説明

新規骨無機代替物

【課題】X線造影剤を含み、生体吸収可能な新規骨代替物の提供。
【解決手段】本発明は、少なくとも一つのセラミック及び少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤を含む人工の骨無機代替物に関するものである。本発明は、さらに水性液体を含むそれを作るための組成物並びにX線造影剤として組成物を使用することに関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工の骨無機代替物、並びに改良された放射線不透過性を有する人口の骨無機代替物のための組成物に関する。また本発明は、人工の骨無機代替物をX線造影剤として使用することに関する。
【0002】
世界の人々の寿命はこの50年間に恐ろしく延長した。われわれ人類はこれまでになく長寿となっている。ヨーロッパにおいては次の10年で20歳未満の人口よりも60歳を超える人口のほうが多くなると予想されている。加齢に伴う病気のために医療の助けが必要な人々が多くなるであろうし、これが病院に対する圧力を増大するであろう。
【0003】
骨は血液に次いで二番目に多く移植される物質である。骨の欠損を修復するために最も信頼性のある方法は、自分の骨、すなわち体のほかの場所の骨を使用することである。自家移植片は、骨形成的なものである。すなわち骨の成長または修復に関係するいずれかの組織に由来し、またはそれらから構成される。しかし、移植片を採取した第二の手術部位で問題を生じることがある。このような追加の外傷を避けるために、同種移植、すなわち同種の個体間の骨移植を使用することができる。同種移植は自家移植よりは骨形成能力が低く、新しい骨を形成する速度は低い。また、吸収速度は大きく、免疫原性応答は大きく、受容者の血管形成は少ない。また、同種移植では、例えばHIV及び肝炎に感染する可能性があるのでウイルスの管理は必須である。同種移植片の使用は、現在骨移植及び骨欠損の修復のための最も一般的な方法である。
【0004】
自家移植片の使用に伴う問題や、ほとんどの病院における骨の限定的な供給により、骨の代替物として使用しうる物質に関する多くの研究が行われている。理想的な骨代替物は、生体適合性があり、針を通して注入可能であり、自ら固化し、骨を誘導し、再吸収されて新しい骨と置換するものである。
【0005】
注入できる骨移植片代替物は、骨粗鬆症の治療を改善することができる。骨粗鬆症は高齢者に発生する病気である。骨は生きた組織であり、新しい細胞が形成されそして一部の細胞は毎日死滅する。一年にわれわれの全骨格の10‐30%は再形成されている。骨粗鬆症では骨形成細胞(オステオブラスト)と骨吸収細胞(オステオクラスト)の間の平衡が崩れているために全骨格量が減少している。骨の吸収速度が骨の形成速度よりも大きいならば、全体として骨の減少を生じる。骨格は次第に弱くなり、ついには、転倒によるかまたは単に体の重さに耐えられなくなるために骨折を生じる。
【0006】
骨には2種類ある。即ち繊維柱状及び皮質である。骨の外層は通常密度が高く硬い皮質骨からなり、繊維柱状骨はより多孔質であり骨の内側に認められる。骨粗鬆症は最初に繊維柱状骨に影響を及ぼす。
【0007】
骨粗鬆症により発生する骨折は、治療が非常に厄介である。骨格は非常にもろく、ねじと板で固定するのが困難である。仮にねじでとめるのに成功しても、患者が動き始めると緩んでしまうことが多い。骨にねじをとめるために、ねじを挿入する前にドリルの穴に骨移植代替物を注入することができる。その結果、ねじの固定が改善され、少ない痛みで患者を早く回復させることができる。骨代替物の薄い層が使用された場合には、X線画像で観察するのは困難である。可視性を改善するために、物質に放射線造影剤を加えることが可能である。脊柱を固定するために、骨移植代替物を注入することができる。骨代替物が脊柱から漏れると、近くの組織及び神経を圧迫して、痛みを生じ、最終的には神経障害を生じる。
【0008】
脊柱を固定するために使用される物質の一つは、骨セメントであるポリメチルメタアクリレート(PMMA)である。PMMAは室温で硝子状の鎖状ポリマーである。PMMAは、眼内レンズ及びハードコンタクトレンズには優れた物質である。また、股関節で金属移植片を固定したり、欠損した頭蓋骨の再形成や脊椎形成のためにも使用される。PMMAは骨中に吸収されない。PMMAはいくつかの欠点を有している。例えば、PMMAは強い発熱を伴って固化するので、特にセメントが漏出した場合には、隣接する軟組織構造を痛める、すなわち、細胞死を生じる可能性がある。従って、PMMAはこのような用途には理想的な物質ではない。
【0009】
最近では、主に3種類の骨代替物が骨の修復に使用されている。即ちリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト及び硫酸カルシウムである。
【0010】
リン酸カルシウムは、その生物活性(すなわち生きた組織に作用し、あるいはその応答を生じさせる)のため、骨代替物として適している。骨に比べて耐疲労性が低いので、重量がかからない部分にのみ使用することができる。その吸収速度は比較的遅く、少なくとも6ヶ月である。
【0011】
リン酸カルシウムには異なる2種類の型のものがある。即ち室温において水溶液から沈殿により得られるCaP(低温CaP)と、熱反応により得られるCaP(高温CaP)である。医薬に使用されているリン酸カルシウムは、高温CaPであり、例えばα‐リン酸トリカルシウム(α‐TCP)及びヒドロキシアパタイト(HA)がある。低温CaPは、高温CaPの合成に使用される。
【0012】
