説明

昇圧制御回路の制御方法および昇圧制御回路

【課題】発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する昇圧装置において、発電装置から十分な電力が供給されない場合に、限られた電力でも昇圧制御回路を起動させる。
【解決手段】昇圧制御部121が、昇圧制御回路120を構成する複数の機能ブロックおよび複数のサブ機能ブロックそれぞれに対して設定された優先順位にしたがって、各機能ブロックおよび各サブ機能ブロックを順次起動させる。また、昇圧制御部121が、起動させた機能ブロックまたはサブ機能ブロックのうち、昇圧回路110が電圧の昇圧を行ううえで不要な機能ブロックまたはサブ機能ブロックを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する昇圧装置に用いられる昇圧制御回路の制御方法および昇圧制御回路に関し、特に、限られた電力で昇圧制御回路を起動させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電装置の出力電圧を昇圧する昇圧コンバータには、昇圧コンバータが有する昇圧回路を制御する昇圧制御回路が用いられる(例えば、非特許文献1参照)。図12は、従来の昇圧制御回路を説明するための図である。図12に示すように、昇圧コンバータ10は、昇圧回路11と昇圧制御回路12とを有する。昇圧回路11は、太陽電池などの発電装置20によって発電された電力を昇圧する。
【0003】
また、昇圧制御回路12は、昇圧回路11によって行われる各種処理を制御する。かかる昇圧制御回路12は、通常、それぞれが所定の機能を実現する複数の機能ブロックから構成されている。そして、昇圧制御回路の起動時には、発電装置から供給される電力によって全ての機能ブロックが一斉に動作する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】「LOW INPUT VOLTAGE SYNCHRONOUS BOOST CONVERTER WITH 1.3−A SWITCHES」、TEXAS INSTRUMENTS、[平成21年3月3日検索]、インターネット<URL: http://focus.ti.com/lit/ds/symlink/tps61200.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、昇圧を必要とする発電装置から十分な電力が供給されない場合には、昇圧制御回路を駆動させることができなかった。なぜなら、昇圧制御回路を構成する複数の機能ブロックはそれぞれ起動電力や駆動電力が異なるので、昇圧制御回路を起動するためには、これら全ての機能ブロックを起動するに足る起動電力および駆動電力が必要になるからである。
【0006】
すなわち、従来の昇圧制御回路は、発電装置から供給される電力が限られている場合には起動することができなかった。逆に、限られた電力で昇圧制御回路を駆動させることを想定した場合には、その電力で起動することができる限られた機能ブロックしか昇圧制御回路に搭載することができなかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、限られた電力でも起動することができる昇圧制御回路の制御方法および昇圧制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する昇圧装置に用いられる昇圧制御回路の制御方法であって、前記昇圧制御回路を構成する複数の機能ブロックそれぞれに対して設定された優先順位にしたがって各機能ブロックを順次起動させる起動制御ステップを含んだことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する昇圧装置に用いられる昇圧制御回路であって、それぞれが所定の機能を実現する複数の機能ブロックと、前記複数の機能ブロックそれぞれに対して設定された優先順位にしたがって各機能ブロックを順次起動させる制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、限られた電力でも昇圧制御回路を起動させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例における昇圧制御回路の制御方法の概念を説明するための図である。
【図2】図2は、本実施例1に係る昇圧コンバータの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本実施例1に係る昇圧制御回路におけるブーストモードを説明するための図である。
【図4】図4は、本実施例1に係る昇圧制御回路におけるOut Checkモードを説明するための図である。
【図5】図5は、本実施例1に係る昇圧制御回路における機能部動作モードを説明するための図である。
【図6】図6は、本実施例1に係る昇圧制御回路の起動手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、本実施例2に係る昇圧コンバータの構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本実施例2に係る昇圧制御回路におけるブーストモードを説明するための図である。
