説明

新規プロセス

本発明は、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンのカラーインデックスを向上させるための方法であって、前記基保有オルガノポリシロキサンを有機溶媒中でヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルと接触させる工程を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、有機溶媒中で、基保有オルガノポリシロキサンをヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルと接触させる工程を含む、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンのカラーインデックスを改善するための方法に関する。
【0002】
分子量が1000ダルトンより大きいUVフィルター剤は、高分子量ゆえに、経皮浸透がないため、それらの全身曝露が非常に少ないので、化粧品業界では非常に関心が高い。
【0003】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンは、UVフィルター剤として知られており、ヒドロシリル化(即ち、例えば国際公開第92/20690号パンフレット、欧州特許第1142930号明細書、欧州特許第358584号明細書、欧州特許第1885769号明細書、欧州特許第1494642号明細書、欧州特許第1521798号明細書、欧州特許第388218号明細書、欧州特許第660701号明細書又は欧州特許第1000950号明細書で開示されるものなど、UV光吸収基に結合している不飽和結合へのSi−H結合の付加)により調製される。
【0004】
しかし、ヒドロシリル化プロセスの結果得られる生成物は、望ましくない黄変ないし褐変を呈することが多く、これは化粧品業界では許容されない。活性炭などの吸着剤での後処理によってこの生成物を退色させることが可能であっても、これらのプロセスは冗長であり、大量の溶媒を必要とし、その結果、収率が低下する。
【0005】
従って、簡便な工業プロセスを用いて良好な収率で、カラーインデックスが低い、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンを調製することを可能にする、簡便で経済的に好ましく環境に害を及ぼさない方法が今なお求められている。
【0006】
驚くべきことに、ヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルが、ベンザルマロネートで官能化されたオルガノポリシロキサンのカラーインデックスを改善するのに適切であることが分かった。
【0007】
従って、本発明は、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンを有機溶媒中でヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルと接触させる工程を含む、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンのカラーインデックスを改善するための方法に関する。
【0008】
例えば、ガードナーインデックス(黄色度の指標)又はAPHAカラーインデックスなどの表色系(color value system)を用いる方法など、当業者にとって公知の方法によって、処理前後の少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンの着色度を判定することができる。
【0009】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンは、特に、ヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルと接触させた後、ガードナー値(Gardner value)が、2.9未満、特に2.5未満、例えば0.01から2の範囲などになる。
【0010】
本発明に従い使用される場合の有機溶媒という用語は、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンを溶解させるのに適切であり、沸点が低く、容易に蒸発するか又は蒸留により除去することができ、溶解物質を残留させる、炭素含有化学物質に関する。特に、この有機溶媒の沸点は、300℃未満、特に200℃未満、さらにとりわけ150℃未満、例えば100℃未満などであり、従って、20mbar、1mbar又はさらに低い圧力など、標準圧力又は減圧下で容易に除去することができる。特に適切であるのは、直鎖状、分岐状又は環状C1−8アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン又はキシレンなど)、直鎖状又は環状アセタール(1,3−ジオキソラン又はエチラールなど)ならびにそれらの混合物である。特にイソプロパノールが使用される。
【0011】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンに対する有機溶媒の比率は決定的なものではない。この有機溶媒は、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンの溶解を可能にする量で使用される。特に、有機溶媒と、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンの比率(wt/wt)は、10:1から1:10、特に5:1から1:5の範囲、例えば1:1から0.5:1の範囲などである。
【0012】
本発明に従い使用されるヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルという用語は、ヒドロキシカルボン酸(グリコール酸又は乳酸など)、ヒドロキシジカルボン酸(酒石酸など)又はヒドロキシトリカルボン酸(クエン酸など)ならびにその環状エステル(アスコルビン酸など)を包含するが、これらに限定されない。
【0013】
ある下位実施形態において、ヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルは、常に、グリコール酸、アスコルビン酸及び/又はクエン酸から選択される(特にクエン酸など)。
【0014】
本発明による方法で使用されるヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルの量は決定的なものではない。好ましくは、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンの重量に基づき、0.05から5重量%、好ましくは0.1から1重量%の量が使用される。
【0015】
過酸化水素のさらなる量が存在する場合、これは退色を促進し、従って処理時間が短縮されるので、特に良好な結果が得られる。過酸化水素の量は、当業者によって容易に決定することもでき、特に、ベンザルマロネートで官能化されたオルガノポリシロキサンの重量に基づき、0.03から3重量%(35重量%過酸化水素水溶液に基づく)の範囲で選択される。
【0016】
本発明による方法は、好ましくは、40℃から150℃、好ましくは40℃から80℃の範囲などの高温、例えば約60℃で遂行されるが、反応温度は使用される溶媒の沸点を超えてはならない。
【0017】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンを有機溶媒中で、場合によっては過酸化水素の存在下で、ヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルと接触させた後、この溶媒を直接蒸発させるか、又は続く洗浄工程を溶媒蒸発の前に行うことができる。このような洗浄工程は当業者にとって周知である。特定の実施形態において、MeOH/水の混合液による洗浄工程が含まれる。MeOH/水の比率は決定的なものではなく、20:1から5:1の範囲、例えば10:1などであり得る。
【0018】
本発明のある下位実施形態において、本発明による少なくとも1つのUV光吸収基により官能化されているオルガノポリシロキサンは、常に、式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)から選択される少なくとも1単位と、
【化1】



