電位をグランド電位とする。本実施例では、端子電圧入力部31は、電池1を構成する複数のセルC1〜CNのうちの特定の1つのセルの電圧を測定する場合に、電圧を測定する対象のセルのみについて、端子の電圧をグランド電位に変化させる。即ち、端子電圧制御部91は、複数の電圧測定部401〜40Nがそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、セルC1〜CNに接続された端子q1〜qN+1の電圧をグランド電位に変化させる。例えば、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セルCiに接続された端子qiまたはqi+1の何れか一方の端子に接続されたスイッチSWi又はSWi+1を導通させることにより、端子のqiまたはqi+1の電圧をグランド電位に変化させる。
【0044】
本実施例では、端子電圧制御部91からの制御信号により、スイッチSWiをオン状態とし、端子qiをグランド電位とした状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(i))を測定し、次に、端子電圧制御部91からの制御信号により、スイッチSWi+1をオン状態とし、端子qi+1をグランド電位とした状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(i+1))を測定し、測定電圧Vouti(i)及びVouti(i+1)を記憶部6に出力する。
【0045】
制御部5は、端子電圧制御部91を制御して、端子電圧入力部31の端子の電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット4に端子間(例えば、セルCiの電圧Voutiの場合はqi−qi+1間)の電圧Vout1〜VoutNの測定を実行させる。電圧測定ユニット4は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vout1〜VoutNを測定し、記憶部6はこれらのデータを記憶する。
【0046】
断線判定部71は、記憶部6に記憶されている電圧測定ユニット4が測定したC1〜CNについての測定電圧Vout1〜VoutNに基づいて、配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0047】
記憶部6、データ送信部8、電池ECU10は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0048】
次に、本発明の実施例2に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図8に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図6及び図7に示すように電池1のN個のセルC1〜CNと断線検出装置21との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部401〜40Nとして図7に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図7において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0049】
まず、ステップS201において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及びWi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS202において、iを1つ増加させる。次に、ステップS203において、端子電圧制御部91が端子電圧入力部31のスイッチSWiをオン状態として、端子qiの電位をグランド電位とする。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(=Vouti(i))を測定し、測定したVouti(i)の値を記憶部6に格納する。
【0050】
ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(i)は、下記の式(8)から算出することができる。
【0051】
【数8】
ここで、Viはi番目のセルの電圧である。一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(i)は、下記の式(9)から算出することができる。
【0052】
【数9】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(i)は、下記の式(10)から算出することができる。
【0053】
【数10】
【0054】
次に、ステップS204において、端子電圧制御部91が、端子電圧入力部31のスイッチSWi+1をオン状態として、端子qi+1の電位をグランド電位とする。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(i+1)を測定し、測定したVouti(i+1)の値を記憶部6に格納する。ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(i+1)は、下記の式(11)から算出することができる。
【0055】
【数11】
【0056】
式(8)及び(11)を対比すると分かるように、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qiをグランド電位とした場合のVouti(i)は、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qi+1をグランド電位とした場合のVouti(i+1)と同じである。即ち、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合は、出力電圧Vouti(i)=Vouti(i+1)である。
一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(i+1)は、下記の式(12)から算出することができる。
【0057】
【数12】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(i+1)は、下記の式(13)から算出することができる。
【0058】
【数13】
【0059】
次に、ステップS205において、断線判定部71が、記憶部6に格納されたVouti(i)及びVouti(i+1)の値に基づいて、Vouti(i)=Vouti(i+1)であるか否かを判断することにより配線の断線の有無を判断する。即ち、上述のように、式(8)、(11)より、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていない場合はVouti(i)=Vouti(i+1)となるので、Vouti(i)=Vouti(i+1)である場合は、ステップS206において、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていないと判断する。Vouti(i)≠Vouti(i+1)である場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方に断線が生じていると判断されるため、次に、断線箇所の特定を行う。
【0060】
ステップS207において、端子qi+1をグランド電位とした状態で、配線Wiに断線が生じている場合のVoutiの値を式(12)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi)として記憶部6に格納しておく。さらに、端子qi+1をグランド電位とした状態で、配線Wi+1に断線が生じている場合のVoutiの値を式(13)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi+1)として記憶部6に格納しておく。
【0061】
次に、ステップS208において、電圧測定部40iが測定したVouti(i+1)と、ステップS207において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(i+1)≠Vouti(Wi+1)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(i+1)≠Vouti(Wi+1)である場合には、ステップS205での判断結果と併せて、ステップS209において、断線判定部71は、配線Wiが断線しているものと判断する。
【0062】
ステップS208において、Vouti(i+1)=Vouti(Wi+1)である場合は、少なくとも配線Wi+1は断線していると判断でき、この場合は、配線Wi+1のみが断線している場合と、配線Wiと配線Wi+1の両者が断線している場合が考えられるので、上記の何れであるかを判断する。ステップS210において、電圧測定部40iが測定したVouti(i+1)と、ステップS207において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi+1)とを比較し、Vouti(i+1)≠Vouti(Wi)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(i+1)≠Vouti(Wi)である場合には、ステップS211において、断線判定部71は、配線Wi+1のみが断線しているものと判断する。一方、Vouti(i+1)=Vouti(Wi)である場合には、断線判定部71は、配線Wi及び配線Wi+1の両者が断線しているものと判断する。
【0063】
次に、ステップS213において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出は完了していないと判断し、ステップS202に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了するまでステップS202〜S213を繰り返す。
【0064】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1の一方の電位をグランド電位とし、端子qi、qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1と端子qi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0065】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WN+1の断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi−qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、配線に断線が生じた場合に測定される出力電圧を予め算出しておき、測定した出力電圧と比較することにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【0066】
なお、以上の説明においては、スイッチSW1〜SWN+1をスイッチングする例を示したが、スイッチの切り替えを最下位スイッチSW1と最上位スイッチSWN+1において2回行うようにしてもよい。すなわち、SW1をオン状態としてVout1〜VoutNを全て計測し、SWN+1をオン状態としてVout1〜VoutNを全て計測する。この場合、出力電圧の比較ではなく、出力電圧が測定範囲外であるか否かをチェックすることにより、上下の出力電圧、例えばVouti及びVouti+1に基づいて配線の断線の有無を判断することができる。
【実施例3】
【0067】
図9に本発明の実施例3に係る断線検出装置を示す。実施例3に係る断線検出装置22は、端子電圧入力部32と、電圧測定ユニット4と、制御部5と、記憶部6と、断線判定部72と、データ送信部8と、端子電圧制御部92と、を有しており、端子q1〜qN+1と端子電圧制御部92との間にコンデンサCap1〜CapN+1が設けられ、断線判定部72は、端子電圧制御部92がコンデンサCap1〜CapN+1にパルス電圧を印加した場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子q1〜qN+1と接続部j1〜jN+1との間の配線W1〜WN+1の断線の有無を判断する点を特徴としている。電池1の構成は実施例1と同様である。
【0068】
