説明

映像信号伝送装置

【課題】拡張性が容易であると共に、伝送する映像信号の品位を確保することが可能な映像信号伝送装置を提供すること。
【解決手段】中継装置1は、上流側の中継装置の出力に信号ケーブルを介して接続可能な入力端子13を有して入力端子13からの映像信号が入力される入力回路30と、下流側の中継装置の入力に信号ケーブルを介して接続可能な出力端子14を有して出力端子14に映像信号を出力する出力回路40と、映像信号を出力する映像信号出力機器に接続可能であり、この映像信号出力機器から入力される映像信号を出力回路40に出力する選択回路20とを備える。なお、入力回路30及び出力回路40は、互いに整合が取られた終端抵抗32,41を有する。複数の中継装置1をデイジーチェーン接続した際に、終端整合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号を伝送する映像信号伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の映像表示装置に、映像信号が全ての映像表示装置に対してデイジーチェーン方式で鎖状に接続して供給することが可能な映像表示システムがあった。このようにデイジーチェーン方式で映像表示装置を接続することにより、システム増築の場合にも単に鎖状接続の最終段装置に追加装置を接続するだけでよくなり、容易な対処が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−20042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の映像出力装置から入力される映像信号のうちの一つを選択して出力するシステムにおいても、選択可能な映像映像出力装置を増設する際のフレキシビリティを有するといった点で、複数の映像出力装置をデイジーチェーン接続して選択された映像信号を伝送することが好ましい。
【0005】
しかしながら、複数の映像出力装置をデイジーチェーン接続にて伝送する場合、各々の映像出力装置において、自身の映像信号を下流側の映像出力装置へ伝送する経路に、上流側の映像出力装置と接続される分岐が存在するため、この分岐に起因した信号の反射等が発生してしまうといった事情があった。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、拡張性が容易であると共に、伝送する映像信号の品位を確保することが可能な映像信号伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1に、第一の映像信号伝送装置の出力に信号ケーブルを介して接続可能な入力端子を有し、当該入力端子からの映像信号が入力されるデイジーチェーン接続入力回路と、第二の映像信号伝送装置の入力に信号ケーブルを介して接続可能な出力端子を有し、当該出力端子に映像信号を出力するデイジーチェーン接続出力回路と、映像信号を出力する映像信号出力機器に接続可能であり、当該映像信号出力機器から入力される映像信号を前記デイジーチェーン接続出力回路に出力する映像入力回路とを備え、前記デイジーチェーン接続入力回路及びデイジーチェーン接続出力回路は、互いに整合が取られた終端部を有する映像信号伝送装置が提供されるものである。
【0008】
この構成により、複数の映像信号伝送装置をデイジーチェーン接続した場合に終端整合をとって映像信号の反射等による映像信号の劣化を防ぐことができるので、拡張性が容易であると共に、伝送する映像信号の品位を確保することができる。
【0009】
本発明は、第2に、上記第1に記載の映像信号伝送装置であって、前記デイジーチェーン接続入力回路及び前記デイジーチェーン接続出力回路は、直流結合回路により構成される。
【0010】
この構成により、交流結合における切替時のバイアス変動に起因した同期乱れが生じないので、映像信号伝送装置の切替時における同期信号の安定化を図ることができる。
【0011】
本発明は、第3に、上記第1又は第2に記載の映像信号伝送装置であって、前記映像入力回路は、前記映像信号出力機器から入力される映像信号の基準レベルを所定のレベルにクランプするクランプ回路とを有する。
【0012】
この構成により、映像信号の基準レベルが所定のレベルにクランプされるので、複数の映像信号伝送装置をデイジーチェーン接続したとき、異なる映像信号伝送装置からの映像信号に切り替えた場合においても、映像信号の品位を確保することができる。
【0013】
本発明は、第4に、上記第1又は第2に記載の映像信号伝送装置であって、前記映像入力回路は、前記映像信号出力機器と前記デイジーチェーン接続出力回路との間を接続状態又は非接続状態に切り替える切替部と、前記切替部の出力に接続される第一の出力トランジスタとを有し、前記切替部は前記映像信号出力機器と前記デイジーチェーン接続出力回路との間が非接続状態の場合に、前記第一の出力トランジスタに0バイアスをかける。
【0014】
この構成により、映像信号入力がアクティブではない場合には、上流側に接続された映像信号伝送装置から下流側に接続された映像信号伝送装置への映像信号伝送経路に対して、映像入力回路が接続されていない状態となるので、映像信号伝送に対する影響を防ぐことができる。
