説明

新築および/または現存建造物中のカビ、うどん粉菌および菌・カビ防止における第四級アンモニウム化合物の使用

本発明は、新築および/または現存構造物の中の微生物の増殖、例えばカビ、菌・カビおよびうどん粉菌などの増殖を防止しようとする時に第四級アンモニウム化合物を用いることに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新築および/または現存建造物に存在する望まれない微生物の増殖、例えばカビ、菌・カビおよびうどん粉菌などの増殖を防止しようとする時に第四級アンモニウム組成物を用いることに関する。
【背景技術】
【0002】
特定のカビ、うどん粉菌および/または菌・カビが多くの人に健康障害をもたらすいろいろな場合が提示されかつ考察されてきており、そのような有機体を防除する課題が建築産業で絶えず問題になっている。例えば、特定の建物および建物内の場所、例えば地下室、縦に狭い空間などは菌・カビ、カビおよび/またはうどん粉菌の増殖をより容易に助長または促進するに適する。その上、建物の個々の種類および建物が存在する特定の地理的領域に応じて、そのような建物は微生物が増殖するに適した環境を与え得る。例えば、排気が充分でなくそして/または水分にさらされる空間などは微生物の増殖の一因になり得、かつある場合には、新築建造物の中のある空間は建築の最終段階まではしばしば排気されない状態にあることでカビが増殖してコロニーを許容されない度合にまで形成し、かつそのカビがその建物の中の他の領域に急速に拡散する可能性がある。その上、サウスルイジアナ州で最近起こったハリケーンによって、カビ、菌・カビおよびうどん粉菌を防除する問題が洪水にあった家、建物などを所有する人にとってより大きな関心になってきている。そのようなケースの大部分の解決法は、そのような微生物を制御または除去する防除技術を用いることであった。
【0003】
しかしながら、そのような微生物有機体の増殖を防止することでそのような防除の必要性をなくすか或は最小限にすることができれば、それは有益であろう。微生物増殖の防止は一般に抗菌製品で前以て処理されている建物材料を用いることで達成されてきた。このような技術は有効ではあるが、典型的には、建物または構造物の寿命に渡って持続する解決法ではなくかつ典型的には建物材料の処理が理由でより高価である。例えば、加圧処理または他の処理が施された材木を新築の家の建築で用いることは法外な費用がかかることである。その上、数多くの処理は重金属、例えば銅、ヒ素などの使用を伴うことから、それらに接触する人にとって健康上の懸念がもたらされ得る。
【0004】
従って、望まれない微生物有機体の増殖を防止および/または阻害する目的で新築およびまたは現存建造物を処理する予防手段が得られたならば、それは建築産業および家/建物所有者にとって有益であろう。
【0005】
発明の要約
第四級化合物または簡単に「クアト(quats)」は数多くの産業用途で用いられる。クアトは、一般に式R−N[式中の基は同じか、異なるか或は環の一部であってもよくそしてYは対アニオンである]で表される群の化合物であるとして大まかに定義される。必ずしもではないが典型的には、前記基の中の1つは長鎖アルキル基である。大部分の産業用途で、「活性」分子が生じるように、そのようなクアト分子を対イオン(アニオン)と一緒にして複合体を形成させている。
【0006】
本発明者らは、少なくとも1種、時には1種類のみ、時には2種以上の第四級アンモニウム化合物[2種以上は、同じもしくは異なる対アニオンを有する第四級アンモニウム化合物を意図する]または少なくとも1種、時には1種類のみ、時には2種以上の第四級アンモニウム化合物[2種以上は、同じもしくは異なる対アニオンを有する第四級アンモニ
ウム化合物を意図する]が入っている予防用溶液を使用または塗布すると微生物有機体を非酸化的に予防する有効な手段が得られ得ることを見いだした。いくつかの態様では、少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物または予防用溶液を1種以上の製品に塗布するとまたそれにある程度の難燃性も与え得る。いくつかの態様において、そのような予防用溶液に入っているか或は他の形態の第四級アンモニウム化合物が以下に記述するようにホウ酸塩をそれの対アニオンとして有する場合、そのような少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物または予防用溶液を1種以上の製品に塗布するとまたそれにある程度のシロアリ忌避性も与え得る。この態様では、その少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物または予防用溶液を塗布する1種以上の製品は、明らかに、シロアリによる損害を受け易いもの、即ちセルロース基質、例えば木、綿、紙またはバガスが基になった建物製品などであるべきである。そのような製品の非限定例には、シーリングタイル、木製家具、壁板などが含まれる。シロアリ忌避は、シロアリがクアトで処理されたセルロース材料を餌にせずかつ本質的にクアトで処理されたセルロース材料を餌源として食べることなく餌として共食い挙動を起こすか或は異なる餌源を探し得る(もしそれが入手可能であるならば)ことを意味する。
