説明

新規のプロセスベルト用構造

抄紙機用シュープレスベルト又はその他の工業用プロセスベルトの製造方法及びこの方法により製造されたベルトを開示する。本発明によるベルトは、ポリマーと人造繊維との混合物を円筒型心棒に分注し、押出又は共押出すことにより、製造される。好ましくは、ポリマー中の人造繊維の密度及び/又は配向は、最終的なベルトが所望する特性を有するように、制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用プロセスベルトに関する。特に、本発明は、抄紙機用のプロセスベルトに係り、抄紙機の圧縮部分に使用するベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
抄紙工程において、繊維ウェブは、繊維スラリーを堆積させることにより形成繊維上に形成される。この工程中、スラリーから大量の水が排出され、その後、新たに形成されたウェブが圧縮部分へと進行する。圧縮部分は、圧縮繊維上に支持された繊維ウェブが水を取り除くように設計された圧縮応力に指向される一連の圧力ニップを有する。このウェブは、ウェブが乾燥繊維を介して向けられる周囲に加熱乾燥ドラムを有する乾燥部分へと最終的に進行する。この加熱乾燥ドラムは、ウェブの水分含量を、蒸発により、所望のレベルにまで減少させる。
【0003】
この乾燥部分に進行する前に、ウェブから可能な限り水を除去することは、エネルギーコストが上昇する点で、望まれている。この乾燥ドラムは、蒸気によりしばしば熱せられ、関連するコストは、ウェブから大量の水を除去する場合に、特に高くなる可能性がある。
【0004】
常套的には、圧縮部分には、近接する円筒プレスローラーのペアで形成された一連のニップを有する。近年、近接する圧縮ローラーのペアで形成されたニップを使用することに対して、長く或いは伸張した圧縮ニップを使用することが有用であると見出されている。ウェブをニップの圧力下に長時間さらすと、より大量の水が除去され、従って、乾燥部分において蒸発させることにより除去するためのウェブに残存する水を減らすこととなる。
【0005】
本発明は、シュー型(shoe type)の長いニップ圧縮に関する。この種の長いニップ圧縮において、ニップは、円筒プレスロールと弓形の圧力シューとの間に形成される。弓形の圧力シューは、上記の円筒圧縮ロールに近接した曲率半径を有する円筒型の曲率表面を有する。このロール及びシューが互いに物理的に近接されると、2つの圧縮ロール間に形成される一つよりも、機械方向に5〜10倍長くなり得るニップが形成される。これにより、2つのロール圧縮に使用される圧縮応力において単位平方インチ辺りの圧縮のレベルを同一に保持させつつ、長いニップにおける繊維ウェブのいわゆる滞留時間(dwell time)が増加する。この新規の長いニップ技術の結果により、抄紙機における常套的なニップと比較して、この長いニップにおける繊維ウェブの脱水性が劇的に増加する。
【0006】
シュー型の長いニップ圧縮には、特許文献1に開示するような特別なベルトを必要とする。このベルトは、繊維ウェブを支持し運搬し脱水する圧縮繊維を、静止する圧力シューに接して直接摺動することによりもたらされる摩耗の加速から防御するように設計される。このようなベルトには、潤滑オイル膜上の静止するシュー上に存在し或いは摺動する平滑で不透過性の表面を設ける必要がある。このベルトは、圧縮繊維と略同一の速度でニップを介して動き、これにより、ベルトの表面に対して圧縮繊維の摩擦量が最小限となる。
【0007】
特許文献1に示す種類のベルトは、エンドレスループの形態の編み込まれた(woven)基礎繊維を合成ポリマー樹脂で含浸させて製造される。好ましくは、この樹脂は、少なくともベルトの内表面上に種々の所定の厚みのコーティングを形成し、基礎繊維が編み込まれたヤーン(yarn)は、上記の長いニップ圧縮の弓形の圧力シュー成分と直接接触することから防御され得る。特にこのコーティングは、上記の潤滑されたシュー上を即座に摺動し且つ圧縮繊維及び繊維ウェブを汚染するベルト構造を浸透する種々の潤滑オイルから防御するように平滑で不透過性の表面を特に有する必要がある。特許文献1に記載のベルトの基礎繊維は、単一層又は多層の編み込みで、モノフィラメントなヤーンから編み込まれてもよく、且つ上記の含浸材料が編み込みを全体的に含浸し得るのに十分開口されるように編み込まれる。このことにより、最終的なベルトにボイドが形成する可能性がなくなる。このようなボイドは、ベルトとシューとの間に使用される潤滑剤がベルトを通過することを可能とし、且つ、圧縮繊維及び繊維ウェブを汚染することを可能とする。上記の基礎繊維は、平坦に編み込まれてもよく、エンドレスな形態又は管状の形態に編み込まれたエンドレス状に縫い合わされる。
