昇降機構ユニット
【課題】昇降機構ユニットの昇降高さを十分に大きくし、荷重を持ちあげる力を大きくする。
【解決手段】X字状に交差させたクロスリンク7の互いの中間部分をピン9軸支して、交差角度を変更可能にする。クロスリンク7の各端部を、アーム10をピン11軸支して上下方向に伸縮可能にひし形に組んだパンタグラフ8の、各アームの中間部分にピン12軸支する。パンタグラフ8の上方を昇降部A側に取付け、下方の角部を土台部B側に取付ける。シリンダ17のピストンロッド19の先端部をクロスリンク7側にピン軸支する。クロスリンク8の交差角度を変えることによりパンタグラフ8も昇降し、十分な昇降高さを得る。
【解決手段】X字状に交差させたクロスリンク7の互いの中間部分をピン9軸支して、交差角度を変更可能にする。クロスリンク7の各端部を、アーム10をピン11軸支して上下方向に伸縮可能にひし形に組んだパンタグラフ8の、各アームの中間部分にピン12軸支する。パンタグラフ8の上方を昇降部A側に取付け、下方の角部を土台部B側に取付ける。シリンダ17のピストンロッド19の先端部をクロスリンク7側にピン軸支する。クロスリンク8の交差角度を変えることによりパンタグラフ8も昇降し、十分な昇降高さを得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事などで足場として使用する作業台座などに採用され、高さを上げ下げするための昇降機構ユニットに関するものであり、特にパンタグラフ機構を使用した昇降機構ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な分野において、高さを上げ下げして、その上の荷物を上げ下げしたり、上に乗った作業員の足場の高さ調整を行なうため、昇降機構が採用されている。
例えば、特開2001−130879号公報における電動昇降ユニットにあっては、X字状にクロスさせたアームを使用し、クロスさせたアームの交差角度を変えることによって上のテーブルを昇降し、テーブルの上に載せた物などを上げ下げしようとするものである。
【0003】
その基本的な機構は、図9に示すものと同じである。
図9に示す機構では、X字状にクロスさせたアームa・aのクロスさせた部分をピンbによって軸支する。
図において、アームa・aの左側上下端はピンc・cによって軸支してあり、その位置が移動することはない。
他方、図において、アームa・aの右側の上下端部には車輪d・dが取付けられており、左右に移動可能となっている。
両アームa・aの間にはシリンダeを取付けてあり、シリンダeのピストンロッドfを伸縮することによって、アームa・aの交差角度を変えるものである。
アームa・aの交差角度が変わることによってテーブルgの高さが上下するものである。
【0004】
上記機構で問題となるのは、まず昇降高さが小さいことである。
テーブルgが一番低いのは、アームa・aを横に低く折りたたんだときであり、一番高いのはアームa・aを出来るだけ垂直近くに立てたときである。
従って昇降高さは、最大、アームa一本分の長さ以上になることがない。
【0005】
次に問題となるのが、一方側、図で右側のアームa・a端部が車輪d・dによって移動可能であって、アームa・aを立てるようにすると、車輪d・dが左側に移動する。
これはつまり、テーブルgを支える車輪dの位置が左側に移動するもので、テーブルgの右側端部直下をアームa・aによって支えていないことになる。
これによって、テーブルgの右側が重みによって撓むことがある。
図9のような運搬車のようなものであれば大きな問題はないが、本件発明の実施例で実施した作業足場として使用する台座などでは問題である。
台座などでは四本の脚部によって天板を支えるところ、天板の昇降に伴って脚部も伸縮しなければならず、多くの場合、大きな直径のパイプの中に小さな直径のパイプを収納した脚部などを採用し、太い直径のパイプからバネで付勢したピンを、内側の小さな直径のパイプの孔に嵌めこむことによってストッパーとするような機構の場合、全体の高さが同じ高さにならなければ、周囲の四本の脚部が同じ高さでストッパーとして機能しない。
【0006】
つまりは、図9のような昇降機構であれば、一部のストッパーは作動しても、撓んで高さが下がった方のストッパーは高さが足りずに、引っかからず、ストッパーとして機能しないことがある。
作業台座などでは、作業員がひとりで足場を昇降するため、全部のストッパーが一様に作動して、ストップ機構が機能しなければ、作業の手間になるし、また危険でもある。
【0007】
次に問題となるのは、昇降する際の持ち上げる大きな力を得ることが難しいことである。
シリンダなどを使用した場合、ピストンロッドの伸縮方向が出来るだけ昇降方向と平行に近いことが望ましい。平行に近くなればなるほど、ピストンの力が上げ下げするためのより大きな力となるからである。
しかしながら、シリンダを昇降方向、つまりは上下方向に向けると、それだけ収納の高さ(スペース)が必要となることとなり、機構全体を小さく収めることができない。
そこで下降させたときにシリンダを横置きなるようにして収めることが考えられるが、これではピストンロッドの伸長方向は真横に近い状態となる。
【0008】
図10に示すのは、シリンダeのピストンロッドfの方向による分力を示すものである。
シリンダeを真横に横たえれば、ピストンロッドfは水平に伸長するため、その伸長時の上方向に働く分力はゼロである。
しかし、シリンダeのロッドfの伸長方向が少しでも大きく上方へ傾けば傾くほど、ロッドfの伸長によって生じる上方向への分力は大きくなる。
