説明

新規なマーキング及びそのマーキングを製造する方法

本発明は、エンボスプレートの表面と基板を接触させることによって、基板に圧力の影響下に置くことにより基板において視覚的に識別可能なパターンを形成する方法に関するものである。エンボスプレートと基板の接触領域においてワニスコーティングされたインプリントされた紙又は板紙シートがエンボス加工のために基板として用いられる。本発明はまた、上記方法を用いて製造される物品に関するものである。その方法は、例えば、ボール紙、インプリント、及び視覚的に魅力的で特異なマーキングを形成するためのワニス層を有する一般のパッケージング材料について適用可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品のマーキングに関する。特に、本発明は、紙シート及び板紙シートにおける視覚的に検出可能なマーキング及びそのような物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セキュリティマーキングは、一般に、それらの信憑性又は起源を表すように物品に組み込まれる。通常、マーキングは、物品のパッケージに適用される。マーキングは、裸眼で視認可能である、またはそのマーキングの検出は特別な機器を必要とする。従来の視認可能なセキュリティマーキングの例は透かしであり、その透かしは紙の表面に形成された印象パターンを有する。エンベロープ及びパッケージは、物品の完全性を確実にするようにシール及びタブを備えている。通帳はしばしば、偽造することを複雑化するように、ホログラムパターン、ホログラフィックセキュリティスレッド及び類似するマークを備えている。それらのセキュリティマーキングはまた、コンピュータプログラム、電子装置及び貴重品のケーシングのように、プロダクトパッケージに組み入れられてきた。
【0003】
近年、回折パターン及びホログラフィックパターンを有するセキュリティマーキングが益々、注目されてきている。ホログラムの外観は視覚的に印象的であり、ホログラムの再生は、特別な装置を必要とするという意味で難しいものである。
【0004】
従来、上記の種類のマーキングは、個別のラベルとしてパッケージに付けられている。それ故、ホログラムは、個別のプラスチックに基づくフィルム又はラベルに関する熱間エンボス技術を用いて製造されてきている。近年、ホログラムラベルにより与えられるセキュリティのレベルは、莫大な数のアジアで製造されている偽造物品及びホログラフィックラベルにより低下している。
【0005】
マーキングブランク及びパッケージングブランクの偽造を更に複雑化するように、パッケージング素材の表面に直接、組み入れることが当該技術分野において提案されてきた。そのような実施形態においては、ホログラフィックパターンが、エンボスロールを用いて素材の表面における特定のホログラフィック受け入れ層にエンボス加工される。ファイバーに基づく物品のエンボス加工に関連する問題点には、例えば、物品の表面にエンボス加工用ツールを押し付けること、エンボス加工用ツールの動きを妨げること、視覚的に低反射レベルにあること、物品の高価なエンボス加工装置又はコーティング材料、エンボス加工温度及び圧力のようなエンボス加工条件の厳しい要求、ホログラフィック層の平坦化のためのホログラフィック要素の退色、エンボス加工前に必要な多くの前処理段階及び製造ラインの低生産性がある。更に、特定のコーティングにおいては、それらが食品又は医薬品用パッケージにおいて用いられる前に、米国の食品医薬品局(FDA)又は独国のBundersinstitut fur Risikobewertung(BFR)等の当局の許可を得る必要がある。上で列挙した問題点は、しばしば、相互関連し、即ち、一問題点の解決は他の問題点の解決をもたらす可能性がある。
【0006】
上記の問題点に対処するように試みる多くの方法が研究されてきた。下記において、エンボス可能ホログラフィックマーキングに関連する技術について、簡単に概観する。
【0007】
国際公開第03/002330号パンフレットにおいては、表面の印刷可能性及びエンボス加工可能性を容易にするようにプラスチックの顔料粒子を有するコーティングを有する紙フィルム又はプラスチックフィルムにホログラムをマーキングするための方法について開示されている。
【0008】
米国特許出願公開第2004/0218238号明細書においては、エンボス加工により印刷される表面においてホログラフィック画像を生成するための方法について開示されている。印刷されるロール又はシートは透明なホログラフィックコーティングをコーティングされる。その特許文献においては、ロール材料においてホログラムが形成されるように加熱ローリングパネルエンボスユニットを用いることを提案している。ロールエンボス加工フェーズの後、基材は、更なる使用のために個別のダイカッタにより切断される。その特許文献においては、特定のエンボス加工機械がシートの形態にある材料をエンボス加工するために用いられることが提案されている。しかしながら、そのような機械に関する更なる教示は与えられていない。
【0009】
米国特許第5,164,227号明細書においては、エンボス加工による紙シート又はプラスチックシートのデコレーションのための方法について開示されている。基板は、押し出し成形又はコーティングにより熱可塑性材料を備えている。エンボス加工の前に、そのコーティングは、軟らかくなり、シーティングにおいてエンボス加工装置のパターンの再現可能性を確実にするように加熱される。その特許文献において記載されている一次エンボス加工装置は、エンボス加工用ロール、ニップロール及び任意の取り外しロールを有する。
【0010】
米国特許出願公開第2003/0227099号明細書においては、熱可塑性繊維シート又は高分子フィルムにおいて虹画像及び/又はホログラフィック画像を生成するための他の方法について開示されている。その方法においては、回折格子が、エンボス加工シムとして高分子フィルムを用いることにより実施される。エンボス加工されるシート又はフィルムは、エンボス加工/処理の前に加熱される。
【0011】
米国特許出願公開第2004/0247829号明細書においては、顔料コーティング層におけるホログラフィック画像をエンボス加工することが提案されている。
【0012】
米国特許第6,749,925号明細書においては、高分子コーティングにおける巨視的レンズ状構造の製造について開示されている。
【0013】
