説明

旅客輸送用鉄道車両

【課題】従来技術の構造の欠点を有さない鉄道車両を提供すること。
【解決手段】この鉄道車両は、2台の駆動キャリッジおよび中間キャリッジを含むキャリッジと、運搬台車および少なくとも1本のモータ車軸を備えるモータ台車と、モータ台車のモータに電気エネルギーを供給することができる牽引駆動部とを備える型式のものである。本発明の1つの特徴によれば、全てのキャリッジは、旅客客室を有し、鉄道車両は、完全に連接され、牽引駆動部は、3台のキャリッジに配置され、モータ台車は、牽引駆動部を受け入れる各キャリッジの少なくとも1つの端部の下に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅客輸送用鉄道車両に関し、より詳しくは、旅客収容数の点から、かつ最高速度の点から調整できる鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
列車または鉄道車両の構造は、それらが、集中されたまたは分散されたモータを有するかどうかに応じて、それらを構成するキャリッジが、連接方式でまたは非連接方式で接続されているかどうかに応じて、モータ台車および運搬台車の配置および数に応じて、かつそれらがシングルデッキかダブルデッキかに応じて区別される。
【0003】
分かり易くするために、これらの様々な概念が、以下の段落で規定される。
【0004】
列車または鉄道車両
鉄道車両は、少なくとも1つのモータ付キャリッジを備え、すなわち少なくとも1つの旅客客室と少なくとも1つの牽引駆動部とを備えるモータ付キャリッジを備える。したがって鉄道車両は、モータ付キャリッジのみを備える、あるいはモータの無いキャリッジと少なくとも1台のモータ付キャリッジとを備えることができる。
【0005】
列車は、1つまたは複数のモータ付車両と特定の数の旅客キャリッジとから構成される。モータ付車両は、旅客にとってアクセス可能ではなく、なかんずく牽引駆動部を備える。
【0006】
集中されたモータを備えることまたは分散されたモータを備えること
牽引駆動部は、牽引源(例えば、懸垂線)から電気エネルギーを取得し、それを変圧し、かつそれを列車または鉄道車両を駆動するためにモータ台車の電気モータに供給するための電気信号に変換することができる、電気構成部品または電子動力および制御構成部品のいずれかである機器の複数の品目を備える。
【0007】
モータを備えることは、牽引駆動部の全ての構成部品が単一の位置、例えば列車のモータ付車両に集められるとき、集中化されていると言われる。モータを備えることは、牽引駆動部の構成部品が、複数のキャリッジの上に、キャリッジの車体の下に、または屋根内に分散されているとき、分散化されていると言われる。
【0008】
連接キャリッジまたは非連接キャリッジ
台車は、慣例的に2本の車軸に載っている台車車体を備える。車軸という用語は、一般に線路のレールに載せられる1対の同軸の車輪を呼ぶためのものである。
【0009】
モータ台車は、モータ車軸と呼ばれるその少なくとも1本の車軸の車輪を駆動するための少なくとも1つの電気モータを備える。対照的に、モータの無い台車は、運搬台車と呼ばれる。
【0010】
2台の隣接するキャリッジは、第1のキャリッジが、その端部のうちの1つで台車上に支持され、第2のキャリッジに面する端部が、第1の台車の端部に載っているとき、「連接されている」(または連接接続の状態にある)と言われる。したがって、この台車は、2台の隣接するキャリッジの端部の下をまたいでいる。したがって、2台の連接されるキャリッジからなる鉄道車両は、2台のキャリッジの自由端が、1台の台車上に各々載っているので、3台の台車を備える。
【0011】
対照的に、2台の非連接の隣接するキャリッジは、その端部のところで共通の台車に支持されず、各キャリッジは2台の台車に載っている。したがって、2台の非連接のキャリッジからなる鉄道車両は、4台の台車を備える。
【0012】
シングルデッキまたはダブルデッキキャリッジ
キャリッジは、それが単一の床レベルに旅客客室を有するときシングルデッキであると言われ、それが、1つのレベルがもう1つレベルの上に重ねられる2つのレベルに2つの旅客客室を有するときダブルデッキであると言われる。
【0013】
非連接であり、かつ1台または2台のモータ付車両に集中されたモータを有する、シングルデッキ列車が存在する。非連接に起因して、この構造は、前方移動に対する抵抗を増大させ、結果として鉄道車両のエネルギー消費量を増大させる、多数の台車を有する欠点を有する。多数の台車は、多数の保守作業も必要とする。