リン酸トリカルシウム(Ca(PO)は、二つの形態で存在する。即ちα‐TCP及びβ‐TCPである。α‐TCPの結晶構造は単斜晶であり、カチオンの柱状形態からなっている。他方β‐TCPは菱面体晶構造を有する。β‐TCPは1180℃まで安定であり、α‐TCPは1180‐1470℃で安定である。α‐TCPはβ‐TCPを1180℃以上に加熱し、その構造を保って冷却することにより形成される。α‐TCPはβ‐TCPよりは不安定であり、水と混合することにより硬い物質、低カルシウムHAを形成する、式2.1参照。
3 Ca(PO)+HO → Ca(HPO)(PO)OH (1)
【0013】
ヒドロキシアパタイトは、最も安定なリン酸カルシウムであり、骨の主な非有機成分である。市販されている骨移植代替物のほとんどは、ヒドロキシアパタイトから作られている。HAは高度に結晶性であり、リン酸カルシウムの中では最も溶け難い。
【0014】
ヒドロキシアパタイト及びリン酸トリカルシウムは骨の欠損を充填するためにそしてインプラントコーティングとして最もよく使用されているリン酸カルシウムである。骨に比較して耐疲労性が低いので、体重がかからない部分にのみ使用することができる。その吸収速度は比較的遅く、6ヶ月から数年を要する。分解速度は、表面積を大きくしたり、結晶性及び結晶形成度を低くしたり、物質の結晶及び粒子の大きさを小さくすることにより、若干増加させることが可能である。早い吸収速度は、骨形成を促進するために望ましい。
【0015】
ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))は、骨の主な無機成分である。人工のHAは骨の天然HAに類似した化学的及び結晶学的構造を有し、そして30年以上にわたり骨置換物質として研究されてきた。HAは最も結晶性が高く、水溶液中で最も安定なCaPである。HAはpH4.2以上で最も溶け難いリン酸カルシウムである。これは、他のリン酸カルシウムがpH4.2以上で溶解し、沈降HAを形成し易いことを意味する。HAは生体適合性があり、骨形成性(osteogenic)ではないが骨を誘導する性質(osteocoductive properties)がある。市販されている骨代替物のほとんどはHAから作られている。それらは分解性であると考えられているが、その分解時間は非常に長い。最終的な圧縮強度は、どの型のHAが使用されたかによる。スプレードライHAが使用された場合には、圧縮強度は非常に低い。粉末の形と大きさも機械的強度に影響する。
【0016】
HAのいくつかの型が実験的に及び臨床的に使用されている。即ち、固体セラミックブロック、多孔質ブロック、並びに固体及び多孔質微粒子である。HAが主に使用されるのは、微粒子HAが使用されている口腔外科である。微粒子HAは、骨が成長してその場にそれらを固定する前に移植部位から微粒子が移動してしまうことがあるために、整形外科的応用には不都合である。多孔性HAブロックは頭蓋・顔面の再形成及び整形外科的適用に成功してはいるが、それを用いて形を造るのが困難を伴う。
【0017】
骨移植代替物としての硫酸カルシウムの研究は、1世紀以上も行われてきた。何人かの研究者は、一般的には焼石膏(PoP)として知られている、硫酸カルシウムヘミ水和物を使用した実験を報告している。この物質は体によく受容され、吸収速度は骨の内部成長速度よりも早く、焼石膏の機械的強度は低い。
【0018】
硫酸カルシウムへミ水和物は、α‐型及びβ‐型の二つの形態で存在する。α‐型は単斜結晶構造を有し、密で、整った形の透明で大きな一次粒子からなる。β‐型は菱面体晶構造を有し、極めて微小な結晶で構成される粗い二次粒子からなる。
【0019】
焼石膏は、硫酸カルシウム2水和物(ギプス)から脱水して作られる。反応2.2参照。ギプスを粉砕し、約75%の水が失われるまで加熱するとCaSO・1/2HOが得られる。焼石膏を水と混合すると、発熱反応を生じて産物としてギプスが得られ、これをギプスの再水和という。反応2.3参照。ギプスの構造は交互にCa2+に強く結合したSO2−イオンの層及び水分子のシートから成り立っている。

2(CaSO・2HO) → 2(CaSO・1/2HO)+3HO (2)
2(CaSO・1/2HO)+3HO → 2(CaSO・2HO)+熱 (3)
【0020】
もし硫酸カルシウム・2水和物が硫酸カルシウム・ヘミ水和物に加えられるならば、核形成時間がなくなるために固化時間は短縮されるであろう。結晶成長は直接硫酸カルシウム・2水和物上で開始できる。従って硫酸カルシウム・2水和物は促進剤として働く。
【0021】
リン酸水素二ナトリウム(NaHPO)は、リン酸カルシウム組成物の促進剤として使用される。NaHPOがセメント粉末に添加されると、(PO3−イオンはCa2+に結合し、沈殿速度を増加させるであろう。このことは固化時間の短縮化を付与するであろう。
【0022】
骨セメント、すなわちPMMAに種々の放射線造影物質を使用する研究が行われ、PMMA中の放射線造影剤の影響が検討されている。放射線造影剤である硫酸バリウム(BaSO)及び二酸化ジルコニウム(ZrO)は、通常、X線可視性を確保し、放射線画像評価を容易にするために、ポリメチルメタアクリライト(PMMA)に添加される。これらの二つの物質は、病的な骨吸収を生じるとか、関節腔に入った場合に関節表面に傷をつけるとか、ポリエチレン被膜の破片を増やすというような好ましくない副作用を持っている。そのうえ、骨代替物に混入された場合に、そのX線不透過骨代替物は脊椎から漏れて、神経障害を生じる可能性もある。
【0023】
そのようなセラミックの骨が時間と共に吸収されると、その後それは、他の組織と接触するであろう。金属形態の造影剤、二酸化ジルコニウム、または硫酸バリウムは、処置部位に残るか、または微粒子として他の器官、例えば肺に拡散され、且つ/または腎臓に運ばれ、そこに貯留するであろう。したがって、造影剤は血液に溶け、腎臓から主に尿として排泄されることが重要である。
