説明

新生物治療のための組成物および方法

本発明は、新生物を有する患者を治療する際に有用な2個、3個、またはそれ以上の薬剤を含む組成物、癌(例えば、脳癌)などの新生物を有する患者の治療法、癌治療において有用な1個、2個、3個、またはそれ以上の薬剤を含むキット、ならびに新生物を有する患者を治療する際に有用である可能性のある化合物の組み合わせの特定法を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌(例えば、脳癌)などの新生物治療のための薬物および方法の組み合わせ、新生物治療のための薬物の組成物および組み合わせを含むキット、ならびに新生物治療において有用な化合物の組み合わせの特定法に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、異常な細胞の無制御の成長によって特徴づけられる疾患である。癌細胞は、限りある寿命を有する正常細胞に課せられた障壁を克服し、無期限に成長する。癌細胞の成長が続く間に、より攻撃的な成長表現型を追求するための癌性細胞が現れるまで遺伝子変化が続くこともある。未治療で放置すると、転移、すなわちリンパ系または血流による体の遠隔部位への癌細胞の拡散が起こり、健常組織を破壊することもある。
【0003】
脳腫瘍は小児癌における最も多い死亡原因で、中年男性における癌関連の死亡原因としては二番目に多いものである。2002年には、米国内で推定17,000名の患者が原発性悪性脳腫瘍の診断を受けた。同じ年に、米国内で170,000名の患者が続発性転移性脳腫瘍の診断を受けた。
【0004】
原発性脳腫瘍は、現行の療法による積極的な治療にもかかわらず、非常に予後が悪い。2003年には、Central Brain Tumor Registry of the United Statesが、最も一般的な原発性悪性脳腫瘍である多形グリア芽腫の診断後2年生存した患者はわずかに8.2%で、そのうち5年生存した患者はわずか2.9%にすぎないと報告した。
【0005】
したがって、この疾患を治療するための新しい治療法が強く必要とされている。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、癌(例えば、脳癌)などの新生物の治療または予防において有用な組成物、方法、およびキットを特徴とする。本発明は、新生物を治療する際に有用な組成物の特定法も提供する。
【0007】
第一の局面において、本発明は表1および表2の薬剤から選択される第一の薬剤と;表1および表2の薬剤から選択される第二の異なる薬剤とを含む組成物(例えば、経口、全身、非経口、頭蓋内、またはくも膜下腔内投与用に製剤された組成物)であって、ここで第一の薬剤および第二の薬剤は、患者に投与した場合に、新生物の成長を阻害するのに十分な量で存在しうる組成物を特徴とする。組成物は表1または表2から選択される一つまたは複数の追加の薬剤をさらに含んでいてもよい。特定の態様において、組成物には第一の薬剤および第二の薬剤がセリバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;イリノテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ロバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;トポテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ジスルフィラムおよびオーラノフィン;セリバスタチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;ロバスチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;トリフルプロマジンおよびカルベジロール;エファビレンツおよびセリバスタチン;ロバスタチンおよびエファビレンツ;ロバスタチンおよびエピルビシン;イリノテカンおよびイデベノン;ロバスタチンおよびイデベノン;シンバスタチンおよびイデベノン;ノルエチノドレルおよびイリノテカン;メテルゴリンおよびイトラコナゾール;パロキセチンおよびイトラコナゾール;トリフルプロマジンおよびイトラコナゾール;ラロキシフェンおよびマプロチリン;ラロキシフェンおよびメテルゴリン;セルトラリンおよびメテルゴリン;トポテカンおよびノルエチノドレル;またはイトラコナゾールおよびクロルプロチキセンであるものが含まれる。
【0008】
【表1】

【0009】
【表2】

【0010】
第二の局面において、本発明は新生物を有する患者の治療法であって、表1の薬剤(図1)から選択される薬剤を患者を治療するために有効な量で患者に投与する段階を含む方法を特徴とする。
【0011】
第三の局面において、本発明は新生物を有する患者の治療法であって、表1および表2の任意の薬剤からそれぞれ選択される複数の薬剤(例えば、セリバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;イリノテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ロバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;トポテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ジスルフィラムおよびオーラノフィン;セリバスタチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;ロバスタチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;トリフルプロマジンおよびカルベジロール;エファビレンツおよびセリバスタチン;ロバスタチンおよびエファビレンツ;ロバスタチンおよびエピルビシン;イリノテカンおよびイデベノン;ロバスタチンおよびイデベノン;シンバスタチンおよびイデベノン;ノルエチノドレルおよびイリノテカン;メテルゴリンおよびイトラコナゾール;パロキセチンおよびイトラコナゾール;トリフルプロマジンおよびイトラコナゾール;ラロキシフェンおよびマプロチリン;ラロキシフェンおよびメテルゴリン;セルトラリンおよびメテルゴリン;トポテカンおよびノルエチノドレル;またはイトラコナゾールおよびクロルプロチキセン;図2に示す)を投与する段階を含み、ここで薬剤は互いに28日以内(例えば、10日、5日、または24時間以内)に投与する方法を特徴とする。
【0012】
第二または第三の局面のいずれにおいても、新生物は癌(例えば、脳癌、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性リンパ球性白血病、真性多血症、ホジキン病、非ホジキン病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆道癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌(lung carcinoma)、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫、肺癌腫(lung cancer)、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、ならびに結腸癌)でありうる。特定の態様において、癌は脳癌(例えば、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、ならびに乏突起膠腫、神経膠腫、上衣腫、および髄膜腫)である。方法は、新生物に対する追加の治療の患者への投与と共に実施してもよく、ここで方法および追加の治療は互いに6ヶ月以内(例えば、14日、5日、または24時間以内)に投与する。追加の治療は手術、放射線療法、化学療法(例えば、A群抗増殖剤)、免疫療法、抗血管形成療法、または遺伝子療法でありうる。化学療法は一つまたは複数のA群抗増殖剤(例えば、ブレオマイシン、カルムスチン、シスプラチン、ダウノルビシン、エトポシド、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビノレルビン、シクロホスファミド、クロラムブシル、ゲムシタビン、カペシタビン、5-フルオロウラシル、フルダラビン、ラルチトレキセド、イリノテカン、トポテカン、ドキソルビシン、エピルビシン、レトロゾール、アナストラゾール、フォルメスタン、エキセメスタン、タモキシフェン、トレモフィン、ゴセレリン、ロイポレリン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ヒペリシン、トラスツマブ、およびリツキシマブ、またはこれらの任意の組み合わせ)から選択してもよい。本発明の第二および第三の局面の方法の薬剤は、静脈内、筋肉内、吸入、直腸、または経口投与により患者に投与してもよい。もう一つの態様において、薬剤は頭蓋内またはくも膜下腔内投与により投与する。方法は、血液脳関門の透過性を高める化合物(例えば、Na+/Ca++交換遮断薬、マンニトール、またはセレポート)の投与をさらに含んでいてもよい。
【0013】
本発明は、表1の薬剤の任意の一つから選択される薬剤と、新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に薬剤を投与するための説明書とを含むキットも提供する。
【0014】
本発明は、表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される二つの薬剤を含む組成物と、新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に組成物を投与するための説明書とを含むキットも特徴とする。
【0015】
本発明は、表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第一の薬剤と、表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第二の薬剤と、新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に第一および第二の薬剤を投与するための説明書とを含むキットも特徴とする。
【0016】
本発明は、(a)表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される薬剤と;(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に薬剤を、表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第二の薬剤と共に投与するための説明書とを含み、ここで第二の薬剤は(a)の薬剤ではないキットも特徴とする。
【0017】
本発明は、表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第一の薬剤と、一つまたは複数のA群抗増殖剤とを含む組成物と;新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に組成物を投与するための説明書とを含むキットも特徴とする。
【0018】
本発明は、表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第一の薬剤と、一つまたは複数のA群抗増殖剤と、新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に両方を投与するための説明書とを含むキットも特徴とする。
【0019】
本発明は、表1の薬剤の任意の一つから選択される薬剤と、薬剤および一つまたは複数のA群抗増殖剤を投与するための説明書とを含むキットも特徴とする。
【0020】
本発明は、(a)一つまたは複数のA群抗増殖剤と、(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に(a)からの薬剤を表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される任意の薬剤と共に投与するための説明書を含むキットも特徴とする。
【0021】
本発明は、新生物の治療、予防、または軽減のために有用でありうる組み合わせの特定法であって、新生物細胞を表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される薬剤ならびに候補化合物と接触させる段階と、薬剤および候補化合物の組み合わせが、薬剤とは接触したが、候補化合物とは接触していない細胞に比べて、新生物の成長を阻害するかどうかを評価する段階とを含み、ここで増殖の低減(例えば、細胞分裂速度の低下、急速に分裂している細胞への毒性、アポトーシス性の死の増大、または壊死性の死の増大の結果起こる増殖の低減)によって組み合わせが新生物の治療、予防、または軽減のために有用なものであると特定される方法も特徴とする。新生物細胞は哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞(神経細胞、膠細胞、小膠細胞、乏突起膠細胞、または星状細胞)でありうる。
【0022】
「A群抗増殖剤」とは、表3に記載する薬剤を意味する。
【0023】
【表3】




