説明

明るい発光板を実現する導光板の光転換部構造

【課題】
ドットプリントは、導光板の曲げ強度は落ちないがドットに取り込む光の量が少なく、光転換効率が上がらない。その事は発光面の明るさを充分発揮する事が出来ない。
【解決手段】
導光板の光転換部をシルクスクリーンのドットプリント方式とし、1ドットの光転換率を上げて、導光板の表面の明るさを増し、V字切削方式と同等叉はそれ以上の明るさを実現する。導光板内を進む光がドット部分で効率良くドット内に導かれ、乱反射部で発光する。
乱反射した光は一部は導光板の表面に向かう、一部は乱反射ドットの外に設けられた反射シートに反射して、導光板の表面に向かう。
この事で、光転換部の転換効率を上げ、発光板全体の発光照度を上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
LEDエッジライトを使って導光板内に光を入れる、この光を90度方向転換して導光板の表面に導き導光板の面を発光させる。
導光板の片面に施す光転換技術の進歩により、少ないエネルギーで明るい光の面を作り出すことが出来る。
【0002】
LEDの発光効率は年々上がっている。同じ消費電力で光の強さが大きくなり、明るい光源を手に入れることが出来るようになった。
LEDは小さく発熱も少ない、エッジライトの光源に適している。
【0003】
導光板の透明性が上がっている。導光板内を光が通る時、光の通過に障害となる物質が取り除かれ、遠くまで少ない減衰で通ることが出来るようになった。
【背景技術】
【0004】
LEDエッジライトと導光板による発光板を作る時、光の転換効率が上がると発光板の表面が明るくなる。高い輝度を得るための光転換効率上げる方法を発明した。
【0005】
LEDの輝度向上によりエッジライトの実用性が高まって、広い面積の平面を明るくすることが可能となった。更に今回の発明で遠くまで光の減衰を少なくして届かせることが出来るため、大面積の発光板が製作可能となる。
【0006】
LEDエッジライトの光を効率よく方向転換させるため、LEDの強い光を発光板の表面に向けることが出来る、薄型、大面積の表示板バックライトや照明器具が製作可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−91830号公報
【特許文献2】特願2008−167459公報
【特許文献3】特願2010−9830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
導光板の側面より光を入れて、導光板に設けられた光転換部により、導光板の表面を発光させる事が行われている。
従来、光転換には導光板の裏面にV字溝を切削する方法やシルクスクリーンでドットプリントをする方法が行われている。ドットプリント部に光を取り入れてドットが発光することで光転換がなされている。しかし、ドット内に光を取り込む時、ドットインクに含まれている顔料が邪魔をして、充分光を取り込むことが出来ない、その事は、発光板の明るさを充分発光させることが出来ない。
【0009】
導光板にV字の溝を切削して光転換する方法がある、V字切削は光の転換率はよいものの、導光板内を進む光を沢山補足する為、光源より離れると光転換部に届く光の量が少なくなり、光源より遠いところの発光板の表面輝度が低くなる。
【0010】
導光板にV字溝を切削して光転換部を作る方法では、導光板に細い溝が多数設けられるため、導光板の曲げ強度が落ちる、特に大型表示板に於いては曲げ強度が弱いと、導光板の破損や脱落の問題があり使いにくい。
【0011】
ドットプリントは、強度の面は問題ないがドットに取り込む光の量が少なく、光転換効率が上がらない。その事は発光面の明るさを充分発揮する事が出来ない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
導光板の光転換部をシルクスクリーンのドットプリント方式とし、1ドットの光転換率を上げて、導光板の表面の明るさを増し、V字切削方式と同等叉はそれ以上の明るさを実現する。
【0013】
光転換部をドットプリントにする事で、導光板の強度を損なわない、この事は大きいサイズの発光板に対応できるので、使用できる範囲が広くなる。
【0014】
導光板へのシルクスクリーンによるドットプリント方式にすると、ドット部分のみ光が取り込まれるので光の消耗が少ない、この為光源から遠いところまで光が届いて、大きな面を均一に発光する事が出来る。
【0015】
導光板へのシルクスクリーンによるドットプリント方式では、非常に微細なドット形状の制御が出来る、この事は発光面の均一性を維持する。
また、これらの再現性も高く、品質を安定させて生産する事が出来る。
【0016】
ドットプリントの光転換効率を高めるため、インク内の乱反射顔料を最大効率になるように調整する。さらに顔料入りインクと導光板の間に透明樹脂でドットと同じ形状の透明ドットを印刷する。つまり、導光板に透明樹脂で印刷して、さらにその上に顔料入りインクで印刷する。その印刷形状は同じで、ドットが2層構造となる。
【0017】
従来のシルクスクリーンによるドットプリント方式では、充分な光転換が行われなかったが、当発明ではドットを2層構造として光転換効率を上げた。
表―1に示すとおり,従来の光転換用ドットプリントと導光板の間に透明層を入れることで、約20%の光転換効率を上げる事を発見した。
【表1】