場合によっては、1単位又は複数単位の式(II)と、
【化2】



(式中、
aは0、1又は2であり、
bは0、1、2、3であり、
は、C−C30炭化水素基又はトリメチルシリルオキシ基、特にC−C10アルキル基(メチル基など)であり、
は、水素、C−C30炭化水素基又はトリメチルシリルオキシ基、特にC−C10アルキル基(メチル基など)であり、
Yは、2価のC−C10アルキレン又はC−C10アルケニレン鎖、特にC−Cアルキレン鎖(メチレン基など)であり、
Xは、O、NH又はNR(式中、Rは、C−C30基、特にC−C炭化水素基である)であり、
Aは、UV−B光吸収基、UV−A光吸収基、UV−C光吸収基又は広帯域光吸収基である)
を含む。
【0019】
本発明による少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の単位のみから構成されるホモポリマーであり得るポリマー性材料であるか又はそれらは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の単位ならびに式(II)の単位を含有するコポリマーであり得る。式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の単位は、オルガノポリシロキサン中に無作為に分布し得るか、それらは、ポリマーの末端封鎖単位(end blocking unit)であり得るか又はそれらは、ポリマーの末端及びそのポリマー鎖の懸垂部分(pending)に同時に位置し得る。
【0020】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されている本オルガノポリシロキサンは、UV光吸収基を1種類のみ有し得るか、又は、少なくとも2単位の式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)(この場合、UV光吸収基は、例えばUV−B光吸収基及びUV−A光吸収基などのように、異る)を有し得る。
【0021】
aが2である場合、この2個の置換基Rは、同一であってもよいし、異なってもよい。bが2又は3である場合、この2又は3個の置換基Rは、同一であってもよいし、異なってもよい。このポリマーが、複数単位の式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)を含有する場合、置換基Rは、同一であってもよいし、単位ごとに異なってもよい。このポリマーが複数単位の式(II)を含有する場合、置換基Rは、同一であってもよいし、単位ごとに異なってもよい。
【0022】
本発明による少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンは、直鎖状、環状、分岐状であるか又は架橋されているものであり得る。特定の実施形態において、このオルガノポリシロキサンは、直鎖状又は環状オルガノポリシロキサンであり、単位(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)及び(II)の殆どにおいてa=1及びb=2であることを特徴とする。しかし、このオルガノポリシロキサンが直鎖状ポリマーである場合、少なくとも2つの末端封鎖単位が存在しなければならず、従って、aの値が2であるもの2単位又はbが3であるもの2単位が存在することのいずれかが必要である。このようなオルガノポリシロキサンは、一般に、ポリマー鎖サイズの統計分布を示す。
【0023】
本発明の別の下位実施形態において、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンは、1個の式(IIIa)の末端封鎖単位及び1個の式(IIIb)の末端封鎖単位(それぞれa=2である、式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)、b=3である(II)の単位に相当)と、
【化3】



上記で示されるとおりの、a=1である、(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)の群から選択されるs単位と、
式(IV)
【化4】