【0007】
このように、1つの態様において、本発明は、微生物有機体の増殖を防止および/または阻害する方法に関する。この方法は、1種以上の製品に式:
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、Yは、HBO、HBO−2、BO−3、B−2、HB、B、B−2、BO、PO−3、HPO−2、HPO、P−4、P10−5、PO、CO−2、HCO、[COおよびこれらの組み合わせから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは、Yの選択に応じて1、2、3、4または5である]
で表される第四級アンモニウム化合物を塗布し、そして
前記1種以上の製品を少なくとも1種の微生物の増殖を助長または促し得る環境の中に存在させる、
ことを含んで成る。
【0010】
いくつかの態様では、少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物が入っている予防用溶液を1種以上の製品に塗布する。
【0011】
発明の詳細な説明
「微生物の」、「微生物」および「微生物有機体」を本明細書で互換的に用いるかもし
れないが、それらを本明細書では最も幅広い意味で用い、それに下記の中の1種以上を包含させることを意味する:カビ、うどん粉菌、菌・カビなど。いくつかの態様では、そのような微生物が1種以上の製品に混入すると考えている。
【0012】
このように、「少なくとも1種の微生物の増殖を助長または促し得る環境の中に存在」は、1種以上のカビ、うどん粉菌、菌・カビなどの増殖を助長または促す環境を意味する。いくつかの態様におけるそのような環境は、一般に、湿っているか或は湿気のある環境であり、そのような環境では相対湿度が60%以上に到達する可能性がありそして/または利用可能な排気が劣り、それが湿っているか或は湿気のある状態の一因になっている。いくつかの態様におけるそのような環境はまた暖かい、例えば55°F(平均温度)以上の環境でもある。
【0013】
また、本明細書で用いる如き「建物」もまた最も幅広い意味で用い、それに家、オフィスおよび/または他の商業的建物、貯蔵装置または建物、アパート、モービルホーム、旅行用トレーラ、家から離れた場所にある車庫、キャンプ場などを包含させることを意味する。
【0014】
また、本明細書で用いる如き「建築材料」も最も幅広い意味で用い、これに微生物有機体が増殖し得る家および建物の建築で用いられる材料のいずれも包含させることを意味する。このように、本明細書で用いる如き「建築材料」に木、綿、厚紙、ライナーボード、他の同様な紙製品、複合組み立て品などを包含させることを意味する。
【0015】
製品
いくつかの態様において、本第四級アンモニウム化合物または予防用溶液を塗布する1種以上の製品は建築材料である。いくつかの態様における製品は、下記:i)石膏ボード、ii)シーリングタイルまたは天然もしくは合成材料で出来ている他のシーリング材料、iii)パーティクルボードまたは建物の建築で用いられる他の同様な複合材料、即ち繊維ボード、プレスボードなど、iv)合成木材、例えば樹脂材料から成形された合成ドア、合成モールディングなど、v)じゅうたん地、vii)じゅうたん地の下で用いられるパッド、viii)天然もしくは合成材料で出来ている絶縁材、ix)木、x)コンクリートまたは他の同様な多孔質材料、xi)多孔質タイル、例えば床材または壁用タイルなど、xii)建物の建築で用いられる合成材料、即ち人工大理石、石、樹脂、例えばファイバーグラスなど、xiii)れんがおよびix)これらの任意組み合わせの中のいずれか1つであり得る。
【0016】
いくつかの態様では、そのような製品を下記の中の1つ以上から選択する:カーテン、ベッドシーツ、家具(ソファー、椅子、テーブル、ベッドなど)など。
【0017】
第四級アンモニウム化合物
本明細書で用いる如き用語「第四級アンモニウム化合物」および「クアト」は、一般式R−N[式中の基は同じか、異なるか或は環の一部であってもよくそしてYは対アニオンである]で表される化合物を指す。前記有機基はアルキルまたはアルケニル(不飽和アルキル)基であり得、これらは直鎖もしくは分枝、置換もしくは非置換またはこれらの混合形態である。また、用語「第四級アンモニウム化合物」または「クアト」にクアトが有する4個の有機基の中の1つが2番目のクアトと「共有している」基であってもよい化合物も包含させることを意図する。
【0018】
本発明で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
【0019】
【化2】

