既設杭撤去方法及びその装置
【課題】 地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭を容易に撤去することが可能な既設杭撤去方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃1…を有するケーシング2と、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、既設杭切断刃3…を出没させる出没駆動機構と、を備え、既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出して既設杭を側面から切断可能とし、さらに、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構によって突出させた既設杭切断刃3…の受面にて掛止してケーシング2と共に地中から引抜き可能に構成した。
【解決手段】 地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃1…を有するケーシング2と、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、既設杭切断刃3…を出没させる出没駆動機構と、を備え、既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出して既設杭を側面から切断可能とし、さらに、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構によって突出させた既設杭切断刃3…の受面にて掛止してケーシング2と共に地中から引抜き可能に構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設杭撤去方法及びその装置に係り、特に、地中に埋設された不要の杭を撤去するための既設杭撤去方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の立て替え等を行う場合、古い建築構造物を解体撤去するだけでなく、地中に埋設されている不要となった既設杭の撤去を行う必要がある。地中に打ち込まれた既設杭は、長年の間に地盤に固着安定され、その引抜きには巨大な引抜力が必要となる。従来では、このような既設杭を引抜き撤去する場合、杭引抜機のリーダに沿って昇降するオーガマシンにより回転駆動されるケーシングによって、既設杭の周囲をその先端近くまで掘削した後、その既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜くようにしていた。
【0003】
しかしながら、上記方法では、既設杭の長さ・重量が大きなものになると、クレーンが既設杭の重量に耐えられなくなるという問題点があった。また、杭引抜機及び杭引抜機に取付けるケーシングをより大きなものにする必要があり、既設杭の引抜き撤去作業に必要なコストが増大するという問題点があった。
そこで、従来、このような長さ・重量が大きい既設杭の引抜き撤去を可能とするため、種々の既設杭撤去装置及びその方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、ケーシングにより既設杭の周囲を掘削した後、既設杭とケーシングとの間に形成された空間にワイヤーソー装置を挿入し、そのワイヤーソー装置で既設杭を上部より所定の長さに分割して引抜き撤去する既設杭撤去方法及びその装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−262570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された既設杭撤去方法及びその装置では、ワイヤーソー装置が既設杭を所定の長さに分割する機能を有するのみであるという不都合があった。これにより、分割された既設杭を地中から引抜き撤去するには、従来と同様、既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜く必要があるという問題点があった。その結果、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が大幅に増大するという問題点があった。また、ワイヤーソー装置を既設杭とケーシングとの間に形成された空間に挿入する作業も、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が増大する要因となる。
そこで、本発明は、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭を容易に撤去することが可能な既設杭撤去方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングと、該ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられる既設杭切断刃と、該既設杭切断刃を出没させる出没駆動機構と、を備え、該既設杭切断刃は、所定の深度にて上記先端部の内面から突出して上記既設杭を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構によって突出させた該既設杭切断刃の受面にて掛止して上記ケーシングと共に上記地中から引抜き可能に構成したものである。
【0006】
また、上記既設杭切断刃は、上記既設杭の鉄筋を切断するための鉄筋切断刃と、該既設杭のコンクリートを切断するためのコンクリート切断刃と、を有している。
また、上記鉄筋切断刃は、上記ケーシングの内面から出没自在のアーム部と、該アーム部の先端に枢着された回転切断刃と、を有する。
【0007】
また、上記回転切断刃は、上記アーム部に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている。
また、上記既設杭切断刃には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔が設けられている。
また、上記ケーシングは、リーダに沿って昇降するオーガマシンに、上下に伸縮自在のアクチュエータを介して連結されている。
【0008】
また、本発明に係る既設杭撤去方法は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングにて所定の深度まで掘削し、上記ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられた既設杭切断刃を、上記先端部の内面から突出させて上記既設杭を側面から切断し、上記既設杭切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構によって突出させた該既設杭切断刃の受面にて掛止して上記ケーシングと共に上記地中から引抜くことによって、上記既設杭を所定の長さに分割して上記地中から順次取り出し可能としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の既設杭撤去装置によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができ、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
また、既設杭切断刃を、既設杭の鉄筋とコンクリートとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができ、既設杭を切断する際の作業時間を短縮することができる。
また、鉄筋切断後のコンクリート切断刃による既設杭のコンクリートの切断を容易とすることができる。
また、既設杭の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃と既設杭との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを既設杭切断刃を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、既設杭を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭の最下部を、既設杭切断刃にて容易に掛止することができる
【0010】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
まず、本発明に係る既設杭撤去装置の構造について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
本発明に係る既設杭撤去装置は、建築構造物の立て替え等のため、地中Gに埋設されている既設杭30の撤去を行う際に使用される装置である。本発明に係る既設杭撤去装置は、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続され、ケーシング2と、ケーシング2の先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、出没駆動機構13…と、を備えている。
【0012】
図2に於て、オーガマシン22は、ケーシング2を回転させるための駆動機構を内部に有している(図示省略)。
アクチュエータ23, 23は、油圧シリンダから成り、オーガマシン22の両側面に配設されている。
また、アクチュエータ23, 23の伸縮先端部には、取付枠25が連結されている。アクチュエータ23, 23を上下方向(図2中の矢印A方向)に伸縮させることにより、取付枠25は、オーガマシン22に対して上下移動するように構成されている。即ち、取付枠25とオーガマシン22との上下間距離が調節可能となっている。このアクチュエータ23, 23の上下ストロークは、例えば1400mm〜1600mmに設定されている。
【0013】
また、取付枠25の上部には、油圧スイベルジョイント26が配設されている。この油圧スイベルジョイント26は、図1に示すように、杭引抜機24の杭引抜機本体28内にある油圧駆動源29からリーダ21を通って油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、出没駆動機構13…から油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、を接続している。
また、取付枠25の下部には、図2に示すように、水圧スイベルジョイント27が配設されている。この水圧スイベルジョイント27は、水圧上下ライン17と接続している。
【0014】
継足管9…は、図1に示すように、両端部にフランジ部を有する円筒部材であって、複数が上下方向に連結されている。継足管9…の最上端部は取付枠25と接続され、また、継足管9…の最下端部は接続管16を介してケーシング2と接続されている。即ち、継足管9…により、ケーシング2は、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結されることとなる。
継足管9…は、連結数を増減させることによって、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節可能としている。
なお、単体の継足管9が伸縮機能を有するように構成するも好ましい。この場合、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節するための継足管9の継足し・取外し作業をなくすことができる。
【0015】
図3は、本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図であり、図4は、その底面図である。
ケーシング2は、段付円筒状であり、先端部2aに地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有している。この掘削刃1…は、先端が三角山状に形成され、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設されている。
なお、掘削刃1…の形状や配設位置は、先端を三角山状としたものや、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設したものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、掘削刃1…の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、ケーシング2の外周面には、スクリュー部10…が突設されている。このスクリュー部10…の下端部は、掘削刃1…と接続している。
【0016】
ここで、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。
具体的には、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の外周面に底面視中心角度等ピッチで4個突設された切断刃収納部11…内に、夫々1個ずつ収納されるように構成されている。そして、各既設杭切断刃3の基端部は、切断刃収納部11内に枢着されている。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。この既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出させ、その状態でケーシング2を図4中の矢印B方向に回転させることによって、既設杭30を側面から切断可能とされている。
【0017】
既設杭切断刃3…を収納する切断刃収納部11…は、上下一対の帯板部11a, 11aと、上下一対の帯板部11a, 11aを相互に連結する支柱部11bを有している。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2を外部から見たときに、露出する構造となっている。この構造によって、切断刃収納部11…内に土砂や既設杭30の掘削屑が堆積して、既設杭切断刃3が切断刃収納部11内に収納できなくなる不都合を防止することができる。
【0018】
4つの既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…(図6参照)を切断するための一対の鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30b(図6参照)を切断するための一対のコンクリート切断刃5, 5と、を有している。これら一対の鉄筋切断刃4, 4及び一対のコンクリート切断刃5, 5は、同種類のものが底面視でケーシング2の中心に対して点対称となるように配置されている。この配置によって、既設杭30をバランスよく切断することができる。
鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5は、底面視略鎌状に形成されている。このうち、コンクリート切断刃5, 5は、ケーシング2の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部がケーシング2の中心近傍に位置するような大きさに形成されている。コンクリート切断刃5, 5の上面は、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aとなっている。また、鉄筋切断刃4, 4は、コンクリート切断刃5, 5よりも小さく形成されている。
【0019】
また、鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5の各々の先端部には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8が設けられている。
各流体噴出孔8まで水又はセメントミルクを導くのは、(後述する)各トルク伝達管12内に通される水圧ライン15である。この水圧ライン15…は、接続管16の孔部16a…に挿通され、接続管16内部で水圧上下ライン17と接続されている。
【0020】
なお、既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための一対の鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するための一対のコンクリート切断刃5, 5と、を有しているものに限るのではなく、単一種類の既設杭切断刃3…とするも自由である。
また、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、底面視略鎌状に形成されたものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、コンクリート切断刃5, 5の上面のみに、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aを形成したものに限るのではなく、鉄筋切断刃4, 4に受面3a, 3aを設けるも好ましい。
【0021】
図5は、図3のX−X線に沿って切断したケーシングの平面図である。
出没駆動機構13…は、既設杭切断刃3…をケーシング2の内面から出没させる機能を有するものである。出没駆動機構13は、図3及び図5に示すように、各既設杭切断刃3の回動軸心に接続されたトルク伝達管12と、ケーシング2の上部に配設されると共に各トルク伝達管12と接続される油圧シリンダ20と、を有している。
トルク伝達管12…は、ケーシング2の外周に沿って、上下直線状に配設されている。また、トルク伝達管12…がスクリュー部10…と交差する位置では、スクリュー部10…に設けられた導通孔10a…に、トルク伝達管12…が挿通されている。
【0022】
油圧シリンダ20…は、油圧スイベルジョイント26から導かれた油圧ライン14…の油圧によって駆動される。油圧シリンダ20…は、平面視中心角度等ピッチで4つ配設されている。この油圧シリンダ20…の駆動により、トルク伝達管12…を介して既設杭切断刃3…にトルクが伝達される。そして、この油圧シリンダ20…の駆動によりトルクが伝達された既設杭切断刃3…は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接するように構成されている。
なお、出没駆動機構13…は、ケーシング2の上部に油圧シリンダ20…を配設するものに限るのではなく、他の構造とするも自由である。例えば、油圧シリンダ20…をケーシング2の下部外周面上に配設するも好ましい。この場合、トルク伝達管12…が不要となる。
【0023】
上記の構造により、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成されている。
【0024】
次に、本発明に係る既設杭撤去方法について説明する。
