説明

既存外壁の改修構造

【課題】部材点数や施工手間の増加を抑えて耐震性能の高い外壁を形成することができる外壁の改修構造を提供する。
【解決手段】木造軸組3と、木造軸組3に取り付けた外装下地材40と、外装下地材40の表面に設けた外装仕上げ材41とからなる既存外壁1の改修構造に関する。外装仕上げ材41を外装下地材40から除去した後の木造軸組3に対して構造用面材42を固定する。構造用面材42を木造軸組3に直接固定しているために、構造用面材42を取り付けるための横桟などが不要であり、また、横桟などを取り付けるための施工も不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、古くなった木造建物の既存外壁を改修するための構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、古くなった木造建物の外壁を耐震補強することが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された発明では、既存外壁であるモルタル仕上げ壁の土台及び柱の柱脚部を補強してモルタル下地を形成し、このモルタル下地の表面に横桟、縦桟、斜桟を配設し、この横桟等の表面に新規の外装仕上げ材を取り付けて新規外壁を形成するようにしている。
【0003】
しかし、上記の方法では、新規の外装仕上げ材を取り付けるための横桟等が別途必要となり、また、横桟等を柱などに固定するためにモルタル下地に下孔を開けるなどの施工も必要となり、部材点数や施工手間が増加してコスト高になるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−232880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、部材点数や施工手間の増加を抑えて耐震性能の高い外壁を形成することができる既存外壁の改修構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る既存外壁の改修構造は、木造軸組3と、木造軸組3に取り付けた外装下地材40と、外装下地材40の表面に設けた外装仕上げ材41とからなる既存外壁1の改修構造であって、外装仕上げ材41を外装下地材40から除去した後の木造軸組3に対して構造用面材42を固定して成ることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2に係る既存外壁の改修構造は、請求項1に加えて、外装下地材40が複数枚の木ずり9、9…で形成されており、木ずり9、9…の表面に構造用面材42を配置し、固定具10を構造用面材42の表面から木ずり9に貫通させて木造軸組3にまで打入することによって、構造用面材42を木造軸組3に固定して成ることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項3に係る既存外壁の改修構造は、請求項1に加えて、外装下地材40が複数枚の木ずり9、9…で形成されており、木ずり9、9…の表面に構造用面材42を配置し、固定具10を構造用面材42の表面から隣り合う木ずり9、9の間隙36に通して木造軸組3にまで打入することによって、構造用面材42を木造軸組3に固定して成ることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項4に係る既存外壁の改修構造は、請求項1に加えて、外装下地材41を木造軸組3から除去して成ることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項5に係る既存外壁の改修構造は、請求項1乃至4のいずれかに加えて、構造用面材42として、二枚の金属外皮4、5の間に断熱材6を充填して形成したサンドイッチパネル7を用いて成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明では、構造用面材42を木造軸組3に直接固定しているために、構造用面材42を取り付けるための横桟などが不要であり、また、横桟などを取り付けるための施工も不要となり、部材点数や施工手間の増加を抑えてコスト高にならないようにしながら、構造用面材42により耐震性能の高い外壁を形成することができるものである。また、既存外壁1に外装下地材40を残す場合は、既存外壁1の改修にあたって廃棄物の発生を少なくすることができるものであり、しかも、既存外壁1を一度に解体して改修する場合のように、外装仕上げ材41と外装下地材40とが混在することもなく、外装仕上げ材41のみからなる廃棄物を再利用しやすくなるものである。さらに、既存外壁1のみの改修であるために、木造軸組3内の間柱などの建物内部側の壁(内壁)に手を加える必要が無く、建物内で生活しながら簡単に既存外壁1の改修を行うことができるものである。
