説明

日射量予測装置、方法及びプログラム

【課題】
日射量観測値に基づき、短時間先の日射量を精度よく予測する。
【解決手段】
日射量補正機能(30)は、気象観測衛星による観測で得られる、予測対象地点を含む地域の現在から過去に遡る一定期間内の日射量メッシュデータ(12)を地上観測の日射量データ(14)で補正する。日射量/疑似降水量変換機能(32)は、日射量補正機能(30)からの補正日射量メッシュデータと快晴時日射量理論値(16)とを、日射量と降水量との関係を示す式に適用して、疑似降水量に計算する。疑似降水量移動変形予測機能(34)は、地形データ(18)を参照し、疑似降水量の時間的な移動と変形を予測する。全天日射量変換機能(36)は、予測日時の快晴時理論日射量を参照し、予測された疑似降水量を全天日射量に戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射量予測装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会に向け、風力発電や太陽光発電といった自然エネルギーの積極利用が推進されている。特に、太陽光を電気信号に変換する光電変換素子を使用する太陽光発電施設が導入されつつある。太陽光発電は、日射量に大きく左右されるので、効率的な運用のためには日射量の予測が必要である。
【0003】
特許文献1には、太陽光発電システムの設置地域において過去に観測された天気現象と過去に計測された日射量とを基に日射量予測式を導出し、当該設置地域の天気予報と、予測対象日の予測実施時刻前に当該設置地域において計測された日射量とを日射量予測式に入力することにより、日射量を予測する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、リモートセンシング画像から現在の日射量(実績値)を算出し、過去のリモートセンシング画像と現在のリモートセンシング画像から雲の移動量の予測値を求め、将来の、例えば3時間先までの日射量を予測することが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、毎時観測されるGMS(Geostationary Meteorological Satellite)画像データから、1時間毎に約1kmの分解能で地上到達日射量を推定することが記載され、日射量推定モデルに、雲のない晴天域での計算式と、雲のある雲域での計算式があることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−033908号公報
【特許文献2】特開2005−031927号公報
【特許文献3】特開平11−211560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大規模太陽光発電施設では、計画的な発電と発電量の予測が重要であり、そのためには、1日の日照量変化を可能な限り正確に予測する必要がある。大規模太陽光発電施設の運用を考慮すると、前日の段階で翌日の日射量変動を予測し、その予測に基づき1日を運用するのが最も効果的である。しかし、前日の予測では、当日の急な天候の変化に対応できない。このような場合に対応する運転計画修正のためには、3時間乃至6時間程度先までの精度の高い日射量短時間予測が求められる。
【0008】
特許文献1に記載の技術は、当該設置地域の天気予報を用いるので、もともと、精度の良い日射量短時間予測は困難である。特許文献2、3に記載の技術では、雲の移動を予測し、それを日射量変化に反映させているが、雲の光透過率も考慮しないと、高精度な日射量予測は難しい。
【0009】
本発明は、短時間先の日照量をより高い精度で予測出来る日射量予測装置、方法及びプログラムを提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る日射量予測装置は、現在から遡る過去の所定期間の、予測対象地点を含む所定地域の日射量観測値データを入力する観測値入力手段と、快晴時日射量理論値を参照して、当該日射量観測値データを、日射量を妨害する気象要素の時間的空間的分布データに変換する日射量/気象要素変換手段と、当該所定地域の地形を参照し、当該日射量/気象要素変換手段により得られる当該気象要素の時間的空間的分布データの時間的空間的な移動及び変形を予測する移動変形予測手段と、当該移動変形予測手段により予測された当該気象要素のデータを、対応する日時の快晴時日射