(b=2である式(II)の単位に相当)のr単位と、
(式中、
sは、0から50の整数であり、
rは、0から200の整数であり、
、R、R、R、Rは、独立して、Rに対して上記で定義されるとおりであり、
及びRは、独立して、Rに対して上記で定義されるとおりであり、
B及びB’は、独立して、基R又は
【化5】




から選択されるUV光吸収基であり、ただし、sが0である場合、少なくともB又はB’は基I、II、III、又はIVである)
を含む、直鎖状オルガノポリシロキサンである。
【0024】
さらに他の下位実施形態において、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンは、1単位の式(IIIa)及び1単位の式(IIIb)と、4から10、好ましくは4から7単位の式(Ia)及び/又は(Ib)と、40から90、好ましくは60から80単位の式(IV)と、から構成される直鎖状オルガノポリシロキサンである(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、B及びB’はメチルであり、Yはメチレンであり、XはOであり、式(Ia)及び/又は(Ib)の単位はこのオルガノポリシロキサン鎖中に無作為に分布している)。当業者にとって当然のことながら、オルガノポリシロキサンの上記説明は、ポリマー鎖サイズの平均的統計分布を指し、これは調製プロセス由来の少量の不純物質としてH−シロキサン単位をなお含有し得る。
【0025】
ヒドロシリル化(即ち、UV光吸収基の不飽和炭素−炭素結合へのオルガノポリシロキサンのH−シロキサン単位の付加)による少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンの調製に起因して、通常は式(Ia)ならびに(Ib)、それぞれ(Ic)ならびに(Id)の単位が形成され、従って、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサン中に同時に存在する。特定の実施形態において、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサン中の、式(Ia)の単位と式(Ib)の単位の比率は、約4対1である。
【0026】
本発明に従い使用されるC−C10アルキレンという用語には、直鎖又は分岐鎖飽和炭化水素残基、例えば、メチレン、1−エチレン、2−エチレン、3−プロピレン、2−プロピレン、2−メチル−3−プロピレン、3−ブチレン、4−ブチレン、4−ペンチレン、5−ペンチレン、6−ヘキシレンなどが含まれる。
【0027】
本発明に従い使用されるC−C10アルケニレンという用語には、少なくとも1個の二重結合を含有する不飽和炭化水素残基(例えば、2−プロペン−2−イレン、2−プロペン−3−イレン、3−ブテン−3−イレン、3−ブテン−4−イレン、4−ペンテン−4−イレン、4−ペンテン−5−イレン、(3−メチル)−ペンタ−2,4−ジエン−4又は5−イレン、11−ドデセン−11−イレンなど)が含まれる。この2価アルキレン又はアルケニレン鎖には、1個又は数個の酸素原子が割り込み得る。
【0028】
本発明に従い使用されるC−C30炭化水素基という用語は、C−C30アルキル(メチル、エチル、プロピル及びブチルなど)、C−C30アルケニル(ビニル及びアリルなど)及び未置換又は置換アリール(フェニル、アルキルアリール及びアルコキシフェニルなど)などの、飽和又は不飽和C−C30炭化水素基を指す。この炭化水素基は、未置換であるか又は例えばハロゲン、例えばハロゲン化C−C18炭化水素基により置換されている。このアルキル及びアルケニル基は、直鎖又は分岐鎖(例えばメチル、エチル、3−プロピル、2−プロピル、2−メチル−3−プロピル、3−ブチル、4−ブチル、4−ペンチル、5−ペンチル、6−ヘキシル、2−プロペン−2−イル、2−プロペン−3−イル、3−ブテン−3−イル、3−ブテン−4−イル、4−ペンテン−4−イル、4−ペンテン−5−イル、(3−メチル)−ペンタ−2,4−ジエン−4又は5−イル、11−ドデセン−11−イルなど)であり得る。
【0029】
UV光吸収基という用語は、波長400から320nm(UVA)及び320から290(UVB)の範囲の光又はさらにより短い波長の光(UVC)を吸収し、化学的UVフィルターであるか又は化学的UVフィルターとして使用され得る全ての基を指す。「広帯域光吸収基」という用語は、本明細書中で使用される場合、UV−A及びUV−Bに重複する領域、特に約310から360nmの間の領域の光を吸収する基を指す。本発明の官能化オルガノポリシロキサン中に存在し得るUV光吸収基は、例えば、アクリル酸エステル類、p−アミノ安息香酸エステル類、カンファー誘導体(ベンジリデンカンファー型のものなど)、桂皮酸エステル類、ベンゾフェノン、ベンザルマロン酸のエステル、2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸のエステル、イミダゾール誘導体、サリチル酸エステル類、トリアゾン誘導体、トリアゾール誘導体、ジベンゾイルメタン、アントラニル酸エステル類、アミノ置換ヒドロキシベンゾフェノン、フェニル−ベンゾイミダゾール、フェニル−ベンゾオキサゾール、インダニリデン誘導体及び1,4−ジヒドロピランの基に属している。
【0030】
アクリル酸エステル類に対する例には、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン、パルソール(PARSOL)(登録商標)340)及び2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルが含まれる。
【0031】
