説明

昇降搬送装置

【課題】車輪が取り付けられた台車本体の方を回転させることにより昇降搬送装置の方向転換を図ることで、遮断器等の電気機器、その他の物を荷物として搬送するときにその搬送作業を容易化、短時間化する。
【解決手段】回動台36の持ち上げ部41の底面を荷物の昇降方向に変位可能として、方向転換時には、車輪7、8の下端よりも下方に降ろすことにより、回動台36が取り付けられた載置台11ひいては昇降搬送装置1の持ち上げ部41以外の部分を持ち上げて、台車フレーム5に取り付けられた車輪7、8をこれが転動する面4より浮いた状態とした後、回動台36上に軸支されている載置台11を、回転軸37を中心に回転させることにより、昇降搬送装置1の回動台36以外の部分を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スイッチギアの筐体内に収納された遮断器等の電気機器その他の物品を引き出して荷物として移動させるために、かかる荷物を昇降し搬送させるための装置に関し、特にこの昇降搬送装置を方向転換させるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
変電所等の施設に設置されるスイッチギアは、遮断器等の電気機器、断路器、保護継電器及びこれらの制御部等の各種の受電機器を筐体の内部に収納した受電設備である。このスイッチギアの筐体内に収納されている遮断器は、例えば、特許文献1に示されるように、スイッチギアの筐体の外部に引き出し可能となっており、当該遮断器の保守・点検並びに遮断器の開閉特性等の試験の多くが遮断器を筐体の外部に引き出した状態で行われる。
【0003】
そして、この引き出し式の遮断器を保守・点検或いは試験するために、スイッチギアの筐体から引き出してこれらの作業が可能な場所まで搬送して移動させ、且つこれらの作業が終了した遮断器を再度搬送してスイッチギアの筐体内に収納し直す場合には、例えば特許文献2に示されるように、リフター等とも称される昇降搬送装置が用いられる。
【0004】
この特許文献2に示されるリフターを概説すると、車輪を有する台車本体の上に回動台(ターンテーブルとも称する。)が配置されており、この回動台は、略中心位置に配置された鉛直軸により台車本体に対し回転自在に取り付けられていると共に回転不要時にはロックピン等の固定手段を介して台車本体に固定されて回転が規制されている。そして、この回動台の上には前記遮断器等の電気機器を載せるための昇降台が回動台に対し遠近する方向に昇降することが可能なように設けられたものとなっている。
【0005】
そして、この特許文献2に示されるリフターは、回動台が台車本体に対して180°回転可能となっていると共に、台車本体に設けられた車輪には、いずれも方向性のないものが用いられ、車輪の不用意な回転を防止するためのストッパが各車輪に設けられている。
【0006】
その一方で、例えば特許文献3に示されるように、スイッチギアに複数の遮断器が収納されている場合もある。この場合には、リフターを用いて全ての遮断器を引き出して移動させるために、1の遮断器を作業が可能な場所までリフターで搬送してかかるリフターから降ろした後、スイッチギアまでリフターを戻し、次の遮断器をスイッチギアの筐体からリフターの上に引き出して作業が可能な場所まで搬送するという過程を遮断器の数に応じて繰り返す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−271737号公報
【特許文献2】特開2000−309496号公報
【特許文献3】特開2009−201274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に示されるように、回動台の方が回転し且つ車輪の回転防止のためにストッパが設けられているリフターの構成では、リフターを90°の角度に方向転換して例えばスイッチギアから引き出した方向に対し略直角方向に移動させようとする場合には、回動台を例えば台車本体に対して90°回転させても台車本体の方向は変わらないので、ストッパを解除した後、車輪をその場で90°回転させる必要がある。
【0009】