【0024】
水溶性非イオン性X線造影剤が、重合化合物と共に使用されている。WO 99/62570では、そのような物質を、骨セメント、すなわち手術部位に隣接する表面を覆うプラスチック物質からの粒子放出を防ぐために使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、上記のような問題を排除するかまたは少なくするための、人工の骨無機代替物を提供することである。
【0026】
本発明のその他の目的は、現在の技術に比較して優れた放射生理効果を示す人工の骨無機代替物を提供することである。
【0027】
さらにその他の目的は、手術中における漏出検出能を改善した骨移植代替物を提供することである。
【0028】
本発明のその他の目的は、生体適合性のX線造影剤を含み、固化した後にその造影剤が注射部位から漏れても注射部位の近くに炎症を生じないため、例えば神経系に無毒の「安全な」セラミック移植片を得られる組成物を提供することである。
【0029】
さらにその他の目的は、使用に際して高粘度の欠点を示さず、現在の技術に比較して改善された流動特性を付与して遠い部位への注射を可能とする、組成物を供給することである。
【0030】
さらに本発明のその他の目的は、セラミック物質をX線造影剤の中に含める必要がない組成物を提供することである。
【0031】
さらに本発明のその他の目的は、骨の欠損及び骨折の治癒を追跡することができる組成物を提供することである。
【0032】
さらに本発明のその他の目的は、関節に関与する骨の欠損に適用することができる組成物を提供することである。
【0033】
これらの目的及び以下の既述から明らかになるその他の目的は、請求項に記述されている人工的骨無機代替物並びにそのための組成物により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明の組成物並びに本発明の骨無機代替物は、少なくとも一つのセラミック物質及び少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤を含む。組成物は注入可能であり、得られる人工骨は生体吸収性であることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】一定量の促進剤を含む硫酸カルシウムベースの組成物について注入時間とイオヘキソールの量との関係を示す。
【図2】リン酸カルシウムベースの組成物について注入時間とイオヘキソールの量との関係を示す。
【図3】液体/粉末比0.28のリン酸カルシウムベースの組成物について固化時間とイオヘキソールの量との関係を示す。
【0036】
適当な通常の水溶性非イオン性X線造影剤は、ヨード化された芳香族化合物であり、それは少なくともトリヨード置換されている芳香核を1または数個有している。そのような物質はUS 5,695,742に示されており、CAS(Chemical Abstract Service)登録番号31112-62-6(メトリザミド)、60166-93-0(イオパミドール)、78649-41-9(イオメプロール)、73334-07-3(イオプロミド)、877771-40-2(イオベルソール)、66108-95-0(イオヘキソール)、89797-00-2(イオペントール)、107793-72-6(イオキシラン)、99139-49-8(II-1)、75751-89-2(イオグラミド)、63941-73-1(イオグルコール)、63941-74-2(イオグルカミド)、56562-79-9(イオグルニド)、76984-84-0(MP-7011)、64965-50-0(MP-7012)、77111-65-0(MP-10007)、79944-49-3(VA-7-88)、79944-51-7(EP 033426にも示されている)、79211-10-2(イオシミド)、79211-34-0(イオシビドール)、103876-29-5(EP 0177414にも示されている)、141660-63-1(イオフラトール)、92339-11-2(イオジキサノール)、79770-24-4(イオトロール)、71767-13-0(イオタスール)、81045-33-2(イオデコール)、143200-04-8(WO 92/086にも示されている)、143199-77-3(WO 92/08691にも示されている)、143200-00-4(WO 92/08691にも示されている)、78341-84-1(US 4348377にも示されている)、122731-47-9(EP 0308364にも示されている)、122731-49-1(EP 0308364にも示されている)、99139-65-8(WO 85/01727にも示されている)、99139-62-5(WO 85/01727にも示されている)、及び78341-84-1(EP 0023992にも示されている)を含む。
【0037】
その他のそのような水溶性非イオン性X線造影剤は、US 5,447,711に示されており、イオトロラン、イオキサグレート、イオデシモール、及びイオザルコールを含む。その他の適する造影剤は、イオツサール、イオキシラン、及びイオフラトールである。
【0038】
望ましくは、水溶性非イオン性X線造影剤は、イオヘキソール、イオジキサノール、イオベルソール、イオパミドール、及びイオトロランのような低浸透圧性のものである。
【0039】
