説明

新規ヒドロゲナーゼ、ヒドロゲナーゼ産生方法、及び、水素発生方法

【課題】鉄を水に浸すことでの水素発生を促進させる新規ヒドロゲナーゼ、当該ヒドロゲナーゼを産生する方法、及び、当該ヒドロゲナーゼを用いて、鉄若しくは鉄を含む合金を利用して、常温でかつ酸性条件下でなくても効率的に水素を発生する方法の提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなる小サブユニット、及び特定のアミノ酸配列からなる大サブユニットから構成される新規ヒドロゲナーゼ、または、特定のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる新規ヒドロゲナーゼ、または、特定のアミノ酸配列との間で少なくとも80%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする新規ヒドロゲナーゼ、及びヒドロゲナーゼ産生方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ヒドロゲナーゼ、該ヒドロゲナーゼを産生する方法、及び該ヒドロゲナーゼを用いて鉄を酸化させると伴に、水素を発生させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄や亜鉛などイオン傾向が水素よりも大きな金属は、酸性にすると、酸化(イオン化)が促進され、水素を発生する。例えば、pH3未満で鉄は酸化されて腐食して水素を発生する。この際、アノード反応として、鉄が2価の鉄イオンとして溶解する際に発生する電子を、カソード反応として水素イオンが受容して水素原子さらに水素分子となることによって鉄の酸化、すなわち鉄の腐食と水素発生が同時に進むことによる(非特許文献1)。
【0003】
また、酸素が存在しない嫌気性環境では、水素イオンの濃度が低い中性の環境であっても、鉄の酸化、すなわち鉄の腐食反応あるいは電子を放出するアノード反応と、水素イオンが電子を受け取り水素発生を行うカソード反応とが、遅い反応速度ではあるものの進行することが知られている。
【0004】
一方、鉄の腐食に微生物が関わることが知られている。嫌気性の中性環境での硫酸塩還元菌などによる鉄腐食の促進については、カソード反応で発生する水素をヒドロゲナーゼを有する嫌気性微生物が電子供与体として利用し、水素を鉄の表面から効率的に除去することにより、カソード反応が促進されるという機構が、カソード復極説として提案され、広く受け入れられている(非特許文献1、2、3)。
【0005】
水素は、石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料の代替エネルギーとして注目されている。水を原料として化学的に水素を生産する場合、熱や電気などのエネルギーの投入が必要である。
【0006】
そこで、エネルギー投入を要しない水素生産方法として、バイオマスを利用した水素発生方法が検討されている。例えば、糖類などのバイオマスを基質として水素を生産する水素生産細菌の利用である(非特許文献4)。バイオマスとして下水汚泥などの有機物が利用できる場合には、汚泥の分解と水素発生を両立できるメリットがあると主張されている。また、太陽光をエネルギー源とするラン藻などの光合成生物による水素の発生が報告されている(非特許文献5)。ラン藻による水素発生は、太陽光エネルギーを直接水素発生に用いるというメリットがある。鉄は、鉄スクラップといった産業廃棄物、廃棄鉄容器といった家庭廃棄物として、多量に発生している。このような鉄を水に浸すことにより水素を発生させる化学的水素製造法も提案されている(特許文献1)。ここで生じた2価鉄イオンは、炭酸イオンと反応させることにより、炭酸鉄として沈着させることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−31169
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】腐食反応とその制御(第3版)ユーリック、レヴィー共著(産業図書)(1989)
【非特許文献2】エンジニアのための微生物腐食入門 腐食防食協会(丸善)(2003)
【非特許文献3】Von Wolzogen Kuehr and van der Vlugt,Water 16,147(1934)
【非特許文献4】谷生重晴他、醗酵工学会誌、第67巻、第1号、29−34(1989)
【非特許文献5】Masukawa H,et al.,Int.J.Hydrogen Energy 27:1471−1474(2002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記のように、カソード反応で水素発生を伴う金属鉄の酸化、すなわち鉄の腐食反応については、カソード復極説が有力である。カソード復極説では、カソード反応で発生した水素を微生物がヒドロゲナーゼにより水素イオンに酸化して消費すると考えられている。しかしながら、本発明者らは、メタノコッカス マリパルディスOS7株などの鉄腐食性のメタン生成菌により、カソード復極説では説明づけられないような鉄の酸化に伴った水素発生が起こることを見出した。
【0010】