この場合には、4つの車輪のストッパを解除して回転させる作業を要する分、リフターによる電気機器の搬送作業が煩雑化、長時間化する。しかも、遮断器等の電気機器が台車本体に載った状態であれば、この台車本体からの荷重を集中的に受ける4つの車輪をその場で回転させる作業自体も容易ではない。
【0010】
しかも、特許文献3に示されるように、遮断器が複数収納されているスイッチギアの場合には、遮断器の搬送作業が遮断器の数に応じて繰り返されるので、遮断器の搬送作業の煩雑化、長時間化による弊害の影響が増幅される。
【0011】
そこで、本発明は、車輪が取り付けられた台車本体の方を回転させて昇降搬送装置の方向転換を図ることにより、遮断器等の電気機器、その他の物品を載置して搬送するときに、かかる搬送作業を容易化、短時間化した昇降搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る昇降搬送装置は、移動用の車輪が取り付けられた台車フレームを有する台車本体と、物品を載置可能な載置台を前記台車フレームに遠近させる方向に昇降可能な昇降機構とを備えた昇降搬送装置であって、前記載置台の下方に回動台を有し、前記回動台は、前記載置台に回転軸を介して取り付けられることで、前記回動台と前記載置台とが前記回転軸を中心として相互に回動可能となっていると共に、前記回動台は、前記回転軸を有する基部と、底面が前記基部に対し前記昇降機構の昇降方向と同じ方向に変位する持ち上げ部とを有して構成され、前記持ち上げ部の底面は、方向転換時以外の時には前記車輪が転動する面から所定の間隔にて離れているが、方向転換時には前記方向転換時以外の時における前記所定の間隔以上に下方に変位して(車輪の下端よりも下方に変位して)、前記車輪を当該車輪が転動する面から離すことを特徴としている(請求項1)。
【0013】
そして、前記持ち上げ部の底面の変位は、前記回動台の前記基部と前記持ち上げ部との間にオイル溜まり室を設け、このオイル溜まり室に溜められたオイルによる油圧の増減を利用して行われることを特徴としている(請求項2)。更に、前記オイル溜まり室へのオイルの供給は、前記昇降機構が有する制御ボックス内に配されたオイルタンクと、一方が前記オイルタンクに接続され他方が前記オイル溜まり室に接続されると共に可撓性及び伸縮性を有する配管とを介して行われることを特徴としている(請求項3)。
【0014】
上記した台車フレームに取り付けられる車輪としては、例えば台車フレームの進行方向の前側では回転しない固定車輪が用いられ、台車フレームの進行方向の後側では回転自在な自在車輪が用いられる。また、上記の載置台に載置される物品は、例えばスイッチギアの筐体に収納される遮断器、その他の電気機器等である。
【0015】
これらにより、昇降搬送装置が方向転換時以外の時から方向転換時になった状態において、回動台の持ち上げ部を昇降機構の昇降方向に沿って下方向に変位させることにより、持ち上げ部の底面は車輪が転動する面に接した後、更にこの面を押すので、回動台が取り付けられた載置台ひいては昇降搬送装置の持ち上げ部以外の部分が持ち上げられ、台車フレームに取り付けられた車輪もこれが転動する面から浮いた状態となる。次に、回動台の上方に軸支されている載置台を回転軸を中心に回転させることにより、昇降搬送装置の回動台以外の部位が回転することとなる。
【0016】
そして、この発明に係る昇降搬送装置では、前記載置台は、前記物品が載置され且つ前記回動台が取り付けられる台座を有し、この台座の前記物品を載せ又は降ろす側の端部には、ヒンジを介して延長板が回転可能に連結されていることを特徴としている(請求項4)。
【0017】
これにより、台座の底面に回動台が取り付けられていることから、載置台が最も下方に位置した場合でも、台座の上面から車輪の転動する面までには段差を有した状態となるところ、物品を台座から降ろし又は荷物を台座に載せる場合には、上がっていた延長板を降ろすことで、台座の上面と車輪の転動する面との段差が解消される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、請求項1から請求項4に記載の発明によれば、昇降搬送装置が方向転換時以外の時から方向転換時になった状態において、回動台の持ち上げ部を昇降機構の昇降方向に沿って下方向に変位させて、持ち上げ部の底面で車輪が転動する面を押圧し、回動台が取り付けられた載置台ひいては昇降搬送装置の持ち上げ部以外の部位を持ち上げる手順と、回動台の上方に軸支されている載置台について回転軸を中心に回転させることにより、昇降搬送装置の回動台以外の部分を回転させる手順とを経ることにより、昇降搬送装置の方向転換が360°の範囲で可能である。