【0009】
上記したように、シリンダを小さく収めるために横向きにした場合、その上方向へ持ち上げようとする分力は非常に小さい。
そこでこの持ち上げる最初の段階で、シリンダの上向きへの力を出来る限り大きくする工夫が必要である。
それに加え、最初のシリンダの伸長の際に抵抗となる荷重などの負荷を出来る限り小さくすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−130879号公報
【特許文献2】特開2004−238190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は、昇降機構ユニットの昇降高さを十分に確保するとともに、荷重を持ちあげる力を大きくした昇降機構ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、X字状に交差させたクロスリンクの互いの中間部分をピン軸支して、交差角度を変更可能にする。
前記クロスリンクの各端部を、アームをピン軸支して上下方向に伸縮可能にひし形に組んだパンタグラフの各アームの中間部分にピン軸支する。
クロスリンクの交差角度を変えることにより、パンタグラフが上下方向に伸縮するものである。
前記パンタグラフの上方の角部、つまりはひし形の四つの角の一つを昇降部側に取付け、下方の角部を土台部側に取付ける。
前記したようにクロスリンクが交差角度を変えることによりパンタグラフのひし形が上下に伸縮し、それに伴って昇降部が昇降することになる。
シリンダの一端部、例えばピストンロッドの先端部をクロスリンク側にピン軸支する。
シリンダの基端部側は、クロスリンク、パンタグラフ、或いは土台部側のいずれかにピン軸支して、クロスリンクを動かすための反力を得られればよい。
シリンダのピストンロッドが伸縮することにより、クロスリンクの交差角度が変わり、それに伴ってパンタグラフのひし形が上下に伸縮し、シリンダの力によって昇降部が昇降することになる。
【0013】
本発明の他の手段は、クロスリンクの上方側の左右端部は、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方にピン軸支するものである。
クロスリンクの上方側の左右端部を、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方に軸支する。
このことにより、クロスリンクの交差部分が常にパンタグラフの左右の軸支部よりも上方に位置することになり、シリンダのクロスリンクにピン軸支した位置が常時高くなって、シリンダが上向きに取り付けられることになる。
これにより、シリンダ始動時の上向きの分力が大きくなる。
【0014】
本発明の他の手段は、パンタグラフの上方の角部は、昇降部の下面に設けられた上下方向に長く、かつ少なくとも下部の一部の内側縁が、ピストンロッドの伸長方向側に湾曲している長孔に遊嵌、つまりは長孔内を移動可能にした状態で軸支するものである。
ピストンロッドの最初の伸長時に、先端部の軸支部分が湾曲部分に沿って伸長するスペースとなる。
【0015】
本発明の他の手段は、土台部側にストッパーを起立させ、ストッパーの高さを、パンタグラフの折りたたんだ高さよりも大きくするものである。
昇降部が下降したとき、昇降部分はストッパーの上に載り、それ以下に折りたたんだパンタグラフには昇降部の荷重が作用しない。
この状態でシリンダのピストンロッドを伸長すると、最初はほとんど荷重が作用してない状態でパンタグラフが垂直に伸長し始め、よりシリンダが上向いて上方への分力が大きくなった段階で昇降部を持ち上げ始めることになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上の手段により、以下に記載する効果のうちいずれか一つを達成することが可能である。
(1)クロスリンクの外側にパンタグラフを連結したため、クロスリンクの交差角度を変えることによってパンタグラフのひし形が上下方向に伸縮するため、クロスリンクだけよりも遥かに大きな昇降高さを得ることが可能である。
(2)シリンダのピストンロッドの伸縮長さが、クロスリンクとパンタグラフの二つによって昇降の高低差に変換され、シリンダが小さくとも、大きな昇降高さを得ることが可能である。
(3)シリンダの一端部をクロスリンク側にピン軸支したため、クロスリンクとパンタグラフを折りたたんだとき、シリンダはほぼ横向きになり、昇降機構自体を小さく収めることが出来る。
(4)クロスリンクの上方側の左右端部を、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方にピン軸支することにより、シリンダが上向きに傾斜して収められることになり、シリンダの上向きの分力を得やすい。
(5)パンタグラフの上方の角部を、昇降部の下面に設けられた上下方向に長く、かつ少なくとも下部の一部の内側縁が、ピストンロッドの伸長方向側に湾曲している長孔に遊嵌して軸支したため、ピストンロッドの最初の伸長時に、その伸びを許容してガイドする役割を果たし、より大きな上向きの分力が生まれるまでの最初の抵抗を緩和する。
(6)土台部側にストッパーを起立させ、ストッパーの高さは、パンタグラフの折りたたんだ高さよりも大きくすることにより、パンタグラフを折りたたんだ状態ではストッパーが荷重を支え、ピストンロッドによるより大きな上向きの分力が生まれるまでパンタグラフには昇降部分の荷重が作用せず、大きな荷重でも持ち上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を実施した作業台座全体の斜視図である。