また、バイオマスを利用した水素発生方法が検討されているが、バイオマスとして下水汚泥などの有機物を利用する場合、水素産生細菌よりも高い有機物分解能力を有する微生物が数多く存在し、さまざまな菌が混ざった複雑系での培養で、水素産生細菌による水素発酵を行なうことは一般に困難である。また、ラン藻による水素発生については、太陽光の持つエネルギー密度は低く、広大な面積を必要とするといった課題がある。
【0011】
また、鉄を水に浸すことによる水素発生方法は、カソード反応で発生した水素が鉄表面に吸着することによる水素による分極によって、カソード反応が進まなくなるなどの課題がある。
【0012】
本発明は、鉄を水に浸すことでの水素発生を促進させる新規ヒドロゲナーゼを提供すると共に、当該ヒドロゲナーゼを産生する方法を提供し、更に、当該ヒドロゲナーゼを用いて、鉄若しくは鉄を含む合金を利用して、常温でかつ酸性条件下でなくても効率的に水素を発生する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、鉄腐食性のメタン生成菌が、いかにして鉄を酸化し、同時に水素を発生させるかの反応機構を研究する過程で、鉄腐食性のメタン生成菌の有するヒドロゲナーゼが、鉄の酸化と水素発生に関与していることを突き止めた。ヒドロゲナーゼは、還元型フェレドキシンやチトクロームcといったタンパク質や、還元型の低分子化合物を電子供与体として利用し、水素を生産することは従来から知られていた。一方、本発明者らによる研究の結果、「鉄腐食性のメタン菌のヒドロゲナーゼは、鉄を直接の電子供与体として鉄を酸化させながら効率的に水素生産を行う」との新しい知見を得ることが出来た。本発明が解決しようとする課題は、鉄と水を原料とした効率よい水素生産である。本発明者らは、鉄と水を原料とし、鉄腐食性のメタン生成菌由来のヒドロゲナーゼを触媒とした効率よい水素生産法を確立し本発明を完成させた。本発明の要旨とするところは次の(1)〜(7)である。
【0014】
(1)配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる小サブユニット、及び配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる大サブユニットから構成される新規ヒドロゲナーゼ、または、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる新規ヒドロゲナーゼ、または、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする新規ヒドロゲナーゼ。
【0015】
(2)(1)のアミノ酸配列からなる小サブユニット及び大サブユニットから構成されるヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する微生物を用いて前記ヒドロゲナーゼを産生することを特徴とするヒドロゲナーゼ産生方法。
【0016】
(3)前記ヒドロゲナーゼの小サブユニットの構造遺伝子及び大サブユニットの構造遺伝子が、それぞれ配列表の配列番号1及び3に示される塩基配列からなる、または配列番号1及び/又は3に示される塩基配列に規定される各コドンの一番目および二番目のヌクレオチド配列の相同性が80%以上であることを特徴とする(2)のヒドロゲナーゼ産生方法。
【0017】
(4)前記ヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する微生物が、鉄を電子供与体として、かつ、二酸化炭素を炭素源として利用できる鉄腐食性のメタン生成菌であることを特徴とする(2)または(3)のヒドロゲナーゼ産生方法。
【0018】
(5)前記鉄腐食性のメタン生成菌が受託番号NITE BP−252で特定されるメタノコッカレス(Methanococcales)目メタノコッカシアエ(Methanococcaceae)科に属するメタノコッカス マリパルディス(Methanococcus maripaludis)KA1株、受領番号NITE AP−709で特定されるメタノコッカス マリパルディス OS7株、または、受領番号NITE AP−708で特定されるメタノコッカス マリパルディス(Mic1c10株)のいずれかであることを特徴とする(4)のヒドロゲナーゼ産生方法。
【0019】
(6)(1)のヒドロゲナーゼ、又は、(2)〜(5)のいずれかの方法で産生されたヒドロゲナーゼを、鉄または鉄を含む合金と接する水溶液中に存在させて、水素を発生させることを特徴とする水素発生方法。
【0020】
(7)前記鉄または鉄を含む合金と接する水溶液の溶存酸素濃度が0.2mg/L未満であることを特徴とする(6)の水素発生方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、新規ヒドロゲナーゼと鉄若しくは鉄を含む合金を利用して、常温でかつ酸性条件下でなくても効率的に水素を発生することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】水素発生量の比較を示す。
【図2】試験液の鉄濃度を示す。
【図3】水素発生量の比較を示す。
【図4】試験液の鉄濃度を示す。
【図5】プロテネースK処理による水素発生量への影響を示す。
