説明

新規なワクチン製剤

本発明は、水中油型エマルジョン、そのアジュバントとしての使用、及びこれを含んでもよい医薬品組成物、免疫原性組成物、又はワクチン組成物に関する。一実施形態では、水中油(O/W)型エマルジョンは、免疫原、鉱油、非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール、及び非イオン性親水性界面活性剤を含有する水溶液を含んでもよい。別の実施形態では、水中油(O/W)型エマルジョンは、免疫原、非イオン性親油性界面活性剤、鉱油、及び非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールを含有する水溶液を含んでもよい。本発明は、本発明のアジュバントを使用してワクチン組成物を作製する方法、そのようにして得られたワクチン組成物、及び使用方法も包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその内容全体が明確に本明細書に組み込まれている、2005年4月15日に出願した米国特許出願第11/107000号の優先権を主張するものである。
【0002】
参照による組込み
前述の出願と、そこに引用されており又は手続き中の全ての文書(「出願引用文書」)と、出願引用文書に引用されており又は参照される全ての文書と、本明細書に引用されており又は参照される全ての文書(「本明細書引用文書」)と、本明細書引用文書に引用されており又は参照される全ての文書とは、本明細書又は本明細書に参照により組み込まれた任意の文書に記述されている任意の製品に関する任意の製造業者による取扱い説明書、解説書、製品仕様書、及び製品情報シートと一緒に、参照により本明細書に組み込まれており、本発明の実施の際に用いることができる。
【0003】
本発明は、水中油型エマルジョン、アジュバントとしてのその使用、及びこれらを含む医薬品組成物、免疫組成物、又はワクチン組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
ワクチンにおけるアジュバントの使用は、周知である。アジュバントは、ワクチン免疫原と組み合わせたときに、ワクチン免疫原に対する免疫応答を高める化合物である。タンパク質、糖タンパク質、又はペプチドの免疫原性を促進させる戦略の中に、ワクチン免疫原の乳化がある(Nossal 1999, In: Fundamental Immunology. Paul(Ed.), Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, Pa.; Vogel and Powell, 1995, In: Vaccine Design. The Subunit and Adjuvant Approach. Powell and Newman (Eds.), Plenum Press, NY, N.Y. p.141)。ワクチン免疫原の免疫原性を改善する際に、アジュバントが果たす本質的な役割が理由となって、ワクチン製剤におけるアジュバントの使用が事実上広く普及してきた(Nossal, 1999, 前掲; Vogel and Powell, 1995, 前掲; これらの教示は、参照により本明細書に組み込まれている)。当技術分野で周知の従来のアジュバントは、その性質が多様である。従来のアジュバントは、例えば、水不溶性無機塩、リポソーム、ミセル、又はエマルジョンからなるものでよく、即ちFreundのアジュバントである。その他のアジュバントは、前掲のVogel and Powell, 1995に見出すことができる。アジュバントの作用のメカニズムは1つもないが、本質的な特徴とは、ワクチン免疫原に対する免疫応答を、ワクチン免疫原のみによって引き起こされる応答に比べて著しく高めることができることである(Nossal, 1999, 前掲; Vogel and Powell, 1995, 前掲)。この点に関し、いくつかのアジュバントは、液性免疫応答の増強でより効果的であり、その他のアジュバントは、細胞媒介性免疫応答の増大により効果的であり(Vogel and Powell, 1995, 前掲)、さらに別の群のアジュバントは、ワクチン抗原に対する液性及び細胞媒介性免疫応答の両方を増大させる(Vogel and Powell, 1995, 前掲)。
【0005】
一般に、ワクチン製剤で使用されるエマルジョンは、油、水溶液、及び界面活性剤の混合物を含む。いくつかのエマルジョンは、Span 80(登録商標)などの親油性界面活性剤、及びTween 80(登録商標)などの親水性界面活性剤を取り込んでいる。これらのエマルジョンは、イオン性界面活性剤の性質を有することで知られているレシチンやサポニンなどの化合物を含有してもよい。
【特許文献1】米国特許出願第11/107000号
【非特許文献1】Nossal 1999, In: Fundamental Immunology. Paul(Ed.), Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, Pa.
【非特許文献2】Vogel and Powell, 1995, In: Vaccine Design. The Subunit and Adjuvant Approach. Powell and Newman (Eds.), Plenum Press, NY, N.Y. p.141
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ワクチンアジュバントとして使用されるエマルジョンでは、特に保存中又は輸送中に、安定性の問題を認めることができる。免疫原の溶液又は懸濁液中に存在するリパーゼ又はエステラーゼの酵素活性は、エマルジョンの界面活性剤を加水分解することができ、アジュバントの安定性の不足をもたらすことができる。リパーゼ又はエステラーゼは、例えばウイルスの増殖に使用された細胞培養物から、又は細菌から得ることができる。これは、これらの組成物が濃縮免疫原、特に未精製の濃縮免疫原を含有する場合に、特に言えることである。これは典型的には、不活化(死菌)ワクチンで使用されるアジュバントの場合を言う。この問題は、多価ワクチン組成物の場合に免疫原が同じ体積の希釈剤でさらに濃縮されるので、さらになお著しい。
【0007】
アジュバントの使用に関する別の問題は、注射部位の毒性や局所炎症などの有害事象の危険性に関連している。例えば局所炎症応答及び/又は肉芽腫が、注射後に生ずる可能性がある。そのような副作用を抑制するために、エマルジョン中の界面活性剤及びその他の成分を減少させてもよく;しかしこの減少によって、ワクチン組成物の安定性が低下する可能性がある。したがって、安全性及び安定性が増大した、新規なアジュバント及びそのようなアジュバントを含有するワクチン成分が求められている。
【0008】
この出願中の任意の文書の引用又は確認は、そのような文書が本発明に対する従来技術として利用可能であることを認めるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の実施形態では、本発明は、特に濃縮され、精製されておらず、又は微かに精製されている、細菌、寄生虫、又はウイルスの懸濁液の存在下で安定性が増大した、新規な水中油(O/W)型エマルジョンを提供する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、より詳細には免疫原でもよい少なくとも1種の活性成分を含む、医薬品組成物の送達用媒体として作用する、安定で安全な、容易に投与可能であり、特に注射可能であるO/Wエマルジョンを提供する。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態は、免疫原によって引き起こされる免疫応答を増大させる、アジュバントとして作用する、安定で安全な、注射可能なO/Wエマルジョンを提供する。特に本発明は、免疫原を含有するワクチン組成物中で使用した場合に、免疫原に対するワクチン接種者の細胞免疫応答、液性免疫応答、又は有利にはこれら両方を増大させる、新規なアジュバントを提供する。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態は、O/Wエマルジョンを含む、安定で安全な免疫原性の組成物又はワクチンを提供する。
【0013】
本発明の別の実施形態は、本発明のアジュバントを使用してワクチン組成物を作製する方法;そのように得られたワクチン組成物;及びその使用方法を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態は、第1のバイアルに入れられた免疫原又はその他の医薬品生成物と、第2のバイアルに入れられた本発明により作製されたアジュバントを含むキットであって、このアジュバントは、使用前に免疫原又はその他のワクチン生成物と混合されるように設計されたものであるキットを提供する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、
(1)免疫原を含有する水溶液;
(2)鉱油;
(3)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール;
(4)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又はこれらの任意の組合せの群から選択された、非イオン性親水性界面活性剤
を含むことができる、水中油(O/W)型エマルジョンを提供する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、
(1)免疫原を含有する水溶液;
(2)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、又はこれらの任意の組合せの群から選択された、非イオン性親油性界面活性剤;
(3)鉱油;
(4)非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール
を含むことができる、水中油(O/W)型エマルジョンを提供する。
【0017】
本発明により作製されたエマルジョンは、界面活性剤の2つの異なる群(親油性及び親水性の界面活性剤)のメンバーの中から選択された、少なくとも2種の界面活性剤の組合せを基にしており、各群に属する1種又は複数の界面活性剤を使用することが可能である。
【0018】
さらに別の有利な実施形態では、本発明は、ワクチン接種者の免疫原応答を誘発するのに適切な、少なくとも1種の免疫原を含有してもよい、新規なエマルジョンを含むワクチン組成物を提供する。本発明はさらに、そのような組成物であって、免疫原によって引き起こされる免疫応答を増大させるように、特に、細胞応答、液性応答、又は有利にはこれら両方を増大させるように、エマルジョンがアジュバントとして作用する組成物を提供する。
【0019】
有利な実施形態では、抗原又は免疫原は、マイコプラズマ(Mycoplasma)であり、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumomiae)が有利であり、ブタ・シルコウイルスであり、ブタ・シルコウイルス2が有利であり、或いはヘリコバクター(Helicobacter)であり、ヘリコバクター・セルド(Helicobacter cerdo)又はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)が有利であり、或いはこれらから得られるものである。
【0020】
別の有利な実施形態では、本発明は、免疫原、特に凍結乾燥形態にあり又は水溶液中にある免疫原を、本発明によるアジュバントと混合する、ワクチン組成物を作製する方法を提供する。免疫原は、不活化病原体、弱毒化病原体、サブユニット抗原、及びプラスミドを含む組換え発現ベクターなどからなる群から選択することができる。病原は、細菌、ウイルス、原虫、寄生虫、又は真菌由来のものでよく、或いは免疫原は、トキソイドでよい。
【0021】
別の有利な実施形態では、本発明は、本発明のワクチン組成物をワクチン接種者に投与するステップを含む、病原に対するワクチン接種者の免疫応答を引き起こす方法を提供する。
【0022】
別の有利な実施形態では、本発明は、少なくとも2個のバイアルを含むキットであって、第1のバイアルには免疫原、特に凍結乾燥形態にあり又は水性媒体中の溶液状態にある免疫原が入れられ、第2のバイアルには本発明によるアジュバント又はエマルジョンが入っているキットを提供する。
【0023】
この開示において、特に特許請求の範囲では、「含む(「comprises」、「comprised」、「comprising」)」などの用語が、米国特許法での用語などに属する意味を有することができることに留意されたい。例えば、これらの用語は、「含む(「includes」、「included」、「including」)」などを意味することができ、「本質的に〜からなる(「consisting essentially of」及び「consists essentially of」)」などの用語は、米国特許法による用語に属する意味を有し、例えばこれらの用語は、はっきりと列挙されていない要素を考慮しているが、従来技術に見出され或いは本発明の基本的な又は新規な特徴に影響を及ぼす用語は除外している。
【0024】
これら及びその他の実施形態は、下記の詳細な説明で開示され、又は下記の詳細な説明から明らかであり、下記の詳細な説明に包含される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