【0008】
上記の含浸材料が固形状態に硬化されると、機械的結合により基礎繊維に最初に結合され、硬化した含浸材料は、基礎繊維のヤーンを取り囲む。加えて、この硬化された含浸材料と基礎繊維のヤーンの材料との間に化学的結合又は接着が存在してもよい。
【0009】
特許文献1に示すような長いニッププレスベルトは、導入される長いニッププレスの寸法要件に応じて、エンドレスループの形態にて長手方向に計測した値として、約13〜35フィート(約4〜11メートル)の長さを有し、且つ、上記のエンドレスループの形態を横切って測定した値として、約100〜450インチ(約250〜1125センチメートル)の幅を有する。
【0010】
上記の長いニッププレスベルトの長さは、開口型及び閉口型ループプレスのいずれにも対応したベルトの長さを含むと認識される。オープンループ型プレス用の長いニッププレスベルトは、25〜35フィート(約7.6〜11メートル)の長さを一般的に有する。現在の閉口した種々のループプレス用の長いニッププレスベルトの長さ(外周)は、以下の表に示す通りである。

ベルト 長さ(mm)
製造者 種類 径(mm) 外周
Valmet Symbelt Press 1425 4477
(登録商標)
〃 1795 5639
〃 1995 6268
Voith Flex−O−Nip 1270 3990
〃 1500 4712
Nip−Co−Flex 1270 3990
(登録商標)
〃 1500 4712
Intensa−S 1270 3990
〃 1550 4869
Beloit ENP−C 1511 4748
(59.5インチ)
〃 2032 6384
(80インチ)
【0011】
このようなベルトの製造は、合成ポリマー樹脂の含浸に先立って、基礎繊維がエンドレス型である必要があるため、複雑とされていることが分かる。
【0012】
それにも関わらず、この種類のベルトは、数年来、首尾良く製造されてきている。しかしながら、製造工程において、2つの現存する問題がある。
【0013】
第一に、含浸及びコーティング工程において、基礎繊維から全ての空気を除去することが困難である点である。上述したように、基礎繊維の編み込み構造に残存する空気は、ベルトの最終製品においてボイドとして現れる。このようなボイドは、ベルトと弓形の圧力シューとの間に使用される潤滑剤がベルトを通過し圧縮繊維及び繊維ウェブを汚染することを可能とする。また、このようなボイドは、亀裂に起因する、ベルトの形成前の欠失を起こす欠失初期部位として作用する可能性もある。結果として、使用される合成ポリマー樹脂により完全に含浸されることを達成するため、基礎繊維から全ての空気を排除することが重要である。
【0014】
第二に、ベルトの外部上にポリマー樹脂層を設け且つ内部上の層に載置するようにベルトを反転させるのに幅広く使用される技術により、十分に満足のいく結果は得られていない。
【特許文献1】米国特許第5,238,537号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、上述の構造を特徴とする問題に対する解決法並びにプロセスベルト及び特にシュープレスベルトの製造方法を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、多くの代替材料を、ベルトを構成する材料として使用し得る、プロセスベルト及びプロセスベルトの製造方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、低コストで高い速度で実行され得るプロセスベルトの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
したがって、本発明は、抄紙機用シュープレスベルト及びその他の工業用プロセスベルトの製造方法並びにこのような方法により製造されたベルトに関する。なお、このベルトは、ポリマーと人造繊維との混液を押出し、この混液を共押出及び/又はこの混液を円筒心棒上に分注することにより、製造される。好ましくは、上記のポリマー中の人造繊維の濃度及び/又は配向は、最終的なベルトが所望の特性を有するように制御される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明を説明する。なお、同じ参照番号は、同様の要素及び部品を示す添付の図面を参照し、以下の内容は、例示を目的とし単に本発明を限定することを目的とするものではない。
【0020】
本発明の好適実施例は、抄紙機用シュープレスベルトに関する。しかしながら、本発明は、以下の特徴の範囲内にあり且つ即座に効果的に製造され得る利点を有するベルトを有し、抄紙機の他の部分に使用されるプロセスベルトと同様に、その他の工業的な設定に使用されるものにも適用可能である。
