説明

施工治具、仮構築ユニット及び建物の施工方法

【課題】離し置きされた複数の建物ユニットの間に中間構造部が設けられる建物において、その中間構造部を構築する上でその施工作業性の向上を図ることができる施工治具、仮構築ユニット及び建物の施工方法を提供する。
【解決手段】柱状治具50は、床ユニットの柱レス仕口に連結される連結孔部68を有する下柱51と、床ユニット32の柱レス仕口又は支持梁に連結される連結孔部69を有する上柱52とを備え、これら各柱51,52は各々の連結端部とは反対側の部分を少なくとも一部重ね合わせた状態で設けられている。そして、これら各柱51,52の重なり代が調整されることにより柱状治具50が伸縮可能とされており、その伸長状態において、所定の高さ関係で設置された状態にある床ユニット及び第2構造体を上下に連結できる長さを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物の施工に用いられる施工治具、その施工治具を用いて構築される仮構築ユニット、及びその施工治具を用いて建物を施工する建物の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の建物ユニットからなるユニット式建物において、建物の設計自由度を高める等の目的から複数の建物ユニットを離し置きにする構成が一部で実用化されている。かかる構成では、建物としてユニット数の削減を図ることができる、建物ユニットが離し置きされた中間スペースを設計自由度の高い空間として用いることができる等のメリットが得られる。この場合、複数の建物ユニットを離し置きし、その間に、建物ユニットとは異なる構造部(中間構造部)を形成して居室等を設けることが考えられる。
【0003】
ところで、中間構造部に床部を構築するための構成としては、離し置きした各建物ユニットの間に床パネルを設置する構成が考えられる(例えば、特許文献1参照)。例えば上階部分と下階部分とからなる建物においては、離し置きされた下階ユニットの間に下階の床パネルを基礎上に載置することにより設置し、離し置きされた上階ユニットの間に上階の床パネルを各上階ユニット間に架け渡すことにより設置することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−133118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記構成の建物において、中間構造部を構築する際には、下階床パネルを設置する作業と上階床パネルを設置する作業とを別々に行うこととなる。すなわち、各床パネルごとにそれぞれ、床パネルをクレーンにより吊り下げて離し置きされた各建物ユニット間に設置する作業を行うこととなる。これは、現場での施工作業性の面からすると望ましくないと思われる。
【0006】
特に、上階床パネルの設置に際しては、上階床パネルをクレーンにより吊り下げて所定の設置位置まで移動させた後、その吊り下げ状態のまま同パネルを建物ユニットに連結することが考えられる。この場合、上階床パネルが横揺れする等の不安定な状態での連結作業となる可能性があり、その作業性の面で懸念を残す。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、離し置きされた複数の建物ユニットの間に中間構造部が設けられる建物において、その中間構造部を構築する上でその施工作業性の向上を図ることができる施工治具、仮構築ユニット及び建物の施工方法を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の施工治具は、離し置きされた複数の建物ユニットを備え、それら各建物ユニットの間に形成された中間スペースに前記建物ユニットとは異なる構成の中間構造部が設けられ、前記中間構造部が、複数の床梁が仕口部を介して四辺に連結されてなる床ユニットを有する第1構造体と、前記第1構造体よりも上方に設けられ、天井部又は床部を構築するための第2構造体とを備えるユニット式の建物において、その建物の施工に用いられる施工治具であって、長尺状をなし、一端側に前記第1構造体の前記床ユニットに連結される第1連結端部を有するとともに、他端側に前記第2構造体に連結される第2連結端部を有する治具本体を備え、前記治具本体は、伸縮可能であり、その伸長状態において、前記中間構造部として所定の高さ関係で設置された状態にある前記床ユニット及び前記第2構造体を上下に連結できる長さを有していることを特徴とする。
【0009】
上記構成の施工治具によれば、第1構造体の床ユニットと第2構造体とを治具本体により上下に連結することで、床ユニットと第2構造体とが一体化されてなる仮構築ユニットを形成できる。治具本体は伸縮可能とされているため、治具本体を縮めた状態で仮構築ユニットを形成することにより、床ユニットに対する第2構造体の高さ位置を、中間構造部での設置状態における同高さ位置よりも低くした状態で、床ユニットと第2構造体とを一体化できる。そのため、製造工場においてかかる高さ状態で仮構築ユニットを仮構築することで、床ユニットと第2構造体とをユニット状態で一括に施工現場へ搬送できる。
【0010】
施工現場では、仮構築ユニットを離し置きされた複数の建物ユニット間に設置することで、床ユニット及び第2構造体をそれら各建物ユニット間にまとめて配置できる。また、その後、各治具本体を伸長させることで、第2構造体を容易に所定の設置高さに移動(上昇)させることができる。これにより、床ユニット及び第2構造体の設置に際して作業性を高めることができ、その結果、中間構造部を構築する上での施工作業性の改善を図ることができる。
【0011】
第2の発明の施工治具は、第1の発明において、前記治具本体は、前記第1連結端部を有する第1柱状部材と、前記第2連結端部を有する第2柱状部材とを備え、前記第1柱状部材と前記第2柱状部材とは、各々の連結端部とは反対側の部分を少なくとも一部重ね合わせた状態で設けられており、それら各柱状部材の重なり代を調整することにより、前記治具本体が伸縮可能とされていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、第1柱状部材と第2柱状部材とが重なり合う重なり代が調整されることにより、治具本体が伸縮される構成となっている。かかる構成では、治具本体の伸縮に際し、各柱状部材が少なくとも一部重なり合っており、第2柱状部材が第1柱状部材に対して水平方向に位置ずれするのが抑制されている。そのため、第2柱状部材を第1柱状部材に対し上方にスライドさせ治具本体を伸長させることで、第2構造体を所定の高さ位置に移動させる際、第2構造体が水平方向に位置ずれするのを抑制できる。したがって、上記の構成は、離し置きされた各建物ユニット間において第2構造体を移動させるに際し好都合な構成であるといえる。
【0013】
また、かかる構成では、例えば第2構造体をクレーンにより吊り下げて所定の高さ位置まで移動させた後、その吊り下げ状態のまま第2構造体を建物ユニットに連結する際にも、第2構造体が横揺れするのを抑制できる。そのため、第2構造体を建物ユニットに連結する作業においてもその作業性を高めることができる。よって、この場合、第2構造体の設置作業を容易とすることができる。
【0014】
第3の発明の施工治具は、第1又は第2の発明において、前記第1柱状部材及び前記第2柱状部材はそれぞれL字状の断面を有して形成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、治具本体において第1柱状部材と第2柱状部材とが共にL字状に形成されているため、それら各柱状部材を互いに重ね合わせることができ、ひいては複数の治具本体の各柱状部材を互いに重ね合わせることができる。この場合、複数の治具本体をコンパクトに保管することができ、保管スペースの削減を図ることができる。特に、本施工治具は使い回しを前提としての使用が想定されるため、施工治具を保管する頻度が多くなると考えられ、その点を鑑みても上記の構成は実用上好ましい構成であるといえる。
【0016】
第4の発明の施工治具は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記所定の高さ関係で設置された前記床ユニット及び前記第2構造体を連結可能な長さに前記治具本体を伸長させた状態で、その長さ状態を保持する保持手段を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、治具本体を伸長させて第2構造体を所定の設置高さまで移動させた後、その長さ状態に治具本体を保持できる。そのため、第2構造体を治具本体により所定の設置高さで支持することが可能となり、かかる支持状態で第2構造体を建物ユニットに連結することができる。治具本体による第2構造体の支持状態では、クレーンによる第2構造体の支持状態よりも、第2構造体を安定した状態で支持できるため、第2構造体の連結作業について作業性を高めることができる。
【0018】
第5の発明の仮構築ユニットは、第1乃至第4のいずれかの発明の施工治具を用い、仮構築される仮構築ユニットであり、前記第1構造体の床ユニットと、前記第2構造体と、前記床ユニットと前記第2構造体との間に設けられた複数の前記施工治具と、を備え、前記各施工治具の治具本体はそれぞれ前記第1連結端部が前記床ユニットの仕口部に連結され、前記第2連結端部が前記第2構造体に連結されていることを特徴とする。
【0019】