例えば、イオヘキソール(C1926)並びにその二量体であるイオジキサノールは、水溶性非イオン性X線造影剤として有効に使用することができる。これらの物質は骨形成に影響せず、骨において良い生体適合性を有している。これらは医療において異なる目的で使用されている。例えば、腎臓による血漿クリアランスを測定するために腎不全患者に使用することができる。
【0040】
従って、本発明の組成物並びに本発明の人工の骨無機代替物は、少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤、特にイオヘキソールまたはその二量体であるイオジキサノールを含む。本発明の組成物に使用する場合には、水溶性非イオン性X線造影剤は、その粉末組成物の全重量の2〜20重量%の濃度としなければならない。
【0041】
勿論、他の造影剤を本発明の人工の骨無機代替物質並びにその組成物に含めることもできる。
【0042】
適するセラミックは、硫酸カルシウム及びリン酸カルシウムである。
【0043】
リン酸カルシウムセラミックの例としては、α‐リン酸トリカルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジカルシウム2水和物、無水リン酸ジカルシウム、リン酸テトラカルシウム、β‐リン酸トリカルシウム、低カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸モノカルシウム1水和物、リン酸モノカルシウム、ピロリン酸カルシウム、沈降ヒドロキシアパタイト、炭酸リン灰石(dahlite)、リン酸オクタカルシウム、無晶形リン酸カルシウム、オキシアパタイト、及び炭酸アパタイトがある。
【0044】
リン酸カルシウムの適する型を下記表1に示す。
【表1】

【0045】
望ましくは、リン酸カルシウムは0.5及び2の間のCa/P比を有している。同様に、微粒子リン酸カルシウムはヒドロキシアパタイト(HA)、リン酸トリカルシウム(TCP)、またはそれらの混合物であることが望ましい。
【0046】
組成物中において、微粒子リン酸カルシウムは20μm未満、望ましくは10μm未満の粒子径でなければならない。
【0047】
硫酸カルシウムは、硫酸カルシウムα‐ヘミ水和物、硫酸カルシウムβ‐ヘミ水和物、または硫酸カルシウムβ‐2水和物とすることができる。
【0048】
炭酸カルシウムもセラミックとして使用することができる。
【0049】
人工の骨無機代替物のための本発明の組成物は、それ自身をX線造影剤として使用することができる。そのセラミック成分のX線造影能力を利用できるので、本発明の組成物により追加のX線効果が得られる。少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤を組成物中に加えると、X線に対して不透明な骨代替物質の元来のX線密度を増加させる。従って、本発明の人工の骨無機代替物のための組成物に、硫酸バリウム及び二酸化ジルコニウムのようなセラミック放射線造影剤を追加して添加する必要はない。そのような硬いセラミック粒子は、骨代替物から割れ落ちると、関節を傷つけるであろう。関節内で、物理的傷害を生じ、ついには炎症反応に至るであろう。
【0050】
従って、少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤を含む本発明の組成物は、関節の近くに注入することができ、生成する人工の骨無機代替物は関節に関与する骨の欠損に使用することができる。そのような適用としては、骨軟骨関節欠損並びに関節に関係する骨折または骨欠損の修復が含まれる。
【0051】
さらに、例えばヒトまたは動物体内に本発明の組成物を移植した後の治癒過程を追跡するために、このX線密度の二重の起源が利用される。少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤を含む人工の骨無機代替物は、骨が内部成長することによって置換され、水溶性物質は徐々に消失するであろう。この結果、X線密度は徐々に減少するので、これを監視することができる。
【0052】
治癒過程を促進するために、本発明の組成物に少なくとも一つの骨形成因子も含めるべきである。これに関連して、骨形成因子は、骨形成を増加させるかあるいは骨の分解を減少するかにより、骨の代謝に影響を及ぼす物質である。
【0053】
適する骨誘導(刺激及び/または促進)物質は、成長因子及びホルモンである。成長因子及びその誘導体は、局所で作用するもの、例えばBMPファミリー(骨誘導因子)が望ましい。また骨成長を促進するために自家成長因子を使用することも望ましい。
【0054】
そのような骨刺激化合物の例としては、副甲状腺ホルモン及びその誘導体、エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン、テストステロン、カルシトニン、ソマトメジン、並びにオキシトシンがある。
【0055】
エナメルマトリックスタンパクであるアメリン‐1、アメリン‐2及びアメロブラスチン並びにコレステロール低下化合物スタチンも、骨形成を誘導、刺激及び/または促進するために含むことができる。
【0056】
適する骨破壊阻害物質の例としては、ビホスフォナート、オステオカルシン、オステオネクチン及びそれらの誘導体であり、これらを本発明の組成物及びそれから生成する物質に含めることができる。
【0057】
また本発明の組成物は、少なくとも一つの促進剤を含むことができ、それは望ましくは硫酸カルシウム2水和物及び/またはリン酸水素二ナトリウムである。硫酸カルシウム2水和物を使用した場合には、組成物中の粉末成分の全重量の0.1〜10重量%の濃度でなければならない。
【0058】
