説明

新規な10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物及びその製造方法

【課題】高屈折率を有し、紫外域の吸収や蛍光の問題が無い化合物を提供する。
【解決手段】式(1)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物。


(Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を、Zは水素原子、アルキル基、アシル基のいずれかを、X、Yは水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族骨格を有するアクリレート化合物は、脂肪族アクリレート化合物や脂環式アクリレート化合物に比べ、屈折率が高いなどの優れた物性を示すことが知られており、その重合物は、屈折率が高く、耐熱性にも優れていることから、光学製品製造用材料、反射防止膜、プラスチックレンズなどの用途に使用されている。
【0003】
芳香族骨格を有するアクリレート化合物として、例えば、フェニル基を有するフェノキシエチルアクリレート化合物について、いくつかの提案がされている(特許文献1、特許文献2)。また、ナフタレン骨格を有するアクリレート化合物の重合体についても、いくつかの提案がされている(特許文献3、特許文献4参照)。
【0004】
しかし、これらの芳香族骨格を有するアクリレート化合物の重合物は、耐熱性や屈折率は高いものの、重合速度は必ずしも実用的なものとはいえず、これらの芳香族骨格を有するアクリレート化合物を単独で重合させたポリマーとして用いるのではなく、アクリル酸エステルやスチレンなどの汎用モノマーと当該芳香族骨格を有するアクリレート化合物を共重合させ、汎用性ポリマーの耐熱性や屈折率などの物性を改良するという用途で用いられている場合が多い。
【0005】
共重合に用いられる芳香族骨格を有するアクリレート化合物としては、少量の添加で耐熱性や屈折率を改良できることが好ましく、その意味で、高屈折率の化合物が好ましく、ベンゼン環やナフタレン環より更に縮合度が高い多環芳香族であり、かつ、重合性の高い化合物が望まれている。
【0006】
このような、さらに縮合度の高い環として、フルオレン環(特許文献5参照)やアントラセン環(特許文献6、7参照)を持つ化合物が検討されている。
【0007】
しかしながら、アントラセン環やフルオレン環の場合(特許文献5参照)、比較的高い屈折率を持つ化合物が得られるが、フルオレン環を導入した場合は、紫外領域に吸収があり、光照射により着色しやすくなり、耐光性に問題が出てくる。またアントラセン環を導入した場合はアントラセン環が蛍光を発するため、光学材料分野での適用は困難である等の問題がある。
【0008】
また、アントラセン環を持つアクリレート化合物の場合、ポリマー原料としてではなく、ポリマー添加剤として検討されている(特許文献6参照)。
【0009】
また、特許文献6で示されたアントラセン環を持つアクリレート化合物は2官能性であり、他のモノマーと共重合した場合架橋反応が起き、粘度が高くなりすぎる欠点がある。このため、縮合多環性であり、高屈折率を有しかつ単官能のアクリレート化合物が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2002−511012号公報
【特許文献2】特表2002−511598号公報
【特許文献3】特開2001−276587号公報
【特許文献4】特開平07−077637号公報
【特許文献5】特開2004−083855号公報
【特許文献6】特開2007−99637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
よって、汎用モノマーと共重合可能であり、かつ、高屈折率を有する多環芳香族化合物であり、アントラセン基やフルオレン基にみられるような紫外域の吸収や蛍光の問題が無いモノ(メタ)アクリレート化合物の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、多環芳香族化合物を有するモノ(メタ)アクリレート化合物の構造と屈折率及び光重合性に関して鋭意検討した結果、1,4−ジヒドロアントラセン骨格を有する10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物が、多環芳香族化合物であるにもかかわらず蛍光を示さず、1.59以上と言う高い屈折率を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
第一発明では、下記一般式(1)で示される10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物を提供する。
【0014】
【化1】

【0015】
(一般式(1)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは水素原子、アルキル基又はアシル基のいずれかを示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0016】
第二発明では、下記一般式(2)で示される10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物を提供する。
【0017】
【化2】

【0018】
(一般式(2)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0019】
第三発明では、下記一般式(3)で示される10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物を提供する。
【0020】
【化3】

【0021】
(一般式(3)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは、アルキル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0022】
第四発明では、下記一般式(4)で示される10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物を提供する。
【0023】
【化4】

【0024】
(一般式(4)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zはアシル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0025】
第五発明では、下記一般式(5)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をモノ(メタ)アクリロイル化することよりなる第二発明に記載の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0026】
【化5】