【0024】
表1、表2、および表3に記載の任意の化合物の類縁体を本発明の任意の方法、キット、および組成物おいて用いてもよい。そのような類縁体には表1、表2、および表3の化合物と同じ化学的クラス、メカニズムクラス、または治療クラスからの任意の薬剤が含まれ、本明細書に記載のものが含まれる。
【0025】
本発明において有用な化合物には、そのジアステレオマーおよび鏡像異性体などの異性体、塩、溶媒和物、ならびに多形を含む、それらの薬学的に許容される任意の形の本明細書に記載のもの(例えば、表1、表2、および表3)、ならびに本明細書に記載の化合物のラセミ混合物が含まれる。
【0026】
「患者」とは、任意の動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)を意味する。本発明の方法、組成物、およびキットを用いて治療することができる他の動物には、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚、および鳥が含まれる。
【0027】
「治療する」とは、一つまたは複数の薬剤を投与して、インビトロまたはインビボで新生物または新生物細胞の成長速度を測定できるほどに減速する、停止させる、または逆転させることを意味する。望ましくは、成長速度の減速は、細胞成長速度の評価に適したアッセイ法(例えば、本明細書に記載の細胞成長アッセイ法)を用いて評価して、少なくとも20%、30%、50%、またはさらには70%である。典型的には、成長速度の逆転は、新生物細胞における細胞死の壊死またはアポトーシスのメカニズムを開始または加速し、新生物の収縮を来すことにより達成する。
【0028】
「有効量」とは、臨床上適当な様式で癌(例えば、脳癌)などの新生物を有する患者を治療するために必要とされる、単独または他の療法と組み合わせての化合物の量を意味する。新生物が原因、または新生物に寄与する状態の治療のために、本発明を実施するのに用いる活性化合物の十分な量は、投与の様式、患者の年齢、体重および全般的健康に応じて変動する。最終的に、処方者が適当な量および投与法を決定することになる。加えて、有効量は、癌(例えば、脳癌)などの新生物を有する患者を治療する際に、規制当局(米国食品医薬品局など)によって決定および承認された各薬剤単独よりも安全かつ有効な本発明の組み合わせにおける化合物の量でありうる。
【0029】
「より有効」とは、治療が比較対象の別の治療よりも高い有効性を示す、または毒性が低い、安全、好都合、もしくは安価であることを意味する。有効性は、当業者であれば、所与の適応に適した任意の標準的方法を用いて測定しうる。
【0030】
「低用量」とは、任意のヒト疾患または状態を治療するための、所与の投与経路用に製剤された特定の化合物の最も低い標準推奨用量より、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、50%、80%、90%、またはさらには95%)低いことを意味する。例えば、吸入による投与用に製剤されたグルコースレベルを下げる薬剤の低用量は、経口投与用に製剤された同じ薬剤の低用量とは異なることになる。
【0031】
「高用量」とは、任意のヒト疾患または状態を治療するための特定の化合物の最も高い標準推奨用量より、少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、50%、100%、200%、またはさらには300%)高いことを意味する。
【0032】
「候補化合物」とは、天然であろうと人工的であろうと、化学物質を意味する。候補化合物には、例えば、ペプチド、ポリペプチド、合成有機分子、天然有機分子、核酸分子、ペプチド核酸分子、およびその成分または誘導体が含まれうる。
【0033】
「急速に分裂している細胞」とは、同じ細胞型の対照細胞(例えば、非新生物細胞)よりも少なくとも5%、10%、15%、25%、50%、75%、100%、150%、200%、または500%高い速度で細胞分裂している細胞(例えば、新生物細胞、または芽腫細胞)を意味する。
【0034】
本発明の化合物の一般的記載において、置換基における特定の型の原子の数は一般に範囲で、例えば、1から4個の炭素原子を含むアルキル基、またはC1-4アルキルとして示す。そのような範囲への言及は、指定の範囲内の各整数の原子を有する基への具体的言及を含むことが意図される。例えば、炭素原子1から4個のアルキル基はC1、C2、C3、およびC4のそれぞれを含む。例えば、C1-12ヘテロアルキルは、1から12個の炭素原子ならびに一つまたは複数のヘテロ原子を含む。他の原子および他の型の原子の数も同様の様式で示しうる。
【0035】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語および「アルク-」なる接頭辞は、直鎖および分枝鎖両方の基ならびに環式基、すなわち、シクロアルキルを含む。環式基は単環式または多環式でありえ、好ましくは3から6個(3および6個を含む)の環炭素原子を有する。例示的環式基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシル基が含まれる。
【0036】
「C1-4アルキル」とは、1から4個の炭素原子を有する分枝または非分枝炭化水素基を意味する。C1-4アルキル基は置換されていても無置換でもよい。例示的置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が含まれる。C1-4アルキルには、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、およびシクロブチルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0037】
「C2-4アルケニル」とは、一つまたは複数の二重結合を含み、2から4個の炭素原子を有する、分枝または非分枝炭化水素基を意味する。C2-4アルケニルは、各環が望ましくは3から6個の構成員を有する、単環式または多環式の環を任意に含んでいてもよい。C2-4アルケニル基は置換されていても無置換でもよい。例示的置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が含まれる。C2-4アルケニルには、ビニル、アリル、2-シクロプロピル-1-エテニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、および2-メチル-2-プロペニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0038】
「C2-4アルキニル」とは、一つまたは複数の三重結合を含み、2から4個の炭素原子を有する、分枝または非分枝炭化水素基を意味する。C2-4アルキニルは、各環が望ましくは5または6個の構成員を有する、単環式、二環式、または三環式の環を任意に含んでいてもよい。C2-4アルキニル基は置換されていても無置換でもよい。例示的置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が含まれる。C2-4アルキニルには、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、および3-ブチニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0039】
「C2-6ヘテロシクリル」とは、安定な5から7員単環式または7から14員二環式複素環であって、飽和、部分不飽和、または不飽和(芳香族)であり、2から6個の炭素原子と、N、O、およびSから独立に選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなり、前述の定義の複素環のいずれかがベンゼン環に縮合している任意の二環式基を含む複素環を意味する。ヘテロシクリル基は置換されていても無置換でもよい。例示的置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシ、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が含まれる。窒素および硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてもよい。複素環は安定な構造を生じる任意のヘテロ原子または炭素原子を介して共有結合されていてもよく、例えば、イミダゾリニル環は環炭素原子のいずれかの位置または窒素原子で連結されていてもよい。複素環内の窒素原子は任意に四級化されていてもよい。好ましくは、複素環内のSおよびO原子の総数が1を越える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接することはない。複素環には、1H-インダゾール、2-ピロリドニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、2H-ピロリル、3H-インドリル、4-ピペリドニル、4aH-カルバゾール、4H-キノリジニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、b-カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-1,5,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルペルイミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4-ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、およびキサンテニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。好ましい5から10員複素環には、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、1H-インダゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾキサゾリニル、キノリニル、およびイソキノリニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。好ましい5から6員複素環には、ピリジニル、ピリミジニル、トリアジニル、フラニル、チエニル、チアゾリル、ピロリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、およびテトラゾリルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0040】
「C6-12アリール」とは、共役π電子を伴う炭素原子からなる環系を有する芳香族基(例えば、フェニル)を意味する。アリール基は6から12個の炭素原子を有する。アリール基は、各環が望ましくは5または6個の構成員を有する、単環式、二環式、または三環式の環を任意に含んでいてもよい。アリール基は置換されていても無置換でもよい。例示的置換基には、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、フルオロアルキル、カルボキシル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、一置換アミノ、二置換アミノ、および四級アミノ基が含まれる。
【0041】
「C7-14アルカリール」とは、7から14個の炭素原子を有する、アリール基(例えば、ベンジル、フェネチル、または3,4-ジクロロフェネチル)で置換されたアルキルを意味する。
【0042】
「C3-10アルクヘテロシクリル」とは、3から10個の炭素原子ならびに一つまたは複数のヘテロ原子を有する、アルキル置換複素環基(例えば、3-フラニルメチル、2-フラニルメチル、3-テトラヒドロフラニルメチル、または2-テトラヒドロフラニルメチル)を意味する。
【0043】
「C1-7ヘテロアルキル」とは、1から7個の炭素原子、ならびにN、O、S、およびPからなる群より独立に選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子を有する、分枝または非分枝アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を意味する。ヘテロアルキル基には、三級アミン、二級アミン、エーテル、チオエーテル、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、ヒドラゾン、イミン、ホスホジエステル、ホスホラミデート、スルホンアミド、およびジスルフィドが含まれるが、それらに限定されるわけではない。ヘテロアルキルは、各環が望ましくは3から6個の構成員を有する、単環式、二環式、または三環式の環を任意に含んでいてもよい。ヘテロアルキル基は置換されていても無置換でもよい。例示的置換基には、アルコキシ、アリールオキシ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、ハロゲン化物、ヒドロキシル、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル、アミノ、アミノアルキル、二置換アミノ、四級アミノ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、およびカルボキシル基が含まれる。C1-7ヘテロアルキルの例には、メトキシメチルおよびエトキシエチルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0044】
「ハロゲン化物」または「ハロゲン」とは、臭素、塩素、ヨウ素、またはフッ素を意味する。
【0045】
「フルオロアルキル」とは、フッ素原子で置換されているアルキル基を意味する。
【0046】
「パーフルオロアルキル」とは、炭素およびフッ素原子だけからなるアルキル基を意味する。
【0047】
「カルボキシアルキル」とは、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される、式-(R)-COOHの化学部分を意味する。
【0048】
「ヒドロキシアルキル」とは、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される、式-(R)-OHの化学部分を意味する。
【0049】
「アルコキシ」とは、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される、式-ORの化学置換基を意味する。
【0050】
「アリールオキシ」とは、式-OR(RはC6-12アリール基である)の化学置換基を意味する。
【0051】
「アルキルチオ」とは、RはC1-7アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルから選択される、式-SRの化学置換基を意味する。
【0052】
「アリールチオ」とは、RはC6-12アリール基である、式-SRの化学置換基を意味する。
【0053】
「四級アミノ」とは、R、R'、R''、およびR'''はそれぞれ独立にアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリール基である、式-(R)-N(R')(R'')(R''')+の化学置換基を意味する。Rは、置換基としての四級アミノ窒素原子を別の部分に連結するアルキル基でありうる。窒素原子Nはアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、および/またはアリール基の四つの炭素原子に共有結合し、窒素原子における正電荷を生じる。
【0054】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになると思われる。
【0055】
詳細な説明
本発明者らは、単独または組み合わせで、癌(例えば、脳癌)などの新生物を有する患者の治療において有効でありうる化合物を特定した。したがって、本発明は、本明細書において特定される複数の化合物を含む組成物、新生物を有する、または新生物を有する危険性のあると診断された患者(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の治療法であって、表1および/または表2からの1個、2個、3個、またはそれ以上の薬剤を投与することによる方法、表1、表2、および/または表3からの1、2個、3個、またはそれ以上の薬剤を含むキット、ならびに新生物を有する患者を治療する際に有用でありうる化合物の組み合わせの特定法を特徴とする。任意に、これらの薬剤の類縁体(例えば、本明細書に記載のもの)を本発明の方法および組成物において用いてもよい。例えば、癌の場合、本発明の治療法における化合物の投与は細胞増殖および腫瘍成長を低減しうる。細胞増殖における低減を引き起こす薬剤の能力は、例えば、癌細胞の細胞死(例えば、壊死性またはアポトーシス性の死)の速度を高める、または癌細胞の細胞分裂の速度を低下させるその能力に起因しうる。任意に、患者は他の治療法(例えば、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、抗血管形成療法、および遺伝子療法)を受けてもよい。化合物または化合物の組み合わせは、他の治療法の有効性を増強して同じ治療上の利点を達成するための他の治療法の用量、頻度、または持続期間を低減するようにし、それにより任意の有害副作用を緩和しうる。
【0056】
一つの特定の例において、治療中の患者に表1および/または表2に記載の二つの薬剤を、合わせて新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者を治療するのに十分な量で、互いに28日以内に投与する。二つの薬剤は、望ましくは、互いに14日以内、より望ましくは互いに7日以内、さらにより望ましくは互いに24時間以内、またはさらには同時に(すなわち、併用して)投与する。望まれる場合には、二つの薬剤のいずれか一方を低用量で投与してもよい。
【0057】
カンプトテシン誘導体
カンプトテシンはカンレンボク(Camptotheca accuminata)において見いだされるアルカロイドである。これはトポイソメラーゼI阻害活性を有し、癌の治療において用いられてきた。
【0058】
カンプトテシンの構造は下記のとおりである。

