説明

映像信号処理回路、映像表示装置、及び映像信号処理方法

【課題】例えば4画面など、所定数のマルチ画面に対応して複数の画素数変換用のフィルタが集積回路に搭載されている場合、最大画面入力時よりも少ない画面入力時において、全画面に少ない画面を表示した場合の画像特性を上げることを目的とする。
【解決手段】例えば4画面などマルチ画面に対応して複数の画素数変換用のFIRフィルタが半導体集積回路に搭載されている場合、入力数に応じて各入力データへ割り当てるフィルタ数を決定してこれらのフィルタを有効活用することによって、1画面入力時、2画面入力時など、最大画面入力時よりも少ない数の画面入力時に画素数変換のフィルタ特性を高特性にする。そして、大画面(全画面)に1画面又は2画面を表示する場合の画像特性を上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフラット・パネル・ディスプレイ(FPD; Flat Panel Display)等に多画面を表示するための画素数変換処理を行う映像信号処理回路、多画面表示する映像表示装置、及び映像信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラット・パネル・ディスプレイに多画面表示するための画素数変換機能とIP(Interlace−progressive)変換機能を有する1チップ半導体集積回路(LSI;Large Scale Integration)では、水平画素及び垂直画素に対する各々2個の画素数変換器(スケーラー;Scaler)と、2又は1個のIP変換器で画素数変換処理を実行することが一般的に行われていた。通常、画素数変換器は、所定タップ数(タップ係数)を持つFIR(Finite Impulse Response Filter)フィルタで構成されている。なお、2個のIP変換部のうち、1個は動き適応型IP変換器、もう1個は面内IP変換器である。
【0003】
例えば、入力信号ごとに画素変換部103(補間フィルタ、エンハンサ)を設けて、必要とするラインメモリの個数を抑え、安価に構成できるようにした画像信号処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−193895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2個の画素数変換部は独立しているため、半導体集積回路の回路規模上、高特性な画素数変換用フィルタを得ることができなかった。そのため、1画面をフラット・パネル・ディスプレイ全体に表示したときの画像については、十分な画質を得ることができなかった。
【0006】
以下に、図11〜図14を参照して、従来例1〜4を説明する。従来のIP変換部及び表示すべき画像の画サイズを表示パネルに合わせる処理を行う画素数変換部を含む1チップ半導体集積回路の構成例(従来例1)を、図11に示す。
【0007】
図11における映像信号処理回路1000は、2入力構成のフラット・パネル表示用LSIの一例である。映像信号処理回路1000は、IP変換器(動き適応型)1111、IP変換器(面内型又は動き適応型)1112、水平(H)画素数変換器1121,1122、垂直(V)画素数変換器1131,1132、マルチ画面処理部1150を備えている。メモリ1140は、IP変換器1111,1112でのIP変換処理時に使用するものである。実際には、映像信号処理回路1000は、IP変換器とH/Vの画素数変換の他に、画質調整を行うためのビデオプロセッサや、LSI内の同期信号を管理するタイミング発生器、また、入力信号と出力の同期信号を調整するためのフレーム同期装置(Frame Synchronizer)などが含まれる。本発明は画素数変換のフィルタ構成に関するものなので、従来例の説明においてもブロック図を分りやすくするために、これらの機能(Block)を割愛する。
【0008】
映像信号処理回路1000に入力される画像信号は、例えば1080iや480iなどの画像信号である。数値は有効走査線数、「i」はインターレース方式であることを表している。なお、「p」の場合はプログレッシブ方式を意味する。この映像信号処理回路1000に、インターレース方式の2つの画像信号1101,1102が入力される。入力画像信号1101はIP変換器1111に入力されてプログレッシブ方式の画像信号に変換される。そして、水平画素数変換器1121,垂直画素数変換器1131を通り、マルチ画面処理部1150に入力される。他方の入力画像信号1102はIP変換器1112に入力されてプログレッシブ方式の画像信号に変換される。そして、水平画素数変換器1122,垂直画素数変換器1132を通り、マルチ画面処理部1150に入力される。
【0009】