図7〜図10は、本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
まず、図1及び図7に示すように、オーガマシン22によりケーシング2を図7中の矢印B方向に回転駆動させると共にリーダ21に沿ってケーシング2を下降(図7中の矢印C方向)させ、掘削刃1…により、既設杭30の周囲を所定の深度まで掘削する。この際、掘削された土砂は、スクリュー部10…により、上方に運ばれる。
【0025】
次に、図1及び図8に示すように、所定の深度Hにて、ケーシング2の下降を停止し、ケーシング2の先端部2aの内面から鉄筋切断刃4, 4を突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、鉄筋切断刃4, 4は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。そして、ケーシング2を図8中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30は、側面から切断されていく。この際、鉄筋切断刃4, 4は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、鉄筋切断刃4, 4の突出量は増大していく。そして、鉄筋30a…を、鉄筋切断刃4, 4により切断する。
【0026】
鉄筋30a…が鉄筋切断刃4, 4により切断された後、図1及び図9に示すように、鉄筋切断刃4, 4を切断刃収納部11, 11内へ収納し、代わりに、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、コンクリート切断刃5, 5は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。
そして、ケーシング2を図9中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30のコンクリート30bは、側面から切断されていく。この際、コンクリート切断刃5, 5は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、コンクリート切断刃5, 5の突出量は増大していく。
そして、コンクリート切断刃5, 5により、既設杭30の完全な切断を行う。
【0027】
次に、コンクリート切断刃5, 5により既設杭30の完全な切断を行った後、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させた状態でケーシング2の回転を止める(この際、コンクリート切断刃5, 5は、先端部2aの内面からほぼ最大限に突出した状態にある)。そして、その状態で、図1及び図10に示すように、リーダ21に沿ってケーシング2を上昇(図10中の矢印E方向)させる。この際、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分(上方切断部31)は、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止され、ケーシング2と共に地中Gから引き抜かれる。
【0028】
そして、地中Gから引き抜かれた既設杭30の上方切断部31を、ケーシング2内から取り出す。ケーシング2内から既設杭30の上方切断部31を取り出した後は、地中Gに残っている既設杭30の残部32をさらに分割して引抜くために、上方切断部31を引き抜いてできた掘削孔33に再びケーシング2を挿入する。
【0029】
以上の工程を繰り返すことにより、既設杭30は、所定の長さに分割されて地中Gから順次取り出され、撤去される。
なお、既設杭30の長さが長く、ケーシング2を所定の深度まで下降できない場合には、その度に、オーガマシン22とケーシング2との間に継足管9を継ぎ足すようにする。
【0030】
図11は、本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図であり、図12は、鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第二実施形態では、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有する場合を例示している。
即ち、第一実施形態では、ケーシング2の回転と油圧シリンダ20…による既設杭30の側面への押圧力を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断したが(図1及び図4参照)、第二実施形態では、さらに、モータ19により回転駆動される回転切断刃7を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断する構造となっている。
【0031】
モータ19は、例えば油圧で駆動される油圧モータとなっている。また、回転切断刃7は、外周が鋸刃状となった円盤に形成されている。
また、回転切断刃7の既設杭30に対しての切込量は、例えば45〜65mmに設定される。これより切込量が小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、無駄に大きい鉄筋切断刃4, 4となって部品コストが増大する。
また、回転切断刃7の回転数は、例えば一分間あたり 800〜1200回転とされる。回転切断刃7の回転数がこれより小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、回転切断刃7が容易に破損する虞れがある。
【0032】
図13は、本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第三実施形態に係る鉄筋切断刃4, 4は、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有し、さらに、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設されている場合を例示している。即ち、第三実施形態では、第二実施形態のように回転切断刃7が一つではなく、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設された構造となっている。間隔Lは、例えば 140〜 160mmに設定される。間隔Lがこれより小さいと、コンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行う際、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことが困難になる。
この鉄筋切断刃4, 4により、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0033】
なお、本発明の実施の形態に於ては、既設杭撤去装置が、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続される場合を例示したが、本発明はこれに限ることなく、自走可能でない既設杭撤去装置に利用することも可能である。
また、本発明の実施の形態に於ては、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aのみによって掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成したが、本発明はこれに限ることなく、既設杭切断刃3…に加えて、ケーシング2内面から出没自在な掛止爪18…を設けるも好ましい(図10参照)。切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分をケーシング2と共に地中Gから引抜く際、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aに加えて、この掛止爪18…にて、既設杭30を掛止することによって、より安定した引抜きを行うことができる。
【0034】
以上のように、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1を有するケーシング2と、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、既設杭切断刃3…を出没させる出没駆動機構13…と、を備え、既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出して既設杭30を側面から切断可能とし、さらに、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成するので、既設杭切断刃3…により、既設杭30を所定の長さに容易に分割することができる。
【0035】
また、既設杭30を既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成することによって、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができる。これにより、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出す作業を容易に行うことができるので、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭30を容易に撤去することができる。
【0036】
また、ケーシング2の先端部2aに既設杭切断刃3…を設けることによって、ケーシング2にて既設杭30の周囲を掘削する工程と、既設杭切断刃3…にて既設杭30を切断する工程と、を連続して行うことができる。これにより、ワイヤーソー装置を使用する場合と比較して、既設杭30の切断装置を既設杭30とケーシング2との間に形成された空間に挿入する作業を必要としないので、その分、作業工数を削減することができる。その結果、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭30を容易に撤去することができる。
【0037】
また、既設杭切断刃3…が、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5, 5と、を有するように構成することによって、既設杭切断刃3を、鉄筋30a…とコンクリート30bとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができる。これにより、既設杭切断刃3…の種類が単一である場合と比較して、既設杭30を切断する際の作業時間を短縮することができる。
【0038】
また、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有するように構成することによって、より容易に既設杭30の鉄筋30a…を切断することができる。
また、回転切断刃7を、アーム部6に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設することによって、ケーシング2を上下に移動させることなく、一度に鉄筋30a…を上下に所定の間隔を隔てた2箇所で切断することができる。また、上下2箇所で切断された鉄筋30a…をコンクリート切断刃5, 5にて切断部からはじき出した後、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことができる。その結果、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0039】
また、既設杭切断刃3に、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8を設けることによって、既設杭30の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃3…と既設杭30との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを、既設杭切断刃3…を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、ケーシング2を、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結することによって、ケーシング2の先端部2aに設けられた既設杭切断刃3…の上下位置の微調整を容易に行うことができる。これにより、既設杭30を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭30の最下部を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)にて容易に掛止することができる。
【0040】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有するケーシング2にて所定の深度まで掘削し、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられた既設杭切断刃3…を、先端部2aの内面から突出させて既設杭30を側面から切断し、既設杭切断刃3によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13…によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜くことによって、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出し可能とするので、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
【図2】オーガマシン周辺部を示す要部拡大正面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図である。
【図4】底面図である。
【図5】図3のX−X線に沿って切断した平面図である。
【図6】既設杭の断面平面図である。
【図7】本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図8】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図9】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図10】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図11】本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図である。
【図12】鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【図13】本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 掘削刃
2 ケーシング
2a 先端部
3 既設杭切断刃
3a 受面
4 鉄筋切断刃
5 コンクリート切断刃
6 アーム部
7 回転切断刃
8 流体噴出孔
13 出没駆動機構
21 リーダ
22 オーガマシン
23 アクチュエータ
30 既設杭
30a 鉄筋
30b コンクリート
G 地中
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設杭撤去方法及びその装置に係り、特に、地中に埋設された不要の杭を撤去するための既設杭撤去方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の立て替え等を行う場合、古い建築構造物を解体撤去するだけでなく、地中に埋設されている不要となった既設杭の撤去を行う必要がある。地中に打ち込まれた既設杭は、長年の間に地盤に固着安定され、その引抜きには巨大な引抜力が必要となる。従来では、このような既設杭を引抜き撤去する場合、杭引抜機のリーダに沿って昇降するオーガマシンにより回転駆動されるケーシングによって、既設杭の周囲をその先端近くまで掘削した後、その既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜くようにしていた。
【0003】
しかしながら、上記方法では、既設杭の長さ・重量が大きなものになると、クレーンが既設杭の重量に耐えられなくなるという問題点があった。また、杭引抜機及び杭引抜機に取付けるケーシングをより大きなものにする必要があり、既設杭の引抜き撤去作業に必要なコストが増大するという問題点があった。
そこで、従来、このような長さ・重量が大きい既設杭の引抜き撤去を可能とするため、種々の既設杭撤去装置及びその方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、ケーシングにより既設杭の周囲を掘削した後、既設杭とケーシングとの間に形成された空間にワイヤーソー装置を挿入し、そのワイヤーソー装置で既設杭を上部より所定の長さに分割して引抜き撤去する既設杭撤去方法及びその装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−262570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された既設杭撤去方法及びその装置では、ワイヤーソー装置が既設杭を所定の長さに分割する機能を有するのみであるという不都合があった。これにより、分割された既設杭を地中から引抜き撤去するには、従来と同様、既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜く必要があるという問題点があった。その結果、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が大幅に増大するという問題点があった。また、ワイヤーソー装置を既設杭とケーシングとの間に形成された空間に挿入する作業も、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が増大する要因となる。