便宜上、本明細書、実施例、及び添付の段落、及び特許請求の範囲で用いられるある用語を、以下に集める。
【0026】
本明細書で使用する、「動物」という用語は、ヒトを含めた全ての脊椎動物を包含する。胚期及び胎児期を含めた発達の全ての段階にある個々の動物も含む。特に「脊椎動物」という用語には、限定するものではないが、ヒト、イヌ(例えば犬)、ネコ(例えば猫)、ウマ(例えば馬)、ウシ(例えば牛)、ブタ(例えば豚)、ヒツジ(例えば羊)、ヤギ(例えば山羊)、ウザギ、並びにトリが含まれる。本明細書で使用される「トリ」という用語は、限定するものではないが、ニワトリ(ブリーダー、ブロイラー、及びレイヤー)やシチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、ヒワ、タカ、カラスと、ダチョウ、エミュー、及びヒクイドリを含めた走禽類など、分類学的分類である鳥類(Aves)の、任意の種又は亜種を指す。
【0027】
本明細書で使用する「ブタ」又は「子ブタ」という用語は、ブタ由来の動物に関係するが、「雌ブタ」は、生殖可能年齢にあり生殖能力を有するメスを指す。
【0028】
本明細書で使用する「ビルレント(virulent)」という用語は、動物宿主において感染能力を保持する分離株に関係する。
【0029】
本明細書で使用する「不活化ワクチン」という用語は、もはや複製も増殖も不可能な感染性の生物又は病原を含有するワクチン組成物を包含する。病原は、細菌、ウイルス、原虫、寄生虫、又は真菌由来でよい。不活化は、高圧、化学処理(例えばチメロサール又はホルマリンによる処理)、超音波処理、放射線、熱、又はその免疫原性を維持しながら生物の複製又は増殖を防止するのに十分な、任意のその他の従来の手段を含めた様々な方法によって実現することができる。
【0030】
本明細書で使用する「免疫原性」という用語は、1種又は複数の免疫原に対して、宿主動物において免疫応答をもたらすことが可能であることを意味する。この免疫応答は、特定の感染性生物に対してワクチンにより誘発された防御免疫の基礎を形成する。
【0031】
本明細書で使用する「免疫応答」という用語は、動物で誘発された応答を指す。免疫応答は、細胞性免疫(CMI);液性免疫を指してもよく、又はこれら両方を含んでもよい。本発明は、免疫系の一部に限定された応答も企図するものである。例えば、本発明のワクチン組成物は、増大したγインターフェロン応答を特異的に引き起こすことができる。
【0032】
本明細書で使用する「抗原」又は「免疫原」という用語は、宿主動物で特異的免疫応答を引き起こす物質を意味する。抗原は、死滅させ、弱毒化され、又は生きている生物全体;生物のサブユニット又は一部;免疫原性の性質を有する挿入断片を含有した組換えベクター;宿主動物への提示直後に免疫応答を引き起こすことが可能なDNAの小片又は断片;タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、エピトープ、ハプテン、又はこれらの任意の組合せを含んでもよい。或いは、免疫原又は抗原は、毒素又は抗毒素を含んでもよい。
【0033】
本明細書で使用する「多価」という用語は、同じ種由来(例えば、マイコプラズマ・ヒオニューモニエの異なる分離株)であろうと異なる種由来(例えば、パスツレラ・ヘモリチカ(Pasteurella hemolytica)及びパスツレラ・ムルトシダ(Pasteurella multpcida)の両方からの分離株)であろうと、複数の抗原を含有するワクチンを意味し、又は異なる属からの抗原の組合せを含有するワクチン(例えば、パスツレラ・ムルトシダ、サルモネラ(Salmonella)、大腸菌(Escherichia coli)、ヘモフィルス・ソムヌス(Haemophilus somnus)、及びクロストリジウム(Clostridium)からの抗原を含むワクチン)を意味する。
【0034】
本明細書で使用する「アジュバント」という用語は、ワクチンの免疫原性を増大させるために、ワクチンに添加された物質を意味する。アジュバントがどのように作用するかというメカニズムは、十分理解されていない。いくつかのアジュバントは、抗原をゆっくり放出することによって免疫応答を高めると考えられており、またそれと同時に、その他のアジュバントは、下記のメカニズムのいずれかによって、即ち細胞浸潤、炎症、及び特に抗原提示細胞(APC)に関する注射部位への輸送の増大;同時刺激シグナルの上方制御によるAPCの活性化状態、又は主要組織適合複合体(MHC)の発現の促進;抗原提示の強化;或いは間接的な効果のためのサイトカイン放出の誘導のいずれかによって、その効果を媒介することができる。所与のワクチン免疫原に最も適したアジュバントは、保護免疫性に必要とされる免疫応答のタイプに、大きく依存することになる。アジュバントの選択は、いくらか経験的なものになろう。既知のワクチンアジュバントには、限定するものではないが、油及び水エマルジョン(例えば、完全Freundのアジュバント、及び不完全Freundのアジュバント)、特に水中油型エマルジョン、油中水エマルジョン、水中油中水型エマルジョンが含まれる。これらには、例えばサポニン、水酸化アルミニウム、硫酸デキストラン、カルボマー、アルギン酸ナトリウム、「AVRIDINE」(N,N−ジオクタデシル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−プロパンジアミン)、パラフィン油、ムラミルジペプチド、陽イオン性脂質(例えばDMRIE、DOPE、及びこれらの組合せ)なども含まれる。
【0035】
本明細書で使用する「医薬品として許容される担体」及び「医薬品として許容される媒体」という用語は同義であり、著しい副作用がない状態で宿主に注射することのできるワクチン免疫原を含有するための流体媒体を指す。当技術分野で知られている適切な医薬品として許容される担体には、滅菌水、生理食塩液、グルコース、又は緩衝溶液が含まれるが、これらに限定するものではない。担体には、希釈剤、安定剤(即ち糖及びアミノ酸)、保存剤、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、粘度増強剤、着色剤などを含めた助剤を含めることができるが、これらに限定するものではない。医薬品として又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、当業者に周知である。例えば、医薬品として又は獣医学的に許容される担体又は媒体又は賦形剤は、0.9%NaCl(例えば生理食塩水)溶液又はリン酸緩衝液にすることができる。用量及び用量体積は、本明細書では概要として論じられ、必要以上の実験を行うことなく当技術分野の知識と合わせて読んだこの開示から、当業者が決定することもできる。
【0036】
本明細書で使用される「ワクチン組成物」という用語は、宿主内で免疫応答を誘発するのに有用な、医薬品として許容される媒体中に、少なくとも1種の抗原又は免疫原を含む。ワクチン組成物は、レシピエント動物の年齢、性別、体重、種、及び状態や、投与経路などの要因を考慮に入れて、医学又は獣医学分野で周知の投薬量及び技法で投与することができる。投与経路は、経皮投与、粘膜を介した投与(例えば経口、鼻、眼)、又は非経口経路(例えば皮内、筋肉内、皮下)にすることができる。宿主への生成物の非経口投与では、針付き注射器又は無針注射器を使用することができる。ワクチン組成物は、単独で投与することができ、或いはその他の治療薬又は療法薬と同時に又は連続的に投与することができる。投与形態には、滅菌懸濁液やエマルジョンなど、非経口、皮下、皮内、又は筋肉内投与(例えば注射可能な投与)のための懸濁液及び調剤を含めることができる。ワクチン組成物は、スプレーとして投与してもよく、或いは食物及び/又は水と混合してもよく、或いは滅菌水や生理食塩液、グルコースなどの適切な担体、希釈剤、又は賦形剤と混合した状態で送達してもよい。組成物は、投与経路及び所望の調剤に応じて、湿潤又は乳化剤や、pH緩衝剤、アジュバント、ゲル化又は粘度増強剤、保存剤、香料、着色剤などの補助物質を含有することができる。必要以上の実験を行うことなく適切な調剤を調製するために、標準的な医薬品のテキストである"Remington's Pharmaceutical Sciences," 1990を調べることができる。
【0037】
本発明は、一実施形態において、
(1)宿主内で免疫応答を誘発することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液、
(2)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール、
(3)鉱油、
(4)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及び/又はこれらの任意の組合せの群から選択された非イオン性親水性界面活性剤
を含むことができる、新規な水中油(O/W)型アジュバント又はエマルジョンを提供する。
【0038】
本発明は、別の実施形態において、
(1)宿主内で免疫応答を誘発することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液、
(2)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及び/又はこれらの任意の組合せの群から選択された非イオン性親油性界面活性剤、
(3)鉱油、
(4)非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール
を含むことができる、新規な水中油(O/W)型アジュバント又はエマルジョンを提供する。
【0039】
本発明により作製されたエマルジョンは、界面活性剤の2つの異なる群(親油性及び親水性の界面活性剤)のメンバーの中から選択された、少なくとも2種の界面活性剤の組合せを基にしており、各群に属する1つ又は複数の界面活性剤を使用することが可能である。
【0040】
親油性エトキシル化脂肪アルコールは、分子量の約43%(w/w)以下のエチレンオキシド(EO)を含んでもよいエトキシル化脂肪アルコールでもよい。親油性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POE−POPブロックコポリマー)は、約35%(w/w)以下のエチレンオキシドを含んでもよいコポリマーである。
【0041】
親水性エトキシル化脂肪アルコールは、エチレンオキシド(EO)を約43%(w/w)よりも多く含むエトキシル化脂肪アルコールにすることができる。親水性POE−POPブロックコポリマーは、エチレンオキシドを約55%(w/w)以上含むコポリマーである。
【0042】
非イオン性親水性界面活性剤の場合、脂肪アルコールは、C9〜C22脂肪アルコールにすることができ、有利には、オレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択することができ、有利にはオレイルアルコールであり、より有利には、5〜21のEOのオレイルアルコールである。POE−POPブロックコポリマーは、約3000〜約16000のMWを有する。
【0043】
非イオン性親水性界面活性剤の群には、エトキシル化脂肪アルコール:Brij(登録商標)76[ステアレス−10]、Brij(登録商標)56[セテス−10]、Brij(登録商標)96/97[オレス−10]、Brij(登録商標)98[オレス−20]、Brij(登録商標)721[ステアレス−21]、Brij(登録商標)58[ステアレス−20]、Brij(登録商標)35[ラウレス−23]、Brij(登録商標)78[ステアレス−20]、(Uniqema社製)Volpo(登録商標)N5[オレス−5]、Volpo(登録商標)CS6[セテアレス−6]、Volpo(登録商標)CS12[セテアレス−12]、Volpo(登録商標)CS20[セテアレス−20]、Volpo(登録商標)CS25[セテアレス−25]、Volpo(登録商標)CS23[セテアレス−23](Croda社製)、BL9-EX[ラウレス−9]、BC-7[セテス−7]、BT-5[C12−14パレス−5]、BT-7[C12−14パレス−7]、BT-9[C12−14パレス−9]、BT-12[C12−14パレス−12]、BD-10[C12−15パレス−10]、BO-7V[オレス−7]、BC5.5[セテス−6]、BL-21[ラウレス−21]、BL-25[ラウレス−25]、BC-15TX[セテス−15]、BC-23[セテス−23]、BC-25TX[セテス−25]、BO-15V[オレス−15]、BO-50V[オレス−50]、BB-20[ベヘネス−20]、(Nikko Chemicals社製)、及びこれらの組合せ、POE−POPブロックコポリマー:Lutrol(登録商標)F127[ポロキサマー407]、Lutrol(登録商標)F68[ポロキサマー188]、Lutrol(登録商標)F108[ポロキサマー338]、Lutrol(登録商標)F98[ポロキサマー278]、Lutrol(登録商標)F87[ポロキサマー227]、Lutrol(登録商標)F88[ポロキサマー228]、Lutrol(登録商標)F77[ポロキサマー207]、Lutrol(登録商標)F38[ポロキサマー108](BASF社製)、Tetronics(登録商標)T1307、Tetronics(登録商標)T1107、Tetronics(登録商標)T908(BASF社製)、及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0044】