【0027】
(一般式(5)中、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0028】
第六発明では、下記一般式(5)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をモノ(メタ)アクリロイル化した後、得られた10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物をエーテル化することよりなる第三発明に記載の10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0029】
【化6】

【0030】
(一般式(5)中、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0031】
第七発明では、一般式(5)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をモノ(メタ)アクリロイル化した後、得られた10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物をアシル化することよりなる第四発明に記載の10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0032】
【化7】

【0033】
(一般式(5)中、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0034】
本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを表し、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイルまたはメタクリロイルを表す。
【発明の効果】
【0035】
本発明の10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は新規な化合物であり、かつ高い屈折率を示し、工業的に有用な化合物である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は下記一般式(1)で示される構造を有する化合物である。
【0037】
【化8】

【0038】
一般式(1)中において、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは水素原子、アルキル基、アシル基のいずれかを示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0039】
一般式(1)中、Zで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。Zで表されるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
【0040】
一般式(1)中、X及びYで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、よう素原子が挙げられる。
【0041】
一般式(1)に示す10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物としては、例えば次のものが挙げられる。
【0042】
まず、一般式(1)においてZが水素原子である場合は、下記一般式(2)の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物となる。
【0043】
【化9】

【0044】
(一般式(2)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0045】
その具体例としては、例えば次のものが挙げられる。まず、X及びYが水素原子の場合は、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートが挙げられる。
【0046】
次に、X及び/又はYが、アルキル基の場合は、1−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート等が挙げられる。
【0047】
次に、X及び/又はYが、ハロゲン原子である場合の具体例としては、例えば、2−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート等が挙げられる。
【0048】
また、一般式(1)においてZがアルキル基である場合は、一般式(3)の10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物となる。
【0049】
【化10】

【0050】
(一般式(3)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは、アルキル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0051】
その具体例としては、例えば次のものが挙げられる。まず、X及びYが水素原子の場合は、10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート等が挙げられる。
【0052】
次に、X及び/又はYが、アルキル基の場合は、1−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、1−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、1−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート等が挙げられる。
【0053】
次に、X及び/又はYが、ハロゲン原子である場合の具体例としては、例えば、2−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−エトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−ブトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートなどが挙げられる。
【0054】
さらにまた、一般式(1)においてZがアシル基である場合は、一般式(4)の10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物となる。
【0055】
【化11】

【0056】
(一般式(4)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zはアシル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0057】
その具体例としては、例えば次のものが挙げられる。まず、X及びYが水素原子の場合は、10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−ブチリルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−ブチリルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート等が挙げられる。
【0058】
次に、X及び/又はYが、アルキル基の場合は、1−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、1−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、1−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、1−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、1−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、1−メチル−4−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−4−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、4−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、4−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−メチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジメチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジメチル−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート等が挙げられる。
【0059】
次に、X及び/又はYが、ハロゲン原子である場合の具体例としては、例えば、2−クロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、3−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、3−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、5−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、5−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−410−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、6−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、6−クロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−(n−ブチリルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、2,6−ジクロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート、2,6−ジクロロ−10−(2−ナフチルカルボニルオキシ)−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート等が挙げられる。
【0060】
これらの化合物のうち、下記の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート、10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートが合成容易でありかつ得られる生成物の屈折率が高いことから特に好ましい。
【0061】
[製造方法]
<一般式(2)の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の製造方法>
本発明の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は、一般式(5)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物を塩基の存在下ハロゲン化(メタ)アクリロイルと反応させる第一反応により得られる。
【0062】
【化12】