【0011】
請求項2の発明では、木ずり9によって固定具10を補強することができ、耐震性能を向上させることができるものである。
【0012】
請求項3の発明では、木ずり9が経年劣化している場合でも構造用面材42を木造軸組3に固定することができるものである。
【0013】
請求項4の発明では、外装下地材40(木ずり9)が経年劣化している場合に、改修後の新規な外壁の内部に外装下地材40(木ずり9)が残存しないようにすることができ、新規な外壁の耐久性が損なわれないようにすることができるものである。
【0014】
請求項5の発明では、サンドイッチパネル7の耐震要素としての性能に加えて、サンドイッチパネル7としての耐火・防火性能や断熱材6による断熱性能も得ることができ、既存外壁1に比べて耐震性能と断熱性能及び耐火・防火性能を向上させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0016】
本発明は、木造軸組3と、木造軸組3に取り付けた外装下地材40と、外装下地材40の表面に設けた外装仕上げ材41とからなる既存外壁1を、構造用面材42を用いて改修するものである。
【0017】
構造用面材42としては、パーティクルボード、構造用パネル(OSB)、せっこうボードあるいは公知の無機系外装材などを用いることができるが、耐震性能や耐火・防火性能や断熱性能などを考慮して、構造用面材42としてはサンドイッチパネル7を用いるのが好ましい。図2に示すように、サンドイッチパネル7は、二枚の金属外皮4,5の間に断熱材6を充填して形成したものであり、従来から壁の外装仕上げ材や構造用面材として用いられている断熱パネルである。金属外皮4,5は金属板にロール成形や折り曲げ成形を施して形成するものであって、この金属板としてはステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板(商品名「ガルバリウム鋼板」)、塗装鋼板、塩化ビニル樹脂被覆鋼板などの各種のものを用いることができる。また、金属外皮4、5の金属板の厚みは例えば、0.2〜1.5mmのものを用いることができるが、金属外皮4、5の金属板の厚みは同じであってもよいし、異なっていてもよく、例えば、屋内側(外装下地材40側又は木造軸組3側)の金属外皮5を屋外側の金属外皮4よりも厚くすることができる。断熱材6としては、例えば、厚み20〜120mm程度のもので、無機質断熱材であるロックウールやグラスウールなどを用いたり、樹脂断熱材であるウレタンフォームやスチレンフォームやフェノールフォームやポリイソシアヌレートフォームなどを用いたりすることができる。断熱材6は金属外皮4,5に接着されたりあるいは断熱材6が樹脂発泡体の場合はその自己接着性により金属外皮4,5に接着したりして金属外皮4,5に一体的に設けられるものである。また、サンドイッチパネル7の下端部には嵌合凸部20が横方向の全長に亘って形成されていると共にサンドイッチパネル7の上端部には嵌合凹部21が横方向の全長に亘って形成されている。
【0018】
そして、構造用面材42であるサンドイッチパネル7を用いて既存の木造建物における既存外壁1の改修を行うにあたっては、以下のようにする。まず、図1(a)に示すような既存外壁1の外装仕上げ材41を除去することによって、外装下地材40を露出させる。ここで、既存外壁1が木ずり壁(木摺ラスモルタル仕上げ外壁)の場合は、その既存の外装仕上げ材41であるモルタル2などの塗り壁材をラス下地8と共に除去することによって、図1(b)のように外装下地材40である複数枚の木ずり9、9…を露出させる。木造軸組3とは土台、梁、柱3a、間柱3b、胴縁などからなる建物の骨組みであり、木ずり9は柱や間柱や胴縁の屋外面に取り付けられている短冊状の木板である。木ずり9は縦方向に長くても横方向に長くてもどちらでもよい。ラス下地8はメタルラス、ワイヤーラス、シートラス、裏紙張りワイヤーメッシュラスなどである。このようにモルタル2とラス下地8とを除去するときには、建物内部の壁(間仕切り壁などの内壁)や内装材22はそのまま残すようにする。尚、モルタル2及びラス下地8の除去は、既存外壁1の全体で行ってもよいし、改修の必要な箇所のみに部分的に行ってもよい。
【0019】