【0015】
本発明は、第5に、上記第4に記載の映像信号伝送装置であって、前記映像入力回路は、複数の前記映像信号出力機器に接続可能であり、前記複数の映像信号出力機器から入力される映像信号の基準レベルを、各々同じレベルにクランプする複数のクランプ回路を更に備え、前記切替部は、前記接続状態として、各々前記クランプ回路を介して入力される複数の映像信号のうちの一つを選択する。
【0016】
この構成により、一つの信号伝送装置で、複数の映像出力機器からの映像信号を切替可能であり、また、全ての映像信号の基準レベルが所定のレベルにクランプされるので、切替部により異なる映像出力機器からの映像信号に切り替えた場合においても、映像信号の品位を確保することができる。
【0017】
本発明は、第6に、上記第4又は第5に記載の映像信号伝送装置であって、前記デイジーチェーン接続入力回路は、前記第一の映像信号伝送装置から入力される0バイアスの信号によりオフとなる第二の出力トランジスタを有する。
【0018】
この構成により、自身の映像信号伝送装置の映像信号入力から下流側に接続された映像信号伝送装置への映像信号を伝送する際に、その映像信号伝送経路にデイジーチェーン接続入力回路が接続されていない状態となるので、映像信号伝送に対する影響を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、拡張性が容易であると共に、伝送する映像信号の品位を確保することが可能な映像信号伝送装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る映像信号伝送システムの概略構成を示すブロック図である。なお、本実施形態では、カメラ等の映像信号を出力する映像出力機器からの映像信号を伝送する映像伝送装置の一例として、複数の映像信号入力を選択可能であると共に、他の中継装置からの信号を伝送可能な中継装置1について説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の映像信号伝送システムでは、中継装置1a,1b,1cに対して信号ケーブルが一筆書きの要領で配線されている。このシステムは、例えば256個の映像信号が3台に分割した中継装置1a,1b,1cの機器入力端子12に入力され、操作入力装置5に入力された指示に基づいて、中継装置1a,1b,1cによりいずれか一つの映像信号が選択して伝送する。そして、伝送された選択映像信号は、例えば、表示装置4に出力されて表示される。
【0022】
なお、本実施形態では、中継装置1に映像信号を出力する映像出力機器の例としてカメラ2の場合について説明する。そして、中継装置1a〜1cは例えば各々96個の機器入力端子12を有し、中継装置1cには1〜96番目のカメラ2の映像信号が、中継装置1bには97〜192番目のカメラ2の映像信号が、中継装置1cには193〜256番目のカメラ2の映像信号が入力される。
【0023】
各々の中継装置1a,1b,1cは、上流側の中継装置の出力に信号ケーブルを介して接続可能なデイジー入力端子13と、デイジー入力端子13からの映像が入力される入力回路30と、下流側の中継装置の入力に信号ケーブルを介して接続可能なデイジー出力端子14と、デイジー出力端子に映像信号を出力する出力回路40と、カメラ2等の映像信号を出力する映像出力機器に接続可能であり、映像信号出力機器から入力される映像信号を出力回路40に出力する選択回路20とを有する。選択回路20は、複数の機器入力端子12を有して複数の映像信号が入力可能であり、操作入力装置5からの操作入力信号にしたがって映像信号の選択を行う。なお、各々の中継装置1a,1b,1cにおけるデイジー入力端子及びデイジー出力端子の符号は、それぞれデイジー入力端子13a,13b,13c、デイジー出力端子14a,14b,14cであるものとする。また、各中継装置1a,1b,1cにおいて、機器入力端子12、デイジー入力端子13、デイジー出力端子14、選択回路20、入力回路30、出力回路40はそれぞれ同一の構成を有する。
【0024】
中継装置1同士の接続は、デイジー出力端子14からデイジー入力端子13へ信号ケーブルを接続することにより行われる。図1に示すように、上流側から順に、中継装置1aのデイジー出力端子14aから中継装置1bのデイジー入力端子13bが接続されることにより中継装置1a及び中継装置1bが接続される。また、中継装置1bのデイジー出力端子14bから中継装置1cのデイジー入力端子13cが接続されることにより中継装置1b及び中継装置1cが接続される。
【0025】
本システムでは、256個の映像信号入力から一つの映像信号が選択されるので、各々の中継装置1a,1b,1cにおいて、選択がアクティブになっていない選択回路20の選択出力は、デイジー入力端子13及びデイジー出力端子14と接続しないようになっていると共に、選択がアクティブになっている選択回路20は、デイジー入力端子13へは信号が戻らない構成を有する。
【0026】