上記の異なるセキュリティマーキング技術及びデコレーション技術においては、エンボス加工される表面についての、又はエンボス処理についての高度の要求が設定される。ハイグレードの物品パッケージ及び低価格の日用品、動きの速い消費財(FMCG)又は食料品のパッケージにおいてコストパフォーマンスが高いように適用可能である方法は提案されていない。マーキングを適用するコストは、物品及びそのパッケージのコストに比べて低い必要がある。更に、上記のエンボス加工技術は、視覚的に完全な及び/又は機械的に耐久性のあるデコレーションを得るように、エンボス加工面の付加的処理を必要とする。
【特許文献1】国際公開第03/002330号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0218238号明細書
【特許文献3】米国特許第5,164,227号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0227099号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/02077892号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0247829号明細書
【特許文献7】米国特許第6,749,925号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、基板において視認可能なマーキングを与える、簡単で、コストパフォーマンスの高い技術を提供することである。
【0015】
特に、本発明の目的は、基板における視覚的に識別可能なパターンを形成する新規な方法を提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、視認可能な識別可能パターンを有する紙シート又は板紙シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
既知の物品及び方法に対する本発明の有利点と共に、上記の及び他の目的は、同時提出の特許請求の範囲及び以下の詳細説明のように、本発明により達成される。
【0018】
本発明の基本概念は、フラットベッドエンボス加工によりワニスシートにおいて視覚的に識別可能なパターンを適用することである。特に、本発明は、適用されるワニス層を有するインプリントシートに適用される回折パターンに導く。
【0019】
本発明者は、驚いたことには、紙及び板紙工業において広く用いられている従来のラッカー及びワニスが、可視光の波長において回折効果をもたらすように、十分に高い分解能及び品質でエンボス可能であることを見出した。典型的には、そのようなワニスは、紙又は板紙の機械的、化学的又は物理的性質、例えば、耐摩耗性及び耐湿性、又は表面光沢を改善するために用いられる。更に、本発明者は、ワニスが形成された表面をエンボス加工することにより、新規な光沢マーキングが得られることを見出した。本発明者はまた、シート又はワニス層の予備加熱なしでさえ、フラットベッドエンボス加工により、マーキングが形成されることを見出した。特に、インプリントされた表面に適用されたワニス層において形成される回折パターンは、特定の種類の装飾効果を現すことが判明した。
【0020】
特に、本発明にしたがった方法は、請求項1の特徴の部分に記載されている記載により特徴付けられる。
【0021】
物品は、請求項16の特徴部分に記載されている記載により主に、特徴付けられる。
【0022】
多くの有利点が、本発明により得られる。本発明の方法は、紙工業において知られていて、広く用いられている、パッケージング板紙のような通常の基板に適用される。エンボス加工がワニス層に適用されるときには、シーティングの特徴に不利に影響を与える又は高価になる特殊なコーティング及び顔料は必要ない。本発明は、例えば、パッケージの仕上げ層として従来、用いられているワニスを用いて実行される。そのようなワニスは、好適な特徴、例えば、光沢、硬さ、鮮映性及び安全性等の特徴を有し、それらの特徴は、消費者及び当局により認められている。ワニスをコーティングすることはまた、非常に経済的なコーティング方法である。本発明の方法を用いると、容易に識別可能且つ視認可能なパターンが、高価な表面の金属化を伴うことなく、シートに適用されることがまた、できる。知られているように、ワニスがコーティングされた表面はまた、高いスクラッチ耐性、摩耗耐性及び湿気耐性があり、又は、スクラッチ、摩耗及び湿気の影響さえ、受けない。
【0023】
エンボス加工したシートは、例えば、物品の信憑性を保証するための安全性マーキングを物品にレンダリングするように、又は、パッケージの外側の装飾画像をグラフィカルに豊かにするように、パッケージング業界で用いられることが可能である。適用される範囲の例には、日用品、たばこ、ディジタル媒体、医薬品、化粧品、家庭用電化製品、動きの速い消費財(FMCG)又は食料品がある。
【0024】
本発明の方法が、ワニスをコーティングする前にインプリントされる表面に適用されるとき、複数の有利点が得られる。例えば、パッケージへのプリントは、パッケージの視覚的外観のための基礎を成す。印刷された表面にワニスをコーティングすることは既知の方法である。ワニスをコーティングした物品をエンボス加工することにより、従来技術に存在する問題点、即ち、ホログラフィックコーティングについての必要条件又は個別の段階において基板をインプリントする前にエンボス加工を実行するための必要条件の要求、を回避することができる。セキュリティマーキングが、カッティングの前に又はカッティング中においてさえ、変換処理の最後の段階又は最後から2番目の段階中に、表面に対して適用されることができるということは、例えば、パッケージコンバータ、物品パッケージャ又はブランドオーナの立場からかなり有利である。インプリントが高分解能のエンボス加工に適用される場合、装飾効果が低下することは殆ど避けられない。エンボス加工されたパターンが更に、印刷の特徴と特定の幾何学的関係を有して位置付けられる場合、物品の外観の付加的改善を得ることができる。
【0025】
一実施形態にしたがって、フラットベッドエンボス加工が、シートが切断される同じ処理フェーズにおいて実行される。物品のライン、特に、用いられる型抜き器は、上記の機能を実行するように比較的容易に適合されることが可能である。それ故、この実施形態は、既知の変換機構に対して僅かな改善のみを実施することによる僅かなコストに影響するだけである。従来技術の方法に比較して、本発明にしたがったエンボス加工は、処理段階を減少して行われることが可能である。分離した及び付加的な処理フェーズを回避することにより、ボトルネックの条件が回避される。
【0026】