【0020】
[式中、Yは対アニオンであり、そしてmは、Yの選択に応じて1、2、3、4または5である]
で表される。
【0021】
本発明で用いる第四級アンモニウム化合物の対アニオンであるYは、ホウ酸塩アニオン、燐酸塩アニオン、炭酸塩アニオン(CO−2)、重炭酸塩アニオン(HCO)およびカルボン酸塩アニオン([CO)から選択可能である。このように、いくつかの態様におけるYは、ホウ酸塩アニオン、または燐酸塩アニオン、または炭酸塩アニオン、または重炭酸塩アニオンまたはカルボン酸塩アニオンである。第四級アンモニウム化合物が2個存在する場合、そのクアトの中の一方が有する対アニオンは重炭酸塩アニオンおよび/または炭酸塩アニオンまたは燐酸塩アニオンまたはカルボン酸塩アニオンであり、そしてもう一方の第四級アンモニウム化合物が有する対アニオンはホウ酸塩アニオンであるのが好適である。
【0022】
本明細書で用いるに適したホウ酸塩アニオンには、二水素ホウ酸塩アニオンHBO、水素ホウ酸塩アニオンHBO−2、ホウ酸塩アニオンBO−3、四ホウ酸塩アニオンB−2、水素四ホウ酸塩アニオンHB、B、五ホウ酸塩B−2およびBOが含まれる。このようにYを適切にはHBO、HBO−2、BO−3、B−2、HB、B、B−2およびBOから選択する。Yがホウ酸塩アニオンの場合、YがBO−3でありそしてmが3であるのが好適である。
【0023】
本明細書で用いるに適した燐酸塩アニオンには、燐酸塩アニオンPO−3、水素燐酸塩アニオンHPO−2、二水素燐酸塩アニオンHPO、二燐酸塩アニオンP−4および三燐酸塩アニオンP10−5が含まれる。このように、Yを適切にはPO−3、HPO−2、HPO、P−4、P10−5およびPOから選択する。Yが燐酸塩アニオンの場合、YがPO−3でありそしてmが3であるのが好適である。
【0024】
本明細書で用いるに適したカルボン酸塩アニオンは、一般式[CO[式中、nは1に相当するか或はそれ以上の整数であり、そしてRは炭素原子数が1から25の範囲の置換、非置換、飽和もしくは不飽和アルキル基から選択される]で表される。いくつかの好適な態様において、Rが含有する炭素原子の数は約10から約20の範囲、いくつかの態様における炭素原子の数は10から12の範囲、他の態様における炭素原子の数は12から14の範囲、他の態様における炭素原子の数は14から16の範囲、更に他の態様における炭素原子の数は16から18の範囲内である。
【0025】
いくつかの態様において、本発明で用いるクアトに金属カプラーを含有させない。金属
カプラーを含有させないは、本クアトに銅、水銀、鉛、カドミウム、六価のクロム、ヒ素、アンチモンまたは亜鉛などの如き金属を含有させないことを意味する。そのような金属は一般に殺生物特性を有することが理由で使用されている。しかしながら、前記および他の「重」金属は特定の環境上の懸念を有し、従って、そのような重金属を用いないで製品に予防処置を施すのが有益であろう。
【0026】
本発明で用いるクアトが有する4個の炭素鎖、即ちR、R、RおよびRは独立してi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する。そのようなクアトで用いるに適したアルキルおよびアルケニル基は炭素原子数が1から20の範囲内のそれらである。好適な態様では、RおよびRを独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択し、そしてRおよびRを独立して炭素原子を6から20個の範囲の数で含有する基から選択しかつそれらをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1、2または3である。より好適な態様におけるRおよびRはメチル基であり、そしてRおよびRを独立して炭素原子を8から14個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基から選択する。1つの態様において、RまたはRの中の一方は炭素原子を8から10個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基であり、そしてRまたはRの中の一方は炭素原子を12から14個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基である。
【0027】
本発明の他の態様では、前記4個の炭素鎖、即ちR、R、RおよびRの中の少なくとも1個、時には1個のみ、他の態様では2個のみをi)炭素原子を13から16、時には14から16、時には14個含有する置換もしくは非置換アルキル基またはii)炭素原子を13から16、時には14から16、時には14個含有する置換もしくは非置換アルケニルから選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する。そのような炭素鎖は飽和もしくは不飽和であってもよく、好適には置換されていない。そのような態様では、炭素原子を13から16、時には14から16、時には14個含有する不飽和の置換もしくは非置換、好適には非置換アルキル基を選択するのが特に好適である。そのような態様では、R、R、RおよびRの中の少なくとも2個、いくつかの態様では2個のみ、他の態様では3個を独立して炭素原子数が1から4、時には1から3、いくつかの態様では2から4のアルキル基から選択する。そのような態様では、また、R、R、RおよびRの中の1つをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有することも意図する。そのようなアルキルおよびアルケニル基は、炭素原子を1から20個含有するそれらである。好適な態様では、R、R、RおよびRの中の1つを炭素原子を6から20個含有する基から選択し、それらをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1、2、3、4または5、時には1、2または3である。いくつかの態様では、それを炭素原子を8から14個含有する非置換アルキル基から選択する。他の態様では、それを炭素原子を8から10個含有する非置換アルキル基から選択し、他の態様では、それを炭素原子を12から14個含有する非置換アルキル基から選択する。
【0028】
本発明のいくつかの態様では、前記4個の炭素鎖の中の少なくとも2個を独立して炭素原子数が1から4、時には1から3、いくつかの態様では2から4のアルキル基から選択し、そして前記4個の炭素鎖の中の2個を独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択し、それらをi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択し、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1、2、3、4または5、時には1、2または3であり、かつ上述した如き範囲を意図しそして炭素原子を6から20個含有する基から独立して選択した前記4個の炭素鎖の中の前記2個が含有する炭素原子の数は異なる。更に他の態様では、R、R、RおよびRの全部を独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択し、それらは時にはメチル基である。
【0029】
別の態様におけるmは2であり、そしてクアトが有する4個の有機基の中の1個は2番目のクアトと「共有する」基であってもよい。この態様ではRをそのような共有基として示したが、その共有基はR、R、RおよびRのいずれであってもよいことを注目すべきである。このような態様において、本発明の実施で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
【0030】
【化3】

