説明

施療器

【課題】 施療のために照射される光が誤って目に入りかねない状況を自動的に検出して光の強度を調整し、光が目に入った場合の危険性を低くして、安全に使用を続けられる施療器を提供する。
【解決手段】 光を照射する照射部12と共にこれを取囲むガイド部13及び吸引手段を設け、光の照射と吸引を実行する中、ガイド部開口を出た光が直接人の目に入る危険性がある状況に対応する物理量を検出した場合には、制御部が光を人の目に直接入射しても有害な影響を与えない照射強度とし、逆に、ガイド部開口を出た光が肌以外には達しない状況に対応する物理量を検出している場合には、制御部が光の照射強度を大きくする制御を実行することから、照射部12からの光がガイド部開口を通じて目に誤って入り得るような場合の危険を回避できる一方、光が肌以外に達しない場合には、適切な強度の光として十分な施療性能を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被施療者の肌に対し光を照射するなどして所定の施療効果を与える施療器に関する。なお、本発明で施療効果を与える対象としての「肌」は、体表面のみに限られず、皮下脂肪等の皮下組織を含む体表層のいわゆる「皮膚」と同義のものとして用いている。
【背景技術】
【0002】
被施療者の顔等の肌(皮膚)に対し所定波長の光を照射して、肌の活性化、シミの低減対策、殺菌等といった、美容・美肌に係る施療動作を実行する肌施療器は、家庭で用いられる簡易な低出力のものから、業務用として用いられる出力の高いものまで、様々な種類のものが広く利用されている。こうした従来の肌施療器の一例として、特開2000−202045号公報や特開2007−330690号公報に開示されるものがある。
この従来の肌施療器は、光源としてレーザや発光ダイオード(LED)を用いるものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−202045号公報
【特許文献2】特開2007−330690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の肌施療器は前記特許文献に示される構成となっており、こうした機器では、光の照射強度を大きくするほど施療効果を高めることができるが、照射強度が大となるほど、誤って光を直視した場合に目が受ける障害は甚大なものとなる。こうした機器のうち、家庭用や個人用のものでは、肌に光を十分に照射できる機構を有する一方で、簡易な構成とするために、照射される光を周りで遮るものが無いことも多く、使用中の機器を必要以上に肌から離したり、光の照射される方向を正しく肌の施療部位に向けていない場合には、施療に適した所定の強度で照射される光が、誤って使用者の目に入射することも起こり得ることとなり、この場合、目に重大な影響を与える危険性が極めて高いという課題を有していた。
【0005】
特に、紫外線や赤外線を照射する機器の場合、こうした可視光以外の光は目で認識することができないことから、その強度の把握は困難であり、使用者が気付かないうちに重大な障害を受けかねないという課題を有していた。
【0006】
また、こうした目への影響と共に、従来の機器における光を肌に向わせていない状態での光照射については、いわば必要のない照射動作であり、その分だけ無駄に電力を消費するものでもあった。
【0007】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、施療のために照射される光が誤って目に入りかねない状況を自動的に検出して光の強度を調整し、光が目に入った場合の危険性を低くして、安全に使用を続けられる施療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る施療器は、被施療者の肌に所定波長の光を照射して所定の施療効果を生じさせる施療器において、光を照射する照射部の周囲を覆い、前記照射部前方側の開口部分以外が閉じた略筒形状のガイド部と、前記ガイド部内に面する所定箇所に設けられた吸引孔を通じてガイド部内の空気を吸引する吸引手段と、当該吸引手段の吸引で前記ガイド部における開口の周縁部に肌が接触及び/又は接近している状態と、前記周縁部に肌が接近していない状態との間での所定の物理量変化を検出する検出部と、当該検出部の検出状態に応じて前記照射部からの光の照射される強度を調整する制御部とを備え、当該制御部が、前記周縁部に肌が接近していない状態では、照射される光を少なくとも人の目に前記光が入射しても有害な影響を与えない所定の第1の照射強度とする一方、前記周縁部に肌が接触及び/又は接近している状態では、照射部から照射される光の照射強度を前記第1の照射強度より大きくするものである。
【0009】
このように本発明によれば、光を照射する照射部と共にこれを取囲むガイド部及び吸引手段を設け、光の照射と吸引を実行する中、光が直接人の目に入射する危険性がある状況、すなわち、ガイド部における開口の周縁部に肌が接近していない状態に対応する物理量を検出部で検出している場合には、制御部が光を少なくとも人の目にこの光が直接入射しても有害な影響を与えない第1の照射強度とし、逆に、照射部からの光が肌以外には達しない、前記周縁部に肌が接触及び/又は接近している状態に対応する物理量を検出部で検出している場合には、制御部が光の照射強度を前記第1の照射強度より大きくする制御を実行することにより、照射部から照射された光がガイド部開口を通じて被施療者本人や周囲の人の目に誤って入り得るような場合の危険を回避できる一方、ガイド部の開口周縁部の全周が被施療者の肌に接触又は適度に接近して光が肌以外に達しない場合には、適切な強度の光として十分な施療性能を確保することとなり、常に安全を維持した状態で効率よく施療を行える。また、吸引手段が光の照射時に吸引を行って肌をガイド部開口へ吸い寄せることで、肌とガイド部の開口周縁部との密着度合が高まり、開口を通じて出る光を肌以外には向わせない安全な状態を容易且つ確実に維持でき、ガイド部を肌に強く押し当てる必要がなく使用者の負担を軽減できることに加え、吸引力でガイド部の内側に肌が一部入り込んだ状態になりやすく、ガイド部の内側に入り込んだ肌と照射部との距離が近付き、照射された光の肌への到達が促進され、光による肌への施療効果がより一層高まることとなる。さらに、ガイド部を肌から離しても、目に悪影響を与えない程度の弱い光は照射されていることから、照射される光が可視光の場合、施療器が動作状態にあることを使用者が判別しやすく、誤操作を防止できる。
【0010】
また、本発明に係る施療器は必要に応じて、前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部を肌から離した場合と、前記周縁部に肌が接した場合とで異なる吸引手段の吸引負荷に係る物理量の変化を検出するものである。
【0011】
このように本発明によれば、吸引手段が光の照射と同時に吸引を行う中、ガイド部の開口周縁部が肌に接していない場合と接した場合とで吸引手段の吸引負荷が異なる状態となるのを利用して、検出部で吸引負荷に係る所定の物理量の変化を検出し、この検出結果に基づいて制御部が光の強度を調整することにより、周縁部全周が肌に当接して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部が肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じた状態との判別が確実に行え、ガイド部の開口周縁部全周と肌との当接の有無に対応して光の照射強度を適切に調整、制限できることとなり、光を照射する施療中の安全性を確実に維持できる。また、ガイド部近傍にガイド部と肌との位置関係を直接検知するセンサ等を設けずに済むこととなり、構造を簡略化して低コスト化が図れる。