なお、最終選択出力となる映像信号は、全ての入力信号の共通選択信号ラインとなる、最下流に接続された中継装置1cのデイジー入力端子13c及びデイジー出力端子14cの間からバッファ回路3を経由して直接出力される。なお、バッファ3は選択出力信号に何らかの加工を加えたり付加する、例えば文字表示を行ったりする場合の信号ルートとして必要な場合の回路として記載してあるが、256個の映像信号入力からの選択処理だけでよければ出力回路40の出力端子14cより選択された映像信号を出力すればよいので、中継装置1a〜1cは、全て同じ構成を有していてもよい。
【0027】
図2は本発明の実施形態に係る映像信号伝送装置の概略構成を示す図である。図2に示すように、選択回路20は、複数、例えば96個の機器入力端子12を介してカメラ2に接続可能である。そして、機器入力端子12の各々に対応して接続されたクランプ回路21と、操作入力装置5からの操作指示に基づいて、クランプ回路12を介して入力される映像信号のうちの一つと出力回路40との間を接続状態又は非接続状態に切り替える切替部22と、切替部22の出力側に設けられたPNPトランジスタ23及びNPNトランジスタ24と、接地抵抗25とを有する。
【0028】
クランプ回路21は共通の電源電圧21vが印加され、各々のカメラ2から入力される映像信号において、同期信号の底のレベルやペデスタルレベル等の基準レベルを、同じレベルにクランプすることにより、安定に同期分離することができる。
【0029】
このクランプ回路21について、図3を用いて詳述する。図3は本発明の実施形態に係る映像信号伝送装置におけるクランプ回路の内部構成を示す図である。クランプ回路21は、機器入力端子12に接続されたDCカップリングコンデンサ211と、ベースに電源電圧21vが接続され、エミッタにDCカップリングコンデンサ211の出力側の接続点Aに接続されるNPNトランジスタ212と、DCカップリングコンデンサ211の出力に接続された接地抵抗213と、DCカップリングコンデンサ211の出力にベースが接続された出力トランジスタであるNPNトランジスタ214とを備える。なお、本説明において、電源電圧21v=1.7[V]とする。
【0030】
機器入力端子12から入力されたDCカップリングコンデンサ211により、入力信号は交流成分となる。接続点Aのクランプ電圧が1.0[V]よりも低くなると、NPNトランジスタ212のベース・エミッタ間電圧VBEが大(VBE≧0.7[V])となり、NPNトランジスタ212がオンする。そして、NPNトランジスタ212より電流が供給され、DCカップリングコンデンサ211に電荷が充電される。この充電により、接続点Aの電位が上昇し、入力信号の最小値が1.0[V]以上になるまで充電が行われる。
【0031】
接続点Aの電位が1.0[V]以上になると、NPNトランジスタ212のベース・エミッタ間電圧VBEが小(VBE<0.7[V])になり、NPNトランジスタ212がオフし、コンデンサへの充電が停止される。この時、入力信号の最小値がクランプ電圧と等しい電位となる。つまり、例えばコンポジットビデオ信号の場合は同期信号の最小値が固定される。
【0032】
次に、NPNトランジスタ214のベース電流及び接地抵抗213により、コンデンサの電荷が放電すると、再び接続点Aのクランプ電位が低下し、NPNトランジスタ212のベース・エミッタ間電圧VBEが大(VBE≧0.7[V])となる。すると、NPNトランジスタ212がオンとなるので、NPNトランジスタ212から電流が供給され、DCカップリングコンデンサ211に電荷が充電され、入力信号の最小値がNPNトランジスタ212をオフする電圧(1.0[V]以上)まで上昇する。以上のように、クランプ電圧と入力信号の最小値が等しく保つ様に、充放電が繰り返される。
【0033】
切替部22は、各々のクランプ回路12からの入力のほか、開放22xが選択可能な構成を有する。そして、切替部22の出力は、PNPトランジスタ23のベースに接続され、PNPトランジスタ23のエミッタはNPNトランジスタ24のベースに接続されている。NPNトランジスタ24のエミッタが選択回路の出力となる。また、接地抵抗25は、一端が切替部22とPNPトランジスタ23との間の接続点に接続され、他端が接地されている。
【0034】
入力回路30は、デイジー入力端子13に接続された0dBバッファ31と、一端がデイジー入力端子13と0dBバッファ31との間の接続点に接続され、他端が接地された終端抵抗32と、PNPトランジスタ33と、NPNトランジスタ34とを有する。PNPトランジスタ33のベースは0dBバッファ31の出力に接続されており、NPNトランジスタ34のベースはPNPトランジスタ33のエミッタに接続されている。
【0035】
出力回路40は、選択回路の出力20及び入力回路30の出力の接続点と終端抵抗50との間の接続点に接続された6dBドライバ41と、6dBドライバ41及びデイジー出力端子14との間に直列に接続された終端抵抗42とを有する。
【0036】
次に、上記のように構成された中継装置1の動作について説明する。なお、以下の説明では、中継装置1bに接続されたカメラ2のうちの一つにより出力された映像が、映像伝送システムの出力として選択された場合について説明する。
【0037】