マルチ画面処理部1150は、2系統から入力された画像信号を組み合わせて、所望の合成画像をディスプレイ(図示略)に表示させる。図11の例では、例えば画像1161からなる1画面出力、画像1101a及び1102aから構成されたサイド・バイ・サイド画像1162、画像1101b及び1102bから構成されたピクチャ・イン・ピクチャ画像1163等が生成される。
【0010】
図11に示した映像信号処理回路1000は、次の図12,図13のような構成(従来例3,4)に変形することもできる。図12の映像信号処理回路1200は、図11のIP変換器を水平画素数変換器及び垂直画素数変換器の後段に配したものである。また、図13の映像信号処理回路1300は、図11のIP変換器を水平画素数変換器と垂直画素数変換器の間に配したものである。これらは、IP変換器が使用する外部メモリ1140の容量を減らすことができる構成である。このような構成は、入力画像信号の画サイズよりもフラット・パネル・ディスプレイの解像度が低いときなどに使用されている。
【0011】
図11〜図13に示したように、一般にIP変換器、画素数変換器を備えたフラット・パネル表示用の画サイズ(画素数)変換LSIは、2入力系統を持つものが多い。この場合、H/Vの画素数変換器を各々2つ持つことになる。IP変換器を1個または2個搭載し、さらにビデオプロセッサ、タイミング発生器、フレーム同期装置(Frame Synchronizer)などを搭載するため映像信号処理回路の回路規模が大きくなり、H/Vの画素数変換器(各2個)のためのフィルタのタップ数を減少せざるを得なくなってしまう。
【0012】
その結果、FIRフィルタの出力信号の精度は、タップ数に依存することから、この画素数変換器(フィルタ)が論理的に要求される十分な特性を得られず、フラット・パネル・ディスプレイに表示される画像は、広域成分が除かれたボケた画像、またはエリアシングの多い画像になってしまう。特に、1入力を全画面に表示する場合に画質劣化への影響が大きい。
【0013】
一方では、近年、フラット・パネル・ディスプレイのサイズは大型化され、かつ高解像度化が進み、2画面分割のみならず、さらに多画面分割が要求されるようになってきた。4画面入力に1チップで対応する半導体集積回路の構成例(従来例4)を、図14に示す。図14において、映像信号処理回路1400に入力されたインターレース方式の各入力画像信号1171〜1174は各々、水平画素数変換器1181〜1184で水平画素数が変換されて画像信号1171a〜1174aとなる。さらに、垂直画素数変換器1191〜1194で変換されて画像信号1171b〜1174bとなり、IP変換部1195で変換されて1画面の画像信号1210となって出力される。
【0014】
図14に示すように、従来の方式では水平/垂直の画素数変換器は各々4個ずつ必要である。したがって、半導体集積回路のゲート数の制限から、画素数変換器1個当たりのフィルタのタップ数を減らす必要がある。特に、垂直画素数変換器はメモリを多く必要とする、画素数変換器1個当たりのタップ数への影響が大きい。そのため、1入力をフル画面出力する場合の画質劣化はさらに大きいものとなる。
【0015】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、例えば4画面など、所定数のマルチ画面に対応して複数の画素数変換用のフィルタが集積回路に搭載されている場合、最大画面入力時よりも少ない画面入力時において、全画面に少ない画面を表示した場合の画像特性を上げることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明の映像信号処理回路は、入力された映像信号を画素数変換用フィルタに通して画素数変換を行う映像信号処理回路において、m個の画素数変換用フィルタと、映像信号の入力数に基づいて一つの映像信号が使用可能なフィルタの数(m/入力数(m≧入力数))を算出する制御部と、入力された各映像信号に対し制御部で計算された数のフィルタを割り当てる切替部を有し、映像信号を割り当てられた数のフィルタに通して画素変換処理を行うことを特徴とする。
さらに好適な形態は、上記画素数変換部として水平画素数変換部及び垂直画素数変換部を設け、水平画素数変換部及び垂直画素数変換部のそれぞれがm個の画素数変換用フィルタを備え、切替部が、水平画素数変換部及び前記垂直画素数変換部の各々について各映像信号に対し計算された数のフィルタを割り当てるようにする。
【0017】