非イオン性親油性界面活性剤の場合、脂肪アルコールは、C9〜C22脂肪アルコールであり、オレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択されることが有利であり、オレイルアルコールが有利であり、1〜4EOを有するエトキシル化オレイルアルコールがより有利である。POE−POPブロックコポリマーは、約1000〜約8000のMWを有する。
【0045】
非イオン性親油性界面活性剤の群には、エトキシル化脂肪アルコール:Brij(登録商標)30[ラウレス−4]、Brij(登録商標)92/93[オレス−2]、Brij(登録商標)72[ステアレス−2]、Brij(登録商標)52[セテス−2](Uniqema社製)、Volpo(登録商標)L3[C12−13パレス−3]、Volpo(登録商標)N3[オレス−3]、Volpo(登録商標)L4[C12−13パレス−4](Croda社製)、BS-4[ステアレス−4]、BD-2[C12−15パレス−2]、BD-4[C12−15パレス−4]、BT-3[C12−14パレス−3](Nikko Chemicals社製)及びこれらの組合せ、POE−POPブロックコポリマー:Pluronic(登録商標)L121[ポロキサマー401]、Pluronic(登録商標)L101[ポロキサマー331]、Pluronic(登録商標)L81[ポロキサマー221]、Pluronic(登録商標)L62[ポロキサマー182]、Pluronic(登録商標)L43[ポロキサマー123]、Pluronic(登録商標)P103[ポロキサマー333]、Pluronic(登録商標)L123[ポロキサマー403]、Lutrol(登録商標)L63[ポロキサマー183]、Lutrol(登録商標)P122[ポロキサマー402]、Lutrol(登録商標)L92[ポロキサマー272]、Lutrol(登録商標)L72[ポロキサマー202]、Lutrol(登録商標)L42[ポロキサマー122]、Lutrol(登録商標)L61[ポロキサマー181](BASF社製)、Tetronics(登録商標T1301、Tetronics(登録商標)T701、Tetronics(登録商標)T901(BASF社製)、及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0046】
本発明の界面活性剤は、動物又は植物由来の脂肪アルコールを有してもよい。1つの由来から別の由来への変更は、エマルジョンの配合を少しだけ調節するだけで行うことができる。
【0047】
本発明によるエマルジョンは、その界面活性剤の全濃度が、エマルジョンの重量対体積%で約0.2%〜約6.5%でよく、特に約1%〜約6%、有利には約1.5%〜約5%、より有利には約2%〜約3%でよい。
【0048】
そのようなエマルジョンは低粘度を有し、容易に注射可能である。
【0049】
有利な実施形態では、本発明は、
(1)宿主で免疫応答を誘発することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液、
(2)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール、
(3)鉱油、
(4)約43%を超えかつ約71%(w/w)未満のエチレンオキシドを含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール、
(5)エチレンオキシドを約71%(w/w)以上含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール
を含んでもよい水中油(O/W)型エマルジョンを提供する。
【0050】
約43%を超えかつ約71%(w/w)未満のエチレンオキシドを含むエトキシル化脂肪アルコールは、5〜14のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールが有利である。エチレンオキシドを約71%以上(w/w)含む脂肪アルコールは、15以上のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールが有利である。
【0051】
この有利な実施形態において、非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度は、エマルジョンの重量対体積比(w/v)%で表したときに、一般に約1.0%〜約5.0%であり、特に約1.5%〜約4.5%、より有利には約2.0%〜約3.5%である。非イオン性の高親水性エトキシル化脂肪アルコールでは、その濃度が一般に約0.01%〜約3.0%であり、特に約0.05%〜約2.5%、より有利には約0.1%〜約2.0%(w/v)である。非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコールの濃度は、一般に約0.1%〜約2.5%であり、特に約0.2%〜約2.0%、有利には約0.2%〜約1.5%、より有利には約0.2%〜約1.2%(w/v)である。
【0052】
有利な実施形態では、本発明は、
(1)宿主で免疫応答を誘発することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液、
(2)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール、
(3)鉱油、
(4)非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール、
(5)非イオン性親水性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー
を含んでもよい水中油(O/W)型エマルジョンを提供する。
【0053】
親水性エトキシル化脂肪アルコールは、エチレンオキシドを約43%超及び約71%(w/w)未満含む脂肪アルコールであることが有利であり、5〜14EOのエトキシル化オレイルアルコールがより有利である。非イオン性POE−POPブロックコポリマーは、エチレンオキシドを70%(w/w)以上含んでもよいことが有利である。
【0054】
この有利な実施形態では、非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度は、エマルジョンの重量対体積比(w/v)%で表したときに、一般に約1.0%〜約5.0%であり、特に約1.5%〜約4.5%、より有利には約2.0%〜約3.5%である。非イオン性POE−POPブロックコポリマーの場合、その濃度は、一般に約0.01%〜約2.0%であり、より具体的には約0.1%〜約1.5%(w/v)である。非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコールの濃度は、一般に約0.1%〜約2.5%であり、特に約0.2%〜約2.0%、有利には約0.2%〜約1.5%、より有利には約0.2%〜約1.2%(w/v)である。
【0055】
一般に、本発明によるエマルジョンは、転相温度(PIT)が25℃以上であり、特に約28℃〜約65℃の範囲、より具体的には約33℃〜約60℃の範囲でもよい。
【0056】
PITは、油中水型エマルジョンが水中油型エマルジョンに変化し、又は相がシフトする(エマルジョンの破壊及び2層の分離)温度である。PIT値は、様々な手段によって、例えば外観によって又は伝導率によって測定してもよい。エマルジョンを、このエマルジョンのPITよりも低い温度で、例えば約25℃で水浴中に置く。温度を徐々に上昇させる。エマルジョンの視覚アスペクトの変化を、対照エマルジョンと比較しながら観察し、とりわけ流動性、2層分離、油相から表面への移行による表面アスペクトを観察する。この視覚アスペクトの変化が観察された温度が、エマルジョンのPIT値である。或いはPITは、水相としての生理食塩水の場合、エマルジョン内でその表面付近に配置されたプローブによって測定したときに、伝導率の値が約5〜15ミリシーメンス/センチメートル(mS/cm)(水中油型エマルジョン)から約0mS/cm(油中水型エマルジョン)の値への素早い移行によって決定される。移行が観察される温度が、エマルジョンのPIT値である。当業者なら、本発明によるエマルジョン、特に必要以上の実験を行うことなく上記にて定義された範囲内のPIT値を有するエマルジョンを生成するために、界面活性剤と油との組合せを、これらそれぞれの濃度も含めて決定することができるであろう。
【0057】
一般に、本発明によるエマルジョンは、このエマルジョンの体積対体積比(v/v)%で表したときに、油及び界面活性剤を含む油相を約2%〜約50%含有してもよく、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含有してもよい。定義によれば、本明細書中の値の範囲には、他に特に指示しない限り範囲の限界が常に含まれる。
【0058】
使用される油は、限定するものではないが、イソパラフィン油及び/又はナフテン油などのパラフィン油、スクアラン、スクアレン、プリスタン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、ポリイソプレン、及びポリイソプロペンなどを含めた鉱油でもよい。本発明で有用な、ある有利な鉱油には、炭素原子の数が15個よりも多く、有利には15〜32個であり、且つ芳香族化合物を含まない、直鎖状又は分枝状の炭素鎖を含む油を含めてもよい。そのような油は、例えばMARCOL(登録商標)52又はMARCOL(登録商標)82(Esso社製)又は「DRAKEOL(登録商標)6VR」(Penreco社製)という名称で市販されているものでよい。
【0059】
油は、本明細書に記述される油の中から選択された少なくとも2種の油を任意の割合で含む、油の混合物でもよい。油の混合物は、上述の油の中から選択された少なくとも1種、及び少なくとも1種の植物油を含んでもよく、この植物油は、油相の約0.1%〜約33%に相当し、約5%〜約15%v/vに相当することが有利である。これらの植物油は、生分解性であり且つ有利には保存温度(摂氏約+4度)で液体であり、又はこの温度で液体であるエマルジョンを与えることを少なくとも可能にする、オレイン酸に富む不飽和油である。例えば植物油は、落花生油、ナッツ油、ヒマワリ油、紅花油、大豆油、及び月見草油などでもよい。
【0060】
一般に、本発明は、限定するものではないが滅菌水、生理食塩水、グルコース、及び緩衝液などを含めた、適切な獣医学的に又は医薬品として許容される媒体、賦形剤、又は希釈剤を含む水溶液の使用を想定する。媒体、賦形剤、又は希釈剤は、ポリオール、糖質、又はpH緩衝剤を含んでもよい。媒体、賦形剤、又は希釈剤は、例えば、アミノ酸、ペプチド、酸化防止剤、殺菌剤、静菌化合物を含んでもよい。水溶液を大量に油及び界面活性剤に添加して、体積100%の本発明によるエマルジョンを得る。
【0061】
本発明は、パラフィン油;非イオン性親油性界面活性剤として2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として5〜6のEOを有するのエトキシル化オレイルアルコール;及び非イオン性親水性界面活性剤として約70〜80%のEOを有しMWが約9800〜16000であるPOE−POPブロックコポリマーを含むエマルジョンを企図している。特にパラフィン油は、濃度が約5%〜約50%であり、約15%〜約30%(v/v)が有利であり、2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールは、濃度が0.1%〜1.5%であり、0.1%〜1.2%(w/v)が有利であり、5〜6のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールは、濃度が1%〜5%であり、1%〜4%(w/v)が有利であり、約70〜80%EOであり且つMWが約9800〜16000であるPOE−POPブロックコポリマーは、濃度が0.01%〜2%であり、0.05%〜1.5%(w/v)が有利である。
【0062】
本発明による第2の実施形態では、エマルジョンは、パラフィン油、非イオン性親油性界面活性剤として2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として10のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール;及び非イオン性親水性界面活性剤として約70〜80%EOであり且つMWが約9800〜16000であるPOE−POPブロックコポリマーを含む。特にパラフィン油は、濃度が5%〜50%であり、15%〜30%(v/v)が有利であり、2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールは、濃度が0.2%〜3%であり、0.5%〜3%(w/v)が有利であり、10のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールは、濃度が0.2%〜3%であり、0.5%〜3%(w/v)が有利であり、約70〜80%EOであり且つMWが約9800〜16000であるPOE−POPブロックコポリマーは、濃度が0.01%〜2%であり、0.05%〜1.5%(w/v)が有利である。