【図6】プロテネースK処理による鉄腐食への影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明者らは、鉄腐食性のメタン生成菌であるメタノコッカス マリパルディスOS7株(NITE AP−709)および鉄腐食能を失った変異株のメタノコッカス マリパルディスOS7mut1株(NBRC 105638)の全ゲノム塩基配列を解読比較した。その結果、鉄腐食能を失ったOS7mut1株で欠失している領域に新規なヒドロゲナーゼが存在することを見出した。なお、OS7mut1株と同等の腐食能力を喪失した株は、OS7株を、水素を電子供与体として継代培養することにより、容易に濃縮・分離できる。
【0024】
ヒドロゲナーゼは水素の酸化還元反応を触媒する酵素である。ヒドロゲナーゼは水素イオンを原子状水素、あるいは水素分子に還元したり、逆に水素分子や原子状水素を水素イオンに酸化する反応を触媒する機能を有している。
【0025】
まず、配列表の配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼについて説明する。これらのアミノ酸配列は、メタノコッカス マリパルディスOS7株のヒドロゲナーゼの小サブユニットおよび大サブユニットのアミノ酸配列である。公知のタンパク質のアミノ酸配列との比較から、前記ヒドロゲナーゼの小サブユニットおよび大サブユニットのアミノ酸配列と既知のヒドロゲナーゼのアミノ酸配列との間の相同性が、それぞれ31%以下、26%以下であった。このことから、配列番号2及び4に示される記載のアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼは、新規ヒドロゲナーゼであることが明らかになった。
【0026】
本ヒドロゲナーゼの小サブユニットのアミノ酸配列(配列番号2)における12個のアミノ酸(55、58、143、177、203、206、223、229、238、250、257、及び260番目)、および、本ヒドロゲナーゼの大サブユニットのアミノ酸配列(配列番号4)における6個のアミノ酸(82、85、422、477、480、及び483番目)については、本ヒドロゲナーゼの活性発現に重要なNi、Fe、Sとの結合に重要なアミノ酸と推定される。
【0027】
尚、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼも、前記配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼと同様の酵素活性を有するものであれば、本発明の対象である。また、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性のアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼも、前記配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼと同様の酵素活性を有するものであれば、本発明の対象である。ただし、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の相同性のアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼであって前記配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼと同様の酵素活性を有するものがより好ましい。
【0028】
尚、通常タンパク質のアミノ酸配列の相同性で用いられるBLAST検索においてアミノ酸配列が30%以上一致すれば、類似タンパク質とみなされ、アミノ酸配列の相同性で60%以上であれば、機能的に同等のタンパク質とみなされる。したがって、アミノ酸配列の相同性が80%以上であることは、高い相同性であることを意味する。ただし、アミノ酸配列の相同性が90%以上であればより高い相同性であるので、より好ましい。
【0029】
次に、本発明のヒドロゲナーゼの産生方法について説明する。本発明のヒドロゲナーゼの構造遺伝子は、配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列の各アミノ酸に対応するコドンの塩基配列からなる構造遺伝子である。または、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列の各アミノ酸に対応するコドンの塩基配列からなる構造遺伝子である。または、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の相同性を有するアミノ酸配列の各アミノ酸に対応するコドンの塩基配列からなる構造遺伝子である。特に、配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列をコードする本発明のヒドロゲナーゼの構造遺伝子の塩基配列の一例をそれぞれ配列表の配列番号1及び3に記す。また、この他に各アミノ酸に対応するコドンは縮重する場合があるが、コドンの三番目の塩基は、一番目、二番目の塩基と比較すると同じアミノ酸に対応するコドンであっても変異率が高いことが知られている。したがって、配列番号1及び/又は3に示される塩基配列に規定される各コドンの一番目および二番目のヌクレオチド配列の相同性が80%以上であるものも本発明のヒドロゲナーゼの構造遺伝子の塩基配列である。