上述の構成によれば、映像信号の入力数に応じて、各映像信号に対し制御部で計算された数のフィルタを適宜割り当てるように構成したので、例えば、1入力1画面表示時には、この複数のフィルタで1個の画素数変換機能を構成することにより、高性能なフィルタを得る。また、多入力1画面表示時には、この複数のフィルタを入力数に応じて、分離構成して必要な数の画素数変換機能を生成することにより、入力画像の本数に応じて最大のフィルタ特性を引き出すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば4画面など、所定数のマルチ画面に対応して複数の画素数変換用のフィルタが集積回路に搭載されている場合、映像信号の入力数に応じて各映像信号に適宜フィルタを割り当てるようにしたので、最大画面入力時よりも少ない画面入力時でも全画面に少ない画面を表示した場合の画像特性を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、複数のフィルタ・モジュールを1個〜数個の画素数変換部(スケーラー)を自由に構成することができ、この結果、1入力1画面表示時には、この複数のフィルタで1個の画素数変換機能を構成することにより、高性能なフィルタを得る。また、多入力1画面表示時には、この複数のフィルタを入力数に応じて、分離構成して必要な数の画素数変換機能を生成することにより、入力画像の本数に応じて最大のフィルタ特性を引き出すことを特徴としている。
【0020】
以下、本発明の一実施形態例について、図1〜図10を参照しながら説明する。本例は、水平画素数変換部及び垂直画素数変換部がそれぞれ4個のFIRフィルタを備える構成としている。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態の映像信号処理回路において、水平/垂直の画素数変換部のフィルタを1入力に対応させた構成を示すものである。1入力構成時、映像信号処理回路100は、水平及び垂直画素数変換用の各4個のフィルタ111〜114,121〜124を、1入力の画像信号のために全て使用し、水平画素数変換部104、垂直画素数変換部105をそれぞれ1つずつ作成する。図1において、映像信号処理回路100は、IP変換部102、水平画素数変換部104、垂直画素数変換部105から構成さている。メモリ103は、IP変換部102により実施されるIP変換処理に使用されるRAM(Random Access Memory)である。
【0022】
IP変換器102は、入力されたインターレース方式の画像信号101を、プログレッシブ方式に変換する。この画像信号101は、特許請求範囲に記載された映像信号の一例であり、例えば1080i、480i等のフォーマットに沿った信号である。
【0023】
水平画素数変換部104は、直列に接続する4個の水平画素数変換用(H)フィルタ111〜114を有する。各フィルタはFIRフィルタより構成され、数タップ(例えば、5〜10タップ)を備える。
【0024】
また、垂直画素数変換部105は、直列に接続する4個の垂直画素数変換用(V)フィルタ121〜124を有する。各フィルタはFIRフィルタより構成され、数タップ(例えば、5〜10タップ)を備える。
【0025】
この映像信号処理回路100に、入力画像信号101が入力されると、まずIP変換部102でインターレース方式からプログレッシブ方式に変換される。そしてIP変換された画像信号は、水平画素数変換部104のHフィルタ111へ入力され、Hフィルタ112〜114まで順に通過して水平画素数変換処理が順次実施される。続いて、水平画素数変換部104から垂直画素数変換部105へ入力され、Vフィルタ121〜124まで順に通過して垂直画素数変換処理が実施される。そして、映像信号処理回路100より出力画像信号106を出力し、フル画面表示する。
【0026】
図1の例では、1入力をフル画面出力する場合は、水平及び垂直画素数変換用の各4個のフィルタを、1入力の画像信号のために全て使用し、水平画素数変換部104、垂直画素数変換部105を1ずつ作成している。このように構成することで、例えば、40タップ程度のフィルタによる画素数変換部を構成でき、1入力画像を全画面に出力する際に、高特性なフィルタを作ることができる。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態の映像信号処理回路において、水平/垂直の画素数変換部のフィルタを2入力に対応させた構成を示すものである。2入力構成時、映像信号処理回路200は、水平及び垂直画素数変換用の各4個のフィルタ111〜114,121〜124を、各々2個ずつ組み合わせて、水平画素数変換部204,207、垂直画素数変換部205,208を作成する。
【0028】