【0059】
カンプトテシンの誘導体は、例えば、米国特許第3,894,029号に記載されており、下記の一般構造を有する化合物が含まれる。

式中、Xは水素、塩素、臭素、アルコキシもしくはジアルキル-アミノであり;Yは-CH(COOR)2であり;Zは-CH2OHであるか;またはYおよびZは一緒になって下記であり

式中、Rは立体障害性アルキルであり、R1は水素またはC1-4アルキルである。
【0060】
他のカンプトテシン類縁体には、9-アミノカンプトテシン、ルビテカン、エキサテカン、ルルトテカン、7-ヒドロキシメチルカンプトテシン、5-ヒドロキシカンプトテシン、20-O-アセチル-7-アセトキシメチルカンプトテシン、7-アセトキシメチルカンプトテシン、7-スクシノイルオキシメチルカンプトテシン、20-O-トリフルオロアセチル-7-トリフルオロアセトキシメチルカンプトテシン、7-ベンゾイルオキシメチルカンプトテシン、7-プロピオニルオキシメチルカンプトテシン、7-ブチリルオキシメチルカンプトテシン、7-カプリリルオキシメチルカンプトテシン、7-カプリルオキシメチルカンプトテシン、7-イソバレリルオキシメチルカンプトテシン、7-フェニルアセトキシメチルカンプトテシン、カンプトテシン-7-カルボン酸、カンプトテシン-7-カルボン酸エチル、5-メトキシカンプトテシン、5-ブトキシカンプトテシン、5-アセトキシカンプトテシン、20-O-アセチル-5-アセトキシカンプトテシン、5-ベンゾイルオキシカンプトテシン、7-メチルカンプトテシン、7-エチルカンプトテシン、7-プロピルカンプトテシン、7-ブチルカンプトテシン、7-ヘプチルカンプトテシン、7-ノニルカンプトテシン、7-イソブチルカンプトテシン、7-ベンジルカンプトテシン、7-β-フェネチルカンプトテシン、7-イソプロピルカンプトテシン、7-シクロヘキシルカンプトテシン、1-アリル-1-ヒドロキシ-1,2,5,7-テトラヒドロ-4H-ピラノ[3,4-f]インドリジノ[1,2-b]-キノリン-2,5-ジオン、1-ヒドロキシ-1-プロパルギル-1,2,5,7-テトラヒドロ-4H-ピラノ[3,4-f]インドリジノ[1,2-b]-キノリン-2,5ジオン、1-ベンジル-1-ヒドロキシ-1,2,5,7-テトラヒドロ-4H-ピラノ[3,4-f]インドリジノ[1,2-b]-キノリン-2,5-ジオン、ならびに米国特許第4,031,098号、同第4,399,282号、同第4,604,463号、米国再発行特許第32,518号、米国特許第4,851,399号、同第4,900,737号、同第4,943,579号、同第5,122,606号、同第5,180,722号、同第5,401,747号、同第5,446,047号、同第5,468,754号、同第5,525,731号、同第5,527,913号、同第5,541,327号、同第5,646,159号、同第5,658,920号、同第5,663,260号、同第5,731,316号、同第5,801,167号、同第5,889,017号、同第5,910,491号、同第5,916,896号、同第5,968,943号、同第5,972,955号、同第6,040,313号、同第6,096,336号、同第6,100,273号、同第6,214,836号、同第6,218,399号、同第6,228,855号、同第6,352,996号、同第6,407,118号、同第6,407,239号、および同第6,706,734号に記載のカンプトテシン類縁体が含まれる。特に有用な誘導体にはイリノテカンおよびトポテカンが含まれる。
【0061】
イリノテカン
イリノテカンは現在、癌の治療用に用いられており、その作用メカニズムはトポイソメラーゼI活性の阻害である。イリノテカンの構造は下記のとおりである。

イリノテカンの類縁体は、例えば、米国特許第4,604,463号に記載されており、下記の一般構造を有する。

式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、またはC1-4アルキルであり、Xは塩素または-NR2R3であり、ここでR2およびR3は同じまたは異なり、それぞれ水素原子、C1-4アルキル、または置換もしくは無置換炭素環式もしくは複素環式基であり、ただしR2およびR3が両方とも置換または無置換アルキル基であるとき、それらが結合している窒素原子と一緒になって、-O-、-S-、および/または>N-R4が挿入されていてもよい複素環を形成してもよく、ここでR4は水素原子、置換もしくは無置換C1-4アルキル、または置換もしくは無置換フェニル基であり、かつ原子団-O-CO-Xはカンプトテシンの環Aにおける9、10、および11位のいずれかにある炭素原子に結合している。
【0062】
イリノテカンは静脈内注射による送達のために利用可能であり、水溶液として供給される。イリノテカンは一般にはハイドロクロライドの形で、水および有機溶媒にわずかに可溶性の黄色粉末である。
【0063】
トポテカン
トポテカンはカンプトテシンの誘導体で、トポイソメラーゼI阻害活性を有し、癌の治療において用いられる。トポテカンの構造は下記のとおりである。

【0064】
トポテカンの類縁体は、例えば、欧州特許第321,122号に記載されており、下記の一般構造を有する化合物が含まれる。

式中、Xはヒドロキシ、水素、シアノ、-CH2NH2、またはホルミルであり;Xがシアノ、CH2NH2もしくはホルミルであるとき、Rは水素であるか、またはXが水素もしくはヒドロキシであるとき、Rは-CHOもしくは-CH2R1であり;R1は-O-R2、-S-R2、-N-R2(R3);または-N+-R2-(R3)(R4)であり、R2、R3、およびR4は同じまたは異なっていて、H、C1-6アルキル、C2-6ヒドロキシアルキル、C1-6ジアルキルアミノ、C1-6-ジアルキルアミノC2-6アルキル、C1-6アルキアミノ-C2-6アルキル、C2-6アミノアルキル、または3〜7員無置換もしくは置換炭素環から選択され;かつR1が-N-R2(R3)であるとき、R2およびR3基は一緒になって環を形成してもよい。
【0065】
トポテカンは淡黄色から緑色粉末であり、1mg/mlまで水溶性である。粉末は典型的には静脈内注射による患者への投与前に溶液に再構成する。
【0066】
アデフォビル・ジピボキシル
アデフォビル・ジピボキシルは抗ウイルス活性を有し、HIVおよびB型肝炎の治療において用いられる。アデフォビル・ジピボキシルの構造は下記のとおりである。

【0067】
アデフォビル・ジピボキシルはアデフォビルから誘導される。アデフォビルの類縁体は、例えば、米国特許第4,808,716号に記載されており、下記の一般構造を有する化合物が含まれる。

式中、R1は水素原子、1から3個の炭素原子を含むアルキル基、またはヒドロキシメチル基であり、かつR2はメチレン、エチレン、プロピレン、エチリデン、メトキシエチレン、ベンジルオキシエチレン、テトラヒドロピラン-2-イルオキシエチレン、(1-エトキシエトキシ)エチレン、または1,2-O-イソプロピリデン-1,2-ジヒドロキシプロピレン基である。
【0068】
ジスルフィラム
ジスルフィラムはアルコール症の治療において用いられ;その作用メカニズムはアルコールデヒドロゲナーゼの阻害である。ジスルフィラムの構造は下記のとおりである。

【0069】
ジスルフィラムの類縁体は、例えば、米国特許第1,796,977号に記載されており、下記の一般構造を有する。

式中、R基は異なる有機基と同じである(例えば、C1-4アルキル)。
【0070】
ジスルフィラムは結晶で、水に難溶性であり、アルコール、エーテル、アセトン、およびベンゼンなどの溶媒に可溶性である。ジスルフィラムは錠剤形で入手可能であり、典型的には経口で投与する。
【0071】
オーラノフィン
オーラノフィンは抗炎症剤および抗リウマチ剤である。オーラノフィンの構造は下記のとおりである。

【0072】
オーラノフィンの類縁体は、例えば、米国特許第3,635,945号に記載されており、下記の一般式で表すことができる。

および

式中、Rはアセチルであるか、またはZが酸素であるとき、水素であり;R1はC1-4アルキルであり;Aは直鎖または分枝のC2-5アルキレン鎖であり;Yは酸素または硫黄であり;かつZは酸素または-NH-である。
【0073】
オーラノフィンは白色、無臭の結晶性粉末であり、水に不溶性である。オーラノフィンは錠剤形で経口投与する。
【0074】
ノルエチノドレル
ノルエチノドレルは、避妊薬として用いられる経口活性エストロゲンステロイドである。ノルエチノドレルの構造は下記のとおりである。