望ましい注入可能な組成物は、微粒子硫酸カルシウムヘミ水和物、微粒子リン酸カルシウムを含む。また、その組成物は、促進剤として硫酸カルシウム2水和物及び任意にビタミンEを含むことができる。ビタミンEを含む場合には、組成物中の粉末成分の全重量の0.1〜10重量%の濃度でなければならない。
【0059】
同様に、本発明の組成物並びに生成した人工の骨無機代替物はさらに、カルシフェロール、カルシトリオール、並びに他のビタミンD及びその誘導体を含むことができる。これらの化合物は、カルシウム代謝及び体内の骨の石灰化の調節を補助したり、無機リンの利用に影響を及ぼす助けとなる。
【0060】
侵襲的外来生体物質に対して静止的または死滅的効果を持つ化合物を含めることもできる。そのような化合物には、天然抗生物質並びに半合成及び合成抗細菌化合物、抗ウイルス性化合物、抗菌化合物、及び抗寄生虫化合物が含まれる。
【0061】
細胞分裂抑制剤及びその他の化学療法物質も本発明の組成物並びに物質に含めることができる。
【0062】
少なくとも一つの粉末セラミックが、硫酸カルシウムへミ水和物と、ヒドロキシアパタイト及びβ‐リン酸トリカルシウムの少なくとも1つとである場合には、ヒドロキシアパタイト及びβ‐リン酸トリカルシウムの少なくとも1つは、本発明組成物の粉末成分の全重量の20〜60重量%の濃度を有する。
【0063】
少なくとも一つの粉末セラミックが、硫酸カルシウムへミ水和物と、α‐リン酸トリカルシウムとである場合には、硫酸カルシウムへミ水和物は、本発明の組成物の粉末成分の全重量のうち1〜30重量%の濃度を有し、α‐リン酸トリカルシウムは、本発明の組成物の粉末成分の全重量のうち50〜99重量%の濃度を有している。
【0064】
人工の骨無機代替物用のその他の注入可能な組成物としては同様に、リン酸テトラカルシウム(TTCP)及びヒドロキシアパタイト(HA);α‐リン酸トリカルシウム(TCP)及びリン酸テトラカルシウム;α‐リン酸トリカルシウム、リン酸テトラカルシウム、及びクエン酸;α‐リン酸トリカルシウム、リン酸テトラカルシウム、硫酸ジカルシウム2水和物(DCPD)、及びヒドロキシアパタイト;α‐リン酸トリカルシウム、リン酸ジカルシウム(DCP)、炭酸カルシウム、及びヒドロキシアパタイト;並びにヒドロキシアパタイトアクリル酸モノマーがある。
【0065】
水溶性非イオン性X線造影剤を含むことにより、骨無機代替物の強度は若干減少する。しかし、これはその水分含量を減らすことにより補うことができる。もっとも、本発明の人工的骨無機代替物は、高い強度を必要としないが高いX線造影機能が必要とされるような適応において使用することが望ましい。
【0066】
本発明の人工の骨無機代替物のその他の利点は、水溶性非イオン性X線造影剤が固体乾燥状態においても有効に機能することである。即ち、水溶性非イオン性X線造影剤は本発明の組成物並びに本発明の骨無機代替物中に混合され、そして均等にその中に分布する。
【0067】
望ましくは、水溶性非イオン性X線造影剤は乾燥粉末として乾燥硫酸塩成分の中に混合されるか、または組成物の水性液体中に溶解される。また、水性液体は、蒸留水であることが望ましい。
【0068】
本発明の組成物において、粉末成分と水性液体成分の比率、すなわち液体/粉末比、は0.1〜0.4ml/gである。
【0069】
本発明の、硫酸カルシウムヘミ水和物、リン酸カルシウム、及び水性液体を含む注射可能な組成物の望ましい態様において、水を組成物の乾燥硫酸塩またはリン酸塩成分と反応させることができる。これによりセラミック成分の結晶化を生じる。
【0070】
人工の骨無機代替物が体に吸収されると、血液中の水は、最終的に硫酸塩セラミックを溶解し、そして水溶性非イオン性X線造影剤が放出されて処理されるであろう。
【0071】
さらに、硫酸塩/リン酸塩または硫酸塩/ヒドロキシアパタイトの混合物中において、水溶性非イオン性X線造影剤は、骨無機代替物中に閉じ込められているので、わずかしか溶解しないであろう。
【0072】
例えば、ヒドロキシアパタイトと硫酸カルシウムを混合させると、ヒドロキシアパタイト単独よりは取り扱いやすい性質を持つ物質を生じる。混合物は、骨の欠損部に加圧により注入するかまたは手動で挿入することができる。ヒドロキシアパタイト微粒子は、最初は結合剤として働く焼石膏によりその場に固定される。焼石膏が吸収されると、骨の内部成長を助ける調節された多孔性を持ったマトリックスが得られる。もしヒドロキシアパタイトの量が少なくとも40%であるならば、固化反応の温度は低下し、これは焼石膏にヒドロキシアパタイトを加えるもう一つの理由である。
【0073】
従って、水溶性非イオン性X線造影剤を粉末として乾燥硫酸塩またはリン酸塩成分に加えることにより、その溶解を時間的に調節することができる。
【0074】
非常に粘性な骨基質が先行技術のものよりも容易に注入される、すなわち水溶性非イオン性X線造影剤を骨無機代替物用の組成物中に含む場合には優れた流体力学的な性質が得られる。
【実施例】
【0075】
本発明を、以下の実施例を参考に、さらに記述及び説明する。しかし、これらの実施例は、いずれの場合にも本発明を限定するものとして解釈すべきでないことは、注意すべきである。
【0076】
(実施例1)X線分析
X線可視性を、リン酸カルシウム及び硫酸カルシウムを含む組成物においてイオヘキソールの3種の異なる量について測定した。二つの異なる試験を実施した。一つの試験において、固化試験に使用した検体にX線をかけ、3検体の可視性を比較した。各物質について4検体を試験した。3試験について液体/粉末比は同じにした。他の試験では、ウシの脊椎にドリルで穴を開けた。穴は10mm直径と10mmの深さであった。シリンジを通して穴に物質を充填し、X線で分析した。種々の物質の可視性を、骨の可視性により比較した。X線装置を60kv及び40mAにセットした。同じ装置を両方の試験に使用した。表2は硫酸カルシウムヘミ水和物を含む組成物を示し、表3はリン酸カルシウムを含む組成物を示す。1−5に設定したアルミニウム段階を比較のために使用した、5は最低の可視性を表し、1は最高の可視性を表す。