この映像信号処理回路200に、2つの入力画像信号201,202が入力された場合、まず画像信号201は、IP変換部203でインターレース方式からプログレッシブ方式に変換される。そしてIP変換された画像信号は、水平画素数変換部204のHフィルタ111,112と順に通過して水平画素数変換処理が順次実施される。続いて、水平画素数変換部204から垂直画素数変換部205へ入力され、Vフィルタ121,122と順に通過して垂直画素数変換処理が順次実施された後、マルチ画面処理部209へ入力される。一方、画像信号202は、IP変換部206でインターレース方式からプログレッシブ方式に変換される。そしてIP変換された画像信号は、水平画素数変換部207のHフィルタ113,114と順に通過して水平画素数変換処理が順次実施される。続いて、水平画素数変換部207から垂直画素数変換部208へ入力され、Vフィルタ123,124と順に通過して垂直画素数変換処理が順次実施された後、マルチ画面処理部209へ入力される。
【0029】
マルチ画面処理部209は、入力された画像信号をマルチ画面(多画面)上で所望の配置にするための切り換え、あるいは合成処理を行い、表示パネルへ出力するものである。例えば、2系統から入力された画像信号を組み合わせて、画像211の1画面出力、画像201a及び202aから構成されたサイド・バイ・サイド画像212、画像201b及び202bから構成されたピクチャ・イン・ピクチャ画像213等を出力する。
【0030】
なお、従来方法のように、外部メモリの使用容量を減らすために、IP変換部203,206をそれぞれ、水平画素数変換部204,207の後段(垂直画素数変換部205,208の前段)や、垂直画素数変換部205,208の後段に配置する構成も考えられる。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態の映像信号処理回路において、水平/垂直の画素数変換部のフィルタを2入力(フルHD(High Definition)で表示可能な場合)に対応させた構成を示すものである。フルHD対応表示パネルなど、親画面(つまり入力画像信号301)に画素数変換処理を施さず、ピクセルtoピクセルで表示させることが可能な場合には、1チップ内に搭載したこれら全てのフィルタ111〜114,121〜124を子画面(すなわち入力画像信号302)に使用することができる。フルHDは1080iの通称である。
【0032】
この場合、子画面は図1に示した1入力構成と同様のフィルタ構成となるので、子画面の画質も、図2に示した2入力の場合と比較して改善される。
【0033】
この例では、映像信号処理回路300に入力された画像信号301はIP変換部203でIP変換処理された後、直接マルチ画面処理部209へ入力されるともに、水平画素数変換部104及び垂直画素数変換部105で画素数変換された子画面(入力画像信号302)がマルチ画面処理部209へ入力される。図3の例では、マルチ画面処理部209は、2系統から入力された画像信号を組み合わせて、例えばフルHDの画像311、フルHDの画像301aに画像302aをピクチャ・イン・ピクチャ表示している。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態の映像信号処理回路において、水平/垂直の画素数変換部のフィルタを4入力に対応させた構成を示すものである。4入力構成時、映像信号処理回路400は、水平及び垂直画素数変換用の各4個のフィルタ111〜114,121〜124を、4入力の画像信号のために1個ずつ使用して、水平画素数変換部411〜414、垂直画素数変換部421〜424を作成する。
【0035】
図4において、映像信号処理回路400に入力されたインターレース方式の各入力画像信号401〜404は各々、水平画素数変換部411〜414のフィルタ111〜114で水平画素数が変換されて、水平画素が補間された画像信号401a〜404aとなる。さらに、垂直画素数変換部421〜424のフィルタ121〜124で変換されて垂直画素数が変換されて、画像信号401b〜4014bとなる。そして、IP変換部102で変換されて1画面の画像信号431に合成されて出力され、多画面表示される。
【0036】
以上述べたように、数タップのフィルタセルを、入力画面の数によって構成を替えることにより、1画面入力時に高特性なフィルタを得ることができる。
【0037】
図5は、図1〜図4に示したような1〜4個の画素数変換部を構成することができるフィルタの構成例である。制御部(コントローラ)501は、例えばCPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置から構成され、入力数情報により画像信号の入力数を判定するとともに、一つの画像信号が使用可能なフィルタ数を計算し、計算結果に基づいて各切替部に指示を送る。また、入力信号のタイミングに合わせてRAMから出力するタップ係数を制御する。この図5に示すフィルタ構成を、水平画素数変換機能、垂直画素数変換機能の双方に対して用意する。
【0038】
