説明

昇降テーブル

【課題】パンタグラフ式昇降機構をスッキリしたデザインにして、天板を持ち上げたときの上下の遊び、ガタが無く、昇降スピードが加速されず、天板側で手でコントロールでき、かつ指はさみのない安全な昇降テーブルを提供する。
【解決手段】パンタグラフ16、19は3本で構成し、中央のパンタグラフ19は太いパイプとする。可動側ガスシリンダー30は昇降フレーム13側に設置してベースフレーム15との間には設置しない。スライド金具28とパンタグラフの可動部25、固定側ガスシリンダーと昇降フレーム13のガスシリンダー駆動用金具14とは各々ピン接合して、スライド金具28が常に天板と平行に保って密着するような構成とする。クロスするパンタグラフ16、19の間隔を指はさみの無い寸法とし、ベースフレーム15と昇降フレーム13と各パンタグラフ16、19の隙間も同様安全な寸法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は昇降するテーブルのパンタグラフ式昇降機構における構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テーブルの天板昇降機構として1本支柱又は2本の門型構造の支柱で支えて昇降するもの(特許文献1)、またパンタグラフ式昇降機構で天板を昇降させているものがある(特許文献2)。1本支柱では天板を片持ちで支える方式の為、天板の端が強度不足で傾く傾向がある。2本支柱では左右の支柱の昇降の同期を取る必要があり、機構がコスト高である。パンタグラフ式昇降機構では昇降のガスシリンダーを固定側のベースフレームと昇降フレームの間に挟んだものが多く、外観的に見てスッキリしないし、デザイン的にまとまりにくい等の問題があった。またクロスする支柱間が狭く指はさみ等の危険があった。
【0003】
【特許文献1】特開平11−253239
【0004】
【特許文献2】特開2005−89052
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幅広な天板を持つテーブルの昇降機構では偏荷重においても天板が傾かずに安定して昇降できるパンタグラフ式昇降機構が採用されているが、そのパンタグラフ式昇降機構を外観的にスッキリするデザインにする。
【0006】
パンタグラフ式昇降機構で天板を持ち上げたときの遊び、ガタがないこと、及び昇降スピードが加速されず、手でコントロールできるように、昇降レバーを操作しよい天板側に固定した昇降機構を設ける。
【0007】
昇降時に指はさみのない安全なパンタグラフ式昇降機構を備えた昇降テーブルを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上下昇降する天板のパンタグラフ式昇降機構を備えており、前記パンタグラフ式昇降機構の下側にベースフレーム、上側に昇降フレームを備えており、前記パンタグラフ式昇降機構を駆動させる駆動源を天板裏面の昇降フレーム側に設置して、前記駆動源の固定側は前記昇降フレームに設けた前記駆動源の駆動用金具に結合し、駆動源の固定側に、昇降レバーをその近傍に設け、前記駆動源の可動側は天板裏面を水平にスライドするスライド金具の一端に結合して駆動源の可動側とし、スライド金具は前記パンタグラフ式昇降機構の可動部と接合して天板を上下昇降させる。
【0009】
好ましくは、前記スライド金具の端部を駆動源の固定側方向に前記パンタグラフ式昇降機構の可動軸より延ばした事を特徴とする。
【0010】
さらに好ましくは、前記パンタグラフ式昇降機構は、お互いクロスする支柱間の隙間及びベースフレーム、及び昇降フレームとの間を約25mm程度の隙間を設けて、可動部は昇降フレームの内側端部と密着せずに止まる様にレールにストッパーを設ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるパンタグラフ式昇降機構の昇降ガスシリンダーを昇降フレーム部に取り付けることで機構の外観がスッキリできる。又パンタグラフ式昇降機構を採用してテーブルを昇降する為、幅広のサイズの天板であっても、支持が片持ちにならず、偏荷重に対しても強く安定している。天板裏とスライダー金具上面との間が常に密着しているので天板を手で持ち上げたときに遊び、ガタが生じない。天板が昇降の際、スライダー金具の上面のスベリ材等で摩擦しながら左右に動く為、昇降がガスシリンダーの動きだけで加速されず、手でコントロールできるので天板上に載せている精密機器に対して安全である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】昇降テーブル付カート斜視図