【0063】
上記反応式において、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0064】
第一反応において、原料として用いられる1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物としては、例えば、次のような化合物が挙げられる。すなわち、1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、1−メチル−1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、5−メチル−1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、6−メチル−1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール、6−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノアントラセン−9,10−ジオール、5−クロロ−1,4−ジヒドロ−1,4−メタノアントラセン−9,10−ジオール等が挙げられる。
【0065】
これらの1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物は、対応する1,4−ナフトキノン化合物とブタジエン化合物のディールス・アルダー反応によって得られた環状付加物を酸性あるいはアルカリ性で異性化することにより得ることができる。
【0066】
第一反応においては、通常原料の1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物に対してほぼ等モルの塩基を用いてモノ金属塩を調製し、次いで等モル以上の(メタ)アクリロイル化剤を用いてモノ(メタ)アクリロイル化を行わせる。
【0067】
第一反応に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。特に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0068】
第一反応に用いる塩基の添加量は、1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物1モルに対して、通常1.0モル倍以上1.4モル倍未満である。塩基の使用量が少なすぎると、原料の1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物が残留し、一方、塩基の使用量が多すぎると、副生物である(メタ)アクリロイル基が二つ入った9,10−ジ(メタ)アクリロイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセンの生成が増えて10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の生成率が低下し好ましくない。
【0069】
第一反応に用いることができる(メタ)アクリロイル化剤としては、ハロゲン化(メタ)アクリロイルが好適に用いられる。ハロゲン原子が塩素原子の場合は、塩化アクリロイル又は塩化メタクリロイルとなり、ハロゲン原子が臭素原子の場合は、臭化アクリロイル又は臭化メタクリロイルとなる。その中でも特に塩化アクリロイル又は塩化メタクリロイルが収率よく目的物が得られるため、好ましい。1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物に塩化アクリロイルを反応させると、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレート化合物が得られる。一方、塩化メタクリロイルを反応させると、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート化合物が得られる。
【0070】
第一反応に用いるハロゲン化(メタ)アクリロイルの添加量は、1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物1モルに対して、通常1.0モル倍以上2.0モル倍未満、好ましくは1.3モル倍以上1.7モル倍未満である。1.0モル倍未満の場合は、原料の1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物が未反応のまま残ってしまい、一方、2.0モル倍以上の場合は、ハロゲン化(メタ)アクリロイルが一部重合し、得られた10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の純度が低下してしまい、いずれも好ましくない。
【0071】
第一反応は、通常は溶媒の存在下で行なう。溶媒の種類は特に制限されないが、水相及び有機相からなる二相系で反応を行なうことが好ましい。
【0072】
水相及び有機相からなる二相系で(メタ)アクリロイル化する場合、通常は溶媒として、水と、有機相を形成する一又は二以上の有機溶媒とを併用することが好ましい。用いることができる有機溶媒の例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン等の脂肪族炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。単独で用いる場合は、トルエンが好ましく、二種以上を組み合わせて用いる場合の有機溶媒の組み合わせとしては、トルエンとヘキサン又はトルエンとヘプタンの組み合わせが好ましい。
【0073】
第一反応において、反応温度の制御および選択率向上の観点から、原料であるハロゲン化(メタ)アクリロイルを1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物、塩基と有機溶媒等との溶液中に攪拌しながら滴下する方法が好ましい。
【0074】
第一反応において、(メタ)アクリロイル化反応は冷却しながら行なうことが好ましい。具体的には、反応温度を通常10℃以下、中でも5℃以下で、水相が凝固しない温度以上とすることが好ましい。発熱により反応温度が上昇しすぎると、得られる10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の選択率が低下する傾向があり、また、得られる10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物が加水分解してしまう場合があり、いずれも好ましくない。
【0075】
第一反応において、(メタ)アクリロイル化反応に要する時間は、特に限定されないが、通常5分以上2時間未満、特に10分以上30分未満の範囲が好ましい。
【0076】
<一般式(3)で表される10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレートの製造方法>
本発明の10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は、まず、一般式(5)で表される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をハロゲン化(メタ)アクリロイルと反応させる第一反応により、一般式(2)で表される10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−(メタ)アクリレート化合物としたのち、当該10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−(メタ)アクリレート化合物を塩基の存在下、エーテル化剤と反応させる第二反応により得ることができる。
【0077】
【化13】

【0078】
上記反応式において、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0079】
【化14】