【0019】
しかも、昇降搬送装置を方向転換させる際には、車輪はこれが転動する面から浮いた状態となるため、車輪が接面した状態で昇降搬送装置を方向転換させる必要性がなくなるので、昇降搬送装置の移動が容易になる。
【0020】
特に請求項4に記載の発明によれば、台座の底面に回動台が取り付けられていることから、載置台が最も下方に位置した場合でも、台座の上面から車輪が転動する面までには段差を有した状態となるところ、通常時には延長板を上に挙げておき、物品の台座からの脱落防止を図るようにしつつ、物品を台座から降ろし又は荷物を台座に載せる時には、延長板を回転させて降ろして車輪が転動する面にその先端を接するようにすることにより、台座の上面と車輪が転動する面との段差を解消することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(a)は、この発明に係る昇降搬送装置の全体構成の概略を示す斜視図であり、図1(b)は、同上の昇降搬送装置の一部拡大図である。
【図2】図2は、同上の昇降搬送装置の全体構成の概略を示す側面図である。
【図3】図3は、同上の昇降搬送装置の全体構成の概略を示す底面図である。
【図4】図4は、同上の昇降搬送装置の回動台以外の部分が持ち上げられて車輪が浮いた状態を示す側面図である。
【図5】図5は、同上の昇降搬送装置の方向転換機構の方向転換時以外の時における概略構成を示す断面図である。
【図6】図6は、同上の昇降搬送装置の方向転換機構において方向転換時として、回動台の持ち上げ部が降りて車輪が転動する面を押圧することにより載置台を持ち上げた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態の一例を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1から図4において、この発明に係る昇降搬送装置1の一例が示されている。この昇降搬送装置1は、リフターとも称されるもので、台車本体2と昇降機構3とにより基本的に構成されている。
【0024】
このうち、台車本体2は、この実施例では、図1から図4に示されるように、所定の間隔を空けて略水平向に延びる2つの台車フレーム5と、これらの台車フレーム5の延長方向の一方端側において当該双方の台車フレーム5と交差する方向に延びて台車フレーム5間同士を連結する連結フレーム6とから構成されており、図3に示されるように例えば底面側から見た場合には略コ字形状を形成し、下記する荷物22を台座23に載せ又は降ろす側が開放された態様をなしている。そして、図1及び図2に示されるように、2つの台車フレーム5の連結フレーム6とは反対側端近傍にはそれぞれ固定車輪7が設けられ、連結フレーム6の延長方向の両端近傍にはそれぞれ自在車輪8が設けられている。
【0025】
これにより、台車本体2は、それぞれ一対以上(この実施例では一対ずつ合計4つ)の固定車輪7及び自在車輪8が面4上を転動することで任意のところまで移動し、且つ自在車輪8を回転させることで任意の方向に転換することも可能である。尚、連結フレーム6に自在車輪8を設けるとして説明したが必ずしもこれに限定されず、台車フレーム5に固定車輪7及び自在車輪8の双方が設けられるようにしても良い。また、車輪の種類も固定車輪7及び自在車輪8の双方を用いるとして説明したが必ずしもこれに限定されず、この発明の後述する方向転換機構35の方向転換機能により4つの車輪とも固定車輪7のみを用いるものとしても良い。
【0026】
昇降機構3は、この実施例では、図1に示されるように、立設された昇降用フレーム10と、この昇降用フレーム10の上下方向に沿って昇降する載置台11と、この載置台11に一方端が連結され、他方端が昇降用フレーム10に固定された制御ボックス12から送り出し又は制御ボックス12への巻き取りが行われると共に、昇降用フレーム10の上部側に配された滑車13で途中部分が支持されるワイヤ14とにより構成されている。
【0027】
