説明

新規ベクター及びその利用

遺伝子を宿主で組換え発現して蛋白質を得る作業の手間を軽減させるためのツールを提供する。 第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列を持ち、そのうち一方の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、他方の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まないことを特徴とするベクター。前記ベクターを利用して蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ベクター及びその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にポストゲノム研究といわれている構造プロテオミクス・機能プロテオミクスと言われる学問分野において、さまざまな遺伝子産物を同時並行的に大腸菌で組換え発現して蛋白質試料を取得する技術は非常に重要である。
【0003】
従来、目的遺伝子を使って蛋白質試料を取得するには、まず、目的遺伝子をPCR法で増幅し、PCR産物をサブクローニング用ベクターに組み込み、これで宿主を形質転換させ、形質転換した宿主の単コロニーを形成させ、各コロニー由来の宿主からプラスミドを精製し、プラスミドの塩基配列を決定することにより、目的遺伝子が挿入されているクローンを選択していた。その後、選択したクローンから、制限酵素により目的遺伝子を含むDNA断片を切り出し、切り出したDNA断片を精製してから、融合蛋白質発現ベクターに組み込み、これで宿主を形質転換させ、形質転換した宿主の単コロニーを形成させ、各コロニー由来の宿主からプラスミドを精製し、精製したプラスミドで発現用宿主を形質転換して、目的遺伝子がコードする蛋白質を発現させていた。以上の操作は最速で9日という時間を要するものであり、かつ、制限酵素によりサブクローニング用ベクターから目的遺伝子を含むDNA断片を切り出す工程及び切り出したDNA断片を精製する工程は熟練を要するものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、遺伝子を宿主で組換え発現して蛋白質を得る作業の手間を軽減させるためのツールを提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、上記のツールを利用して、遺伝子がコードする蛋白質を製造する方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
PCR法に用いられる酵素のうち、もっとも代表的なTaq DNA polymerase/Tth DNA polymeraseなどでは、複製されたDNA産物の3’末端に鋳型に依存せずにdAを一残基付加するという副反応の活性があることが知られている。そのため、PCR法を用いて増幅させた二本鎖DNA断片の大部分にはdAが一残基付加した3’端突出構造を有する。
【0007】
ここで、dAと相補な塩基対を形成するdTを3’端に突出させた構造をもつplasmid vectorを用意して、上記PCR増幅産物と混合すると、速やかに1塩基の突出末端を利用した塩基対生成がおこり、そこにDNA ligaseを混合してやるとvectorとPCR増幅産物のligation反応が起こる。一方でDNA ligaseはミスマッチを有するDNA末端同士のligation反応をおこなわないため、PCR増幅産物を含まずにplasmid vector単体のみでligationして自己環化してしまう産物はきわめて生成しにくい、という現象が知られている。
【0008】
この性質を利用して3’−dT突出構造を持つ開環vector(T−vector)をあらかじめ作成しておき、それにPCR産物を制限酵素による処理や末端の平滑化処理を行うことなく、混合してligationを行う方法を、TA−cloning法と呼ぶ。
【0009】
T−vector作成法には原理的に3種類が知られている。
【0010】
第一の方法は、TdTを用いる方法である。TdT(Terminal deoxinucleotidyltransferase)はDNA末端に鋳型非依存的に任意のdeoxynucleotideを付加する酵素である。したがって、plasmidをまず平滑末端を与える制限酵素で切断し、次にdTTP存在下TdTを作用させれば、3’にdTが1個ないし複数個付加したベクターが作成できる。ただし、この方法でT−vectorが作成された報告例はないようだ。
【0011】
第二の方法は、Taq DNA polymeraseのTdT活性を用いる方法である。上述のようにPCR反応液中ではTaq DNA polymeraseはDNAの平滑末端に1分子だけdAを付加する。ところがMg2+過剰量存在下、dNTPのうちdTTPのみ存在下の条件でDNAの平滑末端にTaqを作用させると、DNAに1残基のdTを付加するのでこの性質を用いてT−vectorを作製することが可能である。したがって、plasmidを平滑末端を与える制限酵素で切断し、そこにdTTP・Mg2+存在下Taqを作用させれば、3’にdTが1個付加したベクターが作成できる。この方法では平滑末端を生成するときに用いる制限酵素の認識配列によって、T突出末端の生成効率が著しく変わるようである。報告されている例のほとんどはEco RVを使用した例であり、SmaIを利用した場合は効率が悪いことが知られている。それを回避する方法がWWW上で公開されている。
【0012】
第三の方法は、T−突出末端を直接生成する制限酵素部位を二ヶ所もっている「カセット」DNA配列を設計して、それを制限酵素で消化する方法である。3’−T−残基突出末端を生成しうるような制限酵素を実際のT−vectorに用いた例としてはXcmI、Eam11051、AhdIの例がそれぞれ論文にて報告されている。この方法では、上記制限酵素サイトを二ヶ所含む「カセット」DNA配列を設計し、目的とするplasmidに上記カセットを挿入した後、上記plasmidを当該制限酵素で切断すると、両側がdT突出末端となった開環状plasmidが作製できる。(今回、本発明者らはAhdIを用いてT−vectorを作製した。この方法を用いると、「非対称的な」dT突出末端となった開環状plasmidをデザインすることができる。また、この方法では得られた開環状plasmidはほぼ100%がdT突出末端となっていることが期待され、非常に高品質である。)
【0013】
しかし、従来のTA−cloning法には欠点がある。それはベクターに挿入される目的遺伝子の方向性が、制御できないことである。その結果、たとえばいままでT−vectorとして作製されてきたplasmidのほとんどは(1)未知遺伝子クローニング(またはサブクローニング)用のベクター、(2)新規プロモーター活性を有する遺伝子のクローニング用ベクターの二種類のみの応用が主であり、蛋白質として発現する領域(ORF)を直接発現ベクターにTA−cloningするためのT−vectorは例が少なかった。上記の利用法ではORFの方向性は問題にならない。蛋白質発現実験を行う場合にのみ、ORFの方向性が問題になるのである。(今回、本発明者らは、順方向のみに外来遺伝子(PCR産物)が挿入されたplasmidを簡便に選択するために、逆方向に外来遺伝子が挿入された場合にのみ制限酵素NcoIまたはNdeIの切断配列が出現するような配列をデザインした。これにより順方向でグルタチオンS転移酵素[GST]などとの融合蛋白質を発現するplasmidのみを選択的に大腸菌に形質転換することが可能となる。)
【0014】
ところで、外来遺伝子をGST融合蛋白質として大腸菌で発現させるためのvectorは市販品としてSjistosoma Japonicum由来GSTのコード領域の後ろにプロテアーゼ認識切断配列・マルチクローニングサイトを備えたpGEXシリーズがアマシャムファルマシアバイオテク社より市販されている。GST融合蛋白質は、比較的溶解度が高く、大腸菌内での蛋白質発現量が良好であること、グルタチオン固定化担体(ビーズ)を利用したアフィニティークロマトグラフィーを持ちいればほぼ1ステップで蛋白質が精製可能であること、グルタチオンビーズ上に目的融合蛋白質を固定化した状態で、さらにその標的分子(蛋白質・核酸・低分子など)との相互作用を容易に観察する方法があること(pull−down assay)、タグを持たない蛋白質よりも表面プラズモン共鳴による分子間相互作用実験の計測チップに固定化する際に機能を損ないにくいこと、などから、生化学・分子生物学などで非常に汎用されている発現ベクターの一つである。このベクターをTA−vectorに改良することで、多くの種類・長さの蛋白質や蛋白質断片を発現する発現系を、並行で作製することは、非常に有用であると考えた。
【0015】
ゲノムプロジェクトの終了後、機能性蛋白質ならびに蛋白質の機能ドメインを同定して、それを産業に応用するために、その立体構造の決定と分子機能の決定の双方の高速化が重要となってきている。そのためには一連の研究に使用可能な活性を保持した蛋白質試料を、可溶性の蛋白質として得る必要がある。一般にヒトあるいは哺乳類・植物由来の蛋白質の全長または一部分の遺伝子を大腸菌で発現させる場合に、蛋白質が不溶化して構造・機能解析の試料調製に困難をきたすケースが非常に多い。そのような場合、蛋白質として発現させる領域・長さを変えたり(この手法をドメインマッピングまたはドメイン化と呼ぶ)、アミノ酸の部位特異的変異を一ヶ所あるいは数ヶ所導入することで溶解度が劇的に向上する例が知られている。同じ手法はまた、可溶性として得られた蛋白質に対して、その立体構造決定を目的としたNMR試料作成や結晶化の際の溶解度向上や結晶性改善の過程においても用いられる。このうち、多種類の遺伝子断片を並行して取得する過程は、PCR法の進歩と、PCR primerの化学合成の価格の低減によって、短期間・低コストで可能になった。従って現時点での技術的課題は、発現系を作製する際の人的・時間的コストと、目的の当該蛋白質が可溶性かどうかを迅速に区別する方法である。GST融合蛋白質をこの目的に用いるメリットは、GST融合蛋白質を含む大腸菌破砕物を遠心操作により可溶性・不溶性画分に分けた後、大腸菌粗蛋白質混合物中で、GST融合蛋白質の量をGSTの酵素活性を指標に発色反応を行うことで、たとえば96穴plate上で並行で短時間に比色定量測定することが可能な点である。
【0016】
以上のことを踏まえ、本発明者らは以下のことを試みた。
1.GST−T vectorの作製を上述の「SmaI/Taq」を用いた方法を用いて試作した。一応それらしきものの完成をみるが、再現性がなく、またPCR産物のサブクローニングの効率も悪いため実用性がなかった。
2.SmaI/Taqで行った場合の効率を改善するための改良法をWWW上の文書から取得したのでそれを試したが、改善は見られなかった。
3.SmaIにより切断された平滑末端の塩基配列が低い効率の原因ではないかと考え、BamHI切断による突出末端をKlenow fragmentで平滑化したのち、TaqでdTを付加するという独自の改良法も試みたが改善しなかった。
4.上述の「制限酵素カセットを用いる方法」に戦略変更し、制限酵素としてAhdIを用いることにした。
5.pGEX−2T/pGEX−4T3(GST融合ベクター)に限らず、抗生物質耐性を持っているplasmidにAhdIを作用させると、そのampicilin耐性遺伝子が切断されることが判明した。そこでサイレントな部位特異的変異を導入してAmp耐性遺伝子に含まれるAhdI切断部位を変異させたpGEX−4T3を作製した。(部位特異的変異の導入に使用したprimer=Anti AhdIの配列を配列表の配列番号21に示した)。
6.AhdI−linkerを作製した。すなわち、配列番号22及び23の配列のPCR primerを利用して、鋳型としてpET32a(Novagene社製)の誘導体pET32aPACAPを用いてPCRを行い、約500bpの断片を得て、これを既存のTA−vector(今回はPromega製品pGEM−T)に定法により組み込み、配列を確認したのちクローンを増幅して、精製したplasmidを得、このplasmidにBamHIを作用させるとAhd−I linker(約500bp)ができた。
7.GST−T vector(GST−T vector:GST融合のTA−vectorの意)の母体となるvectorを作製した。すなわち、5によって得たpGEX−4T3の変異体を増幅し、BamHIで切断し、そのBamHIサイトに6で得たAhdI linkerを挿入し、ligationにより閉環させた。正しく作製されたクローンを単離し、増幅した。なおこの段階のAhdI linkerには原理上、方向性は存在しない(どちら向きで入っていてもかまわない)
8.GST−T vectorを作製した。すなわち、7をAhdIで切断して、開環状plasmidをagarose gelで分離精製した。このベクターは、3’にdT突出末端を有するため、TA−cloningに利用できる。
9.NcoIを作用させた時に、逆方向に外来遺伝子が挿入されたベクター(例えば、プラスミド)が切断され、該ベクターが導入された宿主は生育できず、その結果、順方向で外来遺伝子が挿入されたベクターが導入された宿主のみの選択をすること(NcoI ORF選択法)に利用可能なAhdI linkerを作製した。作製法は6と同じであるが、primerに配列番号22及び24の配列の組を用いた。作製されたNcoI ORF選択法適用可能なAhdI linkerの配列を配列番号26及び27に示す。配列番号26の配列を有するDNA鎖と配列番号27の配列を有するDNA鎖とが会合して形成する2本鎖DNAがAhdI linkerである。
10.NcoI ORF選択法が可能なdGST−T vector(directional GST−T vector:ORFの方向選択が可能なGST−T vectorの意)を作製した。作製法は上記7・8と同じである。ただし7に対応するときの配列確認時に、GSTとの融合部分でprimerの配列番号22に相当する配列が5’側(GST側)に来ているものを選択して、NcoI ORF選択法の可能なベクターの母体となる閉環状ベクターを得た。また、このベクターは、挿入される外来遺伝子を増幅するPCR primerの設計を変更すれば、NcoIの代わりにNdeIを作用させて、逆方向に外来遺伝子が挿入されたベクター(例えば、プラスミド)が切断され、該ベクターが導入された宿主は生育できず、その結果、順方向で外来遺伝子が挿入されたベクターが導入された宿主のみの選択(NdeI ORF選択法)も可能であった。
【0017】
本発明は以上の実験の経緯および結果に基づいて完成されたものである。
本願の第1発明は、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列を持ち、そのうち一方の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、他方の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まないことを特徴とするベクターを提供する。
第一の制限酵素は、切断したDNAに3’突出末端を生成する制限酵素であるとよく、3’突出末端の塩基としてはチミンを例示することができる。
第一の制限酵素はAhdIまたはそのイソスキゾマー、XcmIまたはそのイソスキゾマー、およびその組み合わせからなる群より選択されるとよい。
第一の制限酵素がAhdIまたはそのイソスキゾマーである場合、AhdIによって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列の一方が下記の配列(I)及び(II)で表され、他方が下記の配列(III)及び(IV)で表されることが好ましい。
5’−GACX1a2aTX3a4aGTC−3’(I)
3’−CTGX1b2bAX3b4bCAG−5’(II)
5’−GACX5a6aAX7a8aGTC−3’(III)
3’−CTGX5b6bTX7b8bCAG−5’(IV)
(配列(I)〜(IV)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜X8a及びX1b〜X8bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X3aとX3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X4aとX4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X5aとX5bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X6aとX6bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X7aとX7bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X8aとX8bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTは第二の制限酵素の切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列CX8b7bTは配列CX1a2aTに含まれるところの第二の制限酵素の切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示す。)
第一の制限酵素がXcmIまたはそのイソスキゾマーである場合、XcmIによって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列の一方が下記の配列(V)及び(VI)で表され、他方が下記の配列(VII)及び(VIII)で表されることが好ましい。
5’−CCAY1a2a3a4aTY5a6a7a8aTGG−3’(V)
3’−GGTY1b2b3b4bAY5b6b7b8bACC−5’(VI)
5’−CCAY9a10a11a12aAY13a14a15a16aTGG−3’(VII)