p−アミノ安息香酸及びそのエステル類に対する例には、4−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸−2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、4−(ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノ)安息香酸エチルエステル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸−2−エチルヘキシルエステル(例えばオイソレックス(Eusolex)(登録商標)6007)及びエトキシル化4−アミノ安息香酸エチルエステル(例えばユビナール(Uvinul)(登録商標)P25)が含まれる。
【0032】
カンファー誘導体に対する例には、4−メチルベンジリデンカンファー(パルソール(登録商標)5000)、3−ベンジリデンカンファー、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート(camphor benzalkonium methosulfate)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、スルホベンジリデンカンファー、スルホメチルベンジリデンカンファー及びテレフタリデンジカンファースルホン酸が含まれる。
【0033】
桂皮酸エステル類に対する例には、メトキシ桂皮酸オクチル(パルソール(登録商標)MCX)、メトキシ桂皮酸エトキシエチル、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン(パルソール(登録商標)Hydro)及びメトキシ桂皮酸イソアミルが含まれる。
【0034】
ベンゾフェノンに対する例には、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4,2,2’,4,4’テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン及び2,2’ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノンが含まれる。
【0035】
ベンザルマロン酸のエステルに対する例には、4−メトキシベンザルマロン酸ジ(2−エチルヘキシル)が含まれる。
【0036】
2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸のエステルに対する例には、欧州特許第0895776号明細書に記載されるような2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸ジエチルエステルが含まれる。
【0037】
イミダゾール誘導体に対する例には、2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及びその塩(パルソール(登録商標)HS)が含まれる。2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸の塩は、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、アンモニウム塩、モルホリン塩、一級、二級及び三級アミンの塩(モノエタノールアミン塩及びジエタノールアミン塩など)などのアルカリ塩である。
【0038】
サリチル酸塩誘導体に対する例には、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸オクチル(ネオヘリオパン(NEO HELIOPAN)(登録商標)OS)、サリチル酸イソオクチル又はサリチル酸ホモメチル(ホモサラート)が含まれる。
【0039】
トリアゾン誘導体に対する例には、オクチルトリアゾン(ユビナール(登録商標)T−150)、ジオクチルブタミドトリアゾン(ユバソーブ(UVASORB)(登録商標)HEB)が含まれる。
【0040】
トリアゾール誘導体に対する例には、ベンゾトリアゾール、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルファニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)−フェノール(チノソルブ(TINOSORB)(登録商標)M)など、ならびに欧州特許出願公開第A−893119号明細書に記載のトリアゾールが含まれる。
【0041】
ジベンゾイルメタン誘導体に対する例には、4−tert.ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(パルソール(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン及びイソプロピルジベンゾイルメタンなどの化合物が含まれる。
【0042】
アミノ置換ヒドロキシベンゾフェノンに対する例には、欧州特許第1046391号明細書に記載されるような2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステルなどの化合物が含まれる。
【0043】
インダニリデン誘導体の例は、欧州特許第1000950号明細書、同1341752号明細書又は同1485338号明細書で開示されるものなどの化合物を指す。
【0044】
好ましいUV光吸収基Aの例は、ベンゾオキサゾール、ベンジリデンカンファー、ベンゾイミダゾール、ジベンゾイルメタン、p−アミノ安息香酸、ベンゾトリアゾール、ジフェニルアクリル酸エステル又はヒドロキシベンゾフェノン基を含むものであり、実例を下記で示す:
【化6】