【0014】
非連接であり、その構造に応じて、キャリッジ内の牽引機器の異なる分散、モータ台車またはモータ車軸の異なる位置を有する分散されたモータを有する、多数の高速シングルデッキ鉄道車両も存在する。これらの鉄道車両は、各々が2台の台車に載っている複数のモータ付キャリッジを備える。
【0015】
この型式でモータを備えることは、牽引機器の各品目を通り延びる、エネルギー取得装置または複数のエネルギー取得装置をモータに接続するのに必要とされる能力を有する大量のケーブルを必要とし、したがって、それらのケーブルは、取得装置または牽引駆動部またはモータ台車の機器の品目を装備する全てのキャリッジの間を延びる。
【0016】
「混合」接続および集中されたモータを有する、シングルデッキまたはダブルデッキ列車も存在する。旅客キャリッジは、運搬台車に載せられ、その列車の各端部のところでモータ台車に載せられる2台のモータ付車両によって取り囲まれる。この列車の接続は、異なる型式の接続がキャリッジとモータ付車両を接続するので、「混合」であると言われる。キャリッジは、互いに連接接続によって接続され、キャリッジは、モータ付車両に非連接接続によって接続される。
【0017】
この構造は、モータ付車両が旅客にとってアクセス可能でないので、同一の長さを有する鉄道車両と比較して減少した旅客収容数を有する。
【0018】
これらの車両の効率レベルは、その構造に関連しており、牽引駆動部の重量を取り除くことはできないので、旅客収容数を犠牲にすることなく高速列車をより低い速度で移動させることは可能である。牽引駆動部またはモータを単純に加えることができないので、車両をその最高速度より高い速度で移動させることは不可能である。したがって、製造者は、全ての速度範囲/旅客収容数に対して適した車両を設計しなければならない。
【特許文献1】独国特許出願公開第3023382号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0616936号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0533028号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1024070号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第19819094号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって本発明の目的は、従来技術の構造の欠点を有さない鉄道車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的のために、本発明は、2台の駆動キャリッジおよび中間キャリッジ、運搬台車、少なくとも1本のモータ車軸を備えるモータ台車を含む、旅客輸送用の鉄道車両を提案し、それらキャリッジは、全て互いに対で連接され、この鉄道車両は、3つまたは4つの牽引駆動部を備え、1つの牽引駆動部は、各駆動キャリッジに配置され、少なくとも1つの牽引駆動部は、単一の中間キャリッジ内に配置され、モータ台車は、駆動キャリッジの2つの端部のうちの少なくとも1つの下に配置され、モータ台車は、少なくとも1つの牽引駆動部を備える中間キャリッジの2つの端部のうちの少なくとも1つの下に配置される。
【0021】
鉄道車両は、任意の技術的に可能な組み合わせに従って採用される、1つまたは複数の以下の特徴を含む。
【0022】
各牽引駆動部は、牽引駆動部が配置される各キャリッジの1つの端部の下に、または2つの端部の下に配置される、モータ台車または複数のモータ台車の少なくとも1本のモータ車軸を駆動し、
鉄道車両は、少なくとも1つの牽引駆動部を備える中間キャリッジと各駆動キャリッジとの間に、牽引駆動部を有さない少なくとも1つの中間キャリッジを備え、
牽引駆動部を有さない少なくとも1つの中間キャリッジは、中間キャリッジの少なくとも2つの端部のうちの1つのところで運搬台車によって支持され、
キャリッジはダブルデッキである。
【0023】
鉄道車両は、完全に連接される、すなわちキャリッジは、全て互いに対で連接される。1つの台車は、またいだ方式で2台の隣接するキャリッジの2つの隣接する端部の下に配置され、駆動キャリッジの自由端は単一の台車上に載っている。
【0024】