3’−GGTY9b10b11b12bTY13b14b15b16bACC−5’(VIII)
(配列(V)〜(VIII)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜Y16a及びY1b〜Y16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、Y1aとY1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y2aとY2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y3aとY3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y4aとY4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y5aとY5bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y6aとY6bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y7aとY7bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y8aとY8bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y9aとY9bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y10aとY10bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y11aとY11bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y12aとY12bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列Y1a2a3a4aTは第二の制限酵素の切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列Y16b15b14b13bTは配列Y1a2a3a4aTに含まれるところの第二の制限酵素の切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示す。)
第一の制限酵素がAhdIまたはそのイソスキゾマーとXcmIまたはそのイソスキゾマーとの組み合わせである場合、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列のうちの一方がAhdIまたはそのイソスキゾマーによって認識される切断認識配列であり、かつAhdIまたはそのイソスキゾマーとは異なる第二の制限酵素によって認識される切断配列の一部を含むものとし、他方の切断認識配列がXcmIまたはそのイソスキゾマーによって認識される切断認識配列であり、かつ前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まないものとしてもよい。AhdIまたはそのイソスキゾマーによって認識される切断認識配列であり、かつAhdIまたはそのイソスキゾマーとは異なる第二の制限酵素によって認識される切断配列の一部を含む切断認識配列は、下記の配列(I)及び(II)で表されることが好ましい。XcmIまたはそのイソスキゾマーによって認識される切断認識配列であり、かつ第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まない切断認識配列は、下記の配列(VII)及び(VIII)で表されることが好ましい。
5’−GACX1a2aTX3a4aGTC−3’(I)
3’−CTGX1b2bAX3b4bCAG−5’(II)
(配列(I)及び(II)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜X4a及びX1b〜X4bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X3aとX3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X4aとX4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTは第二の制限酵素の切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示す。)
5’−CCAY9a10a11a12aAY13a14a15a16aTGG−3’(VII)
3’−GGTY9b10b11b12bTY13b14b15b16bACC−5’(VIII)
(配列(VII)及び(VIII)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
9a〜Y16a及びY9b〜Y16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、Y9aとY9bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y10aとY10bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y11aとY11bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y12aとY12bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列Y16b15b14b13bTは配列CX1a2aTに含まれるところの第二の制限酵素の切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示す。)
第一の制限酵素がAhdIまたはそのイソスキゾマー、XcmIまたはそのイソスキゾマー、およびその組み合わせからなる群より選択される場合、第二の制限酵素は、NcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVおよびそれらのイソスキゾマーからなる群より選択されることが好ましい。
第一の制限酵素がXcmIまたはそのイソスキゾマーである場合、第二の制限酵素が、AflIII,BspLU11I,NspI,SphI,BspHI,BsaAI,PmaCI,SnaBI,NspBII、PvuII,BanII,HgiAI,SacIおよびそれらのイソスキゾマーからなる群より選択されることが好ましい。
第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列はマルチクローニングサイトに挿入されているとよい。
第一の制限酵素がAhdIまたはそのイソスキゾマーである場合、下記の配列(IX)及び(X)で表される二本鎖DNAがマルチクローニングサイトに挿入されていることが好ましい。
5’−GACX1a2aTX3a4aGTC−N−GACX5a6aAX7a8aGTC−3’(IX)
3’−CTGX1b2bAX3b4bCAG−N−CTGX5b6bTX7b8bCAG−5’(X)
(配列(IX)及び(X)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜X8a及びX1b〜X8bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X3aとX3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X4aとX4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X5aとX5bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X6aとX6bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X7aとX7bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X8aとX8bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTは第二の制限酵素の切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列CX8b7bTは配列CX1a2aTに含まれるところの第二の制限酵素の切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、1〜1000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
第一の制限酵素がXcmIまたはそのイソスキゾマーである場合、下記の配列(XI)及び(XII)で表される二本鎖DNAがマルチクローニングサイトに挿入されていることが好ましい。
5’−CCAY1a2a3a4aTY5a6a7a8aTGG−N−CCAY9a10a11a12aAY13a14a15a16aTGG−3’(XI)
3’−GGTY1b2b3b4bAY5b6b7b8bACC−N−GGTY9b10b11b12bTY13b14b15b16bACC−5’(XII)
(配列(XI)及び(XII)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜Y16a及びY1b〜Y16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、Y1aとY1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y2aとY2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y3aとY3bbは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y4aとY4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y5aとY5bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y6aとY6bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y7aとY7bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y8aとY8bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y9aとY9bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y10aとY10bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y11aとY11bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y12aとY12bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列Y1a2a3a4aTは第二の制限酵素の切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列Y16b15b14b13bTは配列Y1a2a3a4aTに含まれるところの第二の制限酵素の切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、1〜1000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
第一の制限酵素がAhdIまたはそのイソスキゾマーとXcmIまたはそのイソスキゾマーの組み合わせである場合、下記の配列(XIII)及び(XIV)で表される二本鎖DNAがマルチクローニングサイトに挿入されていることが好ましい。
5’−GACX1a2aTX3a4aGTC−N−CCAY9a10a11a12aAY13a14a15a16aTGG−3’(XIII)
3’−CTGX1b2bAX3b4bCAG−N−GGTY9b10b11b12bTY13b14b15b16bACC−5’(XIV)
(配列(XIII)及び(XIV)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜X4a及びX1b〜X4bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X3aとX3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X4aとX4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
9a〜Y16a及びY9b〜Y16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、Y9aとY9bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y10aとY10bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y11aとY11bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y12aとY12bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTは第二の制限酵素の切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列Y16b15b14b13bTは配列CX1a2aTに含まれるところの第二の制限酵素の切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、1〜1000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
配列(IX)〜(XIV)において、Nは、例えば、市販のベクター(例えば、pET21b、pET32aなど)の適当な制限酵素サイトに遺伝子(例えば、チオレドキシン遺伝子)と人工遺伝子(例えば、PACAPなど)を挿入して作成した誘導体に由来する配列であるとよい。N配列の一部には、第二の制限酵素サイトが含まれていることが好ましいことがある。この場合は、本発明のベクター(以下、「PRESAT−vector」ということもある。)を第一の制限酵素で処理することにより得られる開環状ベクター(以下、「開環状PRESAT−vector」ということもある。)の精製が不完全であった場合でも、そこから自己ライゲーションで出てくる「空の」PRESAT−vectorは、第二の制限酵素消化により切断されてしまうために、ORF選択後にコロニーにならない。したがって、開環状PRESAT−vectorの精製が不完全であっても、バックグラウンドが上昇しないというメリットをもたらす。
の一例としては、以下の配列を挙げることができる。
5’−CACCTGACTGACGACAGTTTTGACACGGATGTACTCAAAGCGGACGGGGCGATCCTCGTCGATTTCTGGGCAGAGTGGTGCGGTCCGTGCAAAATGATCGCCCCGATTCTGGATGAAATCGCTGACGAATATCAGGGCAAACTGACCGTTGCAAAACTGAACATCGATCAAAACCCTGGCACTGCGCCGAAATATGGCATCCGTGGTATCCCGACTCTGCTGCTGTTCAAAAACGGTGAAGTGGCGGCAACCAAAGTGGGTGCACTGTCTAAAGGTCAGTTGAAAGAGTTCCTCGACGCTAACCTGGCCGGTTCTGGTTCTGGCCATATGGCTAGCCATCACCACCACCACCACAGCAGCGGCATTGACGGCCGGCATAGCGATGGCATCTTTACCGATAGCTATAGCCGCTATCGCAAACAGATGGCGGTGAAAAAGTATCTGGCGGCGGTGCTGGGCTAATAA−3’(配列番号55)
配列番号55の配列は、pET21bのNdeIサイトに、pET32aに由来するチオレドキシン遺伝子を含むNdeI断片と、同じpET21bのNheIサイトに、PACAPの人工遺伝子を挿入して作成した、pET32aの誘導体pET32aPACAPに由来する配列である。
配列(IX)〜(XIV)において、Nは、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。Nの一例としては、以下の配列を挙げることができる。
3’−GTGGACTGACTGCTGTCAAAACTGTGCCTACATGAGTTTCGCCTGCCCCGCTAGGAGCAGCTAAAGACCCGTCTCACCACGCCAGGCACGTTTTACTAGCGGGGCTAAGACCTACTTTAGCGACTGCTTATAGTCCCGTTTGACTGGCAACGTTTTGACTTGTAGCTAGTTTTGGGACCGTGACGCGGCTTTATACCGTAGGCACCATAGGGCTGAGACGACGACAAGTTTTTGCCACTTCACCGCCGTTGGTTTCACCCACGTGACAGATTTCCAGTCAACTTTCTCAAGGAGCTGCGATTGGACCGGCCAAGACCAAGACCGGTATACCGATCGGTAGTGGTGGTGGTGGTGTCGTCGCCGTAACTGCCGGCCGTATCGCTACCGTAGAAATGGCTATCGATATCGGCGATAGCGTTTGTCTACCGCCACTTTTTCATAGACCGCCGCCACGACCCGATTATT−5’(配列番号56)
配列番号56の配列は、配列番号55の配列に相補的な配列である。