昇降用フレーム10は、図1に示されるように、台車本体2の台車フレーム5と連結フレーム6とが交差する部分の内角側から略鉛直方向に沿って並行に延びる2つのメインマスト16と、メインマスト16の上部側にてメインマスト16間に架設された上側架設部17と、メインマスト16の長手方向の中間にてメインマスト16間に架設された中間架設部19と、上記した連結フレーム6とから成る矩形形状の枠状を構成している。もっとも、メインマスト16の下部側にてメインマスト16間に架設される部材として、連結フレーム6とは別部材の下側架設部を用いても良い。そして、両メインマスト16は、図1及び図2に示されるように、載置台11の昇降のガイドとなるように相互に対峙する面に、メインマスト16の長手方句に沿って延びるコ字状のガイド溝20が開口している。更に、両メインマスト16の間の間隔は、図1及び図3に示されるように、両台車フレーム5の間の間隔よりも狭くなっている。
【0028】
載置台11は、図2に示されるように、例えばスイッチギアの筐体に収納される遮断器、その他の電気機器等の荷物22が載置可能な面積を有する平面状の台座23と、この台座23のメインマスト16側から当該メインマスト16の長手方向に沿って並行に延びる2つの立設部24と、両立設部24間に架設されて前記メインマスト16に摺接しつつ動く複数(この実施例では3つ)の摺動部25とにより構成されている。
【0029】
台座23は、設置時において荷物22が載せられる上面が水平な平面状であるのみならず底面も水平な平面状となっており、荷物22を台座23に載せ又は降ろす側以外の周縁には荷物22の落下防止のためにフランジ26が立設されていても良い。更に、台座23には荷物22の落下を防止するためにストッパ27が設けられていても良い。このストッパ27は、例えば台座23から着脱自在又は台座23の上面に対し出没自在となって、荷物22の出し入れの際に障害とならない構成とすることが好適である。
【0030】
また、この実施例では、立設部24から台座23の側方に位置するフランジ26の中程まで架設された板状の補強部材28を有し、この補強部材28により載置台11の強度を高めるようにしている。
【0031】
各摺動部25は、図1(b)に示されるように、メインマスト16の載置台11側の面と摺接可能な摺接面25aを有すると共にこの摺接面25aよりも制御ボックス12側に突出した突出部29を有し、この突出部29のガイド溝20の開口と向かい合う面29aにガイドローラ30が設けられている。そして、このガイドローラ30は、ガイド溝20の内側面をメインマスト16の長手方向に沿って転動することが可能となっている。
【0032】
制御ボックス12は、ワイヤ14の引き出し及び巻き取りをするためのウインチが収納されており、この実施例では、制御ボックス12に取り付けられたウインチハンドル31を所定方向に回転させることで当該ワイヤ14の引き出し及び巻き取りが行われる。そして、ワイヤ14は、この制御ボックス12の上方に開口した開口部32から上方に延びて、昇降用フレーム10の上側架設部17に取り付けられた滑車13に半周ほど巻回された後、下方に延びて載置台11の連結部33に連結されている。
【0033】
これにより、ウインチハンドル31を所定方向に回転させることにより、図2で示される実線で示す位置から想像線で示す位置に、ワイヤ14が巻き取られて連結部33ひいては載置台11全体が上昇していく。この際、摺動部25の摺接面25aがメインマスト16の面に接しつつガイドローラ30がメインマスト16のガイド溝20内を転動していくので、ガタツキなく載置台11の台座23に載置された荷物22を持ち上げることが可能となる。
【0034】
そして、ウインチハンドル31を先程とは反対方向に回転させることにより、図2で示される想像線で示す位置から実線で示す位置に、ワイヤ14が送り出されて連結部33ひいては載置台11全体が下降していくが、この場合にも、摺動部25の摺接面25aがメインマスト16の面に接しつつガイドローラ30がメインマスト16のガイド溝20内を転動していくので、ガタツキなく載置台11の台座23に載置された荷物22を下げることも可能である。
【0035】
ところで、この昇降搬送装置1は、当該昇降搬送装置1の方向をその場で転換させることができる方向転換機構35を有している。この方向転換機構35について、以下に説明する。
【0036】