【図2】昇降機構ユニットを縮めて折りたたんだ状態の正面図である。
【図3】昇降機構ユニットを伸長して昇降部分を持ちあげた状態の正面図である。
【図4】昇降機構ユニットを最大限度伸ばした正面図である。
【図5】昇降部分に設けた長孔にパンタグラフの上方の角部を遊嵌した状態の正面図である。
【図6】昇降部分に設けた長孔の他の実施例の正面図である。
【図7】土台部分に設けたストッパーと、パンタグラフの上方の角部の位置を示す正面図である。
【図8】シリンダを作動して、昇降部分を持ちあげ始めた状態の正面図である。
【図9】従来の昇降機構の正面図である。
【図10】シリンダの分力を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の昇降機構ユニットは、様々な装置や機器に採用、実施可能であって、本発明の実施例では、建築現場などで使用する仮設足場となる作業台座において採用したものである。
建築現場での高い位置での作業も可能なように、作業員が載る天板の十分な昇降高さを得るとともに、作業員や資材が載った大きな重量物でも持ち上げることが可能となる。
【実施例】
【0019】
<1>作業台座。
図1は本発明を実施した作業台座の斜視図であって、作業員が載る方形の天板1を、四本の脚部2によって支えている。
実施した作業台座は折りたたみ機構を有しているが、図面では折りたたみ機構は開示していない。
折りたたみ機構としては、特許第4565033号公報を参照されたい。
脚部2は、外側の大きな直径のパイプ3の中に、直径のより小さなパイプ4が挿嵌されている。
パイプ4には上下に適宜間隔づつあけて複数の孔が形成されており、パイプ3に開けてある孔からバネによって付勢したストッパーPの先端を、前記パイプ4の孔に差し込ませて脚部2の長さ(高さ)を固定する。
4本のパイプ3と4本のパイプ4は、それぞれ水平に交差させたX字状桟5・6によって支えられている。
天板1と太い直径のパイプ3とX字状桟5が、昇降する昇降部分Aとなり、より小さな直径のパイプ4とX字状桟6が、土台部分Bとなる。
その昇降部分Aと土台部分Bの間に、本発明の昇降機構ユニットCが配置したあり、実際は上方のX字状桟5と下方のX字状桟6の間に昇降機構ユニットCが取付けられている。
【0020】
<2>昇降機構ユニット。
昇降機構ユニットCは、X字状に交差させ、互いの中間部分をピンによって軸支したクロスリンク7と、クロスリンク7の端部をピン軸支したひし形のパンタグラフ8から成っている。
実施例では、クロスリンク7は左右に二枚づつ配したリンク7a・7bを二つ、それらを互いにX字状に交差させ、互いの中間部分をピン9によって軸支してあり、ピン9によって交差角度を変えることが可能となっている。
パンタグラフ8は、平行な二本のアーム10を四組、それら端部をピン11によって軸支して方形に枠組みしてある。
クロスリンク7の四つの端部を、それぞれピン12によって軸支してある。
よって、X字状に交差したクロスリンク7の周囲を、方形のパンタグラフ8が囲むような形である。
クロスリンク7の交差角度を変えることにより、ひし形のパンタグラフ8の形状が、ひしゃげたり拡がったりすることになる。
【0021】
<3>クロスリンクのパンタグラフへの取付位置。
前記したパンタグラフ8は起立させて取付け、ひし形が上下方向に伸縮するように取り付けるのであるが、クロスリンク7の上方側の端部のピン12は、アーム10の中間点よりも上方に位置するように取付けられている。
つまりは、ピン12からパンタグラフ8の上端のピン11までの長さT1よりも、ピン12からパンタグラフ8の左右に張り出た端部のピン11までの長さT2が長くなっている。
これにより、パンタグラフ8を折りたたんだとき、クロスリンク7の交差部分のピン9がパンタグラフ8の左右に張り出た端部のピン11よりも常時上方に位置することになる。
これにより、クロスリンク7に取り付けたシリンダ17の取付け位置が高くなり、シリンダ17が上向きに傾斜することになる。
【0022】
<4>パンタグラフの昇降部への取付。
昇降部AのX字状桟5の下面には、ブラケット13が取付けられている。
ブラケット13には、上下に長い長孔14が形成されており、長孔14は上方よりも下側部分の径が大きくなっている。
その長孔14の中にて移動可能なように、パンタグラフ8の上方端に位置するピン11が遊嵌されている。
孔14の形状は長孔に限らず、後述するシリンダの伸長方向側の内側縁が、湾曲するように形成されておればよく、半月形にしてもよいし、図6に示すように円弧形状に長くなっていてもよい。
【0023】
<5>パンタグラフの土台部への取付け。
パンタグラフ8の一番下に位置するピン11は、土台部BのX字状桟6の上面に取り付けてあるストッパー15に軸支されている。
ストッパー15の高さHは、パンタグラフ8を折りたたんだときの高さよりも高くしてある。
ストッパー15の上下方向に長いガイド溝16が形成されており、そのガイド溝16にパンタグラフ8の上方のピン11が下降して、その中に嵌り込むようになっている。
【0024】
<6>シリンダの取付。
昇降機構ユニットCを駆動する駆動源として、シリンダ17を使用する。
シリンダ17は油圧式でも空圧式であってもよく、実施例では油圧式を採用した。
シリンダ17の一端部、実施例ではピストンロッド19の先端部が、クロスリンク7の一方のリンク7aの中間部分に、ブラケット20にピン軸支されて取付けられている。