中継装置1aの選択回路20において、機器入力端子12に入力された映像信号は選択しないので、切替部22は、オープン22xが選択される。したがって、トランジスタ23のベースは接地抵抗25により0バイアスとなるので、トランジスタ23,24がカットオフとなる。したがって、中継装置1aの出力回路40が0バイアス直流分をデイジー出力端子14に伝送する。
【0038】
中継装置1aの次段に接続された中継装置1bの入力回路30は、中継装置1aの出力回路40と接続されているので0バイアス状態となり、トランジスタ33,34がオフとなる。したがって、中継装置1bの選択回路20のトランジスタ24には、入力回路30より上流の回路が接続されていない状態となる。
【0039】
中継装置1bでは映像入力のうちの一つが選択されるので、選択回路20の切替部22は、選択された機器入力端子12を接続状態にする。切替部22の出力には、選択された機器入力端子12に接続されたクランプ回路21によりあるバイアスを持った信号が得られるので、トランジスタ23,24がオンする。トランジスタ24には、上述したように入力回路30のトランジスタ34がオフであり接続されていない状態であるので、出力回路40を介してデイジー出力端子14bへ選択映像出力が現れる。
【0040】
中継装置1bの次段に接続された中継装置1cの入力回路30は、中継装置1bの出力回路40と接続されている。ここで、出力回路42には終端抵抗42が設けられ、入力回路30には終端抵抗32が設けられている。これらの終端抵抗によって終端機能を有すると共にこれらが整合を行うことにより、機器間を接続する信号ケーブルによる反射などを最小に抑え、画像伝送として好ましい条件を提供することが出来る。
【0041】
中継装置1cの選択回路20において、機器入力端子12に入力された映像信号は選択しないので、切替部22は、オープン22xが選択される。したがって、トランジスタ23のベースは接地抵抗25により0バイアスとなるので、トランジスタ23,24がカットオフとなる。したがって、入力回路のトランジスタ34には選択回路20が接続されていない状態となるので、デイジー入力端子13cより入力された信号は入力回路30を経由しバッファ回路3より出力される。
【0042】
上述したように、中継装置にデイジー接続用の入力回路30及び出力回路40を専用に設け、それぞれ互いに整合が取られた終端部を有するので、接続された信号ケーブル等における反射を抑えることが可能となる。また、映像信号が入力されていない状態においては選択回路20及び入力回路30の出力トランジスタのバイアスを0とする。このようにして、デイジーチェーン接続された中継装置間で方向性を有した信号授受が可能となる。
【0043】
なお、本実施形態の中継装置では、上流側の中継装置と下流側の中継装置との間で直流伝送が可能なように、入力回路30及び出力回路40は直流結合回路により構成されている。以下、直流結合回路を用いることの利点について、図4及び図5を参照して説明する。
【0044】
図4は交流結合による映像信号切替回路を示す図であり、図5は交流結合による映像入力切替時の映像信号変化を説明する図である。図5(A)は入力映像信号S1の信号波形を示す図、図5(B)は入力映像信号S2の信号波形を示す図、図5(C)は入力映像信号S1からS2へ切り替えたときの信号波形を示す図、図5(D)は入力映像信号S1からS2へ切り替えたときの分離された同期信号を示す図、図5(E)は正常に分離された同期信号を示す図である。
【0045】
図4及び図5に示すように、入力映像信号S1,S2のうちのいずれか一つを選択して出力する場合について説明する。入力映像信号S1,S2の各々はコンデンサCを用いて交流伝送され、スイッチSWにおいていずれか一方が選択される。スイッチSWの出力はトランジスタTRのベースに接続される。また、トランジスタTRのベースには固定バイアスがかけられている。
【0046】
ここで、入力映像信号S1,S2が異なる直流レベルを有し、図5(A)に示すように入力映像信号S1の直流レベルが低く、図5(B)に示すように入力映像信号S2の直流レベルが高い場合、図5(C)に示すように、時刻t1においてスイッチSWによって入力映像信号S1から入力映像信号S2に切り替えられると、選択された信号はコンデンサCを経由してそのまま出力される。なお、切替後の入力映像信号S2の直流レベルは、時間の経過と共に、バイアス回路等による放電で収束する。
【0047】
この場合、図5(D)に示すように、時刻t1から時刻t2の間で、同期信号の正常に分離されず、欠落することにより、出力した表示装置における表示が不安定となってしまう。
【0048】
そこで、本実施形態では、前述したように、選択対象となる映像信号間におけるシンクチップ電圧等の基準レベルが同じレベルとなるようにクランプ回路21が設けられているので、中継装置1における切り替えによっても選択時の映像入力信号の直流レベルが変化しない。
【0049】
また、基準レベルにクランプするクランプ回路21を含み、直流伝送可能な中継装置1が、同期信号の直流電位を固定してデイジーチェーン接続されている。したがって、異なる中継装置1に入力された映像信号への切り替えが行われた場合でも同期信号の直流電位は変化しないので、映像信号から同期分離における検波の欠落が無く、安定した画像表示が得られる。