そこで、本発明は、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭を容易に撤去することが可能な既設杭撤去方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングと、該ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられる既設杭切断刃と、該既設杭切断刃を出没させる出没駆動機構と、を備え、上記出没駆動機構は、上記ケーシングの上部上面側に配設される油圧シリンダを有し、上記既設杭切断刃は、所定の深度にて上記先端部の内面から突出して上記既設杭を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構によって突出させた該既設杭切断刃の受面にて掛止して上記ケーシングと共に上記地中から引抜き可能に構成し、さらに、上記既設杭切断刃は、上記既設杭の鉄筋を切断するための鉄筋切断刃と、該既設杭のコンクリートを切断するためのコンクリート切断刃と、を有し、該鉄筋切断刃は、該コンクリート切断刃よりも小さく形成され、かつ、該コンクリート切断刃は、上記ケーシングの内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部が該ケーシングの中心近傍に位置する大きさに形成されている。
【0006】
また、上記鉄筋切断刃は、上記ケーシングの内面から出没自在のアーム部と、該アーム部の先端に枢着された回転切断刃と、を有する。
【0007】
また、上記回転切断刃は、上記アーム部に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている。
また、上記既設杭切断刃には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔が設けられている。
また、上記ケーシングは、リーダに沿って昇降するオーガマシンに、上下に伸縮自在のアクチュエータを介して連結されている。
【0008】
また、本発明に係る既設杭撤去方法は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングにて所定の深度まで掘削し、上記ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられた鉄筋切断刃及びコンクリート切断刃のうち該鉄筋切断刃を、上記ケーシングの上部上面側に配設される油圧シリンダを有する出没駆動機構によって、上記先端部の内面から突出させて上記既設杭の側面側から鉄筋を切断し、上記コンクリート切断刃を上記ケーシングの上記先端部の内面から上記出没駆動機構によって突出させて上記既設杭の側面側からコンクリートを切断し、上記鉄筋切断刃及び上記コンクリート切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、突出させた該コンクリート切断刃の先端部が上記ケーシングの中心近傍に位置した状態で該コンクリート切断刃の受面にて掛止して、該ケーシングと共に上記地中から引抜くことによって、上記既設杭を所定の長さに分割して該地中から順次取り出し可能としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の既設杭撤去装置によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができ、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
また、既設杭切断刃を、既設杭の鉄筋とコンクリートとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができ、既設杭を切断する際の作業時間を短縮することができる。
また、鉄筋切断後のコンクリート切断刃による既設杭のコンクリートの切断を容易とすることができる。
また、既設杭の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃と既設杭との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを既設杭切断刃を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、既設杭を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭の最下部を、既設杭切断刃にて容易に掛止することができる。
【0010】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
まず、本発明に係る既設杭撤去装置の構造について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
本発明に係る既設杭撤去装置は、建築構造物の立て替え等のため、地中Gに埋設されている既設杭30の撤去を行う際に使用される装置である。本発明に係る既設杭撤去装置は、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続され、ケーシング2と、ケーシング2の先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、出没駆動機構13…と、を備えている。
【0012】
図2に於て、オーガマシン22は、ケーシング2を回転させるための駆動機構を内部に有している(図示省略)。
アクチュエータ23, 23は、油圧シリンダから成り、オーガマシン22の両側面に配設されている。
また、アクチュエータ23, 23の伸縮先端部には、取付枠25が連結されている。アクチュエータ23, 23を上下方向(図2中の矢印A方向)に伸縮させることにより、取付枠25は、オーガマシン22に対して上下移動するように構成されている。即ち、取付枠25とオーガマシン22との上下間距離が調節可能となっている。このアクチュエータ23, 23の上下ストロークは、例えば1400mm〜1600mmに設定されている。
【0013】
また、取付枠25の上部には、油圧スイベルジョイント26が配設されている。この油圧スイベルジョイント26は、図1に示すように、杭引抜機24の杭引抜機本体28内にある油圧駆動源29からリーダ21を通って油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、出没駆動機構13…から油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、を接続している。
また、取付枠25の下部には、図2に示すように、水圧スイベルジョイント27が配設されている。この水圧スイベルジョイント27は、水圧上下ライン17と接続している。
【0014】
継足管9…は、図1に示すように、両端部にフランジ部を有する円筒部材であって、複数が上下方向に連結されている。継足管9…の最上端部は取付枠25と接続され、また、継足管9…の最下端部は接続管16を介してケーシング2と接続されている。即ち、継足管9…により、ケーシング2は、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結されることとなる。
継足管9…は、連結数を増減させることによって、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節可能としている。
なお、単体の継足管9が伸縮機能を有するように構成するも好ましい。この場合、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節するための継足管9の継足し・取外し作業をなくすことができる。
【0015】
図3は、本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図であり、図4は、その底面図である。
ケーシング2は、段付円筒状であり、先端部2aに地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有している。この掘削刃1…は、先端が三角山状に形成され、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設されている。
なお、掘削刃1…の形状や配設位置は、先端を三角山状としたものや、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設したものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、掘削刃1…の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、ケーシング2の外周面には、スクリュー部10…が突設されている。このスクリュー部10…の下端部は、掘削刃1…と接続している。
【0016】
ここで、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。
具体的には、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の外周面に底面視中心角度等ピッチで4個突設された切断刃収納部11…内に、夫々1個ずつ収納されるように構成されている。そして、各既設杭切断刃3の基端部は、切断刃収納部11内に枢着されている。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。この既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出させ、その状態でケーシング2を図4中の矢印B方向に回転させることによって、既設杭30を側面から切断可能とされている。
【0017】
既設杭切断刃3…を収納する切断刃収納部11…は、上下一対の帯板部11a, 11aと、上下一対の帯板部11a, 11aを相互に連結する支柱部11bを有している。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2を外部から見たときに、露出する構造となっている。この構造によって、切断刃収納部11…内に土砂や既設杭30の掘削屑が堆積して、既設杭切断刃3が切断刃収納部11内に収納できなくなる不都合を防止することができる。
【0018】
4つの既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…(図6参照)を切断するための一対の鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30b(図6参照)を切断するための一対のコンクリート切断刃5, 5と、を有している。これら一対の鉄筋切断刃4, 4及び一対のコンクリート切断刃5, 5は、同種類のものが底面視でケーシング2の中心に対して点対称となるように配置されている。この配置によって、既設杭30をバランスよく切断することができる。
鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5は、底面視略鎌状に形成されている。このうち、コンクリート切断刃5, 5は、ケーシング2の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部がケーシング2の中心近傍に位置するような大きさに形成されている。コンクリート切断刃5, 5の上面は、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aとなっている。また、鉄筋切断刃4, 4は、コンクリート切断刃5, 5よりも小さく形成されている。
【0019】
また、鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5の各々の先端部には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8が設けられている。
各流体噴出孔8まで水又はセメントミルクを導くのは、(後述する)各トルク伝達管12内に通される水圧ライン15である。この水圧ライン15…は、接続管16の孔部16a…に挿通され、接続管16内部で水圧上下ライン17と接続されている。
【0020】
なお、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、底面視略鎌状に形成されたものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、コンクリート切断刃5, 5の上面のみに、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aを形成したものに限るのではなく、鉄筋切断刃4, 4に受面3a, 3aを設けるも好ましい。
【0021】
図5は、図3のX−X線に沿って切断したケーシングの平面図である。
出没駆動機構13…は、既設杭切断刃3…をケーシング2の内面から出没させる機能を有するものである。出没駆動機構13は、図3及び図5に示すように、各既設杭切断刃3の回動軸心に接続されたトルク伝達管12と、ケーシング2の上部に配設されると共に各トルク伝達管12と接続される油圧シリンダ20と、を有している。
トルク伝達管12…は、ケーシング2の外周に沿って、上下直線状に配設されている。また、トルク伝達管12…がスクリュー部10…と交差する位置では、スクリュー部10…に設けられた導通孔10a…に、トルク伝達管12…が挿通されている。
【0022】
油圧シリンダ20…は、油圧スイベルジョイント26から導かれた油圧ライン14…の油圧によって駆動される。油圧シリンダ20…は、平面視中心角度等ピッチで4つ配設されている。この油圧シリンダ20…の駆動により、トルク伝達管12…を介して既設杭切断刃3…にトルクが伝達される。そして、この油圧シリンダ20…の駆動によりトルクが伝達された既設杭切断刃3…は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接するように構成されている。
【0023】
上記の構造により、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成されている。
【0024】
次に、本発明に係る既設杭撤去方法について説明する。
図7〜図10は、本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
まず、図1及び図7に示すように、オーガマシン22によりケーシング2を図7中の矢印B方向に回転駆動させると共にリーダ21に沿ってケーシング2を下降(図7中の矢印C方向)させ、掘削刃1…により、既設杭30の周囲を所定の深度まで掘削する。この際、掘削された土砂は、スクリュー部10…により、上方に運ばれる。
【0025】
次に、図1及び図8に示すように、所定の深度Hにて、ケーシング2の下降を停止し、ケーシング2の先端部2aの内面から鉄筋切断刃4, 4を突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、鉄筋切断刃4, 4は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。そして、ケーシング2を図8中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30は、側面から切断されていく。この際、鉄筋切断刃4, 4は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、鉄筋切断刃4, 4の突出量は増大していく。そして、鉄筋30a…を、鉄筋切断刃4, 4により切断する。
【0026】
鉄筋30a…が鉄筋切断刃4, 4により切断された後、図1及び図9に示すように、鉄筋切断刃4, 4を切断刃収納部11, 11内へ収納し、代わりに、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、コンクリート切断刃5, 5は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。
そして、ケーシング2を図9中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30のコンクリート30bは、側面から切断されていく。この際、コンクリート切断刃5, 5は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、コンクリート切断刃5, 5の突出量は増大していく。
そして、コンクリート切断刃5, 5により、既設杭30の完全な切断を行う。
【0027】
次に、コンクリート切断刃5, 5により既設杭30の完全な切断を行った後、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させた状態でケーシング2の回転を止める(この際、コンクリート切断刃5, 5は、先端部2aの内面からほぼ最大限に突出した状態にある)。そして、その状態で、図1及び図10に示すように、リーダ21に沿ってケーシング2を上昇(図10中の矢印E方向)させる。この際、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分(上方切断部31)は、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止され、ケーシング2と共に地中Gから引き抜かれる。
【0028】
そして、地中Gから引き抜かれた既設杭30の上方切断部31を、ケーシング2内から取り出す。ケーシング2内から既設杭30の上方切断部31を取り出した後は、地中Gに残っている既設杭30の残部32をさらに分割して引抜くために、上方切断部31を引き抜いてできた掘削孔33に再びケーシング2を挿入する。
【0029】
以上の工程を繰り返すことにより、既設杭30は、所定の長さに分割されて地中Gから順次取り出され、撤去される。
なお、既設杭30の長さが長く、ケーシング2を所定の深度まで下降できない場合には、その度に、オーガマシン22とケーシング2との間に継足管9を継ぎ足すようにする。
【0030】
図11は、本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図であり、図12は、鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第二実施形態では、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有する場合を例示している。
即ち、第一実施形態では、ケーシング2の回転と油圧シリンダ20…による既設杭30の側面への押圧力を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断したが(図1及び図4参照)、第二実施形態では、さらに、モータ19により回転駆動される回転切断刃7を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断する構造となっている。
【0031】
モータ19は、例えば油圧で駆動される油圧モータとなっている。また、回転切断刃7は、外周が鋸刃状となった円盤に形成されている。