次に、上記のサンドイッチパネル7の金属外皮5を木ずり9の屋外側面に接触させて配置し、サンドイッチパネル7の屋外側面(金属外皮4側)からビスやテクスや釘などの固定具10を打入し、サンドイッチパネル7を貫通して複数本の固定具10を木造軸組3の柱3aや間柱3bや胴縁に打ち込むことによって、サンドイッチパネル7を木造軸組3に固定する。この場合、サンドイッチパネル7と木造軸組3との間には木ずり9が介在する。尚、本発明では、固定具10は釘よりもビスやテクスのようにネジ部分を有してねじ込むものが好ましく、これにより、構造用面材42の固定強度が高まって新規な外壁の耐震性能を高くすることができる。
【0020】
図3(a)に示すように、複数本の固定具10のうち、その全てが木ずり9を貫通するように打ち込んでもよいし、図3(b)に示すように、全ての固定具10が木ずり9を貫通しないように打ち込んでもよいし、図3(c)に示すように、一部(6〜8割)の固定具10が木ずり9を貫通し、残りの固定具10が木ずり9を貫通しないように打ち込んでもよい。木ずり9を貫通しない固定具10は隣り合う木ずり9,9の間隙36を通して木造軸組3に打入する。そして、全ての固定具10が木ずり9を貫通するように打ち込んだ場合が最もサンドイッチパネル7の固定強度が高くなり外壁としての面内せん断耐力が大きくなる。一部(6〜8割)の固定具10が木ずり9を貫通するように打ち込んだ場合は、全ての固定具10が木ずり9を貫通しないように打ち込んだ場合よりも、サンドイッチパネル7の固定強度が高くなり外壁としての面内せん断耐力が大きくなる。従って、木ずり9による固定具10の補強効果によりサンドイッチパネル7の固定強度が高くなると考えられる。
【0021】
そして、上記のようにして複数枚のサンドイッチパネル7,7…を固定具10で木造軸組3に固定することによって、既存外壁1の改修を行って図1(c)に示すような新規な外壁を形成することができる。ここで、複数枚のサンドイッチパネル7、7…は縦方向に並べて配設するが、上下に隣接するサンドイッチパネル7,7は嵌合凸部20と嵌合凹部21との嵌合により接続する。尚、サンドイッチパネル7の側端部に嵌合凸部20と嵌合凹部21とを設け、左右に隣接するサンドイッチパネル7,7の嵌合凸部20と嵌合凹部21とを嵌合しながら複数枚のサンドイッチパネル7、7…を横方向に並べて配設してもよい。また、上記のようにして固定したサンドイッチパネル7をそのまま新規な外壁の外装仕上げ材としてもよいし、あるいは上記のようにして固定したサンドイッチパネル7の屋外面に外装用の塗装を施したり外装仕上げ材を取り付けたりすることができる。
【0022】
上記のような改修工法により形成される新規な外壁では、建物の構造耐力上主要な部分に使用する板材である構造用面材42を耐震要素として用いることにより、耐震性能の低い古い木造建物の耐震性能を高くすることができるものである。また、サンドイッチパネル7の金属外皮4,5による耐火・防火性能や断熱材6による断熱性能も得ることができ、既存外壁1に比べて断熱性能及び耐火・防火性能を向上させることができるものである。
【0023】
図7に他の実施の形態を示す。この実施の形態では、図1(a)に示す既存外壁1から外装仕上げ材41であるモルタル2などの塗り壁材をラス下地8と共に除去し、さらに外装下地材40である木ずり9、9…も除去して木造軸組3を露出させた後、この木造軸組3の屋外側面に直に構造用面材42であるサンドイッチパネル7を接触させて配置し、サンドイッチパネル7の屋外側面から固定具10を打入し、サンドイッチパネル7を貫通して複数本の固定具10を木造軸組3の柱や間柱や胴縁に打ち込むことによって、サンドイッチパネル7を木造軸組3に固定するようにしたものである。その他の構成は上記と同様である。
【0024】
この実施の形態においては、木ずり9が経年劣化により腐食などしている場合に、改修後の新規な外壁の内部に木ずり9が残存しないようにすることができ、新規な外壁の耐久性が損なわれないようにすることができる。
【実施例】
【0025】
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0026】
(実施例1)
図4(a)〜(e)に示すような試験体Aを本発明の外壁の改修構造として作成した。
【0027】
木造軸組3は、梁30、柱31、土台32、間柱33で形成した。梁30は180×105mmの米松製材を用いた。柱31及び土台32は105×105mmの杉製材を用いた。間柱33は30×105mmの杉製材を用いた。柱31は土台32の上に立設し、一対の柱31,31が所定の間隔を介して左右に対向するように配置した。柱31と土台32とは連結具(ホールダウン金物(20kN用))34で連結した。梁30は土台32上に立設した柱31、31の上端間に架設した。柱31と梁30とは連結具(羽子板ボルト)35で連結した。尚、土台32と柱31及び梁30と柱31との仕口はほぞ加工とした。間柱33は一対の柱31、31の間に等間隔(455mm)で三本配置し、梁30と土台32とに二本の固定具(コーススレッド)で接合した。上記の木造軸組3に複数本の木ずり9を取り付けた。木ずり9は12×75mmの杉製材であって、その強度負担を少なくするために、端部をそれぞれN50釘1本で柱31と間柱33に留め付けた。ここで、上下に隣り合って配設した木ずり9、9の間には31mmの間隙36を設けた。尚、図4には試験体Aの各部の寸法(単位はmm)も記載した。