上記構成の仮構築ユニットによれば、治具本体を縮めることで、床ユニットに対する第2構造体の高さ位置を、中間構造部での設置状態における同高さ位置よりも低くできる。そのため、製造工場において治具本体を縮めた状態で仮構築ユニットを仮構築することで、床ユニットと第2構造体とをユニット状態で一括に施工現場へ搬送できる。施工現場では、仮構築ユニットを離し置きされた複数の建物ユニット間に設置することで、床ユニット及び第2構造体を各建物ユニット間にまとめて配置できる。そして、その後、各治具本体を伸長させることで、第2構造体を所定の設置高さに容易に移動(上昇)させることができる。これにより、床ユニット及び第2構造体の設置に際し作業性を高めることができ、中間構造部を構築する上での施工作業性の改善を図ることができる。
【0020】
第6の発明の仮構築ユニットは、第5の発明において、前記第2構造体は、前記離し置きされた各建物ユニットに連結され、前記天井部の構造体となる複数の天井構造体であり、それら各天井構造体にそれぞれ前記施工治具の第2連結端部が連結されており、前記床ユニットの各仕口部と同じ位置関係となるように配置され前記各天井構造体にそれぞれ連結される複数の連結部と、それら各連結部をつなぐフレーム部と、該フレーム部に設けられ吊下装置により吊り下げ支持される被支持部とを有する吊下用治具を備え、前記吊下用治具の各連結部がそれぞれ前記各天井構造体に連結されていることを特徴とする。
【0021】
上記構成の仮構築ユニットによれば、各施工治具(治具本体)の第2連結端部にそれぞれ連結されている複数の天井構造体が吊下用治具により互いに連結されているため、同ユニットの施工現場への搬送時に、各天井構造体が揺れ動き荷台の壁に当たる等の不都合を抑制できる。施工現場では、吊下用治具の被支持部をクレーン等の吊下装置により吊り下げた状態で、仮構築ユニットが離し置きされた複数の建物ユニット間に設置される。設置後、吊下用治具が吊下装置により吊り上げられることにより、各治具本体がそれぞれ伸長され、それに伴い各天井構造体がそれぞれ所定の設置高さに移動(上昇)される。この場合、複数の天井構造体を一挙に所定の高さ位置に移動させることが可能となる。また、各天井構造体をそれぞれ同じ高さ位置に移動(上昇)できるため、各天井構造体を建物ユニットに連結する際、各天井構造体の高さ位置を調整する等の面倒な作業を不要とできる。よって、この場合、複数の天井構造体の設置作業を容易とすることができる。
【0022】
第7の発明の仮構築ユニットは、第5又は第6の発明において、前記施工治具の治具本体は、前記第1連結端部を有する第1柱状部材と、前記第2連結端部を有する第2柱状部材とを備え、前記第1柱状部材と前記第2柱状部材とは、各々の連結端部とは反対側の部分を少なくとも一部重ね合わせた状態で設けられ、それら各柱状部材の重なり代を調整することで前記治具本体が伸縮可能とされており、前記各施工治具の各々の治具本体において、前記第1柱状部材の第1連結端部が前記床ユニットの仕口部に連結され、前記第2柱状部材の第2連結端部が前記第2構造体に連結されており、前記複数の施工治具は、前記床ユニットにおいて前記離し置きされた各建物ユニットに沿って延びる一対の床梁にそれぞれ連結される施工治具を含み、前記一対の床梁に連結されている各施工治具の治具本体は、前記中間スペースにおける前記離し置き方向の中央部に対して、前記第1柱状部材が外側、前記第2柱状部材が内側となるように互いに重ねられている、又は、前記第1柱状部材が内側、前記第2柱状部材が外側となるように互いに重ねられているものであることを特徴とする。
【0023】
本発明の仮構築ユニットが、離し置きされた各建物ユニット間に設置された状態では、床ユニットにおいてそれら各建物ユニットに沿って延びる一対の床梁にそれぞれ施工治具が連結されており、それら各施工治具の治具本体では、中間スペースにおける離し置き方向中央部に対し、第1柱状部材が外側、第2柱状部材が内側となるように互いに重ねられているか、又は、第1柱状部材が内側、第2柱状部材が外側となるように互いに重ねられている。この場合、床ユニット側に連結された第1柱状部材に対する、第2構造体側に連結された第2柱状部材の移動、詳しくは、ユニット離し置き方向における移動が規制されている。したがって、離し置きされた建物ユニット間の狭小空間において、床ユニットに対して第2構造体を移動させる(第2構造体を上昇させる)に際し、第2構造体が建物ユニットに衝突する等の不都合を抑制できる。
【0024】
第8の発明の建物の施工方法は、第1乃至第4のいずれかの施工治具を用いてユニット式の建物を施工する建物の施工方法であり、前記床ユニットの各仕口部ごとにそれぞれ前記施工治具を配置し、それら各施工治具についてそれぞれ前記治具本体を縮めた状態で、前記第1連結端部を前記床ユニットの仕口部に連結し、前記第2連結端部を前記第2構造体に連結して、仮構築ユニットを仮構築する仮構築工程と、前記仮構築ユニットを施工現場へ搬送する搬送工程と、前記施工現場に搬送された前記仮構築ユニットを、前記離し置きされた各建物ユニットの間に、基礎上に載置した状態で設置する設置工程と、前記各施工治具の治具本体を伸長させることにより、前記第2構造体を所定の設置高さに移動させる移動工程と、前記所定の設置高さに移動した前記第2構造体を前記仮構築ユニットに隣接して設けられた前記建物ユニットに連結する連結工程と、前記床ユニットの仕口部に対する前記第1連結端部の連結を解除するとともに、前記第2構造体に対する前記第2連結端部の連結を解除して、前記各施工治具を取り外す取り外し工程と、を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、製造工場において、施工治具の治具本体が縮められた状態とされ、同状態とされた治具本体により床ユニットの仕口部と第2構造体とが連結される。これにより仮構築ユニットが仮構築され、その後、同ユニットは施工現場に搬送される。かかる仮構築ユニットでは、床ユニットに対する第2構造体の高さ位置が、中間構造部での設置状態における同高さ位置よりも低くされているため、床ユニットと第2構造体とを一括して施工現場へ搬送できる。
【0026】
施工現場に搬送された仮構築ユニットは離し置きされた複数の建物ユニット間に設置される。この場合、床ユニット及び第2構造体を各建物ユニット間にまとめて配置できる。その後、各治具本体が伸長されることにより、第2構造体が所定の設置高さに移動(上昇)される。この場合、第2構造体を簡易な作業で所定の設置位置まで移動できる。その後、各施工治具が仮構築ユニットから取り外され、床ユニット及び第2構造体の設置作業が完了する。以上より、床ユニット及び第2構造体の設置に際し作業性を高めることができ、中間構造部を構築する上での施工作業性の改善を図ることができる。
【0027】
第9の発明の建物の施工方法は、第8の発明において、前記第2構造体は、前記離し置きされた各建物ユニットに連結され、前記天井部の構造体となる複数の天井構造体であり、前記床ユニットの各仕口部と同じ位置関係となるように配置され前記各天井構造体にそれぞれ連結される複数の連結部と、それら各連結部をつなぐフレーム部と、該フレーム部に設けられ吊下装置により吊り下げ支持される被支持部とを有する吊下用治具を用いてユニット式の建物を施工する建物の施工方法であり、前記仮構築工程では、前記各施工治具についてそれぞれ前記治具本体を縮めた状態で、前記第1連結端部を前記床ユニットの仕口部に連結し、前記第2連結端部を前記天井構造体に連結する工程と、前記各天井構造体に前記吊下用治具の各連結部を連結する工程とを行うことで仮構築ユニットを仮構築し、前記設置工程では、前記施工現場に搬送された前記仮構築ユニットを、前記吊下装置により前記吊下用治具の被支持部を吊り下げた状態で、前記離し置きされた各建物ユニット間に設置し、前記移動工程では、前記吊下装置により前記吊下用治具を吊り上げることで、前記各施工治具の治具本体を伸長させ、該伸長により前記各天井構造体をそれぞれ所定の設置高さに移動させ、前記連結工程では、前記所定の設置高さに移動した前記各天井構造体をそれぞれ前記建物ユニットに連結することを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、製造工場において、各施工治具についてそれぞれ治具本体が縮めた状態とされ、同状態とされた治具本体により床ユニットの仕口部と天井構造体とが連結される。そして、吊下用治具の各連結部がそれぞれ各天井構造体に連結される。これにより、仮構築ユニットが仮構築される。その後、仮構築ユニットが施工現場に搬送される。この場合、第6の発明と同様、搬送時に各天井構造体が揺れ動き荷台の壁に当たる等の不都合を抑制できる。
【0029】
施工現場では、吊下用治具が吊下装置により吊り下げられた状態で仮構築ユニットが離し置きされた各建物ユニット間に設置される。その後、吊下用治具が吊下装置により吊り上げられることで各治具本体が伸長され、それに伴い各天井構造体が所定の設置高さに移動(上昇)される。この場合、複数の天井構造体を一挙に所定の高さ位置まで移動させることができる。また、この場合、各天井構造体をそれぞれ同じ高さ位置に移動できるため、各天井構造体を建物ユニットに連結する際、各天井構造体の高さ位置を調整する等の面倒な作業を不要とできる。その後、各施工治具及び吊下用治具が仮構築ユニットから取り外されて、一連の設置作業が完了する。この場合、複数の天井構造体の設置作業を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】建物の概要を示す斜視図。
【図2】建物ユニットの構成を示す斜視図。
【図3】建物本体の躯体をユニット妻面側から見た正面図。
【図4】床ユニットの構成を示す斜視図。
【図5】仮構築ユニットの構成を示す斜視図。
【図6】柱状治具の構成を示す図であり、(a)が正面図、(b)が縦断面図。
