説明

昇温ヒータ用温度ヒューズ

【課題】外力による破断を防止するとともに、環境に優しく、設置が簡単な昇温ヒータ用温度ヒューズを提供する。
【解決手段】昇温ヒータ用温度ヒューズの構成として、複数の温度ヒューズ本体のリード線と複数の伝熱線の各々を交互に直列に連結することによって形成されたコードと、該コードを被覆するフッ素系チューブと、前記コードの伝熱線と接合されたセンサーリード線と、前記フッ素系チューブとセンサーリード線の被覆部を覆うフッ素系熱収縮チューブと、
を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇温ヒータ用温度ヒューズに関し、特に、液体を昇温させる為のヒータの空焚きを防止する為、直列に配置された温度ヒューズ本体が異常加熱により断線する昇温ヒータ用温度ヒューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来例の温度ヒューズを図2に示す。図2aは温度ヒューズ自体の全体を示す図であり、図2bは温度ヒューズの使用状態を示す図である。図2aに示すように、温度ヒューズ5には100°C程度にて破断する半田線(温度ヒューズ本体)1を使用し、腐食を防ぎ外力の影響を緩和させる為、フッ素系チューブ2内に挿入し、その両端をセンサーリード線3に接合させている。また、液の進入を防ぎ腐食を防ぐ為、その接合部をフッ素系熱収縮チューブ4で被覆し温度ヒューズ5を構成していた。
【0003】
図2bに示すように、温度ヒューズ5の使用時には、液体を昇温させる為のヒータ6に温度ヒューズ5を巻きつけ、ヒータ6と温度ヒューズ5を一体の状態にし、貯槽7の中に納め、薬液8の昇温を行っていた。薬液8の進入を防ぎ腐食を防止する為、接液部は全てフッ素系チューブ2にて覆われた構造となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、温度上昇以外の外力(物理的要因)により半田線(温度ヒューズ)が断線するトラブルが頻繁していた。例えば、貯槽へ戻る液の流速により半田線(直径約1.0mm)が断線するという事例すらあった。上記事例からもわかるように、フッ素系チューブにて被覆を行っているものの、半田線は外力に非常に弱く、容易に断線するという欠点があった。また温度ヒューズをヒータに巻きつける時、あるいは貯槽へ挿入する際、半田線が断線してしまう初期トラブルも頻発していた。また、半田はスズと鉛の合金である為、近年の社会的要求である脱鉛の方向へ移行する必要性もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の昇温ヒータ用温度ヒューズは、複数の温度ヒューズ本体のリード線と複数の伝熱線の各々を交互に直列に連結することによって形成されたコードと、該コードを被覆するフッ素系チューブと、前記コードの伝熱線と接合されたセンサーリード線と、前記フッ素系チューブとセンサーリード線の被覆部を覆うフッ素系熱収縮チューブと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、外力による破断を防止するとともに、環境に優しく、設置が簡単な昇温ヒータ用温度ヒューズが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、半田線を用いる代わりに、一般的な回路に使用する温度ヒューズ本体(鉛フリー、98度断線仕様)を用い、さらに伝熱率の高い銅線を用いて温度ヒューズ本体のリード線に合わせ圧着端子にて接合し、温度ヒューズ本体を直列に複数個配置させたコードを形成し、このコードを耐薬品性に優れた、フッ素系チューブ内に挿入し、フッ素系チューブ内に挿入された伝熱線を湾曲させながら、その両端の銅線をセンサーリード線と圧着端子にて接合し、フッ素系チューブとセンサーリード線被覆部をフッ素系熱収縮チューブにて覆い温度ヒューズとしたものである。
【実施例】
【0008】
以下に本発明の実施例を図1を参照して説明する。一般的な回路に使用するアキシャルリードタイプの温度ヒューズ本体9(外径3mm、250V−4A、鉛フリー、98度断線仕様)を用い、伝熱効率の高い銅線10(外径1mm)を温度ヒューズ本体9のリード線11に合わせ、圧着端子12にて接続し、3個の温度ヒューズ本体9を直列に配置しコード形状に形成する。この形成されたコードは耐薬品性に優れた、フッ素系チューブ2(PTFE:ポリテトラフロロエチレン、外形5mm内径4mm)を使用し、そのチューブ内にコードを挿入し、フッ素系チューブ2に挿入され銅線10を湾曲させながら、そのコードの両端の銅線10とセンサーリード線3を圧着端子12にて接合させる。またフッ素系チューブ2とセンサーリード線3の被覆部をフッ素系熱収縮チューブ4にて覆い、湾曲形状を持った温度ヒューズ15としたものである。
【0009】
この温度ヒューズ15は半田線1を使用しないため、流速等のわずかな外力を連続して与えても温度ヒューズ本体9が断線する事は無くなった。また初期トラブルとなっていたヒータ6巻きつけ作業は、湾曲形状に形成された温度ヒューズ15をヒータ6(図2参照)の上部に載せ、図示しないPPバンドにて結束させる事が容易で、この状態にてヒータ6と温度ヒューズ15を貯槽7に安定し挿入する事が可能な為、温度ヒューズ本体9の初期断線トラブルもなくなった。また、従来通り接液部は全てフッ素系チューブ2にて覆う事が可能で、薬液8の進入を防ぎ、腐食しない構造となっている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の昇温ヒータ用温度ヒューズを示す図である。
【図2】従来例の昇温ヒータ用温度ヒューズを示す図である。
【符号の説明】
【0011】
1 半田線(温度ヒューズ本体)
2 フッ素系チューブ
3 センサーリード線
4 フッ素系熱収縮チューブ
5 従来例の温度ヒューズ
6 ヒータ
7 貯槽
8 薬液
9 温度ヒューズ本体
10 銅線
11 リード線
12 圧着端子
15 本発明の温度ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の温度ヒューズ本体のリード線と複数の伝熱線の各々を交互に直列に連結することによって形成されたコードと、
該コードを被覆するフッ素系チューブと、
前記コードの伝熱線と接合されたセンサーリード線と、
前記フッ素系チューブとセンサーリード線の被覆部を覆うフッ素系熱収縮チューブと、
を有することを特徴とする昇温ヒータ用温度ヒューズ。

【図1】
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【図2】
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