【図9】図9は、本実施例2に係る昇圧制御回路におけるOut Checkモードを説明するための図である。
【図10】図10は、本実施例2に係る昇圧制御回路における機能部動作モードを説明するための図である。
【図11】図11は、本実施例2に係る昇圧制御回路の起動手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、従来の昇圧制御回路を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る昇圧制御回路の制御方法および昇圧制御回路の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
最初に、以下で説明する実施例における昇圧制御回路の制御方法の概念について説明する。図1は、実施例における昇圧制御回路の制御方法の概念を説明するための図である。ここで説明する昇圧制御回路の制御方法は、昇圧装置に組み込まれる昇圧装置の昇圧制御回路の動作に一定の条件を設け、その条件にしたがって昇圧制御回路を起動して昇圧動作させることによって、限られた電力で昇圧制御回路を起動させるものである。
【0014】
ここで、「一定の条件にしたがって起動する」とは、昇圧回路を構成する各機能ブロックのうち、起動または停止の優先順位を設定し、起動シーケンスにおいて駆動が不要となった機能ブロックは停止させるとともに、起動を要する所定の機能ブロックを所定のタイミングで段階的に順次起動することである。
【0015】
例えば、図1に示すように、昇圧制御回路が、機能ブロックとして、起動部A、出力電圧監視部B、昇圧制御部C、機能部Dを有していたとする。ここで、起動部Aは、昇圧装置に電圧の昇圧を開始させるために必要な機能ブロックである。この起動部Aは、昇圧装置によって電圧の昇圧が開始した後には、停止させても他の起動ブロックには影響を与えない。出力電圧監視部Bは、昇圧装置によって昇圧された電力の電圧値を検出する。
【0016】
昇圧制御部Cは、昇圧装置によって行われる電圧の昇圧に関する制御を行う。この昇圧制御部Cは、電圧の昇圧を制御するための複数のサブ機能ブロックを有する。ここでいうサブ機能ブロックは、例えば、基準電圧発生回路、コンパレータ、PWM(Pulse Wide Modulation:パルス幅変調)発振器、エラーアンプのような回路ブロックである。
【0017】
機能部Dは、昇圧装置が実装される装置に応じた機能を実現する。この機能部Dは、昇圧制御回路がどのような装置に組み込まれるかに応じて、複数の異なるサブ機能ブロックを有する。ここでいうサブ機能ブロックは、例えば、MPPT(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従回路(太陽電池の最大電力追従機能を有する回路)、昇圧回路から電力を供給される蓄電池からの逆流防止回路などである。
【0018】
このような構成のもと、昇圧制御回路は、昇圧制御回路に供給される電力の電圧値がV1(第1の電圧設定値)以上となった時点で「ブーストモード」に移行する。具体的には、この時点で、昇圧制御回路は、図1の(1)に示すように、起動部Aおよび出力電圧監視部Bを起動させる。ここで用いられる電圧設定値V1は、起動部Aおよび出力電圧監視部Bを起動させるために必要な電圧値である。なお、この時点では、昇圧制御回路は、昇圧制御部Cおよび機能部Dは起動させない。こうして、起動部Aを起動させることによって、昇圧装置による電圧の昇圧が開始される。
【0019】
続いて、昇圧制御回路は、発電装置によってから供給される電力の電圧値がV2(第2の電圧設定値)以上となった時点で「Out Checkモード」に移行する。具体的には、この時点で、昇圧制御回路は、図1の(2)に示すように、起動部Aを停止させるとともに、昇圧制御部Cを起動させる。ここで用いられる電圧設定値V2は、昇圧制御部Cを起動させるために必要な電圧値であり、V1よりも大きいこととする。なお、この時点では、昇圧制御回路は、出力電圧監視部Bは駆動を継続させる。こうして、昇圧制御部Cを起動させることによって、昇圧装置による電圧の昇圧に関する各種制御が開始される。
【0020】
その後、昇圧制御回路は、発電装置から供給される電力の電圧値がV3(第3の電圧設定値)以上となった時点で「機能部動作モード」に移行する。具体的には、この時点で、昇圧制御回路は、図1の(3)に示すように、機能部Dを起動させる。ここで用いられる電圧設定値V3は、機能部Dを起動させるために必要な電圧値であり、V2よりも大きいこととする。なお、この時点では、昇圧制御回路は、出力電圧監視部Bおよび昇圧制御部Cは駆動を継続させる。こうして、機能部Dを起動させることによって、昇圧装置および昇圧装置が実装された装置が安定的に動作する状態となる。
【0021】