【0012】
また、本発明に係る施療器は必要に応じて、前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部を肌から離した場合と、前記周縁部に肌が接した場合とで異なるガイド部内の圧力の変化を検出するものである。
【0013】
このように本発明によれば、吸引手段が吸引を行うと、ガイド部開口周縁部が肌に接していない場合と接した場合とでガイド部内の圧力が異なる状態となるのを利用して、吸引手段が吸引を行う中、検出部としての圧力センサでガイド部内の圧力変化を検出し、検出結果に基づいて制御部が光の強度を調整することにより、ガイド部の開口周縁部全周が肌に当接して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部が肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態とを正しく判別して適切な照射強度調整が行え、光を照射する施療中の安全性を確実に維持できる。
【0014】
また、本発明に係る施療器は必要に応じて、前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部に配設される複数対の電極を備え、ガイド部の前記周縁部が全て肌に接していない場合と接した場合とで異なる、対をなす電極間の通電状態に係る物理量の変化を検出するものである。
【0015】
このように本発明によれば、ガイド部の開口周縁部に対をなす電極を複数組配設し、ガイド部開口周縁部が肌に接していない場合と接した場合とで対をなす電極間の通電状態が変化するのを利用して、光を照射する間、電極間の通電状態に係る所定の物理量の変化を検出し、この検出結果に基づいて制御部が光の照射強度を調整することにより、ガイド部の開口周縁部全周が肌に当接して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部が肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態との判別が確実に行え、ガイド部の開口周縁部全周と肌との当接の有無に対応して光の照射強度を適切に調整、制限できることに加え、検出部における検出が吸引に依存せず、吸引が誤って停止した状態でも光の照射強度を調整できることとなり、光を照射する施療中の安全性や信頼性を向上させられる。
【0016】
また、本発明に係る施療器は必要に応じて、前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部に接近する被施療者の肌を含む所定の物体との距離の変化を検出する測距センサを備えるものである。
【0017】
このように本発明によれば、検出部として肌までの距離を検出可能な測距センサを配設し、ガイド部の開口周縁部が肌から離れている場合と接近した場合とで肌とセンサとの距離が異なる状態となるのを利用して、光を照射する間、測距センサで距離変化を検出し、検出結果に基づいて制御部が光の照射強度を調整することにより、ガイド部の開口周縁部が肌に接触及び/又は接近して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部が肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態とを正しく判別して適切な照射強度調整が行える。また、検出部としての測距センサにおける検出が吸引状態に依存せず、且つ周縁部と肌との接触を要しないことから、吸引が誤って停止した状態でも光の照射強度を調整でき、光を照射する施療中の安全性や信頼性を向上させられると共に、周縁部を肌と完全に接触させなくても光が肌以外に達しない状況において、適切に光の照射強度を調整して効率よく施療動作が行える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る施療器の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る施療器における施療部の縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る施療器のブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る施療器における吸引力変化に伴う電流検出抵抗の電位変化説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る施療器の照射部における施療時の照射強度変化状態説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る施療器における肌吸引状態説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る施療器における施療部要部の縦断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る施療器のブロック図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る施療器における施療部要部の縦断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る施療器におけるガイド部の斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る施療器のブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る施療器における施療部要部の縦断面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る施療器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る施療器を図1ないし図6に基づいて説明する。
前記各図において本実施形態に係る施療器1は、使用者に保持されて被施療部位に向けられ、内蔵された照射部12による施療動作を実行する施療部10と、エアチューブ74及びケーブル75で施療部10と接続され、吸引手段としてのポンプ50や電源部60を内蔵するスタンド部15とを備える構成である。
【0020】
前記施療部10は、使用者が手で持って保持する本体部11と、この本体部11に取付けられて所定波長の光を照射する照射部12と、光を照射する照射部12の周囲を覆って肌に当接する開口部分以外が気密を確保しつつ閉じた略筒形状のガイド部13とを備える構成である。
【0021】
前記本体部11は、手で保持される把持部11aの長手方向と照射部12を設けられる施療面部11bの正面方向とが略直角をなす形状として形成され、施療面部11bの周囲にガイド部13を取付けられる構成である。前記施療面部11bは、ガイド部13内部に面することとなり、照射部12が配設されると共に、ガイド部13内の空気を吸込む吸引孔11cが穿設される。また、前記把持部11aには、施療動作のON、OFFを切換える操作スイッチ11dが配設される。
【0022】