【0021】
抄紙機上で紙製品に処理される繊維ウェブを脱水するための長ニッププレスの側方断面図を図1に示す。プレスニップ10は、円筒プレスロール12と弓形圧力シュー14とにより規定される。弓形圧力シュー14は、円筒プレスロール12と略同一の曲率を有する。円筒プレスロール12と弓形圧力シュー14との距離は、プレスニップ10の荷重を制御するように、弓形圧力シュー14に制御可能に結合された水圧手段により調節されてもよい。平滑な円筒プレスロール12は、クロス機械ニップ特性(cross−machine nip profile)のレベルを達成するため、弓形圧力シュー14に適合された制御されたクラウンロール(crown roll)であってもよい。
【0022】
エンドレスベルト構造16は、プレスニップ10を介して近接したロール状に延びており、円筒プレスロール12を弓形圧力シュー14から分離する。紙シートに処理されるプレス繊維18及び繊維ウェブ20は、図1に矢印で示すように、プレスニップ10を介して共に通過する。繊維ウェブ20は、プレス繊維18で支持されており、矢印で示すように、プレスニップ10において円筒プレスロール12と直接接する。
【0023】
代替的に、繊維ウェブ20は、プレスニップ10を介して2つのプレス繊維18間を通過してもよい。このような状況において、円筒プレスロール12は、平滑であってもよく、或いは、溝やブラインドドリルされた(blind drilled)穴などのボイド容量手段を設けられていてもよい。同様に、プレス繊維18に面するエンドレスベルト構造16の側方は、平滑であってもよく、或いは、ボイド容量手段を設けられていてもよい。
【0024】
いくつかの場合、矢印で示すように、つまり、図1において半時計回りに示したように、プレスニップ10を介して移動もするエンドレスベルト構造16は、プレス繊維18を弓形圧力シュー14に対して直接摺動して接することから防御しており、オイル状の潤滑フィルム上を摺動する。エンドレスベルト構造16は、従って、プレス繊維18及び繊維ウェブ20が汚染されないように、オイルに対して不透過性を有する必要がある。
【0025】
図2は、図1のエンドレスベルト構造16として使用するのに適したベルトを製造するのに使用され得る、本発明により製造されたプロセスベルトの断面図である。図2に示すように、ベルト22は、3つの層:つまり、プレス繊維側方ポリマー層24、人造繊維強化ポリマー層26及びシュー側ポリマー層28からなる。このプレス繊維側方ポリマー層は、プレス繊維と接触する材料に所望の特性を提供するように構成される一方、上述のシュー側ポリマー層は、圧力シューと接触するベルト表面に所望の特性を提供するように構成される。人造繊維強化ポリマー層は、必要な引張係数などのベルトのその他の特性を補完するのに使用される。人造繊維の個々の断片の平均長は、本願の観点にて実行され得る設計事項である。しかしながら、この平均繊維長は、12〜200mmの範囲内であることを意図する。
【0026】
多層のベルト構成は、本発明において必須ではないが、好ましい。これらの層の数は、種々の数であってよい。例えば、人造繊維強化ポリマー製の単一層のベルトを製造してもよい。このようなベルトにおいて、ベルトの厚み方向での繊維の密度は、表面に接するプレス繊維及び圧力シューよりもベルトの中央の方が高くなるように変化させることが好ましい。さらに、ベルトの中央で繊維密度を増加させることにより、その表面近傍で比較的曲げやすいベルトが得られ、このことは、裏返し得るベルトに有利である。さらに特に、好適な密度は、第1表面において0容量%であり、中央部で最大百分率となり、第2表面において0容量%となることである。全体的に、ベルトの繊維含量は、10〜50容量%である。
【0027】
単一層のベルトにおいて、ベルトの表面において平行又は略平行となり且つ厚み方向に配向されないように、繊維を配向することがさらに好ましい。つまり、繊維は、ベルトの表面及びベルトのシュー側表面に面する繊維ウェブに平行又は略平行な方向に好ましく配向される。この様式において、より平滑な接触表面が形成され、繊維路(fiber paths)に沿って走るスポットを介してベルト表面を通過する外来物が少なくなる。
【0028】
多層構造を有する実施例を参照すると、複数の層を人造繊維に含まれてもよい。例えば、図2に示すのと同様な3層の実施例が構築されてもよく、そこでは、2つの表面層のそれぞれ及び中心層が人造繊維を含み、この人造繊維の密度は、MD、CD又は種々の層の厚み方向においても好適な配向を有する繊維を有する中心層よりも低い。
【0029】
