説明

既製コンクリート杭吊り装置

【課題】既製のコンクリート杭を地中に打ち込む際に、杭を杭打ち込み装置に接続するにあたって、杭を吊るための杭吊り装置の提供。
【解決手段】既製コンクリート杭2の先端に装着され、吊りワイヤーを介して該既製コンクリート杭2を吊り上げ、杭打ち機に装着させるための既製コンクリート杭吊り装置1であって、既製コンクリート杭2の先端外周に嵌合されて固定される円筒形の垂直吊り部材3と、垂直吊り部材3の下側にあって既製コンクリート杭2の外周に嵌合される円筒形の傾斜吊り部材4とを有し、垂直吊り部材3は、端部に内向きフランジ状の杭固定部を有すると共に、外周の適宜個所に該垂直吊り部材3を固定した既製コンクリート杭2を垂直に吊り上げるための垂直吊り用吊り金具6を備え、傾斜吊り部材4には、その外周の片側に片寄せた位置に既製コンクリート杭2を傾斜させた状態で吊り上げるための傾斜吊り用吊り金具32を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既製のコンクリート杭を地中に打ち込む際に、杭を杭打ち込み装置に接続するにあたって、杭を吊るための杭吊り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中掘り工法を用いて杭を沈設する際には、最初に埋設する杭は、予め下杭内に挿入されているスパイラルロッドをオーガ駆動装置に接続させるために斜めに吊る必要があり、その他の杭は、既に埋設されている杭と垂直に接続するために垂直に吊る必要がある。その際に用いられる杭吊り装置として、取付フランジと吊り金具からなる下杭用吊り装置及び上中杭用吊り装置がある(特許文献1)。
【0003】
この下杭用吊り装置は、杭を斜めに吊るための装置であり、図6に示すように、杭60の外周に嵌合される円筒状の吊り金具62と、下杭の内径と略同一の内径を有し、且つ下杭の外径よりより大きい外径を有するリング状をした取付フランジ61を有するものである。そして、杭60に吊り金具62を装着し、その後に、取付フランジ62を杭頭上面に取り付け、杭60を吊り上げた際に、吊り金具62が杭頭から抜けないように補強するものである。
【0004】
また、上中杭用吊り装置は、杭を垂直に吊るための装置であり、図7に示すように、杭70の外径より大きい内径を持つ円筒状に形成され、その内周面に引掛片71を備えた吊り金具72と、杭70と略同一の内径及び外径を有するリング状に形成され、その外周面部には複数個の係止用突片73が設けられている取付フランジ74とを有するものである。そして、この取付フランジ74を杭頭上面に取り付け、この取付フランジ74の係止用突片73に吊り金具の引掛片71が係止されるように、吊り金具72を装着するものである。
【特許文献1】特開2003−166241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような杭吊り装置においては、下杭用の取付フランジ62、吊り金具61、上中杭用の取付フランジ74及び吊り金具72は、それぞれ異なった構造をしており、部品数が多くなり、部品の管理及び部品の装着に手間がかかるものでる。
【0006】
本発明はこのような従来の問題に鑑み、部品点数が少なく、容易に装着できる杭吊り装置の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、既製コンクリート杭の先端に装着され、吊りワイヤーを介して該既製コンクリート杭を吊り上げ、杭打ち機に装着させるための既製コンクリート杭吊り装置であって、前記既製コンクリート杭の先端外周に嵌合されて固定される円筒形の垂直吊り部材と、該垂直吊り部材の下側にあって前記既製コンクリート杭の外周に嵌合される円筒形の傾斜吊り部材とを有し、前記垂直吊り部材は、端部に内向きフランジ状の杭固定部を有すると共に、外周の適宜個所に該垂直吊り部材を固定した既製コンクリート杭を垂直に吊り上げるための垂直吊り用吊り金具を備え、前記傾斜吊り部材には、その外周の片側に片寄せた位置に前記既製コンクリート杭を傾斜させた状態で吊り上げるための傾斜吊り用吊り金具を備えたことにある。
【0008】
また、請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1に記載の構成に加え、前記垂直吊り部材は、円筒状の胴部と、該胴部先端に一体化されたリング状のフランジ部材とを有し、該フランジ部材をもって前記杭固定部を構成させ、該フランジ部材に、前記既製コンクリート杭の先端面に備えられているネジ孔に対応する位置に杭固定用のボルト挿入穴が設けられていることにある。