電圧測定ユニット4には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部が設けられ、それぞれ測定電圧Vouti(i=1〜N)を出力する。ここで、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット4の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1をそれぞれ電圧測定ユニット4内の電圧測定部に接続する。このように、個々のセルC1〜CNの電圧V1〜VNを測定するように、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に対応して設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)にそれぞれ電圧測定部が接続されている。電圧測定部として、例えば図9に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0069】
端子電圧入力部32は、端子q1〜qN+1と端子電圧制御部92との間にコンデンサCap1〜CapN+1を備えている。端子電圧制御部92は、電池1を構成する複数のセルC1〜CNのうちの特定の1つのセルの電圧を測定する場合に、電圧を測定する対象のセルのみについて、端子にパルス電圧を印加する。即ち、端子電圧制御部92は、複数の電圧測定部がそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、セルC1〜CNに接続された端子q1〜qN+1にコンデンサCap1〜CapN+1を介してパルス電圧Vsig1〜VsigN+1を印加する。例えば、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セルCiに接続された端子qiまたはqi+1の何れか一方の端子に接続されたコンデンサCapi又はCapi+1を介してパルス電圧VsigiまたはVsigi+1を印加する。
【0070】
本実施例では、端子電圧制御部92からコンデンサCapiを介して端子qiにパルス電圧Vsigiを印加して、電圧測定部が出力電圧Voutiの時間的変化を測定し、次に、端子電圧制御部92からコンデンサCapi+1を介して端子qi+1にパルス電圧Vsigi+1を印加して、電圧測定部が出力電圧Vouti+1の時間的変化を測定する。
【0071】
制御部5は、端子電圧制御部92を制御して、端子電圧入力部32の端子に印加するパルス電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット4内の電圧測定部に端子間(例えば、qi−qi+1間)の電圧Vout1〜VoutNの測定を実行させる。電圧測定ユニット4は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vout1〜VoutNを測定する。
【0072】
断線判定部72は、電圧測定ユニット4内の電圧測定部が測定したC1〜CNについての測定電圧Vout1〜VoutNに基づいて、配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0073】
記憶部6、データ送信部8、電池ECU10は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0074】
次に、本発明の実施例3に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図10に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図9に示すようにN個のセルを有する電池1のセルC1〜CNと断線検出装置22との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部として図9に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図9において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0075】
まず、ステップS301において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及び配線Wi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS302において、iを1つ増加させる。次に、ステップS303において、端子電圧制御部92が端子電圧入力部32の端子qiにコンデンサCapiを介してパルス電圧Vsigiを入力して電圧測定ユニット4内の電圧測定部が出力電圧Voutiの波形をモニタする。
【0076】
ここで、出力電圧Voutiの波形は、端子qiとセルの接続部jiとの間の配線Wiにおける断線の有無に応じて異なった波形となる。配線Wiに断線が生じていない場合の出力電圧Voutiの波形を図11に示す。まず、時刻t1〜t2の期間に端子qiにコンデンサCapiを介してパルス電圧Vsigiを印加した場合、配線Wiに断線が生じていない場合には出力電圧Voutiは一定の値を示し、パルス電圧Vsigiの入力によって変化しない。
【0077】
一方、配線Wiに断線が生じている場合の出力電圧Voutiの波形を図12に示す。時刻t1〜t2の期間に端子qiにコンデンサCapiを介してパルス電圧Vsigiを印加した場合、配線Wiに断線が生じている場合には出力電圧Voutiはパルス波形に応じて大きく変化する。以上のようにして、電圧測定ユニット4内の電圧測定部が端子qi及びqi+1の間の電圧Voutiの波形をモニタし、パルス電圧の印加に伴うVoutiの変化の有無に関する情報を記憶部6に格納する。
【0078】
次に、ステップS304において、断線判定部72が、記憶部6に格納されたVoutiの変化の有無の情報に基づいて、配線Wiの断線の有無を判断する。Voutiに変化がない場合は、配線Wiには断線が生じていないものと判断し、次に他の一方の配線Wi+1の断線の有無を判断する。
【0079】
ステップS305において、端子電圧制御部92が端子電圧入力部32の端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を入力して電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが出力電圧Voutiの波形をモニタする。
【0080】
ここで、出力電圧Voutiの波形は、端子qi+1とセルの接続部ji+1との間の配線Wi+1における断線の有無に応じて異なった波形となる。配線Wi+1に断線が生じていない場合の出力電圧Voutiの波形を図11に示す。まず、時刻t3〜t4の期間に端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を印加した場合、配線Wi+1に断線が生じていない場合には出力電圧Voutiは一定の値を示し、パルス電圧Vsigi+1の入力によって変化しない。
【0081】
一方、配線Wi+1に断線が生じている場合の出力電圧Voutiの波形を図12に示す。時刻t3〜t4の期間に端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を印加した場合、配線Wi+1に断線が生じている場合には出力電圧Voutiはパルス波形に応じて大きく変化する。以上のようにして、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Voutiの波形をモニタし、パルス電圧の印加に伴うVoutiの変化の有無に関する情報を記憶部6に格納する。
【0082】
次に、ステップS306において、断線判定部72が、記憶部6に格納されたVoutiの変化の有無の情報に基づいて、配線Wi+1の断線の有無を判断する。Voutiに変化がない場合は、配線Wi+1には断線が生じていないものと判断する。この場合は、ステップS304において、配線Wiには断線が生じていないものと判断しているので、ステップS307において、配線Wi及び配線Wi+1ともに断線なしと判断する。
【0083】
一方、ステップS306において、Voutiが変化している場合には、配線Wi+1に断線が生じていると判断する。ここで、ステップS304において、配線Wiには断線が生じていないものと判断しているので、ステップS308において、配線Wi+1のみが断線していると判断する。
【0084】
ステップS304において、Voutiに変化があった場合は、配線Wiは断線していると判断し、次に他の一方の配線Wi+1の断線の有無を判断する。
【0085】
ステップS309において、端子電圧制御部92が端子電圧入力部32の端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を入力して電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが出力電圧Voutiの波形をモニタし、パルス電圧の印加に伴うVoutiの変化の有無に関する情報を記憶部6に格納する。
【0086】
次に、ステップS310において、断線判定部72が、記憶部6に格納されたVoutiの変化の有無の情報に基づいて、配線Wi+1の断線の有無を判断する。Voutiに変化がない場合は、配線Wi+1には断線が生じていないものと判断する。この場合は、ステップS304において、配線Wiは断線していると判断しているので、ステップS311において、配線Wiのみが断線していると判断する。
【0087】
一方、ステップS310において、Voutiが変化している場合には、配線Wi+1が断線していると判断する。ここで、ステップS304において、配線Wiは断線していると判断しているので、ステップS312において、配線Wi、Wi+1ともに断線していると判断する。
【0088】
次に、ステップS313において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の測定が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線検出は完了していないと判断し、ステップS302に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線検出が完了するまでステップS302〜S313を繰り返す。
【0089】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1の一方にパルス電圧を印加し、端子qi、qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1と端子qi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0090】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WNの断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi、qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、端子にパルス電圧を印加し、配線に断線が生じた場合に測定される出力電圧の波形をモニタすることにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【実施例4】
【0091】
図13に本発明の実施例4に係る断線検出装置を示す。実施例4に係る断線検出装置23は、制御部5と、記憶部6と、データ送信部8と、複数のセルC1〜CNを直列接続する複数の接続部j1〜jN+1に各々設けられた端子q1〜qN+1と、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)に各々接続され、前記複数の端子対の間の電圧を測定するオペアンプAi(i=1〜N)を有する電圧測定部を備えた電圧測定ユニット41と、オペアンプAiの反転入力端子にリファレンス電圧Vrefiを印加するリファレンス電圧(Vref)制御部11と、リファレンス電圧制御部11がリファレンス電圧Vrefiを変化させた場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子と接続部との間の配線W1〜WN+1の断線の有無を判断する断線判定部73と、を有することを特徴とする。電池1の構成は実施例1と同様である。
【0092】
電圧測定ユニット41には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部が設けられ、それぞれ測定電圧Vouti(i=1〜N)を出力する。ここで、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット41の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1をそれぞれ電圧測定ユニット41内の電圧測定部に接続する。このように、個々のセルC1〜CNの電圧V1〜VNを測定するように、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に対応して設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)にそれぞれ電圧測定部が接続されている。電圧測定部として、例えば図13に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0093】