【0075】
ノルエチノドレルの類縁体は、例えば、米国特許第2,691,028号に記載されており、下記で表すことができる。

式中、Rは低級アルキル、低級フェニルアルキル(例えば、メチル、エチル、ベンジル、直鎖および分枝鎖プロピル、ブチル、アミル、ヘキシル、フェネチル、およびフェニルプロピル、またはエチニルもしくはビニル基)である。
【0076】
ノルエチノドレルは水性メタノールから結晶を生成する。
【0077】
類縁体
表1または表2に記載の化合物のいずれかの類縁体を、本発明の組成物、方法、およびキットのいずれかにおいて用いてもよい。類縁体は当技術分野において公知である(例えば、本明細書に記載のとおり)。アダパレン類縁体は欧州特許第199,636号および米国特許第4,717,720号に記載されている。アデフォビル・ジピボキシル類縁体は欧州特許第206,459号および同第481,214号ならびに米国特許第4,808,716号および同第5,663,159号に記載されている。塩酸アロセトロン類縁体は欧州特許第306,323号および米国特許第5,360,800号に記載されている。アミオダロン類縁体は仏国特許第1,339,389号および米国特許第3,248,401号に記載されている。アムロジピン類縁体は欧州特許第89,167号および米国特許第4,572,909号に記載されている。アモジアキン類縁体は米国特許第2,474,819号および同第2,474,821号に記載されている。オーラノフィン類縁体は独国特許第2,051,495号および米国特許第3,635,945号に記載されている。アゼラスチン類縁体はベルギー特許第778,269号および米国特許第3,813,384号に記載されている。ブピバカイン(例えば、ハイドロクロライド)類縁体は米国特許第2,955,111号に記載されている。ブスルファン類縁体は米国特許第2,917,432号に記載されている。カルベジロール類縁体は独国特許第2,815,926号および米国特許第4,503,067号に記載されている。セレコキシブ類縁体は国際公開公報第95/15316号および米国特許第5,466,823号に記載されている。セリバスタチンナトリウム類縁体は欧州特許第325,130号および米国特許第5,006,530号および米国特許第5,177,080号に記載されている。クロルジアゼポキシド(例えば、ハイドロクロライド)類縁体は米国特許第2,893,992号に記載されている。リン酸クロロキン類縁体は独国特許第683,692号および米国特許第2,233,970号に記載されている。クロルプロチキセン類縁体は米国特許第3,046,283号に記載されている。シクロピロックス類縁体は米国特許第3,883,545号に記載されている。クロトリマゾール類縁体は南アフリカ特許第68 05392号および米国特許第3,705,172号に記載されている。クルクミン類縁体は独国特許第859,145号に記載されている。デフェロキサミン(例えば、メシル酸塩)類縁体は米国特許第3,471,476号に記載されている。ジピリダモール類縁体は米国特許第3,031,450号に記載されている。ジスルフィラム類縁体は米国特許第1,796,977号に記載されている。ドセタキセル類縁体は米国特許第4,814,470号に記載されている。エバスチン類縁体は欧州特許第134,124号および米国特許第4,550,116号に記載されている。エファビレンツ類縁体は欧州特許第582,455号および米国特許第5,519,021号に記載されている。エピルビシン(例えば、ハイドロクロライド)類縁体は独国特許第2,510,866号および米国特許第4,058,519号に記載されている。エストラジオール(例えば、バレレート)類縁体は米国特許第2,096,744号に記載されている。エチニルエストラジオール類縁体は独国特許第702,063号、英国特許第516,444号、米国特許第2,243,887号、米国特許第2,251,939号、米国特許第2,265,976号、および米国特許第2,267,257号に記載されている。エキセメスタン類縁体は独国特許第3,622,841号および米国特許第4,808,616号に記載されている。フェロジピン類縁体は米国特許第4,264,611号に記載されている。フルオロウラシル類縁体は米国特許第2,802,005号および同第2,885,396号に記載されている。フルスピリレン類縁体はベルギー特許第633,914号および米国特許第3,238,216号に記載されている。フラゾリドン類縁体は英国特許第735,136号、米国特許第2,742,462号、および米国特許第2,927,110号に記載されている。ゲムシタビン(例えば、ハイドロクロライド)類縁体は米国特許第4,808,614号および英国特許第2,136,425号に記載されている。イブジラスト類縁体は独国特許第2,315,801号および米国特許第3,850,941号に記載されている。イデベノン類縁体は独国特許第2,519,730号および米国特許第4,271,083号に記載されている。イマチニブ(例えば、メシル酸塩)は欧州特許第564,409号および米国特許第5,521,184号に記載されている。塩酸イリノテカン類縁体は日本公開公報第95 18,790号および米国特許第4,604,463号に記載されている。イソトレチノイン類縁体は欧州特許第111,325号および米国特許第4,556,518号に記載されている。イトラコナゾール類縁体は欧州特許第6711号および米国特許第4,267,179号に記載されている。ロメフロキサシン類縁体は独国特許第3,433,924号および米国特許第4,528,287号に記載されている。ロメリジン類縁体は欧州特許第159,566号および米国特許第4,663,325号に記載されている。マプロチリン類縁体は米国特許第3,399,201号に記載されている。メルファラン類縁体は米国特許第3,032,584号に記載されている。メテルゴリン類縁体は米国特許第3,238,211号に記載されている。メタサイクリン類縁体は米国特許第2,984,686号に記載されている。メシル酸ネルフィナビル類縁体は国際公開公報第95/09843号および米国特許第5,484,926号に記載されている。ニカルジピン類縁体はベルギー特許第811,324号および米国特許第3,985,758号に記載されている。ニクロサミド類縁体は英国特許第824,345号、米国特許第3,079,297号、および米国特許第3,113,067号に記載されている。ニフェジピン類縁体は南アフリカ特許第68 01482号および米国特許第3,485,847号に記載されている。ノルエチノドレル類縁体は米国特許第2,691,028号に記載されている。オキシメトロン類縁体は独国特許第1,070,632号に記載されている。パロキセチン類縁体は独国特許第2,404,113号、米国特許第3,912,743号、および米国特許第4,007,196号に記載されている。フェノキシベンザミン類縁体は米国特許第2,599,000号に記載されている。塩酸ピオグリタゾン類縁体は米国特許第4,687,777号に記載されている。プラモキシン類縁体は米国特許第2,870,151号に記載されている。プラゾシン類縁体は英国特許第1,156,973号、米国特許第3,511,836号、およびオランダ特許第7,206,067号に記載されている。プレドニゾロンは米国特許第2,837,464号および米国特許第3,134,718号に記載されている。プロクロルペラジン(例えば、マレイン酸塩)類縁体は英国特許第780,193号、仏国特許第1,167,627号、および米国特許第2,902,484号に記載されている。キナクリン類縁体は独国特許第553,072号および同第571,499号、ならびに米国特許第2,113,357号に記載されている。ラロキシフェン(例えば、ハイドロクロライド)類縁体は欧州特許第62,503号および米国特許第4,418,068号に記載されている。リルメニジン類縁体は独国特許第2,362,754号および米国特許第4,102,890号に記載されている。リルゾール類縁体は欧州特許第50,551号および米国特許第4,370,338号に記載されている。セコバルビタール(例えば、ナトリウム塩)類縁体は米国特許第1,954,429号に記載されている。セルトラリン(例えば、ハイドロクロライド)類縁体は欧州特許第30,081号および米国特許第4,536,518号に記載されている。シンバスタチン類縁体は欧州特許第33,538号および米国特許第4,444,784号に記載されている。スピロノラクトン類縁体は米国特許第4,444,784号に記載されている。タモキシフェン類縁体はベルギー特許第678,807号および米国特許第4,536,516号に記載されている。テモゾロミド類縁体は独国特許第3,231,255号および米国特許第5,260,291号に記載されている。サリドマイド類縁体は英国特許第768,821号に記載されている。トポテカン(例えば、ハイドロクロライド)類縁体は欧州特許第321,122号に記載されている。塩酸トリフルプロマジン類縁体は英国特許第813,861号および米国特許第2,921,069号に記載されている。ビノレルビン類縁体は米国特許第4,307,100号に記載されている。ボリコナゾール類縁体は欧州特許第 440,372号および米国特許第5,278,175号に記載されている。
【0078】
治療
本発明の組み合わせは癌(例えば、脳癌)などの新生物を有する患者の治療のために有用である。治療は単独で、または別の治療(例えば、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、抗血管形成療法、および遺伝子療法)と組み合わせて実施してもよい。加えて、新生物を発生する危険性がより高い患者(例えば、遺伝的に素因を有する者または以前に新生物を有していた者)は新生物形成を阻害する、または遅らせるための予防的処置を受けてもよい。組み合わせ療法の期間は治療中の疾患または障害の型、患者の年齢および状態、患者の疾患の病期および型、ならびに患者がどのように治療に反応するかに依存する。治療は、患者の体が任意のまだ予期されない副作用から回復する機会を有するように、休止期間を含む断続的周期で投与してもよい。
【0079】
癌および他の新生物の例には、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性リンパ球性白血病)、真性多血症、リンパ腫(ホジキン病、非ホジキン病)、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、ならびに肉腫および癌腫などの固形腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆道癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、神経膠芽腫 髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、または網膜芽腫)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0080】
結合体
望まれる場合には、本明細書に記載の組み合わせのいずれかにおいて用いる薬物は互いに共有結合して式Iの結合体を形成しうる。
(A)-(L)-(B)(I)
【0081】
式Iにおいて、(A)はリンカー(L)を介して(B)、A群抗増殖剤、または表1もしくは表2に記載の第二の薬物に共有結合により連結される表1または表2に記載の薬物である。
【0082】
本発明の結合体は被験者に、任意の経路で、本明細書に記載の任意の新生物の治療のために投与することができる。
【0083】
本発明の結合体は、例えば、細胞内および細胞外酵素(例えば、アミダーゼ、エステラーゼ、およびホスファターゼ)による結合体の切断後に、薬物(A)および薬物(B)を放出する、プロドラッグでありうる。本発明の結合体は、細胞内および細胞外酵素による切断に抵抗して、インビボで大部分は完全なまま残るよう設計することもできる。結合体のインビボでの分解は、結合体合成中のリンカー(L)ならびに薬物(A)および薬物(B)により形成される共有結合のデザインによって制御することができる。
【0084】