一実施形態にしたがって、エンボスシム、即ち、エンボスプレートは、滑らかな領域及び回折パターンの両方を有する。そのプレートがワニス層に対して押圧されるとき、回折パターンはシートの選択された領域において複製され、滑らかな領域はシートの他の領域の光沢を増加させる。このことは、新しい種類の視覚的効果をもたらし、そのことは、エンボス加工された物品の外観を改善し、偽造が更に困難な物品のマーキングに寄与する。マイクロスケールパターンが滑らかな領域の内側に位置付けられる場合、実際の回折パターンは目を引く。この手段により、従来のマーキングに比べて外観が特異であるマーキングを得ることが可能である。
【0027】
他の実施形態にしたがって、空圧分離器が、プレート及びシートを密着した後に、シートからエンボスプレートを分離するために用いられる。
【0028】
本発明の実施形態により、ロールエンボス器の使用に関連する幾つかの問題点を解決することができる。ロールエンボス器は、本質的に繰り返されるべきマーキングを必要とし、その周期は、ローラーの円周により規定される。更に、エンボスロールの製造は、エンボスプレートの製造に比べてかなり高価であり、エンボス加工を変えるためには、全部のロールを変えなければならない。それ故、エンボスロールは、多くのアプリケーションに十分に適合せず、その場合、エンボス加工されるシートのエンボス特徴か又はサイズのどちらかが頻繁は変更を受けることになる。このことはしばしば、例えば、パッケージング産業、特に、複数の物品を製造し、可変パッケージサイズを有する可能性が高い、及び2つ以上の物品について同じ梱包ラインを用いる工場において然りである。
【0029】
上記の実施形態を適切に組み合わせることにより、
− 物品の信憑性を確保し、
− 一般のパッケージング材料に適用することができ、
− 信憑性を確保するパッケージング処理の処理段階数を減少し、
− 物品に特異な外観を与え、そして
− あらゆる出力物品ライン及び小さい工場に適用可能である
方法が得られる。
【0030】
本発明の更なる有利点については、以下の発明の詳細な説明に記載している。
【0031】
本明細書においては、本発明及び本発明の実施形態について、パッケージ材料の製造、パッケージ変換及び物品パッケージングに関連して説明している。しかしながら、当業者は、それらの実施形態は、多くの他の目的、例えば、雑誌製造、はがき、封筒、テレホンカード、名刺、パンフレット、データシート、レコード、認可証及び卒業証書等にまた、適用可能である。原理的には、全てのワニスがコーティングされたエンボス可能な紙及び板紙オブジェクトは、上記方法を適用することができる。
【0032】
用語“板紙”は広い意味で用いられ、また、単語“ボール紙”、“カートン用板紙”、“厚紙”及び“ 繊維板”により特徴付けられる板状紙を含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
上記のように、本発明は、新規の種類の繊維シート、代表的には、紙又は板紙シートであって、2つの対向する表面を有するベース層と、前記表面の一の少なくとも一部に備えられている材料の少なくとも1つの層であって、その層は視覚的に識別可能なパターンを示すワニス層を有する、層と、を有する、紙又は板紙シートを備えている。
【0034】
一実施形態においては、視覚的に識別可能なパターンは回折パターンを有する。そのようなパターンは、典型的には、複数の機械的変形を有し、その機械的変形は、可視光の範囲内の波長を有する特定の光において、光の入射波の反射時に回折パターンを生成する。そのようなパターンは、存在する光源に対する観測角度に依存して変化する視覚的効果をもたらす。そのパターンは、彫り込み、即ち、ワニスの表面からワニス層の方に広がっているピット、及び/又は、周りの表面レベルから離れるにつれてワニス層の表面から広がっている凸部の形に形成される。ピット及び凸部はまた、可変の深さ、幅及び高さのそれぞれを有することが可能である。一実施形態においては、回折パターンはホログラフィ画像化パターン(ホログラム)を有し、そのパターンは、ビューアに対して三次元の印象を与える。
【0035】
他の実施形態においては、視覚的に識別可能なパターンは光沢が改善された平滑な領域を有する。これは、平滑な又は部分的に平滑なエンボスプレートを用いることにより得られる。驚いたことには、例えば、物品パッケージにおいて用いられる通常のワニスの光沢は、ワニスの層の表面が平坦で平滑であるエンボスプレートによる圧力の影響下に置かれることにより改善されることが可能である。それ故、本発明により、ワニスがコーティングされた表面は、平面状プレートと共に圧力を掛けることにより局所的に改善されることが可能である。
【0036】
一実施形態においては、視覚的に識別可能なパターンは、回折パターン及び光沢改善領域を有する。この実施形態においては、エンボスプレートは、微細加工領域に加えて、平滑な領域を有する。代替として、平滑な表面又は微細加工の表面を有する2つ又はそれ以上の異なるエンボスプレートを用いることが可能である。
【0037】
フラットベッドエンボス加工が、少なくとも1つのエンボスプレートを有するエンボス手段を用いて行われる。そのエンボスプレートの作用面は、例えば、所望のエンボスの微細加工されたネガを有する金属を有することが可能である。
【0038】
基板は紙シート又は板紙シートを有する。そのシートは、何れかの形態、例えば、書き込み又は印刷のための矩形状シート、パッケージのための平面状シート、又は、折り畳み式又は部分的に折り畳み式のパッケージの形態をとることが可能である。そのシートはまた、何れかの大きさを有することが可能である。それ故、本発明の適用範囲は、スタンプのマーキングから大きいオブジェクトの通い箱のマーキングまで広汎に亘っている。基板はまた、例えば、コンパクトディスクのケースのカバーページのような特定のアイテムを有することが可能である。特に、大量生産の物品に関係するときに、製造が容易であり、偽造が困難であるように、本明細書に開示されている新規なマーキングは、海賊行為に対して有効に保護し、容易な不法行為を見分けることができる。
【0039】
そのシートはまた、紙、板紙、コーティング、インプリント及びワニス、又はそれらの何れかの組み合わせの複数層構造を有することが可能である。そのシートはまた、微細エンボス、例えば、チョコレートのパッケージ及び化粧品のパッケージに共通の微細エンボスを有することが可能である。更に、そのシートは、ワニスのコーティングに先行して、例えば、アルミニウム又はポリマー等の何れかの種類の箔で装飾されることが可能である。典型的な基板の実施例は、基板シートの少なくとも一部において、インプリント層及びワニス層をコーティングされた板紙である。
【0040】
上記の実施形態は、添付図に示されている。