量理論値を参照して予測全天日射量に変換する日射量変換手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る日射量予測方法は、現在から遡る過去の所定期間の、予測対象地点を含む所定地域の日射量観測値データをコンピュータに入力する観測値入力ステップと、当該コンピュータが、快晴時日射量理論値を参照して、当該日射量観測値データを、日射量を妨害する気象要素の時間的空間的分布データに変換する日射量/気象要素変換ステップと、当該コンピュータが、当該所定地域の地形を参照し、当該日射量/気象要素変換ステップにより得られる当該気象要素の時間的空間的分布データの時間的空間的な移動及び変形を予測する移動変形予測ステップと、当該コンピュータが、当該移動変形予測ステップにより予測された当該気象要素のデータを、対応する日時の快晴時日射量理論値を参照して予測全天日射量に変換する日射量変換ステップとを具備することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る日射量予測プログラムは、コンピュータを使って日射量を予測させる日射量予測プログラムであって、当該コンピュータに、現在から遡る過去の所定期間の、予測対象地点を含む所定地域の日射量観測値データを入力させる観測値入力機能と、快晴時日射量理論値を参照して、当該日射量観測値データを、日射量を妨害する気象要素の時間的空間的分布データに変換させる日射量/気象要素変換機能と、当該所定地域の地形を参照し、当該日射量/気象要素変換機能により得られる当該気象要素の時間的空間的分布データの時間的空間的な移動及び変形を予測させる移動変形予測機能と、当該移動変形予測機能により予測された当該気象要素のデータを、対応する日時の快晴時日射量理論値を参照して予測全天日射量に変換させる日射量変換機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、日射量観測値の時間的空間的分布データを、日射量を妨害する気象要素の時間的空間的分布データに変換した上で、地形を加味して時間的空間的な移動及び変形を予測した上で、全天日射量に戻すので、短時間先の全天日射量を精度よく予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】疑似降水量の移動・変形予測のための移動ベクトルの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示し、図2は、本実施例の動作フローチャートを示す。本実施例は、コンピュータ上のプログラムとして実現されるが、その機能の一部又は全部を専用ハードウエアで代替することが可能であるかことは明らかである。
【0017】
コンピュータのCPU10は、以下の説明する種々の演算機能30〜46を果たす。気象観測衛星による観測で得られる、予測対象地点を含む地域の現在から過去に遡る一定期間内の日射量メッシュデータ12を、CPU10の日射量補正機能30に入力する。日射量メッシュデータ12は、空間的なメッシュ上の時間的に分布する時間的空間的な分布データであり、例えば、空間的なメッシュ間隔は例えば、1kmであり、時間軸方向の間隔は例えば1時間である。日射量メッシュデータ12の精度を高めるために、日射量メッシュデータ12の地域内の複数の地点での、地上で同時刻に観測される日射量観測値14を日射量補正機能30に入力する。日射量補正機能30は、日射量観測値14に従い、同地点又は近地点で日射量観測値14に一致するように日射量メッシュデータ12を全体的に補正し、補正結果を日射量/疑似降水量変換機能32に出力する。
【0018】
日射量メッシュデータ12の各メッシュ点について、日射量メッシュデータ12(及び日射量観測値14)と同時刻の快晴時日射量理論値16をCPU10の日射量/疑似降水量変換機能32に入力する。快晴時日射量理論値16は、日射量メッシュデータ12の各メッシュ点において、対応時刻に得られる理論的な日射量、すなわち、雲及び降雨等の日射妨害が無い状態での日射量である。各メッシュ点の緯度経度及び観測日時の情報から大気外日射量並びに、太陽の高度及び方位を計算でき、快晴時日射量理論値16は、この計算結果から、雲の全くない理想的な状況の日射量として計算されうる。
【0019】
日射量/疑似降水量変換機能32は、日射量補正機能30からの補正日射量メッシュデータと快晴時日射量理論値16とから、下記式に従い疑似降水量を算出する。快晴時日射量理論値16を減衰する要因が降水量である場合の関係式を利用し、各メッシュ点について、