【0030】
本発明のヒドロゲナーゼは、前記ヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する微生物により産生させることができる。例えば、前記ヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する、遺伝子組み換え体微生物を用いて産生させることも可能である。また、前記ヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する、鉄を電子供与体として、かつ、二酸化炭素を炭素源として利用できる、鉄腐食性メタン生成菌により産生させることが可能である。特に、鉄腐食性メタン生成菌である、受託番号NITE BP−252で特定されるメタノコッカレス(Methanococcales)目メタノコッカシアエ(Methanococcaceae)科に属するメタノコッカス マリパルディス(Methanococcus maripaludis)KA1株、または受領番号NITE AP−709で特定されるメタノコッカス マリパルディス OS7株、または受領番号NITE AP−708で特定されるメタノコッカス マリパルディス Mic1c10株のいずれかを使用することが可能である。さらにこれらを混合して用いることも可能である。培地としては、例えば表1に記載の鉄炭酸培地を使用することができる。また、電子供与体を鉄ではなく水素とした表1に記載の水素培地を使用することも可能である。水素を電子供与体とすると雑菌が増殖しやすいので、そのような場合には鉄炭酸培地を用いるとよい。
【0031】
尚、本発明のヒドロゲナーゼを培養液から精製する方法としては、例えば以下に示すがある。例えば、N(80%)+CO(20%)で嫌気条件とした嫌気チャンバー内で、表1に記載の鉄炭酸培地や水素培地を用いた鉄腐食性のメタン生成菌の培養液を静置して、沈殿物を含まないように培養液を回収する。孔径0.22μmのフィルターでろ過して微生物の菌体も除く。ろ液を回収して、飽和硫酸アンモニウムと混合して、硫酸アンモニウムの最終濃度が1.2Mになるようにして、蛋白質を硫安沈殿する。硫安沈殿物を遠心にて除去した後、上清を孔径0.22μmのフィルターで再ろ過して、ろ液をHPLCの吸入口と直結できるボトルに入れて密栓する。ボトルに入れた蛋白質を含む溶液を疎水性クロマトグラフ用カラム[例えば東ソー疎水性相互作用カラム(Phenyl−5W)にロードする。溶離液として、A液[組成:1.2M硫安を含む10mMエチレンジアミン・バッファー(pH7.3)(EDバッファー)]、および、B液[組成:10%(v/v)を含むEDバッファー]を用い、A液100%からB液100%への直線勾配で、タンパク質を溶出する。溶出液を分注し、鉄を酸化して水素を発生する活性のあるフラクションに、精製された本発明のヒドロゲナーゼが存在する。
【0032】
尚、以上の操作は、前記嫌気チャンバー内で、酸素に曝さないように十分注意して実施する。
ただし、前記ヒドロゲナーゼの精製方法はあくまで一例であって、これ以外の方法で本発明のヒドロゲナーゼを精製しても勿論かまわない。
【0033】
次に、本発明のヒドロゲナーゼを、鉄若しくは鉄を含む合金と接する水に存在させて水素を発生させる方法について説明する。前記、鉄腐食性のメタン生成菌に本発明のヒドロゲナーゼを産生させる場合、本ヒドロゲナーゼは細胞外膜に局在、あるいは分泌されることが考えられる。したがって、例えば、配列番号1及び3に示される本発明のヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する微生物の本発明のヒドロゲナーゼを含む培養液を、鉄若しくは鉄を含む合金と接する水に加えることで、この水に本発明のヒドロゲナーゼを存在させることが可能である。また、前記微生物の培養液から、例えばフィルターろ過により細胞を取り除いた液や、この培養液から精製した本発明のヒドロゲナーゼを、鉄若しくは鉄を含む合金と接する水に加えてもよい。
【0034】
次に、本発明の水素発生の原理について説明する。本発明者らは、金属鉄を電子供与体として、かつ、二酸化炭素を炭素源として利用できるメタン生成菌による鉄腐食メカニズムを解析した。通常、メタン生成菌が棲息するような酸素が利用できない嫌気性条件では、鉄がアノード反応で溶出すると同時に、カソード反応で水分子や水素イオンが水素に還元される。従来の学説では、メタン生成菌や硫酸塩還元菌などのヒドロゲナーゼを有する嫌気性微生物は、鉄の腐食に伴いカソード反応で発生する水素を電子供与体として消費すると考えられてきた(非特許文献3)。しかしながら本発明者らは、前記鉄を電子供与体として、かつ、二酸化炭素を炭素源として利用できるメタン生成菌による鉄腐食メカニズムを詳細に解析した結果、前記鉄腐食性のメタン生成菌が産生するヒドロゲナーゼが、カソード反応で発生する水素消費を促進するのではなく、逆に、カソード反応による水素発生を促進することが判明した。従来、酸素の無い嫌気性環境では、カソード反応で発生した水素が鉄表面に吸着することによる分極によってカソード反応が進まなくなることが知られている。しかし、前記鉄腐食性のメタン生成菌が産生するヒドロゲナーゼによって、カソード反応で発生した水素が鉄表面に吸着することによる分極によってカソード反応が進まなくなるようなことは起こらず、鉄の酸化すなわち腐食に伴って水素発生が促進されることが判明した。つまり、本発明のヒドロゲナーゼは、鉄の酸化すなわち鉄の腐食と水素発生を促進する特徴を有する。本発明のヒドロゲナーゼを、鉄若しくは鉄を含む合金と接する水に存在させることによって、鉄を腐食させながら水素発生が可能である。ここで鉄を含む合金とは、鉄を主要な成分として含む、炭素鋼、合金鋼を意味する。