前記照射部12は、肌、すなわち表皮から皮下組織までの体表層部分に所定の施療効果を生じさせる赤外光、可視光、紫外光等の光を発する高輝度型の発光ダイオード(LED)を複数配置した公知の光源であり、詳細な説明を省略する。この照射部12としては、赤外光や可視光などいずれか一種類の光を発するLEDのみ配設する構成に限らず、例えば赤外光を発するものと可視光を発するものを並べて配置するなど、異なる種類の光を発する光源を複数組合わせて配設する構成とすることもできる。
【0023】
前記ガイド部13は、可撓性を有するゴム等の弾性材で形成され、本体部11寄り部分に比べて肌に接触させる開口側を小径とした先細状の略筒状体とされて、本体部11に着脱自在に取付けられる構成である。このガイド部13は、肌への密着性を高めるよう、本体部11寄り部分から開口周縁部13aに近付くほど厚みを薄くして形成され、柔軟性に優れた構造となっており、吸引により肌がガイド部13に吸い寄せられた場合には、周縁部13aが内側に変形して肌を過度に圧迫しないものの、肌との密着状態を適切に維持して、吸引力による肌のガイド部内への引寄せ状態を効率よく保持する仕組みである(図6参照)。ガイド部13については、照射部12として光の照射範囲の広い光源を用いる場合、ガイド部開口以外からの光の予期せぬ漏れを防ぐために、遮光性素材製で、孔や継目等がなく連続した筒体からなる構成とするのが好ましい。
【0024】
前記スタンド部15は、駆動用のモータ51と一体化されて前記吸引孔11cからガイド部13内の空気を吸引する前記吸引手段としてのポンプ50と、ポンプ50及び照射部12に電力を供給する電源部60と、ガイド部13の開口周縁部13aに対し肌が離れた場合と肌が接した場合とで異なるポンプ50の吸引負荷に係るポンプ駆動電流の変化を電位変化として検出する前記検出部としての電流検出抵抗14と、この電流検出抵抗14の検出状態に応じて照射部12からの光の照射される強度を調整する前記制御部としての制御回路16と、施療部10以外の前記各機構を収容する筐体70とを備える構成である。
【0025】
前記ポンプ50は、エアチューブ74を介して吸引孔11cに連通し、照射部12による光照射と並行して吸引を実行し、ガイド部13の開口に位置する被施療者の肌を開口の周縁部13aに密着させ、且つ肌の周縁部13aに囲まれた部分をガイド部13内へ引寄せるものである。ポンプ50での吸引に際し、ガイド部13は可撓性を有することから、吸引力でガイド部13も肌の開口からガイド部13内への進入を促すように変形し、肌は照射部12に近付くこととなる。なお、このポンプ50の吸引で肌が周縁部13aに密着しガイド部13内へ引寄せられた状態では、肌に対し吸引に伴う角栓や汚れを除去するといったような施療効果も与えられる。
【0026】
前記電流検出抵抗14は、ポンプ50における吸引負荷に対応して増減するポンプ駆動電流の流れる回路中に配設され、ポンプ駆動電流の変化を電位の変化に変換し、この電位変化から、肌とガイド部13の開口周縁部13aとの接触の有無に伴うポンプ50の吸引負荷の変化、すなわち、ガイド部13における開口の周縁部13aに肌が接触して吸引負荷が高い状態と、前記周縁部13aが肌に接触せず吸引負荷が低い状態とを判別可能とするものである。
【0027】
前記制御回路16は、ポンプ50の吸引負荷の変化に対応して電流検出抵抗14で検出される電位の変化に基づいて作動するものであり、吸引が行われる中、ガイド部13における開口の周縁部13a全周と肌が接触した時に、肌で開口を完全に塞がれたガイド部13内に外部の空気が入りにくくなることでポンプ50の吸引負荷が増大し、電流検出抵抗14の電位も所定の値に達するが、この値を閾値として、これを境に照射部12に加わる電圧を増やして照射強度を高めることとなる。
【0028】
逆に、ガイド部13における開口の周縁部13aが肌に接触していない状態では、ガイド部13内への空気の流入が起こり得ることでポンプ50の吸引負荷は小さく、電流検出抵抗14の電位も前記閾値より小さくなっており、制御回路16は光の照射強度を人の目に光が入射しても有害な影響を与えない前記第1の照射強度に抑える。
【0029】
具体的には、この制御回路16は、電流検出抵抗14の電位が前記閾値以上となった場合にON状態となって照射部12に加わる電圧を増やす制御用トランジスタ17と、電流検出抵抗14の電位が前記閾値より小さく制御用トランジスタ17がOFF状態の場合に照射部12に加わる電圧を抑える電圧制限抵抗18とを備える構成である。
【0030】
電流検出抵抗14の電位が前記閾値以上となる状態は、ガイド部13における開口の周縁部13a全周に肌が接触して開口を塞ぎ、ガイド部内を完全に密閉して、ガイド部13の開口を出る光が肌以外に達しない状況に対応しており、電流検出抵抗14はこの周縁部13aに肌が接してガイド部内が完全に密閉され、開口を出た光が肌以外に達しない状態を検出しているといえる。この場合に制御回路16では、制御用トランジスタ17がON状態となり、制御用トランジスタ17が電圧制限抵抗18と並行するバイパス回路を生成して、照射部12を動作させる回路中の電気抵抗を小さくし、照射部12に加わる電圧を増やし、照射部12からの光の照射される強度を増大させることで、施療効果を高める。
【0031】
一方、電流検出抵抗14の電位が前記閾値を下回る状態は、ガイド部13における開口の周縁部13aに肌が接しておらず、ガイド部13の開口を出た光が肌以外に達するおそれがある状況に対応しており、この周縁部13aが肌に接しておらず光が肌以外、特に目に達する危険性のある状態を電流検出抵抗14が検出しているといえる。
【0032】
この場合、制御回路16では、電流検出抵抗14の電位が小さく、閾値に達しないことで制御用トランジスタ17がOFF状態を維持し、電圧制限抵抗18のみが照射部12と直列となることで、照射部12に加わる電圧が小さく抑えられ、照射部12の照射強度は光が目に入ったとしても安全な低いレベルに維持される。
【0033】
前記筐体70は、主電源スイッチや吸引力調整部等の操作部71を配設されると共に、本体部11に対し着脱可能なガイド部13及びその予備品を収納したり、施療部10を収納する各凹部72、73を表面に形成される構成である。
【0034】
次に、本実施形態に係る施療器における動作状態について説明する。前提として、施療器1が電源投入により起動し、使用者(被施療者本人又は別人の施療者)が施療部10を持って肌の施療部位に向けた状態にあって、使用者により動作指示が入力されれば施療動作を開始可能な状態にあるものとする。
【0035】
使用者が操作スイッチ11dをON状態とすると、ポンプ50による吸引が開始され、同時に照射部12における光の照射も開始される。初期状態では光の照射強度は目に入っても安全な低強度となっている。ガイド部13の開口周縁部13aを肌から離している状態では、ガイド部13内に空気が流入可能となっているので、ポンプ50の吸引負荷は小さく、ポンプ50の駆動電流は大きくならず、電流検出抵抗14の電位は閾値より小さい。
【0036】