【図7】柱状治具の各長さ状態を示す正面図であり、(a)が柱状治具の治具収縮状態を示し、(b)が治具伸長状態を示す。
【図8】柱状治具が床ユニット及び支持梁と連結されている連結部の構成を示す正面図。
【図9】仮構築ユニットの四隅に配設された各柱状治具の設置向きを概略的に示す平面図。
【図10】建物における中間構造部の施工手順を説明するための説明図。
【図11】仮構築ユニットの別形態を示す斜視図。
【図12】仮構築ユニットの別形態を示す斜視図。
【図13】仮構築ユニットの別形態を示す斜視図。
【図14】仮構築ユニットの別形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態における建物の概要を示す斜視図である。
【0032】
建物10は、複数の建物ユニットからなる2階建てユニット式建物として構築されており、特にユニット離隔配置工法を用いたものとなっている。建物10は、基礎11上に固定された建物本体12と、建物本体12の上方に設置された屋根13とを有して構成されている。建物本体12は、建物一側面(例えば正面)から見て左右に離し置きされた2つの建物ユニット群からなるユニット構造部X1,X2と、そのユニット構造部X1,X2の間の中間スペースに設けられた中間構造部X3とを有しており、これらの構造部X1〜X3により居室や廊下等の建物内空間が設けられている。本実施形態では、各ユニット構造部X1,X2の建物ユニット群がそれぞれ4体ずつの建物ユニット20で構築されている。また、中間構造部X3には建物ユニット20が設置されておらず、中間構造部X3は、ユニット構造部X1,X2の建物ユニット20を利用して、具体的には中間構造部X3を挟んで対向する建物ユニット20に各種建材を架け渡して構築されている。図示の構成では、建物ユニット20がその短手方向(妻方向)に1ユニット分離間して離し置きされており、これにより、中間構造部X3が建物ユニット20の短辺側(妻面側)の幅とほぼ同じ幅で形成されている。
【0033】
本実施形態の建物10では、計8体の建物ユニット20を用いて建物本体12が構築されているが、実質的には10体の建物ユニット20により構築された場合と同等の大きさの建物内空間が確保されるものとなっている。つまり、一般的なユニット式建物の場合、各建物ユニットが隣接し合う状態で互いに結合され、居室や廊下等の建物内空間は概ね全て建物ユニット内に設けられるが、本実施形態の建物10では、建物ユニットそのものにより形成される建物内空間以外に、複数の建物ユニットで挟まれる部分にも建物内空間が形成されている。なお、ユニット構造部X1,X2のユニット個数は任意である。
【0034】
屋根13は寄せ棟式の屋根であり、各構造部X1〜X3に跨り、かつ建物本体12の全体を覆うようにして設置されている。ただし、屋根13は切り妻式の屋根や平屋根であってもよい。
【0035】
なお、以下の説明では便宜上、一階部分の建物ユニット20を「下階ユニット20A」、二階部分の建物ユニット20を「上階ユニット20B」とも称する。
【0036】
建物ユニット20の構成を図2を用いて説明する。建物ユニット20は、その四隅に配設される4本の柱21と、各柱21の上端部及び下端部をそれぞれ連結する各4本の天井大梁22及び床大梁23とを備える。そして、それら柱21、天井大梁22及び床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして、すなわち溝部をユニット内側に向けるようにして設置されている。
【0037】
より詳しくは、柱21は、柱本体21aと、その上下に連結された天井仕口21b及び床仕口21cとからなり、天井仕口21bの二方の仕口面に天井大梁22がそれぞれ連結され、床仕口21cの二方の仕口面に床大梁23がそれぞれ連結されている。柱本体21aと各仕口21b,21cとは、同じ断面構造を有する角形鋼が溶接により連結されて構成されている。
【0038】
建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されて固定されている。同じく建物ユニット20の長辺部(桁部)の相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されて固定されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔でかつ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23に水平に設けられている。例えば、天井小梁25はリップ溝形鋼よりなり、床小梁26は角形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材27が支持され、床小梁26によって床面材28が支持されている。
【0039】
次に、中間構造部X3の構成を図3に基づいて説明する。なお、図3は建物本体の躯体をユニット妻面側から見た正面図である。
【0040】
図3に示すように、中間構造部X3には、その天井部を構築するための中間天井梁ユニット31と、床部を構築するための床ユニット32とが設けられている。
【0041】
中間天井梁ユニット31は、中間構造部X3を挟んで対向する2つの建物ユニット20の間に架け渡して設けられており、一階天井部と二階天井部とには同様の構成の中間天井梁ユニット31が設けられている。中間天井梁ユニット31は、離し置きされた両建物ユニット20の天井仕口21bにそれぞれ連結された、支持部材としての片持ち状(キャンチ構造)の支持梁33と、一対の支持梁33の間に設けられる中間天井梁34とを有して構成されている。支持梁33と中間天井梁34とはそれぞれ建物ユニット20の天井大梁22と同じ溝形鋼により構成されており、これら各梁33,34は互いに図示しない連結プレートを介して連結されている。また、支持梁33において天井仕口21b側の端部には、端面プレート43(図5及び図8参照)が溶接により固定されており、その端面プレート43が天井仕口21bに対してボルトにより固定されている。なおここで、支持梁33が天井構造体に相当する。また、以下の説明では便宜上、一階天井部の支持梁33を「下階支持梁33A」、二階天井部の支持梁33を「上階支持梁33B」とも称する。
【0042】
床ユニット32は、矩形形状に形成されており、一階床部と二階床部とには同様の構成の床ユニット32が設けられている。一階床部分では、基礎11の天端上に載置された状態で床ユニット32が設置されている。また、二階床部分では、中間天井梁ユニット31の上に載置された状態で床ユニット32が設置されている。なお、以下の説明では便宜上、一階床部の床ユニット32を「下階床ユニット32A」、二階床部の床ユニット32を「上階床ユニット32B」とも称する。
【0043】
続いて、床ユニット32の構成を図4に基づいて説明する。なお、図4は床ユニット32の構成を示す斜視図である。
【0044】
図4に示すように、床ユニット32は、当該床ユニット32の土台を構築する床フレーム35と、その上面に設けられる床下地面材36とを備える。床フレーム35は、基本的に上述した建物ユニット20の床部と同様の構成を有するものであり、矩形フレーム状に形成されている。床フレーム35は、その四隅に配設される4本の柱レス仕口37と、各柱レス仕口37をそれぞれ連結する4本の床フレーム大梁38とを備える。そして、それら柱レス仕口37と床フレーム大梁38とにより矩形状のフレーム本体が形成され、その長辺部(桁部)の相対する床フレーム大梁38の間に所定間隔で複数の床フレーム小梁39が架け渡されて固定されている。床フレーム大梁38及び床フレーム小梁39は建物ユニット20のそれと同じ構成を有する。すなわち、床フレーム大梁38は床大梁23と同じ溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。床フレーム小梁39は床小梁26と同じ角形鋼よりなり、その床小梁26と同じピッチで設置されている。
【0045】
床フレーム35の構成を建物ユニット20の床部の構成と対比すると、その違いは、床仕口21cの代わりに柱レス仕口37が設けられる点である。柱レス仕口37は、2つの床フレーム大梁38を接合するための2つの仕口板部37aと、その上端部及び下端部にそれぞれ対向して設けられた上板部37b及び下板部37cとを有する。2つの仕口板部37aは端部同士が直角に接合され、その頂部をユニット内側に向けて配置されている。また、上板部37bには、後述する柱状治具50を柱レス仕口37に連結する際に用いられる連結孔部41が設けられている。この連結孔部41の内周面にはめねじ(図示略)が形成されており、後述する連結ボルト73を螺合させることが可能となっている。
【0046】
床下地面材36は、例えばパーティクルボードよりなり、床フレーム35と略同じ大きさ(縦横寸法)で形成されている。床下地面材36は、床フレーム35上に載置された状態で同フレーム35にビス等で固定されている。
【0047】
図3の説明に戻り、床ユニット32は、上述したように中間構造部X3において上下階にそれぞれ設置されており、かかる設置状態において下階床ユニット32Aの各柱レス仕口37がそれぞれ各下階支持梁33Aの下方に配置され、上階床ユニット32Bの各柱レス仕口37がそれぞれ各上階支持梁33Bの下方に配置されている。また、上階床ユニット32Bは、各柱レス仕口37がそれぞれ下階支持梁33A上に載置された状態で設置されている。そして、かかる設置状態において、柱レス仕口37(詳しくは下板部37c)の下面が下階支持梁33Aに対して溶接により固定されており、これにより上階床ユニット32Bが下階支持梁33Aを介して下階ユニット20Aの天井仕口21bに連結されている。