【表2】


【表3】

【0077】
イオヘキソールまたはその二量体イオジキサノールのような放射線造影剤を加えることにより、X線による可視性は改善されることが認められた。10%のイオヘキソールの濃度はリン酸カルシウム及び硫酸カルシウムのいずれにおいても骨に対する可視性を有意に改善した。リン酸カルシウムと硫酸カルシウムの間に可視性の差は無かった。
【0078】
(実施例2)注入性試験
Instron 8511.20装置を使用した。各粉末の20gを蒸留水と混合し、2mm径の10mlシリンジに添加した。そのシリンジをInstron装置にセットし、10mm/minの一定速度で押圧した。ペーストを手で注入する場合に、最大の力は約120Nに相当する。注入時間は、粉末と液体を混合し始めてから力が120Nより大きくなるまでの時間として計算した。注入時間の最終的な値は、6回の試験の平均値として得た。臨床適用のためには、求められる注入時間は3から8分である。
【0079】
人工の骨無機代替物用の本発明の組成物を、注入可能なX線造影剤として使用することについて試験した。水溶性非イオン性X線造影剤を含む場合と含まない場合の造影剤の3検体を試験した、総注入時間並びにシリンジから排出された重量を測定した。結果を下記表4に示す。
【表4】

【0080】
造影剤の有用性、すなわち注入性は、水溶性非イオン性X線造影剤を混入することにより著しく増大した。
【0081】
さらに、注入時間の試験をした組成物を表5及び6に示す。表5には、注入時間を試験した硫酸カルシウムへミ水和物をベースとする組成物が示されている。表6は、リン酸カルシウムをベースとする対応組成物を示す。
【表5】


【表6】

【0082】
セラミックとして硫酸カルシウムヘミ水和物を使用した場合には、注入時間はイオヘキソールまたはその二量体イオジキサノールの量に依存することが認められた。同様にイオヘキソールの影響が検討され、一定量の促進剤の存在下に0,5及び10%のイオヘキソールが試験された。この試験により、イオヘキソールの量の増加に伴って注入時間が増加することが示された。図1.参照。
【0083】
さらに、セラミックとしてリン酸カルシウムを使用した場合にも、イオヘキソールは注入時間を増加することが示された。図2.参照。
【0084】
(実施例3)固化試験
固化の時間を測定するために、Gillmore針によるASTM標準試験法を使用した。Gillmore装置は異なる重量の二本の針から構成されている。最初の針は2.12±0.05mmの径及び113±0.5gの重量である。最後の針は1.06±0.05mmの径及び453.6±0.5gの重量である。
【0085】
試験検体を造るために、最初にイオヘキソールを蒸留水に溶解し、次いで粉末混合物に加える。イオヘキソールを含む粉末の10gを各試験に使用した。混合した後、ペーストを試験検体形成用の鋳型に入れる。固化開始時間及び固化終了時間は、二回の試験の平均値とした。この操作を6回繰り返した。示される結果は6回の試験の平均値である。
【0086】
固化開始時間は、骨代替物粉末に水が加えられた時点から最初の針が検体の表面にマークを残さなくなるまでの時間である。固化終了時間は、最終の針が表面にマークを残さなくなる程度にペーストが固化するのに要する時間である。
【0087】
PoP,HA及び促進剤を使用する場合には、HAの最終的な量は40重量%である。従って、HAの量はPoP及び促進剤と相対的な関係にある。0,5,10重量%のイオヘキソールを含む物質が試験される場合には、最初にイオヘキソールが計算され、次いで残部の40%がHAで例えば0.4重量%が促進剤、59.6重量%がPoPのものを使用する。試験された材料の組成を表7に示す。
【表7】

【0088】
硫酸カルシウムへミ水和物及びリン酸カルシウムを含む骨代替物の固化終了時間は望ましくは15分未満で無ければならない。
【0089】
固化時間はイオヘキソールの量に依存することが認められている;硫酸カルシウムヘミ水和物にイオヘキソールを加えると固化時間を延長する。さらに、促進剤の量を増やすと固化時間は短縮する。
【0090】
表7に示すような、液体/粉末比0.21を持つ種々の量の促進剤及びイオヘキソールを使用した固化試験の結果を下記表8に示す。
【表8】

【0091】
リン酸カルシウムにおいても、イオヘキソールが添加されると固化時間は延長する。イオヘキソールが増えれば増える程固化時間は長くなった。図3.参照。
【0092】
(実施例4)圧縮試験
圧縮強度は、材料が破壊せずに耐えうる最大負荷である。圧縮強度を測定するために、Instron 8511.20機械的試験装置を使用した。
【0093】
混合粉末及び水のペーストをPTFE鋳型に注入した。直径4mm及び高さ約8mmのシリンダー状検体16個を作成した。リン酸カルシウム検体を試験前に0.9%食塩液中に37℃で14日間保存した、一方硫酸カルシウムと混合した検体は空気中に48時間保存した。
【0094】
Instron装置の中で検体に垂直に1mm/minの速度で、破壊するまで、圧縮した。圧縮強度Cは、C=F/Aとして計算された、式中F=力(N)及びA=断面積(m)。最大力をFとして使用した。
【0095】
圧縮強度は促進剤の量には依存せず、リン酸カルシウムセラミックの圧縮強度は、イソへキソールが添加された場合に減少した。
【0096】
(実施例5)密度試験