【0050】
このような本発明の実施形態によれば、デイジーチェーン接続される出力回路と入力回路との間で理想的な伝送と整合状態を実現し機器間を接続するケーブルを最小限とし、複数の映像出力機器のデイジー接続が可能な、システム性並びに拡張性の高い扱いやすいシステムを供給することができる。また、各々の映像伝送装置において、映像出力機器からの入力映像信号を互いに等しいクランプ電圧にするクランプ回路を有し、映像伝送装置間を直流伝送できる回路を用いてデイジーチェーン接続することにより、安定した映像入力の切替を行うことができる。
【0051】
なお、本実施形態では、映像伝送装置として複数の映像出力機器からの映像信号を選択可能な中継装置について説明したが、一つの映像出力機器のみの入力が入力可能な装置でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の映像信号伝送装置は、拡張性が容易であると共に、伝送する映像信号の品位を確保することが可能な効果を有し、複数の映像信号入力から一つの映像を選択して伝送する映像信号伝送システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る映像信号伝送システムの概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る映像信号伝送装置の概略構成を示す図
【図3】本発明の実施形態に係る映像信号伝送装置におけるクランプ回路の内部構成を示す図
【図4】交流結合による映像信号切替回路を示す図
【図5】交流結合による映像入力切替時の映像信号変化を説明する図
【符号の説明】
【0054】
1,1a,1b,1c 中継装置
2 カメラ
3 バッファ回路
4 操作入力装置
5 表示装置
12 機器入力端子
13,13a,13b,13c デイジー入力端子
14,14a,14b,14c デイジー出力端子
20 選択回路
21 クランプ回路
30 入力回路
40 出力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の映像信号伝送装置の出力に信号ケーブルを介して接続可能な入力端子を有し、当該入力端子からの映像信号が入力されるデイジーチェーン接続入力回路と、
第二の映像信号伝送装置の入力に信号ケーブルを介して接続可能な出力端子を有し、当該出力端子に映像信号を出力するデイジーチェーン接続出力回路と、
映像信号を出力する映像信号出力機器に接続可能であり、当該映像信号出力機器から入力される映像信号を前記デイジーチェーン接続出力回路に出力する映像入力回路と
を備え、
前記デイジーチェーン接続入力回路及びデイジーチェーン接続出力回路は、互いに整合が取られた終端部を有する映像信号伝送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像信号伝送装置であって、
前記デイジーチェーン接続入力回路及び前記デイジーチェーン接続出力回路は、直流結合回路により構成される映像信号伝送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の映像信号伝送装置であって、
前記映像入力回路は、前記映像信号出力機器から入力される映像信号の基準レベルを所定のレベルにクランプするクランプ回路とを有する映像信号伝送装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の映像信号伝送装置であって、
前記映像入力回路は、前記映像信号出力機器と前記デイジーチェーン接続出力回路との間を接続状態又は非接続状態に切り替える切替部と、前記切替部の出力に接続される第一の出力トランジスタとを有し、前記切替部は前記映像信号出力機器と前記デイジーチェーン接続出力回路との間が非接続状態の場合に、前記第一の出力トランジスタに0バイアスをかける映像信号伝送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像信号伝送装置であって、
前記映像入力回路は、複数の前記映像信号出力機器に接続可能であり、
前記複数の映像信号出力機器から入力される映像信号の基準レベルを、各々同じレベルにクランプする複数のクランプ回路を更に備え、
前記切替部は、前記接続状態として、各々前記クランプ回路を介して入力される複数の映像信号のうちの一つを選択する映像信号伝送装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の映像信号伝送装置であって、
前記デイジーチェーン接続入力回路は、前記第一の映像信号伝送装置から入力される0バイアスの信号によりオフとなる第二の出力トランジスタを有する映像信号伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−104406(P2007−104406A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292503(P2005−292503)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】