第1〜第4の入力端子511〜514は、入力数に応じて所定の入力端子からデータが入力される。第1〜第4のフィルタ521〜524は、FIRフィルタから構成され、例えば7タップ〜10タップ程度のタップ数を持つとする。第1〜第3の切替部531〜534は、制御部501の指示に基づいて、入力画像信号を切り替える。第1〜第4のメモリ541〜544は、RAMから構成され、各フィルタ521〜524で使用するFIRフィルタの係数を格納している。第1〜第3の加算部551〜553は、各フィルタからの出力あるいは他の加算部からの出力を加算して各出力端子に出力する。
【0039】
図5の画素数変換部の接続構成について説明する。図5において、第1入力端子511と第1のフィルタ521の入力端を接続し、また第1のフィルタ521の出力端を第1の切替部531の入力端及び第1出力端子561に接続する。また第2入力端子512と第1の切替部531の入力端を接続し、第1の切替部531の出力端を第2のフィルタ522の入力端に接続する。また第2のフィルタ522の出力端を第2の切替部532の入力端及び第2出力端子562に接続する。また第3入力端子513と第2の切替部532の入力端を接続し、第2の切替部532の出力端を第3のフィルタ523の入力端に接続する。また第3のフィルタ523の出力端を第3の切替部533の入力端及び第3出力端子563に接続する。また第4入力端子564と第3の切替部533の入力端を接続し、第3の切替部533の出力端を第4のフィルタ524の入力端に接続する。また第4のフィルタ524の出力端を第4出力端子564に接続する。
【0040】
さらに、第1のフィルタ521の出力端と第2のフィルタ522の出力端を第1の加算部551の入力端にそれぞれ接続する。また第3のフィルタ523の出力端と第4のフィルタ524の出力端が第2の加算部552の入力端にそれぞれ接続する。また第1の加算部551の出力端を第5出力端子565及び第3の加算部553の入力端に接続する。また第2の加算部552の出力端を第6出力端子566及び第3の加算部553の入力端に接続する。そして第3の加算部553の出力端が第7出力端子567に接続する。
【0041】
図5の構成において、例えば、映像信号処理回路に搭載されている画素数変換用のフィルタの数をm(偶数)個とするとき、制御部501は画像信号の入力数に基づいて一つの画像信号が使用可能な、すなわち一つの画像信号に割り当て可能なフィルタの数nを算出する。
計算式は、
n=m/入力数(m≧入力数)
である。
各切替部531〜533は、前記計算結果に基づく制御部501の指示に従い、入力された各画像信号に対し制御部501で計算された数のフィルタを割り当てるように切り替え動作を行い、入力された各画像信号を割り当てられた数のフィルタに通して画素変換処理を行う。
【0042】
ところで、入力端子511〜514は、図1〜図4の映像信号処理回路に示すような種々の入力画像信号のデータが入る。図1〜図4において入力される画像信号は、フレーム周波数、クロック周波数、画サイズ(HD,SD,VESAなど)が異なる。そのため、図5において、個々のFIRフィルタを、色々な週波数に対応できるように回路を組むことも考えられるが、現実的にはタイミング・エラーを取り除くことが厳しくなるので、このフィルタの前段でクロックの載せ替えを行う。
【0043】
図6に、周波数同期をとるための構成を示す。図6において、FIFO部571〜574は、入力画像信号のデータを先入れ先出し方式で記憶するメモリであり、入力端子と同じ個数設けられる。第1の入力画像信号がクロック1という周波数で、同じく第2〜第4の入力画像信号がクロック2〜4という周波数で入力され、これらクロック1〜4は全て異なる周波数であるとする。これらの入力は、この入力周波数でFIFOにデータを格納し、出力はClock_Systemという同一の周波数で読み出しを行い、各々フィルタブロック500へデータが入力される。この際、クロックの周波数と位相は4入力とも同じにするが、水平及び垂直の同期は取れていない。水平及び垂直の同期はIP変換に使用する外部メモリ(RAM)を利用して行う。
【0044】
次に、図7を参照して、4画面入力1画面出力時の動作を説明する。4画面入力時は、4つの入力端子511〜514を全て使用してデータを入力する。このとき、FIRフィルタの各セルは各入力に1個ずつ使用する。図7において、4つのデータが入力された場合、第1〜第4の入力データをそれぞれ第1〜第4入力端子511〜514から入力し、第1の入力データを第1のフィルタ511に、第2の入力データを第1の切替部531に、第3の入力データを第2の切替部532に、第4の入力データを第3の切替部533に入力する。そして、第1〜第3の切替部531〜533は、制御部501の指示に基づいて第2〜第4の入力データを各々第2〜第4のフィルタ522〜524に入力する。続いて、第1〜第4のフィルタ521〜524は第1〜第4の入力データに対して画素数変換処理を行い各々第1〜第4出力端子561〜564へ出力する。