【0063】
本発明による第3の実施形態では、エマルジョンは、パラフィン油、非イオン性親油性界面活性剤として2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール、及び非イオン性親水性界面活性剤として5〜6のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールを含む。特にパラフィン油は、濃度が5%〜50%であり、15%〜35%(v/v)が有利であり、2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールは、濃度が0.1%〜3%であり、0.5%〜2%(w/v)が有利であり、5〜6のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールは、濃度が1%〜5%であり、2.0%〜4.5%(w/v)が有利である。
【0064】
限定するものではないが、アルミニウム;CpGオリゴヌクレオチド(ODN)、特にODN 2006、2007、2059、2216、又は2135(Pontarollo R.A. et al., Vet. Immunol. Immunopath, 2002, 84: 43-59; Wernette C.M. et al., Vet. Immunol. Immunopath, 2002, 84: 223-236; Mutwiri G. et al., Vet. Immunol. Immunopath, 2003, 91: 89-103; Kerkmann M. et al., J. Immunol., 2003, 170: 4465-4474);ポリA−ポリU("Vaccine Design The Subunit and Adjuvant Approach", edited by Michael F. Powell and Mark J. Newman, Pharmaceutical Biotechnology, 6: 03);臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA)("Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach", edited by Michael F. Powell and Mark J. Newman, Pharmaceutical Biotechnology, volume 6: 157)、N,N−ジオクタデシル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン(Avridine(登録商標)など)(同書、p. 148)、カルボマー、キトサン(例えば、米国特許第5980912号参照)を含め、その他の化合物を、補助アジュバントとしてエマルジョンに添加してもよい。
【0065】
本発明は、本発明により作製された、少なくとも1種の抗原又は免疫原及びアジュバント又はエマルジョンを含む、ワクチン組成物又は免疫組成物を作製する方法も提供する。免疫原は、エマルジョン配合中に組み込んでもよく、又は代替の実施形態では、免疫原を後で、例えば使用直前にエマルジョンに添加してもよい。
【0066】
使用される水溶液の全量を、最初に生成されたエマルジョン中に存在させてもよい。又はこの水溶液の一部のみを使用してエマルジョンを形成し、水溶液の残りの量を、免疫原と混合して添加してもよい。免疫原又は抗原は、凍結乾燥形態でもよく、又は何らかの別の適切な固体形態で存在させ、次いでエマルジョンと混合させてもよく、或いは抗原は、溶液状態でもよく、特に水溶液中に存在してもよく、この溶液をエマルジョンと混合させることができる。
【0067】
界面活性剤は、その溶解度に応じて、油又は水溶液に添加することが有利である。例えば、非イオン性親油性界面活性剤を本発明による油に添加し、その一方で、非イオン性親水性界面活性剤を水溶液に添加する。
【0068】
乳化は、当業者に知られている従来の方法に従って、調製することができる。例えば本発明の一実施形態では、エマルジョンは、このエマルジョンのPITよりも低い温度、特に室温で、例えば約30℃で調製することができる。水相及び油相を、機械的な撹拌によって、例えば高剪断力を生成することができるローターステータを備えたタービンで、一緒に混合する。撹拌は、低回転速度で開始し、一般に油への水溶液の漸進的添加に合わせてゆっくりと加速させることが有利である。水溶液は、油に漸進的に添加することが有利である。油/水溶液の比は、油中水(W/O)型エマルジョンが得られるように適合させてもよく、例えば油の濃度は約40%〜約55%(v/v)である。撹拌を停止させると、エマルジョンは、室温で冷却する間にO/W型エマルジョンに漸進的に変化する(転相)。転相後、必要に応じて、最終的なエマルジョンに油の所望の濃度が得られるよう、水溶液を添加することによって、エマルジョンを希釈する。エマルジョンは、約5℃で保存することができる。
【0069】
別の実施形態では、エマルジョンは、このエマルジョンのPITよりも高い温度で調製することができる。第1のステップでは、水相及び油相を、エマルジョンのPITよりも高い温度で一緒に混合する。水溶液は、油に漸進的に添加することが有利である。油/水溶液の比は、油中水(W/O)型エマルジョンが得られるように適合させてもよく、例えば油の濃度が約40%〜約55%(v/v)である。乳化は、低剪断力を用い又は剪断力を用いない撹拌によって、例えばスタティックミキサ又はマリンヘリックス(プロペラ)で、或いは非常に低い回転速度のタービンで行ってもよい。得られたエマルジョンは、油中水(W/O)型エマルジョンである。第2のステップでは、エマルジョンを、PITよりも低い温度まで漸進的に冷却する。このステップ中、エマルジョンはO/W型エマルジョンに変化する(転相)。転相後、必要に応じて、最終的なエマルジョンに油の所望の濃度が得られるよう、水溶液を添加することによって、このエマルジョンを希釈する。エマルジョンは、約5℃で保存することができる。
【0070】
エマルジョン中の油滴のサイズは、約100nm〜約500nmでよい。エマルジョンは、例えば、ワクチン組成物又は医薬品組成物を配合するアジュバントとして使用してもよい。エマルジョンは、乾燥生成物、特に、例えば弱毒化微生物又は生きている組換えベクターを含有する凍結乾燥した生成物を溶解する、溶媒として使用してもよい。
【0071】
特定の実施形態では、水溶液の一部のみを用いてプレエマルジョンを生成する。このプレエマルジョンは、最終的な組成物が得られるように、薬物や免疫原などの活性成分の懸濁液、有利には免疫原の懸濁液を添加することによって、希釈してもよい。或いは、プレエマルジョンを水溶液で希釈し、これを使用して、凍結乾燥した生成物などの乾燥生成物を溶解してもよい。
【0072】
本発明での使用に適した免疫原又は抗原は、不活化病原体、弱毒化病原体、免疫原性サブユニット(例えばタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、エピトープ、ハプテン)、又は免疫原性インサートを有するプラスミドを含めた組換え発現ベクターからなる群から選択してもよい。本発明の一実施形態では、免疫原が、不活化又は死滅した微生物である。本発明の別の実施形態では、ワクチン組成物は、限定するものではないが、鼠チフス菌(Salmonella typhimurium)、腸炎菌(Salmonella enteritidis)、伝染性気管支炎ウイルス(IBV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、産卵低下症候群ウイルス(EDS)、又は伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(IBDV)、及びトリインフルエンザウイルスなど、及びこれらの組合せを含む、トリ病原体の群から選択された免疫原を含む。
【0073】
或いはワクチン組成物は、限定するものではないが、ネコヘルペスウイルス(FHV)、ネコカリチウイルス(FCV)、ネコ白血球ウイルス(FeLV)、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、狂犬病ウイルスなどのネコ病原体、及びこれらの組合せから選択された免疫原を含む。
【0074】
さらに別の実施形態では、本発明のワクチン組成物は、限定するものではないが、狂犬病ウイルス、イヌヘルペスウイルス(CHV)、イヌパルボウイルス(CPV)、イヌコロナウイルス、イヌレプトスピラ(Leptospira canicola)、黄疸出血症レプトスピラ(Leptospira icterohaemorragiae)、レプトスピラ・グリッポチフォサ(Leptospira grippotyphosa)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、及び気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)などを含めたイヌ病原体、及びこれらの組合せから選択された免疫原を含む。
【0075】
本発明のさらに別の実施形態では、組成物が、ウマヘルペスウイルス(1型又は4型)やウマインフルエンザウイルス、破傷風、西ナイルウイルスなどのウマ病原体、及び/又はこれらの組合せから選択された免疫原を含む。
【0076】
本発明のさらに別の実施形態では、組成物が、狂犬病ウイルスやウシロタウイルス、ウシパラインフルエンザウイルス3型(bPIV−3)、ウシコロナウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、ウシ呼吸合包体ウイルス(BRSV)、伝染性ウシ鼻気管炎ウイルス(IBR)、大腸菌(Escherichia coli)、動物パスツレラ症病原菌(Pasteurella multocida)、パスツレラ・ヘモリチカ(Pasteurella haemolytica)などのウシ病原体、及びこれらの組合せから選択された免疫原を含む。
【0077】
本発明のさらに別の実施形態では、組成物は、限定するものではないが、ブタインフルエンザウイルス(SIV)やブタ・シルコウイルス2型(PCV−2)、ブタ生殖呼吸器症候群ウイルス(PRRS)、ブタ仮性狂犬病ウイルス(PRV)、ブタパルボウイルス(PPV)、FMDV、ブタコレラウイルス(HCV)、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)、ブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、動物パスツレラ症病原菌、気管支敗血症菌、大腸菌、ヘリコバクター・セルド(Helicobacter cerdo)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)などのブタ病原体、及びこれらの組合せから選択された免疫原を含む。
【0078】
本発明の有利な実施形態は、少なくとも1種の免疫原及びエマルジョンを医薬品として許容される媒体中に含む、ワクチン組成物を提供する。ウイルス、細菌、及び真菌などを含む免疫原は、適切な培地又は宿主細胞系を使用したインビトロ培養法、及び当業者に周知の従来の方法によって生成してもよい。例えばPRRSは、MA−104細胞系などの適切な細胞系で培養することができる(とりわけ米国特許第5587164号、第5866401号、第5840563号、第6251404号参照)。これと同様に、PCV−2は、PK−15細胞系を使用して培養することができ(米国特許第6391314号参照)、SIVは、卵上で培養することができ(米国特許第6048537号)、マイコプラズマ・ヒオニューモニエは、適切な培地で培養することができる(米国特許第5968525号、米国特許第5338543号、Ross R. F. et al., Am. J. Vet. Res., 1984, 45: 1899-1905)。
【0079】
不活化した免疫学的又はワクチン組成物を得るために、有利には、病原体を収集後に不活化し、例えばホルムアルデヒド、βプロピオラクトン、エチレンイミン、バイナリーエチレンイミン(BEI)、及びチメロサールなどを使用する化学処理、及び/又は物理処理(例えば熱処理又は超音波)によって、清澄化を行ってもよい。不活化のための方法は、当業者に周知である。例えばPRRSウイルスは、βプロピオラクトン処理(Plana-Duran et al., Vet. Microbiol., 1997, 55: 361-370)によって又はBEI処理(米国特許第5587164号)によって不活化してもよく、PCV−2ウイルスの不活化は、エチレンイミン処理を使用して又はβプロピオラクトン処理(米国特許第6391314号)によって実現してもよく、ブタインフルエンザウイルスは、トリトンのような界面活性剤を使用して又はホルムアルデヒド処理(米国特許第6048537号)により不活化してもよく、マイコプラズマヒオニューモニエバクテリアは、ホルムアルデヒド処理(Ross R.F. 前掲)によって、エチレンイミン又はBEI処理(WO91/18627)によって、又はチメロサール処理(米国特許第5968525号及び第5338543号)によって不活化してもよい。
【0080】
不活化病原体は、従来の濃縮技法によって、特に限外濾過によって濃縮することができ、且つ/又は従来の精製手段によって、特に限定するものではないがゲル濾過を含めたクロマトグラフィ技法、スクロース勾配上での超遠心、又は特にポリエチレングリコール(PEG)を使用した選択的沈殿を使用して、精製することができる。