【0031】
で表される。
【0032】
この態様におけるR、R、R、Rは、好適な態様を包含する上述した通りであり、そしてYを−2のイオン電荷を有する上述したアニオンから選択し、いくつかの態様におけるそれは−2のイオン電荷を有するホウ酸塩アニオン、いくつかの態様ではHBO−2である。
【0033】
別の態様において、mが2でありそしてクアトが有する4個の有機基の中の1個が2番目のクアトと「共有する」基であってもよい場合、本発明で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
【0034】
【化4】

【0035】
で表される。
【0036】
この態様におけるR、R、R、Rは、好適な態様を包含する上述した通りであり、そして各Yを独立して−1のイオン電荷を有する上述したアニオンから選択し、いくつかの態様では、−1のイオン電荷を有するホウ酸塩アニオンから選択し、他の態様における各YはHBOである。この態様ではRをそのような共有基として示したが、その共有基はR、R、RまたはRのいずれであってもよいことを注目すべきである。
【0037】
別の態様では、mが3でありそしてクアトが有する4個の有機基の中の1個が2番目のクアトと「共有する」基である。この態様において、本発明のコーティング配合物で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
【0038】
【化5】

【0039】
で表され得る。
【0040】
この態様におけるR、R、RおよびRは、本明細書で記述(好適な態様を包含)した通りであり、そして一方のYを独立して−2のイオン電荷を有する上述した対アニオンから選択しそしてもう一方のYを−1のイオン電荷を有する対アニオンから選択する。いくつかの態様では、一方のYをHBO、HB、BおよびBOから選択しそしてもう一方のYをHBO−2、B−2およびB−2から選択する。この態様ではRをそのような共有基として示したが、その共有基はR、R、RまたはRのいずれであってもよいことを注目すべきである。
【0041】
別の態様において、mが3でありそしてクアトが有する4個の有機基の中の1個が2番目のクアトと「共有する」基であってもよい場合、本発明で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
【0042】
【化6】

【0043】
で表される。
【0044】
この態様におけるR、R、RまたはRは、好適な態様を包含する上述した通りであり、そして各Yを独立して−1の正味イオン電荷を有するアニオンから選択する。いくつかの態様では、各Yを独立してHBO、HB、Bから選択する。この態様ではRをそのような共有基として示したが、その共有基はR、R、RおよびRのいずれであってもよいことを注目すべきである。
【0045】
いくつかの態様では、mが3でありそしてYがBO−3である。この態様において、本発明で用いる第四級アンモニウム化合物は一般式:
【0046】
【化7】