また、回転切断刃7の既設杭30に対しての切込量は、例えば45〜65mmに設定される。これより切込量が小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、無駄に大きい鉄筋切断刃4, 4となって部品コストが増大する。
また、回転切断刃7の回転数は、例えば一分間あたり 800〜1200回転とされる。回転切断刃7の回転数がこれより小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、回転切断刃7が容易に破損する虞れがある。
【0032】
図13は、本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第三実施形態に係る鉄筋切断刃4, 4は、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有し、さらに、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設されている場合を例示している。即ち、第三実施形態では、第二実施形態のように回転切断刃7が一つではなく、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設された構造となっている。間隔Lは、例えば 140〜 160mmに設定される。間隔Lがこれより小さいと、コンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行う際、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことが困難になる。
この鉄筋切断刃4, 4により、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0033】
なお、本発明の実施の形態に於ては、既設杭撤去装置が、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続される場合を例示したが、本発明はこれに限ることなく、自走可能でない既設杭撤去装置に利用することも可能である。
また、本発明の実施の形態に於ては、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aのみによって掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成したが、本発明はこれに限ることなく、既設杭切断刃3…に加えて、ケーシング2内面から出没自在な掛止爪18…を設けるも好ましい(図10参照)。切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分をケーシング2と共に地中Gから引抜く際、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aに加えて、この掛止爪18…にて、既設杭30を掛止することによって、より安定した引抜きを行うことができる。
【0034】
以上のように、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1を有するケーシング2と、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、既設杭切断刃3…を出没させる出没駆動機構13…と、を備え、出没駆動機構13…は、ケーシング2の上部上面側に配設される油圧シリンダ20を有し、既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出して既設杭30を側面から切断可能とし、さらに、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成し、さらに、既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4,4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5,5と、を有し、鉄筋切断刃4,4は、コンクリート切断刃5,5よりも小さく形成され、かつ、コンクリート切断刃5,5は、ケーシング2の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部がケーシング2の中心近傍に位置する大きさに形成されているので、既設杭切断刃3…により、既設杭30を所定の長さに容易に分割することができる。
【0035】
また、既設杭30を既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成することによって、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができる。これにより、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出す作業を容易に行うことができるので、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭30を容易に撤去することができる。
【0036】
また、ケーシング2の先端部2aに既設杭切断刃3…を設けることによって、ケーシング2にて既設杭30の周囲を掘削する工程と、既設杭切断刃3…にて既設杭30を切断する工程と、を連続して行うことができる。これにより、ワイヤーソー装置を使用する場合と比較して、既設杭30の切断装置を既設杭30とケーシング2との間に形成された空間に挿入する作業を必要としないので、その分、作業工数を削減することができる。その結果、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭30を容易に撤去することができる。
【0037】
また、既設杭切断刃3…が、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5, 5と、を有するように構成することによって、既設杭切断刃3を、鉄筋30a…とコンクリート30bとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができる。これにより、既設杭切断刃3…の種類が単一である場合と比較して、既設杭30を切断する際の作業時間を短縮することができる。
【0038】
また、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有するように構成することによって、より容易に既設杭30の鉄筋30a…を切断することができる。
また、回転切断刃7を、アーム部6に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設することによって、ケーシング2を上下に移動させることなく、一度に鉄筋30a…を上下に所定の間隔を隔てた2箇所で切断することができる。また、上下2箇所で切断された鉄筋30a…をコンクリート切断刃5, 5にて切断部からはじき出した後、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことができる。その結果、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0039】
また、既設杭切断刃3に、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8を設けることによって、既設杭30の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃3…と既設杭30との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを、既設杭切断刃3…を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、ケーシング2を、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結することによって、ケーシング2の先端部2aに設けられた既設杭切断刃3…の上下位置の微調整を容易に行うことができる。これにより、既設杭30を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭30の最下部を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)にて容易に掛止することができる。
【0040】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有するケーシング2にて所定の深度まで掘削し、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられた鉄筋切断刃4,4及びコンクリート切断刃5,5のうち鉄筋切断刃4,4を、ケーシング2の上部上面側に配設される油圧シリンダ20を有する出没駆動機構13によって、先端部2aの内面から突出させて既設杭30の側面側から鉄筋30a…を切断し、コンクリート切断刃5,5をケーシング2の先端部2aの内面から出没駆動機構13によって突出させて既設杭30の側面側からコンクリート30bを切断し、鉄筋切断刃4,4及びコンクリート切断刃5,5によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、突出させたコンクリート切断刃5, 5の先端部がケーシング2の中心近傍に位置した状態でコンクリート切断刃5,5の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜くことによって、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出し可能とするので、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【0041】
また、ケーシング2にて既設杭30の周囲を掘削する工程と、既設杭切断刃3…にて既設杭30を切断する工程と、を連続して行うことができる。これにより、ワイヤーソー装置を使用する場合と比較して、既設杭30の切断装置を既設杭30とケーシング2との間に形成された空間に挿入する作業を必要としないので、その分、作業工数を削減することができる。その結果、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭30を容易に撤去することができる。
【0042】
また、既設杭切断刃3…が、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5, 5と、を有するように構成することによって、既設杭切断刃3を、鉄筋30a…とコンクリート30bとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができる。これにより、既設杭切断刃3…の種類が単一である場合と比較して、既設杭30を切断する際の作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
【図2】オーガマシン周辺部を示す要部拡大正面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図である。
【図4】底面図である。
【図5】図3のX−X線に沿って切断した平面図である。
【図6】既設杭の断面平面図である。
【図7】本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図8】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図9】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図10】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図11】本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図である。
【図12】鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【図13】本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 掘削刃
2 ケーシング
2a 先端部
3 既設杭切断刃
3a 受面
4 鉄筋切断刃
5 コンクリート切断刃
6 アーム部
7 回転切断刃
8 流体噴出孔
13 出没駆動機構
20 油圧シリンダ
21 リーダ
22 オーガマシン
23 アクチュエータ
30 既設杭
30a 鉄筋
30b コンクリート
G 地中
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設杭撤去方法及びその装置に係り、特に、地中に埋設された不要の杭を撤去するための既設杭撤去方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の立て替え等を行う場合、古い建築構造物を解体撤去するだけでなく、地中に埋設されている不要となった既設杭の撤去を行う必要がある。地中に打ち込まれた既設杭は、長年の間に地盤に固着安定され、その引抜きには巨大な引抜力が必要となる。従来では、このような既設杭を引抜き撤去する場合、杭引抜機のリーダに沿って昇降するオーガマシンにより回転駆動されるケーシングによって、既設杭の周囲をその先端近くまで掘削した後、その既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜くようにしていた。
【0003】
しかしながら、上記方法では、既設杭の長さ・重量が大きなものになると、クレーンが既設杭の重量に耐えられなくなるという問題点があった。また、杭引抜機及び杭引抜機に取付けるケーシングをより大きなものにする必要があり、既設杭の引抜き撤去作業に必要なコストが増大するという問題点があった。
そこで、従来、このような長さ・重量が大きい既設杭の引抜き撤去を可能とするため、種々の既設杭撤去装置及びその方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、ケーシングにより既設杭の周囲を掘削した後、既設杭とケーシングとの間に形成された空間にワイヤーソー装置を挿入し、そのワイヤーソー装置で既設杭を上部より所定の長さに分割して引抜き撤去する既設杭撤去方法及びその装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−262570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された既設杭撤去方法及びその装置では、ワイヤーソー装置が既設杭を所定の長さに分割する機能を有するのみであるという不都合があった。これにより、分割された既設杭を地中から引抜き撤去するには、従来と同様、既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜く必要があるという問題点があった。その結果、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が大幅に増大するという問題点があった。また、ワイヤーソー装置を既設杭とケーシングとの間に形成された空間に挿入する作業も、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が増大する要因となる。
そこで、本発明は、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭を容易に撤去することが可能な既設杭撤去方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングと、該ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられる既設杭切断刃と、該既設杭切断刃を出没させる出没駆動機構と、を備え、該既設杭切断刃は、所定の深度にて上記先端部の内面から突出して上記既設杭を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構によって突出させた該既設杭切断刃の受面にて掛止して上記ケーシングと共に上記地中から引抜き可能に構成したものである。
【0006】
また、上記既設杭切断刃は、上記既設杭の鉄筋を切断するための鉄筋切断刃と、該既設杭のコンクリートを切断するためのコンクリート切断刃と、を有している。
また、上記鉄筋切断刃は、上記ケーシングの内面から出没自在のアーム部と、該アーム部の先端に枢着された回転切断刃と、を有する。
【0007】
また、上記回転切断刃は、上記アーム部に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている。
また、上記既設杭切断刃には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔が設けられている。
また、上記ケーシングは、リーダに沿って昇降するオーガマシンに、上下に伸縮自在のアクチュエータを介して連結されている。
【0008】
また、本発明に係る既設杭撤去方法は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングにて所定の深度まで掘削し、上記ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられた既設杭切断刃を、上記先端部の内面から突出させて上記既設杭を側面から切断し、上記既設杭切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構によって突出させた該既設杭切断刃の受面にて掛止して上記ケーシングと共に上記地中から引抜くことによって、上記既設杭を所定の長さに分割して上記地中から順次取り出し可能としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の既設杭撤去装置によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができ、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
また、既設杭切断刃を、既設杭の鉄筋とコンクリートとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができ、既設杭を切断する際の作業時間を短縮することができる。
また、鉄筋切断後のコンクリート切断刃による既設杭のコンクリートの切断を容易とすることができる。