【0081】
本発明によるワクチン組成物に有用な免疫原は、発現ベクターも含む。「ベクター」は、組換えDNA又はRNAプラスミド又はウイルスを指し、例えば、インビトロ又はインビボで標的細胞に送達される異種ポリヌクレオチドを含む、ポックスウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルスを指す。異種ポリヌクレオチドは、治療を目的として問題となっている配列を含んでいてもよく、発現カセットの形をとっていてもよい。本明細書で使用されるベクターは、最終的な標的細胞又は対象において必ずしも複製可能である必要はない。この用語には、ポリヌクレオチドコード化配列を翻訳するためのクローニングベクターが含まれる。ウイルス性ベクターも含まれる。
【0082】
「組換え」という用語は、天然では発生せず又は天然では見出されない配置構成で別のポリヌクレオチドに結合された、半合成又は合成由来のゲノムcDNAのポリヌクレオチドを意味する。
【0083】
本発明の別の実施形態によれば、発現ベクターは、適切な細胞系内でタンパク質のインビトロ発現に使用される、発現ベクターである。発現タンパク質は、分泌の後又は分泌の後以外(分泌がない場合は、細胞溶解が典型的には生じ又は行われる)に、培養上澄み中に又は培養上澄みから収集することができ、限外濾過などの濃縮方法によって濃縮してもよく、且つ/又はアフィニティ、イオン交換、又はゲル濾過タイプのクロマトグラフィ法などの精製手段によって精製され、本発明によるエマルジョンに配合される。
【0084】
また本発明は、多価免疫学的組成物又は混合ワクチン組成物の製剤も包含する。例えば、本発明により作製された混合ウシバクテリンに有用な抗原には、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)、パスツレラ種、特にP.ムルトシダ及びP.ヘモリチカ、ヘモフィルス種、特にH.ソムヌス、クロストリジウム種、サルモネラ、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、連鎖球菌(Streptococcus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、モラクセラ(Moraxella)、及び大腸菌などが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0085】
本発明はさらに、本発明による免疫学的組成物又はワクチン組成物を宿主に投与するステップを含む、宿主、例えば動物において免疫応答を誘発させるための方法を提供する。この手法で誘発された免疫応答は、特に抗体及び/又は細胞免疫応答であり、特にγインターフェロン応答である。
【0086】
特に本発明は、病原性生物による動物の感染(例えば、ウイルス、細菌、真菌、又は原虫寄生体による感染)に対して免疫化し、或いはこの感染によって引き起こされた症状を予防し又は低減させる方法を提供する。本発明の方法は、限定するものではないがヒト、イヌ(例えば犬)、ネコ(例えば猫)、ウマ(例えば馬)、ウシ(例えば牛)、ヒツジ(例えば羊)、ヤギ(例えば山羊)、ブタ(例えば豚)、及びウザギを含めた脊椎動物、並びに限定するものではないが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、ヒワ、タカ、カラス、及び走禽類(ダチョウ、エミュー、及びヒクイドリなど)を含めた鳥類に有用である。
【0087】
本発明の特定の態様では、これらの方法は、本発明により作製されたワクチン組成物を投与することによる、分娩前の妊娠中の女性のワクチン接種からなる。これらの方法はさらに、ワクチン接種プロトコルにより誘発された防御抗体の誘導と、ワクチン接種された妊婦からその子供へのこれら防御抗体の伝達を含む。そのような母性抗体の伝達により、後に、子供は疾患から防御される。
【0088】
本発明により作製されたワクチン組成物の投薬量は、ワクチン接種がなされる動物の種、血統、年齢、サイズ、ワクチン接種履歴、及び健康状態に応じて異なることになる。抗原濃度、追加のワクチン成分、及び投与経路(即ち皮下、皮内、経口、又は筋肉内投与)のようなその他の因子も、有効投薬量に影響を及ぼすことになる。投与されるワクチンの投薬量は、ワクチンの抗原濃度、投与経路、ワクチン接種がなされる動物の年齢及び状態に基づいて、容易に決定可能である。或いは、種々の投薬量による規則的な免疫原性試験、並びにLD50の調査及びその他のスクリーニング手順を使用することにより、必要以上の実験を行うことなく本発明に従って、ワクチン組成物に関する有効投薬量を決定することができる。以下に示す実施例から、本明細書に記述されるワクチン組成物を使用する場合にどのくらいの概算薬量及びどのくらいの概算体積が適切になるのか、容易に理解されよう。極めて重要な因子とは、自然感染に関連した死亡率及び罹患率の低下から分かるように、この投薬量が自然感染に対して少なくとも部分的な防御効果をもたらすことである。その上、適切な体積は、当業者によって容易に確認される。例えば鳥類では、ある用量の体積が、約0.1ml〜約0.5mlでよく、約0.3ml〜約0.5mlが有利である。ネコ、イヌ、及びウマの種では、ある用量の体積が、約0.2ml〜約3.0mlでよく、約0.3ml〜約2.0mlが有利であり、約0.5〜約1.0mlがより有利である。ウシ及びブタの種では、用量の体積が、約0.2ml〜約5.0mlでよく、約0.3ml〜約3.0mlが有利であり、0.5ml〜約2.0mlがより有利である。
【0089】
最初の、又は最後の投薬から長期間経過したときの免疫応答を強化するには、定期的な時間間隔で繰り返されるワクチン接種が有利と考えられる。本発明の一実施形態では、ワクチン組成物を非経口注射剤として(即ち皮下、皮内、又は筋肉内から)投与する。この組成物は、1回用量として投与してもよく、又は代替の実施形態では、約2〜約6週間の間隔で、有利には約2〜約5週間の間隔で与えられる、約2〜約5回に分けた反復用量として投与してもよい。しかし当業者なら、投薬の回数及びワクチン接種間の時間間隔は、限定するものではないがワクチン接種された動物の年齢;特に母性抗体の存在下での動物の状態;免疫化経路;及び用量当たりの利用可能な抗原の量などを含めたいくつかの因子に左右されることを、理解するであろう。最初のワクチン接種の場合、その期間は、一般に1週間よりも長くなり、約2〜約5週間の間であることが有利である。以前にワクチン接種がなされた動物の場合、約1年の間隔を空けた妊娠前又は妊娠中のブースターワクチン接種を行うことができる。
【0090】
また本発明は、限定するものではないがPigjet(登録商標)、Avijet(登録商標)、Dermojet(登録商標)、Biojector(登録商標)(Bioject社製、Oregon, USA)などの無針注射器を使用して、ワクチン組成物を投与することも企図している。当業者なら、必要以上の実験を行うことなく、要求に応じて、ワクチン接種がなされる動物の種や動物の年齢及び体重などの因子に関し、注射器の仕様を調節することができる。
【0091】
本発明の一実施形態では、この方法は、本発明によるエマルジョンで配合されたワクチン組成物の単回投与を含む。例えば一実施形態では、ワクチン組成物が不活化マイコプラズマ・ヒオニューモニエワクチンであり、一方、代替の実施形態は、不活化PCV2ウイルス組成物を含むワクチンを提供する。その他の免疫学的組成物又はワクチンは、限定するものではないが不活化PRRS及びSIVを含む単回用量レジメンでの使用に適切である。ワクチンは、既存の抗体の存在下でも投与することができる。
【0092】
本発明はさらに、本発明により作製され、且つタンパク質又はペプチド、抗体、アレルゲン、CpG、ODN、増殖因子、サイトカイン、又は抗体からなる群から選択された少なくとも1種の免疫原、特にCpG、ODN、又はサイトカインを含む医薬品組成物を、宿主に投与するステップを含む、宿主、例えば動物を治療する方法に関する。これらの医薬品組成物は、ニワトリやブタ、ウシなどの動物における増殖性能を改善するのに使用することができる。
【0093】
本発明はさらに、免疫原や医薬品組成物などの成分が入っている第1のバイアルと、第2のバイアルに入っている本発明により作製されたエマルジョンとを含むキットに関する。免疫原は、本明細書に記述されるような凍結乾燥形態、乾燥形態、又は水溶液の状態でもよい。
【0094】
次に本発明について、下記の非限定的実施例を用いてさらに記述する。
[実施例]
【実施例1】
【0095】
エマルジョン製造方法
エマルジョンは、以下に記述されるように2つのステップで生成する。
【0096】
第1のステップ:高剪断ローターステータSilverson乳化器(直径10mmの粉砕ヘッドを備えたL4RT型)を使用して、製剤を生成した。エマルジョンをするために、1体積の油相を、1体積の水相#1と共に35℃で乳化した。水相を、1分間にわたり5000rpm(分当たりの回転数)で撹拌しながら油相に添加した。この回転速度を、体積の増加と共に1分間の間に8300rpmまで徐々に増加させた。このステップ中、エマルジョンは油中水型エマルジョンであった。最終的なLR4エマルジョンは、20%の油相を含有するO/W型である。LR4エマルジョンの場合、相の組成は下記の通りであった。
油相(72ml):
オレス−2(Brij(登録商標)92):1.8%w/v
オレス−5(Volpo(登録商標)N5):8.2%w/v
パラフィン油(Marcol 82(登録商標)):87.5%v/v
保存剤:2.5%v/v
水相#1(108ml):
ポロキサマー407(Lutrol(登録商標)F127):0.58%w/v
リン酸二ナトリウム及び一カリウムを含有する等張性緩衝液0.02M(pH7.8):100.0%v/vになるまでのQ.S.
【0097】
ワクチンと同じ緩衝液、例えばリン酸二ナトリウム及び一カリウムを含有する等張性緩衝液0.02M(pH7.8)中に溶かしたLutrol(登録商標)F127の5%(w/v)溶液を使用して、水相#1を調製した。
【0098】
撹拌を停止すると、エマルジョンは、水中油型エマルジョンに変化した。このエマルジョンを、少なくとも4時間、5℃の低温チャンバ内に置いた。この段階で、エマルジョンは、油相を40%含有するプレエマルジョンであった。
【0099】
第2のステップ:水相#2を、リン酸二ナトリウム及び一カリウム0.02M等張性緩衝液(pH7.8)180mlと免疫原(以下に記述される、不活化マイコプラズマ・ヒオニューモニエ免疫原又はPCV−2免疫原)とで調製した。第1のステップで調製されたプレエマルジョンを、約5℃に冷却し、同じ温度で同じ体積の水相#2を添加することによって希釈し、磁気棒を1分間回転させることによって混合した。LR4エマルジョンにおける最終的な界面活性剤濃度は、2.18%(w/v)であった。
【0100】
本明細書で調製されたLR4ワクチンは、5℃で少なくとも1年間安定である。
【0101】
同じ調製方法を使用して、その他のエマルジョンを以下に記述するように得ることができる。
【0102】
LR3
エマルジョン
第1のステップ:
最終的なLR3エマルジョンは、油相を33%含有するO/W型エマルジョンである。
油相(120ml):
オレス−2(Brij(登録商標)92):6.24%w/v
オレス−10(Brij(登録商標)96):2.76%w/v
パラフィン油(Marcol 82(登録商標)):89.50%v/v
保存剤:1.50%v/v
水相#1(120ml):
ポロキサマー407(Lutrol(登録商標)F127):1.20%w/v
リン酸二ナトリウム及び一カリウムを含有する等張性緩衝液0.02M(pH7.8):100.0%v/vになるまでのQ.S.
【0103】
ワクチンと同じ緩衝液、例えばリン酸二ナトリウム及び一カリウム0.02M等張性緩衝液(pH7.8)中に溶かしたLutrol(登録商標)F127の5%(w/v)溶液を使用して、水相#1を調製した。
【0104】
撹拌を停止すると、エマルジョンは、水中油型エマルジョンに変化した。このエマルジョンを、少なくとも4時間、5℃の低温チャンバ内に置いた。この段階で、エマルジョンは、油相を50%含有するプレエマルジョンであった。
【0105】
第2のステップ:水相#2(120ml)を、リン酸二ナトリウム及び一カリウムを含有する等張性緩衝液0.02M(pH7.8)と免疫原とで構成する。第1のステップで調製されたプレエマルジョンを、約5℃に冷却し、同じ温度で半分の体積の水相#2を添加することによって希釈し、磁気棒を1分間回転させることによって混合した。LR3エマルジョン中の最終的な界面活性剤濃度は、3.40%(w/v)である。
【0106】
本明細書で調製されるLR3ワクチンは、5℃で少なくとも1年間安定である。
【0107】
BE1エマルジョン 最終的なBE1エマルジョンは、油相を33%含有するO/W型エマルジョンである。
油相(120ml):
オレス−2(Brij(登録商標)92):3.0%w/v
オレス−5(Volpo(登録商標)N5):9.1%w/v
パラフィン油(Marcol 82(登録商標)):86.4%v/v
保存剤:1.5%v/v
水相#1(240ml)
リン酸二ナトリウム及び一カリウムを含有する等張性緩衝液0.02M(pH7.8):100.0%v/vになるまでのQ.S.