方向転換機構35の主要な構成である回動台36は、ターンテーブルとも称されるもので、図5及び図6に示されるように、基部40と持ち上げ部41との2つの部材から構成されている。基部40は、その上部に回転軸37を有し、載置台11の台座23の底面に設けられた挿入孔38に挿入されることで、台座23が回動台36に軸支されて、回動台36と台座23ひいては昇降搬送装置1の回動台36以外の部分とで回転軸37を中心として相対的に回動可能となっている。尚、回動台36と台座23とがガタツキなく回動可能なように、図5及び図6に示されるように、回動台36の基部40に円環状のガイドレール39を設け、且つ台座23にガイドレール39を収容するレール溝34を設ける等しても良い。
【0037】
そして、回動台36は、この実施例では、基部40の回転軸37を有する上部側と反対側となる下部側に開口した収納孔42を有し、この収納孔42に持ち上げ部41が収納可能となっており、持ち上げ部41が収納孔42内に最も収納された際には、図5に示されるように、例えば基部40の底面と持ち上げ部41の底面とが段差なく均一に連続した状態となって、持ち上げ部41の底面と車輪等が転動していく面4との間に所定の間隔が開いている。
【0038】
更に、回動台36の基部40と持ち上げ部41とは、持ち上げ部41が収納孔42内に最も収納された際でも、図5に示されるように、持ち上げ部41の上面と基部40の収納孔42の上面との間に当該基部40と持ち上げ部41とで画成された空間があり、この空間はオイルが溜められるオイル溜まり43となっている。このオイル溜まり43は、基部40の側面に開口した接続孔44に後述する配管45を接続することにより、このオイル溜まり43に外部からオイルが供給され、或いはこのオイル溜まり43から外部にオイルが排出されるようになっている。
【0039】
これに伴い、オイル溜まり43内のオイル量が相対的に増大した場合には、持ち上げ部41は、図6に示されるように、図中の白抜き矢印方向のオイル圧により基部40の底面よりも押し下げられて、持ち上げ部41の底面は、変位して車輪が転動していく面4に当接するのみならず、更にこの面4を押圧するようになっている。尚、オイル溜まり43内のオイルが不用意に外部に逆流しないように、図示しないが逆止弁等を有するようにしても良い。
【0040】
オイル溜まり43にオイルを供給するオイル供給手段は、図1、図2及び図4に示されるように、制御ボックス12内に収納された図示しないオイルタンクと、一方端がこのオイルタンクに接続され、他方端が回動台36の基部40の接続孔44に接続された配管45とを有して構成されている。この配管45は、例えばワイヤ14が制御ボックス12から引き出される開口部32から引き出されるもので、伸縮性を有するために例えば蛇腹形状をなすと共にいずれの方向にも曲がることが可能なフレキシブル性を有するために柔らかな素材で形成されている。もっとも、配管45の引き出し専用の開口部を制御ボックス12に設けても良い。これにより、図2に示されるように、回動台36の位置が載置台11の昇降により上下方向に変動しても、配管45が伸縮且つ自在に曲がってこの変動に対応することが可能となっている。
【0041】
そして、オイル溜まり43にオイルを供給するオイル供給手段は、オイルタンクから回動台36内のオイル溜まり43にオイルを供給する操作を行うために、図1、図2及び図4に示されるように、ペダル46を有する箱体47と、この箱体47から制御ボックス12に向かって延び、制御ボックス12内のオイルタンクと接続した空気送出管48とを更に有して構成されている。ペダル46を有する箱体47は、例えば連結フレーム6に設けられている。
【0042】
これにより、ペダル46を踏むという操作を行うことにより、箱体47から空気送出管48を介して空気がオイルタンクに送られ、オイルタンク内のオイルが押し出されて配管45を介して回動台36内のオイル溜まり43にオイルが供給される。尚、回動台36内のオイル溜まり43から配管45を介してオイルタンクに戻すためのオイル排出手段も、図示しないが有している。
【0043】