【0047】
で表される。
【0048】
この態様におけるR、R、RまたはRは、好適な態様を包含する上述した通りである。この態様ではRおよびRをそのような共有基として示したが、その共有基は独立してR、R、RまたはRのいずれかまたはそれら任意組み合わせであっても
よいことを注目すべきである。例えばRおよびRが共有基であってもよい、RおよびRが共有基であってもよい、等々。また、3個の窒素原子全部がR、R、RまたはRから独立して選択される同じ基を共有していることもあり得る。
【0049】
本発明のクアトの調製は当該技術分野で公知の方法のいずれかを用いて実施可能であり、典型的な方法には、共通所有の同時係属中出願であるPCT US2005/010162およびUS 60/730,821(これらは引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されている方法が含まれる。
【0050】
第四級アンモニウム化合物が入っている予防用溶液
本クアト1種または2種以上を1種以上の製品に直接塗布してもよいが、その第四級アンモニウム化合物が入っている予防用溶液、より好適には予防用水溶液を1種以上の製品に塗布するのが好適である。
【0051】
本クアトの製造で用いる方法、例えば共通所有の同時係属中出願であるPCT US2005/010162およびUS 60/730,821に記述されている方法などを用いると典型的にクアトが水溶液の状態でもたらされる。その水溶液には典型的に水、少なくとも1種の極性有機共溶媒および本明細書に記述する如き1種以上のクアトが入っている。そのような水溶液に存在させる極性有機共溶媒は典型的に水とある程度の相溶性を示す溶媒である、と言うのは、典型的に水が前記水溶液の1成分であるからである。極性有機共溶媒を典型的には数種の化合物、例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、C−Cアルコール、C−Cアルコールなど(メタノールが好適な例である)、ポリアルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなど、エステル、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、蟻酸エステルなど、エーテル、例えばメチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、グライムなど、およびカルボニル含有溶媒、例えばアセトン、アセトアルデヒドなどから選択する。いくつかの態様では、1種類のみの極性有機共溶媒を用いそして他の態様では2種以上、時には2種類、または他の態様では3種類以上の極性有機共溶媒を用いることを注目すべきである。
【0052】
そのような水溶液の極性有機共溶媒と水の比率を一般に約10:90から約99:1(水と極性有機共溶媒の組み合わせを基準にした共溶媒の重量:水の重量)の範囲内にするが、そのような極性有機共溶媒と水の正確な量をR、R、RおよびRの選択に応じて選択する。一般的には、共溶媒:水の重量比を同じ基準で約50:50から約99:1の範囲内にするのが好適であり、約60:40から約99:1がより好適であり、約70:30から約98:2が更により好適であり、約80:20から約95:5が更により好適である。
【0053】
一般的には、疎水性が非常に高いアルキル置換基を含有するクアト、例えばアルキル基がC10−C20である二重尾もしくは双尾クアトなどの場合には水に対する共溶媒の比率が高い水溶液の方が好適である一方、疎水性が低いアルキル置換基を有するホウ素−クアト、例えば(C−C)アルキルトリメチルアンモニウム塩などの場合には水に対する共溶媒の比率が低い水溶液が好適であることを見いだした。
【0054】
そのような水溶液にアルコールを極性有機共溶媒として入れてもよく、このように、その水溶液はアルコールと水の混合物を含有して成る。この態様では、C−Cアルコールと水の比率がこの上に示した基準と同じ基準で10:90から99:1(重量)である混合物が入っている水溶液が典型的に好適である。C−Cアルコールと水が約50:50から約99:1の比率の混合物が入っている水溶液が更により好適であり、約60:40から約99:1がより好適であり、約70:30から約98:2が更により好適であ
り、約80:20から約95:5が更により好適である(全部重量で表しかつ同じ基準である)。本クアト1種または2種以上の製造で用いる好適な水溶液は、メタノールと水の重量比が水とアルコールを基準にして約85:15の混合物である水溶液である。
【0055】
そのような水溶液には水、少なくとも1種の極性有機共溶媒および本クアト1種または2種以上が入っていてもよいと理解されるべきである。しかしながら、その水溶液に入っている水および極性有機共溶媒の量を記述する時のそれらの比率は極性有機共溶媒と水の量を基準にした比率であった。このように、その溶液に入っている前記成分および本クアトの量を考慮する時、その混合物は、少なくとも3種類の主成分である水と極性有機共溶媒と本クアト1種または2種以上の「塩」を含有して成る3成分組成物である。従って、そのような水溶液の成分の比率をこの水溶液を基準にしたクアトの重量:極性有機共溶媒の重量:水の重量の比率として表すことができる。例として、メタノール:水が重量で表して85:15の混合物から成る混合物にクアト塩を25重量%添加することで生じさせた水溶液は、この水溶液を基準にした重量で表してクアト塩:メタノール:水が重量で表して25:64:11の3成分組成を有するであろう。
【0056】
経済および/または工程の考慮が理由で、そのような水溶液のクアト1種または2種以上の濃度を一般にクアトが水溶液を基準にして約1から約50重量%の範囲になるようにする。その水溶液のクアト濃度をこの水溶液を基準にして約1から約10重量%の範囲内にするならば、その水溶液をそのまま基質に塗布してもよいが、入手可能なそのような水溶液は、一般に、クアトの濃度が水溶液を基準にして約10から約30重量%の範囲、より典型的にはクアト1種または2種以上の濃度が同じ基準で約20から約30重量%の範囲内の水溶液のみである。本発明者らは、クアト1種または2種以上を塗布する1種以上の製品に所望の特性を与えようとする時にそれらの濃度をそのように高くする必要はなく、ずっと低い範囲でも有効でありかつ費用が低いことを見いだした。従って、本発明の実施では、そのような水溶液に希釈剤を添加することで、明らかに前記希釈剤と前記水溶液の成分と同じ成分が入っていてクアト濃度が約1から約10重量%の範囲、いくつかの態様では約2から約8重量%の範囲、いくつかの態様では約4から約6重量%(全部予防用溶液を基準)の範囲内である予防用溶液を生じさせることができる。本明細書で用いるに適した希釈剤は、上述した如き極性有機共溶媒、水およびこれらの混合物から選択可能である。いくつかの態様における希釈剤は水である。
【0057】
代替態様
いくつかの態様では、構造:
【0058】
【化8】

【0059】
[ここで、R、R、R、Yおよびmは、上述した通りであり、R’は、炭素原子数が1−10、いくつかの態様では1から5の範囲、いくつかの態様では1から3の範囲内の炭化水素基であり、そしてR”およびR”’は、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する]
で表される1種、いくつかの態様では2種以上の第四級アンモニウム化合物を用いてもよい。いくつかの態様では、R”およびR”’を炭素原子数が1から20の範囲、いくつかの態様では1から15の範囲、他の態様では6から14の範囲内の非置換アルキル基から選択する。
【0060】
別の態様では、1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物を本発明の実施で用いる。そのような1番目の第四級アンモニウム化合物は上述した式のいずれかで表され得るが、いくつかの態様において、その1番目の第四級アンモニウム化合物は式:
【0061】
【化9】

【0062】
[式中、mは上述した通りであり、そしてYは、好適な態様を包含する上述した如きホウ酸塩から選択される]
で特徴づけ可能であるが、この1番目の第四級アンモニウム組成物には金属カプラーを含有させない。この態様では、前記1番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR、R、RおよびRを好適な態様を包含する上述したそれらから選択する。
【0063】
この態様における2番目の第四級アンモニウム化合物は、好適な態様を包含する上述した式のいずれかで表され得るが、その2番目の第四級アンモニウム化合物を構造:
【0064】
【化10】