【図2】昇降テーブル付カート正面及び昇降図
【図3】昇降テーブル付カート側面図
【図4】ガスシリンダー式昇降機構の斜視図
【図5】昇降機構の正面図、昇降図
【図6】昇降機構の平面図
【図7】昇降機構の正面B−B断面図
【図8】昇降機構の詳細正面B−B断面図
【図9】スライド金具周辺斜視図
【図10】指はさみのない昇降パンタグラフ支柱組図
【図11】駆動源を引張りスプリングとした昇降機構の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜図4 は本発明を昇降テーブルに適した実施形態を示しており,このうち図1は昇降テーブル付カートの斜視図、図2はその正面図と昇降図、図3はその側面図を示す。昇降テーブル付カート本体は本体ベースフレーム6に4個の移動用キャスター7を備え最下部にはパソコン用のバッテリーを搭載する複数個のバッテリー用トレー8を設置できる様に縦フレーム4aを備えている。4本の支柱3には両サイドの支柱間の上下方向に数段の横桟4を左右対称に設けて、昇降テーブル付カート本体内側に左右対にレール5を設置し、各々トレー9を収納し、出し入れできる様な構造である。その最上段部に幅広のテーブルの天板1 を上下昇降できるようなパンタグラフ式昇降機構12 を有する装置を設置する空間を有する。
【0014】
4本の支柱の最上部は昇降テーブルの移動を楽に操作する為のハンドルパイプ 2が昇降テーブルとの間に設けている。ハンドルパイプは天板幅サイズより両端がハンドル操作と持ち運びが楽な様に外側に、飛び出た形状になっている。又後面2本の支柱にはそれぞれ配線を収納可能な様に配線モール10 を設置できるようになっている。 天板裏にはパンタグラフ式昇降機構の昇降フレーム 13 が設けられていて、その昇降フレームの右外側に設けたガスシリンダー駆動用金具 14 にガスシリンダーの昇降レバー11が天板の昇降を楽に出来るように設けられている。パンタグラフ式昇降機構は固定側をベースフレーム15が昇降テーブル付カート本体の支柱の最上段に固定される構造になっている。
【0015】
図4は駆動源をガスシリンダーとしたパンタグラフ式昇降機構の詳細を示している。図5はその正面図と昇降図、図6はその平面図、図7はその正面A−A断面図、図8はその正面B−B断面図、図9はその詳細正面B−B断面図を示す。パンタグラフ式昇降機構は図4の様に本体に固定されるベースフレーム15にはパンタグラフA16の固定軸17を取り付ける穴18 とパンタグラフB 19の可動軸20の横スライドをガイドする下ガイドレール21が長手方向の両サイドに設けられている。天板裏に設置される昇降フレーム13には同様にパンタグラグB19の固定軸23を取り付ける穴24とパンタグラフAの可動軸25 が横スライドする上ガイドレール26 が長手方向の両サイドに設けられている。パンタグラフ可動軸20、25にはそれぞれ両端部にベアリングローラー36が取り付けられている。昇降フレーム13側の上ガイドレール26は天板の最低高さを決める昇降初期高さのための可動軸ストッパー 27 がそれぞれ設けられている。パンタグラフAの可動軸25は横方向にスライドするスライド金具28と図9に示した様に上側から接合されていて、天板裏側と樹脂材等のスライドテープ29を介して密着し、横スライド可能になっている。この樹脂材のスライドテープによって天板との摩擦が滑らかになり、ガスシリンダーの加速を適度にコントロールさせて天板上の安定を保たれる。図7、図8はパンタグラフ式昇降機構のB−B断面図を示す。スライド金具28のパンタグラフ可動軸側と反対側の端部にはガスシリンダーの可動側30と回転結合32されている。又スライド金具28は常に天板1と水平方向に保つ為に、スライド金具28 の端部をガスシリンダー固定側35方向に前記パンタグラフA16 の可動軸25より40mmほど伸ばした延長部34を有する構造とし、かつスライド金具と天板裏側との間に樹脂製のスベリ材29をスライド金具28上面に接着した構造とする。ガスシリンダーの固定側35は天板を固定する昇降フレーム13の端部に設けたガスシリンダー駆動用金具14と回転結合31されている。
【0016】