本願の第1発明のベクターは、ある蛋白質(例えば、哺乳類、ジストマジャポニクスまたは大腸菌に由来するグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン(TRX)、His−His−His−His−His−His(His6)、lanthanide binding tag(LBT)、Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys(PLAG(登録商標))、enhanced green fluorescense protein(EGFP)など)のコード領域を含んでおり、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードする外来遺伝子を組み込んだときに、前記外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを前記領域がコードする蛋白質と結合した融合蛋白質の形態で発現することができるものであってもよい。この場合、ある蛋白質のコード領域のカルボキシ末端側に、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列を持ち、そのうち前記蛋白質のコード領域に近い側の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、前記蛋白質のコード領域に遠い側の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まないようにするとよい。
本願の第2発明は、本願の第1発明のベクターを第一の制限酵素で処理することにより得られる二本鎖DNAからなる開環状ベクターを提供する。
本発明の開環状ベクターとしては、下記の配列(XV)及び(XVI)で表される二本鎖DNAからなる開環状ベクターを例示することができる。
5’−X7a8aGTC−N−GACX1a2aT−3’(XV)
3’−TX7b8bCAG−N−CTGX1b2b−5’(XVI)
(配列(XV)及び(XVI)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
7a、X8a、X7b及びX8bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であるが、X7aとX7bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X8aとX8bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
1a、X2a、X1b及びX2bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であるが、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTはNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列CX8b7bTは配列CX1a2aTに含まれるところのNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の部分配列を含まない配列であり、
−5’及び−3’は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は2000〜7000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、NはNのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
配列(XV)及び(XVI)において、X7aがAであり、X8aがTであり、X1aがCであり、X2aがAであり、X7bがTであり、X8bがAであり、X1bがGであり、X2bがTであることが好ましい。
また、本発明の開環状ベクターとして、下記の配列(XVII)及び(XVIII)で表される二本鎖DNAからなる開環状ベクターを例示することができる。
5’−Y13a14a15a16aTGG−N−CCAY1a2a3a4aT−3’(XVII)
3’−TY13b14b15b16bACC−N−GGTY1b2b3b4b−5’(XVIII)
(配列(XVII)及び(XVIII)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a、Y2a、Y3a、Y4a、Y1b、Y2b、Y3b、及びY4bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であるが、Y1aとY1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y2aとY2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y3aとY3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y4aとY4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列Y1a2a3a4aTはNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRV,AflIII,BspLU11I,NspI,SphI,BspHI,BsaAI,PmaCI,SnaBI,NspBII、PvuII,BanII,HgiAI,SacIまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
13a、Y14a、Y15a、Y16a、Y13b、Y14b、Y15b及びY16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であるが、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列Y16b15b14b13bTは配列Y1a2a3a4aTに含まれるところのNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRV,AflIII,BspLU11I,NspI,SphI,BspHI,BsaAI,PmaCI,SnaBI,NspBII、PvuII,BanII,HgiAI,SacIまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
−5’及び−3’は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は2000〜7000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、NはNのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
配列(XVII)及び(XVIII)において、Y2aがCであり、Y3aがでCあり、Y4aがAであり、Y2bがGであり、Y3bがGであり、Y4bがTであり、Y13aがTであり、Y14aがGであり、Y15aがTであり、Y13bがAであり、Y14bがCであり、Y15bがAであることが好ましい。
さらに、本発明の開環状ベクターとして、下記の配列(XIX)及び(XX)で表される二本鎖DNAからなる開環状ベクターを例示することができる。
5’−Y13a14a15a16aTGG−N−GACX1a2aT−3’(XIX)
3’−TY13b14b15b16bACC−5’N−CTGX1b2b−5’(XX)
(配列(XIX)及び(XX)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
13a、Y14a、Y15a、Y16a、Y13b、Y14b、Y15b及びY16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であるが、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
1a、X2a、X1b及びX2bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であるが、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTはNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列Y14b13bTは配列CX1a2aTに含まれるところのNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
−5’及び−3’は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は2000〜7000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、NはNのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
配列(XIX)及び(XX)において、X1aがCであり、X2aがAであり、X1bがGであり、X2bがTであり、Y13aがTであり、Y14aがGであり、Y15aがTであり、Y13bがAであり、Y14bがCであり、Y15bがAであることが好ましい。
配列(XV)〜(XX)において、Nは、例えば、市販のベクター(例えば、pGEX−4T3、pGEX−2T、pGEX−3X、pET21b、pET32aなど)に由来する配列であるとよい。Nの一例としては、以下の配列を挙げることができる。
5’−GGATCCCCGAATTCCCGGGTCGACTCGAGCGGCCGCATCGTGACTGACTGACGATCTGCCTCGCGCGTTTCGGTGATGACGGTGAAAACCTCTGACACATGCAGCTCCCGGAGACGGTCACAGCTTGTCTGTAAGCGGATGCCGGGAGCAGACAAGCCCGTCAGGGCGCGTCAGCGGGTGTTGGCGGGTGTCGGGGCGCAGCCATGACCCAGTCACGTAGCGATAGCGGAGTGTATAATTCTTGAAGACGAAAGGGCCTCGTGATACGCCTATTTTTATAGGTTAATGTCATGATAATAATGGTTTCTTAGACGTCAGGTGGCACTTTTCGGGGAAATGTGCGCGGAACCCCTATTTGTTTATTTTTCTAAATACATTCAAATATGTATCCGCTCATGAGACAATAACCCTGATAAATGCTTCAATAATATTGAAAAAGGAAGAGTATGAGTATTCAACATTTCCGTGTCGCCCTTATTCCCTTTTTTGCGGCATTTTGCCTTCCTGTTTTTGCTCACCCAGAAACGCTGGTGAAAGTAAAAGATGCTGAAGATCAGTTGGGTGCACGAGTGGGTTACATCGAACTGGATCTCAACAGCGGTAAGATCCTTGAGAGTTTTCGCCCCGAAGAACGTTTTCCAATGATGAGCACTTTTAAAGTTCTGCTATGTGGCGCGGTATTATCCCGTGTTGACGCCGGGCAAGAGCAACTCGGTCGCCGCATACACTATTCTCAGAATGACTTGGTTGAGTACTCACCAGTCACAGAAAAGCATCTTACGGATGGCATGACAGTAAGAGAATTATGCAGTGCTGCCATAACCATGAGTGATAACACTGCGGCCAACTTACTTCTGACAACGATCGGAGGACCGAAGGAGCTAACCGCTTTTTTGCACAACATGGGGGATCATGTAACTCGCCTTGATCGTTGGGAACCGGAGCTGAATGAAGCCATACCAAACGACGAGCTGACACCACGATGCCTGCAGCAATGGCAACAACGTTGCGCAAACTATTAACTGGCGAACTACTTACTCTAGCTTCCCGGCAACAATTAATAGACTGGATGGAGGCGGATAAAGTTGCAGGACCACTTCTGCGCTCGGCCCTTCCGGCTGGCTGGTTTATTGCTGATAAATCTGGAGCCGGTGAGCGTGGGTCTCGCGGTATCATTGCAGCACTGGGGCCAGATGGTAAGCCCTCCCGTATCGTAGTTATCTACACCACGGGGAGCCAGGCAACTATGGATGAACGAAATAGACAGATCGCTGAGATAGGTGCCTCACTGATTAAGCATTGGTAACTGTCAGACCAAGTTTACTCATATATACTTTAGATTGATTTAAAACTTCATTTTTAATTTAAAAGGATCTAGGTGAAGATCCTTTTTGATAATCTCATGACCAAAATCCCTTAACGTGAGTTTTCGTTCCACTGAGCGTCAGACCCCGTAGAAAAGATCAAAGGATCTTCTTGAGATCCTTTTTTTCTGCGCGTAATCTGCTGCTTGCAAACAAAAAAACCACCGCTACCAGCGGTGGTTTGTTTGCCGGATCAAGAGCTACCAACTCTTTTTCCGAAGGTAACTGGCTTCAGCAGAGCGCAGATACCAAATACTGTCCTTCTAGTGTAGCCGTAGTTAGGCCACCACTTCAAGAACTCTGTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTGCCAGTGGCGATAAGTCGTGTCTTACCGGGTTGGACTCAAGACGATAGTTACCGGATAAGGCGCAGCGGTCGGGCTGAACGGGGGGTTCGTGCACACAGCCCAGCTTGGAGCGAACGACCTACACCGAACTGAGATACCTACAGCGTGAGCTATGAGAAAGCGCCACGCTTCCCGAAGGGAGAAAGGCGGACAGGTATCCGGTAAGCGGCAGGGTCGGAACAGGAGAGCGCACGAGGGAGCTTCCAGGGGGAAACGCCTGGTATCTTTATAGTCCTGTCGGGTTTCGCCACCTCTGACTTGAGCGTCGATTTTTGTGATGCTCGTCAGGGGGGCGGAGCCTATGGAAAAACGCCAGCAACGCGGCCTTTTTACGGTTCCTGGCCTTTTGCTGGCCTTTTGCTCACATGTTCTTTCCTGCGTTATCCCCTGATTCTGTGGATAACCGTATTACCGCCTTTGAGTGAGCTGATACCGCTCGCCGCAGCCGAACGACCGAGCGCAGCGAGTCAGTGAGCGAGGAAGCGGAAGAGCGCCTGATGCGGTATTTTCTCCTTACGCATCTGTGCGGTATTTCACACCGCATAAATTCCGACACCATCGAATGGTGCAAAACCTTTCGCGGTATGGCATGATAGCGCCCGGAAGAGAGTCAATTCAGGGTGGTGAATGTGAAACCAGTAACGTTATACGATGTCGCAGAGTATGCCGGTGTCTCTTATCAGACCGTTTCCCGCGTGGTGAACCAGGCCAGCCACGTTTCTGCGAAAACGCGGGAAAAAGTGGAAGCGGCGATGGCGGAGCTGAATTACATTCCCAACCGCGTGGCACAACAACTGGCGGGCAAACAGTCGTTGCTGATTGGCGTTGCCACCTCCAGTCTGGCCCTGCACGCGCCGTCGCAAATTGTCGCGGCGATTAAATCTCGCGCCGATCAACTGGGTGCCAGCGTGGTGGTGTCGATGGTAGAACGAAGCGGCGTCGAAGCCTGTAAAGCGGCGGTGCACAATCTTCTCGCGCAACGCGTCAGTGGGCTGATCATTAACTATCCGCTGGATGACCAGGATGCCATTGCTGTGGAAGCTGCCTGCACTAATGTTCCGGCGTTATTTCTTGATGTCTCTGACCAGACACCCATCAACAGTATTATTTTCTCCCATGAAGACGGTACGCGACTGGGCGTGGAGCATCTGGTCGCATTGGGTCACCAGCAAATCGCGCTGTTAGCGGGCCCATTAAGTTCTGTCTCGGCGCGTCTGCGTCTGGCTGGCTGGCATAAATATCTCACTCGCAATCAAATTCAGCGATAGCGGAACGGGAAGGCGACTGGAGTGCCATGTCCGGTTTTCAACAAACCATGCAAATGCTGAATGAGGGCATCGTTCCCACTGCGATGCTGGTTGCCAACGATCAGATGGCGCTGGGCGCAATGCGCGCCATTACCGAGTCCGGGCTGCGCGTTGGTGCGGATATCTCGGTAGTGGGATACGACGATACCGAAGACAGCTCATGTTATATCCCGCCGTTAACCACCATCAAACAGGATTTTCGCCTGCTGGGGCAAACCAGCGTGGACCGCTTGCTGCAACTCTCTCAGGGCCAGGCGGTGAAGGGCAATCAGCTGTTGCCCGTCTCACTGGTGAAAAGAAAAACCACCCTGGCGCCCAATACGCAAACCGCCTCTCCCCGCGCGTTGGCCGATTCATTAATGCAGCTGGCACGACAGGTTTCCCGACTGGAAAGCGGGCAGTGAGCGCAACGCAATTAATGTGAGTTAGCTCACTCATTAGGCACCCCAGGCTTTACACTTTATGCTTCCGGCTCGTATGTTGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGCTATGACCATGATTACGGATTCACTGGCCGTCGTTTTACAACGTCGTGACTGGGAAAACCCTGGCGTTACCCAACTTAATCGCCTTGCAGCACATCCCCCTTTCGCCAGCTGGCGTAATAGCGAAGAGGCCCGCACCGATCGCCCTTCCCAACAGTTGCGCAGCCTGAATGGCGAATGGCGCTTTGCCTGGTTTCCGGCACCAGAAGCGGTGCCGGAAAGCTGGCTGGAGTGCGATCTTCCTGAGGCCGATACTGTCGTCGTCCCCTCAAACTGGCAGATGCACGGTTACGATGCGCCCATCTACACCAACGTAACCTATCCCATTACGGTCAATCCGCCGTTTGTTCCCACGGAGAATCCGACGGGTTGTTACTCGCTCACATTTAATGTTGATGAAAGCTGGCTACAGGAAGGCCAGACGCGAATTATTTTTGATGGCGTTGGAATTACGTTATCGACTGCACGGTGCACCAATGCTTCTGGCGTCAGGCAGCCATCGGAAGCTGTGGTATGGCTGTGCAGGTCGTAAATCACTGCATAATTCGTGTCGCTCAAGGCGCACTCCCGTTCTGGATAATGTTTTTTGCGCCGACATCATAACGGTTCTGGCAAATATTCTGAAATGAGCTGTTGACAATTAATCATCGGCTCGTATAATGTGTGGAATTGTGAGCGGATAACAATTTCACACAGGAAACAGTATTCATGTCCCCTATACTAGGTTATTGGAAAATTAAGGGCCTTGTGCAACCCACTCGACTTCTTTTGGAATATCTTGAAGAAAAATATGAAGAGCATTTGTATGAGCGCGATGAAGGTGATAAATGGCGAAACAAAAAGTTTGAATTGGGTTTGGAGTTTCCCAATCTTCCTTATTATATTGATGGTGATGTTAAATTAACACAGTCTATGGCCATCATACGTTATATAGCTGACAAGCACAACATGTTGGGTGGTTGTCCAAAAGAGCGTGCAGAGATTTCAATGCTTGAAGGAGCGGTTTTGGATATTAGATACGGTGTTTCGAGAATTGCATATAGTAAAGACTTTGAAACTCTCAAAGTTGATTTTCTTAGCAAGCTACCTGAAATGCTGAAAATGTTCGAAGATCGTTTATGTCATAAAACATATTTAAATGGTGATCATGTAACCCATCCTGACTTCATGTTGTATGACGCTCTTGATGTTGTTTTATACATGGACCCAATGTGCCTGGATGCGTTCCCAAAATTAGTTTGTTTTAAAAAACGTATTGAAGCTATCCCACAAATTGATAAGTACTTGAAATCCAGCAAGTATATAGCATGGCCTTTGCAGGGCTGGCAAGCCACGTTTGGTGGTGGCGACCATCCTCCAAAATCGGATCTGGTTCCGCGTGGATCC−3’(配列番号57)