結合体は当業者には公知の技術を用いて調製することができる。例えば、結合体はG. Hermanson, Bioconjugate Techniques, Academic Press, Inc., 1996に開示されている方法を用いて調製することができる。結合体の合成は薬物(A)、リンカー、および/または薬物(B)のアルコール、アミン、ケトン、スルフヒドリルまたはカルボキシル官能基の選択的保護および脱保護を含みうる。例えば、アミンに対して一般に用いられる保護基には、tert-ブチル、ベンジル、2,2,2-トリクロロエチル、2-トリメチルシリルエチル、9-フルオレニルメチル、アリル、およびm-ニトロフェニルなどのカルバメートが含まれる。アミンに対する他の一般に用いられる保護基には、ホルムアミド、アセトアミド、トリフルオロアセトアミド、スルホンアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミド、トリメチルシリルエタンスルホンアミド、およびtert-ブチルスルホニルアミドなどのアミドが含まれる。カルボキシルに対して一般に用いられる保護基の例には、メチル、エチル、tert-ブチル、9-フルオレニルメチル、2-(トリメチルシリル)エトキシメチル、ベンジル、ジフェニルメチル、O-ニトロベンジル、オルト-エステル、およびハロ-エステルなどのエステルが含まれる。アルコールに対して一般に用いられる保護基の例には、メチル、メトキシメチル、メトキシエトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、テトラヒドロピラニル、エトキシエチル、ベンジル、2-ナフチルメチル、O-ニトロベンジル、P-ニトロベンジル、P-メトキシベンジル、9-フェニルキサンチル、トリチル(メトキシ-トリチルを含む)、およびシリルエーテルなどのエーテルが含まれる。スルフヒドリルに対して一般に用いられる保護基の例には、ヒドロキシルに対して用いられる同じ保護基の多くが含まれる。加えて、スルフヒドリルは還元型(例えば、ジスルフィドとして)または酸化型(例えば、スルホン酸、スルホン酸エステル、またはスルホン酸アミドとして)で保護することもできる。保護基は、分子内の他の保護基を除いて、それぞれを除去するために選択的条件(例えば、酸性条件、塩基性条件、求核剤による触媒作用、ルイス酸による触媒作用または水素添加)が要求されるように選択することができる。アミン、アルコール、スルフヒドリル、およびカルボキシル官能基に保護基を付加するために要求される条件およびそれらの除去のために要求される条件は、T.W. Green and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis (2nd Ed.), John Wiley & Sons, 1991およびP.J. Kocienski, Protecting Groups, Georg Thieme Verlag, 1994に詳細に示されている。追加の合成に関する詳細を以下に示す。
【0085】
リンカー
本発明のリンカー成分は、最も単純な形では、薬物(A)と薬物(B)との間の結合であるが、典型的には薬物(A)を薬物(B)に共有結合により連結する側鎖基を有する直鎖、環式、または分枝状の分子骨格を提供する。
【0086】
したがって、薬物(A)の薬物(B)への連結は、薬物(A)および薬物(B)上の一つまたは複数の官能基による結合形成を含む共有結合を用いた手段によって達成される。この目的のために用いうる化学反応性官能基の例には、アミノ、ヒドロキシル、スルフヒドリル、カルボキシル、カルボニル、炭化水素基、ビシナルジオール、チオエーテル、2-アミノアルコール、2-アミノチオール、グアニジニル、イミダゾリル、およびフェノール基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0087】
薬物(A)と薬物(B)との共有結合による連結は、薬物(A)および薬物(B)に存在する官能基との反応が可能な反応性部分を有するリンカーを用いて行いうる。例えば、薬物(A)のアミン基はリンカーのカルボキシル基、またはその活性化誘導体と反応して、二つを連結するアミドを形成しうる。
【0088】
Gurd, Methods Enzymol. 11:532 (1967)に記載のとおり、スルフヒドリル基と反応可能な部分の例には、XCH2CO-(ここでX=Br、Cl、またはI)型のα-ハロアセチル化合物が含まれ、これらはスルフヒドリル基に対する特別な反応性を示すが、イミダゾリル、チオエーテル、フェノール、およびアミノ基を修飾するためにも用いることができる。N-マレイミド誘導体もスルフヒドリル基に対して選択的であると考えられるが、加えて、特定の条件下でアミノ基への結合においても有用でありうる。2-イミノチオランなどの試薬(Traut et al., Biochemistry 12:3266(1973))は、アミノ基の変換を通じてチオール基を誘導し、連結がジスルフィド架橋を通じて起こる場合には、スルフヒドリル試薬と考えてもよい。
【0089】
アミノ基との反応が可能な反応性部分の例には、例えば、アルキル化およびアシル化剤が含まれる。代表的アルキル化剤には下記が含まれる:
(i)例えば、Wong Biochemistry 24:5337 (1979)による記載のとおり、α-ハロアセチル化合物、これは反応性チオール基非存在下でアミノ基に対する特異性を示し、XCH2CO-(ここでX=Br、Cl、またはI)型である;
(ii)例えば、Smyth et al., J. Am. Chem. Soc. 82:4600 (1960)およびBiochem. J. 91:589 (1964)による記載のとおり、N-マレイミド誘導体、これはマイケル型反応、または環カルボニル基への付加によるアシル化のいずれかを通じてアミノ基と反応しうる;
(iii)反応性ニトロハロ芳香族化合物などのアリールハロゲン化物;
(iv)例えば、McKenzie et al., J. Protein Chem. 7:581 (1988)による記載のとおりの、アルキルハロゲン化物;
(v)アミノ基とのシッフ塩基形成が可能なアルデヒドおよびケトン、生成する付加物は通常は還元により安定化されて安定なアミンを生ずる;
(vi)エピクロロヒドリンおよびビスオキシランなどのエポキシド誘導体、これらはアミノ、スルフヒドリル、またはフェノール性ヒドロキシル基と反応しうる;
(vii)s-トリアジンの塩素含有誘導体、これらはアミノ、スルフヒドリル、およびヒドロキシル基などの求核剤に対して非常に反応性である;
(viii)例えば、Ross, J. Adv. Cancer Res. 2:1 (1954)による記載のとおり、上で詳細に記載したs-トリアジン化合物に基づくアジリジン、これらは開環によってアミノ基などの求核剤と反応する;
(ix)Tietze, Chem. Ber. 124:1215 (1991)による記載のとおりの、スクエア酸ジエチルエステル;および
(x)Benneche et al., Eur. J. Med. Chem. 28:463 (1993)による記載のとおり、α-ハロアルキルエーテル、これらはエーテル酸素原子による活性化のために、通常のアルキルハロゲン化物よりも反応性の高いアルキル化剤である()。
【0090】
代表的アミノ反応性アシル化剤には下記が含まれる。
(i)イソシアネートおよびイソチオシアネート、特に芳香族誘導体、これらはそれぞれ安定な尿素およびチオ尿素誘導体を生成する;
(ii)Herzig et al., Biopolymers 2:349 (1964)により記載の塩化スルホニル;
(iii)酸ハロゲン化物;
(iv)ニトロフェニルエステルまたはN-ヒドロキシスクシンイミジルエステルなどの活性エステル;
(v)混合、対称、またはN-カルボキシ無水物などの酸無水物;
(vi)例えば、M. Bodansky, Principles of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, 1984による記載のとおりの、アミド結合形成のための他の有用な試薬;
(vii)Wetz et al., Anal. Biochem. 58:347 (1974)による記載のとおりの、アシルアジド、例えば、この中のアジド基はあらかじめ生成されたヒドラジド誘導体から亜硝酸ナトリウムを用いて生成される;および
(viii)例えば、Hunter and Ludwig, J. Am. Chem. Soc. 84:3491 (1962)による記載のとおり、イミドエステル、これらはアミノ基との反応後、安定なアミジンを生成する。
【0091】
アルデヒドおよびケトンはアミンと反応してシッフ塩基を生成しえ、これらは還元的アミノ化により都合よく安定化されうる。例えば、Webb et al., Bioconjugate Chem. 1:96 (1990)による記載のとおり、アルコキシルアミノ部分はケトンおよびアルデヒドと容易に反応して、安定なアルコキシアミンを生成する。
【0092】
例えば、Herriot, Adv. Protein Chem. 3:169 (1947)による記載のとおり、カルボキシル基との反応が可能な反応性部分の例には、ジアゾ酢酸エステルおよびジアゾアセトアミドなどのジアゾ化合物が含まれ、これらは高い特異性で反応してエステル基を生じる。O-アシル尿素形成と、続くアミド結合形成を通じて反応する、カルボジイミドなどのカルボキシル修飾試薬を用いてもよい。
【0093】
薬物(A)および/または薬物(B)の官能基は、望まれる場合には、例えば追加の反応性または選択性を与えるために、反応前に他の官能基に変換しうることが理解されると思われる。この目的のために有用な方法の例には、二カルボン酸無水物などの試薬を用いるアミンのカルボキシルへの変換;N-アセチルホモシステインチオラクトン、S-アセチルメルカプトコハク酸無水物、2-イミノチオラン、またはチオール含有スクシンイミジル誘導体などの試薬を用いるアミンのチオールへの変換;α-ハロ酢酸エステルなどの試薬を用いるチオールのカルボキシルへの変換;エチレンイミンまたは2-ブロモエチルアミンなどの試薬を用いるチオールのアミンへの変換;カルボジイミドと続くジアミンなどの試薬を用いるカルボキシルのアミンへの変換;ならびに塩化トシルなどの試薬と続くチオ酢酸エステルによるトランスエステル化および酢酸ナトリウムによるチオールへの加水分解を用いるアルコールのチオールへの変換が含まれる。
【0094】
追加の連結材料を導入しない、薬物(A)の反応性化学基と薬物(B)の反応性化学基との直接共有結合を含む、いわゆるゼロ長リンカーを、望まれる場合には、本発明に従って用いてもよい。
【0095】
しかし、より一般には、リンカーはスペーサー要素によって接続される前述の複数の反応性部分を含むことになる。そのようなスペーサーの存在は、薬物(A)および薬物(B)内の特定の官能基と反応するための二官能性リンカーを可能にし、二つの間の共有結合による連結を生じる。リンカー内の反応性部分は同じでも(ホモ二官能性リンカー)、異なっていても(ヘテロ二官能性リンカー、またはいくつかの異なる反応性部分がある場合には、ヘテロ多官能性リンカー)よく、薬物(A)と薬物(B)とを共有結合により連結させうる可能性のある試薬の多様性を提供する。
【0096】
リンカー内のスペーサー要素は典型的には直鎖または分枝鎖からなり、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-10ヘテロアルキルが含まれうる。
【0097】
いくつかの場合には、リンカーは式(II)で記載される。
G1-(Z1)o-(Y1)u-(Z2)s-(R30)-(Z3)t-(Y2)v-(Z4)p-G2(II)
【0098】
式(II)において、G1は薬物(A)とリンカーとの間の結合であり;G2はリンカーと薬物(B)との間の結合であり;Z1、Z2、Z3、およびZ4はそれぞれ独立にO、S、およびNR31から選択され;R31は水素、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、またはC1-7ヘテロアルキルであり;Y1およびY2はそれぞれ独立にカルボニル、チオカルボニル、スルホニル、またはホスホリルから選択され;o、p、s、t、u、およびvはそれぞれ独立に0または1であり;かつR30はC1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C2-6ヘテロシクリル、C6-12アリール、C7-14アルカリール、C3-10アルクヘテロシクリル、もしくはC1-10ヘテロアルキルであるか、またはG1-(Z1)o-(Y1)u-(Z2)s-を-(Z3)t-(Y2)v-(Z4)p-G2に連結する化学結合である。
【0099】
本発明の結合体の調製において有用なホモ二官能性リンカーの例には、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、およびポリカプロラクトンジオールが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0100】
薬学的組成物の製剤
組み合わせの各化合物の投与は、標的領域に到達した後、他の成分と一緒になって新生物の成長を阻害する化合物の濃度をもたらす、任意の適当な手段によるものでありうる。化合物は任意の適当な担体中に任意の適当な量で含まれてもよく、一般には組成物の総重量の1〜95重量%の量で存在する。組成物は経口、非経口(例えば、静脈内または筋肉内)、直腸、皮膚、鼻、膣、吸入、肌(パッチ)、眼、くも膜下腔内、または頭蓋内投与経路用に適した剤形で提供してもよい。したがって、組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、液剤、ヒドロゲルを含むゲル剤、ペースト、軟膏、クリーム、硬膏、水薬、浸透圧送達装置、坐剤、浣腸剤、注射剤、埋込み物、噴霧剤、またはエアロゾルの形でありうる。薬学的組成物は通常の薬学的慣例に従って製剤しうる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, 2000, ed. A.R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia、およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York参照)。
【0101】
本発明の薬学的組成物は投与直後または投与後のあらかじめ決められた時点もしくは期間に活性化合物を放出するよう製剤してもよい。後者の型の組成物は一般に制御放出製剤として知られており、下記が含まれる:(i)長期にわたり本発明の薬剤の実質的に一定の体内濃度を生じる製剤;(ii)あらかじめ決められた遅延時間の後、長期にわたり本発明の薬剤の実質的に一定の体内濃度を生じる製剤;(iii)体内で薬剤の相対的に一定の有効レベルを維持することにより、あらかじめ決められた期間中、薬剤作用を持続し、同時に薬剤の血漿レベルの変動(鋸歯状の動態学的パターン)に関連する有害副作用を最小限に抑える製剤;(iv)薬剤の作用を局所化する製剤、例えば、制御放出組成物の患部組織または臓器に隣接する、またはその中の場所への設置;(v)投与の便宜を達成する、例えば、組成物を1週間に1回または2週間に1回投与する製剤;および(vi)組み合わせを特定の標的細胞型に送達するための担体または化学誘導体を用いることによる、薬剤の作用を標的指向させる製剤。制御放出製剤の形での組み合わせの投与は、胃腸管における吸収ウィンドウが狭い、または半減期が比較的短い化合物にとって特に好ましい。