図10は指はさみのない安全なパンタグラフ式昇降機構の支柱構造を示す。パンタグラフA16、パンタグラフB19のお互いクロスするパンタグラフの支柱を2つのブロックに分け、支柱間が指はさみの無いように十分空く寸法を保ちかつ図4のベースフレーム15と昇降フレーム13と各可動するパンタグラフの各支柱との隙間も指はさみのないよう十分な寸法を設け、かつ図5のパンタグラフの初期角度は約20度から最終角度は38度付近まで可動するようにする為パンタグラフの各支柱と指はさみは無い。図6の示すとおり、指とベースフレーム15、指と昇降フレーム13との間は25mm以上あり、十分安全に保たれる。
図5ではガスシリンダーは初期位置を25mm以上伸びた位置として、縮んだ状態でも指が挟まらないようセットする。図7はパンタグラフの可動パイプの初期位置もベースフレーム15、及び昇降フレーム13の端から25mm以上はなすことで指はさみの問題も生じない。スライド金具28の初期位置も昇降フレームとの隙間を指挟みのないよう設ける。図10の様に外観的にスッキリするデザインにする為にパンタグラフの支柱は4本とせず、3本で間隔をあけて中央部は太いパイプで構成する。また図4のようにガスシリンダーは目に触れないように、天板裏側のスライド金具28と昇降フレーム13の端部に設けたガスシリンダー駆動用金具14に設置する。
【0017】
図11は本発明の駆動源をガスシリンダーとせず、引張バネを使用した実施例を示す。
ストッパー機構はスライド金具28の穴部とストッパーレバー受け38のストッパー穴39をストッパーレバー40が勘合してスライド金具をロックさせる構造を示す。
【符号の説明】
【0018】
1 天板
2 ハンドルパイプ
3 支柱
4 横桟
4a 縦フレーム
5 レール
6 本体ベースフレーム
7 キャスター
8 バッテリー用トレー
9 トレー
10 配線モール
11 昇降レバー
12 パンタグラフ式昇降機構
13 昇降フレーム
14 ガスシリンダー駆動用金具
15 ベースフレーム
16 パンタグラフA
17 パンタグラフA固定軸
18 パンタグラフA固定軸取り付け穴
19 パンタグラフB
20 パンタグラフB可動軸
21 下ガイドレール
23 パンタグラフB固定軸
24 パンタグラフB固定軸取り付け穴
25 パンタグラフA可動軸
26 上ガイドレール
27 ストッパー
28 スライド金具
29 スライドテープ
30 ガスシリンダー可動側
31 ガスシリンダー固定側結合部
32 ガスシリンダー可動側結合部
33 スライド金具接合部
34 スライド金具延長部
35 ガスシリンダー固定側
36 ベアリングローラー
37 引張スプリング
38 ストッパーレバー受け
39 ストッパー穴
40 ストッパーレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下昇降する天板のパンタグラフ式昇降機構を備えており、前記パンタグラフ式昇降機構の下側にベースフレーム、上側に昇降フレームを備えており、前記パンタグラフ式昇降機構を駆動させる駆動源を天板裏面の昇降フレーム側に設置して、前記駆動源の固定側は前記昇降フレームに設けた前記駆動源の駆動用金具に結合し、駆動源の固定側に、昇降レバーをその近傍に設け、前記駆動源の可動側は天板裏面を水平にスライドするスライド金具の一端に結合して駆動源の可動側とし、スライド金具は前記パンタグラフ式昇降機構の可動部と接合して天板を上下昇降する昇降テーブル。
【請求項2】
前記スライド金具の端部を駆動源の固定側方向に前記パンタグラフ式昇降機構の可動軸より延ばした事を特徴とする請求項1記載の昇降テーブル。
【請求項3】
前記パンタグラフ式昇降機構は、お互いクロスする支柱間の隙間及びベースフレーム、及び昇降フレームとの間を約25mm程度の隙間を設けて、可動部は昇降フレームの内側端部と密着せずに止まる様にレールにストッパーを設けた請求項1、又は請求項2記載の昇降テーブル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−30022(P2012−30022A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182616(P2010−182616)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(597001394)富士工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】