図2及び本発明によるベルトは、一般的に、ポリマーと人造繊維との混合物を、円筒心棒に、分注、押出又は共押出して製造される。種々の場合、液体ポリマー系を使用することが好ましい。液体系は、化学反応により固体化する反応性液体を用いてもよいし、或いは、冷却して固体化する溶融液体を用いてもよい。液体ポリマー系を使用することは、マトリックス中に、より簡単に繊維を分布させたり、異なる層間を良好に一体的に結合させることを含む利点を有する。さらに、液体系により、ポリウレタンなどの種々の適用例において技術的に優れた特性を提供するポリマーを使用することを可能とする。それにもかかわらず、共押出は、それ自体利点を有し、その主要な利点は、共押出は、極度に良好な内層結合を可能とする点である。また、全体的なベルト樹脂構造を熱可塑性材料で共押出することも可能であり、或いは、ベルト樹脂構造は、リボン状、螺旋状、又は代替的に円筒状で押し出されてもよい。
【0030】
使用する製造法にかかわらず、ポリマー中の人造繊維の密度及び/又は配向性は、最終的なベルトが所望の特性を有するように制御されることが好ましい。人造繊維の密度及び/又は配向の制御は、ポリマー−人造混合物の流動状態(幾何学性、速度、持続時間等)を調節して達成される。このことは、繊維は流動方向に沿って配向する傾向にあるので、可能であり、この趣旨は、種々の、心棒をベースとした、或いは、押出をベースとした実施例において同等に適用可能である。
【0031】
図3は、本発明によるベルトの心棒型の製造を示す。図3に示すように、製造装置70は、例えば、平滑で研磨された表面を有する円筒プロセスロール又は心棒72と、ギア84と、モーター86とを有する。好ましくは、心棒72の表面は、硬化されるポリマー材料を即座に放出する、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はシリコンなどの材料でコートされる。
【0032】
制御中、心棒72は、軸が水平方向に配列され且つモーター86とギア84とにより軸周囲で回転されるように、配置される。ポリマー又はポリマーと人造繊維混合物のディスペンサー88は、水平に配向された心棒72の周囲に配置され、ポリマー材料又は混合物を、心棒上に適用し、或いは、層が形成される前に、回転する心棒の略最上部に適用される。
【0033】
上述のポリマーは、ポリウレタンであってもよく、好ましくは、その100%固形成分である。溶媒材料を全く有さない100%の固形成分を使用することにより、その後に心棒上に適用される硬化工程中に、ポリマー材料中に泡が形成されることを避けることが可能となる。
【0034】
心棒72は、水平方向に配列されその周囲で回転される長手軸に沿って、配置される。ポリマー又はポリマー/人造物の混合物のストリーム90は、心棒の外側に適用され、或いは、層化される前に、心棒の一端において開始することにより、且つ、回転させながら心棒に沿って長手方向に進行させることにより、適用される。ディスペンサー88は、螺旋ストリーム形態のポリマー又は混合物を適用するように、所定率で、心棒72上に長手方向に平行移動される。ポリマー又は上述の混合物が最低限の粘性要件を満たす限り、浸積することなく、高速で心棒にコートされ得る。
【0035】
さらに、本発明の代替的な実施例において、ポリマー材料又はポリマー/人造物の混合物の2つのストリームは、2つのディスペンサー88から適用されてもよく、この1つは、2つの層を同時に形成するように他に適用される。このような手法の可能性のある1つの使用方法は、人造繊維を有さないポリマー材料の第1ストリームと、ポリマー材料と人造繊維との混合物の第2ストリームとを含有することである。この様式において、繊維強化層と繊維非強化層とを有する2つの層を有するベルトは、ワンショット技術を使用して製造されてもよい。本願の開示を考慮すると、他の多重的なストリームの適用例は、当業者に明らかである。
【0036】
図4は、本発明によるベルトの、心棒型製造装置に係る代替実施例を示す。図4に示すように、製造装置100は、平滑で研磨された表面を有する、例えば、円筒プロセスロール又は心棒102を備える。鋳造環104は、心棒の周囲に配置され、処理装置に結合される。制御時、この処理装置には、ポリマー又はポリマー/人造物の混合物が充填され、その後、鋳造環により心棒の周囲で押し出される。ポリマー材料又は混合物は、心棒の周囲又は前に形成された層の周囲で直接押し出されてもよい。
【0037】
図4において、鋳造環は、矢印で示す方向のように、左から右へと移動するように示されており、押し出された材料を参照番号108で示す。図4の実施例において、心棒110の軸の方向に配向された人造繊維を有する層又は複数の層を製造することも可能である。例えば、このような層は、ポリマー/人造物の混合物をこの処理装置に配置し心棒を軸110の周囲で回転して鋳造環を左から右へと摺動させてこの混合物を押出すことにより製造されてもよい。
【0038】