電圧測定ユニット41は、複数のオペアンプAi(i=1〜N)を備えており、各オペアンプAiにはリファレンス電圧(Vref)入力端子Vrefiを備えている。Vref入力端子Vrefi(i=1〜N)は、Vref制御部11に接続されており、Vref制御部11からの制御信号により、Vref入力端子Vrefiの電圧が制御される。本実施例では、Vref制御部11は、電池1を構成する複数のセルC1〜CNのうちの特定の1つのセルの電圧を測定する場合に、電圧を測定する対象のセルのみについて、Vref入力端子Vrefiの電圧を変化させる。即ち、Vref制御部11は、電圧測定ユニット41を構成する複数の電圧測定部がそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、電圧測定部のオペアンプAiのVref入力端子Vrefiの入力電圧のみを変化させる。例えば、Vref制御部11が、Vref入力端子Vrefiに電圧2[V]を供給した状態で、電圧測定部が出力電圧Vouti(=Vouti(2))を測定し、次に、Vref制御部11が、Vref入力端子Vrefiに電圧4[V]を供給した状態で、電圧測定部が出力電圧Vouti(=Vouti(4))を測定し、測定電圧Vouti(2)及びVouti(4)を記憶部6に出力する。
【0094】
制御部5は、Vref制御部11を制御して、Vref入力端子Vrefiの電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット41に端子間(例えば、qi−qi+1間)の電圧Vouti(i=1〜N)の測定を実行させる。電圧測定ユニット41は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vouti(i=1〜N)を測定する。
【0095】
断線判定部73は、記憶部6に記憶されている電圧測定ユニット41が測定したC1〜CNについての測定電圧Vouti(i=1〜N)に基づいて、配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0096】
記憶部6、データ送信部8、電池ECU10は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0097】
次に、本発明の実施例4に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図14に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図13に示すようにN個のセルを有する電池1のセルC1〜CNと断線検出装置2との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部として図13に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図13において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0098】
まず、ステップS401において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及びWi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS402において、iを1つ増加させる。次に、ステップS403において、Vref制御部11がVref入力端子Vrefiに2[V]を印加する。ここで、Vref制御部11から端子電圧が入力されるのは、電圧の測定を行う電圧測定部のVref入力端子Vrefiのみである。この状態で、電圧測定ユニット41内の電圧測定部が端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(=Vouti(2))を測定し、測定したVouti(2)の値を記憶部6に格納する。
【0099】
ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(2)は、下記の式(14)から算出することができる。
【0100】
【数14】
ここで、Viはi番目のセルの電圧である。一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(2)は、下記の式(15)から算出することができる。
【0101】
【数15】
ここで、ΣVi-1は1番目から(i−1)番目までのセルの積層電圧である。さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(2)は、下記の式(16)から算出することができる。
【0102】
【数16】
【0103】
次に、ステップS404において、Vref制御部11がVref入力端子Vrefiに4[V]を印加する。この状態で、電圧測定ユニット41内の電圧測定部が端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(4)を測定し、測定したVouti(4)の値を記憶部6に格納する。ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(4)は、下記の式(17)から算出することができる。
【0104】
【数17】
【0105】
式(14)と(17)とを対比すると分かるように、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合にVref入力端子Vrefiに4[V]を印加した場合のVouti(4)は、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合にVref入力端子Vrefiに2[V]を印加した場合のVouti(2)より、入力したVref入力電圧の差分だけ異なっている。即ち、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合は、出力電圧Vouti(4)−Vouti(2)=2である。
一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(4)は、下記の式(18)から算出することができる。
【0106】
【数18】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(4)は、下記の式(19)から算出することができる。
【0107】
【数19】
【0108】
次に、ステップS405において、断線判定部73が、記憶部6に格納されたVouti(2)及びVouti(4)の値に基づいて、Vouti(4)−Vouti(2)=2であるか否かを判断することにより断線の有無を判断する。即ち、上述のように、式(14)、(17)より、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていない場合はVouti(4)−Vouti(2)=2となるので、Vouti(4)−Vouti(2)=2である場合は、ステップS406において、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていないと判断する。Vouti(4)−Vouti(2)≠2である場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方に断線が生じていると判断されるため、次に、断線箇所の特定を行う。断線箇所の判断は、上下の出力電圧の変化、即ちVouti+1とVoutiの変化の有無により行う。
【0109】
ステップS407において、Vref入力端子Vrefiに4[V]を印加した状態で、配線Wiに断線が生じている場合のVoutiの値を式(18)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi)として記憶部6に格納しておく。さらに、Vref入力端子Vrefiに4[V]を印加した状態で、配線Wi+1に断線が生じている場合のVoutiの値を式(19)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi+1)として記憶部6に格納しておく。
【0110】
次に、ステップS408において、電圧測定部が測定したVouti(4)と、ステップS407において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi+1)とを比較し、Vouti(4)≠Vouti(Wi+1)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(4)≠Vouti(Wi+1)である場合には、ステップS409において、断線判定部73は、配線Wiが断線しているものと判断する。
【0111】
ステップS408において、Vouti(4)=Vouti(Wi+1)である場合は、少なくとも配線Wi+1は断線していると判断でき、この場合は、配線Wi+1のみが断線している場合と、配線Wiと配線Wi+1の両者が断線している場合が考えられるので、上記の何れであるかを判断する。ステップS410において、電圧測定部が測定したVouti(4)と、ステップS407において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(4)≠Vouti(Wi)であるか否かを判断することにより、配線Wi+1の断線の有無を判断する。Vouti(4)≠Vouti(Wi)である場合には、ステップS411において、断線判定部7は、配線Wi+1のみが断線しているものと判断する。一方、Vouti(4)=Vouti(Wi)である場合には、ステップS412において、断線判定部7は、配線Wi及び配線Wi+1の両者が断線しているものと判断する。
【0112】
次に、ステップS413において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の測定が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線検出は完了していないと判断し、ステップS402に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線検出が完了するまでステップS402〜S413を繰り返す。
【0113】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1に電圧を印加し、端子qi−qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1と端子qi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0114】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WNの断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi、qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、配線に断線が生じた場合に測定される出力電圧を予め算出しておき、測定した出力電圧と比較することにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 電池
2、21、22、23 断線検出装置
3、31、32 端子電圧入力部
4、41 電圧測定ユニット
5 制御部
6 記憶部
7、71、72、73 断線判定部
8 データ送信部
9、91、92 端子電圧制御部
10 電池ECU
11 Vref制御部
401〜40N 電圧測定部
C1〜CN セル
j1〜jN+1 接続部
p1〜pN+1 セル側端子
q1〜qN+1 端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、断線検出装置に関し、特に複数のセルを直列に接続した電池を構成する個々のセルとセルの電圧を測定するための電圧測定部との間の配線における断線の有無を検出する断線検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車や、ハイブリッド自動車においては、モータ駆動用の電源として、リチウムイオン電池等の2次電池からなる複数のセルを直列に接続して所望の電圧を得るように積層(スタック)したスタック型の電池が用いられている。このようなスタック型の電池においては、自動車の外部に設置した給電設備から供給された電力や、モータで回生された電力を個々のセルに貯蔵できるようになっている。また、個々のセルの電圧は、充電又は放電により変動する。
【0003】