【0048】
ところで、本実施形態では、建物10において中間構造部X3を構成する各床ユニット32A,32B及び各支持梁33A,33Bを製造工場において柱状の施工治具(以下、柱状治具という)を用い上下に連結してユニット化することとしている(以下、このユニット化したものを仮構築ユニットという。)。この柱状治具は伸縮可能に構成されており、柱状治具を縮めることにより、下階床ユニット23Aに対する上階床ユニット32B及び支持梁33A,33Bの高さ位置を、ひいては仮構築ユニットの上下高さを低くすることが可能となっている。そして、かかる高さ状態で仮構築ユニットが施工現場へ搬送されるようになっている。施工現場では、仮構築ユニットが離し置きされた建物ユニット20(ユニット構造部X1,X2)の間に設置され、その後柱状治具が伸長されることにより、上階床ユニット32B及び支持梁33A,33Bが所定の設置高さに移動(上昇)され同高さ位置において建物ユニット20に連結されるようになっている。以下においては、かかる柱状治具と、当該柱状治具を用いて構築される仮構築ユニットとについて説明する。まず、柱状治具の説明を行う前に、仮構築ユニットの構成について図5を用いて間単に説明する。なお、図5は、仮構築ユニットの構成を示す斜視図である。
【0049】
図5に示すように、仮構築ユニット40は、中間構造部X3において一階部分に設けられる下階床ユニット32A及び下階支持梁33Aと、二階部分に設けられる上階床ユニット32B及び上階支持梁33Bとを備え、下階床ユニット32Aと下階支持梁33Aとが柱状治具50(以下、下階柱状治具50Aという)により上下に連結されるとともに、上階床ユニット32Bと上階支持梁33Bとが同じく柱状治具50(以下、上階柱状治具50Bという)により上下に連結されることで構成されている。下階柱状治具50Aは、下階床ユニット32Aの四隅にそれぞれ配置されており、その下端部が同ユニット32Aの床フレーム35の柱レス仕口37に連結され、その上端部が下階支持梁33Aに連結されている。一方、上階柱状治具50Bは、上階床ユニット32Bの四隅にそれぞれ配置されており、その下端部が同ユニット32Bの床フレーム35の柱レス仕口37に連結され、その上端部が上階支持梁33Bに連結されている。なお、上述したように、上階床ユニット32Bの各柱レス仕口37(詳しくは下板部37c)の下面にはそれぞれ下階支持梁33Aが溶接により固定されている。この点からすると、下階柱状治具50Aは、下階床ユニット32Aの柱レス仕口37と上階床ユニット32Bの柱レス仕口37とを下階支持梁33Aを介して上下に連結していると言うこともできる。
【0050】
仮構築ユニット40は、さらにその上端部に吊り治具60を備えている。吊り治具60は、仮構築ユニット40をクレーン等の吊り下げ装置により吊り下げる際に吊り下げ支持される部材である。吊り治具60は、各上階支持梁33B上に跨って設けられ、それら各支持梁33Bの上面にそれぞれ連結されている。
【0051】
吊り治具60は、床ユニット32(床フレーム35)と同じ大きさからなる矩形フレーム状をなしており、その四隅に配設される4本の治具仕口61と、各治具仕口61をそれぞれ連結する4本の治具大梁62とを備える。治具仕口61及び治具大梁62はそれぞれ床フレーム35の柱レス仕口37及び床フレーム大梁38と同様の構成を有している。すなわち、治具仕口61は、2つの仕口板部61aと、その上端部及び下端部にそれぞれ対向して設けられた上板部61b及び下板部61cとを有する。治具大梁62は、床フレーム大梁38と同じ溝形鋼よりなり、その開口部が向き合うようにして設置されている。なお、治具仕口61及び治具大梁62によりフレーム部が構成されている。
【0052】
吊り治具60は、各治具仕口61の下板部61cがそれぞれ各上階支持梁33B(上側フランジ部)上に載置されることにより設けられ、各下板部61cがそれぞれ上階支持梁33Bの上側フランジ部に連結ボルト75により仮固定されている(図8参照)。具体的には、下板部61cには連結孔部64が設けられており、連結ボルト75がこの連結孔部64に挿通された状態で上階支持梁33Bの固定孔33bに締結されている。
【0053】
また、各治具仕口61の上板部61bには、クレーンF側から延びるワイヤW(図10参照)の端部に設けられる支持部によって支持される被支持部が設けられている。本実施形態では、支持部が吊りボルト(図示略)により構成され、被支持部が同吊りボルトが締結される吊り孔部77により構成されている。この場合、クレーンF側の吊りボルトが吊り孔部77に締結されることにより、吊り治具60ひいては仮構築ユニット40がクレーンにより吊り下げ可能となる。
【0054】
なお、支持部及び被支持部の構成は必ずしもこれに限定することはなく、例えば支持部をフック等の引っ掛け部により構成するとともに、被支持部を引っ掛け部が引っ掛けられる被引っ掛け部(例えば、吊り治具60の上面に円環状の部材を固定することで被引っ掛け部を構成する)により構成する等、その他の構成としてもよい。
【0055】
次に、柱状治具50の構成について図6に基づいて説明する。なお、図6は、柱状治具50の構成を示す図であり、(a)が同構成を示す正面図、(b)が縦断面図である。また、図6(b)は、(a)のA−A線断面図である。
【0056】
図6(a)及び(b)に示すように、柱状治具50は、第1柱状部材としての下柱51と、第2柱状部材としての上柱52とを備え、それら各柱51,52が互いに連結されることにより構成されている。下柱51は、上下方向に延びる下柱本体53と、下柱本体53の下端部に設けられたエンドプレート54とを備える。下柱本体53は、L字状の断面を有して形成されており、例えば鋼板よりなる。具体的には、下柱本体53は2つの側面部55を有しており、それら各側面部55の端部同士が直角をなすことで形成されている。
【0057】
エンドプレート54は、矩形平板状の金属板からなり、下柱本体53の下端部に溶接により固定されている。エンドプレート54には、同プレート54を床ユニット32の床フレーム35の柱レス仕口37(詳細にはその上板部37b)に連結する際に用いられる第1連結端部としての連結孔部68が形成されている。
【0058】
上柱52は、上下方向に延びる上柱本体56と、上柱本体56の上端部に設けられたエンドプレート57とを備える。上柱本体56は、下柱本体53と同様、L字状の断面を有して形成されており、例えば鋼板よりなる。具体的には、上柱本体56は、端部同士が直角に接合された2つの側面部58を有している。上柱本体56は、その上下長さが下柱本体53の上下長さと略同じとなっており、その断面形状が下柱本体53の断面形状と略同じとなっている。
【0059】
エンドプレート57は、矩形平板状の金属板からなり、上柱本体56の上端部に溶接により固定されている。エンドプレート57には、同プレート57を支持梁33に連結する際に用いられる第2連結端部としての連結孔部69が形成されている。
【0060】
下柱51と上柱52とは、互いのエンドプレート54,57を反対側に向け、かつ、互いの柱本体53,56について少なくともエンドプレート54,57とは反対側同士(すなわち下柱本体53の上端側及び上柱本体56の下端側)を重ね合わせた状態で結合されている。具体的には、下柱本体53と上柱本体56とは互いの頂部53a,56a同士を位置合わせした状態で重ね合わせられており、したがって下柱本体53の2つの側面部55がそれぞれ上柱本体56の各側面部58と重ね合わせられている。また、本実施形態では、下柱本体53が外側、上柱本体56が内側として各柱本体53,56が重なり合っている。なお、下柱51及び上柱52により治具本体が構成されている。
【0061】
下柱51と上柱52とは、互いの柱本体53,56の少なくとも一部を重ね合わせた状態で長手方向に相対移動が可能となっている。そして、本柱状治具50では、各柱51,52のかかる相対移動によってその上下長さ(全長)を調整することが可能となっている。すなわち、本柱状治具50は、各柱51,52(詳しくは各柱本体53,56)同士が重なり合う重なり代が調整されることで伸縮可能となっている。以下、柱状治具50の長さ調整(伸縮)機構について説明する。
【0062】
下柱51の下柱本体53における2つの側面部55のうち一方の側面部55には固定孔部67が設けられている。固定孔部67は、当該側面部55において上端側に設けられており、具体的には当該側面部55の上端側において上下に所定の間隔で複数(図6では3つ)設けられている。各固定孔部67の内周面にはめねじ(図示略)が形成されており、各固定孔部67に対してボルト等を螺合させることが可能となっている。
【0063】
上柱52の上柱本体56における2つの側面部58のうち、下柱本体53において固定孔部67が形成された側面部55と重なり合う側面部58には固定孔部65,66が設けられている。各固定孔部65,66のうち第1固定孔部65は、当該側面部58において上端側に設けられ、第2固定孔部66は下端側に設けられている。具体的には、各固定孔部65,66はそれぞれ当該側面部58において上下に所定の間隔で複数ずつ(図6では3つずつ)設けられており、詳しくは下柱51(下柱本体53)の固定孔部67と同じ間隔(ピッチ)で設けられている。
【0064】
なお、各固定孔部65〜67の個数は必ずしも3つとする必要はなく、2つ又は4つ以上とする等任意でよい。また、各固定孔部65〜67をそれぞれ1つだけ設けるようにしてもよい。
【0065】