本発明によるベルトの製造は、種々の利点を有する。その一つには、ポリマーとして使用され得る複数の代替材料があることであり、且つ、強化繊維として使用され得る代替的な複数の材料があることである。適切な材料の例には、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー及び反応性ポリマー(熱、添加硬化性)が挙げられる。適切な繊維材料の例には、ガラス、ポリアラミド、カーボン、ポリエステル、ポリエチレンが挙げられる。
【0039】
本発明によるベルトの製造に係る他の利点は、比較的効率的である点である。好ましくは、この製造方法は、種々の層を、円筒型心棒などの支持表面上に連続的にコーティングすることを含み、或いは、1つ以上の層を、共押出工程などにより同時にコーティングすることを含む。この様式にてベルトを形成することにより、簡単で低コストの装置を用いて非常に早い製造方法を行い得ることが可能となる。このような製造に必要な時間は、数時間のオーダーである。
【0040】
一般的に、本発明のベルト製造方法は、異なる層をコーティングし、(必要であれば)硬化させ、最終的に仕上げることを含み、編み込まれた或いは編み込まれていない基材を製造し、続いて、フィラー材料でコーティング又は含浸させるという従来の技術とは有意に異なる。従って、本発明の方法は、「ワンショット」工程とも参照され得る。
【0041】
本発明に係る改変は、本願の開示内容の観点から、当業者に明らかであるが、このような改変は、添付した請求項の範囲を超えるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】長ニッププレスの側方断面図である。
【図2】本発明により製造されたプロセスベルトの好適実施例に係る断面図である。
【図3】本発明によるプロセスベルトの製造に使用され得る心棒装置の例に係る斜視図である。
【図4】本発明によるプロセスベルトの製造に使用され得る心棒装置の別例に係る斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
10 プレスニップ
12 円筒プレスロール
14 弓形圧力シュー
16 エンドレスベルト構造
18 プレス繊維
20 繊維ウェブ
22 ベルト
24 ポリマー層
26 ポリマー層
28 ポリマー層
70 製造装置
72 心棒
84 ギア
86 モーター
88 ディスペンサー
90 ストリーム
100 製造装置
102 心棒
104 鋳造環
106 処理装置
110 心棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人造繊維で強化されたポリマー材料製の第1層と人造繊維を有さないポリマー材料製の第2層とを有するプロセスベルト。
【請求項2】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面のいずれかにおける繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項1に記載のプロセスベルト。
【請求項3】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面における繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項2に記載のプロセスベルト。
【請求項4】
人造繊維を有さないポリマー材料の第3層をさらに有し、前記第1層は、前記第2層と前記第3層との間に位置することを特徴とする請求項1に記載のプロセスベルト。
【請求項5】
前記ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー及び反応性ポリマーからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスベルト。
【請求項6】
前記ポリマー材料は、ポリウレタンを有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスベルト。
【請求項7】
前記人造繊維は、ガラス、ポリアラミド、カーボン、ポリエステル及びポリエチレンからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項1に記載のプロセスベルト。
【請求項8】
人造繊維で強化されたポリマー材料製の第1層を心棒に分注するステップ;及び
人造繊維を有さないポリマー材料製の第2層を前記第1層に分注するステップ;
を有することを特徴とするプロセスベルトの製造方法。