【0045】
このような動作により、図4に示した4入力構成が実現され、各入力に7〜10タップのFIRフィルタが割り当てられる。このとき、各メモリ541〜544は、個別に各入力データの位相に合うように係数の出力を、制御部501の指示に基づいて各フィルタ521〜524へ送る。
【0046】
次に、図8を参照して、2画面入力1画面出力時の動作を説明する。2画面入力時は、第1及び第3入力端子511,513から入力し、第2及び第4入力端子512,514は使用しない。図8において、2つのデータが入力された場合、第1及び第2の入力データをそれぞれ第1及び第3入力端子511,513から入力し、第1の入力データを第1のフィルタ521に、第2の入力データを第2の切替部532に入力する。第1入力端子511に入力された第1の入力データを、第1のフィルタ521から第1の加算部551へ入力する。さらに第1入力端子511に入力された第1の入力データを、第1のフィルタ521から第1の切替部531へ入力する。そして、第1の切替部531から第2のフィルタ522へ第1の入力データを送り、第2のフィルタ522から第1の加算部551へ第1のデータを入力する。
【0047】
一方、第2の切替部532に入力された第2の入力データを、第3のフィルタ523から第2の加算部552へ入力する。さらに第2入力端子512に入力された第2の入力データを、第3のフィルタ523から第3の切替部533へ入力する。そして、第3の切替部533から第4のフィルタ524へ第2のデータを送り、第4のフィルタ524から第2の加算部552へ第2のデータを入力する。
【0048】
そして、第1の加算部551は、第1の入力データを第5の出力端子565へ出力し、また第2の加算部552は、第2の入力データを第6の出力端子566へ出力する。このような動作により、図2に示した2入力構成が実現され、2入力のデータは、各々2個のFIRフィルタセルを使用し、14〜20タップのフィルタを構成する。
【0049】
次に、図9を参照して、1画面入力1画面出力時の動作を説明する。1入力時は、第1入力端子511から入力し、4個のフィルタ521〜524のFIRフィルタセル全てを使用する。図9において、1つのデータが入力された場合、そのデータを第1入力端子511から入力する。そして、第1〜第3の切替部531〜533は、制御部501の指示に基づいて、それぞれ第1のフィルタ521の出力を第2のフィルタ522へ、第2のフィルタ522の出力を第3のフィルタ523へ、さらに第3のフィルタ523の出力を第4のフィルタ524へ送出するよう切り替える。
【0050】
入力されたデータを第1〜第4のフィルタ521〜524を全て通過させ、第1〜第4のフィルタ521〜524の各々で画素変換処理する。そして、第1及び第2のフィルタ521,522の出力を第1の加算部551へ送り、また第3及び第4のフィルタ523,524の出力を第1の加算部552へ送る。最後に、第1及び第2の加算部551,552の出力を第3の加算部553で加算して第7出力端子567へ出力する。このようにして、図4に示した4入力構成が実現され、28〜40タップのFIRフィルタを構成することができるので、高特性なフィルタを得ることができる。
【0051】
これらの入力数に応じたフィルタの組み合せ及び切り替えは、制御部501が現在入力されているデータの数を判定し、その判定結果に基づいて各切替部に指示することにより、自動的に切り換えるようにしてもよい。また、利用者がフラット・パネル・ディスプレイに表示されたメニュー画面を操作して、手動で切り換えるようにしてもよい。
【0052】
以上説明したように、本発明では、例えば4画面などマルチ画面に対応して複数の画素数変換用のFIRフィルタが半導体集積回路に搭載されている場合、これらのフィルタを有効活用することによって、1画面入力時、2画面入力時など、最大画面入力時よりも少ない数の画面入力時に画素数変換のフィルタ特性を高特性にすることによって、大画面(全画面)に1画面又は2画面を表示する場合の画像特性を上げることができる。
【0053】
なお、FIRフィルタセルは、例として7〜10タップと説明したが、これは7〜10の可変ではなく、例えば、7タップ、8タップ、9タップ、10タップという意味である。
【0054】
最後に、本発明の画素数変換機能とIP変換機能を搭載したフラット・パネル・ディスプレイ表示用LSIの概略図を、図10に示す。
図10において、映像表示装置は、マトリックススイッチ部601、タイミング発生部602、水平画素数変換部603、垂直画素数変換部604、IP変換部605、メモリ606、ビデオプロセッサ607を備える。
【0055】