開口周縁部13aを肌に接触させると、ポンプ50の吸引で肌は開口に引寄せられて周縁部13aに密着する状態となり、合せて肌が開口を塞いでガイド部13内を完全に密閉し、ガイド部13内に外部の空気が流入しにくくなるために、ポンプ50の吸引負荷が大きくなり、それにつれてポンプ50の駆動電流が徐々に増加する。ポンプ50の駆動電流は制御回路16の電流検出抵抗14も流れているが、電流検出抵抗14を流れる電流が増加して、電流検出抵抗14の電位が閾値を超えると、制御用トランジスタ17がON状態となり、制御用トランジスタ17のコレクタ−エミッタ間に並列配置される電圧制限抵抗18で照射部12に加わる電圧を抑えていたのを、制御用トランジスタ17で短絡する状態となる。これにより、照射部12には電圧制限抵抗18で抑えられていた分の電圧が加わることとなり、光の照射強度が施療に適した状態に増大する。
【0037】
同時に、吸引によってガイド部13を変形させつつ肌の一部がガイド部13内に入り込む状態となっており、肌とガイド部13の開口周縁部13aとの密着度が高まって、肌とガイド部13の開口周縁部13aが離れず開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態が容易に維持でき、ガイド部内の完全な密閉のためにガイド部13を肌に強く押し当てる必要がなく使用者の負担を軽減できることに加え、ガイド部13に入り込んだ肌と照射部12間の距離も縮まって、肌は照射部12からの光を多く受けることができ、光による肌への施療効果も高められる。またこの時、ガイド部13内に入り込んだ肌の表面では吸引により毛穴も拡張した状態となっており、こうした毛穴など肌の細部にまで光を照射できることとなる。
【0038】
施療を中断したり施療位置を変えるために、ガイド部13の開口周縁部13aを肌から離すと、ガイド部13内に空気が流入可能となることで、ポンプ50の吸引負荷は小さくなり、ポンプ50の駆動電流も小さくなる。このため、制御回路16の電流検出抵抗14を流れる電流も減少し、電流検出抵抗14の電位が閾値を下回ることで、制御用トランジスタ17がOFF状態となり、照射部12に加わる電圧を電圧制限抵抗18で抑える状態に移行する。こうして、照射部12に加わる電圧が電圧制限抵抗18で抑えられる分、光の照射強度が目への影響のない安全な状態まで低下する。この場合、仮にガイド部13の開口を出た光が直接目に入るようなことがあっても、目への悪影響は生じない。施療を完全に終える場合は、使用者が操作スイッチ11dをOFF状態とすると、ポンプ50による吸引と照射部12における光の照射が停止する。
【0039】
このように、本実施形態に係る施療器は、光を照射する照射部12と共にこれを取囲むガイド部13及び吸引手段としてのポンプ50を設け、光の照射と吸引を実行する中、光が直接人の目に入射する危険性がある状況、すなわち、ガイド部13における開口の周縁部13aに肌が接近していない状態に対応する物理量としての電位を電流検出抵抗14で検出している場合には、制御回路16が光を人の目に直接入射しても有害な影響を与えない照射強度とし、逆に、照射部12からガイド部13の開口を通った光が肌以外には達しない、周縁部13a全周に肌が接触してガイド部13内が完全に密閉された状態に対応する電位を電流検出抵抗14で検出している場合には、制御回路16が光の照射強度をより大きくする制御を実行することから、照射された光がガイド部13開口を通じて被施療者本人や周囲の人の目に誤って入り得るような危険を回避できる一方、ガイド部13開口を出た光が肌以外に達しない場合には、適切な強度の光として十分な施療性能を確保することとなり、常に安全を維持した状態で効率よく施療を行える。さらに、ガイド部13を肌から離しても、目に悪影響を与えない程度の弱い光は照射されていることから、照射される光が可視光の場合、施療器が動作状態にあることを使用者が判別しやすく、誤操作を防止できる。
【0040】
なお、前記実施形態に係る施療器において、ガイド部13は好ましくは遮光性素材製とする構成としているが、これに限らず、ガイド部を照射部からの光を一部透過させる素材製とする構成、具体的には、照射部からの照射強度が最大の場合でもガイド部を透過した光は目に入っても安全な程度に減衰しているような一部透光性を有する素材でガイド部を形成する構成とすることもできる。また、LED等の指向性の強い照射部を用い、照射部前方の開口以外には目に入っても安全な強度の光のみ照射されるような場合には、ガイド部をより透光性の高い素材とすることもでき、照射される光が可視光の場合、ガイド部を介して光が照射されている動作状態を使用者がより一層把握しやすい。
【0041】
また、前記実施形態に係る施療器においては、動作状態で吸引手段としてのポンプ50により連続的に吸引を行う構成としているが、これに限らず、肌を吸引しつつ光を照射する状況で、所定時間間隔で一時的にポンプの吸引動作を停止もしくは吸引力を低下させるようにして、光の照射強度を低下させると共に、ガイド部の開口周縁部を肌から離しやすくする構成とすることもでき、適切なタイミングで施療対象位置を肌の他の位置にずらしやすく、肌の各位置に効率よく施療が実行できることに加え、肌に対し吸引によるガイド部内への引寄せとそれからの解放とが繰返されることで、肌に血行促進等のマッサージ効果を与えることができる。
【0042】
また、前記実施形態に係る施療器において、照射部12についてはポンプ50の吸引負荷に応じて制御回路16で一様に照射強度を調整する構成としているが、これに限らず、照射部として可視光や赤外光など異なる波長の光を発する複数種類の光源を用いる場合には、照射強度の調整幅を光の波長によって異ならせる、例えば、赤外光については調整幅を大きく、可視光については調整幅を小さくするなどして調整する構成とすることもできる。特に、施療中の照射強度が可視光については目にとって眩しくない程度である場合には、目に対する影響の大きい波長の光(赤外光や紫外光)は調整する一方、目に対し悪影響のない可視光は調整なしにそのまま連続して照射するようにしてもよい。
【0043】
また、前記実施形態に係る施療器においては、ポンプ50の吸引で肌が周縁部13aに密着し、肌が開口を塞いでガイド部13内を完全に密閉した状態に対応する電流検出抵抗14の電位を閾値として、この閾値以上に電流検出抵抗14の電位が達した場合に、光の照射強度を施療に適したレベルに増大させる制御を行う構成としているが、この他、前記状態からさらに進んで、吸引により肌の一部がガイド部内に入り込み、肌と照射部間の距離が縮まった状態(図6(C)参照)に対応させて閾値を設定する構成とすることもでき、効率的に肌に対し光の照射を行える状態ではじめて照射強度を高めるようにすることで、安全性をさらに向上させると共に、光による肌への施療効果を維持しつつ、高い照射強度で光照射を行う時間を短くすることができ、照射部をなす光源の消費電力や消耗劣化を抑える点で好ましい。
【0044】
(本発明の第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る施療器を図7及び図8に基づいて説明する。図7は本実施形態に係る施療器における施療部要部の縦断面図、図8は本実施形態に係る施療器のブロック図である。
【0045】
前記各図において本実施形態に係る施療器は、前記第1の実施形態同様、照射部22及びガイド部23を有する施療部20と、ポンプ部50及び電源部60を内蔵するスタンド部25とを備える一方、異なる点として、前記検出部としての圧力センサ24と、この圧力センサ24で得られたガイド部23内の圧力の変化からガイド部23の開口周縁部23aに肌が接しているか否かを判定して照射部22における光の照射強度を調整する制御部26を備える構成を有するものである。
【0046】