配列番号57の配列は、pGEX−4T3に由来する配列である。
配列(XV)〜(XX)において、Nは、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。Nの一例としては、以下の配列を挙げることができる。
3’−CCTAGGGGCTTAAGGGCCCAGCTGAGCTCGCCGGCGTAGCACTGACTGACTGCTAGACGGAGCGCGCAAAGCCACTACTGCCACTTTTGGAGACTGTGTACGTCGAGGGCCTCTGCCAGTGTCGAACAGACATTCGCCTACGGCCCTCGTCTGTTCGGGCAGTCCCGCGCAGTCGCCCACAACCGCCCACAGCCCCGCGTCGGTACTGGGTCAGTGCATCGCTATCGCCTCACATATTAAGAACTTCTGCTTTCCCGGAGCACTATGCGGATAAAAATATCCAATTACAGTACTATTATTACCAAAGAATCTGCAGTCCACCGTGAAAAGCCCCTTTACACGCGCCTTGGGGATAAACAAATAAAAAGATTTATGTAAGTTTATACATAGGCGAGTACTCTGTTATTGGGACTATTTACGAAGTTATTATAACTTTTTCCTTCTCATACTCATAAGTTGTAAAGGCACAGCGGGAATAAGGGAAAAAACGCCGTAAAACGGAAGGACAAAAACGAGTGGGTCTTTGCGACCACTTTCATTTTCTACGACTTCTAGTCAACCCACGTGCTCACCCAATGTAGCTTGACCTAGAGTTGTCGCCATTCTAGGAACTCTCAAAAGCGGGGCTTCTTGCAAAAGGTTACTACTCGTGAAAATTTCAAGACGATACACCGCGCCATAATAGGGCACAACTGCGGCCCGTTCTCGTTGAGCCAGCGGCGTATGTGATAAGAGTCTTACTGAACCAACTCATGAGTGGTCAGTGTCTTTTCGTAGAATGCCTACCGTACTGTCATTCTCTTAATACGTCACGACGGTATTGGTACTCACTATTGTGACGCCGGTTGAATGAAGACTGTTGCTAGCCTCCTGGCTTCCTCGATTGGCGAAAAAACGTGTTGTACCCCCTAGTACATTGAGCGGAACTAGCAACCCTTGGCCTCGACTTACTTCGGTATGGTTTGCTGCTCGCACTGTGGTGCTACGGACGTCGTTACCGTTGTTGCAACGCGTTTGATAATTGACCGCTTGATGAATGAGATCGAAGGGCCGTTGTTAATTATCTGACCTACCTCCGCCTATTTCAACGTCCTGGTGAAGACGCGAGCCGGGAAGGCCGACCGACCAAATAACGACTATTTAGACCTCGGCCACTCGCACCCAGAGCGCCATAGTAACGTCGTGACCCCGGTCTACCATTCGGGAGGGCATAGCATCAATAGATGTGGTGCCCCTCGGTCCGTTGATACCTACTTGCTTTATCTGTCTAGCGACTCTATCCACGGAGTGACTAATTCGTAACCATTGACAGTCTGGTTCAAATGAGTATATATGAAATCTAACTAAATTTTGAAGTAAAAATTAAATTTTCCTAGATCCACTTCTAGGAAAAACTATTAGAGTACTGGTTTTAGGGAATTGCACTCAAAAGCAAGGTGACTCGCAGTCTGGGGCATCTTTTCTAGTTTCCTAGAAGAACTCTAGGAAAAAAAGACGCGCATTAGACGACGAACGTTTGTTTTTTTGGTGGCGATGGTCGCCACCAAACAAACGGCCTAGTTCTCGATGGTTGAGAAAAAGGCTTCCATTGACCGAAGTCGTCTCGCGTCTATGGTTTATGACAGGAAGATCACATCGGCATCAATCCGGTGGTGAAGTTCTTGAGACATCGTGGCGGATGTATGGAGCGAGACGATTAGGACAATGGTCACCGACGACGGTCACCGCTATTCAGCACAGAATGGCCCAACCTGAGTTCTGCTATCAATGGCCTATTCCGCGTCGCCAGCCCGACTTGCCCCCCAAGCACGTGTGTCGGGTCGAACCTCGCTTGCTGGATGTGGCTTGACTCTATGGATGTCGCACTCGATACTCTTTCGCGGTGCGAAGGGCTTCCCTCTTTCCGCCTGTCCATAGGCCATTCGCCGTCCCAGCCTTGTCCTCTCGCGTGCTCCCTCGAAGGTCCCCCTTTGCGGACCATAGAAATATCAGGACAGCCCAAAGCGGTGGAGACTGAACTCGCAGCTAAAAACACTACGAGCAGTCCCCCCGCCTCGGATACCTTTTTGCGGTCGTTGCGCCGGAAAAATGCCAAGGACCGGAAAACGACCGGAAAACGAGTGTACAAGAAAGGACGCAATAGGGGACTAAGACACCTATTGGCATAATGGCGGAAACTCACTCGACTATGGCGAGCGGCGTCGGCTTGCTGGCTCGCGTCGCTCAGTCACTCGCTCCTTCGCCTTCTCGCGGACTACGCCATAAAAGAGGAATGCGTAGACACGCCATAAAGTGTGGCGTATTTAAGGCTGTGGTAGCTTACCACGTTTTGGAAAGCGCCATACCGTACTATCGCGGGCCTTCTCTCAGTTAAGTCCCACCACTTACACTTTGGTCATTGCAATATGCTACAGCGTCTCATACGGCCACAGAGAATAGTCTGGCAAAGGGCGCACCACTTGGTCCGGTCGGTGCAAAGACGCTTTTGCGCCCTTTTTCACCTTCGCCGCTACCGCCTCGACTTAATGTAAGGGTTGGCGCACCGTGTTGTTGACCGCCCGTTTGTCAGCAACGACTAACCGCAACGGTGGAGGTCAGACCGGGACGTGCGCGGCAGCGTTTAACAGCGCCGCTAATTTAGAGCGCGGCTAGTTGACCCACGGTCGCACCACCACAGCTACCATCTTGCTTCGCCGCAGCTTCGGACATTTCGCCGCCACGTGTTAGAAGAGCGCGTTGCGCAGTCACCCGACTAGTAATTGATAGGCGACCTACTGGTCCTACGGTAACGACACCTTCGACGGACGTGATTACAAGGCCGCAATAAAGAACTACAGAGACTGGTCTGTGGGTAGTTGTCATAATAAAAGAGGGTACTTCTGCCATGCGCTGACCCGCACCTCGTAGACCAGCGTAACCCAGTGGTCGTTTAGCGCGACAATCGCCCGGGTAATTCAAGACAGAGCCGCGCAGACGCAGACCGACCGACCGTATTTATAGAGTGAGCGTTAGTTTAAGTCGGCTATCGCCTTGCCCTTCCGCTGACCTCACGGTACAGGCCAAAAGTTGTTTGGTACGTTTACGACTTACTCCCGTAGCAAGGGTGACGCTACGACCAACGGTTGCTAGTCTACCGCGACCCGCGTTACGCGCGGTAATGGCTCAGGCCCGACGCGCAACCACGCCTATAGAGCCATCACCCTATGCTGCTATGGCTTCTGTCGAGTACAATATAGGGCGGCAATTGGTGGTAGTTTGTCCTAAAAGCGGACGACCCCGTTTGGTCGCACCTGGCGAACGACGTTGAGAGAGTCCCGGTCCGCCACTTCCCGTTAGTCGACAACGGGCAGAGTGACCACTTTTCTTTTTGGTGGGACCGCGGGTTATGCGTTTGGCGGAGAGGGGCGCGCAACCGGCTAAGTAATTACGTCGACCGTGCTGTCCAAAGGGCTGACCTTTCGCCCGTCACTCGCGTTGCGTTAATTACACTCAATCGAGTGAGTAATCCGTGGGGTCCGAAATGTGAAATACGAAGGCCGAGCATACAACACACCTTAACACTCGCCTATTGTTAAAGTGTGTCCTTTGTCGATACTGGTACTAATGCCTAAGTGACCGGCAGCAAAATGTTGCAGCACTGACCCTTTTGGGACCGCAATGGGTTGAATTAGCGGAACGTCGTGTAGGGGGAAAGCGGTCGACCGCATTATCGCTTCTCCGGGCGTGGCTAGCGGGAAGGGTTGTCAACGCGTCGGACTTACCGCTTACCGCGAAACGGACCAAAGGCCGTGGTCTTCGCCACGGCCTTTCGACCGACCTCACGCTAGAAGGACTCCGGCTATGACAGCAGCAGGGGAGTTTGACCGTCTACGTGCCAATGCTACGCGGGTAGATGTGGTTGCATTGGATAGGGTAATGCCAGTTAGGCGGCAAACAAGGGTGCCTCTTAGGCTGCCCAACAATGAGCGAGTGTAAATTACAACTACTTTCGACCGATGTCCTTCCGGTCTGCGCTTAATAAAAACTACCGCAACCTTAATGCAATAGCTGACGTGCCACGTGGTTACGAAGACCGCAGTCCGTCGGTAGCCTTCGACACCATACCGACACGTCCAGCATTTAGTGACGTATTAAGCACAGCGAGTTCCGCGTGAGGGCAAGACCTATTACAAAAAACGCGGCTGTAGTATTGCCAAGACCGTTTATAAGACTTTACTCGACAACTGTTAATTAGTAGCCGAGCATATTACACACCTTAACACTCGCCTATTGTTAAAGTGTGTCCTTTGTCATAAGTACAGGGGATATGATCCAATAACCTTTTAATTCCCGGAACACGTTGGGTGAGCTGAAGAAAACCTTATAGAACTTCTTTTTATACTTCTCGTAAACATACTCGCGCTACTTCCACTATTTACCGCTTTGTTTTTCAAACTTAACCCAAACCTCAAAGGGTTAGAAGGAATAATATAACTACCACTACAATTTAATTGTGTCAGATACCGGTAGTATGCAATATATCGACTGTTCGTGTTGTACAACCCACCAACAGGTTTTCTCGCACGTCTCTAAAGTTACGAACTTCCTCGCCAAAACCTATAATCTATGCCACAAAGCTCTTAACGTATATCATTTCTGAAACTTTGAGAGTTTCAACTAAAAGAATCGTTCGATGGACTTTACGACTTTTACAAGCTTCTAGCAAATACAGTATTTTGTATAAATTTACCACTAGTACATTGGGTAGGACTGAAGTACAACATACTGCGAGAACTACAACAAAATATGTACCTGGGTTACACGGACCTACGCAAGGGTTTTAATCAAACAAAATTTTTTGCATAACTTCGATAGGGTGTTTAACTATTCATGAACTTTAGGTCGTTCATATATCGTACCGGAAACGTCCCGACCGTTCGGTGCAAACCACCACCGCTGGTAGGAGGTTTTAGCCTAGACCAAGGCGCACCTAGG−5’(配列番号58)
配列番号58の配列は、配列番号57の配列に相補的な配列である。
本願の第3発明は、本願の第1発明のベクターを第一の制限酵素で処理したものに順方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現しないが、逆方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現するように設計された配列を含む外来遺伝子を本願の第1発明のベクターに組み込んだ組換えベクターを提供する。本願の第1発明のベクターを第一の制限酵素で処理したものに外来遺伝子が順方向で挿入された組換えベクターが好ましい。外来遺伝子は蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードするとよい。
本願の第4発明は、本願の第3発明の組換えベクターを含む形質転換体またはその子孫を提供する。
本願の第5発明は、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列であって、そのうち一方の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、他方の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まない前記の2つの切断認識配列を含む二本鎖DNAをプラスミド、ファージ、コスミド、P1ベクター、細菌人工染色体ベクターまたは酵母人工染色体ベクターのマルチクローニングサイトに導入することを含む、本願の第1発明のベクターの製造方法を提供する。
本願の第6発明は、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列であって、そのうち一方の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、他方の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まない前記の2つの切断認識配列を含む二本鎖DNAを提供する。
本願の第6発明の二本鎖DNAとしては、下記の配列(IX)及び(X)で表される二本鎖DNAを例示することができる。。
5’−GACX1a2aTX3a4aGTC−N−GACX5a6aAX7a8aGTC−3’(IX)
3’−CTGX1b2bAX3b4bCAG−N−CTGX5b6bTX7b8bCAG−5’(X)
(配列(IX)及び(X)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜X8a及びX1b〜X8bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X3aとX3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X4aとX4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X5aとX5bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X6aとX6bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X7aとX7bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X8aとX8bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTはNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列CX8b7bTは配列CX1a2aTに含まれるところのNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、1〜1000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