【0041】
図1乃至6は、任意スケールでエンボス加工されたシートの幾つかの例示としての実施形態を示している。それらの図を参照するに、板紙の紙のベース層10、20、30、40、50及び60は、化学的、化学的機械的又は機械的パルプ、リサイクルされる繊維、若しくはそれらの混合物から成ることが可能である。代表的な板紙物品は、例えば、厚紙、ボール紙、固体漂白及び非漂白厚紙、液体パッケージング用厚紙、及びボール紙のライナー等のカートン用板紙である。更に、雑誌及びパンフレットの表紙で用いられる高品質のワニスをコーティングされた紙は、本発明の方法についての有望な基板の群を成す。
【0042】
基板の秤量は厚紙の範囲内にあることが可能である。基本的には、本発明の方法は、重さが30乃至80g/mである薄い紙に適用されることが可能であり、通常の紙の重さは、80乃至120g/mの範囲内にあり、高品質のコーティングされた紙については、120乃至300g/mの範囲内にあり、板紙については120乃至500g/m、又は更には、200乃至300g/mの範囲内にある。全ての物品のクラスにおいて、誰でも、適切な用途領域を容易に見つけることができる。例えば、板紙基板は、パッケージの外側カバリングについて適切であるが、マーキングは、パッケージの内側層に、例えば、チョコレートの箱のような食料品の挿入紙にも適用されることが可能である。そのような層において、マーキングは、主に、装飾的及び視覚的に魅力的である、即ち、物品に対する付加価値及び特異性を与える特徴としての役割を果たす。
【0043】
基板は、ワニス12、22、32、42、52及び62が少なくとも一部にコーティングされている。ワニスは、長油系ワニス、中油系ワニス又は短油系ワニス、水性エマルジョンワニス又は合成ワニス若しくはラッカーであることが可能である。好適には、ワニスはポリマーベースである。適切なワニス材料は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニル塩化物)、樹脂及びセルロースエステルである。ワニスはまた、セルロース誘導体、例えば、セルロースアセテート又はニトロセルロース等のセルロースエーテル、又は、メチルセルロース又はベンジルセルロースなどのセルロースエーテルであることが可能である。ワニスは、水又は溶剤分散性であることが可能であり、及び/又は、紫外線を用いて乾燥又は硬化させることが可能である。硬化又は乾燥されたワニスは無光沢仕上げであることが可能であり、又は中程度の又は高度の光沢を有することが可能である。無色のワニスに加えてまた、色付けされたワニス層を有する基板がまた、本発明に供せられることが可能である。
【0044】
ワニスは、基板の製造フェーズにおけるオンラインコーティング技術により適用されることが可能であり、又は、オフセットコーティング又はスクリーン印刷により適用されることが可能である。オンラインのワニスコーティングは、特に、大きい印刷されていない基板について適切である一方、オフセット方法は、オーバープリントワニスについて、例えば、パッケージング目的で用いられることが可能である。
【0045】
ワニスは、シートの全体の領域に適用されることが可能であり、又は、例えば、パッケージ又はエンベロープの場合には、物品の不連続な領域のみにワニスをコーティングされることが可能である。それ故、パッケージの一部の領域は、ワニスがないままの状態であることが可能である。それらの領域は、例えば、サイドシーム及びジョイントを有することが可能であり、それらの領域は、同じシートの他の部分に、他のシートに又は他のオブジェクトにその領域を結合するために、サイズ又は接着剤のような結合物質の影響下に置かれることが可能である。ワニスコーティングは、典型的には、パッケージ印刷過程における最終の印刷段階である。更に、オフラインのワニスコーティング用機械が、例えば、ワニスの厚い層を得るように用いられることが可能である。異なる種類のワニス及びサイドシーム構成の適用方法がパッケージング産業において知られている。
【0046】
ワニスコーティングされた領域におけるワニス12、22、32、42、52の秤量は、例えば、0.1乃至15g/mであり、特に、2乃至5g/mであり、更に特に、訳3.5g/mである。視覚的に良好な結果は、深さが約0.2μm(図1にhで表されている)のみであるエンボスにより達成され、その場合、ワニス層の十分な量は、ポリスチレンのワニスについては、約0.1g/mのみである。厚いワニス層12、22、32、42、52を用いることにより、マーキングの外観は、ベース材料の及び可能性の高いインプリントの表面から遠ざかるにつれて、影響されることが可能である。勿論、より深く掘られたパターンを有するエンボスプレートが用いられることがまた、可能である。
【0047】
ワニスは、代表的には、板紙の紙、特に、その表面を保護するために、そしてその光沢を改善するように用いられる。特に、ワニスは、紙又は板紙における印刷14、24、34、44、54及び64を保護するために用いられる。本発明の一実施形態においては、基板は、ワニスコーティング及びエンボス加工に先行してインプリントされる。回折パターンの視覚的外観は印象を引き出し、その回折パターンは、基板の直上にあるように見える。印刷されていない表面においては、外観が基板の色に依存する可変のマーキングを形成することが可能である。透明なワニスに加えて、不透明の又は半透明のワニスが、本発明の範囲内で最上部コーティング材料として用いられることが可能である。
【0048】
紙又は板紙はまた、複数回コーティングされることが可能である。それ自体、既知である、付加コーティイング層26、36、38、46、48、56及び66は、紙又は板紙の前側又は後側に適用されることが可能であり、それらのコーティング層は、印刷前又は後に適用されることが可能である。
【0049】
一実施形態にしたがって、エンボス加工は回折パターンを有する。そのようなエンボス加工の実施例が図11に示されている。回折パターンは、深さ又は高さhのそれぞれが、例えば、0.05乃至5μmであり、典型的には、0.1乃至1μmの範囲内にある溝17及びリッジ15、即ち、凹部及び凸部が主に形成されたマイクロスケール構造を有する。ワニスの非常に厚い層が用いられる場合、その構造の深さは、5μm以上でさえある、典型的には、15μm以下であることが可能である。そのような構成は、特定の視覚的外観を達成するように用いられることが可能である。そのパターンはまた、変化する深さ又は高さプロファイルの構造を有することが可能であり、それにより、視覚的に更に多様なエンボスを得ることができる。それらのパターンは何れかの形状を有することが可能である。それらのパターンは、例えば、ストライプ、格子、ドット、ドットアレイ、曲線、円形、線のセグメントの何れかの組み合わせにより形成される形状又はテキストを有する。彫り込みは、添付図におけるように鮮鋭なエッジが形成される必要はないが、それらの彫り込みはまた、円形形状又はより不規則な形状、例えば、艶消しを得るように、正弦パターン又はギザギザ形状を有することが可能である。