柱状治具50は、当該治具50を縮めた状態である治具収縮状態と、当該治具50を伸長させた状態である治具伸長状態との各長さ状態においてその長さを保持することが可能となっている。図7は柱状治具50のこれら各長さ状態を示す正面図であり、(a)が柱状治具50の治具収縮状態を示し、(b)が治具伸長状態を示している。以下、これら各長さ状態における柱状治具50の構成を説明する。
【0066】
図7(a)に示すように、柱状治具50の治具収縮状態では、上柱52(上柱本体56)の第1固定孔部65と下柱51(下柱本体53)の固定孔部67とが(同図では3つの第1固定孔部65と3つの固定孔部67とが)位置合わせされた状態とされており、その状態で固定ボルト71が上柱52の第1固定孔部65に挿通され下柱51の固定孔部67に締結されている。これにより、上柱52が下柱51に仮固定され、柱状治具50が治具収縮状態に保持されている。具体的には、複数の第1固定孔部65(及び固定孔部67)のうち、2つの第1固定孔部65(より詳しくは上側及び下側の第1固定孔部65)を利用して上柱52が下柱51にボルト71で仮固定されており、これにより各柱51,52同士がある程度強固な状態で連結されている。なお、固定ボルト71による下柱51に対する上柱52の仮固定は複数の第1固定孔部65のうち1つ又はすべて(本実施形態では3つ)の固定孔部65を利用して行ってもよい。
【0067】
柱状治具50の治具収縮状態では、上柱52(詳しくは上柱本体56)の下端部が下柱51のエンドプレート54の上面に当接されており、各柱本体53,56がその長さ(上下)方向全域において互いに重なり合った状態となっている。そのため、治具収縮状態における柱状治具50の上下長さ(全長)H1は各柱51,52の上下長さと略同じとなっており、具体的には、同状態にある柱状治具50を用いて仮構築ユニット40を形成した場合に当該ユニット40の上下高さが搬送制限を超えない長さに設定されている。
【0068】
一方、図7(b)に示すように、柱状治具50の治具伸長状態では、上柱52の第2固定孔部66と下柱51の固定孔部67とが(同図では3つの第2固定孔部66と3つの固定孔部67とそれぞれ)位置合わせされた状態とされており、その状態で固定ボルト71が上柱52の第2固定孔部66に挿通され下柱51の固定孔部67に締結されている。これにより、上柱52が下柱51に仮固定され、柱状治具50が治具伸長状態に保持されている。具体的には、複数の第2固定孔部66(及び固定孔部67)のうち、2つの第2固定孔部66(詳しくは上側及び下側の第2固定孔部66)を利用して上柱52が下柱51にボルト71で仮固定されており、これにより各柱51,52同士がある程度強固な状態で連結されている。なお、固定ボルト71による下柱51に対する上柱52の仮固定は複数の第2固定孔部66のうち1つ又はすべて(本実施形態では3つ)の第2固定孔部66を利用して行ってもよい。
【0069】
柱状治具50の治具伸長状態では、下柱51の上端側と上柱52の下端側とが互いに重なり合う状態となっている。この場合、柱状治具50の上下長さH2は各柱51,52の上下長さを合わせた長さよりも若干短い長さになっており、治具収縮状態における柱状治具50の上下長さH1の2倍よりも若干短い長さとなっている。そして、この上下長さH2は下階床ユニット32A(又は上階床ユニット32B)の柱レス仕口37と下階支持梁33A(又は上階支持梁33B)との上下間距離(内寸)と略同じ長さに設定されている。
【0070】
次に、仮構築ユニット40において柱状治具50が床ユニット32の柱レス仕口37及び支持梁33に連結されている連結部分の構成を図8に基づいて説明する。図8は、柱状治具50が床ユニット32の柱レス仕口37及び支持梁33と連結されている連結部の構成を示す正面図である。
【0071】
図8に示すように、仮構築ユニット40において、下階柱状治具50A及び上階柱状治具50Bはそれぞれ上述したように床ユニット32A,32Bの床フレーム35の柱レス仕口37と支持梁33A,33Bとの間に配設され、その配設状態で下柱51の下端部が柱レス仕口37に連結され、上柱52の上端部が支持梁33A,33Bに連結されている。具体的には、下柱51のエンドプレート54が柱レス仕口37の上板部37bに当接された状態で当該上板部37bに連結ボルト73により固定されており、上柱52のエンドプレート57が支持梁33A,33B(詳しくはその下側フランジ部)の下面に当接された状態で当該支持梁33A,33Bに連結ボルト74により固定されている。なお、連結ボルト73は、エンドプレート54の連結孔部68に挿通された状態で上板部37bの連結孔部41に締結されており、連結ボルト74は、エンドプレート57の連結孔部69に挿通された状態で支持梁33の下側フランジ部に形成された固定孔33aに締結されている。このようにして、本仮構築ユニット40では、柱状治具50A,50Bにより床ユニット32A,32Bと支持梁33A,33Bとが上下に連結されている。
【0072】
図9は、仮構築ユニット40の四隅に配設された各柱状治具50の設置向きを概略的に示す平面図である。本図では、便宜上、柱状治具50について各柱51,52の柱本体53,56のみを図示している(換言するとエンドプレート54,57の図示を省略している)。また、本図では、参考として床ユニット32の外形線を一点鎖線で示している。
【0073】
図9に示すように、4本の各柱状治具50はそれぞれ各柱51,52の柱本体53,56の頂部53a,56aを仮構築ユニット40の内側に向けた状態で設けられている。この場合、各柱状治具50における各々の柱本体53,56では、2つの側面部55,58のうち一方の側面部55,58(以下、第1側面部55a,58aという)が、頂部53a,56aとは反対側の端部を床ユニット32の長手方向においてユニット外側に向けて配置され、他方の側面部55,58(以下、第2側面部55b,58bという)が、頂部53a,56aとは反対側の端部を床ユニット32の短手方向においてユニット外側に向けて配置されている。
【0074】
かかる柱状治具50の配置状態では、各々の柱状治具50において各柱本体53,56の第1側面部55a,58a同士が床ユニット32の短手方向(以下、場合によってユニット短手方向という)に重なり合っており、詳しくは下柱本体53の第1側面部55aをユニット内側、上柱本体56の第1側面部58aをユニット外側として重なり合っている。一方、各柱本体53,56の第2側面部55b,58b同士は床ユニット32の長手方向(以下、場合によってユニット長手方向という)に重なり合っており、詳しくは下柱本体53の第2側面部55bをユニット内側、上柱本体56の第2側面部58bをユニット外側として重なり合っている。
【0075】
上記の構成では、床ユニット32の長手方向に並ぶ2つの柱状治具50(換言すると長辺側の床フレーム大梁38の両端部に設けられた各柱状治具50)において各々の上柱52がそれぞれユニット長手方向におけるユニット内側への移動が規制されており、換言すると各々の上柱52が同方向において互いに反対となる側への移動が規制されている。また、床ユニット32の短手方向に並ぶ2つの柱状治具50(換言すると短辺側の床フレーム大梁38の両端部に設けられた各柱状治具50)において各々の上柱52はそれぞれユニット短手方向におけるユニット内側への移動が規制されており、換言すると同方向において互いに反対となる側への移動が規制されている。
【0076】
そして、床ユニット32の四隅に配された各柱状治具50の各々の上柱52は、上述したように、上階床ユニット32B又は吊り治具60を介して一体化されているため、一体化された各上柱52はユニット短手方向及びユニット長手方向のいずれの方向においてもその両側への移動が規制されている。すなわち、各上柱52は水平方向への移動が規制された状態にある。したがって、各柱状治具50について上柱52を下柱51に対し上方に移動させ(すなわち同柱状治具50を治具伸長状態とすることで)、上階床ユニット32B(又は上階支持梁33B)を上方に移動させる際に、上柱52が水平方向(柱状治具50と直交する方向)に位置ずれするのを抑制でき、ひいては上階床ユニット32B(又は上階支持梁33B)が水平方向に位置ずれするのを抑制できる。
【0077】
次に、本実施形態における建物10の製造手順及び施工手順について説明する。ここでは、中間構造部X3の製造手順及び施工手順を中心に説明する。まず、ユニット製造工場での製造手順について説明する。
【0078】
製造工場では、柱状治具50を用いて仮構築ユニット40を仮構築する。この仮構築に際しては、予め柱状治具50を治具収縮状態としておく。詳しくは、上柱52を下柱51に固定ボルト71で仮固定し柱状治具50を治具収縮状態に保持しておく。これにより、仮構築ユニット40が道路交通法上の搬送制限を超えない高さで仮構築される。仮構築ユニット40を仮構築後、同ユニット40の内部に施工の際に用いる各種建材(例えば中間天井梁34等)を積載する。その後、同ユニット40を施工現場に搬送する。
【0079】
次に、施工現場での施工作業について図10に基づいて説明する。図10は、建物10における中間構造部X3の施工手順を説明するための説明図である。
【0080】
施工作業の際には、まず基礎11上に各下階ユニット20Aを設置するとともに、それら各下階ユニット20Aの上に上階ユニット20Bを設置する。これにより、各ユニット構造部X1,X2が構築される。
【0081】
次に、図10(a)に示すように、離し置きされた各ユニット構造部X1,X2(建物ユニット20)の間に仮構築ユニット40を設置する。この設置作業では、まず仮構築ユニット40の吊り治具60の各吊り孔部77にクレーンFのワイヤW端部に設けられた吊りボルト(図示略)を締結し、その後、クレーンFにより仮構築ユニット40を吊り上げて同ユニット40を各建物ユニット20間に設置する。この場合、仮構築ユニット40は基礎11上に設置され、下階床ユニット32Aが基礎11に対しアンカーボルトにより固定される。