シリンダ17の他方の端部、実施例では基端部側がクロスリンク7のパンタグラフ8との連結ピン12よりも外側にピン18によって取付けられている。
シリンダ17の他方の端部は、パンタグラフ8だけでなく、クロスリンク7の他方のリンク7b、或いは土台部B側のいずれかにピン軸支する。
要するに、シリンダ17の伸長によって、その端部を軸支したクロスリンク7の一方のリンクを移動可能としてクロスリンク7の交差角度を変更可能とし、他端部はその伸長の反力を得られる位置であればいずれかに軸支されていればよい。
前記ブラケット20の位置は、クロスリンク7の交差部分のピン9よりも若干上方に位置している。
これによってシリンダ17は常時傾斜して取付けられることになり、始動時においても上向きの分力が得易くなる。
【0025】
以上のような作業台座の天板1の高さを上げる作業について説明する。
<7>シリンダの初動。
シリンダ17を始動して、ピストンロッド19を伸ばす。
パンタグラフ8が折りたたまれた状態で、シリンダ17は最も横向きになった状態であるが、ピストンロッド19が伸び始めたとき、パンタグラフ8の上方端に位置するピン11が長孔14の円弧状の内側縁に沿って上昇する。
これによって、最も上向きの分力の小さい状態でのピン11の移動を円滑にガイドし、ピストンロッド19の伸長を妨げない。
【0026】
<8>ストッパーによる荷重の支え。
パンタグラフ8が畳み込まれた状態では、昇降部Aはストッパー15上に載っているため、パンタグラフ8には昇降部Aの荷重は作用していない。
この荷重がほぼ無い状態であれば、シリンダ17が始動したばかりの上向きの分力が小さい状態であっても、パンタグラフ8は上方に伸びることが可能である。
パンタグラフ8が伸びるということは、シリンダ17がより上方に傾斜することになり、より大きな上向きの分力を得ることが可能となる。
前記したように、パンタグラフ8の一番上方に位置するピン11が長孔14の上端にまで至ると、シリンダ17はより傾斜が大きくなり、その大きくなった上向きの分力で昇降部Aを持ちあげることができる。(図8)
【0027】
<9>パンタグラフの伸長。
更にシリンダ17のピストンロッド19を伸ばすと、クロスリンク7はより大きく立ち上がり、それに従ってパンタグラフ8のひし形はより上方に伸びて立ち上がることになる。
つまりは、クロスリンク7だけよりも、パンタグラフ8が立ち上がる分、昇降機構ユニットC全体の高さがより高くなることになる。
昇降機構ユニットCの高さが高くなることにより、昇降部Aが押し上げられ、作業台座の天板1の高さが高くなる。
よって、パンタグラフ8は、最初は上下にひしゃげて折りたたまれているが(図2)、シリンダ17の駆動によってひし形が縦に拡がるように持ち上がり(図3)、より上方へ伸長すると左右にひしゃげたひし形へと変形することになる。(図4)
【0028】
<10>脚部の固定。
昇降機構ユニットCはその昇降高さにかかわらず、昇降部Aへの取付位置と、土台部Bへの取付位置が変わらず、垂直線上に位置している。
従って、昇降部Aは全体が一様に持ち上がり、或いは下降するため、実施例のような作業台座にあっては、四本の脚部2のストッパーPが、内側のパイプ4の同じ高さに設けられた孔に、それぞれ正確に嵌り込んで高さが固定されることになる。
従って、ひとりの作業でも台座の上げ下げが容易で、またストッパーが嵌り損なって事故となるようなことがない。
【0029】
<11>天板の下降。
天板1を下降させる場合は、以上の作業を逆に行なえばよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の昇降機構ユニットCは、上記した作業台座だけでなく、昇降機構を有する運搬機器、ダムウエイターなどの昇降装置など、様々な用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
A 昇降部
B 土台部
C 昇降機構ユニット
1 天板
2 脚部
5 X字状桟
6 X字状桟
7 クロスリンク
8 パンタグラフ
9 ピン
10 アーム
11 ピン
12 ピン
13 ブラケット
14 長孔
15 ストッパー
16 ガイド溝
17 シリンダ
19 ピストンロッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築工事などで足場として使用する作業台座などに採用され、高さを上げ下げするための昇降機構ユニットに関するものであり、特にパンタグラフ機構を使用した昇降機構ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
様々な分野において、高さを上げ下げして、その上の荷物を上げ下げしたり、上に乗った作業員の足場の高さ調整を行なうため、昇降機構が採用されている。
例えば、特開2001−130879号公報における電動昇降ユニットにあっては、X字状にクロスさせたアームを使用し、クロスさせたアームの交差角度を変えることによって上のテーブルを昇降し、テーブルの上に載せた物などを上げ下げしようとするものである。
【0003】
その基本的な機構は、図9に示すものと同じである。
図9に示す機構では、X字状にクロスさせたアームa・aのクロスさせた部分をピンbによって軸支する。
図において、アームa・aの左側上下端はピンc・cによって軸支してあり、その位置が移動することはない。
他方、図において、アームa・aの右側の上下端部には車輪d・dが取付けられており、左右に移動可能となっている。