それは、3つまたは4つの牽引駆動部を備え、1つの牽引駆動部は、各駆動キャリッジ内に配置され、少なくとも1つの牽引駆動部(1つまたは2つ)が、単一の中間キャリッジ内に配置される。このため、この中間キャリッジは、モータ付中間キャリッジと呼ばれる。したがって、この鉄道車両は、集中されたモータを有し、この集中化は、3つまたは4つの牽引駆動部が存在するかどうかに関係なく3台のキャリッジ内で行われる。
【0025】
1つのモータ台車は、2台の駆動キャリッジと1つの牽引駆動部を備えるモータ付中間キャリッジの2つの端部のうちの少なくとも1つの下に配置される。換言すれば、牽引駆動部を備える各キャリッジは、モータ台車と運搬台車あるいは2台のモータ台車のいずれかによって、その2つの端部のところで支持される。
【0026】
鉄道車両は、モータ付中間キャリッジと各駆動キャリッジとの間に、牽引駆動部を有さない少なくとも1つの中間キャリッジを備える。この中間キャリッジは牽引駆動部を備えないので、それはトレーラと呼ばれる。
【0027】
トレーラは、少なくともその2つの端部のうちの1つのところで運搬台車を使用して支持される。したがって、トレーラは、その端部のところで、1台の運搬台車とモータ台車を使用して、あるいは2台の運搬台車によってのいずれかで支持される。
【0028】
したがって、本発明による鉄道車両は、牽引駆動部を備えるキャリッジと、牽引駆動部を備えないキャリッジの交互するキャリッジとに対する規定に適合し、かつ最大車軸荷重に適合させるために交互するモータ台車と運搬台車との規定に適合する。
【0029】
実際、全てのレール車両は、車軸荷重の制限に適合しなくてはならず、その値は、これらの車両がその上を移動する軌道に関係する基礎構造または基準によって設定される。
【0030】
本発明による鉄道車両の車軸荷重は、最大許容荷重より下に維持される。なぜなら、
各駆動キャリッジは、専用の台車および別のキャリッジとの共通の台車上に支持され、したがって、その荷重が、中間キャリッジより多数の車軸にわたり分配される。結果として、駆動キャリッジは、最大車軸荷重を超えることなく、他のキャリッジより大きな重量を支持することができる。したがって、各駆動キャリッジは、旅客、牽引駆動部、および(電気的および空圧的)エネルギー生成のための機器の補助品目の全てまたはいくらかを受け入れ、
牽引駆動部を有さないトレーラは、駆動キャリッジおよびモータ付キャリッジより低い空重量を有し、
モータ付中間キャリッジは、旅客と少なくとも1つの牽引駆動部の機器の品目を受け入れる。モータ付キャリッジの各端部のところの各モータ台車は、少なくとも1つのトレーラが、駆動キャリッジとモータ付中間キャリッジとの間に挿入されるので、モータ付中間キャリッジの重量の半分と隣接するトレーラの重量の半分とを支持する。トレーラは、モータ付中間キャリッジより軽いので、またいだ方式でモータ付中間キャリッジの端部のうちの1つの下、かつ隣接するトレーラの端部の下に配置される各モータ台車は、車軸あたりの最大荷重より低いままである平均荷重を支持するからである。
【0031】
各運搬台車およびモータ台車の重量バランスは、鉄道車両の牽引機器または補助機器の様々な品目の分配、および所望される快適性(キャリッジの等級に応じた座席の異なる種類および数)に応じて変動するキャリッジの内部付属品の最適化によっても得られる。
【0032】
モータ付中間キャリッジの内部付属品は、特に、それ自体鉄道車両の所望の性能レベル(多電圧牽引、最大速度等)に応じる、牽引駆動部の重量により変わる。例えば、設置される牽引機器の品目の重量が重い場合、モータ付中間キャリッジの内部付属品は、重量が減らされ、サービスを提供する、またはトレーラの収容数と比較して減らされた旅客収容数を有するキャリッジ、ビュッフェ車として構成される。
【0033】
各牽引駆動部は、1つまたは複数の牽引駆動部が配置されるキャリッジの1つの端部の下に、または2つの端部の下に配置される、モータ台車または複数のモータ台車の少なくとも1本のモータ車軸を駆動する。したがって鉄道車両は、各駆動キャリッジおよびモータ付中間キャリッジが、それら自体1本または2本のモータ車軸を備える1つまたは2つのモータ台車によって支持されるかどうかに応じて、3本から12本のモータ車軸を備えることができる。
【0034】
完全に連接される構造の1つの利点は、鉄道車両が、脱線の場合より安定であることである。連接される構造に起因して、前方移動に対する抵抗力、したがってキャリッジを駆動するのに必要とされるエネルギー消費量は、より少ない台車しか存在しないので、同じ長さの非連接鉄道車両と比較して限定されたままである。保守作業も減少する。この鉄道車両構成に起因して、車両の全長が、旅客を受け入れるのに使用されるので、車両は大きな収容数を提供する。