【0082】
次に、図10(b)に示すように、各下階柱状治具50Aを伸長して治具伸長状態とすることにより、上階床ユニット32Bを所定の設置高さに、すなわち上階ユニット20Bの床部と同じ高さ位置に移動(上昇)させる。この移動作業では、まず各下階柱状治具50Aについてそれぞれ固定ボルト71を取り外し、下柱51に対する上柱52の仮固定状態を解除する。その後、クレーンFにより吊り治具60を上方に吊り上げる。これにより、各下階柱状治具50Aにおいて上柱52が下柱51に対し上方にスライド移動し、そのスライドに伴って上階床ユニット32Bが上方に移動する。
【0083】
上階床ユニット32Bを所定の設置高さまで移動した後、各下階柱状治具50Aについて上柱52を下柱51に固定ボルト71により仮固定する。これにより、各下階柱状治具50Aが治具伸長状態で保持され、その結果上階床ユニット32Bが各柱状治具50Aにより所定の高さ位置で支持される。この場合、クレーンFにより吊り下げ支持に頼ることなく、上階床ユニット32Bを所定の高さ位置において安定した状態で支持することができる。そして、かかる支持状態で、上階床ユニット32Bの下面に固定されている各下階支持梁33A(詳細にはその端面プレート43)を下階ユニット20Aの天井仕口21bにそれぞれボルトで固定する。これにより、上階床ユニット32Bが各下階ユニット20Aにそれぞれ連結され同床ユニット32Bの設置が完了する。
【0084】
次に、図10(c)に示すように、各下階柱状治具50Aをそれぞれ下階床ユニット32Aの柱レス仕口37と下階支持梁33Aとの間から取り外す作業を行う。この作業では、連結ボルト73(図8参照)を取り外すことにより下階柱状治具50Aの下柱51(詳しくはエンドプレート54)を柱レス仕口37から取り外すとともに、連結ボルト74(図8参照)を取り外すことにより上柱52(詳しくはエンドプレート57)を下階支持梁33Aから取り外す。
【0085】
次に、図10(d)に示すように、各上階柱状治具50Bを伸長して治具伸長状態とすることにより、各上階支持梁33Bをそれぞれ所定の設置高さに、具体的には上階ユニット20Bの天井大梁22と同じ高さ位置に移動(上昇)させる。この移動作業では、まず各上階柱状治具50Bについてそれぞれ固定ボルト71を取り外し、下柱51に対する上柱52の仮固定状態を解除する。その後、クレーンFにより吊り治具60を上方に吊り上げる。これにより、各上階柱状治具50Bにおいて上柱52が下柱51に対し上方にスライド移動し、そのスライドに伴い各上階支持梁33Bが上方に移動する。また、この場合、各上階支持梁33Bは吊り治具60を介して一体化されているため、それぞれが同じ高さ位置を保ちながら上方へ移動する。これにより、各上階支持梁33Bをそれぞれ同じ高さ位置に配置することが可能となる。
【0086】
各上階支持梁33Bを所定の設置高さまで移動した後、各上階柱状治具50Bについて上柱52を下柱51に固定ボルト71により仮固定する。これにより、各上階柱状治具50Bが治具伸長状態で保持され、その結果各上階支持梁33Bがそれぞれ上階柱状治具50Bにより支持される。そして、かかる支持状態において、各上階支持梁33Bをそれぞれ上階ユニット20Bの天井仕口21bにボルトにより固定する。これにより、上階支持梁33Bの設置が完了する。
【0087】
次に、図10(e)に示すように、各上階柱状治具50Bをそれぞれ上階床ユニット32Bの柱レス仕口37と上階支持梁33Bとの間から取り外す。この作業では、連結ボルト73(図8参照)を取り外すことにより上階柱状治具50Bの下柱51(詳しくはエンドプレート54)を柱レス仕口37から取り外すととともに、連結ボルト74(図8参照)を取り外すことにより上柱52(詳しくはエンドプレート57)を上階支持梁33Bから取り外す。その後、各連結ボルト75(図8参照)を取り外すことにより、吊り治具60を各上階支持梁33Bから取り外す。
【0088】
その後、離し置きされた各建物ユニット20の間に各種建材を架け渡すことで、中間構造部X3を構築する。例えば、各建物ユニット20の支持梁33間に中間天井梁34を架け渡し、その中間天井梁34に外壁パネルを取り付け架け渡す等の作業を行う。こうした一連の作業を行うことで、本建物10が構築される。
【0089】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0090】
床ユニット32(下階床ユニット32A,上階床ユニット32B)に連結される第1連結端部(連結孔部68)を有する下柱51と、第2構造体(上階床ユニット32B、上階支持梁33B)に連結される第2連結端部(連結孔部69)を有する上柱52とを備え、これら各柱51,52を、各々の連結端部とは反対側の部分を少なくとも一部重ね合わせた状態で設けた。そして、これら各柱51,52の重なり代を調整することにより柱状治具50を伸縮可能に構成し、その伸長状態において、所定の高さ関係で設置された状態にある床ユニット32及び第2構造体を上下に連結できる長さを有して形成した。この場合、床ユニット32と第2構造体とを柱状治具50により上下に連結することで、床ユニット32と第2構造体とが一体化されてなる仮構築ユニット40を形成できる。そして、柱状治具50を縮めた状態で仮構築ユニット40を形成することで、床ユニット32に対する第2構造体の高さ位置を、中間構造部X3での設置状態における同高さ位置よりも低くした状態で、床ユニット32と第2構造体とを一体化できる。そのため、製造工場においてかかる高さ状態で仮構築ユニットを仮構築することで、床ユニット32と第2構造体とをユニット状態で一括に施工現場へ搬送できる。
【0091】
施工現場では、仮構築ユニット40を離し置きされた各建物ユニット20間に設置することで、床ユニット32及び第2構造体をそれら各建物ユニット20間にまとめて配置できる。また、その後、各柱状治具50を伸長させることで、第2構造体を容易に所定の設置高さに移動(上昇)させることができる。これにより、床ユニット32及び第2構造体の設置に際して作業性を高めることができ、その結果、中間構造部X3を構築する上での施工作業性の改善を図ることができる。
【0092】
仮構築ユニット40を、上階床ユニット32Bと、複数の上階支持梁33Bと、上階床ユニット32B及び上階支持梁33Bの間に設けられた複数の柱状治具50Bとを備えて構成し、柱状治具50Bにおいて第1連結端部を上階床ユニット32Bの柱レス仕口37に連結し、第2連結端部を上階支持梁33Bに連結した。そして、さらに、各上階支持梁33Bに連結される複数の連結部(連結孔部64)と、クレーンFにより吊下げ支持される被支持部(吊り孔部77)とを有する吊り治具60を備え、吊り治具60の各連結部を
それぞれ各上階支持梁33Bに連結した。この場合、各柱状治具50Bの第2連結端部にそれぞれ連結されている複数の上階支持梁33Bが吊り治具60により互いに連結されているため、仮構築ユニット40の施工現場への搬送時に、各上階支持梁33Bが揺れ動き荷台の壁に当たる等の不都合を抑制できる。
【0093】
施工現場では、仮構築ユニット40を離し置きされた複数の建物ユニット20間に設置後、吊り治具60をクレーンFにより吊り上げることで、各柱状治具50Bがそれぞれ伸長され、それに伴い各上階支持梁33Bがそれぞれ所定の設置高さに移動(上昇)される。この場合、複数の上階支持梁33Bを一挙に所定の高さ位置に移動させることが可能となる。また、各上階支持梁33Bをそれぞれ同じ高さ位置に移動(上昇)できるため、各上階支持梁33Bを建物ユニット20に連結する際、各上階支持梁33Bの高さ位置を調整する等の面倒な作業を不要とできる。よって、この場合、複数の上階支持梁33Bの設置作業を容易とすることができる。
【0094】
仮構築ユニット40を、床ユニット32において離し置きされた各建物ユニット20に沿って延びる一対の床フレーム大梁38にそれぞれ連結される柱状治具50を備えて構成し、当該一対の床フレーム大梁38に連結されている各柱状治具50を、中間スペースにおける離し置き方向の中央部に対し、下柱51が内側、上柱52が外側となるように重ねた。この場合、床ユニット32側に連結された下柱51に対する、第2構造体側に連結された上柱52の移動、詳しくは、ユニット離し置き方向における移動が規制されている。したがって、離し置きされた建物ユニット20間の狭小空間において、床ユニット32に対して第2構造体を移動させるに際し、第2構造体が建物ユニット20に衝突する等の不都合を抑制できる。
【0095】
柱状治具50の治具伸長状態において、下柱51と上柱52とを固定ボルト71により連結可能とした。この場合、柱状治具50を伸長させて第2構造体を所定の設置高さまで移動させた後、その長さ状態で下柱51と上柱52とを固定ボルト71により連結(仮固定)できる。すなわち、柱状治具50をその長さ状態に保持できる。そのため、第2構造体を柱状治具50により所定の設置高さで支持することが可能となり、かかる支持状態で第2構造体を建物ユニット20に連結することができる。柱状治具50による第2構造体の支持状態では、クレーンによる第2構造体の支持状態よりも、第2構造体を安定した状態で支持できるため、第2構造体の連結作業について作業性を高めることができる。
【0096】