このような起動シーケンスによって、V3よりも小さい電圧で昇圧制御回路を起動させることが可能になる。また、いったん昇圧制御回路が起動すれば、昇圧装置によって発電装置から供給される電力がV3より大きい電圧値まで昇圧される。したがって、それ以降は、昇圧装置によって昇圧された電力を昇圧制御回路にフィードバックすることで、昇圧制御回路の駆動を継続させることが可能になる。
【0022】
次に、上述した昇圧制御回路の制御方法を適用した実施例について説明する。ここでは、発電装置と、発電装置によって発電された電力を消費する負荷とを有する発電システムにおいて用いられる昇圧コンバータに上記制御方法を適用した場合について説明する。なお、ここで説明する実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0023】
まず、実施例1について説明する。本実施例1では、発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する補助昇圧コンバータを用いて、昇圧制御回路を起動させる場合について説明する。図2は、本実施例1に係る昇圧コンバータの構成を示すブロック図である。図2に示すように、本実施例1に係る昇圧コンバータ100は、発電装置20、負荷30および補助昇圧コンバータ40に接続されている。
【0024】
発電装置20は、所定の大きさの電力を発電し、発電した電力を補助昇圧コンバータ40および昇圧コンバータ100に供給する。この発電装置20は、例えば、太陽電池などである。負荷30は、昇圧コンバータ100から供給される電力を消費する。この負荷30は、例えば、蓄電池などである。
【0025】
補助昇圧コンバータ40は、発電装置20と昇圧コンバータ100との間に設けられている。この補助昇圧コンバータ40は、発電装置20から供給される電力の電圧を所定の電圧値に昇圧し、昇圧後の電力を昇圧コンバータ100に供給する。
【0026】
昇圧コンバータ100は、発電装置20によって発電された電力を所定の値に昇圧し、昇圧後の電力を負荷30に供給する。この昇圧コンバータ100は、特に、昇圧回路110と、昇圧制御回路120とを有している。
【0027】
昇圧回路110は、太陽電池などの発電装置20によって発電された電力を昇圧する。この昇圧回路110は、電圧の昇圧の開始/停止を制御するためのスイッチング素子を備えており、スイッチング素子がオンになった場合に、発電装置20から供給される電力の昇圧を開始する。
【0028】
昇圧制御回路120は、昇圧回路110によって行われる各種処理を制御する。この昇圧制御回路120は、それぞれが所定の機能を実現する複数の機能ブロックから構成されており、特に、昇圧制御部121と、起動部122と、機能部123とを有している。
【0029】
昇圧制御部121は、昇圧回路110によって行われる電圧の昇圧に関する制御を行う。この昇圧制御部121は、電圧の昇圧を制御するための複数のサブ機能ブロックを有している。具体的には、昇圧制御部121は、サブ機能ブロックとして、バッファ121a、出力電圧監視部121b、その他のサブ機能ブロック121cを有している。ここでいうその他のサブ機能ブロック121cは、例えば、基準電圧発生回路、コンパレータ、PWM(Pulse Wide Modulation:パルス幅変調)発振器、エラーアンプのようなサブ機能ブロック回路などである。
【0030】
かかる昇圧制御部121が有するサブ機能ブロックのうち、バッファ121aは、昇圧回路110に接続されている。そして、このバッファ121aが起動することによって、昇圧回路110が有するスイッチング素子がオン/オフするようになり、その結果、昇圧回路110による電圧の昇圧が開始される。また、出力電圧監視部121bは、昇圧回路110によって昇圧された電力の電圧値を検出する。
【0031】
起動部122は、昇圧回路110に電圧の昇圧を開始させるために必要な機能ブロックである。この起動部122は、補助昇圧コンバータ40から供給される電力によって起動する。具体的には、起動部122は、補助昇圧コンバータ40から電力が供給されることによって起動すると、昇圧制御部121のバッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させる。すなわち、この起動部122が起動することによって、バッファ121aが起動し、その結果、昇圧回路110による電圧の昇圧が開始される。また、これと同時に、出力電圧監視部121bによる電力値の検出が開始される。なお、かかる起動部122は、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bが起動した後には、停止させても他の起動ブロックには影響を与えない。
【0032】
機能部123は、昇圧制御回路120が実装される装置に応じた機能を実現する。この機能部123は、昇圧制御回路120がどのような装置に組み込まれるかに応じて、複数の異なるサブ機能ブロック123aを有している。ここでいうサブ機能ブロックは、例えば、MPPT、昇圧回路から電力を供給される蓄電池からの逆流防止回路などである。
【0033】