また、既設杭の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃と既設杭との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを既設杭切断刃を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、既設杭を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭の最下部を、既設杭切断刃にて容易に掛止することができる
【0010】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
まず、本発明に係る既設杭撤去装置の構造について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
本発明に係る既設杭撤去装置は、建築構造物の立て替え等のため、地中Gに埋設されている既設杭30の撤去を行う際に使用される装置である。本発明に係る既設杭撤去装置は、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続され、ケーシング2と、ケーシング2の先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、出没駆動機構13…と、を備えている。
【0012】
図2に於て、オーガマシン22は、ケーシング2を回転させるための駆動機構を内部に有している(図示省略)。
アクチュエータ23, 23は、油圧シリンダから成り、オーガマシン22の両側面に配設されている。
また、アクチュエータ23, 23の伸縮先端部には、取付枠25が連結されている。アクチュエータ23, 23を上下方向(図2中の矢印A方向)に伸縮させることにより、取付枠25は、オーガマシン22に対して上下移動するように構成されている。即ち、取付枠25とオーガマシン22との上下間距離が調節可能となっている。このアクチュエータ23, 23の上下ストロークは、例えば1400mm〜1600mmに設定されている。
【0013】
また、取付枠25の上部には、油圧スイベルジョイント26が配設されている。この油圧スイベルジョイント26は、図1に示すように、杭引抜機24の杭引抜機本体28内にある油圧駆動源29からリーダ21を通って油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、出没駆動機構13…から油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、を接続している。
また、取付枠25の下部には、図2に示すように、水圧スイベルジョイント27が配設されている。この水圧スイベルジョイント27は、水圧上下ライン17と接続している。
【0014】
継足管9…は、図1に示すように、両端部にフランジ部を有する円筒部材であって、複数が上下方向に連結されている。継足管9…の最上端部は取付枠25と接続され、また、継足管9…の最下端部は接続管16を介してケーシング2と接続されている。即ち、継足管9…により、ケーシング2は、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結されることとなる。
継足管9…は、連結数を増減させることによって、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節可能としている。
なお、単体の継足管9が伸縮機能を有するように構成するも好ましい。この場合、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節するための継足管9の継足し・取外し作業をなくすことができる。
【0015】
図3は、本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図であり、図4は、その底面図である。
ケーシング2は、段付円筒状であり、先端部2aに地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有している。この掘削刃1…は、先端が三角山状に形成され、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設されている。
なお、掘削刃1…の形状や配設位置は、先端を三角山状としたものや、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設したものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、掘削刃1…の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、ケーシング2の外周面には、スクリュー部10…が突設されている。このスクリュー部10…の下端部は、掘削刃1…と接続している。
【0016】
ここで、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。
具体的には、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の外周面に底面視中心角度等ピッチで4個突設された切断刃収納部11…内に、夫々1個ずつ収納されるように構成されている。そして、各既設杭切断刃3の基端部は、切断刃収納部11内に枢着されている。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。この既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出させ、その状態でケーシング2を図4中の矢印B方向に回転させることによって、既設杭30を側面から切断可能とされている。
【0017】
既設杭切断刃3…を収納する切断刃収納部11…は、上下一対の帯板部11a, 11aと、上下一対の帯板部11a, 11aを相互に連結する支柱部11bを有している。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2を外部から見たときに、露出する構造となっている。この構造によって、切断刃収納部11…内に土砂や既設杭30の掘削屑が堆積して、既設杭切断刃3が切断刃収納部11内に収納できなくなる不都合を防止することができる。
【0018】
4つの既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…(図6参照)を切断するための一対の鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30b(図6参照)を切断するための一対のコンクリート切断刃5, 5と、を有している。これら一対の鉄筋切断刃4, 4及び一対のコンクリート切断刃5, 5は、同種類のものが底面視でケーシング2の中心に対して点対称となるように配置されている。この配置によって、既設杭30をバランスよく切断することができる。
鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5は、底面視略鎌状に形成されている。このうち、コンクリート切断刃5, 5は、ケーシング2の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部がケーシング2の中心近傍に位置するような大きさに形成されている。コンクリート切断刃5, 5の上面は、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aとなっている。また、鉄筋切断刃4, 4は、コンクリート切断刃5, 5よりも小さく形成されている。
【0019】
また、鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5の各々の先端部には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8が設けられている。
各流体噴出孔8まで水又はセメントミルクを導くのは、(後述する)各トルク伝達管12内に通される水圧ライン15である。この水圧ライン15…は、接続管16の孔部16a…に挿通され、接続管16内部で水圧上下ライン17と接続されている。
【0020】
なお、既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための一対の鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するための一対のコンクリート切断刃5, 5と、を有しているものに限るのではなく、単一種類の既設杭切断刃3…とするも自由である。
また、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、底面視略鎌状に形成されたものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、コンクリート切断刃5, 5の上面のみに、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aを形成したものに限るのではなく、鉄筋切断刃4, 4に受面3a, 3aを設けるも好ましい。
【0021】
図5は、図3のX−X線に沿って切断したケーシングの平面図である。
出没駆動機構13…は、既設杭切断刃3…をケーシング2の内面から出没させる機能を有するものである。出没駆動機構13は、図3及び図5に示すように、各既設杭切断刃3の回動軸心に接続されたトルク伝達管12と、ケーシング2の上部に配設されると共に各トルク伝達管12と接続される油圧シリンダ20と、を有している。
トルク伝達管12…は、ケーシング2の外周に沿って、上下直線状に配設されている。また、トルク伝達管12…がスクリュー部10…と交差する位置では、スクリュー部10…に設けられた導通孔10a…に、トルク伝達管12…が挿通されている。
【0022】
油圧シリンダ20…は、油圧スイベルジョイント26から導かれた油圧ライン14…の油圧によって駆動される。油圧シリンダ20…は、平面視中心角度等ピッチで4つ配設されている。この油圧シリンダ20…の駆動により、トルク伝達管12…を介して既設杭切断刃3…にトルクが伝達される。そして、この油圧シリンダ20…の駆動によりトルクが伝達された既設杭切断刃3…は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接するように構成されている。
なお、出没駆動機構13…は、ケーシング2の上部に油圧シリンダ20…を配設するものに限るのではなく、他の構造とするも自由である。例えば、油圧シリンダ20…をケーシング2の下部外周面上に配設するも好ましい。この場合、トルク伝達管12…が不要となる。
【0023】
上記の構造により、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成されている。
【0024】
次に、本発明に係る既設杭撤去方法について説明する。
図7〜図10は、本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
まず、図1及び図7に示すように、オーガマシン22によりケーシング2を図7中の矢印B方向に回転駆動させると共にリーダ21に沿ってケーシング2を下降(図7中の矢印C方向)させ、掘削刃1…により、既設杭30の周囲を所定の深度まで掘削する。この際、掘削された土砂は、スクリュー部10…により、上方に運ばれる。
【0025】
次に、図1及び図8に示すように、所定の深度Hにて、ケーシング2の下降を停止し、ケーシング2の先端部2aの内面から鉄筋切断刃4, 4を突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、鉄筋切断刃4, 4は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。そして、ケーシング2を図8中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30は、側面から切断されていく。この際、鉄筋切断刃4, 4は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、鉄筋切断刃4, 4の突出量は増大していく。そして、鉄筋30a…を、鉄筋切断刃4, 4により切断する。
【0026】
鉄筋30a…が鉄筋切断刃4, 4により切断された後、図1及び図9に示すように、鉄筋切断刃4, 4を切断刃収納部11, 11内へ収納し、代わりに、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、コンクリート切断刃5, 5は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。
そして、ケーシング2を図9中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30のコンクリート30bは、側面から切断されていく。この際、コンクリート切断刃5, 5は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、コンクリート切断刃5, 5の突出量は増大していく。
そして、コンクリート切断刃5, 5により、既設杭30の完全な切断を行う。
【0027】
次に、コンクリート切断刃5, 5により既設杭30の完全な切断を行った後、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させた状態でケーシング2の回転を止める(この際、コンクリート切断刃5, 5は、先端部2aの内面からほぼ最大限に突出した状態にある)。そして、その状態で、図1及び図10に示すように、リーダ21に沿ってケーシング2を上昇(図10中の矢印E方向)させる。この際、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分(上方切断部31)は、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止され、ケーシング2と共に地中Gから引き抜かれる。
【0028】
そして、地中Gから引き抜かれた既設杭30の上方切断部31を、ケーシング2内から取り出す。ケーシング2内から既設杭30の上方切断部31を取り出した後は、地中Gに残っている既設杭30の残部32をさらに分割して引抜くために、上方切断部31を引き抜いてできた掘削孔33に再びケーシング2を挿入する。
【0029】
以上の工程を繰り返すことにより、既設杭30は、所定の長さに分割されて地中Gから順次取り出され、撤去される。
なお、既設杭30の長さが長く、ケーシング2を所定の深度まで下降できない場合には、その度に、オーガマシン22とケーシング2との間に継足管9を継ぎ足すようにする。
【0030】
図11は、本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図であり、図12は、鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第二実施形態では、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有する場合を例示している。
即ち、第一実施形態では、ケーシング2の回転と油圧シリンダ20…による既設杭30の側面への押圧力を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断したが(図1及び図4参照)、第二実施形態では、さらに、モータ19により回転駆動される回転切断刃7を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断する構造となっている。
【0031】
モータ19は、例えば油圧で駆動される油圧モータとなっている。また、回転切断刃7は、外周が鋸刃状となった円盤に形成されている。
また、回転切断刃7の既設杭30に対しての切込量は、例えば45〜65mmに設定される。これより切込量が小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、無駄に大きい鉄筋切断刃4, 4となって部品コストが増大する。
また、回転切断刃7の回転数は、例えば一分間あたり 800〜1200回転とされる。回転切断刃7の回転数がこれより小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、回転切断刃7が容易に破損する虞れがある。
【0032】
図13は、本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第三実施形態に係る鉄筋切断刃4, 4は、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有し、さらに、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設されている場合を例示している。即ち、第三実施形態では、第二実施形態のように回転切断刃7が一つではなく、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設された構造となっている。間隔Lは、例えば 140〜 160mmに設定される。間隔Lがこれより小さいと、コンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行う際、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことが困難になる。
この鉄筋切断刃4, 4により、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0033】
なお、本発明の実施の形態に於ては、既設杭撤去装置が、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続される場合を例示したが、本発明はこれに限ることなく、自走可能でない既設杭撤去装置に利用することも可能である。
また、本発明の実施の形態に於ては、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aのみによって掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成したが、本発明はこれに限ることなく、既設杭切断刃3…に加えて、ケーシング2内面から出没自在な掛止爪18…を設けるも好ましい(図10参照)。切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分をケーシング2と共に地中Gから引抜く際、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aに加えて、この掛止爪18…にて、既設杭30を掛止することによって、より安定した引抜きを行うことができる。