【0065】
[ここで、mは上述した通りであり、そしてYは、ホウ酸塩以外の対アニオン、いくつか
の態様では炭酸塩および/または重炭酸塩から選択される]
で特徴づけるのが好適であり、この2番目の第四級アンモニウム組成物には金属カプラーを含有させない。この態様では、前記1番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR、R、RおよびRを好適な態様を包含する上述したそれらから選択する。
【0066】
前記2番目の第四級アンモニウム化合物のYが重炭酸塩または炭酸塩である時に前記2番目の第四級アンモニウム化合物と同じ一般式で表される3番目の第四級アンモニウム化合物を存在させることは本発明の範囲内である。この態様では、その3番目の第四級アンモニウム化合物に金属カプラーを存在させず、かつこの3番目の第四級アンモニウム化合物の4個の炭素基、即ちR、R、RおよびRを上述したそれらから選択する。この態様における3番目の第四級アンモニウム化合物のY対アニオンは重炭酸塩もしくは炭酸塩であるが、前記2番目の第四級アンモニウム化合物のそれと同じではない。例えば、前記2番目の第四級アンモニウム化合物のYが炭酸塩の場合、3番目の第四級アンモニウム化合物のYは重炭酸塩であり、そしてその逆も当てはまる。
【0067】
製品1種または2種以上への塗布
前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物、水溶液もしくは予防用溶液、いくつかの態様では水溶液、他の態様では予防用溶液を前記1種以上の製品に建物建築のいずれかの段階中に塗布してもよい。例えば、それらを完成時点のコンクリートスラブ、取り付け中の壁間柱、取り付け中のシーリングジョイント、吊している時のシートロック、取り付け中のシーリングタイルなどに塗布してもよい。いくつかの態様では、その予防用溶液を建物が完成した後の製品に塗布する。他の態様では、その予防用もしくは水溶液を壁間柱および/またはセメントおよび/またはシーリングジョイントおよび/または木製屋根葺き材(これを他の材料、即ち屋根葺き用シングルなどで覆う前)に塗布する。前記および他の態様では、その予防用もしくは水溶液をまた他の製品、例えばシートロックまたは壁板、例えばパネル材、レンガなどに塗布することも可能である。また、所望結果を達成する目的でいろいろなクアトが入っている予防用もしくは水溶液を用いてもよいことも意図する。
【0068】
前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物、水溶性もしくは予防用溶液を前記1種以上の製品に塗布する方法は本発明にとって重要ではない。適切な塗布方法の非限定例には、コーティング、浸し塗り、浸漬、ハケ塗り、噴霧などが含まれる。大部分の塗布の性質が理由で、いくつかの態様では、前記第四級アンモニウム化合物を噴霧で塗布し、いくつかの態様では、加圧噴霧装置、例えば加圧洗浄機または加圧噴霧装置、例えば手動ポンプで加圧する庭用噴霧装置などを用いて塗布する。
【0069】
この上で行った説明は本発明のいくつかの態様に向けたものである。当業者は、等しく有効な他の態様を認識し、本発明の精神を実行するに適した他の態様を考案することができるであろう。また、本発明の好適な態様は本明細書で考察するあらゆる範囲が低い方のいずれかの量から高い方のいずれかの量までの範囲を包含することを意図したものであることも注目すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物有機体の増殖を防止および/または阻害する方法であって、1種以上の製品に式:
【化1】

[式中、Yは、HBO、HBO−2、BO−3、B−2、HB、B、B−2、BO、PO−3、HPO−2、HPO、P−4、P10−5、PO、CO−2、HCO、[COおよびこれらの組み合わせから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは、Yの選択に応じて1、2、3、4または5である]
で表される少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を塗布し、そして
前記1種以上の製品を1種以上のカビ、うどん粉菌、菌・カビなどから選択される少なくとも1種の微生物の増殖を助長または促し得る環境の中に存在させる、
ことを含んで成る方法。
【請求項2】
前記1種以上の製品が下記:i)石膏ボード、ii)シーリングタイルまたは天然もしくは合成材料で出来ている他のシーリング材料、iii)パーティクルボードまたは建物の建築で用いられる他の同様な複合材料、iv)合成木材、v)じゅうたん地、vii)じゅうたん地の下で用いられるパッド、viii)天然もしくは合成材料で出来ている絶縁材、ix)木、x)コンクリートまたは他の同様な多孔質材料、xi)多孔質タイル、例えば床材または壁用タイルなど、xii)建物の建築で用いられる合成材料、xiii)れんが、xiv)カーテン、xv)ベッドシーツ、xvi)家具、xvii)壁パネルおよびxviii)これらの任意組み合わせの中のいずれか1つである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第四級アンモニウム化合物が水溶液もしくは予防用溶液を基準にして約1から約10重量%の範囲内の量で入っていて金属カプラーが入っていない水溶液もしくは予防用溶液を塗布することで前記第四級アンモニウム化合物を前記1種以上の製品に塗布する請求項2記載の方法。
【請求項4】
コーティング、浸し塗り、浸漬、ハケ塗り、噴霧などから選択した方法を用いて前記第四級アンモニウム化合物を前記1種以上の製品に塗布する請求項3記載の方法。
【請求項5】
およびRが独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択されそしてRおよびRが独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択されかつそれらがi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基か
ら選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらがアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する請求項4記載の方法。
【請求項6】
およびRがメチル基でありそしてRおよびRが独立して炭素原子を8から16個含有する非置換アルキル基から選択される請求項3記載の方法。
【請求項7】
の炭素原子含有基が有する炭素の数がRの炭素原子含有基が有するそれとは異なる請求項6記載の方法。
【請求項8】
またはRの一方が炭素原子を8から10個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基でありそしてRまたはRの一方が炭素原子を12から16個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基である請求項1記載の方法。
【請求項9】
またはRの一方が炭素原子を8から10個含有する非置換アルキル基でありそしてRまたはRの一方が炭素原子を12から14個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基である請求項5記載の方法。
【請求項10】
YがBO−3でありそしてmが3である請求項1記載の方法。
【請求項11】
、R、RおよびRの中の少なくとも1つが共有基である請求項1記載の方法。
【請求項12】
a)i)mが2でありそしてii)YがHBO−2、B−2およびB
から選択されるか、或は
b)i)mが3であり、ii)前記第四級アンモニウム化合物が共有アニオンYを2個
含有しそしてiii)前記共有アニオンの一方がHBO、HB、B
およびBOから選択されそしてもう一方の共有アニオンがHBO
、B−2およびB−2から選択されるか、或は
c)i)mが3であり、そしてii)前記第四級アンモニウム化合物が共有アニオンY
を3個含有しかつ各Yが独立してHBO、HB、Bおよび
BOから選択される、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物が式:
【化2】