以上、本実施例1に係る昇圧コンバータの構成について説明した。このような構成のもと、本実施例1では、昇圧制御部121が、複数の機能ブロックおよび複数のサブ機能ブロックそれぞれに対して設定された優先順位にしたがって、各サブ機能ブロックおよびサブ機能ブロックを順次起動させる。
【0034】
具体的には、昇圧制御部121は、出力電圧監視部121bによって検出される電圧値の大きさに基づいて、ブーストモード、Out Checkモード、機能部動作モードの順で、昇圧制御回路120の状態を移行させる。
【0035】
ここで、図3〜5を用いて、本実施例1に係る昇圧制御回路120におけるブーストモード、Out Checkモード、機能部動作モードについて詳細に説明する。図3は、本実施例1に係る昇圧制御回路120におけるブーストモードを説明するための図である。図4は、本実施例1に係る昇圧制御回路120におけるOut Checkモードを説明するための図である。図5は、本実施例1に係る昇圧制御回路120における機能部動作モードを説明するための図である。なお、図3〜5において、太線で表している部分は、各機能ブロックまたは各サブ機能ブロックにおける通電状態を示している。また、図3〜5では、図2に示した接続線については図示を省略している。
【0036】
まず、図3を用いて、ブーストモードについて説明する。昇圧制御部121は、昇圧制御回路120に供給される電力の電圧値がV1以上となった時点で、昇圧制御回路120をブーストモードに移行させる。具体的には、昇圧制御部121は、この時点で、図3に示すように、起動部122、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bのみを起動させる。このとき、昇圧制御部121は、補助昇圧コンバータ40から供給される電圧を用いて、起動部122、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させる。
【0037】
なお、ここで用いられる電圧設定値V1は、起動部122、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させるために必要な電圧値である。すなわち、本実施例2では、補助昇圧コンバータ40からV1以上の電圧が供給されることとする。
【0038】
このように、ブーストモードでは、昇圧制御部121が、起動部122、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させることによって、昇圧回路110による電圧の昇圧、および、出力電圧監視部121bによる電力値の検出がそれぞれ開始される。
【0039】
続いて、図4を用いて、Out Checkモードについて説明する。昇圧制御部121は、昇圧制御回路120の状態をブーストモードに移行させたのちに、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV2以上となった時点で、昇圧制御回路120をOut Checkモードに移行させる。具体的には、昇圧制御部121は、この時点で、図4に示すように、起動部122を停止させるとともに、昇圧制御部121全体を起動させる。
【0040】
また、このとき、昇圧制御部121は、さらに、補助昇圧コンバータ40に停止信号を送信することによって補助昇圧コンバータ40を停止させる。すなわち、補助昇圧コンバータ40は、ブーストモードにおいて起動部122、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させるためのみに用いられる。そして、補助昇圧コンバータ40を停止させた以降は、昇圧制御部121は、昇圧回路110によって昇圧された電力を用いて、各機能ブロックまたは各サブ機能ブロックを起動させる。
【0041】
なお、ここで用いられる電圧設定値V2は、昇圧制御部121全体を起動させるために必要な電圧値であり、前述したV1よりも大きいこととする。
【0042】
このように、Out Checkモードでは、昇圧制御部121が昇圧制御部121全体を起動させることによって、昇圧回路110による電圧の昇圧に関する各種制御が開始される。
【0043】
続いて、図5を用いて、機能部動作モードについて説明する。昇圧制御部121は、昇圧制御回路120の状態をOut Checkモードに移行させたのちに、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV3以上となった時点で、昇圧制御回路120を機能部動作モードに移行させる。具体的には、昇圧制御部121は、この時点で、機能部123を起動させる。
【0044】
なお、ここで用いられる電圧設定値V3は、機能部123を起動させるために必要な電圧値であり、V2よりも大きいこととする。
【0045】
このように、機能部動作モードでは、昇圧制御部121が機能部123を起動させることによって、昇圧コンバータ100が安定的に動作する状態となる。
【0046】
次に、本実施例1に係る昇圧制御回路120の起動手順について説明する。図6は、本実施例1に係る昇圧制御回路120の起動手順を示すフローチャートである。