下柱51(下柱本体53)及び上柱52(上柱本体56)をそれぞれL字状の断面を有して形成した。この場合、各柱51,52を互いに重ね合わせることができ、ひいては複数の柱状治具50の各柱51,52を互いに重ね合わせることができる。そのため、複数の柱状治具50をコンパクトに保管することができ、保管スペースの削減を図ることができる。特に、本柱状治具50は使い回しを前提としての使用が想定されるため、柱状治具50を保管する頻度が多くなると考えられ、その点を鑑みてもかかる構成は実用上好ましい構成であるといえる。
【0097】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0098】
(1)上記実施形態では、建物10における設置高さがそれぞれ異なる下階床ユニット32A、上階床ユニット32B(下階支持梁33Aを含む)及び上階支持梁33Bを上下2段に配した柱状治具50A,50Bにより上下に連結することで、3段構成の仮構築ユニット40を形成したが、柱状治具50を上下に1段のみ又は3段以上配することで、2段又は4段以上の構成の仮構築ユニットを形成してもよい。
【0099】
例えば、図11には、2段構成の仮構築ユニット80が示されている。仮構築ユニット80は、一階部分に設けられる下階床ユニット32A及び下階支持梁33Aと、二階部分に設けられる上階床ユニット32Bとを備え、下階床ユニット32Aの柱レス仕口37と下階支持梁33Aとが下階柱状治具50Aにより上下に連結されることで構成されている。換言すると、本仮構築ユニット80は、上下の各床ユニット32A,32Bの柱レス仕口37同士が下階柱状治具50Aにより下階支持梁33Aを介して上下に連結されることで構成されている。要するに、本仮構築ユニット80は、上記実施形態の仮構築ユニット40から上階支持梁33Bと上階柱状治具50Bとを取り除いた構成となっている。かかる構成においても、製造工場にて、治具収縮状態にある下階柱状治具50Aを用い仮構築ユニット80を仮構築することで、同ユニット80を施工現場へ好適に搬送することができる。そして、施工現場では、下階柱状治具50Aを治具伸長状態とすることで上階床ユニット32Bを所定の設置高さに好適に移動させることができ、その設置高さにおいて各下階支持梁33Aを下階ユニット20Aに連結することで上階床ユニット32Bを設置できる。
【0100】
なお、本例の仮構築ユニット80は吊り治具60を有していないため、クレーンF側の吊りボルトを例えば上階床ユニット32Bの各柱レス仕口37(詳しくは上板部37b)の連結孔部41に締結することとなる。この場合、クレーンFにより直接上階床ユニット32Bが吊り上げられることになる。また、仮構築ユニット80に組み込まれなかった各上階支持梁33Bについては、施工の際に個別に所定の設置高さまで持ち運ばれ、上階ユニット20Bの天井仕口21Bに固定されることとなる。
【0101】
(2)図12には、4段構成の仮構築ユニット90が示されている。仮構築ユニット90は、上下に隣接する3層(3階)分の床ユニット32X,32Y,32Z及び支持梁33X,33Y,33Zを備え、各層ごとの床ユニット32の柱レス仕口37及び支持梁33がそれぞれ柱状治具92により上下に連結されることで構成されている。また、仮構築ユニット90において最上階に配置された各支持梁33の上面には吊り治具60が固定されている。
【0102】
図12の例では、この仮構築ユニット90を用いて中間構造部X3にスキップ床が構築されている。同図の建物では、ユニット構造部X1,X2が下階ユニット20Aと上階ユニット20Bとにより2層に形成されているのに対して、中間構造部X3がスキップ床を用いて3層に形成されている。詳細には、中間構造部X3において上下3段に配された各床ユニット32X,32Y,32Zのうち、中段及び上段の床ユニット32Y,32Zがそれぞれ下階ユニット20A,上階ユニット20Bの中間高さに配置されることでスキップ床が構築されている。この場合、中間構造部X3では各層(各階)における階高がユニット構造部X1,X2における階高と比べ低くなっており、そのため各柱状治具92の長さが上記実施形態の柱状治具50の長さよりも短くなっている。
【0103】
仮構築ユニット90は、図12(a)に示すように、柱状治具92が治具収縮状態とされることにより、その上下高さが上記実施形態の仮構築ユニット40の治具収縮状態における上下高さと略同じとなる。したがって、製造工場において仮構築ユニット90を仮構築後、同ユニット90を施工現場へ搬送することができる。施工現場では、図12(b)に示すように、まず仮構築ユニット90が離し置きされたユニット構造部X1,X2の間に設置され、その後各柱状治具92が治具伸長状態とされることにより、中段及び上段の各床ユニット32Y,32Z、上段の各支持梁33がそれぞれ所定の高さ位置まで移動(上昇)される。そのため、各床ユニット32Y,32Z及び上段の各支持梁33Zの設置作業を容易とすることができる。
【0104】
(3)上記実施形態では、2階建て建物10の中間構造部X3を構築するにあたり本柱状治具50を用いたが、図13に示すように、1階建ての建物の中間構造部を構築する際に本柱状治具50を用いてもよい。図13には、離し置きされた2つの建物ユニット20(一階建物ユニット)の間に仮構築ユニット95が設置される様子が示されている。この場合、仮構築ユニット95は、床ユニット32と各支持梁33とを備え、床ユニット32の各柱レス仕口37と各支持梁33とが柱状治具50により上下に連結されて構成されている。また、各支持梁33の上面には吊り治具60が連結されている。かかる構成では、治具伸長状態における仮構築ユニット95の上下高さが、同状態における上記実施形態の仮構築ユニット40の上下高さよりも小さいものとなり、例えば約半分程度となる。そのため、柱状治具50を治具伸長状態としても仮構築ユニット95を施工現場に搬送することができる。そうすることで、施工現場では仮構築ユニット95を離し置きした各建物ユニット20間に設置するだけで各支持梁33が所定の設置高さに配置される。そのため、柱状治具50を伸長させる作業が不要となり、支持梁33の設置作業をより一層容易とすることができる。
【0105】
(4)例えば、上階床ユニット32Bが、その柱レス仕口37が上階ユニット20Bの床仕口21cに連結されることで設置される構成が考えられる。その場合、上階床ユニット32Bが下階支持梁33Aを介さずに直接上階ユニット20Bに連結されるため、下階支持梁33Aが不要となる。かかる場合、例えば、図14に示すように、柱状治具50Aの上端部を直接上階床ユニット32Bの柱レス仕口37に連結してもよい。この場合、柱状治具50Aの上柱52のエンドプレート57を柱レス仕口37の下板部37cに固定することとなる。
【0106】
(5)上記実施形態では、床フレーム35と床下地面材36とを備えてなる床ユニット32を仮構築ユニット40に組み込む構成としたが、これを変更し、床ユニットを、これら両部材35,36の他に床下地面材36上に敷設される床仕上げ面材を備えて形成し、それを仮構築ユニット40に組み込むようにしてもよい。この場合、床仕上げ面材を施工現場で設置する手間が省ける。また、床フレーム35のみを仮構築ユニット40に組み込んで床下地面材36を施工現場で後付けするようにしてもよい。この場合、床フレーム35が床ユニットに相当するものとなる。
【0107】
(6)上記実施形態では、施工時に中間天井梁34を各支持梁33間に架け渡して固定したが、中間天井梁34を製造時に各支持梁33間に固定してもよい。すなわち、中間天井梁34を仮構築ユニット40に予め組み込む構成としてもよい。また、さらに、中間天井梁ユニット31に取り付けられる天井下地材や天井面材等を予め仮構築ユニット40に組み込むようにしてもよい。その場合、施工時における天井部の施工作業を軽減できる。
【0108】
(7)下柱51及び上柱52のうち少なくともいずれか一方を、互いに重なり合った状態で連結される複数の柱材を有して構成し、それら複数の柱材の重なり代を調整することで、該複数の柱材を有してなる柱について伸縮可能としてもよい。この場合、柱状治具は少なくとも3つ以上の柱部材により構成され、それら各柱部材を用いて柱状治具を伸縮させることが可能となる。そのため、柱状治具において治具収縮状態の上下長さに対する治具伸長状態の上下長さを拡張することができ、その結果例えば吹き抜け空間等の階高の高い空間に設置される床ユニットと支持梁とを上下に連結すること等が可能となる。
【0109】
(8)各柱51,52(柱本体53,53)の断面形状は必ずしもL字形状とする必要はなく、コ字状や筒状(例えば四角筒状や円筒状)等その他の形状としてもよい。例えば、各柱51,52の断面形状を四角筒状(例えば正方形状からなる筒状)とする場合、上柱及び下柱のうち一方の柱の内幅を他方の柱の外幅よりも若干大きくし、一方の柱の内部に他方の柱を挿入することでそれら各柱を重ね合わせた状態で結合することが考えられる。この場合でも、上柱と下柱との重なり代を調整することで柱状治具(柱本体)を伸縮させることが可能である。
【0110】
(9)仮構築ユニット40において、各柱状治具50を、各柱本体53,56の頂部53a,56aを同ユニット40の外側に向けた状態で配置してもよい。この場合、各柱状治具50において各柱本体53,56の一方の側面部55,58同士が側面部55をユニット外側、側面部58をユニット内側としてユニット長手方向に重なり合い、他方の側面部55,58同士が側面部55をユニット外側、側面部58をユニット内側として重なり合う。このため、上記実施形態と同様に、各柱状治具50の各々の上柱52はユニット短手方向及びユニット長手方向のいずれの方向においてもその移動が規制されており、したがって、各柱状治具50について上柱52を下柱51に対し上方に移動させ(すなわち同柱状治具50を治具伸長状態とすることで)、上階床ユニット32B等を上方に移動させる際に、各上柱52が水平方向(柱状治具50と直交する方向)に位置ずれするのを抑制できる。