【0035】
なお、ヒドロゲナーゼは、酸素存在下ではその活性を失いやすいので、本発明で水素発生のために使用する鉄若しくは鉄を含む合金と接する水の溶存酸素濃度は、0.2mg/L未満であることが好ましい。溶存酸素濃度を下げるためには、酸素を含まない純窒素ガスや窒素と二酸化炭素の混合ガス等で酸素を除くほか、硫化ナトリウムなどを添加して酸素を還元して除く方法などがある。
【0036】
また、本発明のヒドロゲナーゼを使用して水素発生させる際の、鉄若しくは鉄を含む合金の形状であるが、粒状や粉状がよく、粒径が小さく比表面積が大きいほどよいと考えられる。これは、比表面積が大きいことで、ヒドロゲナーゼによる水素発生と鉄腐食反応が効率的にすすむと考えられるからである。
【0037】
また、本発明のヒドロゲナーゼにより水素を発生させるための温度条件は、10℃以上70℃以下が好ましい。温度が10℃未満あるいは70℃を超えた場合、ヒドロゲナーゼによる水素発生能力が低下する可能性があるからである。
【0038】
尚、発生した水素は水上置換等により捕集することができる。
尚、二酸化炭素が存在する環境では、水素の発生と共に、二酸化炭素は炭酸鉄として固定されるため、水素発生と二酸化炭素の固定を同時に行なうことが可能である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
【0040】
実施例1 ヒドロゲナーゼによる水素発生の促進
配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有し、当該ヒドロゲナーゼを産生する、鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株の培養液と、OS7株と16S rRNA遺伝子の塩基配列は一致するが、前記ヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有さず、当該ヒドロゲナーゼを産生できない、非鉄腐食性のメタン生成菌であるメタノコッカス マリパルディスS2株の培養液を、表1の水素培地で培養した。OS7株およびS2株の培養液を、それぞれ0.22μm孔径のフィルターでろ過して、微生物を除いたろ液を得た。
【0041】
容積70mLの密栓可能な滅菌したガラス容器の中に、滅菌した鉄顆粒6gと表2に記載の試験液20mLを入れた。気相は純窒素ガスとした。この試験液のpHは7である。また、純窒素ガスによる曝気により、この試験液のDOは0.2mg/L未満であることを確認した。この鉄顆粒を含む試験液に前記ろ液を1mL添加した。対照としてろ液を添加しない系も用意した。37℃で2週間静置して、経時的に上部気相の水素濃度とメタン濃度を測定した。水素濃度とメタン濃度はTCD付きガスクロマトグラフを用いて測定した。尚、試験は各条件でn=4で実施した。
【0042】
また、鉄の酸化すなわち鉄の腐食によって2価の鉄イオンとして溶出した、試験液中の鉄濃度を測定した。
【0043】
水素発生量の経時変化を図1に示す。なお、メタン生成菌はフィルターろ過で除かれていることから、メタンガスはいずれの系でも検出されなかった。
【0044】
配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼの構造遺伝子を持たないS2株の培養液のろ液を加えた系では、対照区のろ液無添加の系と同程度しか、鉄腐食のカソード反応に起因すると考えられる水素発生は起こらなかった。しかし、配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼを産生する鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株の培養液のろ液を加えた系では、水素が大量に発生した。14日間でのOS7株の培養液のろ液を加えた系の水素発生量は、ろ液無添加の系やS2株の培養液のろ過液を加えた系と比較して約4倍多い水素発生量であった。
【0045】
また、試験液の鉄濃度の経時変化を図2に示す。鉄の酸化すなわち鉄の腐食に起因する、試験液中の鉄濃度は、OS7株の培養液のろ液を加えた系では、ろ液無添加の系やS2株の培養液のろ過液を加えた系と比較して約3.4倍多い鉄濃度であった。
【0046】
したがって、培養液に分泌された配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼにより、鉄の酸化すなわち鉄の腐食と水素発生が同時に促進されることが確認された。
【0047】
実施例2 鉄腐食性メタン生成菌と鉄腐食能を失った変異株との比較