【0028】
サンドイッチパネル7としては日鉄鋼板株式会社製のニスクボードWを用いた。このサンドイッチパネル7は厚み35mmであって、屋外側の金属外皮4を厚み0.35mmのガルバリウム鋼板で、屋内側(木ずり9側)の金属外皮5を厚み0.5mmのガルバリウム鋼板でそれぞれ形成し、断熱材6をポリイソシアヌレートフォームで形成したものである。固定具10としては図5(a)(b)に示すような鋼製のビスを用いた。図5(a)(b)に固定具10の各部の寸法を示す。
【0029】
そして、三枚のサンドイッチパネル7を上下に並べて木造軸組3及び木ずり9の表面側(屋外側)に配置し、木ずり9の表面にサンドイッチパネル7の金属外皮5を接触した状態でサンドイッチパネル7の金属外皮4の表面から固定具10を打入して木造軸組3に打ち込むことによって、サンドイッチパネル7を木造軸組3に固定した。この時、全ての固定具10は木ずり9を貫通しないようにし、図4(e)に示すように、間隙36を通して木造軸組3に固定具10を打ち込むようにした。使用した固定具10の総数は81本であった。また、上下に隣接するサンドイッチパネル7は嵌合凸部20と嵌合凹部21との嵌合により接続した。
【0030】
(実施例2)
全ての固定具10が木ずり9を貫通するように打入した以外は実施例1と同様にして試験体Aを作成した。
【0031】
(実施例3)
図6(a)〜(d)に示すように、固定具10を柱31に対しては上下方向で106mmの間隔で打入し、間柱33に対しては上下方向で455mmの間隔で打入した以外は実施例1と同様にして試験体Aを作成した。この場合、使用した固定具10の総数に対して木ずり9を貫通する固定具10の総数の割合は約70%となった。
【0032】
(実施例4)
木ずり9を用いないようにした以外は実施例1と同様にして試験体Aを作成した。この場合、サンドイッチパネル7の金属外皮5を木造軸組3に接触させた状態で直に固定した。また、固定具10の打ち込み間隔は実施例3と同様にした。
【0033】
そして、上記の実施例1〜4で得られた試験体Aについて耐震性能を評価するために、壁倍率を測定する実験を行った。この実験は、財団法人/日本住宅・木材技術センター「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」の1.2面内せん断試験方法に準じて行ったが、無載荷柱脚固定式、正負交番繰り返し加力とし、1/15rad.以上では、正加力方向に単調漸増載荷として行った。
【0034】
上記の実験の結果、実施例1〜4の全ての試験体Aにおいて、1/15rad.(変位182mm)を超えても荷重が8割低下若しくは最大耐力にならないものもあり、非常に変形性能に優れているものであった。また、実施例1〜4の全ての試験体Aにおいて、加力に従って三枚のサンドイッチパネル7のずれが見られるが、固定具10の剛性が大きくて木ずり9の部分(サンドイッチパネル7と木造軸組3との隙間)での固定具10の曲げ変形はほとんど確認されなかった。サンドイッチパネル7と木造軸組3とのずれは、主としてサンドイッチパネル7の屋外側(木造軸組3と反対側)の金属外皮4への固定具10の頭部のめりこみと、サンドイッチパネル7の屋内側(木造軸組3側)の金属外皮5のせん断方向への固定具10による割裂とが生じるために、固定具10の木造軸組3からの抜けは少なかった。また、サンドイッチパネル7の屋外側の金属外皮4への固定具10の頭部のめりこみが発生し、さらに貫通してサンドイッチパネル7の屋内側の金属外皮5で固定具10の頭が引っ掛かっているものもあったが、固定具10の破断やせん断破壊は皆無であった。
【0035】
また、以下の表1に示すように、壁倍率の数値は、実施例1、実施例3、実施例4、実施例2の順で値が上がっている。固定具10の変形に対する拘束力が最も高い実施例4が最も高い値を示すと考えられるが、実際には実施例4は実施例2よりも壁倍率が小さくなった。これは、実施例4のものでは間柱33の部分のサンドイッチパネル7、7間のせん断力の伝達が、間柱33の割裂により低下するが、実施例2のものでは、サンドイッチパネル7、7の接続部分に沿って位置する木ずり9があるために、間柱33が割裂した後でも木ずり9により、サンドイッチパネル7、7間のせん断力の伝達が行われていたためと考えられる。