[式中、Yは、HBO、HBO−2、BO−3、B−2、HB、B、B−2、BO、PO−3、HPO−2、HPO、P
−4、P10−5、PO、CO−2、HCO、[COおよびこれらの組み合わせから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは、Yの選択に応じて1、2、3、4または5であり、R’は、炭素原子数が1−10の炭化水素基であり、そしてR”およびR”’は、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する]
で表される請求項5記載の方法。
【請求項14】
1番目、2番目および場合により3番目の第四級アンモニウム化合物を前記1種以上の製品に塗布し、かつ
a)前記1番目の第四級アンモニウム化合物が式:
【化3】

[式中、Yは、HBO、HBO−2、BO−3、B−2、HB
、B、B−2およびBOから選択され、R、R、R
およびRは、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換
もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されてい
る場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル
、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択され
る置換基を1個以上有し、そしてmは、Yの選択に応じて1、2、3、4または5
である]
で特徴づけられ、そして
b)前記2番目の第四級アンモニウム化合物が式:
【化4】

[式中、Yは、PO−3、HPO−2、HPO、P−4、P
10−5、PO、CO−2、HCO、[COおよびこれら
の組み合わせから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、i)置換
もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択
され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシ
クリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シア
ノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは
、Yの選択に応じて1、2、3、4または5である]
で特徴づけられる、
請求項5記載の方法。
【請求項15】
前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物の各RおよびRが独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択されそして前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物の各RおよびRが独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択されかつそれらがi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらがアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記1番目の第四級アンモニウム化合物のRが有する炭素の数が前記1番目の第四級アンモニウム化合物のRが有するそれとは異なり、そして/または前記2番目の第四級アンモニウム化合物のRが有する炭素の数が前記2番目の第四級アンモニウム化合物のRが有するそれとは異なる請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記1種以上の製品がセルロース製品でありそして前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を塗布することで前記1種以上の製品にシロアリ忌避性および/または難燃性を与える請求項1、11、13または14のいずれか記載の方法。
【請求項18】
前記1種以上の製品が建物で用いられるか或は建物の建築で用いられそして前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を前記1種以上の製品に前記建物建築中のいずれかの段階で塗布する請求項1、11、13または14のいずれか記載の方法。
【請求項19】
前記1種以上の製品が現存建物の一部であるか或はそれの中に存在する請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記任意の3番目の第四級アンモニウム化合物を前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物と一緒に前記1種以上の製品に塗布し、前記2番目の第四級アンモニウム化合物の対アニオンYがCO−2でありそして前記3番目の第四級アンモニウム化合物が式:
【化5】

[式中、Yは、HCOから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1である]
で特徴づけられる請求項14記載の方法。
【請求項21】
前記3番目の第四級アンモニウム化合物のRが有する炭素の数が前記3番目の第四級アンモニウム化合物のRが有するそれとは異なる請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記1種以上の製品がセルロース製品でありそして前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を塗布することで前記1種以上の製品にシロアリ忌避性および/または難燃性を与える請求項20記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を前記1種以上の製品に前記建物建築中のいずれかの段階で塗布する請求項20記載の方法。
【請求項24】
1種以上の製品に式:
【化6】

