説明

新聞巻取紙無人搬送車

【課題】無人搬送車内のスペース効率を向上させるとともに、重量バランスの向上を図った無人搬送車を提供する。
【解決手段】新聞巻取紙を保管場所と輪転機の設置場所との間で無人搬送する走行機構120と、新聞巻取紙を垂直方向に昇降し輪転機の対峙する巻取紙保持アームに対して装着・回収する昇降ユニット140と、使用済みの残芯を回収する昇降自在なリフタを備え車体側面から水平に出没自在に設けられた残芯回収機構160とを具備し、残芯回収機構160が、車体側面に繰り出した時に車体側面に平行な向きに移動可能に構成されているとともに車体内に格納される時に所定の位置に固定され、車体内にバッテリを搭載する空間Rを確保することにより上記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新聞巻取紙を保管場所と輪転機の設置場所との間で無人搬送する新聞巻取紙無人搬送車に関するものであって、さらに詳しくは、新聞巻取紙の残芯を回収する残芯回収機構を備えた新聞巻取紙無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞社等においては、輪転機に対して新しい新聞巻取紙を供給したり、使用途中の新聞巻取紙を回収するために新聞巻取紙無人搬送車が一般に用いられている。このような新聞巻取紙無人搬送車として、搬送中の最大径の新聞巻取紙と干渉することなく、使用済みの残芯を回収するため、昇降自在なリフタを備え車体側面から水平に出没自在に設けられた残芯回収機構を具備した新聞巻取紙無人搬送車(以下、「無人搬送車」と称する)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、従来より用いられている残芯回収機構260を具備した無人搬送車200の平面図を示している。この残芯回収機構260は、残芯を下方から受け止める上側が開いた半円状の残芯受台265と、図示はされていないが、残芯受台265を昇降駆動するパンタグラフ機構からなるリフタを備えている。そして、残芯受台265は、回収する残芯が短い場合に輪転機の巻取紙保持アームに右揃えで保持されている場合であっても左揃えで保持されている場合であっても残芯を確実に回収できるように、矢印で示したように、無人搬送車200の車体側面に沿って、移動可能に設置されている。そして、残芯の回収を終えるとリフタが降下し、残芯回収機構260は、車体内に収納される。このような無人搬送車200は、最大径の新聞巻取紙が昇降ユニット240のスライドテーブル245上に載置されている場合であっても、残芯回収機構260が車体側面から水平に出没自在に設けられているため、車体幅を広げることなく、搬送中の新聞巻取紙と残芯回収機構260の干渉を回避することができる。
【特許文献1】特許第3075995号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した無人搬送車200では、図3に示すように、昇降ユニット240の一方側に車体側面に沿って移動可能な残芯回収機構260が収容される空間を設ける必要があるため、無人搬送車200の駆動源であるバッテリ210をすべて、例えば、昇降ユニット240の他方側に配置せねばならず、その分、無人搬送車200内のスペース効率が悪化するという課題が指摘されていた。
【0005】
また、バッテリ210をすべて一箇所に纏めて配置するため、無人搬送車200の重量バランスが悪くなり無人搬送車200のキャスタ250が片側ばかり摩耗したり、無人搬送車200の走行が不安定になるなどの課題が指摘されていた。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、無人搬送車内のスペース効率を向上させるとともに、重量バランスの向上を図った無人搬送車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず、本請求項1に係る発明は、新聞巻取紙を保管場所と輪転機の設置場所との間で無人搬送する走行機構と、前記新聞巻取紙を垂直方向に昇降し前記輪転機の対峙する巻取紙保持アームに対して装着・回収する昇降ユニットと、使用済みの残芯を回収する昇降自在なリフタを備え車体側面から水平に出没自在に設けられた残芯回収機構とを具備した新聞巻取紙無人搬送車において、前記残芯回収機構が、車体側面に繰り出した時に前記車体側面に平行な向きに移動可能に構成されているとともに車体内に格納される時に所定の位置に固定され、車体内にバッテリを搭載する空間を確保することにより、前記課題を解決したものである。
【0008】
また、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る新聞巻取紙無人搬送車の構成に加えて、前記バッテリが、全搭載バッテリの半分であって、残余のバッテリが、前記昇降ユニットを挟んだ反対側に搭載されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の新聞巻取紙無人搬送車は、新聞巻取紙を保管場所と輪転機の設置場所との間で無人搬送する走行機構と、前記新聞巻取紙を垂直方向に昇降し前記輪転機の対峙する巻取紙保持アームに対して装着・回収する昇降ユニットと、使用済みの残芯を回収する昇降自在なリフタを備え車体側面から水平に出没自在に設けられた残芯回収機構とを具備していることによって、輪転機に対する新聞巻取紙の装着・回収作業及び残芯の回収作業が人手を介さず行うことができるため、新聞巻取紙の装着・回収及び残芯の回収時の作業負担が著しく軽減でき、加えて、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
【0010】
すなわち、本請求項1に係る新聞巻取紙無人搬送車によれば、残芯回収機構が、車体側面に繰り出した時に車体側面に平行な向きに移動可能に構成されているとともに車体内に格納される時に所定の位置に固定され、車体内にバッテリを搭載する空間を確保することにより、無人搬送車内のスペース効率が向上するため、無人搬送車の小型化が実現できる。