【0009】
また、請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記垂直吊り部材には、その胴部の外周にあって、該胴部の軸心を中心として互いに対称な位置に一対の前記垂直吊り用吊り金具を備えていることにある。
【0010】
また、請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1、2又は3に記載の構成に加え、前記傾斜吊り部材は円筒状の胴部を有し、該胴部の下端側外周に前記傾斜吊り用吊り金具を備えていることにある。
【0011】
また、請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1〜3又は4に記載の構成に加え、前記垂直吊り部材と傾斜吊り部材との各接合側端部には外向きフランジが一体に備えられ、その両フランジ間をボルト止めすることによって該垂直吊り部材と傾斜吊り部材とを固定自在にしていることにある。
【0012】
また、請求項6に記載の発明の特徴は、請求項5に記載の構成に加え、前記両外向きフランジの一方に前記胴部と同一中心半径の円弧状をしたボルト挿入用長孔を備え、該長孔を通して他方側のフランジをボルト止めすることにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る既製コンクリート杭吊り装置においては、既製コンクリート杭の先端に装着され、吊りワイヤーを介して該既製コンクリート杭を吊り上げ、杭打ち機に装着させるための既製コンクリート杭吊り装置であって、前記既製コンクリート杭の頭部外周に嵌合されて固定される円筒形の垂直吊り部材と、該垂直吊り部材の下側にあって前記既製コンクリート杭の外周に嵌合される円筒形の傾斜吊り部材とを有し、前記垂直吊り部材は、端部に内向きフランジ状の杭固定部を有すると共に、外周の適宜個所に該垂直吊り部材を固定した既製コンクリート杭を垂直に吊り上げるための垂直吊り用吊り金具を備え、前記傾斜吊り部材には、その外周の片側に片寄せた位置に前記既製コンクリート杭を傾斜させた状態で吊り上げるための傾斜吊り用吊り金具を備えたことにより、既製コンクリート杭を垂直に吊る際には、垂直吊り部材を使用することができ、既製コンクリート杭を傾斜させた状態に吊る際には、垂直吊り部材及び傾斜吊り部材を使用すればよく、既製コンクリート杭に装着する部材は2つとなり、部材数の削減ができ、既製コンクリート杭吊り装置を既製コンクリート杭に装着することも容易となり、コストを削減することができる。
【0014】
さらに、前記垂直吊り部材は、円筒状の胴部と、該胴部先端に一体化されたリング状のフランジ部材とを有し、該フランジ部材をもって前記杭固定部を構成させ、該フランジ部材に、前記既製コンクリート杭の先端面に備えられているネジ孔に対応する位置に杭固定用のボルト挿入穴を設けることによって、既製コンクリート杭の先端部に容易に垂直吊り部材を固定できる。
【0015】
さらに、前記垂直吊り部材には、その胴部の外周にあって、該胴部の軸心を中心として互いに対称な位置に一対の前記垂直吊り用吊り金具を備えていることにより、既製コンクリート杭を垂直に吊る際に好適に吊ることができる。
【0016】
さらに、前記傾斜吊り部材は円筒状の胴部を有し、該胴部の下端側外周に前記傾斜吊り用吊り金具を備えていることにより、既製コンクリート杭を傾斜させた状態に吊る際に、より好適に傾斜させた状態に吊ることができる。
【0017】
さらに、前記垂直吊り部材と傾斜吊り部材との各接合側端部には外向きフランジが一体に備えられ、その両フランジ間をボルト止めすることによって該垂直吊り部材と傾斜吊り部材とを固定自在にすることによって、垂直吊り部材と傾斜吊り部材同士を固定することでき、既製コンクリート杭を傾斜させた状態に吊る際に、より安定して吊ることができる。
【0018】
さらに、前記両外向きフランジの一方に前記胴部と同一中心半径の円弧状をしたボルト挿入用長孔を備え、該長孔を通して他方側のフランジをボルト止めすることによって、垂直吊り部材と傾斜吊り部材同士を固定する際に、垂直吊り部材と傾斜吊り部材の接合側端部の位置あわせが容易となり、容易に固定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を図1〜3に示した実施例に基づいて説明する。
【0020】