【0080】
上記反応式において、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは、アルキル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0081】
第二反応に用いることができるエーテル化剤としては、ジアルキル硫酸、ハロゲン化アルキル又は酸化アルキレン等が用いられる。代表的なジアルキル硫酸としては、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸、ジブチル硫酸等が挙げられル。また、ハロゲン化アルキルとしては、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、臭化ペンチル、臭化ヘキシル、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、塩化ペンチル、塩化ヘキシル等が挙げられる。
【0082】
第二反応に用いるエーテル化剤の添加量は、エーテル化剤の種類により異なる。エーテル化剤がジアルキル硫酸又はハロゲン化アルキルの場合は、エーテル化剤の添加量は10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレート化合物1モルに対して、通常1.0モル倍以上2.0モル倍未満、好ましくは1.2モル倍以上1.5モル倍未満である。1.0モル倍未満の場合は、原料の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレート化合物が未反応のまま残ってしまい、一方、2.0モル倍以上の場合は、得られた10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレートの純度が低下してしまい、いずれも好ましくない。
【0083】
第二反応において用いる塩基としては、無機塩基が挙げられる。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0084】
第二反応に用いる無機塩基の添加量は、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレート1モルに対して、通常1.0モル倍以上1.5モル倍未満である。塩基の使用量が少なすぎると、原料の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレートが未反応で残り、目的とする10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレートの純度が低下する。又、無機塩基の使用量が多すぎると、原料の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレートが分解する場合があり好ましくない。
【0085】
第二反応は、通常は溶媒の存在下で行なう。溶媒の種類は特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;メタンノール、エタノール,n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール系溶媒;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等のアミド系溶媒が好適に用いられる。
【0086】
第二反応は、冷却しながら行なうことが好ましい。具体的には、反応温度を通常10℃以下、中でも5℃以下で、水相が凝固しない温度以上とすることが好ましい。発熱により反応温度が上昇しすぎると、得られる10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9―(メタ)アクリレートの選択率が低下する傾向があり、また、得られる10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物が加水分解してしまう場合があり、いずれも好ましくない。
【0087】
第二反応に要する時間は、エーテル化剤の種類と反応温度によるが、エーテル化剤がジアルキル硫酸である場合は、通常5分以上2時間未満、特に10分以上1時間未満が好ましい。又、エーテル化剤がハロゲン化アルキルである場合は、通常1時間以上、5時間未満である。
【0088】
<一般式(4)で表される10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレートの製造方法>
本発明の10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は、まず、一般式(5)で表される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をハロゲン化(メタ)アクリロイルと反応させる第一反応により、一般式(2)で表される10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−(メタ)アクリレート化合物としたのち、当該10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−(メタ)アクリレート化合物を塩基の存在下、アシル化剤と反応させる第三反応により得ることができる。
【0089】
【化15】

【0090】
上記反応式において、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0091】
【化16】