【0102】
当該化合物の放出速度が代謝速度を上回る制御放出を達成するために、いくつかの戦略のいずれを遂行することもできる。一例において、制御放出は、例えば、様々な型の制御放出組成物およびコーティングを含む、様々な製剤パラメーターおよび成分の適当な選択によって得られる。したがって、組み合わせを適当な賦形剤と共に、投与後に制御された様式で組み合わせを放出する薬学的組成物に製剤する。例には、単一または複数単位の錠剤またはカプセル剤組成物、油性溶液、懸濁液、乳濁液、マイクロカプセル、分子複合体、ミクロスフェア、ナノ粒子、パッチ、およびリポソームが含まれる。
【0103】
非経口組成物
薬学的組成物を、通常の非毒性で薬学的に許容される担体および補助剤を含む剤形、製剤、または適当な送達装置もしくは埋込み物を介する形で、注射、注入、または埋込み(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内など)により非経口投与してもよい。そのような組成物の製剤および調製物は薬学的製剤の分野の当業者には周知である。
【0104】
非経口で使用するための組成物は、単位用量剤形(例えば、単一用量アンプル)で、または数回分の用量を含み、その中に適当な保存剤を加えてもよいバイアルで提供しうる(下記参照)。組成物は溶液、懸濁液、乳濁液、注入装置、もしくは埋込み用の送達装置の形であってもよく、または使用前に水もしくは別の適当な媒体で再構成するための乾燥粉末として提供してもよい。活性薬剤の他に、組成物は適当な非経口で許容される担体および/または賦形剤を含んでいてもよい。活性薬剤は制御放出のためにミクロスフェア、マイクロカプセル、ナノ粒子、リポソームなどの中に取り込まれてもよい。さらに、組成物は懸濁化剤、可溶化剤、安定化剤、pH調節剤、張性調節剤、および/または分散剤を含んでいてもよい。
【0105】
前述のとおり、本発明の薬学的組成物は滅菌注射に適した形でありうる。そのような組成物を調整するために、適当な活性薬剤を非経口で許容される液体媒体に溶解または懸濁する。用いてもよい許容される媒体および溶媒には、水;適当な量の塩酸、水酸化ナトリウム、または適当な緩衝液を加えることにより適当なpHに調節した水;1,3-ブタンジオール、リンゲル液、デキストロース溶液、および等張塩化ナトリウム溶液がある。水性製剤は一つまたは複数の保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、エチルまたはn-プロピル)を含んでいてもよい。化合物の一つが水に難溶性またはわずかしか溶解しない場合、溶解促進剤もしくは可溶化剤を加えることもでき、または溶媒は10〜60重量%のプロピレングリコールなどを含んでいてもよい。
【0106】
制御放出非経口組成物
制御放出非経口組成物は水性懸濁液、ミクロスフェア、マイクロカプセル、磁気ミクロスフェア、油性溶液、油性懸濁液、または乳濁液の形であってもよい。組成物は生体適合性の担体、リポソーム、ナノ粒子、埋込み物、または注入装置に組み込まれていてもよい。
【0107】
ミクロスフェアおよび/またはマイクロカプセルの調製において用いる材料は、例えば、ポリガラクチン、ポリ-(シアノアクリル酸イソブチル)、ポリ(2-ヒドロキシエチル-L-グルタミン)、ポリ(乳酸)、ポリグリコール酸、およびその混合物などの生体分解性/生体侵食性ポリマーである。制御放出非経口製剤を製剤する際に用いうる生体適合性担体は、炭水化物(例えば、デキストラン)、タンパク質(例えば、アルブミン)、リポタンパク質、または抗体である。埋込み物において用いるための材料は非生体分解性(例えば、ポリジメチルシロキサン)または生体分解性(例えば、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)またはポリ(オルトエステル))またはその組み合わせでありうる。
【0108】
経口使用のための固体剤形
経口使用のための製剤には非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に活性成分を含む錠剤が含まれ、そのような製剤は当業者には公知である(例えば、米国特許第5,817,307号、同第5,824,300号、同第5,830,456号、同第5,846,526号、同第5,882,640号、同第5,910,304号、同第6,036,949号、同第6,036,949号、同第6,372,218号、参照により本明細書に組み入れられる)。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤または充填剤(例えば、スクロース、ソルビトール、糖、マンニトール、微結晶セルロース、ジャガイモデンプンを含むデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);造粒および崩壊剤(例えば、微結晶セルロースを含むセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含むデンプン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、スクロース、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);ならびに滑沢剤、滑り剤、および抗粘着剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油、またはタルク)でありうる。他の薬学的に許容される賦形剤は着色剤、着香剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝化剤などでありうる。
【0109】
錠剤はコーティングしていなくてもよく、または任意に胃腸管内での崩壊および吸収を遅らせ、それにより長期間にわたる持続作用を提供するために、公知の技術によりコーティングしてもよい。コーティングは組み合わせをあらかじめ決められたパターンで放出するよう(例えば、制御放出製剤を得るため)適合させてもよく、または胃の通過後まで薬剤を放出しないよう(腸溶コーティング)適合させてもよい。コーティングは糖コーティング、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸コポリマー、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルピロリドンによる)、または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、シェラック、および/またはエチルセルロースによる)でありうる。さらに、例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。
【0110】
固体錠剤組成物は、組成物を有害な化学変化(例えば、活性物質の放出前の化学分解)から保護するために適合させたコーティングを含んでいてもよい。コーティングは上記のEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載のものと類似の様式で固体剤形上に適用してもよい。
【0111】
本発明の複数の組成物を錠剤中で混合してもよく、または分割してもよい。一例において、第一の薬剤は錠剤の内側に含まれ、第二の薬剤はその実質的部分が第一の薬剤の放出前に放出されるように、外側にある。
【0112】
経口使用のための製剤は、咀嚼錠として、またはその中で活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、ジャガイモデンプン、乳糖、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と混合されるゼラチン硬カプセル剤として、またはその中で活性成分が水または油性媒質、例えば、落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合されるゼラチン軟カプセル剤として提供してもよい。散剤および顆粒剤を、錠剤およびカプセル剤の下で前述した成分を用い、例えば、混合器、流動床装置、または噴霧乾燥器を用いる通常の様式で調製してもよい。
【0113】
制御放出経口剤形
経口使用のための制御放出組成物を、例えば、活性な組み合わせの溶解および/または拡散を制御することにより活性薬剤を放出するよう作成してもよい。
【0114】
溶解または拡散制御放出は、化合物の錠剤、カプセル剤、ペレット、もしくは顆粒製剤の適当なコーティングにより、または化合物を適当なマトリックスに取り込むことにより、達成することができる。制御放出コーティングは、前述のコーティング物質の一つもしくは複数、および/または、例えば、シェラック、蜜蝋、グリコワックス、カスターワックス、カルナウバワックス、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、DL-ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸エステル、メタクリル酸メチル、2-ヒドロキシメタクリル酸エステル、メタクリル酸ヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、メタクリル酸エチレングリコール、および/またはポリエチレングリコールを含みうる。制御放出マトリックス製剤において、マトリックス材料は、例えば、水化メチルセルロース、カルナウバワックス、およびステアリルアルコール、カルボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリル、アクリル酸メチル-メタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、および/またはハロゲン化フルオロカーボンも含みうる。
【0115】
特許請求の範囲の組成物の化合物の一つまたは複数を含む制御放出組成物は、浮揚性錠剤またはカプセル剤(すなわち、経口投与後、一定の期間、胃内容物の上に浮かぶ錠剤またはカプセル剤)の形であってもよい。化合物の浮揚性錠剤製剤は組成物と賦形剤および20〜75重量%の、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水コロイドとの混合物を造粒することにより調製することができる。次いで、得られた顆粒を圧縮して錠剤とすることができる。胃液と接触後、錠剤はその周りに実質的に水不浸透性のゲルバリアを形成する。このゲルバリアによって1未満の密度が維持され、それにより錠剤は胃液中で浮揚性のままとなりうる。
【0116】
薬剤を脳内の新生物に送達するための製剤および方法
脳内の新生物(例えば、神経膠芽腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、ならびに乏突起膠腫、神経膠腫、上衣腫、および髄膜腫)の治療は、活性治療化合物が血液脳関門(BBB)を通過できないことによって妨害されることもある。本発明の化合物を脳新生物に送達するための戦略には、BBBを迂回する戦略(例えば、開頭による頭蓋内投与およびくも膜下腔内投与)、およびBBBを通過させる戦略(例えば、本発明の組成物の全身投与と組み合わせてのBBBの透過性を高める化合物の使用)、ならびに本発明の化合物の血液脳関門を通過しての透過性または輸送を高めるための、それらの修飾が含まれる。
【0117】
当技術分野において公知の方法である開頭を、脳に送達するための本発明の任意の組成物と共に用いることができる。このアプローチにおいて、患者の頭蓋を開頭し、化合物をカテーテルにより送達する。このアプローチは化合物に脳の特定の領域を標的とさせるために用いることができる。
【0118】
くも膜下腔内投与は薬物送達のために血液脳関門を迂回するもう一つの手段を提供する。簡単に言うと、薬物を脊髄に、例えば、腰椎穿刺により、またはポンプなどの装置を用いて投与する。一回またはまれに投与するためには腰椎穿刺が好ましいが、継続的および/または慢性投与は脊髄内カテーテルに接続した任意の市販のポンプ、例えば、Medtronic (Minneapolis, Minn.)製造のポンプおよびカテーテルを用いて行いうる。
【0119】
BBBを通過しての送達を可能にするために、本発明の組成物を、血液脳関門の透過性の一時的増大を誘導する一つまたは複数の化合物と共に投与することもできる。そのような化合物にはマンニトール、セレポート(RMP-7)、およびKB-R7943、すなわちNa+/Ca++交換遮断剤が含まれる。
【0120】
本発明の化合物を、当技術分野において標準の化学修飾を用いることにより修飾(例えば、脂質化、アセチル化)して、全身投与(例えば、非経口)後の血液脳関門を通過しての輸送を高めることができる。一つの態様において、本発明の化合物を、BBBを通過して輸送されるペプチドベクターに結合する。例えば、Partridge (Jpn. J. Pharmacol. 87:97-103, 2001)による記載のとおり、化合物をヒトインスリン受容体に対するモノクローナル抗体に結合し、したがって化合物を全身投与後にBBBを通過して輸送可能にすることができる。本発明の化合物をそのようなペプチドベクターに、例えば、ビオチン-ストレプトアビジン技術を用いて、結合することができる。