【0035】
牽引駆動部の駆動キャリッジへのかつ単一のモータ付中間キャリッジへの集中化の1つの利点は、牽引駆動部を互いから物理的に分離することによる、かつ牽引駆動部を旅客客室から物理的に分離することによる、より良好な火災からの防護および火災の制御が可能になることである。
【0036】
本発明および他の利点は、純粋に例示として、かつ添付の図面を参照して与えられる以下の説明を読むことからより良く理解されるであろう。慣例通りに、モータ車軸の車輪は、図面において黒で示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
第1の実施形態
図1に示すように、鉄道車両Aは、2台の駆動キャリッジ2の間に配置される7台のトレーラ3およびモータ付中間キャリッジ4を備える。
【0038】
第1の駆動キャリッジ2は、鉄道車両Aの(図1の左手側から)第1の端部のところに配置される。それは、運転者のキャビン9が配置される自由端を有し、かつ2本のモータ車軸5からなるモータ台車6上に載っている。第1の牽引駆動部8は、この第1の駆動キャリッジ2の旅客客室10の下に配置される。その反対側端部のところで、駆動キャリッジ2が、第1のトレーラ3に連接される。キャリッジ2および3に面する2つの端部は、2本のモータ車軸5からなる単一のモータ台車6上に載っている。
【0039】
したがって、第1のトレーラ3は、その第1の端部のところでモータ台車6を駆動キャリッジ2と共有し、そのもう1つの端部のところで運搬台車7を第2の隣接するトレーラ3と共有する。
【0040】
第2のトレーラ3は、第1のトレーラ3に、かつ第3のトレーラ3に連接される。第2のトレーラ3は、第1および第3のトレーラ3の各々と運搬台車7を共有する。第3のトレーラ3は、この実施形態の鉄道車両では、左手側から5番目の位置に配置されるモータ付中間キャリッジ4に連接される。
【0041】
最初の3台のトレーラ3のどれも、牽引駆動部8を受け入れない。
【0042】
モータ付中間キャリッジ4は、その各端部のところで、隣接するトレーラとモータ台車6を共有する。2つの牽引駆動部8は、旅客客室10の下に配置され、各々が2本のモータ車軸を備えモータ付中間キャリッジ4の各端部のところに配置されるモータ台車のモータに供給する。
【0043】
4台の引き続くトレーラ3も、モータ台車6の上に載っているモータ付中間キャリッジ4または駆動キャリッジ2に連接されるトレーラ3の端部を除き、連接され運搬台車7上に載っている。第2の駆動キャリッジ2は、第1の駆動キャリッジと同一である。
【0044】
鉄道車両Aの全てのキャリッジ2、3、4は、旅客客室10を有する。各キャリッジ2、3、4は、通路11によって隣接するキャリッジまたは隣接する各キャリッジと連通する。車両が完全に連接されているので、図1の鉄道車両Aは、約200mの長さに対して11台の台車、6台のモータ付台車6、および5台の運搬台車7を有する。この実施形態では、モータ台車の全ての車軸は、モータが備えられている。この型式の鉄道車両は、少なくとも550人の旅客を少なくとも330km/hの商業的速度で輸送することができる。
【0045】
駆動キャリッジ2およびモータ付中間キャリッジ4の各々で、牽引駆動部または複数の牽引駆動部8は、旅客客室10の長さを保持するために、旅客客室10の床下に配置される。図1には、キャリッジ2および4の旅客客室10の全長の下に、牽引駆動部8の位置が概略的に示されているが、牽引駆動部8の様々な構成部品の実際の空間的要求に応じて、それは、旅客客室10の床下に完全にまたは部分的に延びることができる。
【0046】
一変形形態では、駆動キャリッジ2のこの牽引駆動部8は、運転者のキャビン9と旅客客室10との間の中間客室に配置されることができる。
【0047】
従来方式では、各駆動キャリッジ2は、懸垂線(図示せず)上の電気エネルギーを取得するために、パンタグラフ12が設けられる。
【0048】
高電圧ケーブル13が、各パンタグラフ12によって取得された電気エネルギーを、モータ付中間キャリッジ4内に配置される牽引駆動部8に分配する。図面内を分かり易くするために、ケーブル13は、キャリッジの外側のところに一点鎖線で示されている。実際には、これらのケーブルは、例えば屋根内を延びる。
【0049】