図1は、既製コンクリート杭に本発明に係る既製コンクリート杭吊り装置を装着した状態を示しており、符号1は既製コンクリート杭吊り装置を、符号2は既製コンクリート杭を示している。
【0021】
本発明に係る既製コンクリート杭吊り装置1は、垂直吊り部材3と傾斜吊り部材4を有する。この垂直吊り部材3及び傾斜吊り部材4は、図1に示すとおり、既製コンクリート杭2の頭部において、既製コンクリート杭2の頭部側外周に垂直吊り部材3が嵌合されて固定され、その固定された垂直吊り部材3の下側外周に傾斜吊り部材4が嵌合されて装着されて、傾斜吊り部材4にワイヤー等の吊り具を取り付け、クレーン等によって吊り上げることによって、既製コンクリート杭2が傾斜した状態で吊り上げられる。
【0022】
また、既製コンクリート杭2を垂直な状態で吊り上げる際には、垂直吊り部材3にワイヤー等を連結して吊り上げる。この際には、既製コンクリート杭2に装着するのは、垂直吊り部材3のみでもよい。
【0023】
尚、既製コンクリート杭2は、この既製コンクリート杭吊り装置1が装着された杭頭部が上側となるように吊られるものである。
【0024】
垂直吊り部材3は、図2に示すように、既製コンクリート杭の外周に嵌合される内面円筒状の垂直吊り胴部5と、この垂直吊り胴部5の外面に形成された既製コンクリート杭を吊るためのワイヤー等を取り付ける垂直吊り用吊り金具6と、既製コンクリート杭に垂直吊り部材3を固定するための杭固定部7とを備えている。
【0025】
垂直吊り胴部5は図2に示すように、既製コンクリート杭2の外径よりやや大きい内径を持つ円筒状に形成されており、垂直吊り胴部5の下端側外面には、上側フランジ8と下側フランジ9とからなるが互いに平行となるように形成されている。1対のフランジが一体に備えられている。この両フランジ8,9間には、その円周方向の所定間隔毎に、両フラン時間を連結する縦向きの補強片10が介在され、両フランジ8,9を補強している。
【0026】
また、垂直吊り胴部5には、垂直吊り胴部5の軸心を中心として互いに対称となる位置に、一対の垂直吊り用吊り金具6が備えられている。この垂直吊り用吊り金具6は、垂直吊り胴部の外面に突設された突設部11と、この突設部11に支持され吊り孔13を有する吊り部材12とを有しており、突設部11は垂直吊り胴部5の上側フランジ8と下側フランジ9に跨った状態でこれに一体化されている。
【0027】
突設部11は、両フランジ8,9の外周の一部を水平方向に突出させた凸部8a,9aと、その凸部8a,9a間及びフランジ8,9間に連続して介在させた縦向きの補強板11aとから構成されており、この突設部11の突端に吊り部材12が一体化されている。
【0028】
吊り部材12は、板状をしており、その長手方向の一方側端部は半円形状に形成されている。そして、その半円形状の一方側端部に、該半円と同中心の円形孔をした吊り孔13が形成され、該吊り孔13側の端部を垂直吊り胴部5の上端側に向けて突設部11の上側に突出させた状態で、吊り部材12が前記突設部11に一体化されている。
【0029】
垂直吊り胴部5の上端に杭固定部7が一体化されて備えられている。この杭固定部7は図2に示すように、平板を円形リング状に形成した形状をなしており、垂直吊り胴部5の上端に内向きフランジ状をなす配置に一体化されている。この杭固定部7は、内径が既製コンクリート杭2の内径より小さく、外径は、垂直吊り胴部5の外径と等しいリング状に形成され、そのリング上には、円周方向の一定間隔毎に一体化させた多数の半径方向補強リブ22と、前記リング状の内周縁正面に一体化させたリング状補強リブ23とを一体に有している。
【0030】
この杭固定部7に、その円形リングと同心円上に多数のボルト挿入穴21,21……が所定の間隔をもって上下に貫通開口されている。このボルト挿入穴21,21……は、既製コンクリート杭2の端面に備えられているネジ孔に対応する配置となっているものであり、図4に示すようにボルト24をボルト挿入穴21,21……を通して既製コンクリート杭2に備えられたネジ孔に螺着させることによって、垂直吊り胴部5を既製コンクリート杭2に固定することができるようになっている。
【0031】
下側フランジ9の外周には、垂直吊り胴部5の中心を中央にして対称な位置に、長孔形成用の一対の張出部24,24が一体に備えられ、この各張出部24に垂直吊り胴部5同心の配置の円弧状をした長孔25,25が上下に貫通開口されている。
【0032】