【0121】
本発明の組成物の送達
組み合わせの投与が組み合わせのすべての化合物について単一の製剤および送達法に限定されることは意図されない。組み合わせは、例えば、前述の任意の製剤および方法を用い、組み合わせの各化合物について別々の製剤および/または方法を用いて投与しうる。一例において、第一の薬剤を経口送達し、第二の薬剤を筋肉内投与する。
【0122】
用量
特許請求の範囲の組み合わせの各化合物または薬剤の用量は下記を含むいくつかの因子に依存する:投与法、治療する新生物、新生物を治療するか、予防するかにかかわらず、新生物の重症度、ならびに治療する患者の年齢、体重、および健康。
【0123】
当該化合物または薬剤は錠剤、カプセル剤、エリキシル剤もしくはシロップ剤の形で経口、または坐剤の形で直腸投与してもよい。化合物の非経口投与は、例えば、食塩水溶液の形で、または化合物をリポソームに組み込んで、適当に実施される。化合物がそれ自体で溶解するのに十分可溶性でない場合、エタノールなどの可溶化剤を適用することができる。本発明の抗増殖剤は通常、単剤療法としてそれを送達するのに有効であることが公知のものと同じ投与経路で投与する。別の薬剤との組み合わせ療法で、本発明の方法に従って使用する場合、抗増殖剤はその有効な単剤療法としての用法となるものと同じ、またはそれよりも少ない量および頻度で投与する。
【0124】
その他の適用
望まれる場合には、他の組み合わせ、または単一の薬剤が、その例は本明細書に記載している当技術分野において一般に公知のアッセイ法を用いて、癌(例えば、脳癌)などの新生物の成長を阻害する上で本発明の組み合わせと同等に有効であるかどうかを評価するために、本発明の化合物をメカニズムアッセイ法において用いてもよい。例えば、候補化合物を、単独または組み合わせ(例えば、本明細書に記載のものなどの、新生物成長を阻害する薬剤との組み合わせ)で試験し、新生物細胞に適用してもよい。適当な時間の後、これらの細胞の成長を調べる。成長の低減によって、候補化合物または薬剤の組み合わせを新生物成長を阻害するために有効な薬剤として特定する。
【0125】
本発明の薬剤は、癌(例えば、脳癌)などの新生物障害に関与する生物学的経路についてのメカニズム情報を解明する上での有用なツールでもある。そのような情報は新生物を治療、予防、または軽減するための新しい組み合わせまたは単一の薬剤の開発につながりうる。生物学的経路を調べるための当技術分野において公知の方法を用いて、新生物細胞(例えば、神経膠芽腫細胞)を本発明の化合物と接触させることにより影響を受ける生物学的経路、または経路のネットワークを調べることができる。そのような方法は、本発明の化合物との接触後に、未処置、陽性もしくは陰性対照化合物、および/または新しい単一の薬剤もしくは組み合わせと比べて発現または抑制される細胞成分を分析すること、あるいは酵素活性、栄養取り込み、および増殖などの細胞のいくつかの他の活性を分析することを含みうる。分析する細胞成分には遺伝子転写物、およびタンパク質発現が含まれうる。適当な方法には、標準の生化学的技術、本発明の化合物の放射性同位体標識(例えば、14Cまたは3H標識)、および例えば2Dゲル、遺伝子発現プロファイリングを用いての、タンパク質に結合する化合物の観察が含まれうる。いったん特定すれば、そのような化合物をインビボモデル(例えば、ノックアウトまたはトランスジェニックマウス)で用いて、新生物の成長を阻害するためのツールをさらに有効性確認する、または新しい薬剤もしくは戦略を開発することができる。
【0126】
前述のとおり、本発明の方法は、新生物を発生する危険性が高い患者において予防的に用いてもよい。危険因子には、例えば、家族歴、公知の発癌物質への曝露、以前の新生物、癌の分子マーカーの存在、年齢、人種、または性別が含まれる。
【0127】
例示的候補化合物
ペプチド部分
ペプチド、ペプチド様物質、およびペプチド断片(天然、合成、または化学修飾物にかかわらず)は本発明の実施において用いるのに適している。例示的阻害剤には、標的タンパク質またはRNAレベルの量を減らす化合物(例えば、アンチセンス化合物、dsRNA、リボザイム)および内在性有糸分裂キネシンまたはタンパク質チロシンホスファターゼと相手との結合において競合する化合物(例えば、ドミナントネガティブなタンパク質またはこれをコードするポリヌクレオチド)が含まれる。
【0128】
アンチセンス化合物
細胞成長を増大させる、またはアポトーシスもしくは壊死性の死を低減する任意のタンパク質の生物活性を、標的タンパク質をコードするRNAに対するアンチセンス化合物の使用を通じて低下させることができる。シグナリング分子の発現を低減するアンチセンス化合物は、標準の技術を用いて特定することができる。例えば、標的酵素の標的mRNAの利用可能な領域をMFOLDなどのRNA二次構造折りたたみプログラムを用いて予測することができる(M. Zuker, D. H. Mathews & D. H. Turner, Algorithms and Thermodynamics for RNA Secondary Structure Prediction: A Practical Guide. In: RNA Biochemistry and Biotechnology, J. Barciszewski & B. F. C. Clark, eds., NATO ASI Series, Kluwer Academic Publishers, (1999))。mRNAの予測される最も安定なおりたたみの5%以内の自由エネルギー値を有する最適以下の折りたたみを、その中で残基が塩基対結合を形成するための相補的塩基を見いだしうる200塩基のウィンドウを用いて予測する。塩基対を形成しないオープン領域をそれぞれの最適以下の折りたたみと合わせ、オープンであると予測されるエリアはアンチセンス核酸塩基オリゴマーへの結合により利用しやすいと考えられる。アンチセンスデザインの他の方法は、例えば、米国特許第6,472,521号、Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 1997 7:439-444、Nucleic Acids Res. 28:2597-2604, 2000、およびNucleic Acids Res. 31:4989-4994, 2003に記載されている。
【0129】
RNA干渉
シグナリング分子の生物活性は、例えば、当該シグナリング分子を目的とする二本鎖RNA(dsRNA)または低分子干渉RNA(siRNA)を用い、RNA干渉(RNAi)の利用を通じて低下させることができる(例えば、Miyamoto et al., Prog. Cell Cycle Res. 5:349-360, 2003;米国特許出願公開第20030157030号参照)。そのような干渉RNAのデザイン法は当技術分野において公知である。例えば、干渉RNAをデザインするためのソフトウェアがOligoengine (Seattle, WA)から入手可能である。
【0130】
ドミナントネガティブタンパク質
当業者であれば、標的とするシグナリング分子へのドミナントネガティブタンパク質の作成法は公知であると思われる。そのようなドミナントネガティブタンパク質は、例えば、Gupta et al., J. Exp. Med., 186:473-478, 1997;Maegawa et al., J. Biol. Chem. 274:30236-30243, 1999;Woodford-Thomas et al., J. Cell Biol. 117:401-414, 1992)に記載されている。
【0131】
実施例1
抗増殖スクリーニングアッセイ法
実験法
薬物ライブラリから選択した認可低分子薬物を組み合わせて、D54MG多形神経膠芽腫(GBM)細胞株に対する抗増殖活性についてスクリーニングした。Cell Titer-Blue色素(Promega)を用いて、D54MG細胞の代謝能を測定し、ウェル内の生存細胞数の間接的尺度と見なすことができる。Cell Titer-Blue色素は非蛍光色素で、生きている細胞によって容易に定量可能な赤色蛍光生成物に還元される。
【0132】
腫瘍細胞培養
ヒトD54MG細胞株(Dr. Darrell Bigner, Duke Univeristyより提供)を10%ウシ胎仔血清(FBS)、2mMグルタミン、1%ペニシリン、および1%ストレプトマイシンを補足したRoswell Park Memorial Institute(RPMI)-1640培地冲、37±0.5℃および5%CO2で培養した。
【0133】
試験化合物
塩酸イリノテカンはAbatra Technology Co(Xi'an, China)から入手した。イトラコナゾールおよび塩酸セルトラリンはInterchem Corporation(Paramus, NJ)から入手した。パロキセチンはLKT Laboratories, Inc(St. Paul, MN)から入手した。オーラノフィンはProfessional Compounding Centers of America(Houston, TX)から入手した。塩酸トポテカン、アデフォビル・ジピボキシル、セリバスタチンナトリウム、カンデサルタン・シレキセチル、シンバスタチン、イデベノン、エファビレンツ、カルベジロール、および塩酸エピルビシンはSequoia Research Products Ltd.(Oxford, UK)から入手した。ノルエチノドレル、ジスルフィラム、メテルゴリン、塩酸トリフルプロマジン、ラロキシフェン、マプロチリン、およびプロクロルペラジンはSigma-Aldrich Co.(St. Louis, MO)から入手した。ロバスタチンはUS Pharmacopeial Convention, Inc.(Rockville, MD)から購入した。各化合物の保存溶液(1000×)をDMSO中で調製し、-20℃で保存した。個々の化合物の2倍連続希釈液のマスター保存プレートを、Matrix Platemate液体処理ステーションを用いて調製した。培地中に試験化合物を含む希釈液プレートをこれらのマスター保存プレートから作成した。希釈液プレートの試験化合物の最終濃度はアッセイ法で用いるものの10倍であった。希釈液プレートはただちに用い、廃棄した。
【0134】
抗増殖アッセイ法
抗増殖アッセイ法を384穴プレートで実施した。D54MG細胞を培養フラスコから0.25%トリプシンの溶液を用いて遊離させた。培地35μl中3000個の細胞が各アッセイウェルに供給されるように、細胞を培地中で希釈した。次に、希釈液プレートからの10倍保存溶液4.5μlをアッセイプレートの細胞の各ウェルに加えた。アッセイプレートを72時間インキュベートした。インキュベーション後、培地中5%のCell Titer-Blue 40μlを各アッセイに加えた。添加後6時間の時点で、Cell Titer-Blue代謝を蛍光強度の量により定量した。Wallac Victor Vを用いる定量を、安定化エネルギーランプ制御、100ミリ秒の読み取り時間、530nmの励起フィルター、および590nmの発光フィルターによりウェルの上面で行った。
【0135】
各ウェルの阻害パーセント(%I)を下記の式を用いて算出した:
%I=[(未処置ウェル平均−処置ウェル)/(未処置ウェル平均)]×100
【0136】
未処置ウェルの平均値(未処置ウェル平均)は媒体だけで処置した同じアッセイプレートからの31ウェルの算術平均である。示したデータは、2つのマトリックスの平均である、イトラコナゾールとTCA、およびメテルゴリンとラロキシフェンの組み合わせを除いて、少なくとも4つの9×9マトリックスの平均である。
【0137】
スクリーニング
表1および表2に記載の96の化合物(図1)を、前述の抗増殖アッセイ法を用いてヒトD54MG細胞株の成長抑制の増強を示す組み合わせを特定するために、すべての可能な対の組み合わせでスクリーニングした。抗増殖活性の実質的上昇が22の組み合わせで観察された(図2)。
【0138】
他の態様
本明細書中で言及されるすべての出版物、特許出願、および特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0139】
前述の本発明の方法およびシステムの様々な改変および変化は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであると思われる。本発明を特定の望ましい態様に関連して記載してきたが、特許請求の範囲の発明はそのような特定の態様に過度に制限されるべきではないことが理解されるべきである。事実、医学、免疫学、薬理学、腫瘍学、または関連する分野の当業者には明白な、前述の本発明を実施するための様式の改変は、本発明の範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0140】
【図1】ヒトD54MG細胞株における抗増殖活性についてスクリーニングした化合物の構造、および各化合物の濃度と細胞の成長阻害パーセントとの間の関係を示すグラフで示すスクリーニングの結果を示す図である。
【図2】対の両方の化合物を一緒に用いたときに抗増殖活性の増強を示すことが確認された対の組み合わせを示す図である。各化合物の一連の濃度の9×9マトリックスを用いた抗増殖アッセイ法からの結果を示し;各対の過剰阻害を(最高単一薬剤)HSA、Bliss、およびADDモデルを用いて示す。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10】