【0018】
ドットプリントを2層構造にして、導光板と接している部分を透明にする事で、導光板内を進む光がドット部分で効率良くドット内に導かれ、乱反射部で発光する。
また、ドットプリントはエッジライトの入光条件に合わせて2層に限らず、3層、4層と重ねても良い。
【0019】
乱反射した光は一部は導光板の表面に向かう、一部は乱反射ドットの外に設けられた反射シートに反射して、導光板の表面に向かう。
この事で、光転換部の転換効率を上げ、発光板全体の発光効率を上げる。
【0020】
現在の製造方法はシルクスクリーンによる印刷であるが、近年技術進歩が著しいインクジェットプリントを使っても良い。
インクジェットプリントでは、前記2層構造も簡単に出来る。また、色々な模様や、文字やパターンを版製作無しで出来るので、コストダウンとスピードアップが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果は光転換用ドットプリントを2層にして光転換効率を上げたことである。従来の光転換では実現できなかった、高い効率で光転換できるようになった。
この事は、導光板を傷つけない為、曲げ強度が落ちない。光転換部に取り込まれる光もV字切削に比べて少ない為、遠いところまで届くようになる。その事は大きい面積の発光板製作が可能となり、用途が大きく広がる。
【0022】
LEDエッジライトと導光板の組み合わせによる発光板の用途は広い。厚さは約1cm以内で、面積は最大1、5mx3mが製作可能である。もちろんこれ以内であればサイズは自由に設定できる。
【0023】
消費電力は少なく、60cmx1.2mで約30W である。寿命は約5万時間の耐久性があり、電球交換の手間を削減できる。
表示板のバックライトや,照明器具として広い用途が広がる。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0024】
図2は、LEDエッジライトと導光板と光転換部の構造である。LEDから発生した光は導光板内を進む、障害物が無いとその光は導光板内を何処までも進んでいく。導光板の片面に設けられた光転換部で90度光転換して、導光板の上面に出て来る。
【0025】
光転換の効率は非常に重要で、転換効率が悪いと面発光の輝度が落ちる。また、光転換効率が悪いとエッジライトの消費電力が大きくなり、省エネルギーから逆行する。
【0026】
従来のドットプリントを光転換効率を上げ、効率よく光を取り出すことが出来るようになった。光転換率は約20%向上した。
その原理は、ドットプリントと導光板の間に透明層を入れることで実現することを発見した。
【0027】
ドットプリントの透明層は、導光板と同じ材質のアクリルが適している。導光板内を進む光が透明ドットプリントに入り、そのまま乱反射ドットプリントに向かう。
【0028】
導光板の中を進む光が透明ドットプリントに接して、効率よく透明ドットプリントに導かれる。この事で光のロスが少なく、高い効率でドットプリントに入った光が乱反射して発光板の表面に明るい輝度を作り出す。
【0029】
従来の透明層が無いドットプリントと透明層を入れた2層ドットプリンをと比較すると、前記表―1に示す通り、約20%の照度向上を実現した。
【0030】
照度を20%向上させることは、そのまま消費電力の削減に繋がる。同じ明るさを得るにはほぼ同率の電力差が生じる。
【0031】
図6はドットプリントの拡大図である、通常のドットプリント(17)と同じ形状の透明ドットプリント(21)が施されている。透明ドットプリントへ光が効率よく取り込まれる(22)取り込まれた光は全て乱反射ドットプリント(17)へ向かう。
【0032】
乱反射ドットプリントに当たった光は、ドットプリント内に分散している顔料に当たり乱反射する。前後左右に乱反射した光は一部は発光面に向かい、一部は反射シートに反射して発光面に向かう。
それらを総合して、光転換効率として発光面の照度で把握することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0033】
LEDエッジライトの光転換効率が上がると、用途が広がる。まず、表示板のバックライトである、薄く軽く大きく省エネルギーであることは利用価値は高い。
【0034】
LEDエッジライトの光転換効率が上がることは、明るい発光板を作ることが出来る。それは、照明器具として利用価値が高い。薄く軽いことで取り付けば書を選ばす、既存の建物のどんなところにも設置可能である。
省エネルギーと併せて、今後の利用価値は高い。
【0035】
薄く、軽く、長寿命の明るい発光板を実現すると、特殊照明器具として活用が可能である。危険物工場、クリーンルーム工場、食品工場など、ニーズは高い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】LED発光板の正面図
【図2】LED発光板の断面図
【図3】ドットプリントによる光転換部
【図4】V字切削による光転換部
【図5】ドットプリントの種類 Aドットプリント単層 Bドットプリント複層
【図6】ドットプリント光転換部の拡大図 Aドットプリント単層 Bドットプリント複層
【符号の説明】
【0037】
1 導光板
2 光拡散板
3 LED
4 反射シート
5 光拡散板の表面
6 透光性着色フイルム
7 金属フレーム
8 光転換部
9 導光板内を進む光
11 白色発光
12 色付き発光
13 導光板から光拡散板に進む光
14 表面に出て来る光
17 光転換用ドットプリント(単層)
18 反射シートから表面に出て来る光
19 光転換用V字切削溝
20 光転換用ドットプリント(複層)
21 透明ドットプリント
22 透明ドットプリントへ入る光




【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDエッジライトと導光板の組み合わせで発光板を構成する時、導光板の片面に設けるドットプリントを複層にする事で光転換効率を上げ、発光板の表面輝度を上げるため、複層にしたドットプリントの構造。
【請求項2】
導光板に設けるドットプリントには、導光板に接する部分に透明層ドットプリント(21)を設ける、その上に光転換に適したドットプリントを設け、導光板内を進む光を透明層ドットプリントに導き、光転換が効率よく行われ、発光板の表面輝度を上げる前記請求項1記載の複層ドットプリント構造。
【請求項3】
LEDエッジライトと導光板の組み合わせで発光板を構成する時、面全体を均一に発光させる為、光源に近い方のドットプリントの面積を小さくし、光源に遠い方のドットプリントの面積を大きくした前記請求項1記載の複層ドットプリント構造。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−119256(P2012−119256A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270233(P2010−270233)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(307041182)アイエネ企画株式会社 (14)
【Fターム(参考)】