疑似降水量=(1.0−補正日射量メッシュデータ/快晴時日射量理論値)×100
とする。ここでは、疑似降水量の最大値を100mm/hとしている。
【0020】
このように計算した一定地域内の疑似降水量を過去の一定期間(tp〜t0)についてハードディスク50に疑似降水量データファイル52として格納する。t0は一般的には日射量データ12,14を得られる直近の過去の観測日時であり、tpはt0より過去に一定時間遡った過去の日時を示す。ファイル52には、一定期間(tp〜t0)内の1時間毎について、一定の地域における疑似降水量のメッシュデータ、すなわち、疑似降水量の時間的空間的分布を示すデータが格納される。
【0021】
日射を遮る気象要素が主として雲と降水/降雪であり、本実施例では、これらの変化又は移動を一括して定量評価する指標として疑似降水量という概念を導入したものであり、上式で得られる疑似降水量が降水量そのものに直結するものではないことに注意する必要がある。疑似降水量の代わりに、雲の厚みと日射量の減衰量との関係式を使用する場合には、疑似雲量として定量評価することになる。日射量/疑似降水量変換機能32は、後述する時間的空間的な移動変形を演算出来る気象要素に置換して、日射量の減衰を定量評価する手段と言える。
【0022】
CPU10の疑似降水量移動変形予測機能34は、日射量メッシュデータ12の対象地域の地形データ18を参照し、将来の一定期間(tc〜tf)について疑似降水量データファイル52から、将来に向けた疑似降水量分布データの時間変化を一定時間間隔、例えば30分間隔で予測する。tcは現在又は未来の直近の予測日時を示し、tfはtcから一定時間後の未来の予測日時を示す。本実施例では、tpは、tcから3時間後乃至6時間後である。
【0023】
流体の移動は、例えば、移流モデルにより予測可能である。疑似降水量移動変形予測機能34も、ファイル52の時間的空間的な疑似降水量分布データに移流モデルを適用して、未来に向けた疑似降水量分布の移動/変形を一定時間間隔で計算する。図2(A)に示すように、疑似降水量分布を空間上で多数の小領域に区分し、この小領域単位で疑似降水量を時間軸方向で対比することで、小領域単位での移動ベクトルを算出出来る。これにより、1又は少数の小領域単位での移動/変形も定量的に把握出来ることになる。図2(A)は小領域単位での移動ベクトルの様子を示し、図2(B)は、図2(A)に示す小領域単位の移動ベクトルを3×3の小領域の全体での大まかな動きベクトルで表記した例を示す。
【0024】
本実施例では、このように得られた移動ベクトルから、将来の短時間の間での、疑似降水量分布の時間変化を予測する際に、地形の影響を加味する。地形データ18は、例えば、1kmメッシュ地形データとし、風向は16方位で考慮する。例えば、山地の風上側では、上昇気流により雲が発生しやすく、従って、降水が強まるように作用する。逆に、山の風下側では、下降気流により雲が消失するので、降水が弱まる。疑似降水量移動変形予測機能34は、このような地形による影響の補正を将来の疑似降水量に加えて、予測疑似降水量とする。得られた予測疑似降水量のメッシュデータ(x,y,tc〜tf)は、ハードディスク50に予測疑似降水量データファイル54として格納される。
【0025】
なお、以後の処理で、特定の予測対象地域のみの日射量予測を得られれば良い場合には、ファイル54には、最小限、目的とする予測対象地域の予測疑似降水量データ(時間的分布データ)のみを格納すれば良い。また、時間軸について、特定の予測対象日時における日射量予測のみが必要である場合には、ファイル54には、最小限、目的とする予測対象日時の予測疑似降水量データ(空間的分布データ)のみを格納すれば良い。更に、特定の予測対象地点における特定の予測対象日時での日射量予測が必要な場合には、ファイル54には、最小限、目的とする予測対象地点の目的とする予測対象日時のスポット的な予測疑似降水量データのみを格納すれば良い。
【0026】
CPU10の全天日射量変換機能36は、tc〜tfの間の予測日時tの快晴時日射量理論値20を参照し、日射量/疑似降水量変換機能32での関係式とは逆の関係式で、ファイル54の予測疑似降水量を全天日射量に変換する。変換後の全天日射量は、ここでは予測値なので、予測日射量と表記する。すなわち、全天日射量変換機能36は、各メッシュ上の各予測日時について、