配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有し、当該ヒドロゲナーゼを産生する、鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株と、鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株から、配列番号2及び4に示されるヒドロゲナーゼの小サブユニットと大サブユニットの遺伝子の塩基配列を含む領域のゲノムDNAを欠失した、変異株のメタノコッカス マリパルディスOS7mut1株(NBRC 105638)を、表1の水素培地で培養した。OS7株およびOS7mut1株の培養液を、それぞれ0.22μm孔径のフィルターでろ過して、微生物を除いたろ液を得た。
【0048】
容積70mLの密栓可能な滅菌したガラス容器の中に、滅菌した鉄顆粒6gと表2に記載の試験液20mLを入れた。気相は純窒素ガスとした。この試験液のpHは7である。また、純窒素ガスによる曝気により、この試験液のDOは0.2mg/L未満であることを確認した。この鉄顆粒を含む試験液に前記ろ液を1mL添加した。対照としてろ液を添加しない系も用意した。37℃で2週間静置して、経時的に上部気相の水素濃度とメタン濃度を測定した。水素濃度とメタン濃度はTCD付きガスクロマトグラフを用いて測定した。尚、試験は各条件でn=4で実施した。
【0049】
また、鉄の酸化すなわち鉄の腐食によって2価の鉄イオンとして溶出した、試験液中の鉄濃度を測定した。
【0050】
水素発生量の経時変化を図3に示す。なお、メタン生成菌はフィルターろ過で除かれていることから、メタンガスはいずれの系でも検出されなかった。
【0051】
配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼの構造遺伝子を持たないOS7mut1株の培養液のろ液を加えた系では、対照区のろ液無添加の系と同程度しか、鉄腐食のカソード反応に起因すると考えられる水素発生は起こらなかった。しかし、配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼを産生する鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株の培養液のろ液を加えた系では、水素が大量に発生した。14日でのOS7株の培養液のろ液を加えた系の水素発生量は、ろ液無添加の系やOS7mut1株の 培養液のろ過液を加えた系と比較して約5倍多い水素発生量であった。
【0052】
また、試験液の鉄濃度の経時変化を図4に示す。鉄の酸化すなわち鉄の腐食に起因する、試験液中の鉄濃度は、OS7株の培養液のろ液を加えた系では、ろ液無添加の系やOS7mut1株の培養液のろ過液を加えた系と比較して約3倍多い鉄濃度であった。
【0053】
したがって、培養液に分泌された配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼにより、鉄の酸化すなわち鉄の腐食と水素発生が同時に促進されることが確認された。
【0054】
実施例3 鉄腐食性メタン生成菌の培養液に存在するヒドロゲナーゼの確認
表1に記載の水素培地400mlにてOS7株、OS7mut1株をそれぞれ2本ずつ、10日間水素培養した。実施例2と同様の試験により、OS7株の培養液のろ液は、鉄を酸化して水素発生を促進したが、OS7mut1株の培養液のろ液は、水素発生を促進できないことを確認した。これらの培養液から菌体を除去するために培養液を0.22μmのフィルターでろ過し、ろ液にトリクロロ酢酸溶液(100%/v)を80ml添加し、氷上に30min静置後、10,000gで15min遠心した。沈殿をアセトンで洗浄し、風乾した後、50μl buffer−1と10μl buffer−2に溶解した。そして、15%のSDS−ポリアクリルアミド電気泳動を行い、泳動後のゲルはCBB染色、及び脱色を行った。泳動レーンを10分割し、各切片を還元・アルキル化、トリプシン消化を自動化装置で行い、質量分析用バイアル内で減圧乾燥した。
【0055】
乾燥させたサンプルをサンプル溶解液に溶かし、1分間以上振とう後、2時間以上静置し、LC/MS/MS測定を行った。LC/MS/MS測定は、1)ペプチドの濃縮及び脱塩を行い、2)逆相C18カラムにより分離し、3)ナノエレクトロスプレーイオン化(nanoESI)法により溶出したペプチド断片をイオン化し、4)質量分析計へ導入してMS及びMS/MSスペクトルデータを取得した。繰り返し測定を4回行った。LC及びMS各部の測定条件を次に示す。
【0056】
a) LC条件
・濃縮・脱塩用カラム:Peptide CapTrap(Michrom BioResources)
・濃縮・脱塩用溶媒:0.1% TFA/2%アセトニトリル/98%水
・カラム:C18(0.2×50mm,3μm,200Å、Michrom BioResources)
・溶媒A:0.1%ギ酸/2%アセトニトリル/98%水
・溶媒B:0.1%ギ酸/90%アセトニトリル/10%水
・グラジエント:5% to 35%B in 40min,35% to 65%B in 10min.または5% to 35%B in 120min,35% to 65%B in 10min.