【0034】
以上のように、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1を有するケーシング2と、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、既設杭切断刃3…を出没させる出没駆動機構13…と、を備え、既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出して既設杭30を側面から切断可能とし、さらに、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成するので、既設杭切断刃3…により、既設杭30を所定の長さに容易に分割することができる。
【0035】
また、既設杭30を既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成することによって、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができる。これにより、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出す作業を容易に行うことができるので、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭30を容易に撤去することができる。
【0036】
また、ケーシング2の先端部2aに既設杭切断刃3…を設けることによって、ケーシング2にて既設杭30の周囲を掘削する工程と、既設杭切断刃3…にて既設杭30を切断する工程と、を連続して行うことができる。これにより、ワイヤーソー装置を使用する場合と比較して、既設杭30の切断装置を既設杭30とケーシング2との間に形成された空間に挿入する作業を必要としないので、その分、作業工数を削減することができる。その結果、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭30を容易に撤去することができる。
【0037】
また、既設杭切断刃3…が、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5, 5と、を有するように構成することによって、既設杭切断刃3を、鉄筋30a…とコンクリート30bとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができる。これにより、既設杭切断刃3…の種類が単一である場合と比較して、既設杭30を切断する際の作業時間を短縮することができる。
【0038】
また、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有するように構成することによって、より容易に既設杭30の鉄筋30a…を切断することができる。
また、回転切断刃7を、アーム部6に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設することによって、ケーシング2を上下に移動させることなく、一度に鉄筋30a…を上下に所定の間隔を隔てた2箇所で切断することができる。また、上下2箇所で切断された鉄筋30a…をコンクリート切断刃5, 5にて切断部からはじき出した後、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことができる。その結果、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0039】
また、既設杭切断刃3に、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8を設けることによって、既設杭30の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃3…と既設杭30との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを、既設杭切断刃3…を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、ケーシング2を、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結することによって、ケーシング2の先端部2aに設けられた既設杭切断刃3…の上下位置の微調整を容易に行うことができる。これにより、既設杭30を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭30の最下部を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)にて容易に掛止することができる。
【0040】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有するケーシング2にて所定の深度まで掘削し、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられた既設杭切断刃3…を、先端部2aの内面から突出させて既設杭30を側面から切断し、既設杭切断刃3によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13…によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜くことによって、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出し可能とするので、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
【図2】オーガマシン周辺部を示す要部拡大正面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図である。
【図4】底面図である。
【図5】図3のX−X線に沿って切断した平面図である。
【図6】既設杭の断面平面図である。
【図7】本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図8】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図9】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図10】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図11】本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図である。
【図12】鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【図13】本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 掘削刃
2 ケーシング
2a 先端部
3 既設杭切断刃
3a 受面
4 鉄筋切断刃
5 コンクリート切断刃
6 アーム部
7 回転切断刃
8 流体噴出孔
13 出没駆動機構
21 リーダ
22 オーガマシン
23 アクチュエータ
30 既設杭
30a 鉄筋
30b コンクリート
G 地中
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設杭撤去方法及びその装置に係り、特に、地中に埋設された不要の杭を撤去するための既設杭撤去方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の立て替え等を行う場合、古い建築構造物を解体撤去するだけでなく、地中に埋設されている不要となった既設杭の撤去を行う必要がある。地中に打ち込まれた既設杭は、長年の間に地盤に固着安定され、その引抜きには巨大な引抜力が必要となる。従来では、このような既設杭を引抜き撤去する場合、杭引抜機のリーダに沿って昇降するオーガマシンにより回転駆動されるケーシングによって、既設杭の周囲をその先端近くまで掘削した後、その既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜くようにしていた。
【0003】
しかしながら、上記方法では、既設杭の長さ・重量が大きなものになると、クレーンが既設杭の重量に耐えられなくなるという問題点があった。また、杭引抜機及び杭引抜機に取付けるケーシングをより大きなものにする必要があり、既設杭の引抜き撤去作業に必要なコストが増大するという問題点があった。
そこで、従来、このような長さ・重量が大きい既設杭の引抜き撤去を可能とするため、種々の既設杭撤去装置及びその方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1では、ケーシングにより既設杭の周囲を掘削した後、既設杭とケーシングとの間に形成された空間にワイヤーソー装置を挿入し、そのワイヤーソー装置で既設杭を上部より所定の長さに分割して引抜き撤去する既設杭撤去方法及びその装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−262570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された既設杭撤去方法及びその装置では、ワイヤーソー装置が既設杭を所定の長さに分割する機能を有するのみであるという不都合があった。これにより、分割された既設杭を地中から引抜き撤去するには、従来と同様、既設杭の上端部にワイヤーを縛り付けて、クレーンにより引抜く必要があるという問題点があった。その結果、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が大幅に増大するという問題点があった。また、ワイヤーソー装置を既設杭とケーシングとの間に形成された空間に挿入する作業も、既設杭を分割せずそのまま地中から引抜く場合と比較して作業工数が増大する要因となる。
そこで、本発明は、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭を容易に撤去することが可能な既設杭撤去方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングと、該ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられる既設杭切断刃と、該既設杭切断刃を出没させる出没駆動機構と、を備え、上記出没駆動機構は、上記ケーシングの上部上面側に配設される油圧シリンダを有し、上記既設杭切断刃は、所定の深度にて上記先端部の内面から突出して上記既設杭を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構によって突出させた該既設杭切断刃の受面にて掛止して上記ケーシングと共に上記地中から引抜き可能に構成し、さらに、上記既設杭切断刃は、上記既設杭の鉄筋を切断するための鉄筋切断刃と、該既設杭のコンクリートを切断するためのコンクリート切断刃と、を有し、該鉄筋切断刃は、該コンクリート切断刃よりも小さく形成され、かつ、該コンクリート切断刃は、上記ケーシングの内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部が該ケーシングの中心近傍に位置する大きさに形成されている。
【0006】
また、上記鉄筋切断刃は、上記ケーシングの内面から出没自在のアーム部と、該アーム部の先端に枢着された回転切断刃と、を有する。
【0007】
また、上記回転切断刃は、上記アーム部に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている。
また、上記既設杭切断刃には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔が設けられている。
また、上記ケーシングは、リーダに沿って昇降するオーガマシンに、上下に伸縮自在のアクチュエータを介して連結されている。
【0008】
また、本発明に係る既設杭撤去方法は、地中に埋設された既設杭の周囲を掘るための掘削刃を有するケーシングにて所定の深度まで掘削し、上記ケーシングの先端部の内面から出没自在となるように該先端部に設けられた鉄筋切断刃及びコンクリート切断刃のうち該鉄筋切断刃を、上記ケーシングの上部上面側に配設される油圧シリンダを有する出没駆動機構によって、上記先端部の内面から突出させて上記既設杭の側面側から鉄筋を切断し、上記コンクリート切断刃を上記ケーシングの上記先端部の内面から上記出没駆動機構によって突出させて上記既設杭の側面側からコンクリートを切断し、上記鉄筋切断刃及び上記コンクリート切断刃によって切断された該既設杭のうち切断部より上方の部分を、突出させた該コンクリート切断刃の先端部が上記ケーシングの中心近傍に位置した状態で該コンクリート切断刃の受面にて掛止して、該ケーシングと共に上記地中から引抜くことによって、上記既設杭を所定の長さに分割して該地中から順次取り出し可能としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の既設杭撤去装置によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができ、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
また、既設杭切断刃を、既設杭の鉄筋とコンクリートとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができ、既設杭を切断する際の作業時間を短縮することができる。
また、鉄筋切断後のコンクリート切断刃による既設杭のコンクリートの切断を容易とすることができる。
また、既設杭の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃と既設杭との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを既設杭切断刃を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、既設杭を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭の最下部を、既設杭切断刃にて容易に掛止することができる。
【0010】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、分割された既設杭を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
まず、本発明に係る既設杭撤去装置の構造について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
本発明に係る既設杭撤去装置は、建築構造物の立て替え等のため、地中Gに埋設されている既設杭30の撤去を行う際に使用される装置である。本発明に係る既設杭撤去装置は、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続され、ケーシング2と、ケーシング2の先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、出没駆動機構13…と、を備えている。
【0012】
図2に於て、オーガマシン22は、ケーシング2を回転させるための駆動機構を内部に有している(図示省略)。
アクチュエータ23, 23は、油圧シリンダから成り、オーガマシン22の両側面に配設されている。
また、アクチュエータ23, 23の伸縮先端部には、取付枠25が連結されている。アクチュエータ23, 23を上下方向(図2中の矢印A方向)に伸縮させることにより、取付枠25は、オーガマシン22に対して上下移動するように構成されている。即ち、取付枠25とオーガマシン22との上下間距離が調節可能となっている。このアクチュエータ23, 23の上下ストロークは、例えば1400mm〜1600mmに設定されている。
【0013】
また、取付枠25の上部には、油圧スイベルジョイント26が配設されている。この油圧スイベルジョイント26は、図1に示すように、杭引抜機24の杭引抜機本体28内にある油圧駆動源29からリーダ21を通って油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、出没駆動機構13…から油圧スイベルジョイント26まで導かれた油圧ラインと、を接続している。
また、取付枠25の下部には、図2に示すように、水圧スイベルジョイント27が配設されている。この水圧スイベルジョイント27は、水圧上下ライン17と接続している。
【0014】
継足管9…は、図1に示すように、両端部にフランジ部を有する円筒部材であって、複数が上下方向に連結されている。継足管9…の最上端部は取付枠25と接続され、また、継足管9…の最下端部は接続管16を介してケーシング2と接続されている。即ち、継足管9…により、ケーシング2は、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結されることとなる。
継足管9…は、連結数を増減させることによって、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節可能としている。
なお、単体の継足管9が伸縮機能を有するように構成するも好ましい。この場合、オーガマシン22とケーシング2との上下間距離を調節するための継足管9の継足し・取外し作業をなくすことができる。
【0015】
図3は、本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図であり、図4は、その底面図である。
ケーシング2は、段付円筒状であり、先端部2aに地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有している。この掘削刃1…は、先端が三角山状に形成され、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設されている。
なお、掘削刃1…の形状や配設位置は、先端を三角山状としたものや、ケーシング2の外周に沿って底面視中心角度等ピッチで複数個配設したものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、掘削刃1…の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、ケーシング2の外周面には、スクリュー部10…が突設されている。このスクリュー部10…の下端部は、掘削刃1…と接続している。