予測全天日射量=(1.0−予測疑似降水量/100)×快晴時日射量理論値
により予測日射量を計算する。全天日射量変換機能36は、変換結果のメッシュデータをハードディスク50の予測日射量データファイル56に格納する。予測日射量データファイル56に格納される予測日射量データは、予測日射量の時間的空間的分布、すなわち、現在より先の一定期間(tc〜tf)について予測対象地点を含む一定地域範囲内での予測日射量の分布を示す。
【0027】
快晴時日射量理論値20は、快晴時日射量理論値16と同様に計算されうる。すなわち、快晴時日射量理論値20は、各メッシュ点の緯度経度及び予測日時(tc〜tf)から計算される大気外日射量並びに太陽の高度及び方位に基づき、計算されうる。
【0028】
CPU10の予測対象地点抽出機能38は、予測対象地点の緯度経度データ22に従い、ハードディスク50の予測日射量データファイル56から予測対象地点(X,Y)の未来の一定期間(tc〜tf)の予測日射量データを抽出する。予測対象地点の予測日射量データを地点予測日射量データと呼ぶ。予測対象地点がメッシュ上にある場合には、当該メッシュ上の予測日射量データを地点予測日射量データとして抽出し、予測対象地点がメッシュ上にない場合には、周囲のメッシュ上の予測日射量を内挿又は補間して、予測対象地点上の予測日射量データを生成する。予測対象地点抽出機能38で抽出された地点予測日射量データは、予測対象地点(X,Y)における未来の一定期間(tc〜tf)の予測日射量の時間的変化又は時間的分布を示す。勿論、予測日射量の時間的変化は不要で、特定の時間における予測日射量のみを知りたいときには、その特定の時間の予測日射量をファイル56から抽出すれば良い。
【0029】
予測疑似降水量データファイル54に格納される予測疑似降水量データが、既に予測対象地点に限定されている場合、予測対象地点抽出機能38による地点抽出が不要であることがいうまでもない。換言すれば、全天日射量変換機能36の実行前に、予測対象地点抽出機能38を実行しても良い。
【0030】
本実施例の演算はデータ量が膨大であるので計算処理に時間がかかり、予測日射量データファイル56を生成出来た時点で、予測対象地点で予測日時に又はその前後での日射量観測値を得られている場合がある。CPU10の補正機能40は、そのような、予測対象地点で日射量を観測している場合に機能する。すなわち、補正機能40は、予測対象地点抽出機能38で抽出された予測対象地点(X,Y)の一定期間(tc〜tf)の予測日射量データを、予測対象地点の同時刻の観測日射量との誤差を線形に外挿入することにより、補正する。但し、将来になるほど不明確になるので、時間の経過により補正量を小さくする。このような補正により、直近の予測値の予測精度を向上させることができる。補正機能40により補正された一定期間(tc〜tf)の地点予測日射量データは、ハードディスク50にファイル58として格納される。
【0031】
補正機能40は例えば、観測日時と一致又は近い予測日時の予測日射量と観測値との差を実況補正値とし、その実況補正値に予測日時が遠くなる程小さくなる重み係数を乗算して、予測日射量に加算する。数式で表現すると、例えば、
補正予測値(i)=予測値(i)−実況補正値×(最大補正時間−i)/最大補正時間
実況補正値=予測値(0)−観測値
となる。ただし、最大補正時間は、ここで補正を行う時間長であり、例えば、6時間先までの予測値を補正する場合には、6となる。iは、観測値の観測日時から予測日時までの時間を示し、本実施例では、0から6時間である。予測値(i)は、予測時間iの予測値、補正予測値(i)は、本機能40により補正された予測値(予測日射量)である。予測値(0)は、観測値を得られた日時に一致又はほぼ一致する予測日時の予測値である。
【0032】
ファイル58の地点予測日射量データが全天日射量であるのに対し、太陽電池は一般に、発電効率や降雪を考慮して一定の方向に向けて傾斜して設置されている。太陽電池の傾斜の方位は固定されている場合もあるし、太陽に追従するように自動変更される場合もあるが、対規模設備の場合、方位は固定されているのが一般的である。
【0033】
日射量は、太陽から直接入射する直達成分と、大気で散乱された散乱成分1と、地面で反射され入射する散乱成分2に分けられる。水平面に対する全天日射量は、直達成分と散乱成分1の合計であるが、傾斜角を持ったパネルの場合、さらに地面からの散乱成分2が加わるのと、太陽に向かって垂直に近くなるので、直達成分が強まる。このような傾斜角を持った面に入射する直達成分と散乱成分の計算には、Perezモデル、又は、日本建築学会刊「「拡張アメダス気象データ」のp.341に記載されるErbsモデルが、利用可能であり、本実施例でも、これらのモデルを利用する。