傾斜吊り部材4は図3に示すように、既製コンクリート杭2の外周に嵌合され、既製コンクリート杭2を吊る際に既製コンクリート杭2を支持する内面円筒状の傾斜吊り胴部31と、この傾斜吊り胴部31の外面に、その一側面側に片寄せた位置に一体に備えた傾斜吊り用吊り金具32とを有している。傾斜吊り用吊り金具32にワイヤー等の吊り材を係止させてクレーンにて吊り上げることにより、既製コンクリート杭2が斜めに吊り上げられるようになっている。
【0033】
傾斜吊り胴部31は、既製コンクリート杭2の外径よりやや大きい内径を持つ円筒状に形成されており、その下端部外面、上側フランジ33と下側フランジ34とからなる一対のフランジが互いに平行となるように一体化されている。この上下のフランジ33,34の間には、所定間隔毎を隔てて四角形板状をした複数の補強片36,36……を立て向きにして一体に介在させている。
【0034】
上下両フランジ33,34には、外周の一部を突出させた吊り用金具取付部35が備えられ、これに一対の傾斜吊り用吊り金具32,32が一体化されている。この各傾斜吊り用吊り金具32は、一方側端部が半円形状をした板状に形成されており、その半円形状をした端部側にその半円と同中心の円形孔である吊り孔32aが形成されている。
【0035】
この傾斜吊り用吊り金具32は、その吊り孔32a側の端部を上側フランジ33の上面側に突出させた状態で上下のフランジ33,34に跨らせてこれに一体化させることによって固定され、吊り金具32の長手方向が、円筒状の傾斜吊り胴部の軸心と平行に向けられている。また、一対の吊り金具32,32は、所定の間隔を開けて互いに平行で、それぞれの吊り孔32a,32aが同高さとなる配置に固定されている。
【0036】
また、傾斜吊り胴部31の側面には、傾斜吊り胴部31と一体に胴補強部51が備えられている。この胴補強部51は、円筒状の傾斜吊り胴部31の側面に備えられ、下側フランジ34から、これに垂直に傾斜吊り胴部31上端にまで形成された略長方形板状をした一対の補強板52,52を有し、この互いに所定の間隔を開けて設置された一対の補強板52,52の間には、この補強板52,52に略垂直に、板状をした補強片53,53……が所定の間隔を開けて、一方の補強板52から他方の補強板52に掛け渡されるように、傾斜吊り胴部31と一体化されている。また、この胴補強部は、傾斜吊り胴部31の側面の一対の傾斜吊り用吊り金具32の間に形成されている。
【0037】
傾斜吊り胴部31の上端部外周には、半径方向に垂直吊り部材固定用の突片55,55が、該胴部の中心を中央にして互いに対称な位置に突設されており、この両突片55にボルト挿通孔56が上下に貫通開口されている。そして、図4に示すように各ボルト挿通孔56と、前述した垂直吊り部材3の下側フランジの各張出部24に設けられている各長孔25に吊り部材間連結用のボルト57を貫通させ、ナット58を螺嵌させて締結することにより、両吊り部材3,4を互いに連結できるようになっている。
【0038】
次に、この既製コンクリート杭吊り装置1の使用方法について一例を述べる。
【0039】
既製コンクリート杭2の地中埋設方法の一つとしの中掘り工法において、最初の既製コンクリート杭2を打ち込む際に、予め円筒状の既製コンクリート杭2の中空部に挿入しておいたスパイラルロッド81と杭打ち機82のオーガ83を接続する必要がある。その際には、クレーン84と杭打ち機82の干渉を避けるため、既製コンクリート杭2を斜めに吊り上げる。この既製コンクリート杭2を斜めに吊る際には、図4に示すように、既製コンクリート杭2の頭部に、垂直吊り部材3及び傾斜吊り部材4を装着し、傾斜吊り部材に備えられた傾斜吊り用吊り金具32にワイヤー85を接続し、そのワイヤー85をクレーン84によって吊り上げることによって、既製コンクリート杭2を傾斜させて吊る。
【0040】
また、最初の既製コンクリート杭2を沈設させた後に、別の既製コンクリート杭2を継ぎ足す際には、既に埋め込まれた既製コンクリート杭の上に、別の既製コンクリート杭を垂直に接続する。この場合は、図5に示すように、垂直吊り部材3を別の既製コンクリート杭2の頭部に装着し、垂直吊り部材3に備えられた垂直吊り用吊り金具6とクレーン84をワイヤー85を介して接続し、既製コンクリート杭2を垂直に吊り上げる。
【0041】
尚、垂直吊り部材3及び傾斜吊り部材4は、既製コンクリート杭吊り装置1を既製コンクリート杭2に装着した際に、傾斜吊り部材4に備えられた傾斜吊り用吊り金具32が、既製コンクリート杭の上端から1.5m程度の位置となるような大きさにするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る既製コンクリート杭吊り装置を横向きに寝かせたコンクリート杭に固定した状態の平面図である。