【0016】
ここで、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。
具体的には、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の外周面に底面視中心角度等ピッチで4個突設された切断刃収納部11…内に、夫々1個ずつ収納されるように構成されている。そして、各既設杭切断刃3の基端部は、切断刃収納部11内に枢着されている。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように設けられている。この既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出させ、その状態でケーシング2を図4中の矢印B方向に回転させることによって、既設杭30を側面から切断可能とされている。
【0017】
既設杭切断刃3…を収納する切断刃収納部11…は、上下一対の帯板部11a, 11aと、上下一対の帯板部11a, 11aを相互に連結する支柱部11bを有している。これにより、既設杭切断刃3…は、ケーシング2を外部から見たときに、露出する構造となっている。この構造によって、切断刃収納部11…内に土砂や既設杭30の掘削屑が堆積して、既設杭切断刃3が切断刃収納部11内に収納できなくなる不都合を防止することができる。
【0018】
4つの既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…(図6参照)を切断するための一対の鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30b(図6参照)を切断するための一対のコンクリート切断刃5, 5と、を有している。これら一対の鉄筋切断刃4, 4及び一対のコンクリート切断刃5, 5は、同種類のものが底面視でケーシング2の中心に対して点対称となるように配置されている。この配置によって、既設杭30をバランスよく切断することができる。
鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5は、底面視略鎌状に形成されている。このうち、コンクリート切断刃5, 5は、ケーシング2の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部がケーシング2の中心近傍に位置するような大きさに形成されている。コンクリート切断刃5, 5の上面は、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aとなっている。また、鉄筋切断刃4, 4は、コンクリート切断刃5, 5よりも小さく形成されている。
【0019】
また、鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5の各々の先端部には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8が設けられている。
各流体噴出孔8まで水又はセメントミルクを導くのは、(後述する)各トルク伝達管12内に通される水圧ライン15である。この水圧ライン15…は、接続管16の孔部16a…に挿通され、接続管16内部で水圧上下ライン17と接続されている。
【0020】
なお、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、底面視略鎌状に形成されたものに限るのではなく、他の形状とするも自由である。例えば、図4中の矢印B方向と反対方向に回転するとした場合に、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)の先端に鉤状刃先を付設するような形状とするも好ましい(図示省略)。
また、既設杭切断刃3…(鉄筋切断刃4, 4及びコンクリート切断刃5, 5)は、コンクリート切断刃5, 5の上面のみに、既設杭30を掛止するための受面3a, 3aを形成したものに限るのではなく、鉄筋切断刃4, 4に受面3a, 3aを設けるも好ましい。
【0021】
図5は、図3のX−X線に沿って切断したケーシングの平面図である。
出没駆動機構13…は、既設杭切断刃3…をケーシング2の内面から出没させる機能を有するものである。出没駆動機構13は、図3及び図5に示すように、各既設杭切断刃3の回動軸心に接続されたトルク伝達管12と、ケーシング2の上部に配設されると共に各トルク伝達管12と接続される油圧シリンダ20と、を有している。
トルク伝達管12…は、ケーシング2の外周に沿って、上下直線状に配設されている。また、トルク伝達管12…がスクリュー部10…と交差する位置では、スクリュー部10…に設けられた導通孔10a…に、トルク伝達管12…が挿通されている。
【0022】
油圧シリンダ20…は、油圧スイベルジョイント26から導かれた油圧ライン14…の油圧によって駆動される。油圧シリンダ20…は、平面視中心角度等ピッチで4つ配設されている。この油圧シリンダ20…の駆動により、トルク伝達管12…を介して既設杭切断刃3…にトルクが伝達される。そして、この油圧シリンダ20…の駆動によりトルクが伝達された既設杭切断刃3…は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接するように構成されている。
【0023】
上記の構造により、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成されている。
【0024】
次に、本発明に係る既設杭撤去方法について説明する。
図7〜図10は、本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
まず、図1及び図7に示すように、オーガマシン22によりケーシング2を図7中の矢印B方向に回転駆動させると共にリーダ21に沿ってケーシング2を下降(図7中の矢印C方向)させ、掘削刃1…により、既設杭30の周囲を所定の深度まで掘削する。この際、掘削された土砂は、スクリュー部10…により、上方に運ばれる。
【0025】
次に、図1及び図8に示すように、所定の深度Hにて、ケーシング2の下降を停止し、ケーシング2の先端部2aの内面から鉄筋切断刃4, 4を突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、鉄筋切断刃4, 4は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。そして、ケーシング2を図8中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30は、側面から切断されていく。この際、鉄筋切断刃4, 4は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、鉄筋切断刃4, 4の突出量は増大していく。そして、鉄筋30a…を、鉄筋切断刃4, 4により切断する。
【0026】
鉄筋30a…が鉄筋切断刃4, 4により切断された後、図1及び図9に示すように、鉄筋切断刃4, 4を切断刃収納部11, 11内へ収納し、代わりに、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させる。この際、油圧シリンダ20, 20の駆動により、コンクリート切断刃5, 5は、所定の押圧力で既設杭30の側面に当接する。
そして、ケーシング2を図9中の矢印B方向に回転駆動させると、既設杭30のコンクリート30bは、側面から切断されていく。この際、コンクリート切断刃5, 5は所定の押圧力で既設杭30の側面に当接しているので、既設杭30の切断部の径が小さくなるにつれて、コンクリート切断刃5, 5の突出量は増大していく。
そして、コンクリート切断刃5, 5により、既設杭30の完全な切断を行う。
【0027】
次に、コンクリート切断刃5, 5により既設杭30の完全な切断を行った後、コンクリート切断刃5, 5をケーシング2の先端部2aの内面から突出させた状態でケーシング2の回転を止める(この際、コンクリート切断刃5, 5は、先端部2aの内面からほぼ最大限に突出した状態にある)。そして、その状態で、図1及び図10に示すように、リーダ21に沿ってケーシング2を上昇(図10中の矢印E方向)させる。この際、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分(上方切断部31)は、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止され、ケーシング2と共に地中Gから引き抜かれる。
【0028】
そして、地中Gから引き抜かれた既設杭30の上方切断部31を、ケーシング2内から取り出す。ケーシング2内から既設杭30の上方切断部31を取り出した後は、地中Gに残っている既設杭30の残部32をさらに分割して引抜くために、上方切断部31を引き抜いてできた掘削孔33に再びケーシング2を挿入する。
【0029】
以上の工程を繰り返すことにより、既設杭30は、所定の長さに分割されて地中Gから順次取り出され、撤去される。
なお、既設杭30の長さが長く、ケーシング2を所定の深度まで下降できない場合には、その度に、オーガマシン22とケーシング2との間に継足管9を継ぎ足すようにする。
【0030】
図11は、本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図であり、図12は、鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第二実施形態では、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有する場合を例示している。
即ち、第一実施形態では、ケーシング2の回転と油圧シリンダ20…による既設杭30の側面への押圧力を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断したが(図1及び図4参照)、第二実施形態では、さらに、モータ19により回転駆動される回転切断刃7を利用して、既設杭30の鉄筋30a…を切断する構造となっている。
【0031】
モータ19は、例えば油圧で駆動される油圧モータとなっている。また、回転切断刃7は、外周が鋸刃状となった円盤に形成されている。
また、回転切断刃7の既設杭30に対しての切込量は、例えば45〜65mmに設定される。これより切込量が小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、無駄に大きい鉄筋切断刃4, 4となって部品コストが増大する。
また、回転切断刃7の回転数は、例えば一分間あたり 800〜1200回転とされる。回転切断刃7の回転数がこれより小さいと、既設杭30の鉄筋30a…を完全に切断することができない虞れがあり、これより切込量が大きいと、回転切断刃7が容易に破損する虞れがある。
【0032】
図13は、本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
本発明の第三実施形態に係る鉄筋切断刃4, 4は、第一実施形態と異なり、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有し、さらに、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設されている場合を例示している。即ち、第三実施形態では、第二実施形態のように回転切断刃7が一つではなく、回転切断刃7がアーム部6に上下に所定の間隔Lを隔てて2つ配設された構造となっている。間隔Lは、例えば 140〜 160mmに設定される。間隔Lがこれより小さいと、コンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行う際、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことが困難になる。
この鉄筋切断刃4, 4により、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0033】
なお、本発明の実施の形態に於ては、既設杭撤去装置が、自走可能な杭引抜機24のリーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、アクチュエータ23, 23及び継足管9…等を介して接続される場合を例示したが、本発明はこれに限ることなく、自走可能でない既設杭撤去装置に利用することも可能である。
また、本発明の実施の形態に於ては、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aのみによって掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成したが、本発明はこれに限ることなく、既設杭切断刃3…に加えて、ケーシング2内面から出没自在な掛止爪18…を設けるも好ましい(図10参照)。切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分をケーシング2と共に地中Gから引抜く際、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aに加えて、この掛止爪18…にて、既設杭30を掛止することによって、より安定した引抜きを行うことができる。
【0034】
以上のように、本発明に係る既設杭撤去装置は、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1を有するケーシング2と、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられる既設杭切断刃3…と、既設杭切断刃3…を出没させる出没駆動機構13…と、を備え、出没駆動機構13…は、ケーシング2の上部上面側に配設される油圧シリンダ20を有し、既設杭切断刃3…は、所定の深度にて先端部2aの内面から突出して既設杭30を側面から切断可能とし、さらに、既設杭切断刃3…によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、出没駆動機構13, 13によって突出させた既設杭切断刃3, 3の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成し、さらに、既設杭切断刃3…は、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4,4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5,5と、を有し、鉄筋切断刃4,4は、コンクリート切断刃5,5よりも小さく形成され、かつ、コンクリート切断刃5,5は、ケーシング2の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部がケーシング2の中心近傍に位置する大きさに形成されているので、既設杭切断刃3…により、既設杭30を所定の長さに容易に分割することができる。
【0035】
また、既設杭30を既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜き可能に構成することによって、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくすことができる。これにより、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出す作業を容易に行うことができるので、作業工数を増大させることなく、長さ・重量が大きい種々の既設杭30を容易に撤去することができる。
【0036】
また、ケーシング2の先端部2aに既設杭切断刃3…を設けることによって、ケーシング2にて既設杭30の周囲を掘削する工程と、既設杭切断刃3…にて既設杭30を切断する工程と、を連続して行うことができる。これにより、ワイヤーソー装置を使用する場合と比較して、既設杭30の切断装置を既設杭30とケーシング2との間に形成された空間に挿入する作業を必要としないので、その分、作業工数を削減することができる。その結果、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭30を容易に撤去することができる。
【0037】
また、既設杭切断刃3…が、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5, 5と、を有するように構成することによって、既設杭切断刃3を、鉄筋30a…とコンクリート30bとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができる。これにより、既設杭切断刃3…の種類が単一である場合と比較して、既設杭30を切断する際の作業時間を短縮することができる。
【0038】
また、鉄筋切断刃4, 4が、ケーシング2の内面から出没自在のアーム部6と、アーム部6の先端に枢着された回転切断刃7と、を有するように構成することによって、より容易に既設杭30の鉄筋30a…を切断することができる。
また、回転切断刃7を、アーム部6に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設することによって、ケーシング2を上下に移動させることなく、一度に鉄筋30a…を上下に所定の間隔を隔てた2箇所で切断することができる。また、上下2箇所で切断された鉄筋30a…をコンクリート切断刃5, 5にて切断部からはじき出した後、既設杭30内に残る鉄筋30a…に触れることなくコンクリート切断刃5, 5にて既設杭30のコンクリート30bの切断を行うことができる。その結果、鉄筋30a…切断後のコンクリート切断刃5, 5による既設杭30のコンクリート30bの切断を容易とすることができる。
【0039】
また、既設杭切断刃3に、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔8を設けることによって、既設杭30の切断時に、水又はセメントミルクにより既設杭切断刃3…と既設杭30との間の掘削屑を切断部の外へ排出させると共に、水又はセメントミルクを、既設杭切断刃3…を冷却するための冷却液として働かせることができる。
また、ケーシング2を、リーダ21に沿って昇降するオーガマシン22に、上下に伸縮自在のアクチュエータ23を介して連結することによって、ケーシング2の先端部2aに設けられた既設杭切断刃3…の上下位置の微調整を容易に行うことができる。これにより、既設杭30を分割して順次上部から引き抜いていって残った、地盤との縁が切られて動きやすく不安定な既設杭30の最下部を、既設杭切断刃3, 3(コンクリート切断刃5, 5)にて容易に掛止することができる。