(式中、R及びRIIは、独立して、水素又は直鎖もしくは分岐鎖C1−20−アルキル基、特に直鎖C1−3−アルキル基であり、RIII及びRIVは、独立して、水素、直鎖もしくは分岐鎖C1−20−アルキル又は直鎖もしくは分岐鎖C1−20アルコキシ基、特に直鎖C1−3−アルキル又は直鎖C1−3−アルコキシ基(特にメチル又はメトキシ基など)である)。波線は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)のXへの、UV光吸収基Aの結合部(linking bond)を指す。好ましくは、Xは常に酸素(O)である。
【0045】
特定の実施形態において、UV光吸収基Aは、下記で示されるような2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾイルオキシメチル基(式中、XはOである)である。
【化7】



【0046】
このような、アミノヒドロキシベンゾフェノンで官能化されたオルガノシリコーンの調製は、例えば欧州特許第1494642号明細書又は同第1981895号明細書で開示されている。
【0047】
別の特定の実施形態において、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化された本オルガノポリシロキサンは、4−[(2,2−ジエトキシカルボニル)ビニル]フェノキシメチル及び2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾイル−オキシメチル基から選択される2つの異なる基Aを含む(下記で示される場合、XはOである)。
【化8】



【0048】
このようなオルガノシリコーンの調製は、例えば欧州特許第1885769号明細書で開示されている。
【0049】
別の下位実施形態において、UV光吸収基Aはインダニリデン基である。このようなインダニリデン官能化オルガノシリコーン誘導体の調製は、例えば欧州特許第1000950号明細書で開示されている。
【0050】
実施例により、本発明をさらに例示するが、これらに限定されない。
【0051】
[実施例1]
[クエン酸でのポリシリコーン−15(4−[(2,2−ジエトキシカルボニル)ビニル]フェノキシメチル基を保有するオルガノポリシロキサン)の退色]
欧州特許第1142930号明細書、実施例1で開示されるプロセスに従い調製された、ガードナー値が3.5である、600gのポリシリコーン−15試料、398.5gイソプロパノール、1gクエン酸一水和物及び0.5g過酸化水素(35%水溶液)の混合物を60℃で4から8時間、ガードナー値が約2になるまで撹拌した。減圧下(250−20mbar)で75℃にて溶媒を蒸発させ、ガードナー値が1.9である、600gのポリシリコーン−15を得た。
【0052】
[実施例2]
[アスコルビン酸でのポリシリコーン−15(4−[(2,2−ジエトキシカルボニル)ビニル]フェノキシメチル基を保有するオルガノポリシロキサン)の退色]
欧州特許第1142930号明細書、実施例1で開示されるプロセスに従い調製された、ガードナー値が3.5である、600gのポリシリコーン−15試料、398.5gイソプロパノール、1gアスコルビン酸及び0.5g過酸化水素(35%水溶液)の混合物を60℃で4から8時間、ガードナー値が約2.2になるまで撹拌した。減圧下(250−20mbar)で75℃にて溶媒を蒸発させ、ガードナー値が2.2である、600gのポリシリコーン−15を得た。
【0053】
[実施例3]
[2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾイル−オキシメチル基を有する、欧州特許第1494642号明細書の実施例B2によるオルガノポリシロキサン化合物の退色]
欧州特許第1494642号明細書の実施例B2に従い調製された1gの褐色油状物質、0.66gイソプロパノール、2mgクエン酸一水和物及び1mg過酸化水素(35%水溶液)の混合物を60℃で8時間撹拌した。減圧下(250−20mbar)で75℃にて溶媒を蒸発させ、その結果、淡黄色の油状物質を得た。
【0054】
[実施例4]
[インダニリデン残基を有する欧州特許第1000950号明細書の実施例9によるオルガノポリシロキサン化合物の退色]
欧州特許第1000950号明細書の実施例9に従い調製された1gの黄色油状物質、0.66gイソプロパノール、2mgクエン酸一水和物及び1mg過酸化水素(35%水溶液)の混合物を60℃で8時間撹拌した。減圧下(250−20mbar)で75℃にて溶媒を蒸発させ、その結果、淡黄色の油状物質を得た。ティント;パントンカラーティントセレクター、パントンライブラリーオブカラー(Tints;PANTONE Color Tint Selector、The PANTONE Library of Color)に従い、処理前後の色を目視で判定した。109Cから101Cへの変色に反映されるカラーインデックスの改善が観察された。
【0055】
[実施例5]
[ベンゾオキサゾール残基を有するオルガノポリシロキサン化合物の退色]
1.8mmolの2−(4−プロプ−2−イニルオキシ−フェニル)−ベンゾオキサゾール、1.2mmolヘキセン及びシリコーン樹脂(SiH含量:10mmol/g、粘度:20mPA)を用いて国際公開第2004/007592号パンフレットの実施例1に従い調製された0.5gの淡褐色油状物質、0.33gイソプロパノール、1mgクエン酸一水和物及び0.5mg過酸化水素(35%水溶液)の混合物を60℃で8時間撹拌した。減圧下(250−20mbar)で75℃にて溶媒を蒸発させ、その結果、僅かにベージュ色の油状物質を得た。ティント;パントンカラーティントセレクター、パントンライブラリーオブカラー(Tints;PANTONE Color Tint Selector、The PANTONE Library of Color)に従い、処理前後の色を目視で判定した。4515Cから4545Cへの変色に反映されるカラーインデックスの改善が観察された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンを有機溶媒中でヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルと接触させる工程を含む、少なくとも1つのUV光吸収基で官能化されたオルガノポリシロキサンのカラーインデックスを改善するための方法。
【請求項2】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化された前記オルガノポリシロキサンが、前記ヒドロキシカルボン酸又はその環状エステルと接触させられた後、2.9未満、特に2.5未満、例えば0.01から2の範囲などのガードナー値を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機溶媒が、C1−8アルキルアルコール、アセタールもしくは芳香族炭化水素又はそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記有機溶媒がイソプロパノールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
メタノール/水の混合液で洗浄する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化された前記オルガノポリシロキサンが、式(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)から選択される少なくとも1単位と、
【化1】