また、本願の第6発明の二本鎖DNAとして、下記の配列(XI)及び(XII)で表される二本鎖DNAを例示することができる。
5’−CCAY1a2a3a4aTY5a6a7a8aTGG−N−CCAY9a1011a12aAY13a14a15a16aTGG−3’(XI)
3’−GGTY1b2b3b4bAY5b6b7b8bACC−N−GGTY9b10b11b12bTY13b14b15b16bACC−5’(XII)
(配列(XI)及び(XII)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜Y16a及びY1b〜Y16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、Y1aとY1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y2aとY2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y3aとY3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y4aとY4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y5aとY5bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y6aとY6bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y7aとY7bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y8aとY8bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y9aとY9bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y10aとY10bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y11aとY11bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y12aとY12bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列Y1a2a3a4aTはNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRV,AflIII,BspLU11I,NspI,SphI,BspHI,BsaAI,PmaCI,SnaBI,NspBII、PvuII,BanII,HgiAI,SacIまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列Y16b15b14b13bTは配列Y1a2a3a4aTに含まれるところのNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRV,AflIII,BspLU11I,NspI,SphI,BspHI,BsaAI,PmaCI,SnaBI,NspBII、PvuII,BanII,HgiAI,SacIまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、1〜1000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
さらに、本願の第6発明の二本鎖DNAとして、下記の配列(XIII)及び(XIV)で表される二本鎖DNAを例示することができる。
5’−GACX1a2aTX3a4aGTC−N−CCAY9a10a11a12aAY13a14a15a16aTGG−3’(XIII)
3’−CTGX1b2bAX3b4bCAG−N−GGTY9b10b11b12bTY13b14b15b16bACC−5’(XIV)
(配列(XIII)及び(XIV)中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミンであり、
1a〜X4a及びX1b〜X4bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、X1aとX1bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X2aとX2bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X3aとX3bは互いに対合を形成しうる塩基であり、X4aとX4bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
9a〜Y16a及びY9b〜Y16bはそれぞれ独立にグアニン、アデニン、シトシンまたはチミンのいずれかの塩基であり、Y9aとYbは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y10aとY10bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y11aとY11bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y12aとY12bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y13aとY13bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y14aとY14bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y15aとY15bは互いに対合を形成しうる塩基であり、Y16aとY16bは互いに対合を形成しうる塩基であり、
配列CX1a2aTはNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の5’側の部分配列を含む塩基配列であり、
配列Y14b13bTは配列CX1a2aTに含まれるところのNcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVまたはそれらのイソスキゾマーの切断認識配列の5’側の部分配列を含まない塩基配列であり、
5’−及び3’−は2本鎖DNAのそれぞれの末端を示し、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、1〜1000塩基の任意のヌクレオチド配列であり、
は存在しなくともよいが、存在する場合には、Nのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列である。)
本願の第7発明は、本願の第1発明のベクターを用いて、外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを製造する方法を提供する。
本願の第7発明の1態様においては、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードする外来遺伝子であって、本願の第1発明のベクターを第一の制限酵素で処理したものに順方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現しないが、逆方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現するように設計された配列を含む前記外来遺伝子を本願の第1発明のベクターに組み込んだ組換えベクターを作製し、この組換えベクターを第二の制限酵素で処理した後、宿主に導入し、宿主の単コロニーを形成させ、単コロニー由来の宿主を培養することにより、外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを発現させることができる。
本願の第7発明の別の態様においては、本願の第1発明のベクターを第一の制限酵素で処理したものに順方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現しないが、逆方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現するように設計された配列を含むプライマーであって、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードする外来遺伝子のcDNAを増幅することができる前記プライマーを用いて、cDNAを鋳型として、cDNAにおける位置及び/又は長さ及び/又は配列の一部が異なるcDNAの部分配列に相当するDNAの混合物を増幅し、混合物の各々を第一の制限酵素で処理した本願の第1発明のベクターに組み込んだ組換えベクターを作製し、第二の制限酵素で組換えベクターを処理した後、宿主に導入し、宿主の単コロニーを形成させ、単コロニー由来の宿主を培養することにより、外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを発現させることができる。
本願の第8発明は、本願の第1発明のベクターを用いて、外来遺伝子がベクターに逆方向で挿入された組換えベクターを開環させ、外来遺伝子がベクターに順方向で挿入された組換えベクターを閉環したままの状態で残す方法を提供する。
本願の第8発明の1態様においては、本願の第3発明の組換えベクターを第二の制限酵素で処理することにより、外来遺伝子がベクターに逆方向で挿入された組換えベクターを開環させ、外来遺伝子がベクターに順方向で挿入された組換えベクターを閉環したままの状態で残すことができる。
本願の第9発明は、本願の第1発明のベクターを用いて、外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの発現量及び/又は溶解度を試験する方法を提供する。
本願の第9発明の1態様においては、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードする外来遺伝子であって、本願の第1発明のベクターを第一の制限酵素で処理したものに順方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現しないが、逆方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現するように設計された配列を含む前記外来遺伝子を本願の第1発明のベクターに組み込んだ組換えベクターを作製し、この組換えベクターを第二の制限酵素で処理した後、宿主に導入し、宿主及び/又はその子孫を培養することにより、外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを発現させ、発現した蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの量及び/又は溶解度を調べることができる。
配列(I)を配列表の配列番号1に示す。
【0018】
配列(II)を配列表の配列番号2に示す。
【0019】
配列(III)を配列表の配列番号3に示す。
【0020】
配列(IV)を配列表の配列番号4に示す。
【0021】
配列(V)を配列表の配列番号5に示す。
【0022】
配列(VI)を配列表の配列番号6に示す。
【0023】
配列(VII)を配列表の配列番号7に示す。
【0024】
配列(VIII)を配列表の配列番号8に示す。
【0025】
配列(IX)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号9に示す。
【0026】
配列(X)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号10に示す。
【0027】
配列(XI)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号11に示す。
【0028】
配列(XII)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号12に示す。
【0029】
配列(XIII)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号13に示す。
【0030】
配列(XIV)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号14に示す。
【0031】
配列(XV)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号15に示す。
【0032】
配列(XVI)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号16に示す。
【0033】
配列(XVII)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号17に示す。
【0034】
配列(XVIII)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号18に示す。
【0035】
配列(XIX)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号19に示す。
【0036】
配列(XX)の一例(Nが1塩基である場合)を配列表の配列番号20に示す。
【0037】
本明細書において、「蛋白質ドメイン」とは、蛋白質の部分配列であり、その部分だけでなんらかの生理活性、生化学的な機能、特徴的な物理化学的性質、または立体構造のいずれかを有するポリペプチドをいう。
【0038】
「(外来遺伝子が)順方向で挿入された」とは、該遺伝子に含まれるORFがplasmidの翻訳方向に対して正しい向きで挿入されたことをいう。
【0039】
「(外来遺伝子が)逆方向で挿入された」とは、該遺伝子に含まれるORFがplasmidの翻訳方向に対して正しい向きとは反対の向きで挿入されたことをいう。
【0040】
「切断認識配列」とは、それぞれの制限酵素に固有の、その制限酵素が認識してそれを切断する、二本鎖DNAの塩基配列をいう。
【0041】
「制限酵素サイドとは、特定の制限酵素の「切断認識配列」のことをいう。
【0042】
「マルチクローニングサイト」とは複数の制限酵素サイトが連続して出現するように設計されているベクター中の塩基配列をいう。
【0043】
「形質転換体」とは、細胞から外部に遺伝子(DNA)が導入された結果、細胞が新しい形質を獲得し、さらにその形質が子孫の細胞にも受け継がれるようになったものをいう。
【0044】
「宿主」とは、組換えDNA実験において、DNAの組換え分子を導入される生細胞をいう。
【0045】
「ベクター」とは、組換えDNA実験において、宿主に異種のDNAを運ぶDNAをいう。
【0046】
「単コロニー由来の宿主(または形質転換体)」とは、生細胞を十分希釈してから培地に接種し、培養してコロニーを形成させた後に、単一のコロニーを分離してさらに培養した宿主(または形質転換体)をいう。
【発明の効果】
【0047】
本発明により、簡便な操作により、短時間で、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを発現させることができるベクターが提供された。
【0048】
また、本発明により、簡便な操作により、短時間で、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを発現させる方法が提供された。
【0049】
さらに、本発明により、簡便な操作により、短時間で、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの発現量と溶解度を試験する方法が提供された。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2003−308773号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】dGST−Tベクター(pGEX−4T3−PRESAT)の構築を示す。
【図2】ORF方向性選択の原理を示す。図2は、第二の制限酵素がNcoIである場合を示しており、リアPCRプライマーは5’−GGを持つように設計されている。このプライマーで増幅されたインサートが逆方向でプラスミドに挿入されると、T/AクローニングサイトにNcoI部位が出現する。第二の制限酵素がNdeIである場合には、リアPCRプライマーは5’−GGの代わりに5’−ATGを持つように設計するとよい。
【図3】dGST−Tベクターを利用した可溶性蛋白質ドメインのドメイン境界の高速決定法の概念図である。(i)種々のPCRプライマーを設計し、一連の目的とする部分cDNAフラグメントを増幅する。この部分cDNAフラグメントは蛋白質ドメインを含むと推定されるものである。(ii)このフラグメントをpGEX−4T3−PRESATに挿入し、NcoIまたはNdeI選択を行い、大腸菌に形質転換し、大腸菌のコロニーを分離する。(iii)96穴プレートを用いて個々のコロニーを培養し、種々のフラグメント長の標的蛋白質及び/又は蛋白質ドメインのGST融合蛋白質を発現させる。(iv)CDNB発色反応により融合蛋白質の量を定量し、GST融合蛋白質を高発現しているクローンを選択して、さらなる解析に利用する。
【図4】GST融合蛋白質の発現を15%SDS−PAGEで分析した結果を示す。レーンMは分子量標準を、レーンa1−a5は酵母Vps4を、レーンb1−b5はヒトVps4を、レーンc1−c5はマウスVps4を、レーンd1−d5はヒトSnx15aを、レーンe1−e5はマウスSnx15aを示す。