【0050】
他の実施形態にしたがって、回折パターンはホログラムを構成する。
【0051】
一実施形態にしたがって、回折パターンは、視野角に応じて全く異なる視覚データを有する。例示として、マーキングは、左斜め方向から見るときにメーカーのロゴを、右斜めから見るときにメーカーの名前を、下斜めから見るときに物品のロゴを有することが可能である。エンボス加工は、それ故、互いに独立した情報の多くの視覚的に識別可能なレベルを有することが可能である(異なる角度からの同じオブジェクトに関する情報を得る従来の三次元ホログラムを参照されたい)。
【0052】
可視光の波長は約400乃至700nmである。光の回折は、光が同程度の大きさのオーダーの寸法を有するオブジェクト内に入るとき、観測される干渉現象である。入来する波面の異なる波長成分は異なる角度で干渉し、それにより、観測角度及び用いられる光のスペクトルに応じて、虹のような印象が得られる。ホログラムにおいては、この現象は、回折パターンに三次元の視覚情報を記憶するように利用される。格子状表面からの回折の基本法則については、次式のようなブラッグの法則により与えられ、
2Dsinθ=mλ (1)
ここで、Dは格子におけるスリットの間隔であり、θは伝搬波面と表面との間の角度であり、mはスペクトル次数であり、λは光の波長である。
【0053】
隣接する溝17、37、67及びリッジ15、35、65の間隔、即ち、エンボスの分解能は、好適には、可視光の波長と略同じオーダーの高さである。ブラッグの法則における整数ファクタmのために、回折はまた、その間隔より大きい間隔を有する表面において起こる。間隔Dについての下限は、しかしながら、通常は、ワニスの物理的特徴により影響される。
【0054】
例えば、ポリスチレンに基づくワニスは、0.4、0.8、1.6、2.4、3.2、6.4及び12.8μmの周期D(即ち、溝と隣接するリッジとの間の距離dはそれぞれ、0.2、0.4、0.8、1.6、3.2及び6.4μm)を有する線形格子によりエンボス加工されている。この実験の例示としての写真を図11に示す。周期1.6、2.4、3.2及び6.4μmを有する格子は最も鮮明な回折をもたらすことが判明した。他の格子はまた、くすんだ領域として検出され、僅かな弱い回折が、又は実際には回折しないことが観測された。ポリスチレンにおける微細な格子の複製は明らかに不十分である。それ故、ポリスチレンの場合における実際的な回折領域は、その構造の周期Dの意味から、約1乃至10μm、少なくとも約1.6乃至6.4μmであることが判明した。ブラッグの法則(式1)にしたがって、格子の周期を制御することにより、格子から回折される色スペクトルの周期(即ち、特定の色が強め合うように干渉する角度において)を制御することができる。しかしながら、実際の回折領域又は可視光の外側の分解能を有する構造が、エンボス加工に多様性をもたらすように用いられることが可能である。本明細書においては、主に、規則的な線形格子に焦点を当てているが、その所定の原理は、ここでは、ホログラムのようなマイクロ構造の全ての種類に適用することができる。更に、上記の距離の領域は、ポリスチレンに基づくワニス以外のものにおけるエンボス加工について有用であるとみなされるものである。
【0055】
一実施形態にしたがって、回折パターンにおける溝の分離は、0.1μm以上、例えば、0.5乃至15μm、特に、0.5乃至8μm、典型的には、0.5乃至5μmである。
【0056】
図7乃至10は、本発明の範囲内のエンボスプレートの4つの異なる実施例を示している。一実施形態にしたがって(図5及び9を参照されたい)、シムの表面90、及び、それ故、エンボス59は、完全に平坦である。滑らかな領域の目的は、シートの一部の領域におけるワニス52の光沢を改善することにある。滑らかな領域の光沢改善特性は、本出願者が実行したエンボス加工の実験の予期せぬ結果をもたらした。これに関連して、用語“滑らかな領域”とは、意図的に彫り込まれていない領域のことをいう。滑らかな領域は、例えば、研磨、研削又はコーティングにより滑らかにされることが可能である。滑らかな領域はまた、電解シム生成過程の副産物であることが可能である。滑らかな領域の粗さは、好適には、ワニスの表面の初期の粗さより小さく、典型的には、ISO8791−4規格にしたがって、1乃至10μm(PPS−109)である。
【0057】
一部の実施形態(図6、7及び10を参照されたい)においては、エンボスプレートは、微細彫り込み領域72、102、及び微細彫り込みがなされていない滑らかな領域70、100、104の両方を有する。“微細彫り込み”及び“微細加工”とは、約0.1乃至10μmの範囲内の最小寸法を有する機械的変形を有する領域をいう。
【0058】
ワニスがコーティングされた表面62の光沢は、魅力的な方式で回折パターン65、67を強調するように、そのパターンに近接して改善されることが可能である。この種類のエンボスを示す写真を図12に示し、その図において、回折エンボスは、矩形状の光沢が改善された領域により囲まれている。光沢が改善された領域の境界における凹みは、実験で用いた大きいエンボス加工圧力によるものである。しかしながら、匹敵する光沢の改善がまた、小さいエンボス加工圧力を用いることにより得られる。微細加工されたパターンを囲む光沢改善ゾーンの領域は、例えば、少なくとも10%、そして微細加工ゾーンの領域のみより大きい、最大1000%であることが可能である。
【0059】
改善された光沢は、多くの方法で活かされることが可能である。第1に、改善された光沢は、既知の回折マーキングとは対照的に、マーキングを非常に特異なものにする。第2に、改善された光沢は、物品を更に偽造し難いものにするため、セキュリティの特徴としての役割を果たす。第3に、改善された光沢は、物品が視覚的により魅力的であるようにするように、マーキングのデザインについて新しい可能性をもたらす。第4に、光沢改善領域の指先の感触は、エンボス加工されていない領域の感触とは全く異なる。
【0060】