前記施療部20は、前記第1の実施形態同様、本体部21と、照射部22と、ガイド部23とを備える一方、異なる点として、前記圧力センサ24を本体部21における施療面部21bに配置される構成を有するものである。
【0047】
前記圧力センサ24は、ポンプ50による吸引で変化するガイド部23内部の圧力を検出するダイヤフラム型等の公知のセンサであり、詳細な説明を省略する。この圧力センサ24は、ガイド部23内に面する状態で施療面部21bに配置され、吸引が行われる中、周縁部33aと肌との接触の有無によって変化するガイド部23内の圧力を検出する。
【0048】
前記スタンド部25は、前記第1の実施形態同様、ポンプ50と、電源部60と、筐体70とを備える一方、異なる点として、前記検出部としての圧力センサ24の検出状態に応じて前記照射部22からの光の照射される強度を調整する制御部26を備える構成を有するものである。
【0049】
前記制御部26は、圧力センサ24で検出したガイド部23内の圧力の値に応じて、照射部22への供給電力を変化させて光の照射強度を調整する制御を実行するものである。施療部20を肌に近付けていくと、ガイド部23における開口の周縁部23a全周が肌と接触した時に、ガイド部23内に外部の空気が入りにくくなることで、負圧となっているガイド部23内の圧力がさらに低下し、圧力センサ24の検出値も所定の値に達するが、制御部26はこの値を閾値としてあらかじめ設定し、これ以下の圧力値で照射部22への供給電力を増やして光の照射強度を高める制御を実行する。逆に、ガイド部23における開口の周縁部23aが肌に接触していない状態では、ガイド部23内への空気の流入が起こり得ることで、圧力センサ24の検出する圧力の値が前記閾値より大きくなっており、制御部26は、光の照射強度を人の目に光が入射しても有害な影響を与えない前記第1の照射強度に抑えることとなる。
【0050】
圧力センサ24の検出圧力が前記閾値以下となる状態は、ガイド部23における開口の周縁部23aが全て肌に接触して、ガイド部23の開口を出た光が肌以外に達しない状況に対応しており、この場合に制御部26では、照射部22への供給電力を増やし、照射部22における光の照射強度を増大させることで、光の肌への施療効果を高める。
【0051】
逆に、圧力センサ24の検出圧力が前記閾値を上回る状態は、ガイド部23における開口の周縁部23aに肌が接しておらず、ガイド部23の開口を出た光が肌以外に達するおそれがある状況に対応しており、この場合、制御部26では、照射部22への供給電力を小さく抑え、照射部22の照射強度は光が目に入ったとしても安全な低いレベルに維持される。同時に、照射部22からの光の照射強度低下に伴って消費電力も低下することとなる。
【0052】
次に、本実施形態に係る施療器の動作状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、施療器2が電源投入により起動し、使用者が施療部20を持ってガイド部23開口を施療部位に向け、被施療者により動作指示が入力されれば施療動作を開始可能な状態にあるものとする。
【0053】
被施療者が操作スイッチ21dをON状態とすると、ポンプ50による吸引が開始され、同時に照射部22における光の照射も開始される。初期状態では光の照射強度は目に入っても安全な低強度となっている。ガイド部23の開口周縁部23aを肌から離している状態では、ガイド部23内に空気が流入可能となっているので、圧力センサ24で検出する圧力の値は閾値より大きく、制御部26は周縁部23aに肌が接していない状況として、照射部22への供給電力を小さく抑えており、照射部22における光の照射強度は低くなっている。
【0054】
開口周縁部23を肌に接触させると、ポンプ50の吸引で肌は開口に引寄せられて周縁部23aに密着する状態となり、合せてガイド部23内に外部の空気が流入しにくくなるために、ポンプ50の吸引が継続されるガイド部23内の圧力はさらに負圧側となり、圧力センサ24で検出される圧力の値も大幅に低下し、閾値以下となることで、制御部26は周縁部23a全周と肌が接した状況であると判定し、照射部22への供給電力を増大させて、光の照射強度が施療に適した状態に増大する。
【0055】
同時に、吸引によってガイド部23を変形させつつ肌の一部がガイド部23内に入り込む状態となっており、肌とガイド部23の開口周縁部23aとの密着度が高まって、肌とガイド部23の開口周縁部23aが離れず開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態が、使用者のガイド部23を肌へ強く押付ける操作なしに容易に実現すると共に、ガイド部23内に入り込んだ肌と照射部22間の距離も縮まって、肌は照射部22からの光をより多く受けることができ、光による施療効果もさらに高められる。
【0056】
施療を中断したり施療位置を変えるために、ガイド部23の開口周縁部23aを肌から離すと、ガイド部23内に空気が流入可能となることで、ガイド部23内の圧力が高まり、圧力センサ24で検出する圧力の値が閾値を上回ることで、制御部26は周縁部23aに肌が接していない状況と判定して、照射部22への供給電力を抑える状態に移行する。こうして、照射部22への供給電力が制御部26で抑えられる分、光の照射強度が目への影響のない安全な状態まで低下し、仮にガイド部23の開口を出た光が直接目に入るようなことがあっても、目への悪影響は生じない。施療を完全に終える場合は、前記第1の実施形態同様、使用者が操作スイッチ21dをOFF状態とすると、ポンプ50による吸引と照射部22における光の照射が停止する。
【0057】
このように、本実施形態に係る施療器においては、ポンプ50が吸引を行うと、ガイド部23の開口周縁部23aが肌に接していない場合と接した場合とでガイド部23内の圧力が異なる状態となるのを利用して、ポンプ50が吸引を行う中、検出部としての圧力センサ24でガイド部23内の圧力変化を検出し、検出結果に基づいて制御部26が光の照射強度を調整することから、ガイド部23の開口周縁部23a全周が肌に当接して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部23aが肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態とを正しく判別して適切な照射強度調整が行え、光を照射する施療中の安全性を確実に維持できると共に、光が肌以外に達する状況で光の照射強度を低下させる分、電力消費を抑えて施療器としての省電力化が図れる。
【0058】
(本発明の第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る施療器を図9ないし図11に基づいて説明する。図9は本実施形態に係る施療器のマッサージ中における施療部要部の縦断面図、図10は本実施形態に係る施療器におけるガイド部の斜視図、図11は本実施形態に係る施療器のブロック図である。
【0059】
前記各図において本実施形態に係る施療器は、前記第1の実施形態同様、照射部32及びガイド部33を有する施療部30と、ポンプ部50及び電源部60を内蔵するスタンド部35とを備える一方、異なる点として、前記検出部として、ガイド部33の開口周縁部33aに配設される対をなす検出用電極34を複数組備えると共に、この検出用電極34間の抵抗値変化からガイド部33の開口周縁部33aに肌が接しているか否かを判定して照射部32における光の照射強度を調整する制御部36を備える構成を有するものである。