・流速:1〜2μL/min(スプリッター使用)
【0057】
b)MS条件
・イオンモード:ポジティブ
・スプレーヤー:PicoTip 内径30μm(New Objective)
・スプレー電圧:1.9〜2.0kV
・加熱キャピラリー温度:200℃
・質量範囲:m/z 450〜m/z 2000
・MS:Centroid mode
・MS/MS:Data Dependent及びDynamic Exclusionによる自動分析
・衝突誘起解離(CID)用ガス:ヘリウム 99.99995%以上
【0058】
得られたMS/MSスペクトルデータから、Matrix Science社検索ソフトMASCOTTMを用いてORF及びゲノムのデータベースに対して検索を行った。また、ランダムデータベースを対象に検索を行い、ランダムヒットの最高スコアを元にしきい値を設定し、検索結果の選別を行った。
【0059】
その結果、鉄腐食性のメタン生成菌であるOS7株の培養液には本発明のヒドロゲナーゼのアミノ酸配列が確認された。しかし、鉄腐食性の無い変異株のOS7mut1株の培養液には本発明のヒドロゲナーゼのアミノ酸配列は確認できなかった。したがって、鉄を酸化して水素発生を促進するOS7株の培養液には本発明のヒドロゲナーゼが存在することが確認できた。
【0060】
実施例4 蛋白質分解酵素によるヒドロゲナーゼ阻害
配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなる新規ヒドロゲナーゼを産生する、鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株の培養液を、0.22μm孔径のフィルターでろ過して、微生物を除いたろ液を得た。このろ液そのままと、このろ液に蛋白分解酵素であるプロテネースK(QIAGEN社)を加えて70℃で5分間処理することでこのろ液に含まれるヒドロゲナーゼを失活させた蛋白分解酵素処理ろ液を用意した。容積70mLの密栓可能な滅菌したガラス容器の中に、滅菌した鉄顆粒6gと表1に記載の試験液20mLを入れた。気相はN(80%)+CO(20%)ガスとした。この試験液のpHは7である。また、N(80%)+CO(20%)ガスによる曝気により、この試験液のDOは0.2mg/L未満であることを確認した。この鉄顆粒を含む試験液に前記OS7株の培養液のろ液、または前記蛋白分解酵素処理ろ液を1mL添加した。対照としてOS7を入れない無菌の系のろ液をプロテネースKで処理したものとしないものでも同様に試験した。37℃で2週間静置して試験した。経時的に上部気相の水素濃度をTCD付きガスクロマトグラフを用いて測定した。また、試験液中の全鉄濃度も経時的に測定した。尚、試験は各条件でn=4で実施した。
【0061】
水素発生量の経時変化を図5に示す。
蛋白分解酵素で処理したヒドロゲナーゼを失活させたろ液を加えた系では、対照区のろ液無添加の系と同程度しか、鉄腐食のカソード反応に起因すると考えられる水素発生は起こらなかった。しかし、配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼを産生する鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株の培養液のろ液を加えた系では、水素が大量に発生した。2週間の試験後、ろ液無添加の系や蛋白分解酵素で処理したろ液を加えた系と比較して約4.5倍多い水素発生量であった。
【0062】
試験液の鉄濃度の経時変化を図6に示す。試験液中の鉄濃度は前記水素発生量と対応した結果であった。
【0063】
つまり、蛋白分解酵素で処理したろ液を加えた系では、対照区のろ液無添加の系と同程度の鉄濃度であった。しかし、配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼを産生する鉄腐食性メタン生成菌のメタノコッカス マリパルディスOS7株のろ液を加えた系では、前記蛋白分解酵素で処理したろ液や、対照区のろ液無添加の系と比較して、2週間の試験後、約3倍多い鉄濃度であった。
【0064】
したがって、培養液のろ過液に含まれる、配列番号2及び4に示されるアミノ酸配列からなるヒドロゲナーゼよる水素発生促進と鉄腐食促進は、蛋白分解酵素であるプロテネースKによりヒドロゲナーゼが失活するため、鉄腐食と水素発生が抑制されることが確認された。
【0065】
【表1A】

【0066】