ここで、セルが過放電されたり過充電されたりすると、セルの特性に悪影響を及ぼし、ひいては電池がモータを駆動する能力が低下することとなる。そのため、スタック型の電池を構成する個々のセルの電圧を正確に測定し、測定したセルの電圧に応じて適切にセルの充電及び放電を行うことが重要であるが、セルと電圧測定装置との間の配線に断線が生じると、セルの電圧を正確に測定することが困難となる。そこで、セルと電圧測定装置との間の配線における断線の有無を検出する断線検出装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
図1に従来の断線検出装置の構成を示す。従来の断線検出装置によれば、電流バイパス電圧検出回路a1〜anは、各セルC1〜Cnの電圧と、バイパス作動電圧とを比較し、セル電圧がバイパス作動電圧を超えると、セルごとに設けられているN型MOSトランジスタQ1〜Qnをオンする。異常検出回路b1〜bnは、対応するセルの過充電状態および過放電状態を検出する。充放電制御回路105は、オア回路104を介して、所定時間内に、過充電異常検出信号および過放電異常検出信号が所定回数ずつ入力されると、組電池101を充電するようにし、その後、過充電異常検出信号および過放電異常検出信号が交互に入力されなくなると、検出端子q1〜qnとセルC1〜Cnとの間の接続線に断線が生じていると判断する。このような構成により、強制的に検出端子間を1つ置きに短絡させる処理を行わずに、セルと検出端子との間の接続線の断線を確実に検出することができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−185685
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術によれば、セルの接続部の電圧を測定し、測定した電圧が異常な値を示すことにより発生させる過充電異常検出信号および過放電異常検出信号の有無に基づいて、セルと検出端子との間の接続線の断線の有無を検出している。しかしながら、測定したセルの電圧が正常な範囲であってもセルと検出端子との間の配線に断線が生じている場合があり、そのような場合には断線の存在を検出することができず、セルの電圧を正確に測定することができないという問題があった。
【0007】
図2を用いて従来の電圧測定回路を用いてスタック型の電池を構成する個々のセルと電圧測定回路との間の配線における断線の有無を検出する方法について説明する。ここでは、電圧測定回路として差動増幅回路を用いてセルの電圧を測定する場合を例にとって説明する。スタック型の電池1は、セルC1〜CNが直列接続されており、個々のセル同士はセルの両端に設けられた接続部j1〜jN+1のうちj2〜jNにより接続されている。各接続部j1〜jN+1には、配線W1〜WN+1を介して、セルの電圧V1〜VNを測定するためのセル側端子p1〜pN+1が設けられている。
【0008】
さらに、セル側端子p1〜pN+1は、電圧測定回路40の端子q1〜qN+1に接続されている。n番目のセルCnの電圧Vnを測定する場合には、セル側端子pn及びpn+1と、電圧測定回路40の端子qn及びqn+1とを介して、セルCnの両側の端子jn及びjn+1をそれぞれ電圧測定回路40内のオペアンプAの反転入力端子(+)及び非反転入力端子(−)に接続し、出力電圧Voutnの値を測定する。ここで、配線WnまたはWn+1の一方に、例えば図2に示すように断線箇所WbnまたはWbn+1において断線が生じているとする。このとき、出力電圧Voutnは、下記の式(1)で表される。
【0009】
【数1】
ここで、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aに設けられた抵抗、ΣVn-1はオフセット電圧と呼ばれ、電圧測定対象のセルCnの下層に積層されているセルC1〜Cn-1の電圧V1〜Vn-1の総和である。
【0010】
出力電圧Voutnが、異常に低い値(例えば、0〜1[V])を示す場合や、異常に高い値(例えば、4.8〜5[V])を示す場合には、配線WnまたはWn+1に断線が生じているものと判断できる。しかしながら、式(1)より、オフセット電圧ΣVn-1の値によっては、出力電圧Voutnが正常な電圧(例えば、1〜4.8[V])を示す場合があり、このような場合においては、単にセルの電圧を測定するだけではセルと電圧測定部との間の配線に生じている断線を検出することができず、セルの電圧を正確に測定することができない場合があるという問題が生じていた。
【0011】
そこで、本発明では、セルと電圧測定部との間の配線に断線が生じているにもかかわらず、電圧測定部がセル電圧として正常な電圧値を示すような場合であっても、セルと電圧測定部との間の配線における断線を検出することができる断線検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の断線検出装置は、複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子と、複数の端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、複数の端子対の間の電圧を測定する電圧測定部と、複数の端子対のそれぞれについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する端子電圧制御部と、端子電圧制御部が端子の電圧を変化させた場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、セルと電圧測定部とを接続する配線において断線が生じているにもかかわらず、電圧測定部がセル電圧として正常な電圧値を示すような場合であっても、セルと電圧測定部との間の配線における断線を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の断線検出装置の構成図である。
【図2】スタック型の電池を構成する個々のセルの電圧を測定するセル電圧測定回路の構成図である。
【図3】本発明の実施例1に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る断線検出装置において、電圧測定部に差動増幅回路を用いた場合の断線検出装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施例2に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る断線検出装置において、電圧測定部に差動増幅回路を用いた場合の断線検出装置の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施例2に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例3に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図10】本発明の実施例3に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例3に係る断線検出装置において、断線が生じていない場合の出力電圧の波形を示す図である。
【図12】本発明の実施例3に係る断線検出装置において、断線が生じている場合の出力電圧の波形を示す図である。
【図13】本発明の実施例4に係る断線検出装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の実施例4に係る断線検出装置による断線検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る断線検出装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【実施例1】
【0016】
図3に本発明の実施例1に係る断線検出装置を示す。断線検出装置2は、端子電圧入力部3と、電圧測定ユニット4と、制御部5と、記憶部6と、断線判定部7と、データ送信部8と、端子電圧制御部9と、を有する。電池1は複数のセルC1〜CNが直列に接続されて積層(スタック)されており、各セル同士は、セルの両端に設けられた接続部j1〜jN+1のうちのj2〜jNを介して接続されている。セルの接続部j1〜jN+1には、配線W1〜WN+1を介して個々のセルの電圧を測定するためのセル側端子p1〜pN+1が設けられており、セル側端子p1〜pN+1は、セルの接続部j1〜jN+1に対応して設けられた、断線検出装置2の端子q1〜qN+1にそれぞれ接続されている。このように、端子q1〜qN+1は、複数のセルC1〜CNを直列接続する複数の接続部j1〜jN+1に各々設けられている。
【0017】
電圧測定ユニット4には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部401〜40Nが設けられている。電圧測定部401〜40Nは、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)に各々接続され、それぞれ複数の端子対の間(端子間)の電圧を測定し、測定電圧Vout1〜VoutNを出力する。ここで、i番目のセルCiに着目すると、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット4の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1がそれぞれ電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iに接続されている。電圧測定部401〜40Nとして、例えば図4に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0018】
端子電圧入力部3は、端子q1〜qN+1と端子電圧制御部9との間に抵抗R1〜RN+1とダイオードD1〜DN+1からなる保護回路を備えている。端子電圧制御部9は、複数の電圧測定部401〜40Nがそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、セルC1〜CNに接続された複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)のそれぞれについて、電圧を測定する対象のセルのみについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する。例えば、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セルCiに接続された端子qi及びqi+1の電圧を変化させる。具体的には、端子電圧制御部9が、端子qi及びqi+1に電圧0[V]を供給した状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(0))を測定し、次に、端子電圧制御部9が、端子qi及びqi+1に電圧5[V]を供給した状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(5))を測定し、測定電圧Vouti(0)及びVouti(5)を記憶部6に出力する。
【0019】
制御部5は、端子電圧制御部9を制御して、端子電圧入力部3の端子の電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット4に端子間(例えば、qi−qi+1間)の電圧Vout1〜VoutNの測定を実行させる。電圧測定ユニット4は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vout1〜VoutNを測定する。
【0020】
記憶部6は、電圧測定ユニット4が測定したセルC1〜CNについての測定電圧Vout1〜VoutNの値を記憶するとともに、制御部5を制御するためのプログラムを格納している。
【0021】
断線判定部7は、記憶部6に記憶されている電圧測定ユニット4内の電圧測定部401〜40Nが測定した端子対の間の測定電圧Vout1〜VoutNに基づいて、端子q1〜qN+1と接続部j1〜jN+1との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0022】
データ送信部8は、断線判定部7による配線W1〜WN+1における断線の有無に関する情報を断線検出装置2の外部の電池ECU10に送信し、電池ECU10は配線W1〜WN+1における断線の有無に関する情報に基づいて、断線が生じていない場合に電池1の個々のセルC1〜CNの充電及び放電の制御を行う。
【0023】
次に、本発明の実施例1に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図5に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図3及び4に示すようにN個のセルを有する電池1のセルC1〜CNと断線検出装置2との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部401〜40Nとして図4に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図4において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0024】