両アームa・aの間にはシリンダeを取付けてあり、シリンダeのピストンロッドfを伸縮することによって、アームa・aの交差角度を変えるものである。
アームa・aの交差角度が変わることによってテーブルgの高さが上下するものである。
【0004】
上記機構で問題となるのは、まず昇降高さが小さいことである。
テーブルgが一番低いのは、アームa・aを横に低く折りたたんだときであり、一番高いのはアームa・aを出来るだけ垂直近くに立てたときである。
従って昇降高さは、最大、アームa一本分の長さ以上になることがない。
【0005】
次に問題となるのが、一方側、図で右側のアームa・a端部が車輪d・dによって移動可能であって、アームa・aを立てるようにすると、車輪d・dが左側に移動する。
これはつまり、テーブルgを支える車輪dの位置が左側に移動するもので、テーブルgの右側端部直下をアームa・aによって支えていないことになる。
これによって、テーブルgの右側が重みによって撓むことがある。
図9のような運搬車のようなものであれば大きな問題はないが、本件発明の実施例で実施した作業足場として使用する台座などでは問題である。
台座などでは四本の脚部によって天板を支えるところ、天板の昇降に伴って脚部も伸縮しなければならず、多くの場合、大きな直径のパイプの中に小さな直径のパイプを収納した脚部などを採用し、太い直径のパイプからバネで付勢したピンを、内側の小さな直径のパイプの孔に嵌めこむことによってストッパーとするような機構の場合、全体の高さが同じ高さにならなければ、周囲の四本の脚部が同じ高さでストッパーとして機能しない。
【0006】
つまりは、図9のような昇降機構であれば、一部のストッパーは作動しても、撓んで高さが下がった方のストッパーは高さが足りずに、引っかからず、ストッパーとして機能しないことがある。
作業台座などでは、作業員がひとりで足場を昇降するため、全部のストッパーが一様に作動して、ストップ機構が機能しなければ、作業の手間になるし、また危険でもある。
【0007】
次に問題となるのは、昇降する際の持ち上げる大きな力を得ることが難しいことである。
シリンダなどを使用した場合、ピストンロッドの伸縮方向が出来るだけ昇降方向と平行に近いことが望ましい。平行に近くなればなるほど、ピストンの力が上げ下げするためのより大きな力となるからである。
しかしながら、シリンダを昇降方向、つまりは上下方向に向けると、それだけ収納の高さ(スペース)が必要となることとなり、機構全体を小さく収めることができない。
そこで下降させたときにシリンダを横置きなるようにして収めることが考えられるが、これではピストンロッドの伸長方向は真横に近い状態となる。
【0008】
図10に示すのは、シリンダeのピストンロッドfの方向による分力を示すものである。
シリンダeを真横に横たえれば、ピストンロッドfは水平に伸長するため、その伸長時の上方向に働く分力はゼロである。
しかし、シリンダeのロッドfの伸長方向が少しでも大きく上方へ傾けば傾くほど、ロッドfの伸長によって生じる上方向への分力は大きくなる。
【0009】
上記したように、シリンダを小さく収めるために横向きにした場合、その上方向へ持ち上げようとする分力は非常に小さい。
そこでこの持ち上げる最初の段階で、シリンダの上向きへの力を出来る限り大きくする工夫が必要である。
それに加え、最初のシリンダの伸長の際に抵抗となる荷重などの負荷を出来る限り小さくすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−130879号公報
【特許文献2】特開2004−238190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明は、昇降機構ユニットの昇降高さを十分に確保するとともに、荷重を持ちあげる力を大きくした昇降機構ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、X字状に交差させたクロスリンクの互いの中間部分をピン軸支して、交差角度を変更可能にする。
前記クロスリンクの各端部を、アームをピン軸支して上下方向に伸縮可能にひし形に組んだパンタグラフの各アームの中間部分にピン軸支する。
クロスリンクの交差角度を変えることにより、パンタグラフが上下方向に伸縮するものである。
前記パンタグラフの上方の角部、つまりはひし形の四つの角の一つを昇降部側に取付け、下方の角部を土台部側に取付ける。
前記したようにクロスリンクが交差角度を変えることによりパンタグラフのひし形が上下に伸縮し、それに伴って昇降部が昇降することになる。
シリンダの一端部、例えばピストンロッドの先端部をクロスリンク側にピン軸支する。
シリンダの基端部側は、クロスリンク、パンタグラフ、或いは土台部側のいずれかにピン軸支して、クロスリンクを動かすための反力を得られればよい。
シリンダのピストンロッドが伸縮することにより、クロスリンクの交差角度が変わり、それに伴ってパンタグラフのひし形が上下に伸縮し、シリンダの力によって昇降部が昇降することになる。
【0013】
本発明の他の手段は、クロスリンクの上方側の左右端部は、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方にピン軸支するものである。
クロスリンクの上方側の左右端部を、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方に軸支する。