【0047】
図6に示すように、昇圧制御回路120では、昇圧制御回路120に供給される電力の電圧値がV1以上となった場合、すなわち、補助昇圧コンバータ40からV1以上の電力が供給された場合に(ステップS101,Yes)、昇圧制御部121が、昇圧制御回路120の状態をブーストモードに移行させる。
【0048】
具体的には、このとき、昇圧制御部121は、起動部122を起動させることで(ステップS102)、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させる(ステップS103)。これにより、昇圧回路110が、発電装置20から供給される電圧の昇圧を開始する(ステップS104)。
【0049】
続いて、昇圧制御部121は、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV2以上となった場合に(ステップS105,Yes)、昇圧制御回路120の状態をOut Checkモードに移行させる。
【0050】
具体的には、このとき、昇圧制御部121は、補助昇圧コンバータ40を停止させる(ステップS106)。さらに、昇圧制御部121は、起動部122を停止させるとともに(ステップS107)、昇圧制御部121全体を起動させる(ステップS108)。
【0051】
続いて、昇圧制御部121は、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV3以上となった場合に(ステップS109,Yes)、昇圧制御回路120の状態を機能部動作モードに移行させる。具体的には、このとき、昇圧制御部121は、機能部123を起動させる(ステップS110)。
【0052】
上述してきたように、本実施例1では、昇圧制御部121が、昇圧制御回路120を構成する複数の機能ブロックおよび複数のサブ機能ブロックそれぞれに対して設定された優先順位にしたがって、各機能ブロックおよび各サブ機能ブロックを順次起動させる。したがって、本実施例1によれば、それぞれが異なる大きさの電圧で起動する複数の機能ブロックおよび複数のサブ機能ブロックが、一斉に起動するのではなく、段階的に起動するので、限られた電力でも昇圧制御回路120を起動させることができる。
【0053】
また、本実施例1では、昇圧制御部121が、起動させた機能ブロックまたはサブ機能ブロックのうち、昇圧回路110が電圧の昇圧を行ううえで不要な機能ブロックまたはサブ機能ブロックを停止させる。したがって、本実施例1によれば、昇圧制御回路120に供給される電力を効率よく使用して各機能ブロックおよび各サブ機能ブロックを順次起動することが可能になるので、より少ない電力で昇圧制御回路120を起動させることができる。
【0054】
また、本実施例1では、昇圧制御回路120が、機能ブロックまたはサブ機能ブロックとして、昇圧回路110に電圧の昇圧を開始させるために必要な機能を実現する第一の機能ブロック(起動部122、バッファ121a)、昇圧回路110による電圧の昇圧に関する制御を行う第二の機能ブロック(昇圧制御部121全体)、昇圧回路110が実装される装置に応じた機能を実現する第三の機能ブロック(機能部123)の順で、各機能ブロックを起動させる。したがって、本実施例1によれば、昇圧コンバータ100が安定的に動作するために必要な機能ブロックが優先度の高いものから順番に段階的に起動されるので、限られた電力で効率よく昇圧制御回路120を起動させることができる。
【0055】
また、本実施例1では、発電装置20と昇圧コンバータ100の間に、発電装置20によって発電された電力の電圧を昇圧する補助昇圧コンバータ40が設けられている。そして、昇圧制御部121が、補助昇圧コンバータ40によって昇圧された電力を用いて、起動部122を起動させる。したがって、本実施例1によれば、発電装置20から供給される電力が起動部122を起動させるために必要な電力より小さい場合でも、昇圧制御回路120を起動させることができる。
【0056】
また、本実施例1では、前述した第一の機能ブロックに、昇圧回路110によって昇圧された電力の電圧値を検出する出力電圧監視部121bが含まれている。そして、昇圧制御部121が、第一の機能ブロックを起動させたのちに、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値が所定値(V2)に達した時点で補助昇圧コンバータ40を停止させ、以降は昇圧回路110によって昇圧された電力を用いて、各機能ブロックまたは各サブ機能ブロックを起動させる。したがって、本実施例1によれば、昇圧回路110による電圧の昇圧が開始した後は、昇圧回路110によって昇圧された電力のみを用いて昇圧制御回路120を動作させることが可能になるので、発電装置20から供給される電力を効率よく使用して昇圧制御回路120を駆動させることができる。
【実施例2】
【0057】