【図5】GST融合蛋白質の菌体破砕直後の溶解度を15%SDS−PAGEで分析した結果を示す。レーンMは分子量標準を、レーンi1−s1は酵母Vps4を、レーンi2−s2はヒトVps4を、レーンi3−s3はマウスVps4を、レーンi4−s4はヒトSnx15aを、レーンi5−s5はマウスSnx15aを示す。また各レーンのiは不溶性画分を、sは可溶性画分を示す。
【図6】GST融合蛋白質の菌体破砕直後の溶解度をGSTの酵素活性の測定法である1−クロロ−2、4−ジニトロベンゼンを用いたアッセイで測定した結果を示す。図中横軸は反応開始からの時間(単位:分)、縦軸は350nmでの紫外線の吸光度を示す。またグラフは△は酵母Vps4を、○はヒトVps4を、●はマウスVps4を、□はヒトSnx15aを、▲はマウスSnx15aを示す。
【図7】dGST−Tベクターを利用した蛋白質ドメインの高速可溶性試験法の概念図である。〔〕内はそこで記された操作に必要とされるおおよその時間である。(i)特定のPCRプライマーを設計し、目的とする部分cDNAフラグメントを増幅する。この部分cDNAフラグメントは蛋白質全体または蛋白質ドメインを含むと推定される部分配列のいずれでもよい。(ii)このフラグメントをpGEX−4T3−PRESATに挿入しligation反応を行う。(iii)大腸菌DH5aに形質転換する。(iv)液体培養を行う。(v)プラスミドを単離精製する。(vi)NcoIまたはNdeIで切断しORF選択を行う。(vii)大腸菌BL21に形質転換し、(viii)大腸菌のコロニーを形成させる。(ix)IPTG溶液を噴霧し、蛋白質の発現を誘導する。(x)寒天培地上の大腸菌を懸濁して集める。(xi)菌体を破砕し、全菌体・可溶性画分・不溶性画分を得る。(xii)SDS−PAGE電気泳動を行い、ゲル上のバンドの濃さよりGST融合蛋白質が可溶性画分に含まれる量を判定する。(i)−(xii)の全ての工程に必要とされる時間の合計はおよそ48時間である。
【図8】pGST−4T3−PRESATにmVps4bとmSNX15aのドメインをコードするcDNAをTA−cloning法で組み込み、NcoI ORF選択法を経て寒天培地上でコロニー形成させたものを、単コロニー化せずに寒天培地上で発現誘導を行い、可溶性試験を行った結果を示す。レーンMは分子量マーカーを、レーンt1、s1、i1はGST−マウスVps4融合蛋白質の発現の誘導を行わなかった試料を、レーンt2、s2、i2は同じくIPTG噴霧により蛋白質発現を誘導した試料を、レーンt3、s3、i3はGST−マウスSNX15融合蛋白質の発現の誘導を行わなかった試料を、レーンt4、s4、i4は同じくIPTG噴霧により蛋白質発現を誘導した試料を泳動したものであり、t、i、sはそれぞれ全菌体、不溶性画分、可溶性画分を示す。また図中矢印は発現が確認された融合蛋白質のバンドを、△はGSTのみと思われるバンドを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
1.ベクターの調製
まず、ベクターを用意する。例えば、市販のベクターを購入し、このベクターが第一及び第二の制限酵素により認識される切断認識配列を有する場合には、この切断認識配列に変異を導入するとよい。このベクターが融合蛋白質発現ベクターであると、目的蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの発現量・溶解性を検出・測定するのが容易である点、目的蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの精製が容易である点、目的蛋白質の機能解析・相互作用解析のための生化学実験を行う際に有利である点から便利である。後述の実施例1では、pGEX−4T3ベクターに、配列番号21の配列で表されるDNAを5’リン酸化したものを用いて、site−directed mutagenesis法を用いて変異を導入した。これによりpGEX−4T3がもともとの配列中に持っていたAhdIサイトが切断されなくなる。
【0052】
次いで、前記ベクターに、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列(そのうち一方の切断認識配列のみが第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含む)を導入するためのリンカーを用意する。このリンカーは、ベクターのマルチクローニングサイトに導入するための制限酵素部位(2箇所)を両末端に有し、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列(そのうち一方の切断認識配列のみが第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含む)を持つように設計する。後述の実施例1では、pET32aベクターの誘導体pET32aPACAPを鋳型として配列番号22及び24の配列で表されるプライマーの対でPCR反応を行うことにより、両末端にBamHI部位を有し、この2つのBamHI部位の各々にAhdI部位が結合しているPCR産物を得た。このPCR産物をTAクローニングベクターpGEM−Tにサブクローニングして、その配列を確認した後、プラスミドを調製精製し、精製したプラスミドを制限酵素BamHIで切断し、約500baseの断片(AhdIリンカー)を精製した。
【0053】
上記のベクター(後述の実施例1では、変異を導入したpGEX−4T3ベクター)を制限酵素(後述の実施例1では、BamHI)で開環し、脱リン酸化処理した後、上記のリンカー(後述の実施例1では、AhdIリンカー)をligationし、大腸菌に形質転換する。その後、複数の単コロニー由来の形質転換体からプラスミドを調製精製し、その塩基配列を確認して、正しい向きでリンカーが導入されたベクターを選択し、これを第一の制限酵素(後述の実施例1では、AhdI)で処理すると、開環状ベクター(後述の実施例1では、pGEX−4T3−PRESAT)が得られる。
【0054】
2.外来遺伝子の調製
外来遺伝子を調製する。外来遺伝子は、1で用意したベクターに順方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現しないが、逆方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現するように設計された配列を含む。また、外来遺伝子は、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードしているとよい。
【0055】
外来遺伝子は、例えば、PCR法で調製することができる。鋳型としては、目的遺伝子を含むcDNA、プラスミド、合成DNA、RNAなどを例示することができる。プライマーとしては、増幅したい目的遺伝子の両末端のDNA配列に相補的な2種のオリゴヌクレオチドを用いればよいが、一方のプライマーはベクターに挿入後に翻訳の読み枠がずれないように、またもう一方のプライマーは、その5’−末端に1〜10残基の目的遺伝子には含まれない配列が付加されるように、あらかじめ正しく設計しておく必要がある。
【0056】
PCR反応は、DNA二本鎖の解離、オリゴヌクレオチドとのアニーリング、及びDNAポリメラーゼによる相補鎖の合成の3反応を通常20〜40回繰り返すことにより行われる。第1回目の反応にDNAの逆転写活性を有する酵素を用いることにより、RNAからのDNA増幅も行える。
【0057】
プライマーの塩基配列は、1で用意したベクターに順方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現しないが、逆方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現するように設計する。後述の実施例2では、フロントプライマー(該cDNAのORFのN末端に相当する側のプライマー)は、先行するGSTと読み枠が合うように最初のアミノ酸のコドンで始まり、5’末端の塩基は5’−GGで始まらないように設計した。リアプライマー(ORFのC末端側のプライマー)は、蛋白質ドメインのC末端と推定される領域の境界の後にストップコドンを含むように設計し、さらにそのプライマーの5’末端の塩基が5’−GGで始まるように設計した。そうすることによって、これらのプライマーで増幅されたPCR産物は、逆方向でpGEX−4T3−PRESATにligationしたときにのみNcoI部位が形成されることになる。この新たに生じたNcoI部位は続く選択工程に利用される。
【0058】
その他、pGEX−4T3−PRESATに導入して組換え蛋白質を生産するのに用いるための、DNAを増幅するのに用いるPCRプライマーを設計する場合の注意点を以下に説明する。
(1)第一の制限酵素がAhdIであり、第二の制限酵素がNcoIである場合(NcoI選択)
ORFのN末端側のプライマーを設計するには、以下の4つの規則に従うとよい。
(ia)プライマー配列の1塩基目がアミノ酸コドン一文字目に対応して先行するGSTとフレームが合うようにする。
(iia)5’末端の塩基をGまたはAとする。(必要ならば少数のアミノ酸をコードするDNA配列の挿入を行う)。
(iiia)5’末端の配列をGGにしない。
(iva)PCR増幅断片内にNcoI制限酵素サイトを含まない。
【0059】
ORFのC末端側のプライマーは、以下の2つの規則に従うとよい。
(va)5’末端の塩基をGGとする。
(via)目的蛋白質ドメインが停止コドンを含まないときは、5’末端の配列をGG−Xn−TTA(Xnは任意のn個(nは0〜30のいずれかの整数)の塩基でよく、例えば、Aとする。)(nが5の場合の配列を配列番号53に示す。)ではじまるようにする。
(2)第一の制限酵素がAhdIであり、第二の制限酵素がNdeIである場合(NdeI選択)
ORFのN末端側のプライマーを設計するには、以下の4つの規則に従うとよい。
(ib)プライマー配列の1塩基目がアミノ酸コドン一文字目に対応して先行するGSTとフレームが合うようにする。
(iib)5’末端の塩基をGまたはAとする。(必要ならば少数のアミノ酸をコードするDNA配列の挿入を行う)。
(iiib)5’末端をATGにしない。
(ivb)PCR増幅断片内にNdeI制限酵素サイトを含まない。
【0060】
ORFのC末端側のプライマーは、以下の2つの規則に従うとよい。
(vb)5’末端の塩基をATGとする。
(vib)目的蛋白質ドメインが停止コドンを含まないときは、5’末端の配列をATG−Xn−TTA(Xnは任意のn個(nは0〜30のいずれかの整数)の塩基でよく、例えば、Aとする。)(nが4の場合の配列を配列番号54に示す。)ではじまるようにする。
【0061】
3.クローニング
2で用意した外来遺伝子を1で用意したベクター(後述の実施例2では、pGEX−4T3−PRESATベクター)とligation反応させ、大腸菌に形質転換する。形質転換した大腸菌は寒天培地には接種せず、また単コロニー化はせずに液体培地で培養を行った後、そこからプラスミド混合物を精製する。このプラスミド混合物を第二の制限酵素(後述の実施例2では、NcoI)で処理すると、外来遺伝子がベクターに逆方向で挿入されたプラスミドは、新たに出現した第二の制限酵素切断部位で切断されて開環する。一方、外来遺伝子がベクターに順方向で挿入されたプラスミドは閉環したままの状態で残る。したがって、第二の制限酵素処理したプラスミド混合物を発現用大腸菌宿主に形質転換して寒天培地に播種すると、外来遺伝子がベクターに順方向で挿入されたプラスミドを含む大腸菌のみがコロニーを形成する。その単コロニーを形成させた寒天培地のおのおののコロニーから大腸菌を採取して培養し、融合蛋白質を発現させる。発現の終えた大腸菌を集菌し、超音波などで菌体を破砕後、全菌体画分とする。また全菌体画分を遠心分離し、上清を可溶化画分とする。沈殿物を可溶化画分と同じ容量のSDSを含む緩衝液で完全に溶解し、不要化画分とする。全菌体画分のみ、または全菌体画分・可溶化画分・不要化画分のそれぞれをSDS−PAGEにより泳動し、目的融合蛋白質のバンドをゲル上で確認する。その後、該融合蛋白質のゲル上のバンドの濃度から、可溶化画分と不要化画分の比率を求め、目的融合蛋白質の溶解度の指標とする(可溶性試験)。必要ならばデンシトメトリーなどを利用してゲル上の蛋白質バンドを定量し数値化するとなおよい。
【0062】
GSTの酵素活性を利用した可溶性試験は、アマシャムファルマシア社のpGEXシリーズベクター取扱説明書記載の方法に準じて行う。すなわち、適当な緩衝液に希釈した目的融合蛋白質を含む大腸菌の可溶性画分を紫外分光光度計のキュベットに入れて、1−クロロ−2、4ジニトロベンゼン)と還元型グルタチオンを加えてよく撹拌した後、340nmの紫外吸光度の経時変化を5〜10分まで連続的に測定し、その傾きを目的融合蛋白質の量の指標とする。多検体を並行で処理する場合にはマイクロプレートリーダーを利用すると便利である。
【0063】
以上の操作を行った後、目的融合蛋白質の発現量・溶解度のよいクローンを選択し、プラスミド精製し、塩基配列を決定する。目的の外来遺伝子を含むプラスミドを蛋白質及び/又は蛋白質ドメイン発現ベクターとして採用し、以後の蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの大量調製実験に用いる。この方法により、従来法と比較して、蛋白質及び/又は蛋白質ドメイン発現ベクターを作製する期間が約3割短縮できるようになった。
【0064】
4.蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの大量発現
3で採用した蛋白質及び/又は蛋白質ドメイン発現ベクターを発現用大腸菌宿主に形質転換し、大腸菌を培養して、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを発現させる。蛋白質及び/又は蛋白質ドメイン発現ベクターが融合蛋白質発現ベクターであると、目的蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの発現量・溶解性を検出・測定する(例えば、蛍光で検出、GSTの酵素活性を指標にした比色定量など)のが容易である点、目的蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの精製が容易である(例えば、GSH固定化ビーズを利用した一段階の精製が可能)点、目的蛋白質の機能解析・相互作用解析のための生化学実験(例えば、BIACOREを利用した試験管内結合実験、プルダウンアッセイを利用した試験管内結合実験など)を行う際に有利である点から便利である。
【0065】
発現した蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの分離及び精製は、公知の方法により行うことができる。公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーや疎水クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0066】
以上、本発明について、宿主として大腸菌を用いる場合について説明したが、本発明に用いる宿主は大腸菌に限定されるわけではなく、宿主としては、細菌細胞(例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、枯草菌など)、真菌細胞(例えば、出芽酵母、分裂酵母、アスペルギルスなど)、昆虫細胞(例えば、S2細胞、Sf細胞など)、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、HEK293細胞など)、植物細胞などを例示することができる。
【0067】
また、本発明に用いる第一の制限酵素、第二の制限酵素、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列(第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むものと含まないもの)、外来遺伝子を作製するためのプライマー対は上記のものに限定されるわけではなく、以下の表にまとめたものを利用することが可能である。表中、Gはグアニン、Aはアデニン、Cはシトシン、Tはチミン、Xは任意の塩基であり、Xnはn個(nは1〜30のいずれかの整数である)の任意の塩基である。表1には表2及び3が続き、表4には表5及び6が続き、表7には表8〜11が続く。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
【表6】

【0074】
【表7】

【0075】
【表8】

【0076】
【表9】

【0077】
【表10】

【0078】
【表11】

【0079】
第一の制限酵素が、AhdI若しくはそのイソスキゾマー、XcmI若しくはそのイソスキゾマー、またはそれらの組合せである場合、第二の制限酵素がNcoI、NdeIまたはそのイソスキゾマーであると効果的である。
【0080】
本発明のベクターを利用することにより、例えば混合プライマーを設計し、それを用いて目的とする蛋白質のcDNAを鋳型に用いて増幅させた、任意の蛋白質の部分配列をコードするDNA断片の混合物を別の蛋白質の下流にligationさせた、もとの蛋白質における位置及び/または長さの異なる部分配列の融合蛋白質を発現させることのできる、ライブラリーを作製することができる(例えば、図3を参照のこと)。
【0081】
また、本発明のベクターを利用することにより、例えば96穴マイクロタイタープレートを用いて複数の蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの発現系を網羅的に作製し、かつその発現系によって生産される蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの溶解度を網羅的にアッセイしたり、溶解度の高い蛋白質及び/又は蛋白質ドメインのみを高速で選別することが可能となる(例えば、図3を参照のこと)。
【0082】