【0060】
前記施療部30は、前記第1の実施形態同様、本体部31と、照射部32と、ガイド部33とを備える一方、異なる点として、前記検出用電極34をガイド部33における開口の周縁部33aに複数対配置される構成を有するものである。
【0061】
前記検出用電極34は、弾性材製のガイド部33の肌に接する開口の周縁部33aに肌と接触可能に、且つ開口を挟んで対向位置にあるものを一対として複数対配設される導体であり、ガイド部33における開口の周縁部33aに肌が接触している状態と、周縁部33aに肌が接近していない状態との間で変化する対をなす電極間の通電状態に係る抵抗値を検出する構成である。この検出用電極34は、ゴム等の弾性体であるガイド部33表面に金属等の導体を貼付けたり、導体の薄膜を形成することで配設され、ガイド部33が本体部31に装着されることで、同時に本体部33側の導線と導通し、制御部36と電気的に接続される仕組みである。これら検出用電極34は、周縁部33aと肌とを接触させる施療の際に吸引を伴っていることで、周縁部33aごと肌に密着でき、肌を介した電極間の通電状態を確実に得て、周縁部33aと肌とが離れている状態との差異を明確化できる。
【0062】
前記スタンド部35は、前記第1の実施形態同様、ポンプ50と、電源部60と、筐体70とを備える一方、異なる点として、前記検出部としての検出用電極34の検出状態に応じて前記照射部32からの光の照射される強度を調整する制御部36を備える構成を有するものである。
【0063】
前記制御部36は、対をなす検出用電極34間の抵抗値に応じて、照射部32への供給電力を変化させて光の照射強度を調整する制御を実行するものである。制御部36は、ガイド部33における開口の周縁部33a全周が肌と接触した時に、対をなす検出用電極34間の抵抗値が減少して所定の値に達するが、この値を閾値としてあらかじめ設定し、これ以下の抵抗値で照射部32への供給電力を増やして光の照射強度を高める制御を実行する。逆に、ガイド部33における開口の周縁部33aが肌に接触していない状態では、検出用電極34間の抵抗値が前記閾値より大きくなっており、制御部36は、光の照射強度を人の目に光が入射しても有害な影響を与えない前記第1の照射強度に抑えることとなる。
【0064】
検出用電極34間の抵抗値が前記閾値以下となる状態は、ガイド部33における開口の周縁部33a全周に肌が接触して、ガイド部33の開口を出た光が肌以外に達しない状況に対応しており、この場合に制御部36では、照射部32への供給電力を増やし、照射部32における光の照射強度を増大させることで、光の肌への施療効果を高める。
【0065】
逆に、検出用電極34間の抵抗値が前記閾値を上回る状態は、ガイド部33における開口の周縁部33aに肌が接しておらず、ガイド部33の開口を出た光が肌以外に達するおそれがある状況に対応しており、この場合、制御部36では、照射部32への供給電力を小さく抑え、照射部32の照射強度は光が目に入ったとしても安全な低いレベルに維持される。同時に、照射部32からの光の照射強度低下に伴って消費電力も低下することとなる。
【0066】
次に、本実施形態に係る施療器の動作状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、施療器3が電源投入により起動し、使用者が施療部30を持ってガイド部33開口を施療部位に向け、被施療者により動作指示が入力されれば施療動作を開始可能な状態にあるものとする。
【0067】
被施療者が操作スイッチ31dをON状態とすると、ポンプ50による吸引が開始され、同時に照射部32における光の照射も開始される。初期状態では光の照射強度は目に入っても安全な低強度となっている。ガイド部33の開口周縁部33aを肌から離している状態では、開口周縁部33aに配置された検出用電極34間の抵抗値がいずれも無限大となって閾値より大きいので、制御部36は周縁部33aに肌が接していない状況として、照射部32への供給電力を小さく抑えており、照射部32における光の照射強度は低くなっている。
【0068】
開口周縁部33aを肌に接触させると、ポンプ50の吸引で肌は開口に引寄せられて周縁部33aに密着する状態となり、合せてガイド部33の開口周縁部33aの全ての対をなす検出用電極34間において抵抗値が大幅に低下し、閾値以下となることで、制御部36は周縁部33a全周と肌が接した状況であると判定し、照射部32への供給電力を増大させて、光の照射強度が施療に適した状態に増大する。
【0069】
同時に、吸引によって肌の一部がガイド部33内に入り込む状態となっており、肌とガイド部33の開口周縁部33aとの密着度が高まって、肌とガイド部33の開口周縁部33aが離れず開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態が、使用者のガイド部33を肌へ強く押付ける操作なしに容易に実現すると共に、ガイド部33内に入り込んだ肌と照射部32間の距離も縮まって、肌は照射部32からの光をより多く受けることができ、光による施療効果もさらに高められる。
【0070】
施療を中断したり施療位置を変えるために、ガイド部33の開口周縁部33aを肌から離すと、ガイド部33の開口周縁部33aの検出用電極34間の抵抗が大きくなり、抵抗が前記閾値を上回ることで、制御部36は周縁部33aに肌が接していない状況と判定して、照射部32への供給電力を抑える状態に移行する。こうして、照射部32への供給電力が制御部36で抑えられる分、光の照射強度が目への影響のない安全な状態まで低下し、仮にガイド部33の開口を出た光が直接目に入るようなことがあっても、目への悪影響は生じない。施療を完全に終える場合は、前記第1の実施形態同様、使用者が操作スイッチ31dをOFF状態とすると、ポンプ50による吸引と照射部32における光の照射が停止する。
【0071】
このように、本実施形態に係る施療器においては、ガイド部33の開口周縁部33aに対をなす検出用電極34を複数組配設し、ガイド部33の開口周縁部33aが肌に接していない場合と接した場合とで対をなす検出用電極34間の通電状態が変化するのを利用して、光を照射する間、検出用電極34間の通電状態に係る抵抗値の変化を検出し、この検出結果に基づいて制御部36が光の照射強度を調整することから、ガイド部33の開口周縁部33a全周が肌に当接して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部33aが肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態との判別が確実に行え、ガイド部33の開口周縁部33a全周と肌との当接の有無に対応して光の照射強度を適切に調整、制限できることに加え、検出部としての検出用電極34における検出が吸引状態に依存せず、吸引が誤って停止した状態でも光の照射強度を調整できることとなり、光を照射する施療中の安全性や信頼性を向上させられる。
【0072】