このことにより、クロスリンクの交差部分が常にパンタグラフの左右の軸支部よりも上方に位置することになり、シリンダのクロスリンクにピン軸支した位置が常時高くなって、シリンダが上向きに取り付けられることになる。
これにより、シリンダ始動時の上向きの分力が大きくなる。
【0014】
本発明の他の手段は、パンタグラフの上方の角部は、昇降部の下面に設けられた上下方向に長く、かつ少なくとも下部の一部の内側縁が、ピストンロッドの伸長方向側に湾曲している長孔に遊嵌、つまりは長孔内を移動可能にした状態で軸支するものである。
ピストンロッドの最初の伸長時に、先端部の軸支部分が湾曲部分に沿って伸長するスペースとなる。
【0015】
本発明の他の手段は、土台部側にストッパーを起立させ、ストッパーの高さを、パンタグラフの折りたたんだ高さよりも大きくするものである。
昇降部が下降したとき、昇降部分はストッパーの上に載り、それ以下に折りたたんだパンタグラフには昇降部の荷重が作用しない。
この状態でシリンダのピストンロッドを伸長すると、最初はほとんど荷重が作用してない状態でパンタグラフが垂直に伸長し始め、よりシリンダが上向いて上方への分力が大きくなった段階で昇降部を持ち上げ始めることになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以上の手段により、以下に記載する効果のうちいずれか一つを達成することが可能である。
(1)クロスリンクの外側にパンタグラフを連結したため、クロスリンクの交差角度を変えることによってパンタグラフのひし形が上下方向に伸縮するため、クロスリンクだけよりも遥かに大きな昇降高さを得ることが可能である。
(2)シリンダのピストンロッドの伸縮長さが、クロスリンクとパンタグラフの二つによって昇降の高低差に変換され、シリンダが小さくとも、大きな昇降高さを得ることが可能である。
(3)シリンダの一端部をクロスリンク側にピン軸支したため、クロスリンクとパンタグラフを折りたたんだとき、シリンダはほぼ横向きになり、昇降機構自体を小さく収めることが出来る。
(4)クロスリンクの上方側の左右端部を、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方にピン軸支することにより、シリンダが上向きに傾斜して収められることになり、シリンダの上向きの分力を得やすい。
(5)パンタグラフの上方の角部を、昇降部の下面に設けられた上下方向に長く、かつ少なくとも下部の一部の内側縁が、ピストンロッドの伸長方向側に湾曲している長孔に遊嵌して軸支したため、ピストンロッドの最初の伸長時に、その伸びを許容してガイドする役割を果たし、より大きな上向きの分力が生まれるまでの最初の抵抗を緩和する。
(6)土台部側にストッパーを起立させ、ストッパーの高さは、パンタグラフの折りたたんだ高さよりも大きくすることにより、パンタグラフを折りたたんだ状態ではストッパーが荷重を支え、ピストンロッドによるより大きな上向きの分力が生まれるまでパンタグラフには昇降部分の荷重が作用せず、大きな荷重でも持ち上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を実施した作業台座全体の斜視図である。
【図2】昇降機構ユニットを縮めて折りたたんだ状態の正面図である。
【図3】昇降機構ユニットを伸長して昇降部分を持ちあげた状態の正面図である。
【図4】昇降機構ユニットを最大限度伸ばした正面図である。
【図5】昇降部分に設けた長孔にパンタグラフの上方の角部を遊嵌した状態の正面図である。
【図6】昇降部分に設けた長孔の他の実施例の正面図である。
【図7】土台部分に設けたストッパーと、パンタグラフの上方の角部の位置を示す正面図である。
【図8】シリンダを作動して、昇降部分を持ちあげ始めた状態の正面図である。
【図9】従来の昇降機構の正面図である。
【図10】シリンダの分力を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の昇降機構ユニットは、様々な装置や機器に採用、実施可能であって、本発明の実施例では、建築現場などで使用する仮設足場となる作業台座において採用したものである。
建築現場での高い位置での作業も可能なように、作業員が載る天板の十分な昇降高さを得るとともに、作業員や資材が載った大きな重量物でも持ち上げることが可能となる。
【実施例】
【0019】
<1>作業台座。
図1は本発明を実施した作業台座の斜視図であって、作業員が載る方形の天板1を、四本の脚部2によって支えている。
実施した作業台座は折りたたみ機構を有しているが、図面では折りたたみ機構は開示していない。
折りたたみ機構としては、特許第4565033号公報を参照されたい。
脚部2は、外側の大きな直径のパイプ3の中に、直径のより小さなパイプ4が挿嵌されている。
パイプ4には上下に適宜間隔づつあけて複数の孔が形成されており、パイプ3に開けてある孔からバネによって付勢したストッパーPの先端を、前記パイプ4の孔に差し込ませて脚部2の長さ(高さ)を固定する。
4本のパイプ3と4本のパイプ4は、それぞれ水平に交差させたX字状桟5・6によって支えられている。
天板1と太い直径のパイプ3とX字状桟5が、昇降する昇降部分Aとなり、より小さな直径のパイプ4とX字状桟6が、土台部分Bとなる。
その昇降部分Aと土台部分Bの間に、本発明の昇降機構ユニットCが配置したあり、実際は上方のX字状桟5と下方のX字状桟6の間に昇降機構ユニットCが取付けられている。
【0020】
<2>昇降機構ユニット。
昇降機構ユニットCは、X字状に交差させ、互いの中間部分をピンによって軸支したクロスリンク7と、クロスリンク7の端部をピン軸支したひし形のパンタグラフ8から成っている。