【0036】
【表1】

【0037】
尚、以下に各種の壁倍率を示すが、実施例1〜4はこれらと遜色のない壁倍率を有し、耐震性能が高いものである。
【0038】
1.建築基準法施行令に掲げる軸組から抜粋したもの
・土塗壁又は木ずりその他これに類するものを柱及び間柱の片面に打ち付けた壁を設けた軸組…0.5
・木ずりその他これに類するものを柱及び間柱の「両面」に打ち付けた壁を設けた軸組…1.0
2.上記1.と同等以上の耐力を有する軸組及び当該軸組に係る壁倍率の数値(建築基準法関連告示の抜粋)
(1)以下の材料を以下のくぎで@15cm以下のピッチで柱及びはり並びにはり、けた、土台その他の横架材の片面に打ち付けた壁を設けた軸組
(a)N50くぎ
・構造用合板(日本農林規格に規定するもので、厚さが5mm以上のもの)…2.5
・パーティクルボード(JISに適合するもので厚さが12mm以上のもの)…2.5
・硬質木片セメント板(JISに適合するもので厚さが12mm以上のもの)…2.0
(b)N38くぎ
・ラスシート(角波亜鉛鉄板ラス)(JISに定めるもののうち角波亜鉛鉄板の厚さが0.4mm以上、メタルラスの厚さが0.6mm以上のもの)…1.0
(2)厚さ1.5cm以上で幅4.5cm以上の木材を31cm以下の間隔で柱及び間柱並びにはり、けた、土台その他の横架材にくぎ(JISに定めるN50又はこれと同等以上の品質を有するもの)で打ち付けた胴縁に、上記材料をくぎ(JISに定めるN32又はこれと同等以上の品質を有するもの)で打ち付けた壁(くぎ間隔:15cm以下)を設けた軸組…0.5
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示し、(a)〜(c)は断面図である。
【図2】同上のサンドイッチパネルを示す斜視図である。
【図3】(a)乃至(c)は同上の断面図である。
【図4】同上の実施例1における試験体を示し、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は側面図、(d)は(a)におけるA−A断面図、(e)は一部の断面図である。
【図5】同上の固定具の一例を示し、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【図6】同上の実施例3における試験体を示し、(a)は正面図、(b)は断面図、(c)は側面図、(d)は(a)におけるA−A断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 既存外壁
3 木造軸組
4 金属外皮
5 金属外皮
6 断熱材
7 サンドイッチパネル
9 木ずり
10 固定具
36 間隙
40 外装下地材
41 外装仕上げ材
42 構造用面材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造軸組と、木造軸組に取り付けた外装下地材と、外装下地材の表面に設けた外装仕上げ材とからなる既存外壁の改修構造であって、外装仕上げ材を外装下地材から除去した後の木造軸組に対して構造用面材を固定して成ることを特徴とする既存外壁の改修構造。
【請求項2】
外装下地材が複数枚の木ずりで形成されており、木ずりの表面に構造用面材を配置し、固定具を構造用面材の表面から木ずりに貫通させて木造軸組にまで打入することによって、構造用面材を木造軸組に固定して成ることを特徴とする請求項1に記載の既存外壁の改修構造。
【請求項3】
外装下地材が複数枚の木ずりで形成されており、木ずりの表面に構造用面材を配置し、固定具を構造用面材の表面から隣り合う木ずりの間隙に通して木造軸組にまで打入することによって、構造用面材を木造軸組に固定して成ることを特徴とする請求項1に記載の既存外壁の改修構造。
【請求項4】
外装下地材を木造軸組から除去して成ることを特徴とする請求項1に記載の既存外壁の改修構造。
【請求項5】
構造用面材として、二枚の金属外皮の間に断熱材を充填して形成したサンドイッチパネルを用いて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の既存外壁の改修構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−38355(P2008−38355A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210251(P2006−210251)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】