図13を参照するに、一実施形態にしたがって、エンボスシム、そして、それ故、それによりエンボス加工されたワニス層は、傾斜面、即ち、べべリング139を有する。即ち、上記の彫り込み及び滑らかな領域に代えて又はそれらに付加して、視覚的に検出可能なパターンが局所的に傾斜加工されることが可能である。シムの面(又は、ワニス層の表面)に対するべべリング139の角度は、例えば、0乃至90°、特に、20乃至70°であることが可能である。べべリング139の寸法は回折領域にあることが可能であり、又は、回折パターンの寸法より本質的に大きいことが可能である。それ故、回折は常に、僅かな角度で存在するが、べべリング139は、光を回折的に又は非回折的に反射するように用いられることが可能である。べべリング139は、例えば、回折パターンの輪郭を描くように、又は視野角依存性視覚的印象を生成するように用いられることが可能である。回折領域及び/又は光沢改善領域を組み合わせると、傾斜領域は、他の種類の特異なセキュリティ特徴又は装飾を生成するように用いられることが可能である。
【0061】
下記において、上記の視覚的に識別可能なパターンを生成する方法について、より詳細に開示されている。
【0062】
図7乃至10は、本発明の方法について適切なエンボスシム、即ち、エンボスプレートの実施例を示している。そのプレート又は少なくともその作用面は、好適には、金属により形成される。そのプレートは、好適には、潜在的な回折パターンのネガが、それ自体既知である方法によりそのプレートに微細加工されたものである。そのような方法には、例えば、機械的彫り込み、レーザ彫り込み、リソグラフィ法及び化学的エッチングがある。そのパターンは、どの種類のエンボス加工が行われるかに依存して、凸状のもの、凹状のもの又はそれらの混合を有することが可能である。エンボスプレートは、エンボス手段に取り付けられることが可能であり、そのエンボス手段は、必要な装置を有し、エンボス加工を実行するように自動化されている。
【0063】
一実施形態にしたがって、エンボスシム又は少なくともそのシムの作用面はニッケルから成る。ニッケルプレートの加工は容易であり、ニッケルプレートはまた、容易に微細加工され、高い表面滑らかさを備えることができる。そのプレートは、機械的処理方法により製造されることができるが、高い滑らかさの表面を得るように、エンボスプレートの表面層は、適切な基板における適切なニッケル前駆体から物理的又は化学的堆積方法により生成されることが可能である。そのような方法の例としては、PVP、CVD、ALD及びそれらの方法のプラズマ強化方法がある。他の任意のプレート材料には、例えば、アルミニウム、銀、鉄、動及び真鍮がある。
【0064】
エンボスシムはまた、例えば、スチールの厚い支持層と、ニッケル又は一部の他の適切な金属から成る薄い作用表面層とを有することが可能である。表面層は、適切な取り外し可能な取り付け手段又は接着剤により支持層に取り付けられる。作用表面のランド及び溝は、好適には、その金属層に好適に前加工される。任意に、シムの作用層は、用いられるワニスの硬さよりかなり硬い硬さを有するセラミック、複合材料又はプラスチックを有することが可能である。更に、エンボスプレートはまた、ダイヤモンドコーティングされることが可能である。
【0065】
基板においてエンボスプレートにおけるパターンのネガを複製するために、そのプレートは、基板のワニスコーティングされた表面に密着される必要がある。適切なコーティング圧力、即ち、エンボス圧力は、例えば、1乃至10000MPa、特に、5乃至3000MPa、典型的には、5乃至500MPaである。最適な圧力は、用いられる紙又は板紙の種類、即ち、その繊維素材及び構造、フィラー、厚さ及び圧縮特性に依存する。最適圧力はまた、例えば、用いられるワニスの種類、即ち、その材質、最初の光沢、表面粗さ、硬さ、表面張力及びエネルギー、並びに弾性特性に依存する。更に、その圧力は、材料、エンボスプレートの仕上げ、並びにそのプレートにおける彫り込みの大きさ及び分解能に依存する。エンボス圧力を調節することにより、エンボスプレートを基板から取り外すことが支援されることがまた、可能である。
【0066】
エンボスプレートの温度を変化させることによりまた、複製パターン及びエンボス処理の品質に影響を与えることが可能である。温度の選択における関連因子は、主に、上記のワニス及びエンボスプレートの特性である。そのプレートの表面温度は、0乃至150℃、典型的には、50乃至150℃、特に、50乃至85℃であることが可能である。その処理はまた、加熱を伴うことなく、即ち、15乃至25℃の室温で実行されることが可能であるが、エンボス加工の品質及びプレートと基板との分離性は、高いプレート温度65乃至75℃において最適であった。異なるワニスはその温度に対して異なるように挙動することがまた、予想される。即ち、他の実験においては、特に、かなり高い分解能のエンボスシム及び一部の従来のワニスが用いられるときに、85℃を超える温度、特に、100℃、150℃の温度の範囲まで、更には、最高200℃までの温度が、最良の結果を与えることが判明した。
【0067】
エンボスプレート及びワニスの接触時間はまた、エンボスに影響を与える。その接触時間は、数ミリ秒から数秒まで、典型的には、5乃至100msecの範囲内で変えることができる。
【0068】
一実施形態においては、エンボス加工は、硬くて壊れ難い表面に対して行われる。この操作において、シートの破壊について保護される必要がある。しかしながら、一部のアプリケーションにおいては、適切な軟らかいベッドに対してエンボス加工を施す必要がある。
【0069】
一実施形態にしたがって、エンボスプレート及びエンボス加工されたシートは、空圧手段により分離される。その分離は、例えば、空圧式打撃がそれらを分離するようにプレートとシートとの間に、空気又は何れかの他のガスの流れを導くことにより行われる。好適には、その流れは、シートが曲がらないようにエンボスプレートの近傍のシートに対して方向付けられる。シートの異なる側において多くの流れが存在することがまた、可能である。空圧式分離の取り外し打撃に加えて、冷却効果を有することがまた、可能である。これは、エンボスプレートが加熱される場合、及び熱がエンボス加工中にワニスに移動する場合に適用される。空気の短いパルスの間に、ワニス層の温度及び厚さ、装置、並びにパルスの温度及び大きさに応じて、エンボス加工されたパターンは10乃至20℃に冷却される。それ故、ワニスは硬化し、高温によるエンボス加工の退色は低減する。空圧手段は、エンボス加工手段の一部であることが可能であり、又は個別の空圧ユニットを構成することが可能である。エンボス加工手段及び空圧手段は、好適には、単独の制御ユニットにより制御される。分離手段はまた、機械的分離と組み合わせた空圧式分離を用いる装置を有することが可能であり、又は機械的分離のみを用いることが可能である。
【0070】