一方で、載置台11は、台座23の底面側に回動台36が配置されていることから、載置台11が最も下方に位置した場合でも、台座23の上面から車輪が転動する面4までには段差を有した状態となる。このため、この実施例では、台座23の荷物22の出し入れ側の端部には、延長板50がヒンジ49を介して回転可能に連結されており、荷物22を台座23から降ろし又は荷物22を台座23に載せる場合には、延長板50を降ろして、台座23の上面と車輪が転動する面4との段差を解消可能としている。
【0044】
以上の構成によれば、昇降搬送装置1の荷物22の昇降時、昇降搬送装置1の移動時、その他の昇降搬送装置1の方向転換時以外の方向転換機構35の状態では、図4に示されるように、回動台36の持ち上げ部41の底面は車輪が転動する面4から離れた状態にあるので、回動台36の持ち上げ部41が昇降搬送装置1の移動の障害となることがない。
【0045】
そして、昇降搬送装置1の方向転換時の方向転換機構35は、ペダル46を踏んで制御ボックス12内のオイルタンクから配管45を介して回動台36内のオイル溜まり43にオイルを供給することにより、図5に示されるように、オイル圧により持ち上げ部43が、台車本体2に設けられた車輪7、8の面4との接していた接点よりも押し下げられて(車輪の下端よりも押し下げられて)、前記面4を押圧するので、図4に示されるように、車輪7、8は浮いた状態となる。
【0046】
これにより、台座23について回転軸37を中心として任意の方向及び任意の回転角度で回転させることにより、昇降搬送装置1の回動台36以外の部分が回動するので、昇降搬送装置1を360°の範囲で自在に方向転換することが可能となる。しかも、車輪7、8は浮いた状態であるので、昇降搬送装置1を回転させる際に車輪7、8がその回転に対して抵抗となることも抑制される。
【符号の説明】
【0047】
1 昇降搬送装置
2 台車本体
3 昇降機構
4 車輪が転動する面
5 台車フレーム
6 連結フレーム
7 固定車輪
8 自在車輪
10 昇降用フレーム
11 載置台
12 制御ボックス
13 滑車
14 ワイヤ
16 メインマスト
22 荷物
23 台座
31 ウインチハンドル
32 開口部
36 回動台
37 回転軸
40 基部
41 持ち上げ部
42 収納孔
43 オイル溜まり
44 接続孔
45 配管
46 ペダル
47 箱体
48 空気送り出し管
49 ヒンジ
50 延長板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動用の車輪が取り付けられた台車フレームを有する台車本体と、物品を載置可能な載置台を前記台車フレームに遠近させる方向に昇降可能な昇降機構とを備えた昇降搬送装置であって、
前記載置台の下方に回動台を有し、前記回動台は、前記載置台に回転軸を介して取り付けられることで、前記回動台と前記載置台とが前記回転軸を中心として相互に回動可能となっていると共に、
前記回動台は、前記回転軸を有する基部と、底面が前記基部に対し前記昇降機構の昇降方向と同じ方向に変位する持ち上げ部とを有して構成され、前記持ち上げ部の底面は、方向転換時以外の時には前記車輪が転動する面から所定の間隔にて離れているが、方向転換時には前記方向転換時以外の時における前記所定の間隔以上に下方に変位して、前記車輪を当該車輪が転動する面から離すことを特徴とする昇降搬送装置。
【請求項2】
前記持ち上げ部の底面の変位は、前記回動台の前記基部と前記持ち上げ部との間にオイル溜まり室を設け、このオイル溜まり室に溜められたオイルによる油圧の増減を利用して行われることを特徴とする請求項1に記載の昇降搬送装置。
【請求項3】
前記オイル溜まり室へのオイルの供給は、前記昇降機構が有する制御ボックス内に配されたオイルタンクと、一方が前記オイルタンクに接続され他方が前記オイル溜まり室に接続されると共に可撓性及び伸縮性を有する配管とを介して行われることを特徴とする請求項2に記載の昇降搬送装置。
【請求項4】
前記載置台は、前記物品が載置され且つ前記回動台が取り付けられる台座を有し、この台座の前記物品を載せ又は降ろす側の端部には、ヒンジを介して延長板が回転可能に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の昇降搬送装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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