まず、ステップS101において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及びWi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS102において、iを1つ増加させる(インクリメントする)。次に、ステップS103において、端子電圧制御部9が端子qi及び端子qi+1に0[V]を印加する。ここで、端子電圧制御部9から端子電圧が入力されるのは、電圧の測定を行う対象のセルの両端の端子qi及びqi+1のみである。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(=Vouti(0))を測定し、測定したVouti(0)の値を記憶部6に格納する。
【0025】
ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(0)は、下記の式(2)から算出することができる。
【0026】
【数2】
ここで、Viはi番目のセルの電圧である。一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(0)は、下記の式(3)から算出することができる。
【0027】
【数3】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(0)は、下記の式(4)から算出することができる。
【0028】
【数4】
【0029】
次に、ステップS104において、端子電圧制御部9が端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加する。ここで、端子電圧制御部9から端子電圧が入力されるのは、電圧の測定を行う対象のセルの両端の端子qi及びqi+1のみである。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(5)を測定し、測定したVouti(5)の値を記憶部6に格納する。ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(5)は、下記の式(5)から算出することができる。
【0030】
【数5】
【0031】
式(2)及び(5)を対比すると分かるように、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加した場合のVouti(5)は、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qi及び端子qi+1に0[V]を印加した場合のVouti(0)と同じである。即ち、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合は、出力電圧Vouti(0)=Vouti(5)である。
一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(5)は、下記の式(6)から算出することができる。
【0032】
【数6】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(5)は、下記の式(7)から算出することができる。
【0033】
【数7】
【0034】
次に、ステップS105において、断線判定部7が、記憶部6に格納されたVouti(0)及びVouti(5)の値に基づいて、Vouti(0)=Vouti(5)であるか否かを判断することにより配線における断線の有無を判断する。即ち、上述のように、式(2)、(5)より、Wi及びWi+1に断線が生じていない場合はVouti(0)=Vouti(5)となるので、Vouti(0)=Vouti(5)である場合は、ステップS106において、配線Wi及びWi+1に断線が生じていないと判断する。Vouti(0)≠Vouti(5)である場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方に断線が生じていると判断されるため、次に、断線箇所の特定を行う。断線箇所の判断は、上下の出力電圧の変化、即ちVouti+1とVoutiの変化の有無により行う。
【0035】
ステップS107において、端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加した状態で、配線Wiに断線が生じている場合のVoutiの値を式(6)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi)として記憶部6に格納しておく。さらに、端子qi及び端子qi+1に5[V]を印加した状態で、配線Wi+1に断線が生じている場合のVoutiの値を式(7)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi+1)として記憶部6に格納しておく。
【0036】
次に、ステップS108において、電圧測定部40iが測定したVouti(5)と、ステップS107において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(5)≠Vouti(Wi+1)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(5)≠Vouti(Wi+1)である場合には、配線Wi+1には断線が生じていないものと判断できるので、ステップS105での判断結果と併せて、ステップS109において、断線判定部7は、Wiが断線しているものと判断する。
【0037】
ステップS108において、Vouti(5)=Vouti(Wi+1)である場合は、少なくとも配線Wi+1は断線していると判断でき、この場合は、配線Wi+1のみが断線している場合と、配線Wiと配線Wi+1の両者が断線している場合が考えられるので、上記の何れであるかを判断する。ステップS110において、電圧測定部40iが測定したVouti(5)と、ステップS107において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(5)≠Vouti(Wi)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(5)≠Vouti(Wi)である場合には、ステップS111において、断線判定部7は、配線Wi+1のみが断線しているものと判断する。一方、Vouti(5)=Vouti(Wi)である場合には、断線判定部7は、配線Wi及び配線Wi+1の両者が断線しているものと判断する。
【0038】
次に、ステップS113において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の測定が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線検出は完了していないと判断し、ステップS102に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線検出が完了するまでステップS102〜S113を繰り返す。
【0039】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1に電圧を印加し、端子qi、qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1とqi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0040】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WNの断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi、qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、配線の断線が生じた場合に測定される出力電圧を予め算出しておき、測定した出力電圧と比較することにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【実施例2】
【0041】
図6に本発明の実施例2に係る断線検出装置を示す。実施例2に係る断線検出装置21は、端子電圧入力部31と、電圧測定ユニット4と、制御部5と、記憶部6と、断線判定部71と、データ送信部8と、端子電圧制御部91と、を有しており、端子電圧制御部91が複数の端子対のうちの所定の端子対の一方の端子の電位をグランド電位とする点を特徴としている。電池1の構成は実施例1と同様である。
【0042】
電圧測定ユニット4には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部401〜40Nが設けられ、それぞれ測定電圧Vout1〜VoutNを出力する。ここで、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット4の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1をそれぞれ電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iに接続する。このように、個々のセルC1〜CNの電圧V1〜VNを測定するように、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に対応して設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)にそれぞれ電圧測定部401〜40Nが接続されている。電圧測定部401〜40Nとして、例えば図7に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0043】
端子電圧入力部31は、端子q1〜qN+1と断線検出装置21内のグランドとの間にスイッチSW1〜SWN+1を設けており、端子電圧制御部91からの制御信号により、スイッチSW1〜SWN+1をスイッチングすることにより、端子q1〜qN+1のうちの任意の端子の電位をグランド電位とする。本実施例では、端子電圧入力部31は、電池1を構成する複数のセルC1〜CNのうちの特定の1つのセルの電圧を測定する場合に、電圧を測定する対象のセルのみについて、端子の電圧をグランド電位に変化させる。即ち、端子電圧制御部91は、複数の電圧測定部401〜40Nがそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、セルC1〜CNに接続された端子q1〜qN+1の電圧をグランド電位に変化させる。例えば、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セルCiに接続された端子qiまたはqi+1の何れか一方の端子に接続されたスイッチSWi又はSWi+1を導通させることにより、端子のqiまたはqi+1の電圧をグランド電位に変化させる。
【0044】
本実施例では、端子電圧制御部91からの制御信号により、スイッチSWiをオン状態とし、端子qiをグランド電位とした状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(i))を測定し、次に、端子電圧制御部91からの制御信号により、スイッチSWi+1をオン状態とし、端子qi+1をグランド電位とした状態で、電圧測定部40iが出力電圧Vouti(=Vouti(i+1))を測定し、測定電圧Vouti(i)及びVouti(i+1)を記憶部6に出力する。
【0045】
制御部5は、端子電圧制御部91を制御して、端子電圧入力部31の端子の電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット4に端子間(例えば、セルCiの電圧Voutiの場合はqi−qi+1間)の電圧Vout1〜VoutNの測定を実行させる。電圧測定ユニット4は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vout1〜VoutNを測定し、記憶部6はこれらのデータを記憶する。
【0046】
断線判定部71は、記憶部6に記憶されている電圧測定ユニット4が測定したC1〜CNについての測定電圧Vout1〜VoutNに基づいて、配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0047】
記憶部6、データ送信部8、電池ECU10は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0048】