【0092】
上記反応式において、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zはアシル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。
【0093】
第三反応に用いるアシル化剤としては、塩化アセチル、臭化アセチル、塩化プロパノイル、塩化ブタノイル等のカルボン酸ハライド類;無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の無水カルボン酸類;塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、塩化−1−ナフトイル、塩化−2−ナフトイル等のカルボン酸ハライド類;安息香酸無水物等の無水カルボン酸類等が挙げられる。
【0094】
第三反応において、アシル化剤の添加量は、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物1モルに対してカルボン酸ハライドの場合もカルボン酸無水物の場合も、1モル倍以上 2モル倍未満が好ましく、より好ましくは1.1モル倍以上1.5モル倍未満である。1モル倍未満の場合は未反応の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物が残留し、また、2モル倍以上の場合は、アシル化剤が多量に反応物に残るため、生成物が結晶化し難くなり、いずれも好ましくない。
【0095】
第三反応に用いる塩基としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン等が挙げられる。塩基の添加量は通常、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物1モルに対して、1モル倍以上2モル倍未満、より好ましくは1.1モル倍以上1.3モル倍未満である。
【0096】
第三反応は通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒;塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドのようなアミド系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。アシル化剤を溶媒として用いることができる場合もある。溶媒中の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の濃度としては、通常0.2モル濃度以上が好ましい。
【0097】
第三反応で用いる溶媒が芳香族系溶媒の場合は、原料である10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の溶媒に対する溶解度が低くスラリー状態となる場合があるが、反応が進行するにともない、可溶化してくるのが一般である。
【0098】
第三反応の反応温度は0℃以上80℃未満、好ましくは0℃以上20℃未満である。反応温度が0℃未満の場合は反応に時間がかかり、また80℃以上の場合は不純物濃度が増え、いずれの場合も好ましくない。
【0099】
第三反応の反応時間は15分から3時間程度である。反応終了後、アシル化剤がカルボン酸ハライドの場合は、水又はメタノールを加えて未反応のアシル化剤を加水分解した後、濾液に水を添加して析出した 塩酸塩を濾過して除去するとともに生成物を晶析させ、析出した結晶を濾過して白色あるいは黄白色粉末を得る。また、溶媒にアセトンなどの水溶性ケトンを用いた場合は、反応終了後水を加えて未反応のアシル化剤を加水分解した後、さらに水を添加して析出した 塩酸塩を溶かし均一溶液とする。その後当該均一溶液から、徐々に生成物が析出してくるので析出した結晶を濾別することにより白色あるいは黄白色粉末を得ることができる。そして得られた結晶をさらに、例えば、塩化メチレン/メタノールから再結晶し、白色あるいは白黄色の結晶を得ることが出来る。
【0100】
第三反応で得られた化合物の同定は、H−NMRスペクトル、IRスペクトルを用いて行い、相当する10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物であることを確認した。
【0101】
本発明の10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は、高屈折率の化合物であり、重合性の(メタ)アクリロイル基を有することから、高屈折率を有するポリマーの原料として有用であるだけでなく、ナフトハイドロキノンのジエーテル構造であることから、樹脂の成型加工時などにおける熱分解温度を高め、樹脂の耐熱性を向上させる熱分解温度向上剤やポリマー合成時の連鎖移動剤などの用途としても期待される。
【0102】
下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0103】
生成物の確認は下記の機器による測定により行った。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)屈折率:アッベ屈折率計:エルマー社製、形式ER−7MW−H
(3)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(4)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
【0104】
(合成例1)1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラセン−9,10−ジオンの合成
1,4−ナフトキノン22g(140ミリモル)、o−キシレン100g、t−ブチルカテコール0.05g、1,3−ブタジエン18g(333ミリモル)をオートクレーブに仕込み、窒素雰囲気下120℃で6時間反応させた。反応終了後、1,3−ブタジエンを放圧し、さらに減圧して溶媒のo−キシレンを50g留去したのち、メタノール200ml中に注いだ。白い結晶が析出したので、吸引濾過、メタノール洗い、乾燥して1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラセン−9,10−ジオンの白色結晶27.6g(123ミリモル)を得た。1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラセン−9,10−ジオンの原料である1,4−ナフトキノンに対する収率は88モル%であった。
【0105】
(合成例2)1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの合成
温度計、攪拌機付きの容積が300mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下、合成例1と同様にして得られた1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラセン−9,10−ジオン10.6g(50ミリモル)をトルエン100gに溶解した。そこへp−トルエンスルホン酸100mgを加えた。105℃で30分間加熱した。白い針状結晶が多量析出した。反応混合物を冷却し、吸引濾過し、トルエン洗いしたのち、窒素雰囲気下で乾燥し、1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールの白い針状結晶を9.1g(43ミリモル)得た。原料である1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラセン−9,10−ジオンに対する収率は86モル%であった。
【0106】
(実施例1)10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレートの合成