【請求項9】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面のいずれかにおける繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面における繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
人造繊維を有さないポリマー材料の第3層をさらに有し、前記第1層は、前記第2層と前記第3層との間に位置することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー及び反応性ポリマーからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー材料は、ポリウレタンを有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記人造繊維は、ガラス、ポリアラミド、カーボン、ポリエステル及びポリエチレンからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項15】
人造繊維で強化されたポリマー材料製の第1層を、心棒に押出すステップ;及び
人造繊維を含まないポリマー材料製の第2層を、前記第1層に押出すステップ;
を有することを特徴とするプロセスベルトの製造方法。
【請求項16】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面のいずれかにおける繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面における繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
人造繊維を有さないポリマー材料の第3層をさらに有し、前記第1層は、前記第2層と前記第3層との間に位置することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー及び反応性ポリマーからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマー材料は、ポリウレタンを有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記人造繊維は、ガラス、ポリアラミド、カーボン、ポリエステル及びポリエチレンからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
人造繊維で強化されたポリマー材料製の第1層と、人造繊維を有さないポリマー材料製の第2層とを押出すステップを有することを特徴とするプロセスベルトの製造方法。
【請求項23】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面のいずれかにおける繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記人造繊維の密度は、前記第1層の上部表面及び底部表面における繊維の密度が0容量%であり且つ前記第1層の中央における繊維の密度が0容量%よりも大きくなるように、前記第1層の厚みに沿って変化していることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第3層を前記プロセスベルトに導入するステップをさらに有し、
前記第3層は、人造繊維を有さないポリマー材料製であり、
前記第1層は、前記第2層と前記第3層との間に配置されていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記ポリマー材料は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー及び反応性ポリマーからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記ポリマー材料は、ポリウレタンを有すことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記人造繊維は、ガラス、ポリアラミド、カーボン、ポリエステル及びポリエチレンからなる群から選択された1つ以上の材料を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−512501(P2006−512501A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565010(P2004−565010)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2003/036757
【国際公開番号】WO2004/061214
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】