【0111】
また、仮構築ユニット40において、各柱状治具50を、各柱本体53,56の頂部53a,56aを同じ側に向けた状態で配置してもよい。例えば、各柱状治具50について、各柱本体53,56の側面部55,58のうち一方の側面部55,58をユニット長手方向において同一側に向け、かつ、他方の側面部55,58をユニット短手方向において同一側に向けた状態で配置することで、各柱本体53,56の頂部53a,56aを同じ側に向けることが考えられる。
【0112】
(10)上記実施形態では、柱状治具50を治具収縮状態又は治具伸長状態に保持するために、上柱52を下柱51に固定ボルト71により仮固定したが、柱状治具50を治具収縮状態又は治具伸長状態に保持する手段は必ずしもこれに限定されない。例えば、下柱51の固定孔部67と上柱52の固定孔部65,66とにピンを連続させて挿通することで上柱52を下柱51に仮固定することで、柱状治具50を治具収縮状態又は治具伸長状態に保持してもよい。また、柱状治具50を治具伸縮状態又は治具伸長状態とした際に、上柱52を下柱51に仮固定しないようにしてもよい。例えば、柱状治具50の治具伸長状態において、上柱52を下柱51に仮固定しない場合には、上階床ユニット32BをクレーンFにより吊り下げ支持した状態で下階支持梁33Aを下階ユニット20Aに連結すればよい。
【0113】
(11)上記実施形態では、クレーンFにより吊り治具60を吊り上げることにより、各柱状治具50を治具伸長状態としたが、作業者による手作業で各柱状治具50を治具伸長状態としてもよい。
【符号の説明】
【0114】
10…建物、20…建物ユニット、32A…床ユニットとしての下階床ユニット、32B…床ユニットとしての上階床ユニット、33…天井構造体としての支持梁、37…仕口部としての柱レス仕口、40…仮構築ユニット、50…施工治具としての柱状治具、51…第1柱状部材としての下柱、52…第2柱状部材としての上柱、60…吊下用治具としての吊り治具、64…連結部としての連結孔部、68…第1連結端部としての連結孔部、69…第2連結端部としての連結孔部、77…被支持部としての吊り孔部、F…吊下装置としてのクレーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離し置きされた複数の建物ユニットを備え、それら各建物ユニットの間に形成された中間スペースに前記建物ユニットとは異なる構成の中間構造部が設けられ、
前記中間構造部が、複数の床梁が仕口部を介して四辺に連結されてなる床ユニットを有する第1構造体と、前記第1構造体よりも上方に設けられ、天井部又は床部を構築するための第2構造体とを備えるユニット式の建物において、その建物の施工に用いられる施工治具であって、
長尺状をなし、一端側に前記第1構造体の前記床ユニットに連結される第1連結端部を有するとともに、他端側に前記第2構造体に連結される第2連結端部を有する治具本体を備え、
前記治具本体は、伸縮可能であり、その伸長状態において、前記中間構造部として所定の高さ関係で設置された状態にある前記床ユニット及び前記第2構造体を上下に連結できる長さを有していることを特徴とする施工治具。
【請求項2】
前記治具本体は、前記第1連結端部を有する第1柱状部材と、前記第2連結端部を有する第2柱状部材とを備え、
前記第1柱状部材と前記第2柱状部材とは、各々の連結端部とは反対側の部分を少なくとも一部重ね合わせた状態で設けられており、それら各柱状部材の重なり代を調整することにより、前記治具本体が伸縮可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の施工治具。
【請求項3】
前記第1柱状部材及び前記第2柱状部材はそれぞれL字状の断面を有して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の施工治具。
【請求項4】
前記所定の高さ関係で設置された前記床ユニット及び前記第2構造体を連結可能な長さに前記治具本体を伸長させた状態で、その長さ状態を保持する保持手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の施工治具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の施工治具を用い、仮構築される仮構築ユニットであり、
前記第1構造体の床ユニットと、
前記第2構造体と、
前記床ユニットと前記第2構造体との間に設けられた複数の前記施工治具と、
を備え、
前記各施工治具の治具本体はそれぞれ前記第1連結端部が前記床ユニットの仕口部に連結され、前記第2連結端部が前記第2構造体に連結されていることを特徴とする仮構築ユニット。
【請求項6】
前記第2構造体は、前記離し置きされた各建物ユニットに連結され、前記天井部の構造体となる複数の天井構造体であり、それら各天井構造体にそれぞれ前記施工治具の第2連結端部が連結されており、
前記床ユニットの各仕口部と同じ位置関係となるように配置され前記各天井構造体にそれぞれ連結される複数の連結部と、それら各連結部をつなぐフレーム部と、該フレーム部に設けられ吊下装置により吊り下げ支持される被支持部とを有する吊下用治具を備え、
前記吊下用治具の各連結部がそれぞれ前記各天井構造体に連結されていることを特徴とする請求項5に記載の仮構築ユニット。
【請求項7】
前記施工治具の治具本体は、前記第1連結端部を有する第1柱状部材と、前記第2連結端部を有する第2柱状部材とを備え、前記第1柱状部材と前記第2柱状部材とは、各々の連結端部とは反対側の部分を少なくとも一部重ね合わせた状態で設けられ、それら各柱状部材の重なり代を調整することで前記治具本体が伸縮可能とされており、
前記各施工治具の各々の治具本体において、前記第1柱状部材の第1連結端部が前記床ユニットの仕口部に連結され、前記第2柱状部材の第2連結端部が前記第2構造体に連結されており、
前記複数の施工治具は、前記床ユニットにおいて前記離し置きされた各建物ユニットに沿って延びる一対の床梁にそれぞれ連結される施工治具を含み、前記一対の床梁に連結されている各施工治具の治具本体は、前記中間スペースにおける前記離し置き方向の中央部に対して、前記第1柱状部材が外側、前記第2柱状部材が内側となるように互いに重ねられている、又は、前記第1柱状部材が内側、前記第2柱状部材が外側となるように互いに重ねられているものであることを特徴とする請求項5又は6に記載の仮構築ユニット。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の施工治具を用いてユニット式の建物を施工する建物の施工方法であり、
前記床ユニットの各仕口部ごとにそれぞれ前記施工治具を配置し、それら各施工治具についてそれぞれ前記治具本体を縮めた状態で、前記第1連結端部を前記床ユニットの仕口部に連結し、前記第2連結端部を前記第2構造体に連結して、仮構築ユニットを仮構築する仮構築工程と、
前記仮構築ユニットを施工現場へ搬送する搬送工程と、
前記施工現場に搬送された前記仮構築ユニットを、前記離し置きされた各建物ユニットの間に、基礎上に載置した状態で設置する設置工程と、
前記各施工治具の治具本体を伸長させることにより、前記第2構造体を所定の設置高さに移動させる移動工程と、
前記所定の設置高さに移動した前記第2構造体を前記仮構築ユニットに隣接して設けられた前記建物ユニットに連結する連結工程と、
前記床ユニットの仕口部に対する前記第1連結端部の連結を解除するとともに、前記第2構造体に対する前記第2連結端部の連結を解除して、前記各施工治具を取り外す取り外し工程と、
を備えることを特徴とする建物の施工方法。
【請求項9】
前記第2構造体は、前記離し置きされた各建物ユニットに連結され、前記天井部の構造体となる複数の天井構造体であり、
前記床ユニットの各仕口部と同じ位置関係となるように配置され前記各天井構造体にそれぞれ連結される複数の連結部と、それら各連結部をつなぐフレーム部と、該フレーム部に設けられ吊下装置により吊り下げ支持される被支持部とを有する吊下用治具を用いてユニット式の建物を施工する建物の施工方法であり、
前記仮構築工程では、前記各施工治具についてそれぞれ前記治具本体を縮めた状態で、前記第1連結端部を前記床ユニットの仕口部に連結し、前記第2連結端部を前記天井構造体に連結する工程と、前記各天井構造体に前記吊下用治具の各連結部を連結する工程とを行うことで仮構築ユニットを仮構築し、
前記設置工程では、前記施工現場に搬送された前記仮構築ユニットを、前記吊下装置により前記吊下用治具の被支持部を吊り下げた状態で、前記離し置きされた各建物ユニット間に設置し、
前記移動工程では、前記吊下装置により前記吊下用治具を吊り上げることで、前記各施工治具の治具本体を伸長させ、該伸長により前記各天井構造体をそれぞれ所定の設置高さに移動させ、
前記連結工程では、前記所定の設置高さに移動した前記各天井構造体をそれぞれ前記建物ユニットに連結することを特徴とする請求項8に記載の建物の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−219579(P2012−219579A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89231(P2011−89231)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)