生理食塩溶液中への材料の吸収を、種々の量のイオヘキソールまたはその二量体イオジキサノールを含むリン酸カルシウムについて検討した。イオヘキソールまたはその二量体イオジキサノールを含む材料は14日後に、それらを含まない材料よりも低い密度であった。これは、これらの化合物が水に吸収され、それらのいずれかが添加されるならば、多孔性は増加し、高い多孔性は骨の内部成長を促進することができる。
【0097】
(実施例6)走査電子顕微鏡分析
硫酸カルシウムを含む組成物については、イオヘキソールを添加した場合でも、構造の相違を見出すことはできなかった。
【0098】
硫酸カルシウム及びリン酸カルシウムにイオヘキソールまたはその二量体イオジキサノール添加することによる最も重要な利点は、X線可視性を改善することである。例えば、10%のイオヘキソールを添加することにより、脊柱または腰、またはその他の部位に注入した場合の漏れを検出する可能性を増大することができる。このようにして問題を回避することができる。注入時間の延長は、注入を容易にし、外科医に余裕を与える。固化時間の延長は、液体/粉末比または促進剤の量を変更することにより調節することができるので、問題ない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸カルシウムとリン酸カルシウムとを含む少なくとも一つのセラミックと、イオヘキソール、イオジキサノール、イオベルソール、イオパミドール、イオトロラン、メトリザミド、イオデシモール、イオグルコール、イオグルカミド、イオグルニド、イオグラミド、イオメプロール、イオペントール、イオプロミド、イオザルコール、イオシミド、イオツサール、イオキシラン、イオフロタール、及びイオデコールからなる群から選択される少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤とを含む、生体吸収性の人工の骨無機代替物。
【請求項2】
前記少なくとも一つのセラミックが、
硫酸カルシウムα‐ヘミ水和物、硫酸カルシウムβ‐へミ水和物、硫酸カルシウム2水和物からなる群から選択される硫酸カルシウム;及び
α‐リン酸トリカルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジカルシウム2水和物、無水リン酸ジカルシウム、リン酸テトラカルシウム、β‐リン酸トリカルシウム、低カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸モノカルシウムモノ水和物、リン酸モノカルシウム、ピロリン酸カルシウム、沈降ヒドロキシアパタイト、炭酸リン灰石(dahlite)、リン酸オクタカルシウム、無晶形リン酸カルシウム、オキシアパタイト、及び炭酸アパタイトからなる群から選択されるリン酸カルシウムを含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載の人工の骨無機代替物。
【請求項3】
さらに少なくとも一つの骨形成因子(osteogenic factor)を含む、請求項1又は2に記載の人工の骨無機代替物。
【請求項4】
硫酸カルシウムとリン酸カルシウムとを含む少なくとも一つの粉末セラミックと、イオヘキソール、イオジキサノール、イオベルソール、イオパミドール、イオトロラン、メトリザミド、イオデシモール、イオグルコール、イオグルカミド、イオグルニド、イオグラミド、イオメプロール、イオペントール、イオプロミド、イオザルコール、イオシミド、イオツサール、イオキシラン、イオフロタール、及びイオデコールからなる群から選択される少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤と、水性液体とを含む、生体吸収性の人工の骨無機代替物用組成物。
【請求項5】
前記少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤が、前記水性液体に溶解していることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤が、少なくとも一つの粉末セラミックと混合されている乾燥粉末であることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも一つのセラミックが、
硫酸カルシウムα‐ヘミ水和物、硫酸カルシウムβ‐へミ水和物、硫酸カルシウム2水和物からなる群から選択される硫酸カルシウム;及び
α‐リン酸トリカルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジカルシウム2水和物、無水リン酸ジカルシウム、リン酸テトラカルシウム、β‐リン酸トリカルシウム、低カルシウムヒドロキシアパタイト、リン酸モノカルシウムモノ水和物、リン酸モノカルシウム、ピロリン酸カルシウム、沈降ヒドロキシアパタイト、炭酸リン灰石(dahlite)、リン酸オクタカルシウム、無晶形リン酸カルシウム、オキシアパタイト、及び炭酸アパタイトからなる群から選択されるリン酸カルシウムを含む、