【0040】
また、本発明の既設杭撤去方法によれば、地中Gに埋設された既設杭30の周囲を掘るための掘削刃1…を有するケーシング2にて所定の深度まで掘削し、ケーシング2の先端部2aの内面から出没自在となるように先端部2aに設けられた鉄筋切断刃4,4及びコンクリート切断刃5,5のうち鉄筋切断刃4,4を、ケーシング2の上部上面側に配設される油圧シリンダ20を有する出没駆動機構13によって、先端部2aの内面から突出させて既設杭30の側面側から鉄筋30a…を切断し、コンクリート切断刃5,5をケーシング2の先端部2aの内面から出没駆動機構13によって突出させて既設杭30の側面側からコンクリート30bを切断し、鉄筋切断刃4,4及びコンクリート切断刃5,5によって切断された既設杭30のうち切断部より上方の部分を、突出させたコンクリート切断刃5, 5の先端部がケーシング2の中心近傍に位置した状態でコンクリート切断刃5,5の受面3a, 3aにて掛止してケーシング2と共に地中Gから引抜くことによって、既設杭30を所定の長さに分割して地中Gから順次取り出し可能とするので、分割された既設杭30を引抜くためのクレーンを別途使用する必要をなくして、長さ・重量が大きい種々の既設杭を容易に撤去することができる。
【0041】
また、ケーシング2にて既設杭30の周囲を掘削する工程と、既設杭切断刃3…にて既設杭30を切断する工程と、を連続して行うことができる。これにより、ワイヤーソー装置を使用する場合と比較して、既設杭30の切断装置を既設杭30とケーシング2との間に形成された空間に挿入する作業を必要としないので、その分、作業工数を削減することができる。その結果、地中に埋設された長さ・重量が大きい既設杭30を容易に撤去することができる。
【0042】
また、既設杭切断刃3…が、既設杭30の鉄筋30a…を切断するための鉄筋切断刃4, 4と、既設杭30のコンクリート30bを切断するためのコンクリート切断刃5, 5と、を有するように構成することによって、既設杭切断刃3を、鉄筋30a…とコンクリート30bとのどちらを切断するにも最適な形状を有するように構成することができる。これにより、既設杭切断刃3…の種類が単一である場合と比較して、既設杭30を切断する際の作業時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の一形態に係る既設杭撤去装置を備えた杭引抜機の側面図である。
【図2】オーガマシン周辺部を示す要部拡大正面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大側面図である。
【図4】底面図である。
【図5】図3のX−X線に沿って切断した平面図である。
【図6】既設杭の断面平面図である。
【図7】本発明に係る既設杭撤去装置を使用した既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図8】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図9】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図10】既設杭の引抜き撤去工程説明用の断面側面図である。
【図11】本発明の第二の実施の形態に係る既設杭撤去装置のケーシング周辺部を示す要部拡大底面図である。
【図12】鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【図13】本発明の第三の実施の形態に係る既設杭撤去装置の鉄筋切断刃の要部拡大側面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 掘削刃
2 ケーシング
2a 先端部
3 既設杭切断刃
3a 受面
4 鉄筋切断刃
5 コンクリート切断刃
6 アーム部
7 回転切断刃
8 流体噴出孔
13 出没駆動機構
20 油圧シリンダ
21 リーダ
22 オーガマシン
23 アクチュエータ
30 既設杭
30a 鉄筋
30b コンクリート
G 地中
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)と、該ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられる既設杭切断刃(3)と、該既設杭切断刃(3)を出没させる出没駆動機構(13)と、を備え、
該既設杭切断刃(3)は、所定の深度にて上記先端部(2a)の内面から突出して上記既設杭(30)を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃(3)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構(13)によって突出させた該既設杭切断刃(3)の受面(3a)にて掛止して上記ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜き可能に構成したことを特徴とする既設杭撤去装置。
【請求項2】
上記既設杭切断刃(3)は、上記既設杭(30)の鉄筋(30a)を切断するための鉄筋切断刃(4)と、該既設杭(30)のコンクリート(30b)を切断するためのコンクリート切断刃(5)と、を有している請求項1記載の既設杭撤去装置。
【請求項3】
上記鉄筋切断刃(4)は、上記ケーシング(2)の内面から出没自在のアーム部(6)と、該アーム部(6)の先端に枢着された回転切断刃(7)と、を有する請求項2記載の既設杭撤去装置。
【請求項4】
上記回転切断刃(7)は、上記アーム部(6)に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている請求項3記載の既設杭撤去装置。
【請求項5】
上記既設杭切断刃(3)には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔(8)が設けられている請求項1、2、3又は4記載の既設杭撤去装置。
【請求項6】
上記ケーシング(2)は、リーダ(21)に沿って昇降するオーガマシン(22)に、上下に伸縮自在のアクチュエータ(23)を介して連結されている請求項1、2、3、4又は5記載の既設杭撤去装置。
【請求項7】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)にて所定の深度まで掘削し、
上記ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられた既設杭切断刃(3)を、上記先端部(2a)の内面から突出させて上記既設杭(30)を側面から切断し、
上記既設杭切断刃(3)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構(13)によって突出させた該既設杭切断刃(3)の受面(3a)にて掛止して上記ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜くことによって、上記既設杭(30)を所定の長さに分割して上記地中(G)から順次取り出し可能としたことを特徴とする既設杭撤去方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)と、該ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられる既設杭切断刃(3)と、該既設杭切断刃(3)を出没させる出没駆動機構(13)と、を備え、
上記出没駆動機構(13)は、上記ケーシング(2)の上部上面側に配設される油圧シリンダ(20)を有し、
上記既設杭切断刃(3)は、所定の深度にて上記先端部(2a)の内面から突出して上記既設杭(30)を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃(3)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構(13)によって突出させた該既設杭切断刃(3)の受面(3a)にて掛止して上記ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜き可能に構成し、
さらに、上記既設杭切断刃(3)は、上記既設杭(30)の鉄筋(30a)を切断するための鉄筋切断刃(4)と、該既設杭(30)のコンクリート(30b)を切断するためのコンクリート切断刃(5)と、を有し、該鉄筋切断刃(4)は、該コンクリート切断刃(5)よりも小さく形成され、かつ、該コンクリート切断刃(5)は、上記ケーシング(2)の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部が該ケーシング(2)の中心近傍に位置する大きさに形成されていることを特徴とする既設杭撤去装置。
【請求項2】
上記鉄筋切断刃(4)は、上記ケーシング(2)の内面から出没自在のアーム部(6)と、該アーム部(6)の先端に枢着された回転切断刃(7)と、を有する請求項1記載の既設杭撤去装置。
【請求項3】
上記回転切断刃(7)は、上記アーム部(6)に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている請求項2記載の既設杭撤去装置。
【請求項4】
上記既設杭切断刃(3)には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔(8)が設けられている請求項1、2又は3記載の既設杭撤去装置。
【請求項5】
上記ケーシング(2)は、リーダ(21)に沿って昇降するオーガマシン(22)に、上下に伸縮自在のアクチュエータ(23)を介して連結されている請求項1、2、3又は4記載の既設杭撤去装置。
【請求項6】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)にて所定の深度まで掘削し、
上記ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられた鉄筋切断刃(4)及びコンクリート切断刃(5)のうち該鉄筋切断刃(4)を、上記ケーシング(2)の上部上面側に配設される油圧シリンダ(20)を有する出没駆動機構(13)によって、上記先端部(2a)の内面から突出させて上記既設杭(30)の側面側から鉄筋(30a)を切断し、
上記コンクリート切断刃(5)を上記ケーシング(2)の上記先端部(2a)の内面から上記出没駆動機構(13)によって突出させて上記既設杭(30)の側面側からコンクリート(30b)を切断し、
上記鉄筋切断刃(4)及び上記コンクリート切断刃(5)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、突出させた該コンクリート切断刃(5)の先端部が上記ケーシング(2)の中心近傍に位置した状態で該コンクリート切断刃(5)の受面(3a)にて掛止して、該ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜くことによって、上記既設杭(30)を所定の長さに分割して該地中(G)から順次取り出し可能としたことを特徴とする既設杭撤去方法。
【請求項1】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)と、該ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられる既設杭切断刃(3)と、該既設杭切断刃(3)を出没させる出没駆動機構(13)と、を備え、
該既設杭切断刃(3)は、所定の深度にて上記先端部(2a)の内面から突出して上記既設杭(30)を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃(3)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構(13)によって突出させた該既設杭切断刃(3)の受面(3a)にて掛止して上記ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜き可能に構成したことを特徴とする既設杭撤去装置。
【請求項2】
上記既設杭切断刃(3)は、上記既設杭(30)の鉄筋(30a)を切断するための鉄筋切断刃(4)と、該既設杭(30)のコンクリート(30b)を切断するためのコンクリート切断刃(5)と、を有している請求項1記載の既設杭撤去装置。
【請求項3】
上記鉄筋切断刃(4)は、上記ケーシング(2)の内面から出没自在のアーム部(6)と、該アーム部(6)の先端に枢着された回転切断刃(7)と、を有する請求項2記載の既設杭撤去装置。
【請求項4】
上記回転切断刃(7)は、上記アーム部(6)に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている請求項3記載の既設杭撤去装置。
【請求項5】
上記既設杭切断刃(3)には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔(8)が設けられている請求項1、2、3又は4記載の既設杭撤去装置。
【請求項6】
上記ケーシング(2)は、リーダ(21)に沿って昇降するオーガマシン(22)に、上下に伸縮自在のアクチュエータ(23)を介して連結されている請求項1、2、3、4又は5記載の既設杭撤去装置。
【請求項7】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)にて所定の深度まで掘削し、
上記ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられた既設杭切断刃(3)を、上記先端部(2a)の内面から突出させて上記既設杭(30)を側面から切断し、
上記既設杭切断刃(3)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構(13)によって突出させた該既設杭切断刃(3)の受面(3a)にて掛止して上記ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜くことによって、上記既設杭(30)を所定の長さに分割して上記地中(G)から順次取り出し可能としたことを特徴とする既設杭撤去方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)と、該ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられる既設杭切断刃(3)と、該既設杭切断刃(3)を出没させる出没駆動機構(13)と、を備え、
上記出没駆動機構(13)は、上記ケーシング(2)の上部上面側に配設される油圧シリンダ(20)を有し、
上記既設杭切断刃(3)は、所定の深度にて上記先端部(2a)の内面から突出して上記既設杭(30)を側面から切断可能とし、さらに、該既設杭切断刃(3)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、上記出没駆動機構(13)によって突出させた該既設杭切断刃(3)の受面(3a)にて掛止して上記ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜き可能に構成し、
さらに、上記既設杭切断刃(3)は、上記既設杭(30)の鉄筋(30a)を切断するための鉄筋切断刃(4)と、該既設杭(30)のコンクリート(30b)を切断するためのコンクリート切断刃(5)と、を有し、該鉄筋切断刃(4)は、該コンクリート切断刃(5)よりも小さく形成され、かつ、該コンクリート切断刃(5)は、上記ケーシング(2)の内面から先端部を最も突出させた時に、その先端部が該ケーシング(2)の中心近傍に位置する大きさに形成されていることを特徴とする既設杭撤去装置。
【請求項2】
上記鉄筋切断刃(4)は、上記ケーシング(2)の内面から出没自在のアーム部(6)と、該アーム部(6)の先端に枢着された回転切断刃(7)と、を有する請求項1記載の既設杭撤去装置。
【請求項3】
上記回転切断刃(7)は、上記アーム部(6)に、上下に所定の間隔を隔てて2つ配設されている請求項2記載の既設杭撤去装置。
【請求項4】
上記既設杭切断刃(3)には、水又はセメントミルクを噴出させるための流体噴出孔(8)が設けられている請求項1、2又は3記載の既設杭撤去装置。
【請求項5】
上記ケーシング(2)は、リーダ(21)に沿って昇降するオーガマシン(22)に、上下に伸縮自在のアクチュエータ(23)を介して連結されている請求項1、2、3又は4記載の既設杭撤去装置。
【請求項6】
地中(G)に埋設された既設杭(30)の周囲を掘るための掘削刃(1)を有するケーシング(2)にて所定の深度まで掘削し、
上記ケーシング(2)の先端部(2a)の内面から出没自在となるように該先端部(2a)に設けられた鉄筋切断刃(4)及びコンクリート切断刃(5)のうち該鉄筋切断刃(4)を、上記ケーシング(2)の上部上面側に配設される油圧シリンダ(20)を有する出没駆動機構(13)によって、上記先端部(2a)の内面から突出させて上記既設杭(30)の側面側から鉄筋(30a)を切断し、
上記コンクリート切断刃(5)を上記ケーシング(2)の上記先端部(2a)の内面から上記出没駆動機構(13)によって突出させて上記既設杭(30)の側面側からコンクリート(30b)を切断し、
上記鉄筋切断刃(4)及び上記コンクリート切断刃(5)によって切断された該既設杭(30)のうち切断部より上方の部分を、突出させた該コンクリート切断刃(5)の先端部が上記ケーシング(2)の中心近傍に位置した状態で該コンクリート切断刃(5)の受面(3a)にて掛止して、該ケーシング(2)と共に上記地中(G)から引抜くことによって、上記既設杭(30)を所定の長さに分割して該地中(G)から順次取り出し可能としたことを特徴とする既設杭撤去方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−28878(P2006−28878A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208951(P2004−208951)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(599086928)株式会社相馬組 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(599086928)株式会社相馬組 (4)
【Fターム(参考)】
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