【0108】
水相#1は、リン酸二ナトリウム及び一カリウム含有する等張性緩衝液0.02M(pH7.8)を98.5%v/v、及び免疫原を含有する。BE1エマルジョンは、使用前に希釈しない。BE1エマルジョン中の最終的な界面活性剤濃度は4%w/vである。
【実施例2】
【0109】
エマルジョンの安定性
LR4及びLR3組成物は、21℃で少なくとも9カ月間、濃縮免疫原の存在下であっても安定であった。エマルジョンの粒度分布は、この期間中に変化しなかった。
【実施例3】
【0110】
マイコプラズマ・ヒオニューモニエ及びPCV−2混合ワクチン組成物と、子ブタにおける安全性
材料及び方法:LR3又はLR4エマルジョン、不活化マイコプラズマ・ヒオニューモニエ12抗原単位、及び不活化ブタ・シルコウイルス2型2.4 log10(抗原単位)/用量を含有する2種のワクチンを、実施例1で述べたように調製した。3週齢の24匹の子ブタを、ランダムに2つの群に割り当てた。群2の12匹の子ブタには、第0日目に、筋肉内経路によりLR3ワクチン組成物4mlをワクチン接種し、一方、群3の12匹の子ブタには、第0日目に、筋肉内経路によりLR4ワクチン組成物4mlをワクチン接種した。群1は、ワクチン接種していない対照群に相当する。これらの子ブタを毎日モニタする。注射から2週間後、注射部位及び局所病変を観察する。
【0111】
【表1】

【0112】
結果:LR3及びLR4アジュバントは、良好な安全性プロファイルを示した。
【実施例4】
【0113】
LR4エマルジョンでアジュバントした1回分用量のPCV−2ワクチンを投与した後の、血清学的結果
材料及び方法:LR4エマルジョン、CpG ODN#2216 50μg/用量、不活化マイコプラズマ・ヒオニューモニエ1.5抗原単位、及び不活化ブタ・シルコウイルス2型1.5 log10(抗原単位)/用量を含有するワクチンを、実施例1で述べたように調製した。3週齢であり且つ既存の高母性抗体を有する40匹の子ブタを、ランダムに2つの群に割り当てた。群2の20匹の子ブタには、第0日目に針無し注射器で、筋肉内経路によりLR4ワクチン組成物0.5mlをワクチン接種した。群1は、ワクチン接種していない対照群に相当する。ELISAによるPCV−2 ORF2抗体の力価測定のため、血液サンプルを、ワクチン接種後のD0、D21、D41、D63、D84、D126、D153、及びD180に採取した。
【0114】
【表2】

【0115】
結果:以下の表に示されるように、全てのワクチンは、ワクチン接種時に母性抗体が存在する場合であっても、ワクチン接種から7〜180日後に著しい抗PCV−2 ORF2抗体応答を示した。
【実施例5】
【0116】
ヘリコバクターの調製方法
培養:10%ウシ胎児血清(FBS)が補われたブルセラブロス中に溶かした5〜10%接種物を使用して、細菌培養物をグリセロールストックから増殖させた。培養物を、トリプルガスインキュベータ(85%N、10%CO、5%O)内のベントキャップフラスコ内で、37℃で約70rpmで振盪させながら増殖させた。接種時に、診断試験としてTSA+5%の羊の血液(SB)プレートにも曝し、サンプルの純度を決定した。コロニーの形態は点状であり、透明であった。若干の溶血が、3〜4日間インキュベータ内に放置されたプレート上に見られた。培養は、OD600>1まで増殖させるのに24〜36時間かかった。増殖培養物も、TSA+5%SBプレートに曝し、カタラーゼ及びウレアーゼの産生に関して試験をした(ヘリコバクター・セルトは、どちらの場合にも陽性であった)。
【0117】
遠心分離:OD600>1まで増殖させた培養物を、滅菌遠心分離ボトルに一定分量採取し、約8600gでJ10ベックマンロータにより、7500rpmで20分間遠心分離した。上澄みを廃棄し、細胞ペレットを1×リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄した。ペレットをPBS中に再懸濁し、10mlのワクチンバイアルに一定量分取した。
【0118】
凍結乾燥:抗原調剤を、安定剤又は保存剤なしで36時間凍結乾燥した。形のよいケークが観察された。
【0119】
ペプシン消化:ペプシン溶液(0.1%)を10mM HCl中に調製し、0.2ミクロンのフィルタで2回、濾過滅菌した。凍結乾燥した抗原調剤を、ペプシンにより37℃で25時間消化し(ペプシン1μgを、乾燥した細胞集団のmg毎に添加した)、穏やかに揺動させた。100μlのサンプルを、TSA+5%SBプレート(トリプルガス微好気性インキュベータ内で、37℃でインキュベートした)上に、18及び25時間で塗り広げ;96時間後には増殖が見られなかったが、これはペプシン消化に不活化作用があることを示している。
【0120】
PBS中和:抗原調剤は、ペプシン消化後に約2.0のpHを有しており、したがってこの調剤を、2:1体積のPBSで中和した。pHの中和後、pHは約7.0であった。
【実施例6】
【0121】
ペプシン又はホルマリンで処理したヘリコバクター・セルドから調製された抗原調剤の配合
凍結乾燥した細菌を、バイアル当たりLR2アジュバント10mlに即座に溶解することによって、ワクチンを表1に示すように配合する。値は、配合後の各成分の濃度を示している。LR2エマルジョンは、実施例1で述べたLR4エマルジョンに等しい。LR2エマルジョンでは、Lutrol F127の最終濃度が0.175%(w/v)ではなく0.20%(w/v)である。
【0122】
【表3】

【実施例7】
【0123】
H.セルドをベースにしたワクチンによるワクチン接種のための動物及び方法
この調査で使用される動物には、PRRSVを含まず且つM.ヒオニューモニエを含まない従来のブタを選択した。従来の子ブタを選択したが、以前としてその母親と一緒のままである。全てのブタの体重を計量する。これらのブタを、それぞれが少なくとも5匹のブタである2つの群に割り当て、体重、性別、及び出自によって層別化する。全てのブタについて、健康状態を確かめるために試験をする。臨床的に健康な動物のみ、試験に組み入れる。全てのブタを識別化する。これらのブタに、その母親といる間の1週齢及び2週齢で、ワクチン接種をする。1つの群のブタにはワクチン接種をし、1つの群は、ワクチン接種をしない対照としてそのままにする。ワクチン接種した動物は、筋肉内経路を介して1用量(用量当たり2ml)が、それぞれの肩部及び臀部に0.5mlずつ与えられる。ワクチン接種をしない対照は、いかなる注射も受けない。
【0124】
3週齢で、全てのブタを離乳させ、抗原投与する。各群を、隔離施設内の個別の檻に収容する。抗原投与から約28日後、ブタの剖検を行う。最終剖検日に、陰性対照のブタの剖検を行う。実験設計を表2にまとめる。
【0125】
【表4】

【0126】
抗原投与手順及び評価:重篤な臨床的疾病の場合、その動物を快適な状態にするのに必要と考えられる治療薬を、投与してもよい。各動物の耳標番号、疾病の日付、推定診断、治療計画、及び動物の処分を記録することになる。抗原投与後は、いかなる処理も行わない。瀕死の又は損傷を受けた動物は、安楽死させる。不健康な動物(臨床的な疾病又は損傷)は、この調査から除外してもよい。
【0127】
血清学及び皮膚試験:血液を、ワクチン接種前、抗原投与前、及び剖検時に、前大静脈から収集する。ヘリコバクター抗体レベルを測定する。皮膚試験を行う。
【0128】
生成パラメータ:ブタを、到着時、ワクチン接種前、抗原投与前、及び各剖検時に計量して、潜在的な体重増加又は減少を評価する。
【0129】
剖検:ブタを、ヘリコバクター投与に適合するように、28DPIで剖検する。
【実施例8】
【0130】
ヘリコバクター分離株
2種の細菌分離株(2662及び1268)を、微好気性培養及びSkirrowの培地プレートに通すことによって、ブタ胃粘膜から回収した。
【0131】
胃の部位(噴門及び洞)、形態(グラム陰性、短く、曲がった「カモメの羽のような」棒)、ウレアーゼ活性、ウサギ抗Hp抗体との反応性に基づいて、両方の分離株を、SDS−PAGE及びウェスタンブロットプロファイルを基にヘリコバクター属に割り当て、分離株2662はヘリコバクター・ピロリに類似していることが分かり、「ヘリコバクター・セルド」という名称が与えられた。分離株1268は、2662の場合とは異なる特有のプロファイルを有していた。
【実施例9】
【0132】
ウレアーゼ活性により測定された細菌負荷
【0133】
【表5】

【実施例10】
【0134】
胃炎症応答
胃炎症応答(表4)は、胃基底膜への濾胞及びリンパ球浸潤に関して、0、無し;1、軽度;2、中程度;及び3、重度というスケールでスコアを付けた。各ブタに関する全体的な炎症スコアを、胃噴門及び洞における組織学的スコアの合計として計算した。群の平均スコアは、これらから計算した。
【0135】
【表6】

【実施例11】
【0136】
血清学的応答
【0137】
【表7】

【0138】
H.セルドワクチンは、ウレアーゼ活性の強度、組織切片の盲検組織評価、及び強力な血清学的応答に基づいて、防御免疫性の良好な指標をもたらした。Suivaxyn、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ、及びH.セルドを含む混合ワクチンは、同様の抗体応答をもたらした。
【0139】
本発明はさらに、下記の番号を付したパラグラフによって記述される。
1.(1)宿主で免疫応答を誘導することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液;
(2)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール;
(3)鉱油;
(4)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POE−POPブロックコポリマー)、及び/又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される非イオン性親水性界面活性剤
を含む水中油(O/W)型エマルジョン。
2.(1)宿主で免疫応答を誘導することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液;
(2)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POE−POPブロックコポリマー)、及び/又はこれらの任意の組合せの群からなる選択される非イオン性親油性界面活性剤;
(3)鉱油;
(4)非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール
を含む水中油(O/W)型エマルジョン。
3.親油性エトキシル化脂肪アルコールが、分子量の約43%(w/w)以下のエチレンオキシド(EO)を含むパラグラフ1又は2のエマルジョン。
4.親油性POE−POPブロックコポリマーが、約35%(w/w)以下のエチレンオキシドを含むパラグラフ2のエマルジョン。
5.親水性エトキシル化脂肪アルコールが、約43%(w/w)を超えるエチレンオキシド(EO)を含むパラグラフ2のエマルジョン。
6.親水性POE−POPブロックコポリマーが、約55%(w/w)以上のエチレンオキシドを含むパラグラフ1のエマルジョン。
7.エトキシル化脂肪アルコールが、C9〜C22脂肪アルコールであり、有利にはオレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択され、オレイルアルコールが有利であり、1〜4EOを有するエトキシル化オレイルアルコールがより有利であるパラグラフ3のエマルジョン。
8.エトキシル化脂肪アルコールが、C9〜C22脂肪アルコールであり、有利にはオレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択され、オレイルアルコールが有利であり、5〜21EOを有するエトキシル化オレイルアルコールがより有利であるパラグラフ5のエマルジョン。
9.POE−POPブロックコポリマーが、約1000〜約8000のMWを有するパラグラフ4のエマルジョン。
10.POE−POPブロックコポリマーが、約3000〜約16000のMWを有するパラグラフ6のエマルジョン。
11.非イオン性親水性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであるパラグラフ1〜10のいずれかのエマルジョン。
12.エトキシル化脂肪アルコールが、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)96/97、Brij(登録商標)98、Brij(登録商標)721、Brij(登録商標)58、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)78(Uniqema社製)、Volpo(登録商標)N5、Volpo(登録商標)CS6、Volpo(登録商標)CS12、Volpo(登録商標)CS20、Volpo(登録商標)CS25、Volpo(登録商標)CS23(Croda社製)、BL9-EX、BC-7、BT-5、BT-7、BT-9、BT-12、BD-10、BO-7V、BC5.5、BT-5、BL-21、BL-25、BC-15TX、BC-23、BC-25TX、BO-15V、BO-50V、BB-20、(Nikko Chemicals社製)、又はこれらの任意の組合せであるパラグラフ11のエマルジョン。
13.非イオン性親水性界面活性剤が、POE−POPブロックコポリマーであるパラグラフ1〜12のいずれかのエマルジョン。
14.POE−POPブロックコポリマーが、Lutrol(登録商標)F127[ポロキサマー407]、Lutrol(登録商標)F68[ポロキサマー188]、Lutrol(登録商標)F108[ポロキサマー338]、Lutrol(登録商標)F98[ポロキサマー278]、Lutrol(登録商標)F87[ポロキサマー227]、Lutrol(登録商標)F88[ポロキサマー228]、Lutrol(登録商標)F77[ポロキサマー207]、Lutrol(登録商標)F38[ポロキサマー108](BASF社製)、Tetronics(登録商標)T1307、Tetronics(登録商標)T1107、Tetronics(登録商標)T908(BASF社製)、又はこれらの任意の組合せであるパラグラフ13のエマルジョン。
15.非イオン性親油性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであるパラグラフ1〜14のいずれかのエマルジョン。
16.エトキシル化脂肪アルコールが、Brij(登録商標)30、Brij(登録商標)92/93、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)52(Uniqema社製)、Volpo(登録商標)L3、Volpo(登録商標)N3、Volpo(登録商標)L4(Croda社製)、BS-4、BD-2、BD-4、BT-3(Nikko Chemicals社製)、又はこれらの任意の組合せであるパラグラフ15のエマルジョン。
17.非イオン性親油性界面活性剤が、POE−POPブロックコポリマーであるパラグラフ1〜16のいずれかのエマルジョン。
18.POE−POPブロックコポリマーが、Pluronic(登録商標)L121[ポロキサマー401]、Pluronic(登録商標)L101[ポロキサマー331]、Pluronic(登録商標)L81[ポロキサマー221]、Pluronic(登録商標)L62[ポロキサマー182]、Pluronic(登録商標)L43[ポロキサマー123]、Pluronic(登録商標)P103[ポロキサマー333]、Pluronic(登録商標)L123[ポロキサマー403]、Lutrol(登録商標)L63[ポロキサマー183]、Lutrol(登録商標)P122[ポロキサマー402]、Lutrol(登録商標)L92[ポロキサマー272]、Lutrol(登録商標)L72[ポロキサマー202]、Lutrol(登録商標)L42[ポロキサマー122]、Lutrol(登録商標)L61[ポロキサマー181](BASF社製)、Tetronics(登録商標)T1301、Tetronics(登録商標)T701、Tetronics(登録商標)T901(BASF社製)、又はこれらの任意の組合せであるパラグラフ17のエマルジョン。
19.界面活性剤の全体的な濃度がエマルジョンの重量対体積比で、約0.2%〜約6.5%であり、特に約1%〜約6%であり、約1.5%〜約5%が有利であり、約2%〜約3%がより有利であるパラグラフ1〜18のいずれかのエマルジョン。
20.(1)宿主での免疫応答を誘導することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液;
(2)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール;
(3)鉱油;
(4)エチレンオキシド(EO)を約43%を超えかつ約71%(w/w)未満含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール;
(5)エチレンオキシド(EO)を約71%(w/w)以上含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール
を含む水中油(O/W)型エマルジョン。