一実施形態においては、エンボス加工手段及び分離手段は、ダイ切断手段と組み合わされている。ダイ切断手段は、例えば、折り畳むためにシートを適切な形状に切断するために必要な装置を有する。そのような装置は、代表的なパッケージ変換ラインの最も重要な部分である。典型的には、印刷される及びワニスコーティングされるパッケージシートは、型抜きに供せられ、それにより、この特定の処理フェーズはまた、回折エンボスを製造するために適切である。ブランク、例えば、折り畳み式箱の形にシートを切断することに加えて、型抜きはまた、ブランクにおける折り畳み線(折り目)を形成するために用いられる。典型的な平坦なベッド型抜き器は、定規の集合が固定されている大きいプレートを有する。切断定規は鋭く、折り目付け定規は曲線的である。切断フェーズにおいて、その大きいプレートは、水平面においてそのシートに対して押圧される。この種類の型抜き器においては、エンボスプレートはまた、その大きいプレートに固定されることが可能である。力の特性、切断定規、折り目付定規及び基板に対して直接的なエンボスプレートは、プレート及び定規の相対的仰角により制御されることが可能である。このようにして、処理段階数は増加しない。多くの既存の型抜き機械が、組み合わされた型抜き器及びエンボス加工装置に変換可能であり、それ故、コストをかなり低く維持することが可能である。生産規模のエンボス加工機械の処理能力は、例えば、1分当たり500乃至10000シートであることが可能である。
【0071】
一実施形態にしたがって、エンボス加工は、フラットベッド型の刻印機械、恐らく、高温フォイル刻印機械を用いて実行される。しかしながら、エンボスを形成するためにはフォイルは必要ない。それ故、その機械は、ワニスコーティングされた基板のエンボス加工の必要性に最良に適合するように、その機械は修正されることが可能である。しかしながら、必要なエンボス加工力を得ることができる多くの他の機械が、エンボス加工において用いられることが可能である。
【0072】
実施例
DS Nordic社製のワニスW1639に基づくポリスチレンが、シートが供給されるオフセット印刷機械の最後における単独の層としてSimcote(255g/m2)及びNova X(345g/m2)がコーティングされた板紙に均一に分散された。この時点で、印刷され、ワニスがコーティングされた板紙は、透明で光沢のある外観を有する。
【0073】
その後、板紙の最上部のワニス層は、フラットベッドフォイル刻印機械(BOBST(型式:Autoplatine SP 1260−BM,J.Bohst & Fils S.A.(スイス国ローザンヌ市、1978年))を用いることにより水平方向に微細加工された。先ず、エンボスプレートは、一枚の正確に切断された両面テープを用いて、約7.0mmの厚さのマグネシウムに基づくプレートと結合された。その積層プレートは、その場合、特定の爪フックを用いて機枠内に取り付けられた。
【0074】
エンボスプレートは、周期0.80、1.60、2.40、3,20、6,40及び12.8μmを有する線形格子を用いることにより形成された。全ての場合における特徴の高さは0.19±0.01μmであった。
【0075】
実行速度は1000乃至2600シート/時間の範囲内で、機械温度は18乃至75℃の範囲内で、そして押圧力は0.01乃至5MHの範囲内で変えられた。エンボスプレートは、処理中、板紙の最上部においてワニスの層と直接接触するようになっていた。空圧分離器が、板紙の表面を冷却し、取り出し力を生成することにより、エンボスプレートからワニスが貼り付かないような処理で利用される。
【0076】
全部の試験されたワニスにおける成果は、板紙表面のワニス層における視覚的に検出可能な文字を有する。それらの文字は、板紙においてオフセット印刷された画像の上方に視覚的に現れ、それらの文字は、視覚的観測角度及び線形格子の周期に応じて、異なる光の波長(色)を反射する。更に、格子加工していない、即ち、微細加工していないエンボスプレートの素地部分は、ワニスをコーティングした表面における光沢スポット効果の枠になっていた。例示としての実験の写真を図11及び12に示している。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】ベース層を有し、インプリントされ、ワニス層がエンボス加工された紙又は板紙の断面を示す図である。
【図2】ベース層、コーティング層、インプリント及びエンボス処理されたワニス層を有する紙又は板紙の断面を示す図である。
【図3】後側コーティング、ベース層、最上部コーティング層、インプリント及びエンボス処理されたワニス層を有する紙又は板紙の断面を示す図である。
【図4】後側コーティング、第1ベース層、第2ベース層、コーティング層、インプリント及びエンボス処理されたワニス層を有する紙又は板紙の断面を示す図である。
【図5】ベース層、コーティング層、インプリント及びエンボス処理されたワニス層を有する紙又は板紙の断面を示す図である。
【図6】ベース層、コーティング層、インプリント、エンボス処理されたワニス層及び回折ワニス層を有する紙又は板紙の断面を示す図である。
【図7】滑らかで微細加工された領域を有するエンボスプレートの斜視図である。
【図8】微細加工された領域のみを有するエンボスプレートの斜視図である。
【図9】滑らかな領域のみを有するエンボスプレートの斜視図である。
【図10】微小な、滑らかで微細加工された領域及びを有するエンボスプレートの斜視図である。
【図11】ワニスコーティングされた板紙シートにおける回折エンボスを示す写真である。
【図12】ワニスコーティングされた板紙シートにおける回折エンボス及び周りの光沢が改善された領域を示す写真である。