実施例では、クロスリンク7は左右に二枚づつ配したリンク7a・7bを二つ、それらを互いにX字状に交差させ、互いの中間部分をピン9によって軸支してあり、ピン9によって交差角度を変えることが可能となっている。
パンタグラフ8は、平行な二本のアーム10を四組、それら端部をピン11によって軸支して方形に枠組みしてある。
クロスリンク7の四つの端部を、それぞれピン12によって軸支してある。
よって、X字状に交差したクロスリンク7の周囲を、方形のパンタグラフ8が囲むような形である。
クロスリンク7の交差角度を変えることにより、ひし形のパンタグラフ8の形状が、ひしゃげたり拡がったりすることになる。
【0021】
<3>クロスリンクのパンタグラフへの取付位置。
前記したパンタグラフ8は起立させて取付け、ひし形が上下方向に伸縮するように取り付けるのであるが、クロスリンク7の上方側の端部のピン12は、アーム10の中間点よりも上方に位置するように取付けられている。
つまりは、ピン12からパンタグラフ8の上端のピン11までの長さT1よりも、ピン12からパンタグラフ8の左右に張り出た端部のピン11までの長さT2が長くなっている。
これにより、パンタグラフ8を折りたたんだとき、クロスリンク7の交差部分のピン9がパンタグラフ8の左右に張り出た端部のピン11よりも常時上方に位置することになる。
これにより、クロスリンク7に取り付けたシリンダ17の取付け位置が高くなり、シリンダ17が上向きに傾斜することになる。
【0022】
<4>パンタグラフの昇降部への取付。
昇降部AのX字状桟5の下面には、ブラケット13が取付けられている。
ブラケット13には、上下に長い長孔14が形成されており、長孔14は上方よりも下側部分の径が大きくなっている。
その長孔14の中にて移動可能なように、パンタグラフ8の上方端に位置するピン11が遊嵌されている。
孔14の形状は長孔に限らず、後述するシリンダの伸長方向側の内側縁が、湾曲するように形成されておればよく、半月形にしてもよいし、図6に示すように円弧形状に長くなっていてもよい。
【0023】
<5>パンタグラフの土台部への取付け。
パンタグラフ8の一番下に位置するピン11は、土台部BのX字状桟6の上面に取り付けてあるストッパー15に軸支されている。
ストッパー15の高さHは、パンタグラフ8を折りたたんだときの高さよりも高くしてある。
ストッパー15の上下方向に長いガイド溝16が形成されており、そのガイド溝16にパンタグラフ8の上方のピン11が下降して、その中に嵌り込むようになっている。
【0024】
<6>シリンダの取付。
昇降機構ユニットCを駆動する駆動源として、シリンダ17を使用する。
シリンダ17は油圧式でも空圧式であってもよく、実施例では油圧式を採用した。
シリンダ17の一端部、実施例ではピストンロッド19の先端部が、クロスリンク7の一方のリンク7aの中間部分に、ブラケット20にピン軸支されて取付けられている。
シリンダ17の他方の端部、実施例では基端部側がクロスリンク7のパンタグラフ8との連結ピン12よりも外側にピン18によって取付けられている。
シリンダ17の他方の端部は、パンタグラフ8だけでなく、クロスリンク7の他方のリンク7b、或いは土台部B側のいずれかにピン軸支する。
要するに、シリンダ17の伸長によって、その端部を軸支したクロスリンク7の一方のリンクを移動可能としてクロスリンク7の交差角度を変更可能とし、他端部はその伸長の反力を得られる位置であればいずれかに軸支されていればよい。
前記ブラケット20の位置は、クロスリンク7の交差部分のピン9よりも若干上方に位置している。
これによってシリンダ17は常時傾斜して取付けられることになり、始動時においても上向きの分力が得易くなる。
【0025】
以上のような作業台座の天板1の高さを上げる作業について説明する。
<7>シリンダの初動。
シリンダ17を始動して、ピストンロッド19を伸ばす。
パンタグラフ8が折りたたまれた状態で、シリンダ17は最も横向きになった状態であるが、ピストンロッド19が伸び始めたとき、パンタグラフ8の上方端に位置するピン11が長孔14の円弧状の内側縁に沿って上昇する。
これによって、最も上向きの分力の小さい状態でのピン11の移動を円滑にガイドし、ピストンロッド19の伸長を妨げない。
【0026】
<8>ストッパーによる荷重の支え。
パンタグラフ8が畳み込まれた状態では、昇降部Aはストッパー15上に載っているため、パンタグラフ8には昇降部Aの荷重は作用していない。
この荷重がほぼ無い状態であれば、シリンダ17が始動したばかりの上向きの分力が小さい状態であっても、パンタグラフ8は上方に伸びることが可能である。
パンタグラフ8が伸びるということは、シリンダ17がより上方に傾斜することになり、より大きな上向きの分力を得ることが可能となる。
前記したように、パンタグラフ8の一番上方に位置するピン11が長孔14の上端にまで至ると、シリンダ17はより傾斜が大きくなり、その大きくなった上向きの分力で昇降部Aを持ちあげることができる。(図8)
【0027】
<9>パンタグラフの伸長。
更にシリンダ17のピストンロッド19を伸ばすと、クロスリンク7はより大きく立ち上がり、それに従ってパンタグラフ8のひし形はより上方に伸びて立ち上がることになる。
つまりは、クロスリンク7だけよりも、パンタグラフ8が立ち上がる分、昇降機構ユニットC全体の高さがより高くなることになる。