なお、前記実施形態に係る施療器においては、検出部として検出用電極34を用い、電極間の通電状態に係る抵抗値の変化を検出して、制御部36で光の照射強度を調整する構成としているが、この他、検出用電極に代えて、前記検出部として、ガイド部における開口の周縁部全周にわたって一又は複数配設されて肌との接触に伴う圧力変化を検出する感圧センサを備える構成とすることもでき、ガイド部開口周縁部が肌に接していない場合と接した場合とで周縁部表面に加わる相対圧力が異なる状態となるのを利用して、光を照射する間、感圧センサで圧力変化を検出し、この検出結果に基づいて制御部が光の照射強度を調整することで、前記実施形態同様、ガイド部の開口周縁部全周が肌に当接して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部が肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態とを正しく判別して適切な照射強度調整が行え、光を照射する施療中の安全性をより確実に維持できる。
【0073】
また、別の検出部として、可撓性材料で形成されるガイド部における開口の周縁部の肌との接触に伴う変形に係る物理量の変化、例えば変形に係るひずみ量の変化を検出するセンサを備える構成とすることもでき、前記同様センサの検出結果に基づいて制御部が光の照射強度を調整することで、前記実施形態同様の適切な照射強度調整が行え、施療中の安全を確保できる。
【0074】
(本発明の第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る施療器を図12及び図13に基づいて説明する。図12は本実施形態に係る施療器における施療部要部の縦断面図、図13は本実施形態に係る施療器のブロック図である。
【0075】
前記各図において本実施形態に係る施療器は、前記第1の実施形態同様、照射部42及びガイド部43を有する施療部40と、ポンプ部50及び電源部60を内蔵するスタンド部45とを備える一方、異なる点として、前記検出部としての測距センサ44と、この測距センサ44で得られた肌までの距離の変化からガイド部43の開口周縁部43aに肌がほぼ接しているか否かを判定して照射部42における光の照射強度を調整する制御部46とを備える構成を有するものである。
【0076】
前記施療部40は、前記第1の実施形態同様、本体部41と、照射部42と、ガイド部43とを備える一方、異なる点として、前記測距センサ44を本体部41における施療面部41bに配置される構成を有するものである。
【0077】
前記測距センサ44は、測定用の光を発する投光部44aと、この投光部44aからの光が測定対象物で反射された戻り光を受光する受光部44bとを備え、受光部44bでの受光量等からセンサ位置と測定対象物間の距離を測定する公知の光電・反射型のセンサであり、詳細な説明を省略する。この測距センサ44は、施療面部31bに投光部44aと受光部44bを所定間隔離して配置され、このセンサとガイド部43の周縁部43aに近接させた肌との距離を検出する仕組みである。
【0078】
前記スタンド部45は、前記第1の実施形態同様、ポンプ50と、電源部60と、筐体70とを備える一方、異なる点として、前記検出部としての測距センサ44の検出状態に応じて前記照射部42からの光の照射強度を調整する制御部46を備える構成を有するものである。
【0079】
前記制御部46は、測距センサ44で検出したセンサから肌までの距離の値に応じて、照射部42への供給電力を変化させて光の照射強度を調整する制御を実行するものである。施療部40を肌に近付けていくと、ガイド部43における開口の周縁部43a全周が肌に接近した状態、例えば、周縁部43aと肌との距離が5mm程度となった状態で、測距センサ44で得られる距離の値が所定の値に達するが、制御部46は、この値を閾値としてあらかじめ設定し、これ以下の距離の場合に照射部42への供給電力を増やして光の照射強度を高める制御を実行する。逆に、ガイド部43における開口の周縁部43aが肌に接近していない状態では、測距センサ44で得られる距離の値が前記閾値より大きくなっており、制御部46は、光の照射強度を人の目に光が入射しても有害な影響を与えない前記第1の照射強度に抑えることとなる。
【0080】
測距センサ44で得られる距離の値が前記閾値以下となる状態は、ガイド部43における開口の周縁部43aが肌に接触するか極めて近い距離まで接近して、ガイド部43の開口を出た光が肌以外に達しない状況に対応しており、この場合に制御部46では、照射部42への供給電力を増やし、照射部42における光の照射強度を増大させることで、光の肌への施療効果を高める。
【0081】
逆に、測距センサ44で得られる距離の値が前記閾値を上回る状態は、ガイド部43における開口の周縁部43aと肌が離れており、ガイド部43の開口を出た光が肌以外に達するおそれがある状況に対応しており、この場合、制御部46では、照射部42への供給電力を小さく抑え、照射部42の照射強度は光が直接目に入ったとしても安全な低いレベルに維持される。同時に、照射部42からの光の照射強度低下に伴って消費電力も低下することとなる。
【0082】
次に、本実施形態に係る施療器の動作状態について説明する。前提として、前記第1の実施形態同様、施療器4が電源投入により起動し、使用者が施療部40を持ってガイド部43開口を施療部位に向け、被施療者により動作指示が入力されれば施療動作を開始可能な状態にあるものとする。
【0083】
被施療者が操作スイッチ41dをON状態とすると、ポンプ50による吸引が開始され、同時に照射部42における光の照射も開始される。初期状態では光の照射強度は目に入っても安全な低強度となっている。ガイド部43の開口周縁部43aを肌から離している状態では、ガイド部43内の測距センサ44をなす投光部44a及び受光部44bと肌との距離が大きくなっており、検出される距離の値が閾値より大きいので、制御部46は周縁部43aに肌が接近していない状況として、照射部42への供給電力を小さく抑えており、照射部42における光の照射強度は低くなっている。
【0084】
開口周縁部43aを肌にほぼ接触する状態まで近付けると、ガイド部43内の測距センサ44と肌との距離が縮まり、センサで検出される距離の値も小さくなり、閾値以下となることから、制御部46は周縁部43aと肌が十分接近してガイド部43開口から出た光が肌以外に達しない状況であると判定し、照射部42への供給電力を増大させて、光の照射強度を施療に適した状態に増大させる。
【0085】
さらに、開口周縁部43a全周を肌に接触させると、ポンプ50の吸引で肌は開口に引寄せられて周縁部43aに密着する状態となる。同時に、吸引によって肌の一部がガイド部43内に入り込む状態となっており、肌とガイド部43の開口周縁部43aとの密着度が高まって、肌とガイド部43の開口周縁部43aが離れず開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態が、使用者のガイド部43を肌へ強く押付ける操作なしに容易に実現すると共に、ガイド部43内に入り込んだ肌と照射部42間の距離も縮まって、肌は照射部42からの光をより多く受けることができ、光による施療効果もさらに高められる。
【0086】
施療を中断したり施療位置を変えるために、ガイド部43の開口周縁部43aを肌から離すと、センサで検出する距離の値が大きくなり、前記閾値を上回ることで、制御部46は周縁部43aに肌が接近していない状況と判定して、照射部42への供給電力を抑える状態に移行する。こうして、照射部42への供給電力が制御部46で抑えられる分、光の照射強度が目への影響のない安全な状態まで低下し、仮にガイド部43の開口を出た光が直接目に入るようなことがあっても、目への悪影響は生じない。施療を完全に終える場合は、前記第1の実施形態同様、使用者が操作スイッチ41dをOFF状態とすると、ポンプ50による吸引と照射部42における光の照射が停止する。