温度計、攪拌機付きの容積が300mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下、合成例2と同様にして得られた1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール4.2g(20ミリモル)を水50gでスラリー化したものを加えた。そこへ水酸化ナトリウム1.04g(26ミリモル)を水6gに溶解した溶液を加えた。60℃で30分間加熱したのち赤色の溶液となるので、該溶液を氷で冷やし、該溶液を攪拌下に、塩化アクリロイル2.72g(30ミリモル)とトルエン7gとヘキサン3gを混合した溶液を加え、良く攪拌した。攪拌5分後、溶液の色が消えて無色となった。その後10分間攪拌を続けた。その後、水層を捨て、残りの有機層のスラリーを水15mlで良く洗った。次いで、残りの有機層のスラリーを吸引濾過し、固形分を最初に水洗い、次にトルエン洗いした。トルエン洗いと同時に固形分の色はカーキ色から薄黄色になった。この固形分を乾燥して、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−アクリレートの薄黄色の粉2.55g(9.6ミリモル)を得た。原料である1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールに対する収率は48モル%であった。
【0107】
融点:183−184℃
(2)屈折率:n=1.650
(3)IR(KBr,cm−1):3425,1710,1665,1648,1590,1410,1400,1290,1260,1060,995,750,698,648,615.(4)H−NMR(400MHz、CDCl)δ=2.78−3.43(bm,4H),5.58(s,1H),5.79−5.90(m,2H),6.48−6.57(m,1H),6.75−6.82(m,1H),7.24−7.42(m,2H),7.77−7.83(m,1H),8.29−8.34(m,1H).
【0108】
(実施例2)10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの合成
温度計、攪拌機付きの容積が300mlの三口フラスコに、窒素雰囲気下、合成例2と同様にして得られた1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール6.36g(30ミリモル)を水70gでスラリー化したものを加えた。そこへ水酸化ナトリウム1.56g(39ミリモル)を水10gに溶解した溶液を加えた。60℃で30分間加熱したのち赤色の溶液となるので、該溶液を水で冷やし、そこへ塩化メタクリロイル4.70g(45ミリモル)とトルエン10gとヘキサン8gを混合した溶液を加え、良く攪拌した。攪拌5分後、溶液の色が消えて無色となった。水層を捨て、残りの有機層のスラリーを水15mlで良く洗った。次いで、残りの有機層のスラリーを吸引濾過し、固形分を最初に水洗い、次にトルエン洗いした。トルエン洗いと同時に固形分の色はカーキ色から薄黄色になった。この固形分を乾燥して、10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの薄黄色の粉3.79g(13.5ミリモル)を得た。原料である1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオールに対する収率は45モル%であった。
【0109】
(1)融点:160−162℃
(2)屈折率:n=1.643
(3)IR(KBr,cm−1):3445,3040,2890,1708,1672,1661,1638,1600,1400,1320,1302,1226,1152,1091,942,751,640.
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ=2.17(s,3H),3.06−3.54(bm,4H),5.27−5.38(bs,1H),5.86(s,1H),5.88(s,2H),6.54(s,1H),7.34−7.47(m,2H),7.62(d,J=9Hz,1H),7.97(d,J=8Hz,1H).
【0110】
(実施例3)10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの合成
温度計、攪拌機付きの200ml三口フラスコ中に、実施例2と同様の方法で得た10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート5.60g(20ミリモル)、ジメチルアセトアミド27g、ジメチル硫酸3.02g(24ミリモル)を添加した。得られた薄茶色の溶液に、窒素雰囲気下、水酸化ナトリウム0.90g(22ミリモル)の水10g溶液を氷冷下に加えた。真っ赤な液となるが、5分後に水飴状物が沈み、液の色が薄くなる。30分攪拌後、上澄みを捨て、底の水飴状物を水洗いしたのち、メタノールを50ml加え、一晩放置する。生じた結晶を吸引濾過、メタノール洗いした。乾燥後、10−メトキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの白い粉末を2.4g(8.2ミリモル)得た。原料10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートに対する収率は41モル%であった。
【0111】
(1)融点:99−100℃
(2)屈折率:n=1.627
(3)IR(KBr,cm−1):3040,2940,2900,2840,1730,1458,1360,1310,1290,1266,1128,1092,1068,990,951,760.
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ=2.16(s,3H),3.33−3.70(bm,2H),3.90(s,2H),3.94(s,3H),5.86(s,1H),5.89−5.96(m,1H),5.96−6.02(m,1H),6.53(s,1H),7.41−7.50(m,2H),7.68(d,J=9Hz,1H),8.04(d,J=8Hz,1H).
【0112】
(実施例4)10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの合成
温度計、攪拌機つきの200ml三口フラスコ中、実施例2と同様の方法で得た10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート5.60g(20ミリモル)にトルエン30gを加えてスラリーとし、次いで、無水酢酸2.65g(26ミリモル)を加えた。該スラリーに、トリエチルアミン2.4g(24ミリモル)とトルエン8gを混合した液を氷水で冷やしながら添加した。すると、該スラリーが溶けたので、室温に戻し、30分攪拌したのち、メタノール70gを加え、減圧濃縮した。すると結晶が析出したので、この析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、10−アセチルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの白色結晶を2.7g(8.4ミリモル)得た。原料10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートに対する収率は42モル%であった。
【0113】
(1)融点:149−150℃
(2)屈折率:n=1.616
(3)IR(KBr,cm−1):3070,3040,2890,1760,1736,1635,1600,1440,1432,1364,1297,1209,1180,1130,1075,1042,970,940,888,758.
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ=2.16(s,3H),2.49(s,3H),3.18−3.56(bs,4H),5.88(s,1H),5.92(s,2H),6.54(s,1H),7.43−7.49(m,2H),7.67−7.84(m,2H).
【0114】
(実施例5)10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの合成
温度計、攪拌機つきの200ml三口フラスコ中、実施例2と同様の方法で得た10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート2.80g(10ミリモル)にトルエン18gを加えてスラリーとし、次いで、塩化プロピオニル1.20g(13ミリモル)を加えた。 該スラリーにトリエチルアミン1.2g(12ミリモル)のトルエン4g液を氷水で冷やしながら添加した。すると、該スラリーが溶けたので、室温に戻し、30分攪拌したのち、メタノール40gを加え、減圧濃縮した。析出した結晶を吸引濾過・乾燥し、10−プロピオニルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの白色結晶を1.54g(4.6ミリモル)得た。原料10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートに対する収率は46モル%であった。