昇降機構ユニットCの高さが高くなることにより、昇降部Aが押し上げられ、作業台座の天板1の高さが高くなる。
よって、パンタグラフ8は、最初は上下にひしゃげて折りたたまれているが(図2)、シリンダ17の駆動によってひし形が縦に拡がるように持ち上がり(図3)、より上方へ伸長すると左右にひしゃげたひし形へと変形することになる。(図4)
【0028】
<10>脚部の固定。
昇降機構ユニットCはその昇降高さにかかわらず、昇降部Aへの取付位置と、土台部Bへの取付位置が変わらず、垂直線上に位置している。
従って、昇降部Aは全体が一様に持ち上がり、或いは下降するため、実施例のような作業台座にあっては、四本の脚部2のストッパーPが、内側のパイプ4の同じ高さに設けられた孔に、それぞれ正確に嵌り込んで高さが固定されることになる。
従って、ひとりの作業でも台座の上げ下げが容易で、またストッパーが嵌り損なって事故となるようなことがない。
【0029】
<11>天板の下降。
天板1を下降させる場合は、以上の作業を逆に行なえばよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の昇降機構ユニットCは、上記した作業台座だけでなく、昇降機構を有する運搬機器、ダムウエイターなどの昇降装置など、様々な用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
A 昇降部
B 土台部
C 昇降機構ユニット
1 天板
2 脚部
5 X字状桟
6 X字状桟
7 クロスリンク
8 パンタグラフ
9 ピン
10 アーム
11 ピン
12 ピン
13 ブラケット
14 長孔
15 ストッパー
16 ガイド溝
17 シリンダ
19 ピストンロッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台部の上方に配した昇降部を上下させる昇降機構ユニットであって、
X字状に交差させたクロスリンクの互いの中間部分をピン軸支して、交差角度を変更可能にし、
前記クロスリンクの各端部を、アームをピン軸支して上下方向に伸縮可能にひし形に組んだパンタグラフの各アームの中間部分にピン軸支し、
前記パンタグラフの上方の角部を昇降部側に取付け、
前記パンタグラフの下方の角部を土台部側に取付け、
シリンダの一端部をクロスリンク側にピン軸支してあることを特徴とする、
昇降機構ユニット。
【請求項2】
クロスリンクの上方側の左右端部は、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方にピン軸支されていることを特徴とする、請求項1記載の昇降機構ユニット。
【請求項3】
パンタグラフの上方の角部は、昇降部の下面に設けられた上下方向に長く、かつ少なくとも下部の一部の内側縁が、ピストンロッドの伸長方向側に湾曲している長孔に遊嵌して軸支することを特徴とする、請求項1又は2記載の昇降機構ユニット。
【請求項4】
土台部側にストッパーを起立させ、当該ストッパーの高さが、パンタグラフの折りたたんだ高さよりも大きいことを特徴とする
請求項1乃至3の何れか1項に記載の昇降機構ユニット。
【請求項1】
土台部の上方に配した昇降部を上下させる昇降機構ユニットであって、
X字状に交差させたクロスリンクの互いの中間部分をピン軸支して、交差角度を変更可能にし、
前記クロスリンクの各端部を、アームをピン軸支して上下方向に伸縮可能にひし形に組んだパンタグラフの各アームの中間部分にピン軸支し、
前記パンタグラフの上方の角部を昇降部側に取付け、
前記パンタグラフの下方の角部を土台部側に取付け、
シリンダの一端部をクロスリンク側にピン軸支してあることを特徴とする、
昇降機構ユニット。
【請求項2】
クロスリンクの上方側の左右端部は、パンタグラフの各アームの中間部よりも上方にピン軸支されていることを特徴とする、請求項1記載の昇降機構ユニット。
【請求項3】
パンタグラフの上方の角部は、昇降部の下面に設けられた上下方向に長く、かつ少なくとも下部の一部の内側縁が、ピストンロッドの伸長方向側に湾曲している長孔に遊嵌して軸支することを特徴とする、請求項1又は2記載の昇降機構ユニット。
【請求項4】
土台部側にストッパーを起立させ、当該ストッパーの高さが、パンタグラフの折りたたんだ高さよりも大きいことを特徴とする
請求項1乃至3の何れか1項に記載の昇降機構ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−148886(P2012−148886A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−10988(P2011−10988)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【特許番号】特許第4731638号(P4731638)
【特許公報発行日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(392021746)久留米建機サービス株式会社 (3)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【特許番号】特許第4731638号(P4731638)
【特許公報発行日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(392021746)久留米建機サービス株式会社 (3)
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