【0034】
CPU10の太陽位置計算機能42が、予測対象地点(X,Y)の緯度経度情報と、地点予測日射量データファイル58の予測日時とから、予測対象地点の予測日時における大気外日射量、太陽方位及び太陽高度を計算する。
【0035】
CPU10の直散分離機能44は、太陽位置計算機能42により計算される予測対象地点の予測日時における大気外日射量、太陽方位及び太陽高度を参照し、ファイル58からの同じ予測日時の地点予測日射量データの示す全天日射量を直達日射量と散乱日射量に分離する。
【0036】
そして、CPU10の傾斜面日射量計算機能46が、太陽電池の傾斜角と方位、太陽位置計算機能42による大気外日射量、太陽方位及び太陽高度、直散分離機能44からの直達日射量及び散乱日射量、並びに、ファイル48からの予測日時の地点予測日射量データの示す全天日射量から、太陽電池に入射する傾斜面日射量(予測傾斜面日射量)を計算する。
【0037】
このようにして得られた予測日時tc〜tfの予測傾斜面日射量が、表示印刷装置60により、表示され、印刷され、発電計画の資料となる。表示印刷装置60は、画像表示装置もしくはプリンタ、又は、これらの両方からなる。
【0038】
ハードディスク50及びここに記録されるファイル52〜58は、ローカルに存在するものでも、ネットワーク上に存在するものでも良いことは勿論であり、ファイル52〜58は単一の記録媒体に記録される必要は無い。
【0039】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
10:CPU
12:日射量メッシュデータ
14:日射量観測値
16:快晴時日射量理論値
18:地形データ
20:予測日時の快晴時日射量理論値
22:予測対象地点の緯度経度データ
24:予測対象地点の日射量観測値
26:予測対象地点の緯度経度データ
28:太陽電池の傾斜角・方位
30:日射量補正機能
32:日射量/疑似降水量変換機能
34:疑似降水量移動変形予測機能
36:全天日射量変換機能
38:予測対象地点抽出機能
40:補正機能
42:太陽位置計算機能
44:直散分離機能
46:傾斜面日射量計算機能
50:ハードディスク
52:疑似降水量データファイル
54:予測疑似降水量データファイル
56:予測日射量データファイル
58:地点予測日射量データファイル
60:表示印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在から遡る過去の所定期間の、予測対象地点を含む所定地域の日射量観測値データを入力する観測値入力手段(30)と、
快晴時日射量理論値を参照して、当該日射量観測値データを、日射量を妨害する気象要素の時間的空間的分布データに変換する日射量/気象要素変換手段(32)と、
当該所定地域の地形を参照し、当該日射量/気象要素変換手段により得られる当該気象要素の時間的空間的分布データの時間的空間的な移動及び変形を予測する移動変形予測手段(34)と、
当該移動変形予測手段により予測された当該気象要素のデータを、対応する日時の快晴時日射量理論値を参照して予測全天日射量に変換する日射量変換手段(36)
とを具備することを特徴とする日射量予測装置。
【請求項2】
当該観測値入力手段は、当該所定地域及び当該所定期間の少なくとも一方について異なる手段で観測される日射量観測値を入力し、何れかの日射量観測値を他の日射量観測値で補正する補正手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の日射量予測装置。
【請求項3】
当該気象要素が、降水量を擬似的に示す疑似降水量であることを特徴とする請求項1又は2に記載の日射量予測装置。
【請求項4】
更に、予測対象地点の観測値に従い、当該予測対象地点の当該予測全天日射量を補正する補正手段を具備することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の日射量予測装置。
【請求項5】
更に、太陽電池設置地点の予測全天日射量から、太陽電池の傾斜角と方位を参照して、当該太陽電池に入射する日射量を計算する傾斜面日射量計算手段(42〜46)を具備することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の日射量予測装置。