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも一つの粉末セラミックが、硫酸カルシウムヘミ水和物を含むことを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記硫酸カルシウムヘミ水和物が、硫酸カルシウムα‐ヘミ水和物である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも一つの粉末セラミックが、硫酸カルシウムへミ水和物並びにヒドロキシアパタイト及びβ‐リン酸トリカルシウムの少なくとも一つを含むことが特徴である請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記ヒドロキシアパタイト及びβ‐リン酸トリカルシウムの少なくとも一つが、粉末成分の全重量の20〜60重量%の濃度であることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも一つの粉末セラミックが、硫酸カルシウムヘミ水和物及びα‐リン酸トリカルシウムであることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
前記硫酸カルシウムヘミ水和物が、粉末成分の全重量の1〜30重量%の濃度であることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記α‐リン酸トリカルシウムが、粉末成分の全重量の50〜99重量%の濃度であることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
さらに少なくとも一つの促進剤を含み、該促進剤が硫酸カルシウム2水和物及び/またはリン酸水素2ナトリウムであることを特徴とする、請求項8〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記硫酸カルシウム2水和物が、粉末成分の全重量の0.1〜10重量%の濃度であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
さらにビタミンEを含む、請求項8〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記ビタミンEが、粉末成分の全重量の0.1〜10重量%の濃度であることを特徴とする、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤がイオヘキソールまたはその二量体イオジオキサノールであることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項20】
前記少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤が、粉末成分の全重量の2〜20重量%の濃度であることを特徴とする、請求項4又は19に記載の組成物。
【請求項21】
前記水性液体成分が、蒸留水であることを特徴とする、請求項4〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記粉末成分及び前記水性液体成分の比(液体/粉末比)が、0.1〜0.4ml/gであることを特徴とする、請求項4〜21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
さらに少なくとも一つの骨形成因子を含む、請求項4〜22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
X線造影のための、請求項4〜23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
骨の欠損及び骨折の治癒を監視するための、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
関節に近接して適用される、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
硫酸カルシウムとリン酸カルシウムとを含む少なくとも一つの粉末セラミック組成物と、イオヘキソール、イオジキサノール、イオベルソール、イオパミドール、イオトロラン、メトリザミド、イオデシモール、イオグルコール、イオグルカミド、イオグルニド、イオグラミド、イオメプロール、イオペントール、イオプロミド、イオザルコール、イオシミド、イオツサール、イオキシラン、イオフロタール、及びイオデコールから選択される水性液体に溶解した少なくとも一つの水溶性非イオン性X線造影剤とを含む、生体吸収性の人工の骨無機代替物調製用キット。
【請求項28】
前記粉末セラミック組成物と前記水性液体組成物に溶解した水溶性非イオン性X線造影剤とを混合した後、前記人工の骨無機代替物が15分未満で固化する、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
前記硫酸カルシウムヘミ水和物と前記少なくとも一つの促進剤とが、水溶性非イオン性X線造影剤以外の乾燥粉体組成物の総重量の60重量%の量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項30】
前記ハイドロキシアパタイトが、水溶性非イオン性X線造影剤以外の乾燥粉体組成物の総重量の40重量%、前記硫酸カルシウムヘミ水和物が、水溶性非イオン性X線造影剤以外の乾燥粉体組成物の総重量の58.8〜59.6重量%で存在する、請求項10に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−87973(P2011−87973A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19350(P2011−19350)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【分割の表示】特願2003−554244(P2003−554244)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(504235621)ボーン サポート アクチボラゲット (4)
【Fターム(参考)】