次に、実施例2について説明する。本実施例2では、発電装置に直列に接続された補助発電装置を用いて、昇圧制御回路を起動させる場合について説明する。図7は、本実施例2に係る昇圧コンバータの構成を示すブロック図である。なお、本実施例2に係る昇圧コンバータは、基本的には、図2に示した昇圧コンバータ100と同様の構成を有している。そこで、ここでは説明の便宜上、図2に示した各部と同様の役割を果たす機能部については同一符号を付すこととしてその詳細な説明を省略する。
【0058】
図7に示すように、本実施例2に係る昇圧コンバータ200は、発電装置20、負荷30および補助発電装置50に接続されている。
【0059】
補助発電装置50は、所定の大きさの電力を発電し、発電した電力を昇圧コンバータ200に供給する。ここで、補助発電装置50は、発電装置20に直列に接続されている。この結果、昇圧コンバータ200に供給される電圧の大きさは、発電装置20によって発電された電力の電圧よりも大きくなる。すなわち、補助発電装置50は、発電装置20によって発電された電力の電圧を昇圧する補助昇圧手段となる。
【0060】
起動部222は、昇圧回路110に電圧の昇圧を開始させるために必要な機能ブロックである。この起動部222は、補助発電装置50から供給される電力によって起動する。すなわち、起動部222は、実施例1における起動部122と同様の機能を有するが、補助昇圧コンバータ40ではなく、補助発電装置50から供給される電力によって起動する点のみが異なっている。
【0061】
次に、図8〜10を用いて、本実施例2に係る昇圧制御回路120におけるブーストモード、Out Checkモード、機能部動作モードについて詳細に説明する。図8は、本実施例2に係る昇圧制御回路120におけるブーストモードを説明するための図である。図9は、本実施例2に係る昇圧制御回路120におけるOut Checkモードを説明するための図である。図10は、本実施例2に係る昇圧制御回路120における機能部動作モードを説明するための図である。なお、図8〜10において、太線で表している部分は、各機能ブロックまたは各サブ機能ブロックにおける通電状態を示している。また、図8〜10では、図2に示した接続線については図示を省略している。
【0062】
まず、図8を用いて、ブーストモードについて説明する。昇圧制御部121は、昇圧制御回路120に供給される電力の電圧値がV1以上となった時点で、昇圧制御回路120をブーストモードに移行させる。具体的には、昇圧制御部121は、この時点で、図8に示すように、起動部222、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bのみを起動させる。このとき、昇圧制御部121は、補助発電装置50から供給される電圧を用いて、起動部222、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させる。
【0063】
なお、ここで用いられる電圧設定値V1は、起動部222、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させるために必要な電圧値である。すなわち、本実施例2では、補助発電装置50からV1以上の電圧が供給されることとする。
【0064】
このように、ブーストモードでは、昇圧制御部121が、起動部222、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させることによって、昇圧回路110による電圧の昇圧、および、出力電圧監視部121bによる電力値の検出がそれぞれ開始される。
【0065】
続いて、図9を用いて、Out Checkモードについて説明する。昇圧制御部121は、昇圧制御回路120の状態をブーストモードに移行させたのちに、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV2以上となった時点で、昇圧制御回路120をOut Checkモードに移行させる。具体的には、昇圧制御部121は、この時点で、図9に示すように、起動部222を停止させるとともに、昇圧制御部121全体を起動させる。
【0066】
また、このとき、昇圧制御部121は、さらに、補助発電装置50に停止信号を送信することによって補助発電装置50を停止させる。すなわち、補助発電装置50は、ブーストモードにおいて起動部222、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させるためのみに用いられる。そして、補助発電装置50を停止させた以降は、昇圧制御部121は、昇圧回路110によって昇圧された電力を用いて、各機能ブロックまたは各サブ機能ブロックを起動させる。
【0067】
なお、ここで用いられる電圧設定値V2は、昇圧制御部121全体を起動させるために必要な電圧値であり、前述したV1よりも大きいこととする。
【0068】
このように、Out Checkモードでは、昇圧制御部121が昇圧制御部121全体を起動させる。これにより、昇圧回路110による電圧の昇圧に関する各種制御が開始される。
【0069】