【図1−11】

【図1−12】

【図1−13】

【図1−14】

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【図1−16】

【図1−17】

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【図1−19】

【図1−20】

【図1−21】

【図1−22】

【図1−23】

【図1−24】

【図1−25】

【図1−26】

【図1−27】

【図1−28】

【図1−29】

【図1−30】

【図1−31】

【図1−32】

【図1−33】

【図1−34】

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【図1−36】

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【図1−40】

【図1−41】

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【図1−44】

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【図1−49】

【図1−50】

【図1−51】

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【図1−53】

【図1−54】

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【図1−56】

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【図1−59】

【図1−60】

【図1−61】

【図1−62】

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【図1−70】

【図1−71】

【図1−72】

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【図1−90】

【図1−91】

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【図1−93】

【図1−94】

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【図1−96】

【図2−1】

【図2−2】

【図2−3】

【図2−4】

【図2−5】

【図2−6】

【図2−7】

【図2−8】

【図2−9】

【図2−10】

【図2−11】

【図2−12】

【図2−13】

【図2−14】

【図2−15】

【図2−16】

【図2−17】

【図2−18】

【図2−19】

【図2−20】

【図2−21】

【図2−22】

【図2−23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含む組成物:
(a)表1および表2の薬剤から選択される第一の薬剤と;
(b)該第一の薬剤以外の表1および表2の薬剤から選択される第二の薬剤。
【請求項2】
前記第一の薬剤および前記第二の薬剤が、患者に投与した場合に該患者を治療するのに有効な量で存在する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
表1または表2から選択される一つまたは複数の追加の薬剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が経口投与用に製剤される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が全身投与用に製剤される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が頭蓋内またはくも膜下腔内投与用に製剤される、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記第一の薬剤および前記第二の薬剤がセリバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;イリノテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ロバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;トポテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ジスルフィラムおよびオーラノフィン;セリバスタチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;ロバスチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;トリフルプロマジンおよびカルベジロール;エファビレンツおよびセリバスタチン;ロバスタチンおよびエファビレンツ;ロバスタチンおよびエピルビシン;イリノテカンおよびイデベノン;ロバスタチンおよびイデベノン;シンバスタチンおよびイデベノン;ノルエチノドレルおよびイリノテカン;メテルゴリンおよびイトラコナゾール;パロキセチンおよびイトラコナゾール;トリフルプロマジンおよびイトラコナゾール;ラロキシフェンおよびマプロチリン;ラロキシフェンおよびメテルゴリン;セルトラリンおよびメテルゴリン;トポテカンおよびノルエチノドレル;ならびにイトラコナゾールおよびクロルプロチキセンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
新生物を有する患者の治療法であって、表1の薬剤から選択される薬剤を該患者を治療するために有効な量で該患者に投与する段階を含む方法。
【請求項9】
新生物を有する患者の治療法であって、表1および表2の任意の薬剤からそれぞれ選択される複数の薬剤を該患者に投与する段階を含み、該薬剤を合わせて該患者を治療するために有効な量で、互いに28日以内に投与する方法。
【請求項10】
前記複数の薬剤がセリバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;イリノテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ロバスタチンおよびアデフォビル・ジピボキシル;トポテカンおよびアデフォビル・ジピボキシル;ジスルフィラムおよびオーラノフィン;セリバスタチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;ロバスタチンおよびカンデサルタン・シレキセチル;トリフルプロマジンおよびカルベジロール;エファビレンツおよびセリバスタチン;ロバスタチンおよびエファビレンツ;ロバスタチンおよびエピルビシン;イリノテカンおよびイデベノン;ロバスタチンおよびイデベノン;シンバスタチンおよびイデベノン;ノルエチノドレルおよびイリノテカン;メテルゴリンおよびイトラコナゾール;パロキセチンおよびイトラコナゾール;トリフルプロマジンおよびイトラコナゾール;ラロキシフェンおよびマプロチリン;ラロキシフェンおよびメテルゴリン;セルトラリンおよびメテルゴリン;トポテカンおよびノルエチノドレル;またはイトラコナゾールおよびクロルプロチキセンである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記薬剤を互いに10日以内に投与する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記薬剤を互いに5日以内に投与する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記薬剤を互いに24時間以内に投与する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記新生物が癌である、請求項8または9記載の方法。
【請求項15】
前記癌が脳癌、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄球性白血病、慢性リンパ球性白血病、真性多血症、ホジキン病、非ホジキン病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆道癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌(lung carcinoma)、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、肺癌腫(lung cancer)、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌、および結腸癌からなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記癌が脳癌である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記脳癌が神経膠芽腫、星状細胞腫、神経膠腫、髄芽腫、乏突起膠腫、神経膠腫、上衣腫、および髄膜腫からなる群より選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
方法を新生物に対する追加の治療の前記患者への投与と共に実施し、ここで該方法および該追加治療を互いに6ヶ月以内に投与する、請求項8または9記載の方法。
【請求項19】
互いに14日以内に前記追加治療を行い、前記方法を実施する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
互いに5日以内に前記追加治療を行い、前記方法を実施する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
互いに24時間以内に前記追加治療を行い、前記方法を実施する、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記追加治療が手術、放射線療法、化学療法、免疫療法、抗血管形成療法、または遺伝子療法を含む、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記追加治療が一つまたは複数のA群抗増殖剤による化学療法を含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記抗増殖剤がブレオマイシン、シスプラチン、ダウノルビシン、エトポシド、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、シクロホスファミド、クロラムブシル、カペシタビン、フルダラビン、ラルチトレキセド、ドキソルビシン、レトロゾール、アナストラゾール、フォルメスタン、タモキシフェン、トレモフィン、ゴセレリン、ロイポレリン、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、ヒペリシン、トラスツマブ、およびリツキシマブ、またはその任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記薬剤を静脈内、筋肉内、吸入、直腸、または経口投与により前記患者に投与する、請求項8または9記載の方法。
【請求項26】
前記薬剤を頭蓋内またはくも膜下腔内投与により前記患者に投与する、請求項8または9記載の方法。
【請求項27】
前記投与が血液脳関門の透過性を高める化合物の投与をさらに含む、請求項8または9記載の方法。
【請求項28】
前記化合物がNa+/Ca++交換遮断薬、マンニトール、およびセレポートからなる群より選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
下記を含むキット:
(a)表1の薬剤の任意の一つから選択される薬剤と;
(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に該薬剤を投与するための説明書。
【請求項30】
下記を含むキット:
(a)表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される二つの薬剤を含む組成物と;
(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に該組成物を投与するための説明書。
【請求項31】
下記を含むキット:
(a)表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第一の薬剤と;
(b)表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第二の薬剤と;
(c)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に該第一および該第二の薬剤を投与するための説明書。
【請求項32】
下記を含むキット:
(a)表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される薬剤と;
(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に該薬剤を、表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される、(a)の薬剤ではない第二の薬剤と共に投与するための説明書。
【請求項33】
下記を含むキット:
(a)下記を含む組成物と:
(i)表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第一の薬剤;および
(ii)一つまたは複数のA群抗増殖剤;
(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に該組成物を投与するための説明書。
【請求項34】
下記を含むキット:
(a)表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される第一の薬剤と;
(b)一つまたは複数のA群抗増殖剤と;
(c)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に(a)および(b)を投与するための説明書。
【請求項35】
下記を含むキット:
(a)表1の薬剤の任意の一つから選択される薬剤と;
(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に該薬剤および一つまたは複数のA群抗増殖剤を投与するための説明書。
【請求項36】
下記を含むキット:
(a)一つまたは複数のA群抗増殖剤と;
(b)新生物を有する、または新生物を有する危険性のある患者に(a)からの該薬剤を表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される任意の薬剤と共に投与するための説明書。
【請求項37】
新生物を有する患者の治療、または前記新生物の予防もしくは軽減のために有用でありうる組み合わせの特定法であって:
(a)新生物細胞を表1および表2の薬剤の任意の一つから選択される薬剤ならびに候補化合物と接触させる段階と;
(b)該薬剤および該候補化合物の組み合わせが、該薬剤とは接触したが、候補化合物とは接触していない細胞に比べて、新生物の成長を阻害するかどうかを評価する段階とを含み、ここで増殖の低減によって組み合わせが新生物を有する患者の治療、または新生物の予防もしくは軽減のために有用な組み合わせであると特定される方法。
【請求項38】
増殖の低減が細胞分裂速度の低下、急速に分裂している細胞への毒性、アポトーシス性の死の増大、または壊死性の死の増大の結果である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記細胞がヒト細胞である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記細胞が神経細胞、膠細胞、小膠細胞、乏突起膠細胞、および星状細胞からなる群より選択される、請求項40記載の方法。

【公表番号】特表2008−540455(P2008−540455A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510308(P2008−510308)
【出願日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/017686
【国際公開番号】WO2006/122007
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(501273808)コンビナトアールエックス インコーポレーティッド (21)
【Fターム(参考)】