また、本発明のベクターと96穴マイクロタイタープレートを用いる前述の方法は、自動コロニー単離装置や、96穴マイクロタイタープレートを取り扱うことのできる自動試薬分注洗浄装置、ラボラトリーオートメーション装置を用いることで、多数の蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの発現系を網羅的に作製し、かつその発現系によって生産される溶解度の高い蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの選別を、高速に全自動で行うことができる。
【0083】
さらに、本発明のベクターを利用することにより、単一の蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを対象として、それを含む融合蛋白質が大腸菌で発現可能かどうかの判定及び、それを含む融合蛋白質が可溶性かどうかの判定を、PCR反応からはじめて最短で48時間で判別することが可能となる(例えば、図7を参照のこと)。
【実施例】
【0084】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0085】
制限酵素NcoI、NdeI、AhdI及びAflIIはNew England Biolabs社から購入した。KpnIとBamHIは東洋紡社から購入した。T4 DNAリガーゼ、Wizard plasmid miniprepキット及びWizard SV DNA gel purificationキットはPromega社から購入した。pGEM−T、pGEX−4T3とpGEX−3X、pET32aとpET21bは、それぞれ、Promega社、Amersham Pharmacia Biotech社及びNovagen社から購入した。またpET32aPACAPはpET21bのNdeIサイトに、pET32a由来のチオレドキシン遺伝子を含むNdeI断片と、同じpET21bのNheIサイトに、PACAPの人工遺伝子を挿入して作成したpET32aの誘導体である。PCRクローニングのための鋳型に用いるcDNAとして、マウス脾臓、マウス胎児及びヒトHeLa細胞のQUICK−Clone cDNAはClontech社から購入した。
【0086】
[実施例1]dGST−Tベクターの作製(図1)
pGEX−4T3ベクターに、配列番号21の配列で表されるDNAを5’リン酸化したものを用いて、site directed mutagenesis法を用いて変異を導入した。これによりpGEX−4T3がもともとの配列中に持っていたAhdI制限酵素サイトが切断されなくなる。次いで、pET32aPACAPベクターを鋳型として配列番号22及び24の配列で表されるプライマーの対でPCR反応を行った。得られたPCR産物(約500bp、二本鎖DNAの一方の鎖の配列を配列番号25に示す。)は2つのBamHI部位のそれぞれにAhdI部位が結合していた(図1)。このPCR産物をTAクローニングベクターpGEM−Tにサブクローニングして、その配列を確認した後、プラスミドを調製精製した。精製したプラスミドを制限酵素BamHIで切断し、約500baseの断片(AhdIリンカー、配列番号26及び27)を精製した。上記の変異を導入したpGEX−4T3をBamHIで開環し、脱リン酸化処理したものと、上記のAhdIリンカーをligationして、大腸菌に形質転換した。配列を確認して、正しい向きでAhdIリンカーがGST遺伝子下流に導入したものを選択した。正しい向きでAhdIリンカーがGST遺伝子下流に導入されベクター(約2マイクログラム)を、25ユニットのAhdI制限酵素で37℃で3時間処理して切断し、1%アガロースゲルを用いて精製した。Wizard SV gel/PCR clean−upシステムを用いて約5kbの開環状ベクター(pGEX−4T3−PRESAT、図1)を精製して、以下の実施例に用いた。
【0087】
[実施例2]新規発現系の並行操作による調製(図2)
まず、NcoI−選択法対応のプライマーを利用して、5種類の遺伝子(ヒト・マウスのSNX15a由来及び酵母・マウス・ヒト由来のVps4bの5つのMITドメインを含む領域、配列番号28,30,32,34,36)を、同時並行でヒトマウスなどのcDNAを鋳型としてPCRで増幅した。使用したプライマー(配列番号38〜47)は、当該遺伝子のcDNAのうち蛋白質として発現を計画している領域に相補的な配列と、終止コドンの相補配列、および5’末端にNcoI選択を行うためのGG残基を含むように適宜設計したものである。すなわち、フロントプライマーは、先行するGSTと読み枠が合うように最初のアミノ酸のコドンで始まり、5’末端の塩基は5’−GGで始まってはならない。リアプライマーは当該ドメインの推定C末端境界後のストップコドンを含み、5’末端の塩基は5’−GGで始まらなければならない。そうすることによって、これらのプライマーで増幅されたPCR産物は、逆方向でpGEX−4T3−PRESATにligationしたときにのみ第二のNcoI部位が形成されることになる。この新たに生じたNcoI部位は続く選択工程に利用される。
【0088】
当該遺伝子はいずれも200−230bpのcDNAであり、新規の蛋白質ドメインで、約70アミノ酸残基をコードする。
【0089】
PCR産物が増幅していることを電気泳動により確認後、その産物を未精製のままpGEX−4T3−PRESATベクターとligation反応させ、大腸菌DH5aに形質転換した。形質転換したDH5aは単コロニー化せずに終夜液体培養を行い、翌日そこから1−3μgのプラスミドを精製した。このプラスミドをNcoI制限酵素で切断したものを、発現用大腸菌宿主BL21(DE3)に形質転換し、単コロニー化した。そのコロニー化したプレートからおのおの3個ずつを(3x5=15)、LB培地で液体培養し、OD=0.5付近になったところでIPTGを終濃度1mMに加え、さらに4時間培養した。発現の終えた大腸菌を集菌し、超音波破砕後、全菌体をSDS−PAGEにより泳動し、目的融合蛋白質のバンド(約33−35kD)をゲル上で確認した(図4)(発現性試験)。得られたコロニーのうち、予測した分子量の目的融合蛋白質を発現していたコロニーの割合は、約90%以上(14/15)と非常に効率が高かった。
【0090】
さらに目的分子量の融合蛋白質の発現が確認されたコロニー由来の菌体破砕液を遠心分離により可溶化画分、不溶化画分に分離し、全菌体とともに、それぞれをSDS−PAGEにより泳動し、目的とする融合蛋白質が可溶性かどうかを調べた(図5)(可溶性試験)。
【0091】
また、目的分子量の融合蛋白質の発現が確認されたコロニー由来の蛋白質の可溶化画分の一部に1−クロロ−2、4ジニトロベンゼンとグルタチオンの混合液よりなるGST活性測定液を加え、GSTによる反応を開始させ、その反応初速度を350nmの紫外部吸光度の増大を分光光度計で計測した(図6)(CDNBアッセイ)。グラフの直線の傾きは、目的の融合蛋白質の可溶化画分における量におよそ比例することが確かめられ、分光光度計による半定量的な可溶性試験が可能であることがわかった。
【0092】
それとは独立に、同じプレートのコロニーを8個ずつ、コロニーPCRを用いてそれぞれのクローンに含まれるプラスミドに目的の遺伝子が含まれる割合(サブクローニングの効率)を検討した。37/40の確率(92.5%)で、標的遺伝子から予測される正しい長さの遺伝子が組み込まれていたを確認した。
【0093】
正しい長さの蛋白質を発現しているクローンから2つを選びDNA塩基配列を決定確認した。配列は全て正しく、またGSTと読み枠がずれていないことを確認した。
【0094】
以上の操作全工程に要した日数は約6日間であり、有意に短縮されている。
【0095】
[実施例3]NcoI選択法とNdeI選択法の効率の比較
ユビキチンと相互作用するモチーフ(UIM:ubiquitin interacting motif)を含む蛋白質断片のGST融合蛋白質発現系作製を行う際に、NcoI選択とNdeI選択とで、実施上の発現系構築の効率に違いがあるかどうか、比較実験を行った。
【0096】
NcoI−選択法対応のプライマーの組(配列番号48及び45)およびNdeI選択法対応のプライマーの組(配列番号48及び50)を利用し、ヒトのcDNAより、UIM配列を含むヒトHrs遺伝子の約200bpの断片(コード鎖の配列を配列番号51に示す。)をPCRで増幅した。使用したプライマーは、当該遺伝子のcDNAに相補的な配列と、終止コドンの相補配列、およびNcoI選択を行うため5’末端にGG残基を含むように適宜設計した。NdeI選択を行うためのプライマーは終止コドンの相補配列、及び5’末端にATG残基を含むように適宜設計したものである。当該断片は200bpのcDNAであり、新規の蛋白質ドメインで、約70アミノ酸残基をコードする。
【0097】
PCR産物が増幅していることを電気泳動により確認後、その産物を未精製のままdGST−Tベクターとligation反応させ、大腸菌DH5aに形質転換した。形質転換したDH5aは単コロニー化せずに終夜液体培養を行い、翌日そこから1−3μgのプラスミドを精製した。このプラスミドをNcoI制限酵素またはNdeI制限酵素で切断したものを、発現用大腸菌宿主BL21(DE3)に形質転換し、単コロニー化した。反応条件は、plasmid200ngあたり、NcoIは10unit、NdeIは20unitを用い、37℃でいずれも一時間反応した。そのコロニー化したプレートからおのおの3個ずつを(3x5=15)、LB培地で液体培養し、OD=0.5付近になったところでIPTGを終濃度1mMに加え、さらに4時間培養した(発現実験)。発現の終えた大腸菌を集菌し、超音波破砕後、全菌体、可溶化画分、不要化画分のそれぞれをSDS−PAGEにより泳動し、目的融合蛋白質のバンド(約31kD)をゲル上で確認した。得られたコロニーのうち、予測した分子量の目的融合蛋白質を発現していたコロニーの割合は、NcoI選択のときに14/15、NdeI選択で3/3といずれも約90%以上(14/15)と非常に効率が高かった。
【0098】
それとは独立に、同じプレートのコロニーを数個、コロニーPCRを用いてそれぞれのクローンに含まれるプラスミドに目的の遺伝子が含まれる割合(サブクローニングの効率)を検討した。NcoI選択では9/10の確率(90.0%)で、NdeI選択では7/8(88%)と、ほぼ同程度の効率で標的遺伝子から予測される正しい長さの遺伝子が組み込まれていたを確認した。
【0099】
以上の実験により、NcoI/NdeIいずれもORF方向の選択に利用可能であることがわかった。
【0100】
[実施例4]dGST−Tベクターを利用して作製された融合蛋白質の大腸菌における発現量および溶解度を短時間で試験する方法(図7)
実施例2で作製したヒトVps4bの遺伝子を挿入されたNcoI処理によるORF選択の終了した開環状ベクター混合物約0.2μgを用いて、そのなかに出来あがっていると考えられるGST−Vps4bの発現性試験ならびに溶解度試験を短時間で行うための条件を決定した。
【0101】
すでに実施例2に記載してある、既にNcoIで処理して開環状になっているヒトVps4bの遺伝子を含むpGEX−4T3−PRESATを約0.2μgを発現用大腸菌宿主BL21(DE3)に形質転換し、LBプレート培地上で37℃で14時間かけてコロニーを形成させた。そのコロニーを形成させたプレートに、0.1MのIPTG溶液を200μl噴霧し、さらに37℃で3時間コロニーを成長させプレート上で蛋白質を発現させた。プレート上の大腸菌コロニーに180μlの0.15M NaClを含む20mM Tris塩酸緩衝液(pH7.0)(以下TBS緩衝液と呼ぶ)を加えて懸濁し、その菌体を超音波破砕して全菌体画分、可溶化画分、不要化画分を実施例2と同様にSDS−PAGE電気泳動で分析した(図8)。大腸菌の懸濁からSDS−PAGEによる分析に要した時間は約3時間であった。
【0102】
この方法でも実施例2と同様、目的とする分子量約32KDaの融合蛋白質のバンドがSDS−PAGE上で確認され、発現量ならびに可溶性が今後の実験に十分であることがわかった。
【0103】
この実験では目的とする融合蛋白質を含む大腸菌を単コロニー化しないで、混合物のまま発現性試験ならびに溶解度試験を行っているが、実施例2で示したようにNcoIによるORF選択を行った場合には、目的とする融合蛋白質を含まない大腸菌はプレート培地上にコロニー形成している大腸菌の10%以下であるため、電気泳動による発現性試験・可溶性試験による判定が可能であることがわかった。
【0104】
以上の操作全工程に要した時間はおよそ21時間であり、有意に短縮されている。その前段階であるPCRからNcoIによるORF処理に要する時間は最短で27時間で可能であり、単一の蛋白質及び/または蛋白質ドメインの発現系構築と可溶性試験の全工程を、最短48時間で行うことが可能であることがわかった。
本発明者らが作製したベクターの名称、ベクター作製の基となった市販のプラスミドの名称、タグの名称、第一の制限酵素、第二の制限酵素、リンカーの配列及び参考文献を以下の表にまとめる。
【0105】
【表12】

*タグおよびタグと目的蛋白質を切り離すときのプロテアーゼ切断配列の名称を含む
略号
GST:glutathione−S−transferase(Schistosoma japonicum)
TRX:thioredoxine(E.coli)
His6:His−His−His−His−His−His
LBT:lanthanide binding tag
FLAG(登録商標):Asp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys
EGFP:enhanced green fluorescense protein(オワンクラゲ)
リンカーの配列(下線部の配列が、AhdIでの切断サイト)
I(487bp)説明:Trx遺伝子と−PACAP人工遺伝子の一部
GACCATTGGTCCACCTGACTGACGACAGTTTTGACACGGATGTACTCAAAGCGGACGGGGC
GATCCTCGTCGATTTCTGGGCAGAGTGGTGCGGTCCGTGCAAAATGATCGCCCCGATTCTG
GATGAAATCGCTGACGAATATCAGGGCAAACTGACCGTTGCAAAACTGAACATCGATCAAAA
CCCTGGCACTGCGCCGAAATATGGCATCCGTGGTATCCCGACTCTGCTGCTGTTCAAAAAC
GGTGAAGTGGCGGCAACCAAAGTGGGTGCACTGTCTAAAGGTCAGTTGAAAGAGTTCCTCG
ACGCTAACCTGGCCGGTTCTGGTTCTGGCCATATGGCTAGCCATCACCACCACCACCACAG
CAGCGGCATTGACGGCCGGCATAGCGATGGCATCTTTACCGATAGCTATAGCCGCTATCGC
AAACAGATGGCGGTGAAAAAGTATCTGGCGGCGGTGCTGGGCTAATAAGACCAAATGTC(配列番号59)
II(110bp)説明:PACAP人工遺伝子
GACGGTCGGTCTAGCGATGGCATCTTTACCGATAGCTATAGCCGCTATCGCAAACAGATGGC
GGTGAAAAAGTATCTGGCGGCGGTGCTGGGCTAATAAGACCAATGGTC(配列番号60)
III(259bp)説明:ヒトユビキチン遺伝子
GACGATAAGTCTCATATGCAGATTTTCGTGAAAACCCTGACCGGCAAAACCATCACCCTGGA
AGTGGAACCGTCCGACACCATCGAAAACGTTAAAGCGAAAATCCAGGACAAAGAAGGCATC
CCGCCGGATCAGCAGCGTCTGATCTTCGCGGGCAAACAGCTGGAAGACGGCCGTACCCTG
TCCGATTACAACATCCAGAAAGAATCTACCCTGCACCTGGTGCTGCGTCTGCGTGGCGGCT
AATAGACTTAAGGTC(配列番号61)
参考文献
1 Smith DB,Johnson KS.(1998)Single−step purification of polypeptides expressed in Escherichia coli as fusions with glutathione S−transferase.Gene 67,31−40
2 LaVallie,E.R,DiBlasio,E.A,Kovacic,S,Grant,K.L,Schendel,P.F.and McCoy,J.M.(1993)A thioredoxin gene fusion expression system that circumvents inclusion body formation in the E.coli cytoplasm.Bio/Technology 11,187−193
3 Novy,R,Berg,J,Yaeger,K,and Mierendorf,R.(1995)inNovations 3,7−9
4 Hopp TP,Prickett KS,Price V,Libby RT,March CJ,Cerretti P,Urdal DL,and Conlon PJ.(1988)A Short Polypeptide Marker Sequence Useful for Recombinant Protein Identification and Purification.Biotechnology 6,1205−1210
5 Wohnert J,Franz KJ,Nitz M,Imperiali B,Schwalbe H.(2003)Protein Alignment by a Coexpressed lanthanide−Binding Tag for the Measurement of Residual Dipor Couplings.J.Am.Chem.Soc.125,13338−13339
6 Waldo GS,Standish BM,Berendzen J,Terwilliger TC.(1999)Rapid protein−folding assay using green fluorescent protein.Nat Biotechnol.17,691−695.