続いて、図10を用いて、機能部動作モードについて説明する。昇圧制御部121は、昇圧制御回路120の状態をOut Checkモードに移行させたのちに、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV3以上となった時点で、昇圧制御回路120を機能部動作モードに移行させる。具体的には、昇圧制御部121は、この時点で、機能部123を起動させる。
【0070】
なお、ここで用いられる電圧設定値V3は、機能部123を起動させるために必要な電圧値であり、V2よりも大きいこととする。
【0071】
このように、機能部動作モードでは、昇圧制御部121が機能部123を起動させる。これにより、昇圧コンバータ200が安定的に動作する状態となる。
【0072】
次に、本実施例2に係る昇圧制御回路120の起動手順について説明する。図11は、本実施例2に係る昇圧制御回路120の起動手順を示すフローチャートである。
【0073】
図11に示すように、昇圧制御回路120では、昇圧制御回路120に供給される電力の電圧値がV1以上となった場合、すなわち、補助発電装置50からV1以上の電力が供給された場合に(ステップS201,Yes)、昇圧制御部121が、昇圧制御回路120の状態をブーストモードに移行させる。
【0074】
具体的には、このとき、昇圧制御部121は、起動部222を起動させることで(ステップS202)、バッファ121aおよび出力電圧監視部121bを起動させる(ステップS203)。これにより、昇圧回路110が、発電装置20から供給される電圧の昇圧を開始する(ステップS204)。
【0075】
続いて、昇圧制御部121は、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV2以上となった場合に(ステップS205,Yes)、昇圧制御回路120の状態をOut Checkモードに移行させる。
【0076】
具体的には、このとき、昇圧制御部121は、補助発電装置50を停止させる(ステップS206)。さらに、昇圧制御部121は、起動部222を停止させるとともに(ステップS207)、昇圧制御部121全体を起動させる(ステップS208)。
【0077】
続いて、昇圧制御部121は、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値がV3以上となった場合に(ステップS209,Yes)、昇圧制御回路120の状態を機能部動作モードに移行させる。具体的には、このとき、昇圧制御部121は、機能部123を起動させる(ステップS210)。
【0078】
上述してきたように、本実施例2では、昇圧制御回路120が、機能ブロックまたはサブ機能ブロックとして、昇圧回路110に電圧の昇圧を開始させるために必要な機能を実現する第一の機能ブロック(起動部222、バッファ121a)、昇圧回路110による電圧の昇圧に関する制御を行う第二の機能ブロック(昇圧制御部121全体)、昇圧回路110が実装される装置に応じた機能を実現する第三の機能ブロック(機能部123)の順で、各機能ブロックを起動させる。したがって、本実施例2によれば、昇圧コンバータ200が安定的に動作するために必要な機能ブロックが優先度の高いものから順番に段階的に起動されるので、限られた電力で効率よく昇圧制御回路120を起動させることができる。
【0079】
また、本実施例2では、発電装置20と昇圧コンバータ200の間に、発電装置20によって発電された電力の電圧を昇圧する補助発電装置50が設けられている。そして、昇圧制御部121が、補助発電装置50によって昇圧された電力を用いて、起動部222を起動させる。したがって、本実施例2によれば、発電装置20から供給される電力が起動部222を起動させるために必要な電力より小さい場合でも、昇圧制御回路120を起動させることができる。
【0080】
また、本実施例2では、前述した第一の機能ブロックに、昇圧回路110によって昇圧された電力の電圧値を検出する出力電圧監視部121bが含まれている。そして、昇圧制御部121が、第一の機能ブロックを起動させたのちに、出力電圧監視部121bによって検出された電圧値が所定値(V2)に達した時点で補助発電装置50を停止させ、以降は昇圧回路110によって昇圧された電力を用いて、各機能ブロックまたは各サブ機能ブロックを起動させる。したがって、本実施例2によれば、昇圧回路110による電圧の昇圧が開始した後は、昇圧回路110によって昇圧された電力のみを用いて昇圧制御回路120を動作させることが可能になるので、発電装置20から供給される電力を効率よく使用して昇圧制御回路120を駆動させることができる。
【0081】
なお、本実施例2によれば、上記の効果以外にも、実施例1によって得られる効果については同様に得ることができる。
【0082】
以上のように、実施例1および2によれば、従来よりも小さい起動電圧で昇圧制御回路120を起動し、起動後は、昇圧回路110が昇圧した電力を供給することで昇圧制御回路120の駆動を継続することが可能になる。また、起動電圧よりも大きい所定の電圧が加えられる場合には、その分の電圧を各種機能部に供給することができる。したがって、実施例1および2によれば、多機能な昇圧制御回路を構成することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のように、本発明に係る昇圧制御回路の制御方法および昇圧制御回路は、発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する昇圧装置に用いられる昇圧制御回路に有用であり、特に、発電装置から十分な電力が供給されない場合に適している。