【図2】(イ)は同上の垂直吊り部材を示す平面図、(ロ)は同右半分を縦断した半縦断正面図、(ハ)は同側面図である。
【図3】(イ)は同上の傾斜吊り部材を示す平面図、(ロ)は同右半分を縦断した半縦断正面図、(ハ)は同側面図である。
【図4】図1に示す装置のコンクリート杭に固定した状態の拡大断面図である。
【図5】同装置によりコンクリート杭を傾斜吊り状態にして杭打ち機に装着する工程を示す側面図である。
【図6】同装置によりコンクリート杭を垂直吊り状態にして先に打設したコンクリート杭上に移動させる工程を示す側面図である。
【図7】従来のコンクリート杭吊り装置により斜め吊りした状態を示す側面図である。
【図8】同上の装置のコンクリート杭に対する固定状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 既製コンクリート杭吊り装置
2 既製コンクリート杭
3 垂直吊り部材
4 傾斜吊り部材
5 垂直吊り胴部
6 垂直吊り用吊り金具
7 杭固定部
8 上側フランジ
9 下側フランジ
10 補強片
11 突設部
12 吊り部材
13 吊り孔
21 ボルト挿入穴
22 固定リング部
23 補強リング部
24 張出部
25 長孔
31 傾斜吊り胴部
32 傾斜吊り用吊り金具
32a 吊り孔
33 上側フランジ
34 下側フランジ
35 吊り用金具取付部
36 補強片
51 胴補強部
52 補強板
53 補強片
55 突片
56 ボルト挿通孔
57 吊り部材間連結用のボルト
58 ナット
81 スパイラルロッド
82 杭打ち機
83 オーガ
84 クレーン
85 ワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既製コンクリート杭の頭部に装着され、吊りワイヤーを介して該既製コンクリート杭を吊り上げ、杭打ち機に装着させるための既製コンクリート杭吊り装置であって、
前記既製コンクリート杭の頭部外周に嵌合されて固定される円筒形の垂直吊り部材と、該垂直吊り部材の下側にあって前記既製コンクリート杭の外周に嵌合される円筒形の傾斜吊り部材とを有し、
前記垂直吊り部材は、端部に内向きフランジ状の杭固定部を有すると共に、外周の適宜個所に該垂直吊り部材を固定した既製コンクリート杭を垂直に吊り上げるための垂直吊り用吊り金具を備え、
前記傾斜吊り部材には、その外周の片側に片寄せた位置に前記既製コンクリート杭を傾斜させた状態で吊り上げるための傾斜吊り用吊り金具を備えたことを特徴としてなる既製コンクリート杭吊り装置。
【請求項2】
前記垂直吊り部材は、円筒状の胴部と、該胴部先端に一体化されたリング状のフランジ部材とを有し、該フランジ部材をもって前記杭固定部を構成させ、該フランジ部材に、前記既製コンクリート杭の先端面に備えられているネジ孔に対応する位置に杭固定用のボルト挿入穴が設けられている請求項1に記載の既製コンクリート杭吊り装置。
【請求項3】
前記垂直吊り部材には、その胴部の外周にあって、該胴部の軸心を中心として互いに対称な位置に一対の前記垂直吊り用吊り金具を備えてなる請求項1又は2に記載の既製コンクリート杭吊り装置。
【請求項4】
前記傾斜吊り部材は円筒状の胴部を有し、該胴部の下端側外周に前記傾斜吊り用吊り金具を備えてなる請求項1,2又は3に記載の既製コンクリート杭吊り装置。
【請求項5】
前記垂直吊り部材と傾斜吊り部材との各接合側端部には外向きフランジが一体に備えられ、その両フランジ間をボルト止めすることによって該垂直吊り部材と傾斜吊り部材とを固定自在にしてなる請求項1〜3又は4に記載の既製コンクリート杭吊り装置。
【請求項6】
前記両外向きフランジの一方に前記胴部と同一中心半径の円弧状をしたボルト挿入用長孔を備え、該長孔を通して他方側のフランジをボルト止めする請求項5に記載の既製コンクリート杭吊り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−41261(P2009−41261A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207352(P2007−207352)
【出願日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(000229667)日本ヒューム株式会社 (70)
【Fターム(参考)】