場合によっては、1単位又は複数単位の式(II)と、
【化2】



(式中、
aは0、1又は2であり、
bは0、1、2、3であり、
は、C−C30炭化水素基又はトリメチルシリルオキシ基であり、
は、水素、C−C30炭化水素基又はトリメチルシリルオキシ基であり、
Yは、2価のC−C10アルキレン又はC−C10アルケニレン鎖、好ましくはC−Cアルキレン鎖、最も好ましくはメチレン基であり、
Xは、O、NH又はNR(式中、RはC−C30、特にC−C炭化水素基である)であり、
Aは、UV−B光吸収基、UV−A光吸収基、UV−C光吸収基又は広帯域光吸収基である)
を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つのUV光吸収基で官能化された前記オルガノポリシロキサンが、式(IIIa)の1個の末端封鎖単位及び式(IIIb)の1個の末端封鎖単位と、
【化3】



請求項6で示されるとおりの(Ia)、(Ib)、(Ic)及び/又は(Id)(式中、a=1)の群から選択されるs単位と、
式(IV)
【化4】



のr単位と、
(式中、
sは、0から50の整数であり、
rは、0から200の整数であり;
、R、R、R、Rは、独立して、Rに対して上記で定義されるとおりであり、
及びRは、独立して、Rに対して上記で定義されるとおりであり、
B及びB’は、独立して、基R又は
【化5】



から選択されるUV光吸収基であり、
ただし、sが0である場合、少なくともB又はB’は、基I、II、III又はIVである)
を含む直鎖状オルガノポリシロキサンである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記UV光吸収基Aが、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾイルオキシメチル基である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
4−[(2,2−ジエトキシカルボニル)ビニル]フェノキシメチル及び2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾイル−オキシメチル基から選択される2つの異なるUV光吸収基Aが存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により得ることができる、ガードナー値が2.9未満であるオルガノポリシロキサン。
【請求項11】
ガードナー値が2.5未満である、請求項10に記載のオルガノポリシロキサン。
【請求項12】
ガードナー値が0.01から2の範囲である、請求項10に記載のオルガノポリシロキサン。

【公表番号】特表2012−510533(P2012−510533A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537989(P2011−537989)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065971
【国際公開番号】WO2010/063649
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】