で表される少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を塗布することで微生物有機体の増殖を防止および/または阻害することを含んで成る方法であって、
a)前記式中のYがHBO、HBO−2、BO−3、B−2、HB
、B、B−2、BOおよびこれらの組み合わせから選択
され、RおよびRが独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から
選択され、RおよびRが独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択
されかつそれらがi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非
置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、そ
れらがアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキ
シル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を
1個以上有し、そしてmがYの選択に応じて1、2または3であり、
b)前記1種以上の製品が1種以上のカビ、うどん粉菌、菌・カビなどから選択される
少なくとも1種の微生物を含有し、
c)前記第四級アンモニウム化合物が水溶液もしくは予防用溶液を基準にして約1から
約10重量%の範囲内の量で入っていて金属カプラーが入っていない水溶液もしく
は予防用溶液を前記1種以上の製品にコーティング、浸し塗り、浸漬、ハケ塗り、
噴霧などから選択した方法で塗布することで前記1種以上の第四級アンモニウム化
合物を前記1種以上の製品に塗布し、かつ
d)前記1種以上の製品が下記:i)石膏ボード、ii)シーリングタイルまたは天然
もしくは合成材料で出来ている他のシーリング材料、iii)パーティクルボード
または建物の建築で用いられる他の同様な複合材料、iv)合成木材、v)じゅう
たん地、vii)じゅうたん地の下で用いられるパッド、viii)天然もしくは
合成材料で出来ている絶縁材、ix)木、x)コンクリートまたは他の同様な多孔
質材料、xi)多孔質タイル、例えば床材または壁用タイルなど、xii)建物の
建築で用いられる合成材料、xiii)れんが、xiv)カーテン、xv)ベッド
シーツ、xvi)家具、xvii)壁パネルおよびxviii)これらの任意組み
合わせの中のいずれか1つである、方法。
【請求項25】
の炭素原子含有基が有する炭素の数がRの炭素原子含有基が有するそれとは異なる請求項24記載の方法。
【請求項26】
およびRがメチル基でありそしてRおよびRが独立して炭素原子を8から16個含有する非置換アルキル基から選択される請求項24記載の方法。
【請求項27】
またはRの一方が炭素原子を8から10個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基でありそしてRまたはRの一方が炭素原子を12から16個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基である請求項24記載の方法。
【請求項28】
またはRの一方が炭素原子を8から10個含有する非置換アルキル基でありそしてRまたはRの一方が炭素原子を12から14個の範囲内の数で含有する非置換アルキル基である請求項24記載の方法。
【請求項29】
、R、RまたはRの中の少なくとも1つが共有基である請求項24記載の方法。
【請求項30】
a)i)mが2でありそしてii)YがHBO−2、B−2およびB
から選択されるか、或は
b)i)mが3であり、ii)前記第四級アンモニウム化合物が共有アニオンYを2個
含有しそしてiii)前記共有アニオンの一方がHBO、HB、B
およびBOから選択されそしてもう一方の共有アニオンがHBO
、B−2およびB−2から選択されるか、或は
c)i)mが3であり、そしてii)前記第四級アンモニウム化合物が共有アニオンY
を3個含有しかつ各Yが独立してHBO、HB、Bおよび
BOから選択されるか、或は
d)i)mが3であり、そしてii)YがBO−3である、
請求項29記載の方法。
【請求項31】
1番目、2番目および場合により3番目の第四級アンモニウム化合物を前記1種以上の製品に塗布し、かつ
a)前記1番目の第四級アンモニウム化合物が式:
【化7】

[式中、Yは、HBO、HBO−2、BO−3、B−2、HB
、B、B−2およびBOから選択され、R、R、R
およびRは、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換
もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されてい
る場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル
、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択され
る置換基を1個以上有し、そしてmは、Yの選択に応じて1、2、3、4または5
である]
で特徴づけられ、そして
b)前記2番目の第四級アンモニウム化合物が式:
【化8】

[式中、Yは、PO−3、HPO−2、HPO、P−4、P
10−5、PO、CO−2、HCO、[COおよびこれら
の組み合わせから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、i)置換
もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択
され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシ
クリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シア
ノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは
、Yの選択に応じて1、2、3、4または5である]
で特徴づけられる、
請求項24記載の方法。
【請求項32】
前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物の各RおよびRが独立して炭素原子数が1から3の範囲内のアルキル基から選択されそして前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物の各RおよびRが独立して炭素原子を6から20個含有する基から選択されかつそれらがi)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらがアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有する請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記1番目の第四級アンモニウム化合物のRが有する炭素の数が前記1番目の第四級アンモニウム化合物のRが有するそれとは異なり、そして/または前記2番目の第四級アンモニウム化合物のRが有する炭素の数が前記2番目の第四級アンモニウム化合物のRが有するそれとは異なる請求項31記載の方法。
【請求項34】
前記1種以上の製品がセルロース製品でありそして前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を塗布することで前記1種以上の製品にシロアリ忌避性および/または難燃性を与える請求項24または31のいずれか記載の方法。
【請求項35】
前記1種以上の製品が建物で用いられるか或は建物の建築で用いられそして前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を前記1種以上の製品に前記建物建築中のいずれかの段階で塗布する請求項24または31のいずれか記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1種の第四級アンモニウム化合物を現存建物の一部であるか或はそれの中に存在する1種以上の製品に塗布する請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記任意の3番目の第四級アンモニウム化合物を前記1番目および2番目の第四級アンモニウム化合物と一緒に前記1種以上の製品に塗布し、前記2番目の第四級アンモニウム化合物の対アニオンYがCO−2でありそして前記3番目の第四級アンモニウム化合物が式:
【化9】

[式中、Yは、HCOから選択され、R、R、RおよびRは、独立して、i)置換もしくは非置換アルキル基またはii)置換もしくは非置換アルケニル基から選択され、かつi)またはii)が置換されている場合、それらはアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシル、エステル、ベンジル、カルボキシル、ハロ、ニトロ、シアノ、アルコキシまたはオキソ基から選択される置換基を1個以上有し、そしてmは1である]
で特徴づけられる請求項31記載の方法。
【請求項38】
前記3番目の第四級アンモニウム化合物のRが有する炭素の数が前記3番目の第四級アンモニウム化合物のRが有するそれとは異なる請求項37記載の方法。

【公表番号】特表2010−513537(P2010−513537A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542975(P2009−542975)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/060244
【国際公開番号】WO2008/079418
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】