【表1B】

【0067】
【表1C】

【0068】
【表1D】

【0069】
【表2A】

【0070】
【表2B】

【受託番号】
【0071】
1.メタノコッカス マリパルディス(Mic1c10株)
(1)微生物の識別の表示:Methanococcus maripaludis Strain Mic1c 10
(2)受領番号:NITE AP−708
(3)受領日:2009年2月20日
(4)寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
2.メタノコッカス マリパルディス OS7株
(1)微生物の識別の表示:Methanococcus maripaludis Strain OS7
(2)受領番号:NITE AP−709
(3)受領日:2009年2月20日
(4)寄託機関:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列表の配列番号2に示されるアミノ酸配列からなる小サブユニット、及び配列表の配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる大サブユニットから構成される新規ヒドロゲナーゼ、または、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなる新規ヒドロゲナーゼ、または、配列番号2及び/又は4に示されるアミノ酸配列と少なくとも80%のアミノ酸配列相同性を有するアミノ酸配列からなることを特徴とする新規ヒドロゲナーゼ。
【請求項2】
請求項1に記載のアミノ酸配列からなる小サブユニット及び大サブユニットから構成されるヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する微生物を用いて前記ヒドロゲナーゼを産生することを特徴とするヒドロゲナーゼ産生方法。
【請求項3】
前記ヒドロゲナーゼの小サブユニットの構造遺伝子及び大サブユニットの構造遺伝子が、それぞれ配列表の配列番号1及び3に示される塩基配列からなる、または配列番号1及び/又は3に示される塩基配列に規定される各コドンの一番目および二番目のヌクレオチド配列の相同性が80%以上であることを特徴とする、請求項2に記載のヒドロゲナーゼ産生方法。
【請求項4】
前記ヒドロゲナーゼの構造遺伝子を有する微生物が、鉄を電子供与体として、かつ、二酸化炭素を炭素源として利用できる鉄腐食性のメタン生成菌であることを特徴とする、請求項2または3に記載のヒドロゲナーゼ産生方法。
【請求項5】
前記鉄腐食性のメタン生成菌が受託番号NITE BP−252で特定されるメタノコッカレス(Methanococcales)目メタノコッカシアエ(Methanococcaceae)科に属するメタノコッカス マリパルディス(Methanococcus maripaludis)KA1株、受領番号NITE AP−709で特定されるメタノコッカス マリパルディス OS7株、または、受領番号NITE AP−708で特定されるメタノコッカス マリパルディス(Mic1c10株)のいずれかであることを特徴とする、請求項4に記載のヒドロゲナーゼ産生方法。
【請求項6】
請求項1に記載のヒドロゲナーゼ、又は、請求項2〜5のいずれかの方法で産生されたヒドロゲナーゼを、鉄または鉄を含む合金と接する水溶液中に存在させて、水素を発生させることを特徴とする水素発生方法。
【請求項7】
前記鉄または鉄を含む合金と接する水溶液の溶存酸素濃度が0.2mg/L未満であることを特徴とする、請求項6に記載の水素発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−193806(P2010−193806A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43156(P2009−43156)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成19〜20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 微生物を利用した石油の環境安全対策に関する調査委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(301037213)独立行政法人製品評価技術基盤機構 (25)
【Fターム(参考)】