7 Goda N,Tenno T,Takasu H,Hiroaki H,and Shirakawa M.(2004)The PRESAT−vector:Asymmetric T−vector for high−throughput screening of soluble protein domains for structural proteomics.Protein Science 13,652−658
8 Tenno T,Goda N,Tateishi Y,Tochio H,Mishima M,Hayashi H,Shirakawa M,and Hiroaki H.(2004)High−throughput construction method for expression vector of peptides for NMR study suited for isotopic labeling.Protein Engineering,Design and Selection 17,305−314
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明により、蛋白質及び/または蛋白質ドメインの発現系構築と可溶性試験の全工程に要する時間を大幅に短縮することが可能となった。
【配列表フリーテキスト】
【0107】
<配列番号1>
配列番号1は、配列(I)の塩基配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、配列(II)の塩基配列を示す。
<配列番号3>
配列番号3は、配列(III)の塩基配列を示す。
<配列番号4>
配列番号4は、配列(IV)の塩基配列を示す。
<配列番号5>
配列番号5は、配列(V)の塩基配列を示す。
<配列番号6>
配列番号6は、配列(VI)の塩基配列を示す。
<配列番号7>
配列番号7は、配列(VII)の塩基配列を示す。
<配列番号8>
配列番号8は、配列(VIII)の塩基配列を示す。
<配列番号9>
配列番号9は、配列(IX)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号10>
配列番号10は、配列(X)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号11>
配列番号11は、配列(XI)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号12>
配列番号12は、配列(XII)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号13>
配列番号13は、配列(XIII)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号14>
配列番号14は、配列(XIV)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号15>
配列番号15は、配列(XV)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号16>
配列番号16は、配列(XVI)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号17>
配列番号17は、配列(XVII)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号18>
配列番号18は、配列(XVIII)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号19>
配列番号19は、配列(XIX)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号20>
配列番号20は、配列(XX)の一例(Nが1塩基である場合)の塩基配列を示す。
<配列番号21>
配列番号21は、pGEX−4T3の部位特異的変異法に用いたDNAの配列を示す。
<配列番号22>
配列番号22は、pET32aPACAPを鋳型とするPCR反応に用いたプライマー(フロント)の塩基配列を示す。
<配列番号23>
配列番号23は、pET32aPACAPを鋳型とするPCR反応に用いたプライマー(リア)の塩基配列を示す。
<配列番号24>
配列番号24は、pET32aPACAPを鋳型とするPCR反応に用いたプライマー(NcoI選択法対応のリア)の塩基配列を示す。
<配列番号25>
配列番号25は、実施例1の約500bpのPCR産物の一方のDNA鎖の塩基配列を示す。他方のDNA鎖はこれの相補鎖であった。
<配列番号26>
配列番号26は、実施例1のAhdIリンカーである二本鎖DNAの一方の鎖の塩基配列を示す。
<配列番号27>
配列番号27は、実施例1のAhdIリンカーである二本鎖DNAの他方の鎖の塩基配列を示す。
<配列番号28>
配列番号28は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(ヒトSNX15a)の約220bpの断片(コード鎖)の塩基配列を示す。プライマーにより付加される配列は含まない。
<配列番号29>
配列番号29は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(ヒトSNX15a)の約220bpの断片(コード鎖)がコードしているアミノ酸配列を示す。
<配列番号30>
配列番号30は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(マウスSNX15a)の約220bpの断片(コード鎖)の塩基配列を示す。プライマーにより付加される配列は含まない。
<配列番号31>
配列番号31は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(マウスSNX15a)の約220bpの断片(コード鎖)がコードしているアミノ酸配列を示す。
<配列番号32>
配列番号32は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(酵母Vps4)の約220bpの断片(コード鎖)の塩基配列を示す。プライマーにより付加される配列は含まない。
<配列番号33>
配列番号33は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(酵母Vps4)の約220bpの断片(コード鎖)がコードしているアミノ酸配列を示す。
<配列番号34>
配列番号34は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(ヒトVps4b)の約220bpの断片(コード鎖)の塩基配列を示す。プライマーにより付加される配列は含まない。
<配列番号35>
配列番号35は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(ヒトVps4b)の約220bpの断片(コード鎖)がコードしているアミノ酸配列を示す。
<配列番号36>
配列番号36は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(マウスVps4b)の約220bpの断片(コード鎖)の塩基配列を示す。プライマーにより付加される配列は含まない。
<配列番号37>
配列番号37は、PCRの鋳型となる、MITドメインを含む遺伝子(マウスVps4b)の約220bpの断片(コード鎖)がコードしているアミノ酸配列を示す。
<配列番号38>
配列番号38は、プライマー(HSS15F)の塩基配列を示す。
<配列番号39>
配列番号39は、プライマー(HSS15R)の塩基配列を示す。
<配列番号40>
配列番号40は、プライマー(MMS15F)の塩基配列を示す。
<配列番号41>
配列番号41は、プライマー(MMS15R)の塩基配列を示す。
<配列番号42>
配列番号42は、プライマー(ScVPS4F)の塩基配列を示す。
<配列番号43>
配列番号43は、プライマー(ScVPS4R)の塩基配列を示す。
<配列番号44>
配列番号44は、プライマー(HsVPS4F)の塩基配列を示す。
<配列番号45>
配列番号45は、プライマー(HsVPS4R)の塩基配列を示す。
<配列番号46>
配列番号46は、プライマー(MmVPS4F)の塩基配列を示す。
<配列番号47>
配列番号47は、プライマー(MmVPS4R)の塩基配列を示す。
略号 Sc:yeast Hs:human Mm:mouse:VPS4:VPS4,S15:SNX15F:FORWARD R:REVERSE
<配列番号48>
配列番号48は、プライマー(HrsF)の塩基配列を示す。
<配列番号49>
配列番号49は、NcoI選択対応のプライマー(HrsR−Nco)の塩基配列を示す。
<配列番号50>
配列番号50は、NdeI選択対応のプライマー(HrsR−Nde)の塩基配列を示す。
<配列番号51>
配列番号51は、PCRの鋳型となる、UIM配列を含むヒトHrs遺伝子の約200bpの断片(コード鎖)の塩基配列を示す。プライマーにより付加される配列は含まない。
<配列番号52>
配列番号52は、PCRの鋳型となる、UIM配列を含むヒトHrs遺伝子の約200bpの断片(コード鎖)がコードしているアミノ酸配列を示す。
<配列番号53>
配列番号53は、第一の制限酵素がAhdIであり、第二の制限酵素がNcoIである場合のORFのC末端側のプライマーの塩基配列(目的蛋白質ドメインが停止コドンを含まないとき)を示す。
<配列番号54>
配列番号54は、第一の制限酵素がAhdIであり、第二の制限酵素がNdeIである場合のORFのC末端側のプライマーの塩基配列(目的蛋白質ドメインが停止コドンを含まないとき)を示す。
<配列番号55>
配列番号55は、配列(IX)〜(XIV)におけるNの塩基配列の一例を示す。
<配列番号56>
配列番号56は、配列(IX)〜(XIV)におけるNの塩基配列の一例を示す。
<配列番号57>
配列番号57は、配列(XV)〜(XX)におけるNの塩基配列の一例を示す。
<配列番号58>
配列番号58は、配列(XV)〜(XX)におけるNの塩基配列の一例を示す。
<配列番号59>
配列番号59は、リンカーIの塩基配列を示す。
<配列番号60>
配列番号60は、リンカーIIの塩基配列を示す。
<配列番号61>
配列番号61は、リンカーIIIの塩基配列を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列を持ち、そのうち一方の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、他方の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まないことを特徴とするベクター。
【請求項2】
第一の制限酵素が、切断したDNAに3’突出末端を生成する制限酵素である請求項1記載のベクター。
【請求項3】
3’突出末端の塩基がチミンである請求項2記載のベクター。
【請求項4】
第一の制限酵素がAhdIまたはそのイソスキゾマー、XcmIまたはそのイソスキゾマー、およびその組み合わせからなる群より選択される請求項1〜3のいずれかに記載のベクター。
【請求項5】
第一の制限酵素がAhdIまたはそのイソスキゾマー、XcmIまたはそのイソスキゾマー、およびその組み合わせからなる群より選択され、第二の制限酵素が、NcoI,DsaI,EcoT14I,NdeI,SfeI,AvaI,SmlI,XhoI,PstI,EcoT22I,PshBI,AccI,ApaLI,PsiI,ScaI,SplI,Bsp1107I,Bsp1286I,BspT107I,Bsp1407I,TatI,HgiCI,KpnI,SpeI,BlnI,NheI,XbaI,SspI,EcoRVおよびそれらのイソスキゾマーからなる群より選択される請求項4記載のベクター。
【請求項6】
第一の制限酵素がXcmIまたはそのイソスキゾマーであり、第二の制限酵素が、AflIII,BspLU11I,NspI,SphI,BspHI,BsaAI,PmaCI,SnaBI,NspBII、PvuII,BanII,HgiAI,SacIおよびそれらのイソスキゾマーからなる群より選択される請求項4記載のベクター。
【請求項7】
第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列がマルチクローニングサイトに挿入されている請求項1〜6のいずれかに記載のベクター。
【請求項8】
ベクターがある蛋白質のコード領域を含んでおり、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードする外来遺伝子を組み込んだときに、前記外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを前記領域がコードする蛋白質と結合した融合蛋白質の形態で発現することができる請求項1〜7のいずれかに記載のベクター。
【請求項9】
ある蛋白質のコード領域のカルボキシ末端側に、第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列を持ち、そのうち前記蛋白質のコード領域に近い側の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、前記蛋白質のコード領域に遠い側の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まない請求項8記載のベクター。
【請求項10】
グルタチオンSトランスフェラーゼのコード領域を含んでおり、蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードする外来遺伝子を組み込んだときに、前記外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをグルタチオンSトランスフェラーゼと結合した融合蛋白質の形態で発現することができる請求項8または9記載のベクター。
【請求項11】
グルタチオンSトランスフェラーゼが哺乳類、ジストマジャポニクスまたは大腸菌に由来する請求項10記載のベクター。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のベクターを第一の制限酵素で処理することにより得られる二本鎖DNAからなる開環状ベクター。
【請求項13】
請求項1記載のベクターを第一の制限酵素で処理したものに順方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現しないが、逆方向で挿入された場合には第二の制限酵素の切断認識配列が出現するように設計された配列を含む外来遺伝子を請求項1記載のベクターに組み込んだ組換えベクター。
【請求項14】
請求項1記載のベクターを第一の制限酵素で処理したものに外来遺伝子が順方向で挿入された請求項13記載の組換えベクター。
【請求項15】
外来遺伝子が蛋白質及び/又は蛋白質ドメインをコードする請求項13または14記載の組換えベクター。
【請求項16】
請求項13記載の組換えベクターを含む形質転換体またはその子孫。
【請求項17】
第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列であって、そのうち一方の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、他方の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まない前記の2つの切断認識配列を含む二本鎖DNAをプラスミド、ファージ、コスミド、P1ベクター、細菌人工染色体ベクターまたは酵母人工染色体ベクターのマルチクローニングサイトに導入することを含む、請求項1記載のベクターの製造方法。
【請求項18】
第一の制限酵素によって認識される塩基配列の異なる2つの切断認識配列であって、そのうち一方の切断認識配列は第一の制限酵素とは異なる第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含むが、他方の切断認識配列は前記の第二の制限酵素によって認識される切断認識配列の一部を含まない前記の2つの切断認識配列を含む二本鎖DNA。
【請求項19】
請求項1記載のベクターを用いて、外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインを製造する方法。
【請求項20】
請求項1記載のベクターを用いて、外来遺伝子がベクターに逆方向で挿入された組換えベクターを開環させ、外来遺伝子がベクターに順方向で挿入された組換えベクターを閉環したままの状態で残す方法。
【請求項21】
請求項1記載のベクターを用いて、外来遺伝子がコードする蛋白質及び/又は蛋白質ドメインの発現量及び/又は溶解度を試験する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【国際公開番号】WO2005/021747
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【発行日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513504(P2005−513504)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012523
【国際出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(505155528)公立大学法人横浜市立大学 (101)
【Fターム(参考)】