【請求項6】
現在から遡る過去の所定期間の、予測対象地点を含む所定地域の日射量観測値データをコンピュータに入力する観測値入力ステップ(30)と、
当該コンピュータが、快晴時日射量理論値を参照して、当該日射量観測値データを、日射量を妨害する気象要素の時間的空間的分布データに変換する日射量/気象要素変換ステップ(32)と、
当該コンピュータが、当該所定地域の地形を参照し、当該日射量/気象要素変換ステップにより得られる当該気象要素の時間的空間的分布データの時間的空間的な移動及び変形を予測する移動変形予測ステップ(34)と、
当該コンピュータが、当該移動変形予測ステップにより予測された当該気象要素のデータを、対応する日時の快晴時日射量理論値を参照して予測全天日射量に変換する日射量変換ステップ(36)
とを具備することを特徴とする日射量予測方法。
【請求項7】
当該観測値入力ステップは、当該コンピュータが、当該所定地域及び当該所定期間の少なくとも一方について異なる手段で観測された複数種類の日射量観測値の内の、何れかの日射量観測値を他の日射量観測値で補正するステップを具備することを特徴とする請求項6に記載の日射量予測方法。
【請求項8】
当該気象要素が、降水量を擬似的に示す疑似降水量であることを特徴とする請求項6又は7に記載の日射量予測方法。
【請求項9】
更に、当該コンピュータが、予測対象地点の観測値に従い、当該予測対象地点の当該予測全天日射量を補正する補正ステップを具備することを特徴とする請求項6乃至8の何れか1項に記載の日射量予測方法。
【請求項10】
更に、当該コンピュータが、太陽電池設置地点の当該予測全天日射量から、太陽電池の傾斜角と方位を参照して、当該太陽電池に入射する日射量を計算する傾斜面日射量計算ステップを具備することを特徴とする請求項6乃至9の何れか1項に記載の日射量予測方法。
【請求項11】
コンピュータを使って日射量を予測させる日射量予測プログラムであって、当該コンピュータに、
現在から遡る過去の所定期間の、予測対象地点を含む所定地域の日射量観測値データを入力させる観測値入力機能(30)と、
快晴時日射量理論値を参照して、当該日射量観測値データを、日射量を妨害する気象要素の時間的空間的分布データに変換させる日射量/気象要素変換機能(32)と、
当該所定地域の地形を参照し、当該日射量/気象要素変換機能により得られる当該気象要素の時間的空間的分布データの時間的空間的な移動及び変形を予測させる移動変形予測機能(34)と、
当該移動変形予測機能により予測された当該気象要素のデータを、対応する日時の快晴時日射量理論値を参照して予測全天日射量に変換させる日射量変換機能(36)
とを実現させることを特徴とする日射量予測プログラム。
【請求項12】
当該観測値入力機能は、当該コンピュータに、当該所定地域及び当該所定期間の少なくとも一方について異なる手段で観測される日射量観測値を入力させ、何れかの日射量観測値を他の日射量観測値で補正させる補正機能を具備することを特徴とする請求項11に記載の日射量予測プログラム。
【請求項13】
当該気象要素が、降水量を擬似的に示す疑似降水量であることを特徴とする請求項11又は12に記載の日射量予測プログラム。
【請求項14】
更に、当該コンピュータに、予測対象地点の観測値に従い、当該予測対象地点の当該予測全天日射量を補正させる補正機能を実現させることを特徴とする請求項11乃至13の何れか1項に記載の日射量予測プログラム。
【請求項15】
当該コンピュータに更に、太陽電池設置地点の当該予測全天日射量から、太陽電池の傾斜角と方位を参照して、当該太陽電池に入射する日射量を計算させる傾斜面日射量計算機能(42〜46)を実現させることを特徴とする請求項11乃至14の何れか1項に記載の日射量予測プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−58814(P2011−58814A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205492(P2009−205492)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年3月17日 発行の「平成21年電気学会全国大会 講演論文集」(磁気ディスク)に発表
【出願人】(397039919)一般財団法人日本気象協会 (29)