【0115】
(1)融点:140−141℃
(2)屈折率:n=1.599
(3)IR(KBr,cm−1):3430,1752,1730,1638,1502,1460,1420,1312,1136,835,754,660.
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.32−1.47(m,3H),2.01−2.11(m,3H),2.72−2.87(m,2H),3.20−3.50(bm,4H),5.83−5.97(m,3H)、6.50−6.58(m、1H)、7.40−7.50(m,2H),7.64−7.75(m,2H).
【0116】
(実施例6)10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの合成
温度計、攪拌機つきの200ml三口フラスコ中、実施例2と同様の方法で得た10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレート5.60g(20ミリモル)にトルエン30gを加えてスラリーとし、次いで、塩化ベンゾイル3.36g(24ミリモル)を加えた。該スラリーにトリエチルアミン2.2g(22ミリモル)のトルエン9g液を氷水で冷やしながら添加した。アミンの添加と同時にスラリーは均一溶液となったが、直ぐにトリエチルアミンの臭素酸塩の沈殿が生じゾル状となった。さらに1分後白い沈殿が多量に析出した。室温で30分攪拌したのち、水10gを加えトリエチルアミンの臭素酸塩を溶解させた。水層を捨て、トルエンスラリーを吸引濾過紙、メタノール洗いした。10−ベンゾイルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−メタクリレートの白色結晶を5.6g(15ミリモル)得た。原料10−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロアントラセン−9−イル−アクリレートに対する収率は75モル%であった。
【0117】
(1)融点:206−207℃
(2)屈折率:n=1.652
(3)IR(KBr,cm−1):3075,3040,2875,1734,1600,1458,1312,1260,1250,1130,1090,1070,1053,1021,942,757,710,663.
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ=2.18(s,3H),3.19−3.64(bm,4H),5.85−5.96(bs,3H),6.56(s,1H),7.40−7.49(m,2H),7.56−7.64(m,2H),7.68−7.76(m,2H),7.77−7.84(m,1H),8.31−8.40(m,2H).
【0118】
(比較例1)4−エトキシ−1−ナフチルメタクリレートの合成
温度計、攪拌機付の200mlの三口フラスコ中に、水75.0ml、トルエン15.0ml、水酸化ナトリウム1.4g(35.0ミリモル)、及び1,4−ナフタレンジオール5.0g(31.3ミリモル)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、メタクリル酸クロライド3.5g(33.0mmol)を滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。滴下の途中から、多量の結晶の析出が認められた。滴30分間攪拌後多量の結晶の析出が見られた。該反応混合物を吸引濾過し、ロート上30mlの水で洗い、さらに30mlのトルエンで洗って、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートの灰白色結晶6.0g(26.3ミリモル)を得た。該4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート4.56g(20ミリモル)とジメチルアセトアミド18ml、ジエチル硫酸3.39g(22ミリモル)を、攪拌機、温度計付きの100mlの三口フラスコ中に、窒素雰囲気下仕込み、攪拌したところ無色溶液となった。次いで、氷水で冷やしつつ、水酸化ナトリウム088g(22ミリモル)の水10ml溶液を加えた。添加と同時に液の底に薄赤色の水飴状のオイルが沈んだ。1時間静置後、上澄みを捨て、オイル状物を水10mlで2回洗い、メタノール30ml加えて可溶分を溶解させた。メタノール溶液を濃縮し、4−エトキシ−1−ナフチルメタクリレートの薄赤いオイル状物 3.0g(11.7ミリモル)を得た。原料4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートに対する収率は58モル%であった。
【0119】
(1)融点:室温液状
(2)屈折率:n=1.583
(3)IR(KBr,cm−1):3080,2990,2940,1742,1640,1602,1591,1465,1390,1272,1241,1230,1132,1090,810,768.
(4)H−NMR(400MHz、CDCl):δ1.54(t,J=8Hz,3H),2.16(s,3H),4.20(q,J=8Hz,2H),5.82(s,1H),6.49(s,1H),6.76(d,J=8Hz,1H),7.14(d,J=8Hz,1H),7.46−7.53(m,2H),7.74−7.80(m,1H),8.27−8.33(m、1H).
【0120】
(比較例2)4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの合成
温度計、攪拌機付の200mlの三口フラスコ中に、水75.0ml、トルエン15.0ml、水酸化ナトリウム1.4g(35.0ミリモル)、及び1,4−ナフタレンジオール5.0g(31.3ミリモル)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、メタクリル酸クロライド3.5g(33.0mmol)を滴下した。この間、反応容器の内温を5℃以下に保った。滴下の途中から、多量の結晶の析出が認められた。滴30分間攪拌後多量の結晶の析出が見られた。該反応混合物を吸引濾過し、ロート上30mlの水で洗い、さらに30mlのトルエンで洗って、4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートの灰白色結晶6.0g(26.3ミリモル)を得た。該4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレート5.0g(21.9mmol)とジメチルアセトアミド30ml、トリエチルアミン6.6g(65.7mmol)を、攪拌機、温度計付きの300mlの三口フラスコ中に仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気下、冷却及び攪拌しながら、市販品アセチルクロライド1.88g(24.0mmol)を、アセトニトリル10mlに溶かした液を滴下した。この間、内温を5℃以下に保った。滴下終了後、室温にもどし、更に30分間攪拌を続けた。その後、該反応液に水5g、メタノール50ml加えた。数日後結晶が析出したので、吸引濾過、メタノール洗い、乾燥して4−アセチルオキシ−1−ナフチルメタクリレートの白色結晶3.65g(13.5ミリモル)を得た。原料4−ヒドロキシ−1−ナフチルメタクリレートに対する収率は62モル%であった。
【0121】
(1)融点:103−104℃
(2)屈折率:n=1.584
(3)IR(KBr,cm−1):1770,1735,1640、1605、1396、1378,1320,1205,1128,955,900,770.
(4)H−NMR(270MHz、CDCl):δ=2.13(s,3H),2. 46(s,3H),5.85(s,1H),6.49(s,1H),7.21−7.31(m,2H),7.48−7.58(m,2H),7.82−7.91(m,2H).
【0122】
表1に本発明の10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の屈折率の一覧を示した。
【0123】
【表1】