【図13】ベース層、インプリント及び傾斜面を有するエンボス処理されたワニス層を有する紙又は板紙の断面を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板において回折パターンを生成するために微細加工された領域を備えたエンボスプレートの表面と前記基板を接触させることによって、前記基板を圧力の影響下に置くことにより前記基板において視覚的に識別可能なパターンを形成する方法であって、前記基板はインプリントされた紙シート又は板紙シートを有し、該紙シート又は板紙シートは、前記エンボスプレート及び前記基板の接触領域においてワニスがコーティングされている、方法であり、前記回折パターンに加えて、前記基板において光沢改善領域を形成するために滑らかな領域をまた、備えたエンボスプレートを用いることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ポリマーに基づくワニスをコーティングされた紙又は板紙を前記基板として用いる、ことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニル塩化物)、セルロースエステル、セルロースアセテート、ニトロセルロース、メチルセルロース又はベンジルセルロース等の等のセルロースエーテルの群から選択されるワニスを用いる、ことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法であって、ワニスがコーティングされた領域のワニスの秤量は0.1乃至15g/m2、特に、2乃至5g/m2である、ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法であって、前記基板としてコーティングされた紙シート又は板紙シートを用いる、ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法であって、前記回折パターンはホログラムを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法であって、前記微細加工された領域は、0.05乃至5μm、特に、0.1乃至1μmの深さの彫り込みを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法であって、前記微細加工された領域は、0.1乃至15μm、特に、0.1乃至8μm、典型的には、0.1乃至5μmの間隔の微細パターンを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法であって、表面温度が0乃至150℃、特に、50乃至80℃のエンボスプレートを用いる、ことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の方法であって、1乃至10000MPa、特に、5乃至3000MPaのエンボス圧力を用いる、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の方法であって、前記滑らかな領域は、前記ワニスに比べて小さい表面粗さを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の方法であって、同じ処理段階において型抜き及びエンボス処理を実行する、ことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の方法であって、前記基板を空圧打撃の影響下に置くことにより前記基板と前記エンボスプレートを更に分離する、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の方法であって、パッケージングブランクである紙シート又は板紙シートを前記基板として用いる、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
紙又は板紙シートであって:
2つの対向する基板を有するインプリントされたベースプレート;及び
前記基板の少なくとも一部において備えられている少なくとも1つの材料層であって、前記材料層は視覚的に識別可能な回折パターンを現すワニス層を有する、材料層;
の組み合わせを有する、紙又は板紙シートであり、
前記視覚的に識別可能な回折パターンは、前記回折パターに加えて、光沢改善領域を有する;
ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記ワニスはポリマーに基づく、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の紙又は板紙シートであって、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニル塩化物)、セルロースエステル、セルロースアセテート、ニトロセルロース、メチルセルロース又はベンジルセルロース等の等のセルロースエーテルの群から選択されるワニスを用いる、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項18】
請求項15乃至17の何れか一項に記載の紙又は板紙シートであって、前記ベース層は少なくとも1つのコーティング層を有する、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項19】
請求項15乃至18の何れか一項に記載の紙又は板紙シートであって、前記シートはパッケージングブランクを有する、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項20】
請求項15乃至19の何れか一項に記載の紙又は板紙シートであって、前記回折パターンはホログラムを有する、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項21】
請求項15乃至20の何れか一項に記載の紙又は板紙シートであって、前記回折パターンは、0.1乃至15μm、特に、0.1乃至8μm、典型的には、0.1乃至5μmの間隔を有する溝を有する、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項22】
請求項15乃至21の何れか一項に記載の紙又は板紙シートであって、前記回折パターンは、0.05乃至5μm、特に、0.1乃至1μmの溝を有する、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項23】
請求項15乃至22の何れか一項に記載の紙又は板紙シートであって、ワニス層の秤量は0.1乃至15g/m2、特に、2乃至5g/m2である、ことを特徴とする紙又は板紙シート。
【請求項24】
請求項15乃至23の何れか一項に記載の紙又は板紙シートであって、前記視覚的に識別可能なパターンはエンボスを有する、ことを特徴とする紙又は板紙シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2008−533314(P2008−533314A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500224(P2008−500224)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【国際出願番号】PCT/FI2006/000081
【国際公開番号】WO2006/095049
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(507221357)
【Fターム(参考)】