【0011】
また、本請求項2に係る新聞巻取紙無人搬送車によれば、請求項1に係る新聞巻取紙無人搬送車が奏する効果に加えて、バッテリが、昇降ユニットを挟んで半分ずつ分けて搭載されることによって、重量バランスが向上するため、無人搬送車の走行が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の新聞巻取紙無人搬送車は、新聞巻取紙を保管場所と輪転機の設置場所との間で無人搬送する走行機構と、前記新聞巻取紙を垂直方向に昇降し前記輪転機の対峙する巻取紙保持アームに対して装着・回収する昇降ユニットと、使用済みの残芯を回収する昇降自在なリフタを備え車体側面から水平に出没自在に設けられた残芯回収機構とを具備するとともに、この残芯回収機構が、車体側面に繰り出した時に車体側面に平行な向きに移動可能に構成されているとともに車体内に格納される時に所定の位置に固定され、車体内にバッテリを搭載する空間を確保するものであって、車体内のスペース効率を向上させるとともに、重量バランスの向上が図られるものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0013】
本発明の一実施例を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本発明の無人搬送車の正面図であり、図2は、図1に示した無人搬送車の上面図である。
【0014】
本発明の無人搬送装置100は、図1及び図2に示すように、新聞巻取紙を保管場所と輪転機の設置場所との間を無人搬送する走行機構120と、この走行機構120に取り付けられ新聞巻取紙を垂直方向に昇降し輪転機の巻取紙保持アームに対して装着・回収する昇降ユニット140と、使用済みの残芯Cを回収する昇降自在なリフタ166を備え車体側面から水平に出没自在に設けられた残芯回収機構160とを具備している。
【0015】
そして、昇降ユニット140は、走行路面に対して平行に並設された2本の昇降フレーム141と、この昇降フレーム141を昇降駆動する昇降手段143と、2本の昇降フレーム141の間隔を所定間隔に維持し、輪転機の巻取紙保持アームとの接触を回避する円弧状の繋ぎ部材142と、2本の昇降フレーム141の上面にそれぞれ形成されたリニアガイド144と、このリニアガイド144を跨ぎスライド移動する移動テーブル145を備えている。昇降手段143の機構としては、特に限定されることはないが、本実施例においては、一対のX字状のパンタアームを有するパンタグラフ機構を用いている。なお、図1において参照符号Pを付した円弧は、使用前の径の大きな新聞巻取紙の一部を示している。また、参照符号150を付した部材は、キャスタを示しており、参照符号170を付した部材は、駆動とステアリングを兼ねた駆動ステアリング輪である。
【0016】
また、残芯回収機構160は、図1に示すように、残芯Cを下方から受け止める上側が開いた残芯受台165と、この残芯受台165を昇降駆動するパンタグラフ機構からなるリフタ166を備えている。そして、残芯受台165は、回収する残芯が短い場合に輪転機の巻取紙保持アームに右揃えで保持されている場合であっても左揃えで保持されている場合であっても残芯を安定した状態で確実に回収できるように、図2に矢印で示したように、無人搬送車100の車体側面に沿って移動可能に設置されている。
【0017】
そして、残芯回収機構160が残芯Cの回収を終え、車体内に格納されるときには、残芯受台165及びリフタ166は、図2に示すように、車体の中央線Oから片側にLだけずれた位置に固定される。そのため、車体内の残芯受台165とリフタ166に隣接した場所に空間Rが確保される。この空間Rに、無人搬送車100の駆動源となる4つあるバッテリ110のうち、2つが搭載される。なお、残りの2つのバッテリ110は、昇降ユニット140を挟んだ反対側に搭載されている。このように配置することにより、無人搬送車100内のスペース効率が向上するとともに、重量バランスが向上し、無人搬送車100の小型化及び走行の安定性が向上するなど、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の無人搬送車の側面図。
【図2】本発明の無人搬送車の上面図。
【図3】従来の無人搬送車の上面図。
【符号の説明】
【0019】
100 ・・・ 無人搬送車
120 ・・・ 走行機構
140 ・・・ 昇降ユニット
141 ・・・ 昇降フレーム
142 ・・・ 繋ぎ部材
143 ・・・ 昇降手段
144 ・・・ リニアガイド
145 ・・・ 移動テーブル
150 ・・・ キャスタ
160 ・・・ 残芯回収機構
165 ・・・ 残芯受台
166 ・・・ リフタ
170 ・・・ 駆動ステアリング輪
C ・・・ 残芯
P ・・・ 新聞巻取紙
R ・・・ 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
新聞巻取紙を保管場所と輪転機の設置場所との間で無人搬送する走行機構と、前記新聞巻取紙を垂直方向に昇降し前記輪転機の対峙する巻取紙保持アームに対して装着・回収する昇降ユニットと、使用済みの残芯を回収する昇降自在なリフタを備え車体側面から水平に出没自在に設けられた残芯回収機構とを具備した新聞巻取紙無人搬送車において、
前記残芯回収機構が、車体側面に繰り出した時に前記車体側面に平行な向きに移動可能に構成されているとともに車体内に格納される時に所定の位置に固定され、車体内にバッテリを搭載する空間を確保することを特徴とする新聞巻取紙無人搬送車。
【請求項2】
前記バッテリが、全搭載バッテリの半分であって、残余のバッテリが、前記昇降ユニットを挟んだ反対側に搭載されていることを特徴とする請求項1記載の新聞巻取紙無人搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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