次に、本発明の実施例2に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図8に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図6及び図7に示すように電池1のN個のセルC1〜CNと断線検出装置21との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部401〜40Nとして図7に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図7において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0049】
まず、ステップS201において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及びWi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS202において、iを1つ増加させる。次に、ステップS203において、端子電圧制御部91が端子電圧入力部31のスイッチSWiをオン状態として、端子qiの電位をグランド電位とする。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(=Vouti(i))を測定し、測定したVouti(i)の値を記憶部6に格納する。
【0050】
ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(i)は、下記の式(8)から算出することができる。
【0051】
【数8】
ここで、Viはi番目のセルの電圧である。一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(i)は、下記の式(9)から算出することができる。
【0052】
【数9】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(i)は、下記の式(10)から算出することができる。
【0053】
【数10】
【0054】
次に、ステップS204において、端子電圧制御部91が、端子電圧入力部31のスイッチSWi+1をオン状態として、端子qi+1の電位をグランド電位とする。この状態で、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(i+1)を測定し、測定したVouti(i+1)の値を記憶部6に格納する。ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(i+1)は、下記の式(11)から算出することができる。
【0055】
【数11】
【0056】
式(8)及び(11)を対比すると分かるように、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qiをグランド電位とした場合のVouti(i)は、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合に端子qi+1をグランド電位とした場合のVouti(i+1)と同じである。即ち、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合は、出力電圧Vouti(i)=Vouti(i+1)である。
一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(i+1)は、下記の式(12)から算出することができる。
【0057】
【数12】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(i+1)は、下記の式(13)から算出することができる。
【0058】
【数13】
【0059】
次に、ステップS205において、断線判定部71が、記憶部6に格納されたVouti(i)及びVouti(i+1)の値に基づいて、Vouti(i)=Vouti(i+1)であるか否かを判断することにより配線の断線の有無を判断する。即ち、上述のように、式(8)、(11)より、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていない場合はVouti(i)=Vouti(i+1)となるので、Vouti(i)=Vouti(i+1)である場合は、ステップS206において、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていないと判断する。Vouti(i)≠Vouti(i+1)である場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方に断線が生じていると判断されるため、次に、断線箇所の特定を行う。
【0060】
ステップS207において、端子qi+1をグランド電位とした状態で、配線Wiに断線が生じている場合のVoutiの値を式(12)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi)として記憶部6に格納しておく。さらに、端子qi+1をグランド電位とした状態で、配線Wi+1に断線が生じている場合のVoutiの値を式(13)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi+1)として記憶部6に格納しておく。
【0061】
次に、ステップS208において、電圧測定部40iが測定したVouti(i+1)と、ステップS207において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(i+1)≠Vouti(Wi+1)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(i+1)≠Vouti(Wi+1)である場合には、ステップS205での判断結果と併せて、ステップS209において、断線判定部71は、配線Wiが断線しているものと判断する。
【0062】
ステップS208において、Vouti(i+1)=Vouti(Wi+1)である場合は、少なくとも配線Wi+1は断線していると判断でき、この場合は、配線Wi+1のみが断線している場合と、配線Wiと配線Wi+1の両者が断線している場合が考えられるので、上記の何れであるかを判断する。ステップS210において、電圧測定部40iが測定したVouti(i+1)と、ステップS207において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi+1)とを比較し、Vouti(i+1)≠Vouti(Wi)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(i+1)≠Vouti(Wi)である場合には、ステップS211において、断線判定部71は、配線Wi+1のみが断線しているものと判断する。一方、Vouti(i+1)=Vouti(Wi)である場合には、断線判定部71は、配線Wi及び配線Wi+1の両者が断線しているものと判断する。
【0063】
次に、ステップS213において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出は完了していないと判断し、ステップS202に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了するまでステップS202〜S213を繰り返す。
【0064】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1の一方の電位をグランド電位とし、端子qi、qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1と端子qi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0065】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WN+1の断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi−qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、配線に断線が生じた場合に測定される出力電圧を予め算出しておき、測定した出力電圧と比較することにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【0066】
なお、以上の説明においては、スイッチSW1〜SWN+1をスイッチングする例を示したが、スイッチの切り替えを最下位スイッチSW1と最上位スイッチSWN+1において2回行うようにしてもよい。すなわち、SW1をオン状態としてVout1〜VoutNを全て計測し、SWN+1をオン状態としてVout1〜VoutNを全て計測する。この場合、出力電圧の比較ではなく、出力電圧が測定範囲外であるか否かをチェックすることにより、上下の出力電圧、例えばVouti及びVouti+1に基づいて配線の断線の有無を判断することができる。
【実施例3】
【0067】
図9に本発明の実施例3に係る断線検出装置を示す。実施例3に係る断線検出装置22は、端子電圧入力部32と、電圧測定ユニット4と、制御部5と、記憶部6と、断線判定部72と、データ送信部8と、端子電圧制御部92と、を有しており、端子q1〜qN+1と端子電圧制御部92との間にコンデンサCap1〜CapN+1が設けられ、断線判定部72は、端子電圧制御部92がコンデンサCap1〜CapN+1にパルス電圧を印加した場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子q1〜qN+1と接続部j1〜jN+1との間の配線W1〜WN+1の断線の有無を判断する点を特徴としている。電池1の構成は実施例1と同様である。
【0068】
電圧測定ユニット4には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部が設けられ、それぞれ測定電圧Vouti(i=1〜N)を出力する。ここで、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット4の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1をそれぞれ電圧測定ユニット4内の電圧測定部に接続する。このように、個々のセルC1〜CNの電圧V1〜VNを測定するように、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に対応して設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)にそれぞれ電圧測定部が接続されている。電圧測定部として、例えば図9に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0069】
端子電圧入力部32は、端子q1〜qN+1と端子電圧制御部92との間にコンデンサCap1〜CapN+1を備えている。端子電圧制御部92は、電池1を構成する複数のセルC1〜CNのうちの特定の1つのセルの電圧を測定する場合に、電圧を測定する対象のセルのみについて、端子にパルス電圧を印加する。即ち、端子電圧制御部92は、複数の電圧測定部がそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、セルC1〜CNに接続された端子q1〜qN+1にコンデンサCap1〜CapN+1を介してパルス電圧Vsig1〜VsigN+1を印加する。例えば、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セルCiに接続された端子qiまたはqi+1の何れか一方の端子に接続されたコンデンサCapi又はCapi+1を介してパルス電圧VsigiまたはVsigi+1を印加する。
【0070】
本実施例では、端子電圧制御部92からコンデンサCapiを介して端子qiにパルス電圧Vsigiを印加して、電圧測定部が出力電圧Voutiの時間的変化を測定し、次に、端子電圧制御部92からコンデンサCapi+1を介して端子qi+1にパルス電圧Vsigi+1を印加して、電圧測定部が出力電圧Vouti+1の時間的変化を測定する。
【0071】
制御部5は、端子電圧制御部92を制御して、端子電圧入力部32の端子に印加するパルス電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット4内の電圧測定部に端子間(例えば、qi−qi+1間)の電圧Vout1〜VoutNの測定を実行させる。電圧測定ユニット4は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vout1〜VoutNを測定する。
【0072】
断線判定部72は、電圧測定ユニット4内の電圧測定部が測定したC1〜CNについての測定電圧Vout1〜VoutNに基づいて、配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0073】