【符号の説明】
【0084】
10,100,200 昇圧コンバータ
11,110 昇圧回路
12,120 昇圧制御回路
20 発電装置
30 負荷
40 補助昇圧コンバータ
50 補助発電装置
121 昇圧制御部
121a バッファ
121b 出力電圧監視部
121c サブ機能ブロック
122,222 起動部
123 機能部
123a サブ機能ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する昇圧装置に用いられる昇圧制御回路の制御方法であって、
前記昇圧制御回路を構成する複数の機能ブロックそれぞれに対して設定された優先順位にしたがって各機能ブロックを順次起動させる起動制御ステップ
を含んだことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記起動制御ステップにおいて起動させた機能ブロックのうち、前記昇圧装置が電圧の昇圧を行ううえで不要な機能ブロックを停止させる停止制御ステップをさらに含んだことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記昇圧制御回路は、前記機能ブロックとして、前記昇圧装置に電圧の昇圧を開始させるために必要な機能を実現する第一の機能ブロック、前記昇圧装置による電圧の昇圧に関する制御を行う第二の機能ブロック、および、前記昇圧装置が実装される装置に応じた機能を実現する第三の機能ブロックを有しており、
前記起動制御ステップは、前記第一の機能ブロック、第二の機能ブロック、第三の機能ブロックの順で、各機能ブロックを起動させることを特徴とする請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記発電装置と前記昇圧装置との間には、前記発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する補助昇圧手段が設けられており、
前記起動制御ステップは、前記補助昇圧手段によって昇圧された電力を用いて、前記第一の機能ブロックを起動させることを特徴とする請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記補助昇圧手段は、前記発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する補助昇圧装置であることを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記補助昇圧手段は、前記発電装置に直列に接続された補助発電装置であることを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項7】
前記第一の機能ブロックには、前記昇圧装置によって昇圧された電力の電圧値を検出する出力電圧監視部が含まれており、
前記起動制御ステップは、前記第一の機能ブロックを起動させたのちに、前記出力電圧監視部によって検出された電圧値が所定値に達した時点で前記補助昇圧手段を停止させ、以降は前記昇圧装置によって昇圧された電力を用いて、各機能ブロックを起動させることを特徴とする請求項4、5または6に記載の制御方法。
【請求項8】
発電装置によって発電された電力の電圧を昇圧する昇圧装置に用いられる昇圧制御回路であって、
それぞれが所定の機能を実現する複数の機能ブロックと、
前記複数の機能ブロックそれぞれに対して設定された優先順位にしたがって各機能ブロックを順次起動させる制御部と
を備えたことを特徴とする昇圧制御回路。
【請求項9】
前記制御部は、起動した機能ブロックのうち、前記昇圧装置が電圧の昇圧を行ううえで不要な機能ブロックを停止させることを特徴とする請求項8に記載の昇圧制御回路。
【請求項10】
前記複数の機能ブロックは、前記昇圧装置が電圧を昇圧するために必要な最小限の機能を実現する第一の機能ブロック、前記昇圧装置による電圧の昇圧に関する制御を行う第二の機能ブロック、および、前記昇圧装置が実装される装置に応じた機能を実現する第三の機能ブロックをそれぞれ含み、
前記制御部は、前記第一の機能ブロック、第二の機能ブロック、第三の機能ブロックの順で、各機能ブロックを起動させることを特徴とする請求項8または9に記載の昇圧制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−220351(P2010−220351A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63061(P2009−63061)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】