【0087】
このように、本実施形態に係る施療器においては、検出部として肌までの距離を検出可能な測距センサ44を配設し、ガイド部43の開口周縁部43aが肌から離れている場合と接近した場合とで肌とセンサとの距離が異なる状態となるのを利用して、光を照射する間、測距センサ44で距離変化を検出し、検出結果に基づいて制御部46が光の照射強度を調整することから、ガイド部43の開口周縁部43aが肌に接触及び/又は接近して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部43aが肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態とを正しく判別して適切な照射強度調整が行える。また、検出部としての測距センサ44における検出が吸引状態に依存せず、且つ周縁部43aと肌との接触を要しないことから、吸引が誤って停止した状態でも光の照射強度を調整でき、光を照射する施療中の安全性や信頼性を向上させられると共に、周縁部43aを肌と完全に接触させなくても光が肌以外に達しない状況において、適切に光の照射強度を調整して効率よく施療動作が行える。
【0088】
なお、前記第4の実施形態に係る施療器においては、測距センサ44として、対象物に光を投射し、測定対象物で反射した戻り光を受けることで距離を測定するものを用いる構成としているが、これに限らず、光の代りに超音波や電波を用いて測定を行うものでもかまわない。
【0089】
また、前記第1ないし第4の各実施形態に係る施療器において、ガイド部13、23、33、43はポンプ50の吸引により吸い寄せられる肌に伴って変形して肌の照射部への接近を促す可撓性材料製とされる構成としているが、これに限らず、高剛性で容易に変形しない硬質材料製として形成する構成とすることもできる。さらに、このガイド部を変形しない材質とする場合、ガイド部における開口の周縁部と他部分とを別体とし、周縁部を前記他部分に対し筒軸方向に移動可能とする一方、検出部として、ガイド部の開口周縁部の肌との接触に伴う前記他部分に対する相対変位を検出するセンサ又はスイッチを備える構成とすることもでき、周縁部が肌に接していない場合と接した場合とで周縁部のガイド部他部分に対する位置関係が異なる状態となるのを利用して、光を照射する間、検出部をなすセンサ又はスイッチで周縁部の変位を検出し、この検出結果に基づいて光の照射強度を調整することで、ガイド部の開口周縁部全周が肌に当接して開口を出た光が肌以外に達しない安全な状態と、周縁部が肌から離れて開口を出た光の目に入る危険性が生じている状態との判別が確実に行え、光の照射強度の調整を適切に実行でき、施療中の安全性をより確実に維持できる。
【0090】
また、前記第1ないし第4の各実施形態に係る施療器においては、照射部としてLEDを用いる構成としているが、これに限らず、ストロボライトや赤外ヒータ、レーザー素子等の他の光源を用いるようにしてもよく、また施療効果を与える対象も肌にとどまらず、発する光の波長や照射強度によっては、より深層の体組織(内臓脂肪等)まで施療効果を与えるようにしてもかまわない。さらに、照射部は光源となるLEDを直接施療面部11bに取付けて用いて、光源が直接ガイド部内の空間に面する構成としているが、これに限らず、光源を本体部内側に設けて施療面部における透光材質の窓部を介して光を照射したり、本体部奥に内蔵した光源から光ファイバ等の光伝達手段を介して施療面部に到達させ、ガイド部内に光を照射する構成とするようにしてもよい。
【0091】
また、前記第1ないし第4の各実施形態に係る施療器において、ガイド部内の空気を吸引する吸引手段としてモータ駆動の電動式ポンプ50を用いる構成としているが、これに限らず、手動で空気の吸引、排出を行うタイプのポンプを用いる構成とすることもでき、施療器全体の構造を簡略化できる。
【符号の説明】
【0092】
1 施療器
10、20、30、40 施療部
11、21、31、41 本体部
11a 把持部
11b、21b、31b、41b 施療面部
11c 吸引孔
11d、21d、31d、41d 操作スイッチ
12、22、32、42 照射部
13、23、33、43 ガイド部
13a、23a、33a、43a 周縁部
14 電流検出抵抗
15 スタンド部
16 制御回路
17 制御用トランジスタ
18 電圧制限抵抗
24 圧力センサ
26、36、46 制御部
34 検出用電極
44 測距センサ
44a 投光部
44b 受光部
50 ポンプ
51 モータ
60 電源部
70 筐体
71 操作部
72、73 凹部
74 エアチューブ
75 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の肌に所定波長の光を照射して所定の施療効果を生じさせる施療器において、
光を照射する照射部の周囲を覆い、前記照射部前方側の開口部分以外が閉じた略筒形状のガイド部と、
前記ガイド部内に面する所定箇所に設けられた吸引孔を通じてガイド部内の空気を吸引する吸引手段と、
当該吸引手段の吸引で前記ガイド部における開口の周縁部に肌が接触及び/又は接近している状態と、前記周縁部に肌が接近していない状態との間での所定の物理量変化を検出する検出部と、
当該検出部の検出状態に応じて前記照射部からの光の照射される強度を調整する制御部とを備え、
当該制御部が、前記周縁部に肌が接近していない状態では、照射される光を少なくとも人の目に前記光が入射しても有害な影響を与えない所定の第1の照射強度とする一方、前記周縁部に肌が接触及び/又は接近している状態では、照射部から照射される光の照射強度を前記第1の照射強度より大きくすることを
特徴とする施療器。
【請求項2】
前記請求項1に記載の施療器において、
前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部を肌から離した場合と、前記周縁部に肌が接した場合とで異なる吸引手段の吸引負荷に係る物理量の変化を検出することを
特徴とする施療器。
【請求項3】
前記請求項1に記載の施療器において、
前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部を肌から離した場合と、前記周縁部に肌が接した場合とで異なるガイド部内の圧力の変化を検出することを
特徴とする施療器。
【請求項4】
前記請求項1に記載の施療器において、
前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部に配設される複数対の電極を備え、ガイド部の前記周縁部が全て肌に接していない場合と接した場合とで異なる、対をなす電極間の通電状態に係る物理量の変化を検出することを
特徴とする施療器。
【請求項5】
前記請求項1に記載の施療器において、
前記検出部が、前記ガイド部における開口の周縁部に接近する被施療者の肌を含む所定の物体との距離の変化を検出する測距センサを備えることを
特徴とする施療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−162157(P2010−162157A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6787(P2009−6787)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】