非常に限定された数のキャリッジにわたる牽引駆動部8およびモータ台車6の集中化によって、高電圧ケーブル13だけが、駆動キャリッジ2とモータ付中間キャリッジ4の牽引駆動部8との間を延びるので、必要なケーブルの量は限定される。これらのケーブルは、従来技術の鉄道車両の構造の電力ケーブルの量より少ない量を有する。ケーブル配線の複雑性も、大幅に減少する。
【0050】
第1の実施形態の変形形態
表形式の図2は、例示として与えられる第1の実施形態による鉄道車両の2つの可能性な構成を示す。駆動キャリッジ2、モータ付キャリッジ4、牽引駆動部8、モータ台車6、モータ車軸5、運搬台車7、旅客収容数、および可能な動作速度のみが番号を打たれている。
【0051】
2台の駆動キャリッジ2、4台のトレーラ3、1台のモータ付中間キャリッジ4の7台のキャリッジ、および4本のモータ付車軸5からなる鉄道車両は、3つの牽引駆動部8しか必要としない。したがって、単一の牽引駆動部8は、第1の実施形態と対照的に、モータ付中間キャリッジ4内に配置される。この変形形態では、2台のモータ台車6が、モータ付キャリッジ4の2つの端部を支持するが、各々は単一のモータ車軸5しか有さない。第2の牽引駆動部によって解放される空間は、補助機器を設置するのに使用することができ、または解放された重量は、モータ付中間キャリッジ4の客室10内により多くの座席を設置するのに使用することができる。この同じ変形形態で、駆動キャリッジ2の自由端の下の台車のみがモータを備え、それらは、各々2本のモータ車軸5を備える。したがって、7台のキャリッジを有するこの変形形態は、4台のモータ台車6を備えるが6本のモータ車軸5を備える。この鉄道車両は、(内部付属品に応じる)350人から400人の間の旅客を輸送し、少なくとも300km/hで移動することができる。
【0052】
10台のキャリッジを有する本発明による鉄道車両の第2の変形形態は、それが、3台の追加のトレーラを備えることを除き、7台のキャリッジを備える変形形態と同一である。それは、車軸のところの出力を増加させることによって、第1の実施形態の鉄道車両Aと同じレベルの性能を有することができる。
【0053】
このようにすると、本発明により製造される鉄道車両は、その鉄道車両が、7台から11台のキャリッジ、3つまたは4つの牽引駆動部8、3台から6台のモータ台車6にわたり分配される3本から12本のモータ車軸5を備えることができ、かつ140km/hと350km/hとの間の最大速度に達することができるので、旅客収容数および速度の点に関して完全に調整可能である。
【0054】
この調節可能性は、交互するトレーラと牽引駆動部8とを受け入れるキャリッジに対する規定、ならびに最大車軸荷重に従うように交互するモータ台車6と運搬台車7とに対する規定を適用しながら、キャリッジ(駆動キャリッジ2、トレーラ3、およびモータ付キャリッジ4)の型式の単純化によって達成される。
【0055】
第2の実施形態
図1に示すように、鉄道車両Aは、シングルデッキキャリッジのみを備える。一変形形態では、駆動キャリッジ2および中間キャリッジ3、4は、図3に示すようにダブルデッキである。
【0056】
有利には、ダブルデッキキャリッジを有する鉄道車両Bでは、駆動キャリッジ2と牽引駆動部8を受け入れるモータ付中間キャリッジ4の下側レベルが、牽引駆動部または複数の牽引駆動部8を収容するために使用され、その他のレベルは、旅客用に取って置かれる。
【0057】
1つのトレーラ3から別のトレーラに移動するための通路11は、上側レベルに配置される。対照的に、駆動キャリッジ2と隣接するトレーラ3との間の通路は、下側レベルに形成される。駆動キャリッジ2内に、かつトレーラ3内に配置される階段(図示せず)によって、キャリッジ2、3、4のアクセスドア(図示せず)から上側レベルに到達することができる。
【0058】
第3の実施形態
120mから160m程度の短い鉄道車両に対しては、牽引駆動部または複数の牽引駆動部8を受け入れるモータ付中間キャリッジ4を取り除き、かつ関連するモータ台車6を取り除くことによって、モータ台車の数を減らすのが有利である。
【0059】
このようにすると、図1の要素に類似する要素に対する参照記号が保持されている、図4に示す変形形態では、鉄道車両Cは、それが、牽引駆動部8を有さないトレーラ3のみを備える点で、先行する実施形態の鉄道車両から区別される。したがって、この鉄道車両Cは、牽引駆動部8を受け入れるモータ付中間キャリッジ4を有さない。
【0060】