【0124】
実施例1〜6と表1より明らかなように、本発明の10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は、いずれも1.59以上という高い屈折率を示していることが分かる。一方、比較例1、2は、本発明と類似の構造を持つ化合物で、芳香環の構造がナフタレン環である化合物であるが、いずれも、本発明の化合物より屈折率が低く、置換基の構造が同じ化合物同士の比較においても、本発明の化合物の方が、非常に高い屈折率を示していることが分かる。すなわち、本発明の10−置換−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物は、高い屈折率有する化合物であることがわかる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物。
【化1】


(一般式(1)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは水素原子、アルキル基、アシル基のいずれかを示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で示される10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物。
【化2】


(一般式(2)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【請求項3】
下記一般式(3)で示される10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物。
【化3】


(一般式(3)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zは、アルキル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【請求項4】
下記一般式(4)で示される10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物。
【化4】


(一般式(4)中、Zはアクリロイル基又はメタクリロイル基を示し、Zはアシル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【請求項5】
下記一般式(5)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をモノ(メタ)アクリロイル化することよりなる請求項2に記載の10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
【化5】


(一般式(5)中、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【請求項6】
下記一般式(5)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をモノ(メタ)アクリロイル化した後、得られた10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物をエーテル化することよりなる請求項3に記載の10−アルコキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
【化6】


(一般式(5)中、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)
【請求項7】
下記一般式(5)で示される1,4−ジヒドロアントラセン−9,10−ジオール化合物をモノ(メタ)アクリロイル化した後、得られた10−ヒドロキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物をアシル化することよりなる請求項4に記載の10−アシルオキシ−1,4−ジヒドロアントラセン−9−イル−(メタ)アクリレート化合物の製造方法。
【化7】


(一般式(5)中、X、Yは同一であっても異なっていても良く、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子のいずれかを示す。)


【公開番号】特開2013−87063(P2013−87063A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226486(P2011−226486)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】