記憶部6、データ送信部8、電池ECU10は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0074】
次に、本発明の実施例3に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図10に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図9に示すようにN個のセルを有する電池1のセルC1〜CNと断線検出装置22との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部として図9に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図9において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0075】
まず、ステップS301において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及び配線Wi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS302において、iを1つ増加させる。次に、ステップS303において、端子電圧制御部92が端子電圧入力部32の端子qiにコンデンサCapiを介してパルス電圧Vsigiを入力して電圧測定ユニット4内の電圧測定部が出力電圧Voutiの波形をモニタする。
【0076】
ここで、出力電圧Voutiの波形は、端子qiとセルの接続部jiとの間の配線Wiにおける断線の有無に応じて異なった波形となる。配線Wiに断線が生じていない場合の出力電圧Voutiの波形を図11に示す。まず、時刻t1〜t2の期間に端子qiにコンデンサCapiを介してパルス電圧Vsigiを印加した場合、配線Wiに断線が生じていない場合には出力電圧Voutiは一定の値を示し、パルス電圧Vsigiの入力によって変化しない。
【0077】
一方、配線Wiに断線が生じている場合の出力電圧Voutiの波形を図12に示す。時刻t1〜t2の期間に端子qiにコンデンサCapiを介してパルス電圧Vsigiを印加した場合、配線Wiに断線が生じている場合には出力電圧Voutiはパルス波形に応じて大きく変化する。以上のようにして、電圧測定ユニット4内の電圧測定部が端子qi及びqi+1の間の電圧Voutiの波形をモニタし、パルス電圧の印加に伴うVoutiの変化の有無に関する情報を記憶部6に格納する。
【0078】
次に、ステップS304において、断線判定部72が、記憶部6に格納されたVoutiの変化の有無の情報に基づいて、配線Wiの断線の有無を判断する。Voutiに変化がない場合は、配線Wiには断線が生じていないものと判断し、次に他の一方の配線Wi+1の断線の有無を判断する。
【0079】
ステップS305において、端子電圧制御部92が端子電圧入力部32の端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を入力して電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが出力電圧Voutiの波形をモニタする。
【0080】
ここで、出力電圧Voutiの波形は、端子qi+1とセルの接続部ji+1との間の配線Wi+1における断線の有無に応じて異なった波形となる。配線Wi+1に断線が生じていない場合の出力電圧Voutiの波形を図11に示す。まず、時刻t3〜t4の期間に端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を印加した場合、配線Wi+1に断線が生じていない場合には出力電圧Voutiは一定の値を示し、パルス電圧Vsigi+1の入力によって変化しない。
【0081】
一方、配線Wi+1に断線が生じている場合の出力電圧Voutiの波形を図12に示す。時刻t3〜t4の期間に端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を印加した場合、配線Wi+1に断線が生じている場合には出力電圧Voutiはパルス波形に応じて大きく変化する。以上のようにして、電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが端子qi及びqi+1の間の電圧Voutiの波形をモニタし、パルス電圧の印加に伴うVoutiの変化の有無に関する情報を記憶部6に格納する。
【0082】
次に、ステップS306において、断線判定部72が、記憶部6に格納されたVoutiの変化の有無の情報に基づいて、配線Wi+1の断線の有無を判断する。Voutiに変化がない場合は、配線Wi+1には断線が生じていないものと判断する。この場合は、ステップS304において、配線Wiには断線が生じていないものと判断しているので、ステップS307において、配線Wi及び配線Wi+1ともに断線なしと判断する。
【0083】
一方、ステップS306において、Voutiが変化している場合には、配線Wi+1に断線が生じていると判断する。ここで、ステップS304において、配線Wiには断線が生じていないものと判断しているので、ステップS308において、配線Wi+1のみが断線していると判断する。
【0084】
ステップS304において、Voutiに変化があった場合は、配線Wiは断線していると判断し、次に他の一方の配線Wi+1の断線の有無を判断する。
【0085】
ステップS309において、端子電圧制御部92が端子電圧入力部32の端子qi+1にコンデンサCapi+1を介してパルス電圧Vsigi+1を入力して電圧測定ユニット4内の電圧測定部40iが出力電圧Voutiの波形をモニタし、パルス電圧の印加に伴うVoutiの変化の有無に関する情報を記憶部6に格納する。
【0086】
次に、ステップS310において、断線判定部72が、記憶部6に格納されたVoutiの変化の有無の情報に基づいて、配線Wi+1の断線の有無を判断する。Voutiに変化がない場合は、配線Wi+1には断線が生じていないものと判断する。この場合は、ステップS304において、配線Wiは断線していると判断しているので、ステップS311において、配線Wiのみが断線していると判断する。
【0087】
一方、ステップS310において、Voutiが変化している場合には、配線Wi+1が断線していると判断する。ここで、ステップS304において、配線Wiは断線していると判断しているので、ステップS312において、配線Wi、Wi+1ともに断線していると判断する。
【0088】
次に、ステップS313において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の測定が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線検出は完了していないと判断し、ステップS302に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線検出が完了するまでステップS302〜S313を繰り返す。
【0089】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1の一方にパルス電圧を印加し、端子qi、qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1と端子qi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0090】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WNの断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi、qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、端子にパルス電圧を印加し、配線に断線が生じた場合に測定される出力電圧の波形をモニタすることにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【実施例4】
【0091】
図13に本発明の実施例4に係る断線検出装置を示す。実施例4に係る断線検出装置23は、制御部5と、記憶部6と、データ送信部8と、複数のセルC1〜CNを直列接続する複数の接続部j1〜jN+1に各々設けられた端子q1〜qN+1と、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)に各々接続され、前記複数の端子対の間の電圧を測定するオペアンプAi(i=1〜N)を有する電圧測定部を備えた電圧測定ユニット41と、オペアンプAiの反転入力端子にリファレンス電圧Vrefiを印加するリファレンス電圧(Vref)制御部11と、リファレンス電圧制御部11がリファレンス電圧Vrefiを変化させた場合における、電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、端子と接続部との間の配線W1〜WN+1の断線の有無を判断する断線判定部73と、を有することを特徴とする。電池1の構成は実施例1と同様である。
【0092】
電圧測定ユニット41には、N個のセルの電圧をそれぞれ測定する合計N個の電圧測定部が設けられ、それぞれ測定電圧Vouti(i=1〜N)を出力する。ここで、i番目のセルCiの電圧Viを測定する場合には、セル側端子pi及びpi+1と、電圧測定ユニット41の端子qi及びqi+1とを介して、セルCiの両端の接続部ji及びji+1をそれぞれ電圧測定ユニット41内の電圧測定部に接続する。このように、個々のセルC1〜CNの電圧V1〜VNを測定するように、複数の端子q1〜qN+1のうち、個々のセルC1〜CNの両端の接続部(j1及びj2,j2及びj3,・・・,jN及びjN+1)に対応して設けられた複数の端子対(q1及びq2,q2及びq3,・・・,qN及びqN+1)にそれぞれ電圧測定部が接続されている。電圧測定部として、例えば図13に示すような差動増幅回路Aiを用いることができる。
【0093】
電圧測定ユニット41は、複数のオペアンプAi(i=1〜N)を備えており、各オペアンプAiにはリファレンス電圧(Vref)入力端子Vrefiを備えている。Vref入力端子Vrefi(i=1〜N)は、Vref制御部11に接続されており、Vref制御部11からの制御信号により、Vref入力端子Vrefiの電圧が制御される。本実施例では、Vref制御部11は、電池1を構成する複数のセルC1〜CNのうちの特定の1つのセルの電圧を測定する場合に、電圧を測定する対象のセルのみについて、Vref入力端子Vrefiの電圧を変化させる。即ち、Vref制御部11は、電圧測定ユニット41を構成する複数の電圧測定部がそれぞれ個々のセルC1〜CNの電圧を測定する際に、電圧測定部のオペアンプAiのVref入力端子Vrefiの入力電圧のみを変化させる。例えば、Vref制御部11が、Vref入力端子Vrefiに電圧2[V]を供給した状態で、電圧測定部が出力電圧Vouti(=Vouti(2))を測定し、次に、Vref制御部11が、Vref入力端子Vrefiに電圧4[V]を供給した状態で、電圧測定部が出力電圧Vouti(=Vouti(4))を測定し、測定電圧Vouti(2)及びVouti(4)を記憶部6に出力する。
【0094】
制御部5は、Vref制御部11を制御して、Vref入力端子Vrefiの電圧を制御するとともに、電圧測定ユニット41に端子間(例えば、qi−qi+1間)の電圧Vouti(i=1〜N)の測定を実行させる。電圧測定ユニット41は、上記のように、セルC1〜CNの個々のセルの両端の接続部に対応して設けられた2つの端子間の電圧Vouti(i=1〜N)を測定する。
【0095】
断線判定部73は、記憶部6に記憶されている電圧測定ユニット41が測定したC1〜CNについての測定電圧Vouti(i=1〜N)に基づいて、配線W1〜WN+1における断線の有無を判断し、判断結果をデータ送信部8に送信する。
【0096】
記憶部6、データ送信部8、電池ECU10は、実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0097】
次に、本発明の実施例4に係る断線検出装置を用いた断線検出方法について説明する。図14に断線検出方法の手順を説明するためのフローチャートを示す。ここでは、図13に示すようにN個のセルを有する電池1のセルC1〜CNと断線検出装置2との間の配線W1〜WN+1における断線の有無を最下層の1番目のセルC1に接続された配線W1から最上位のN番目のセルCNに接続された配線WN+1について検出する手順を示す。また、電圧測定部として図13に示すような差動増幅回路Aiを用いた場合を例にとって説明する。図13において、Ra、Rb、Rc、Rdは、差動増幅回路Aiに設けられた抵抗であり、Vrefはリファレンス電圧である。
【0098】