21.エチレンオキシド(EO)を約43%を超えかつ約71%(w/w)未満含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールが、5〜14のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるパラグラフ20のエマルジョン。
22.エチレンオキシド(EO)を約71%(w/w)以上含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールが、15以上のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるパラグラフ20又は21のエマルジョン。
23.エチレンオキシドを約43%を超えかつ約71%(w/w)未満含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、エマルジョンの重量対体積比によるパーセンテージ(w/v)として表したときに、約1.0%〜約5.0%であり、特に約1.5%〜約4.5%であり、より有利には約2.0%〜約3.5%であるパラグラフ20〜22のいずれかのエマルジョン。
24.約71%(w/w)以上のエチレンオキシドを含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、約0.01%〜約3.0%、特に約0.05%〜約2.5%、より有利には約0.1%〜約2.0%(w/v)の濃度であるパラグラフ20〜23のいずれかのエマルジョン。
25.非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、約0.1%〜約2.5%、特に約0.2%〜約2.0%、有利には約0.2%〜約1.5%、より有利には約0.2%〜約1.2%(w/v)であるパラグラフ20〜24のいずれかのエマルジョン。
26.(1)宿主で免疫応答を誘導することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液;
(2)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール;
(3)鉱油;
(4)非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール;
(5)非イオン性親水性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー
を含む水中油(O/W)型エマルジョン。
27.親水性エトキシル化脂肪アルコールが、約43%を超えかつ約71%(w/w)未満のエチレンオキシドを含むエトキシル化脂肪アルコールであることが有利であるパラグラフ26のエマルジョン。
28.脂肪アルコールが、5〜14のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるパラグラフ27のエマルジョン。
29.非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、エマルジョンの重量対体積(w/v)によるパーセンテージとして表したときに、約1.0%〜約5.0%であり、特に約1.5%〜約4.5%であり、より有利には約2.0%〜約3.5%であるパラグラフ26〜28のいずれかのエマルジョン。
30.非イオン性親水性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの濃度が、約0.01%〜約2.0%、より具体的には約0.1%〜約1.5%(w/v)であるパラグラフ26〜29のいずれかのエマルジョン。
31.非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、約0.1%〜約2.5%、特に約0.2%〜約2.0%、有利には約0.2%〜約1.5%、より有利には約0.2%〜約1.2%(w/v)であるパラグラフ26〜30のいずれかのエマルジョン。
32.エマルジョンの転相温度(PIT)が25℃以上であるパラグラフ1〜31のいずれかのエマルジョン。
33.PITが、約28℃〜約65℃であり、より具体的には約33℃〜約60℃であるパラグラフ32のエマルジョン。
34.エマルジョンが、エマルジョンの体積対体積(v/v)により示したときに、約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含むパラグラフ1〜33のいずれかのエマルジョン。
35.油が鉱油であるパラグラフ34のエマルジョン。
36.鉱油が、イソパラフィン系油及び/又はナフタレン系油などのパラフィン油、スクアラン、スクアレン、プリスタン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、ポリイソプレン、及びポリイソプロペンなどであるパラグラフ35のエマルジョン。
37.鉱油が、15個よりも多いくつかの炭素原子、有利には15〜32個の炭素原子を有し、且つ芳香族化合物を含まない、直鎖状又は分枝状の炭素鎖を含むパラグラフ34又は35のエマルジョン。
38.油が、MARCOL(登録商標)52又はMARCOL(登録商標)82(Esso社製)、又は「DRAKEOL(登録商標)6VR」(Penreco社製)という名称で市販されているパラグラフ37のエマルジョン。
39.油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含んだ油の混合物であるパラグラフ34〜38のいずれかのエマルジョン。
40.油の混合物が、少なくとも1種の植物油を含むパラグラフ39のエマルジョン。
41.植物油が、油相の約0.1%〜約33%に相当し、約5%〜約15%v/vが有利であるパラグラフ40のエマルジョン。
42.植物油が、落花生油、ナッツ油、ヒマワリ油、紅花油、大豆油、及び月見草油などであるパラグラフ40又は41のエマルジョン。
43.パラフィン油;非イオン性親油性界面活性剤として2〜3EOを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として5〜6EOを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として約70〜80%のEO及び約9800〜16000のMWを有するPOE−POPブロックコポリマーを含むエマルジョン。
44.パラフィン油の濃度が、約5%〜約50%、有利には約15%〜約30%(v/v)であり;2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が、0.1%〜1.5%、有利には0.1%〜1.2%(w/v)であり;5〜6のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールが1%〜5%、有利には1%〜4%(w/v)であり;約70〜80%のEO及び約9800〜16000のMWを有するPOE−POPブロックコポリマーの濃度が、0.01%〜2%、有利には0.05%〜1.5%(w/v)であるパラグラフ43のエマルジョン。
45.パラフィン油、非イオン性親油性界面活性剤として2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として10のOEを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として約70〜80%のEO及び約9800〜16000のMWを有するPOE−POPブロックコポリマーを含むエマルジョン。
46.パラフィン油の濃度が、5%〜50%、有利には15%〜30%(v/v)であり;2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が、0.2%〜3%、有利には0.5%〜3%(w/v)であり;10のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールが0.2%〜3%、有利には0.5%〜3%(w/v)であり;約70〜80%のEO及び約9800〜16000のMWを有するPOE−POPブロックコポリマーの濃度が、0.01%〜2%、有利には0.05%〜1.5%(w/v)であるパラグラフ45のエマルジョン。
47.パラフィン油、非イオン性親油性界面活性剤として2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール、及び非イオン性親水性界面活性剤として5〜6のOEを有するエトキシル化オレイルアルコールを含むエマルジョン。
48.パラフィン油の濃度が、5%〜50%、有利には15%〜35%(v/v)であり;2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が0.1%〜3%、有利には0.5%〜2%(w/v)であり;5〜6のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が1%〜5%、有利には2.0%〜4.5%(w/v)であるパラグラフ47のエマルジョン。
49.宿主で免疫応答を誘導することが可能なワクチン抗原又は免疫原を、パラグラフ1〜48のいずれかのエマルジョンと混合するステップを含む、ワクチン組成物を作製する方法。
50.パラグラフ1〜48のいずれかのエマルジョン又はパラグラフ49のワクチン組成物を宿主に投与するステップを含む、宿主で免疫応答を誘導する方法。
51.パラグラフ49又は50の方法を実施するためのキットであって、パラグラフ1〜48のいずれかのエマルジョン又はパラグラフ49のワクチン組成物と、この方法を実施するための取扱い説明書とを含むキット。
【0140】
本発明の有利な実施形態について、このように詳細に述べてきたが、上記パラグラフによって定義された本発明は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなくその多くの明らかな変形例が可能であるので、上記説明で述べた特定の詳細に限定すべきではないことが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)宿主で免疫応答を誘導することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液;
(2)非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコール;
(3)鉱油;
(4)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POE−POPブロックコポリマー)、及び/又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される非イオン性親水性界面活性剤
を含む水中油(O/W)型エマルジョン。
【請求項2】
(1)宿主で免疫応答を誘導することが可能なワクチン抗原又は免疫原を含有する水溶液;
(2)エトキシル化脂肪アルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(POE−POPブロックコポリマー)、及び/又はこれらの任意の組合せからなる群から選択される非イオン性親油性界面活性剤;
(3)鉱油;
(4)非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール
を含む水中油(O/W)型エマルジョン。
【請求項3】
親油性エトキシル化脂肪アルコールが、分子量の約43%(w/w)以下のエチレンオキシド(EO)を含むか、又は
親水性POE−POPブロックコポリマーが、約55%(w/w)以上のエチレンオキシドを含むか、又は
親油性エトキシル化脂肪アルコールが、分子量の約43%(w/w)以下のエチレンオキシド(EO)を含み、且つ
エトキシル化脂肪アルコールがC9〜C22脂肪アルコールであり、有利にはオレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択され、有利にはオレイルアルコールであり、より有利には1〜4のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるか、又は
親水性POE−POPブロックコポリマーが、約55%(w/w)以上のエチレンオキシドを含み、且つ
POE−POPブロックコポリマーが、約3000〜約16000のMWを有するか、又は
非イオン性親水性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであるか、又は
親水性エトキシル化脂肪アルコールが、約43%(w/w)を超えるエチレンオキシドを含むか、又は
親水性エトキシル化脂肪アルコールが約43%(w/w)を超えるエチレンオキシドを含み、エトキシル化脂肪アルコールがC9〜C22脂肪アルコールであり、有利にはオレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択され、有利にはオレイルアルコールであり、より有利には5〜21のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールであり、又は
非イオン性親水性界面活性剤がエトキシル化脂肪アルコールであり、且つ
エトキシル化脂肪アルコールが、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)96/97、Brij(登録商標)98、Brij(登録商標)721、Brij(登録商標)58、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)78(Uniqema社製)、Volpo(登録商標)N5、Volpo(登録商標)CS6、Volpo(登録商標)CS12、Volpo(登録商標)CS20、Volpo(登録商標)CS25、Volpo(登録商標)CS23(Croda社製)、BL9-EX、BC-7、BT-5、BT-7、BT-9、BT-12、BD-10、BO-7V、BC5.5、BT-5、BL-21、BL-25、BC-15TX、BC-23、BC-25TX、BO-15V、BO-50V、BB-20、(Nikko Chemicals社製)、又はこれらの任意の組合せであるか、又は
非イオン性親水性界面活性剤がPOE−POPブロックコポリマーであるか、又は
非イオン性親水性界面活性剤がPOE−POPブロックコポリマーであり、且つ
POE−POPブロックコポリマーが、Lutrol(登録商標)F127[ポロキサマー407]、Lutrol(登録商標)F68[ポロキサマー188]、Lutrol(登録商標)F108[ポロキサマー338]、Lutrol(登録商標)F98[ポロキサマー278]、Lutrol(登録商標)F87[ポロキサマー227]、Lutrol(登録商標)F88[ポロキサマー228]、Lutrol(登録商標)F77[ポロキサマー207]、Lutrol(登録商標)F38[ポロキサマー108](BASF社製)、Tetronics(登録商標)T1307、Tetronics(登録商標)T1107、Tetronics(登録商標)T908(BASF社製)、又はこれらの任意の組合せであるか、又は
非イオン性親油性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであるか、又は
非イオン性親油性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであり、且つ
エトキシル化脂肪アルコールが、Brij(登録商標)30、Brij(登録商標)92/93、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)52(Uniqema社製)、Volpo(登録商標)L3、Volpo(登録商標)N3、Volpo(登録商標)L4(Croda社製)、BS-4、BD-2、BD-4、BT-3(Nikko Chemicals社製)、又はこれらの組合せであるか、又は
界面活性剤の全体的な濃度が、エマルジョンの重量対体積比で約0.2%〜約6.5%、特に約1%〜約6%、有利には約1.5%〜約5%、より有利には約2%〜約3%である、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項4】
親油性エトキシル化脂肪アルコールが、分子量の約43%(w/w)以下のエチレンオキシド(EO)を含むか、又は
親油性POE−POPブロックコポリマーが、約35%(w/w)以下のエチレンオキシドを含むか、又は
親水性エトキシル化脂肪アルコールが、約43%(w/w)を超えるエチレンオキシド(EO)を含むか、又は
親油性エトキシル化脂肪アルコールが、分子量の約43%(w/w)以下のエチレンオキシド(EO)を含み、且つ
エトキシル化脂肪アルコールがC9〜C22脂肪アルコールであり、有利にはオレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択され、有利にはオレイルアルコールであり、より有利には1〜4EOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるか、又は
親水性エトキシル化脂肪アルコールが、約43%(w/w)を超えるエチレンオキシド(EO)を含み、且つ
エトキシル化脂肪アルコールがC9〜C22脂肪アルコールであり、有利にはオレイル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ラウリルアルコール、及びこれらの組合せからなる群から選択され、有利にはオレイルアルコールであり、より有利には5〜21EOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるか、又は