鉄道車両Cは、駆動キャリッジ2の自由端の下に、かつ駆動キャリッジ2の端部および隣接するトレーラ3の端部の下に、またいだ方式で配置される4台のモータ付台車6を備える。所望の動力/重量比にしたがって、各々のモータ台車6が少なくとも1本のモータ車軸5を有する、4本から8本の車軸にモータを備えることができる。
【0061】
モータ付中間キャリッジ4の取り除きに起因して、最適化される牽引動力の使用を考慮に入れた牽引動力を有しながら、短い鉄道車両の動力/重量比は、高速で移動する鉄道車両に対して十分に高いままである。モータ付車両は、引っ張られるべき最大数のキャリッジに対する大きさである牽引動力を有しており、中間キャリッジが取り除かれた場合、この出力は必要以上に過剰になるので、牽引動力を適合させるためのこの可能性は、列車に対して考えられない。牽引動力の適合は、キャリッジを除去することが、牽引駆動部の要素を除去することと等しいので、分散されたモータを有する鉄道車両に対しては容易に行うことはできない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による、一実施形態による鉄道車両の概略側面図である。
【図2】鉄道車両を構成するキャリッジの数に基づくモータ車軸の位置を概略的に示す表である。
【図3】本発明による、別の実施形態による鉄道車両の概略側面図である。
【図4】本発明による、別の実施形態による鉄道車両の概略側面図である。
【符号の説明】
【0063】
A、B 鉄道車両
2 駆動キャリッジ
3 トレーラ
4 モータ付中間キャリッジ
5 モータ車軸
6 モータ台車
7 運搬台車
8 牽引駆動部
9 キャビン
10 客室
11 通路
12 パンタグラフ
13 高電圧ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2台の駆動キャリッジおよび中間キャリッジと、
運搬台車と、
少なくとも1本のモータ車軸を備えるモータ台車とを備える、旅客輸送用鉄道車両であって、
キャリッジが、全て互いに対で連接され、
鉄道車両が、3つまたは4つの牽引駆動部を備え、1つの牽引駆動部が、各駆動キャリッジ内に配置され、少なくとも1つの牽引駆動部が、単一の中間キャリッジ内に配置され、
モータ台車が、駆動キャリッジの2つの端部のうちの少なくとも1つの下に配置され、
モータ台車が、少なくとも1つの牽引駆動部を備える中間キャリッジの2つの端部のうちの少なくとも1つの下に配置される、鉄道車両。
【請求項2】
各牽引駆動部が、牽引駆動部が配置される各キャリッジの1つの端部の下に、または2つの端部の下に配置される、モータ台車または複数のモータ台車の少なくとも1本のモータ車軸を駆動する、請求項1に記載の鉄道車両。
【請求項3】
少なくとも1つの牽引駆動部を備える中間キャリッジと各駆動キャリッジとの間に、牽引駆動部を有さない少なくとも1つの中間キャリッジをさらに含む、請求項1に記載の鉄道車両。
【請求項4】
少なくとも1つの牽引駆動部を備える中間キャリッジと各駆動キャリッジとの間に、牽引駆動部を有さない少なくとも1つの中間キャリッジをさらに含む、請求項2に記載の鉄道車両。
【請求項5】
牽引駆動部を有さない少なくとも1つの中間キャリッジが、少なくとも中間キャリッジの2つの端部のうちの1つのところで運搬台車によって支持される、請求項1に記載の鉄道車両。
【請求項6】
牽引駆動部を有さない少なくとも1つの中間キャリッジが、少なくとも中間キャリッジの2つの端部のうちの1つのところで運搬台車によって支持される、請求項2に記載の鉄道車両。
【請求項7】
キャリッジがダブルデッキである、請求項1に記載の鉄道車両。
【請求項8】
キャリッジがダブルデッキである、請求項2に記載の鉄道車両。
【請求項9】
キャリッジがダブルデッキである、請求項3に記載の鉄道車両。
【請求項10】
キャリッジがダブルデッキである、請求項4に記載の鉄道車両。
【請求項11】
キャリッジがダブルデッキである、請求項5に記載の鉄道車両。
【請求項12】
キャリッジがダブルデッキである、請求項6に記載の鉄道車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−195383(P2008−195383A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−27515(P2008−27515)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(599011791)アルストム・トランスポール・ソシエテ・アノニム (12)