まず、ステップS401において、i番目のセルCiに接続された配線Wi及びWi+1を指定するための番号iの初期値を0に設定する。次に、ステップS402において、iを1つ増加させる。次に、ステップS403において、Vref制御部11がVref入力端子Vrefiに2[V]を印加する。ここで、Vref制御部11から端子電圧が入力されるのは、電圧の測定を行う電圧測定部のVref入力端子Vrefiのみである。この状態で、電圧測定ユニット41内の電圧測定部が端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(=Vouti(2))を測定し、測定したVouti(2)の値を記憶部6に格納する。
【0099】
ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(2)は、下記の式(14)から算出することができる。
【0100】
【数14】
ここで、Viはi番目のセルの電圧である。一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(2)は、下記の式(15)から算出することができる。
【0101】
【数15】
ここで、ΣVi-1は1番目から(i−1)番目までのセルの積層電圧である。さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(2)は、下記の式(16)から算出することができる。
【0102】
【数16】
【0103】
次に、ステップS404において、Vref制御部11がVref入力端子Vrefiに4[V]を印加する。この状態で、電圧測定ユニット41内の電圧測定部が端子qi及びqi+1の間の電圧Vouti(4)を測定し、測定したVouti(4)の値を記憶部6に格納する。ここで、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合のVouti(4)は、下記の式(17)から算出することができる。
【0104】
【数17】
【0105】
式(14)と(17)とを対比すると分かるように、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合にVref入力端子Vrefiに4[V]を印加した場合のVouti(4)は、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合にVref入力端子Vrefiに2[V]を印加した場合のVouti(2)より、入力したVref入力電圧の差分だけ異なっている。即ち、配線Wi、Wi+1に断線が生じていない場合は、出力電圧Vouti(4)−Vouti(2)=2である。
一方、配線Wiに断線が生じている場合のVouti(4)は、下記の式(18)から算出することができる。
【0106】
【数18】
さらに、配線Wi+1に断線が生じている場合のVouti(4)は、下記の式(19)から算出することができる。
【0107】
【数19】
【0108】
次に、ステップS405において、断線判定部73が、記憶部6に格納されたVouti(2)及びVouti(4)の値に基づいて、Vouti(4)−Vouti(2)=2であるか否かを判断することにより断線の有無を判断する。即ち、上述のように、式(14)、(17)より、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていない場合はVouti(4)−Vouti(2)=2となるので、Vouti(4)−Vouti(2)=2である場合は、ステップS406において、配線Wi及び配線Wi+1に断線が生じていないと判断する。Vouti(4)−Vouti(2)≠2である場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方に断線が生じていると判断されるため、次に、断線箇所の特定を行う。断線箇所の判断は、上下の出力電圧の変化、即ちVouti+1とVoutiの変化の有無により行う。
【0109】
ステップS407において、Vref入力端子Vrefiに4[V]を印加した状態で、配線Wiに断線が生じている場合のVoutiの値を式(18)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi)として記憶部6に格納しておく。さらに、Vref入力端子Vrefiに4[V]を印加した状態で、配線Wi+1に断線が生じている場合のVoutiの値を式(19)に基づいて予め算出しておき、その値をVouti(Wi+1)として記憶部6に格納しておく。
【0110】
次に、ステップS408において、電圧測定部が測定したVouti(4)と、ステップS407において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi+1)とを比較し、Vouti(4)≠Vouti(Wi+1)であるか否かを判断することにより、配線Wiの断線の有無を判断する。Vouti(4)≠Vouti(Wi+1)である場合には、ステップS409において、断線判定部73は、配線Wiが断線しているものと判断する。
【0111】
ステップS408において、Vouti(4)=Vouti(Wi+1)である場合は、少なくとも配線Wi+1は断線していると判断でき、この場合は、配線Wi+1のみが断線している場合と、配線Wiと配線Wi+1の両者が断線している場合が考えられるので、上記の何れであるかを判断する。ステップS410において、電圧測定部が測定したVouti(4)と、ステップS407において予め算出し、記憶部6に格納したVouti(Wi)とを比較し、Vouti(4)≠Vouti(Wi)であるか否かを判断することにより、配線Wi+1の断線の有無を判断する。Vouti(4)≠Vouti(Wi)である場合には、ステップS411において、断線判定部7は、配線Wi+1のみが断線しているものと判断する。一方、Vouti(4)=Vouti(Wi)である場合には、ステップS412において、断線判定部7は、配線Wi及び配線Wi+1の両者が断線しているものと判断する。
【0112】
次に、ステップS413において、iがNに等しいか否かを判断することにより、N個のセル全てに接続された配線の測定が終了したか否かを判断する。i=Nである場合には、N個のセル全てに接続された配線の断線の検出が完了したと判断し、測定を終了する。一方、i≠Nである場合には、i<Nであるので、N個のセル全てに接続された配線の断線検出は完了していないと判断し、ステップS402に戻って、次の配線の断線の検出を行い、以下、N個のセル全てに接続された配線の断線検出が完了するまでステップS402〜S413を繰り返す。
【0113】
このようにして、N個のセルC1〜CNを構成する個々のセルCiの両端の接続部ji、ji+1に対応して設けられた端子qi、qi+1に電圧を印加し、端子qi−qi+1間の電圧Voutiを測定することにより、接続部ji、ji+1と端子qi、qi+1との間の配線Wi、Wi+1の断線の有無を検出することができる。
【0114】
以上の説明においては、N個のセルの全ての接続部j1〜jN+1と端子q1〜qN+1との間の配線W1〜WNの断線の有無を検出する手順を示したが、端子qi、qi+1間の出力電圧Voutiが明らかに異常な値を示したような場合には、配線Wi及び配線Wi+1の少なくともいずれか一方の配線には断線が生じているものと判断するようにしてもよい。ただし、単に出力電圧が異常な値を示した場合に、2つの端子に接続された2つの配線の何れの配線に断線が生じたかを検出することは難しい。本発明によれば、配線に断線が生じた場合に測定される出力電圧を予め算出しておき、測定した出力電圧と比較することにより、何れの配線に断線が生じたかを検出することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 電池
2、21、22、23 断線検出装置
3、31、32 端子電圧入力部
4、41 電圧測定ユニット
5 制御部
6 記憶部
7、71、72、73 断線判定部
8 データ送信部
9、91、92 端子電圧制御部
10 電池ECU
11 Vref制御部
401〜40N 電圧測定部
C1〜CN セル
j1〜jN+1 接続部
p1〜pN+1 セル側端子
q1〜qN+1 端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子と、
複数の前記端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、前記複数の端子対の間の電圧を測定する電圧測定部と、
前記複数の端子対のそれぞれについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する端子電圧制御部と、
前記端子電圧制御部が前記端子の電圧を変化させた場合における、前記電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、前記端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部と、
を有することを特徴とする断線検出装置。
【請求項2】
前記端子電圧制御部は、前記複数の端子対のうちの所定の端子対の一方の端子の電位をグランド電位とする、請求項1に記載の断線検出装置。
【請求項3】
前記端子と前記端子電圧制御部との間にコンデンサが設けられ、
前記断線判定部は、前記端子電圧制御部が前記コンデンサにパルス電圧を印加した場合における、前記電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、前記端子と接続部との間の断線の有無を判断する、請求項1に記載の断線検出装置。
【請求項4】
複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子と、
複数の前記端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、前記複数の端子対の間の電圧を測定するオペアンプを有する電圧測定部と、
前記オペアンプの反転入力端子にリファレンス電圧を印加するリファレンス電圧制御部と、
前記リファレンス電圧制御部が前記リファレンス電圧を変化させた場合における、前記電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、前記端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部と、
を有することを特徴とする断線検出装置。
【請求項1】
複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子と、
複数の前記端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、前記複数の端子対の間の電圧を測定する電圧測定部と、
前記複数の端子対のそれぞれについて、少なくとも一方の端子の電圧を制御する端子電圧制御部と、
前記端子電圧制御部が前記端子の電圧を変化させた場合における、前記電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、前記端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部と、
を有することを特徴とする断線検出装置。
【請求項2】
前記端子電圧制御部は、前記複数の端子対のうちの所定の端子対の一方の端子の電位をグランド電位とする、請求項1に記載の断線検出装置。
【請求項3】
前記端子と前記端子電圧制御部との間にコンデンサが設けられ、
前記断線判定部は、前記端子電圧制御部が前記コンデンサにパルス電圧を印加した場合における、前記電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、前記端子と接続部との間の断線の有無を判断する、請求項1に記載の断線検出装置。
【請求項4】
複数のセルを直列接続する複数の接続部に各々設けられた端子と、
複数の前記端子のうち、個々のセルの両端の接続部に設けられた複数の端子対に各々接続され、前記複数の端子対の間の電圧を測定するオペアンプを有する電圧測定部と、
前記オペアンプの反転入力端子にリファレンス電圧を印加するリファレンス電圧制御部と、
前記リファレンス電圧制御部が前記リファレンス電圧を変化させた場合における、前記電圧測定部が測定した端子対の間の電圧に基づいて、前記端子と接続部との間の配線における断線の有無を判断する断線判定部と、
を有することを特徴とする断線検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−36857(P2013−36857A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173176(P2011−173176)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】
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