親油性POE−POPブロックコポリマーが、約35%(w/w)以下のエチレンオキシドを含み、且つ
POE−POPブロックコポリマーが、約1000〜約8000のMWを有するか、又は
非イオン性親水性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであるか、又は
非イオン性親水性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであり、且つ
エトキシル化脂肪アルコールが、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)96/97、Brij(登録商標)98、Brij(登録商標)721、Brij(登録商標)58、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)78(Uniqema社製)、Volpo(登録商標)N5、Volpo(登録商標)CS6、Volpo(登録商標)CS12、Volpo(登録商標)CS20、Volpo(登録商標)CS25、Volpo(登録商標)CS23(Croda社製)、BL9-EX、BC-7、BT-5、BT-7、BT-9、BT-12、BD-10、BO-7V、BC5.5、BT-5、BL-21、BL-25、BC-15TX、BC-23、BC-25TX、BO-15V、BO-50V、BB-20、(Nikko Chemicals社製)、又はこれらの任意の組合せであるか、又は
非イオン性親油性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであるか、又は
非イオン性親油性界面活性剤が、エトキシル化脂肪アルコールであり、且つ
エトキシル化脂肪アルコールが、Brij(登録商標)30、Brij(登録商標)92/93、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)52(Uniqema社製)、Volpo(登録商標)L3、Volpo(登録商標)N3、Volpo(登録商標)L4(Croda社製)、BS-4、BD-2、BD-4、BT-3(Nikko Chemicals社製)、又はこれらの組合せであるか、又は
非イオン性親油性界面活性剤が、POE−POPブロックコポリマーであるか、又は
非イオン性親油性界面活性剤が、POE−POPブロックコポリマーであり、且つ
POE−POPブロックコポリマーが、Pluronic(登録商標)L121[ポロキサマー401]、Pluronic(登録商標)L101[ポロキサマー331]、Pluronic(登録商標)L81[ポロキサマー221]、Pluronic(登録商標)L62[ポロキサマー182]、Pluronic(登録商標)L43[ポロキサマー123]、Pluronic(登録商標)P103[ポロキサマー333]、Pluronic(登録商標)L123[ポロキサマー403]、Lutrol(登録商標)L63[ポロキサマー183]、Lutrol(登録商標)P122[ポロキサマー402]、Lutrol(登録商標)L92[ポロキサマー272]、Lutrol(登録商標)L72[ポロキサマー202]、Lutrol(登録商標)L42[ポロキサマー122]、Lutrol(登録商標)L61[ポロキサマー181](BASF社製)、Tetronics(登録商標)T1301、Tetronics(登録商標)T701、Tetronics(登録商標)T901(BASF社製)、又はこれらの任意の組合せであるか、又は
界面活性剤の全体的な濃度がエマルジョンの重量対体積比で約0.2%〜約6.5%、特に約1%〜約6%、有利には約1.5%〜約5%、より有利には約2%〜約3%である、請求項2に記載のエマルジョン。
【請求項5】
非イオン性親水性界面活性剤が、約43%を超えかつ約71%(w/w)未満のエチレンオキシド(EO)を含んだ非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールと、約71%(w/w)以上のエチレンオキシド(EO)を含んだ非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールとを含む請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項6】
約43%を超えかつ約71%(w/w)未満のエチレンオキシド(EO)を含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールが、5〜14EOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるか、又は
約71%(w/w)以上のエチレンオキシド(EO)を含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールが、15以上のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるか、又は
約43%を超えかつ約71%(w/w)未満のエチレンオキシドを含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、エマルジョンの重量対体積比(w/v)によるパーセンテージとして表したときに、約1.0%〜約5.0%、特に約1.5%〜約4.5%、より有利には約2.0%〜約3.5%であるか、又は
約71%(w/w)以上のエチレンオキシドを含む非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、約0.01%〜約3.0%、特に約0.05%〜約2.5%、より有利には約0.1%〜約2.0%(w/v)であるか、又は
非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、約0.1%〜約2.5%、特に約0.2%〜約2.0%、有利には約0.2%〜約1.5%、より有利には約0.2%〜約1.2%(w/v)である、請求項5に記載のエマルジョン。
【請求項7】
非イオン性親水性界面活性剤が、非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコール及び非イオン性親水性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含む請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項8】
親水性エトキシル化脂肪アルコールが、有利には約43%を超えかつ約71%(w/w)未満のエチレンオキシドを含むエトキシル化脂肪アルコールであるか、又は
脂肪アルコールが、5〜14のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールであるか、又は
非イオン性親水性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、エマルジョンの質量体積比(w/v)によるパーセンテージとして表したときに、約1.0%〜約5.0%、特に約1.5%〜約4.5%、より有利には約2.0%〜約3.5%であるか、又は
非イオン性親水性ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの濃度が、約0.01%〜約2.0%、より具体的には約0.1%〜約1.5%(w/v)であるか、又は
非イオン性親油性エトキシル化脂肪アルコールの濃度が、約0.1%〜約2.5%、特に約0.2%〜約2.0%、有利には約0.2%〜約1.5%、より有利には約0.2%〜約1.2%(w/v)である、請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項9】
エマルジョンの転相温度(PIT)が25℃以上であるか、又は
エマルジョンの転相温度(PIT)が25℃以上であり、且つ
PITが約28℃〜約65℃、より具体的には約33℃〜約60℃である、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項10】
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含むか、又は
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ
油が鉱油であるか、又は
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ、
油が鉱油であり、且つ
鉱油が、イソパラフィン系油及び/又はナフタレン系油などのパラフィン油、スクアラン、スクアレン、プリスタン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、ポリイソプレン、及びポリイソプロペンなどであるか、又は
エマルジョンがエマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ
油が鉱油であり、且つ
鉱油が、15個よりも多いいくつかの炭素原子、有利には15〜32個の炭素原子を有し且つ芳香族化合物を含まない、直鎖状又は分枝状の炭素鎖を含むか、又は
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ
油が鉱油であり、且つ
鉱油が、15個よりも多いいくつかの炭素原子、有利には15〜32個の炭素原子を有し且つ芳香族化合物を含まない、直鎖状又は分枝状の炭素鎖を含み、且つ
油が、MARCOL(登録商標)52又はMARCOL(登録商標)82(Esso社製)又は「DRAKEOL(登録商標)6VR」(Penreco社製)という名称で市販されているか、又は
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であるか、又は
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であり、且つ
油の混合物が、少なくとも1種の植物油を含むか、又は
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であり、且つ
油の混合物が、少なくとも1種の植物油を含み、且つ
植物油が、油相の約0.1%〜約33%、有利には約5%〜約15%v/vに相当し、
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であり、且つ
油の混合物が、少なくとも1種の植物油を含み、且つ
植物油が、落花生油、ナッツ油、ヒマワリ油、紅花油、大豆油、及び月見草油などである、請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項11】
エマルジョンの転相温度(PIT)が25℃以上であるか、又は
エマルジョンの転相温度(PIT)が25℃以上であり、且つ
PITが、約28℃〜約65℃であり、より具体的には約33℃〜約60℃である請求項2に記載のエマルジョン。
【請求項12】
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含むか、又は
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ
油が鉱油であるか、又は
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ、
油が鉱油であり、且つ
鉱油が、イソパラフィン系油及び/又はナフタレン系油などのパラフィン油、スクアラン、スクアレン、プリスタン、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、ポリイソプレン、及びポリイソプロペンなどであるか、又は
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ
油が鉱油であり、且つ
鉱油が、15個よりも多いいくつかの炭素原子、有利には15〜32個の炭素原子を有し且つ芳香族化合物を含まない、直鎖状又は分枝状の炭素鎖を含むか、又は
エマルジョンが、エマルジョンの体積比(v/v)で約2%〜約50%の油及び界面活性剤を含む油相を含み、特に約4%〜約40%、有利には約8%〜約35%、より有利には約15%〜約30%の油相を含み、且つ
油が鉱油であり、且つ
鉱油が、15個よりも多いいくつかの炭素原子、有利には15〜32個の炭素原子を有し且つ芳香族化合物を含まない、直鎖状又は分枝状の炭素鎖を含み、且つ
油が、MARCOL(登録商標)52又はMARCOL(登録商標)82(Esso社製)又は「DRAKEOL(登録商標)6VR」(Penreco社製)という名称で市販されているか、又は
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であるか、又は
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であり、且つ
油の混合物が、少なくとも1種の植物油を含むか、又は
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であり、且つ
油の混合物が、少なくとも1種の植物油を含み、且つ
植物油が、油相の約0.1%〜約33%、有利には約5%〜約15%v/vに相当し、
油が、少なくとも2種の油を任意の比率で含む油の混合物であり、且つ
油の混合物が、少なくとも1種の植物油を含み、且つ
植物油が、落花生油、ナッツ油、ヒマワリ油、紅花油、大豆油、及び月見草油などである請求項2に記載のエマルジョン。
【請求項13】
ワクチン抗原又は免疫原が、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)、ブタ・シルコウイルス2(porcine circovirus 2)、又はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)である請求項1に記載のエマルジョン。
【請求項14】
ワクチン抗原又は免疫原が、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ、ブタ・シルコウイルス2、又はヘリコバクター・ピロリである請求項2に記載のエマルジョン。
【請求項15】
パラフィン油、非イオン性親油性界面活性剤として2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として10のOEを有するエトキシル化オレイルアルコール;非イオン性親水性界面活性剤として約70〜80%のEO及び約9800〜16000のMWを有するPOE−POPブロックコポリマーを含むエマルジョン。
【請求項16】
パラフィン油の濃度が5%〜50%、有利には15%〜30%(v/v)であり;2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が0.2%〜3%、有利には0.5%〜3%(w/v)であり;10のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が0.2%〜3%、有利には0.5%〜3%(w/v)であり;約70〜80%のEO及び約9800〜16000のMWを有するPOE−POPブロックコポリマーの濃度が0.01%〜2%、有利には0.05%〜1.5%(w/v)である請求項15に記載のエマルジョン。
【請求項17】
パラフィン油、非イオン性親油性界面活性剤として2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコール、及び非イオン性親水性界面活性剤として5〜6のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールを含むエマルジョン。
【請求項18】
パラフィン油の濃度が5%〜50%、有利には15%〜35%(v/v)であり;2〜3のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が0.1%〜3%、有利には0.5%〜2%(w/v)であり;5〜6のEOを有するエトキシル化オレイルアルコールの濃度が1%〜5%、有利には2.0%〜4.5%(w/v)である請求項17に記載のエマルジョン。
【請求項19】
請求項15に記載のエマルジョンとワクチン抗原又は免疫原とを含む組成物であって、ワクチン抗原又は免疫原が、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ、ブタ・シルコウイルス2、又はヘリコバクター・ピロリである組成物。
【請求項20】
請求項17に記載のエマルジョンとワクチン抗原又は免疫原とを含む組成物であって、ワクチン抗原又は免疫原が、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ、ブタ・シルコウイルス2、又はヘリコバクター・ピロリである組成物。

【公表番号】特表2008−536860(P2008−536860A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506708(P2008−506708)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/013936
【国際公開番号】WO2006/113373
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(304040692)メリアル リミテッド (73)
【Fターム(参考)】