水平画素数変換部603、垂直画素数変換部604が、上述した本発明のフィルタ111〜114、121〜124に対応する。マトリックススイッチ部601に4入力数のデータが入力されて、このマトリックススイッチ部601で水平画素数変換部603、垂直画素数変換部604、IP変換部605、ビデオプロセッサに信号が振り分けられ、図1から図4に示した各機能の処理順序を変更できるようにする。この処理順序とは、例えばIP変換処理と画素数変換処理の順序を入れ替えることである。また、ビデオプロセッサ607は、ガンマ(γ)変換、コントラスト調整、色調整など、モニター、テレビジョン受像機などで必要な調整機能を含んでいる。タイミング発生器602は、この映像表示装置内全ての信号のタイミング及び位相を管理するものである。
【0056】
なお、本発明は、上述した各実施形態の例に限定されるものではなく、例えば画素数変換用のフィルタの数を偶数としたが奇数であってもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る映像信号処理回路における1入力時の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る映像信号処理回路における2入力時の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る映像信号処理回路における2入力時の構成(フルHDパネル)を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る映像信号処理回路における4入力時の構成を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る画素数変換部(フィルタ・ブロック)の構成を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画素数変換部において周波数同期をとるための構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画素数変換部において4画面入力1画面出力時の動作を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る画素数変換部において2画面入力1画面出力時の動作を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る画素数変換部において1画面入力1画面出力時の動作を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る映像表示装置の構成例を示す図である。
【図11】従来例1の説明に供する図である。
【図12】従来例2の説明に供する図である。
【図13】従来例3の説明に供する図である。
【図14】従来例4の説明に供する図である。
【符号の説明】
【0058】
100,200,300,400…映像信号処理回路、104,204,207,411〜414…水平画素数変換部、105,205,208,421〜424…垂直画素数変換部、209…マルチ画面処理部、111〜114…水平補間フィルタ、121〜124…垂直補間フィルタ、500…フィルタブロック、501…制御部、511〜514…入力端子、521〜524…補間フィルタ、531〜533…切替部、541〜544…メモリ、551〜553…加算部、561〜567…出力端子、571〜574…FIFO部(メモリ)、601…マトリックススイッチ部、602…タイミング発生部、603…水平画素数変換部、604…垂直画素数変換部、605…IP変換部、606…メモリ、607…ビデオプロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像信号を画素数変換用フィルタに通して画素数変換を行う映像信号処理回路において、
m個の画素数変換用フィルタと、
映像信号の入力数に基づいて一つの映像信号が使用可能なフィルタの数(m/入力数(m≧入力数))を算出する制御部と、
入力された各映像信号に対し前記制御部で計算された数のフィルタを割り当てる切替部を有し、
前記映像信号を前記割り当てられた数のフィルタに通して画素変換処理を行う
ことを特徴とする映像信号処理回路。
【請求項2】
前記画素数変換部として水平画素数変換部及び垂直画素数変換部が設けられ、
前記水平画素数変換部及び前記垂直画素数変換部のそれぞれがm個の画素数変換用フィルタを備え、前記切替部が、前記水平画素数変換部及び前記垂直画素数変換部の各々について各映像信号に対し前記計算された数のフィルタを割り当てる
ことを特徴とする請求項1記載の映像信号処理回路。
【請求項3】
映像信号が入力される第1〜第4入力端子と、
第1〜第4の画素数変換用フィルタと、
第1〜第4の切替部と、
第1〜第3の加算部と、
画素数変換後の映像信号が出力される第1〜第4出力端子を有し、
第1入力端子と前記第1のフィルタの入力端が接続され、また前記第1のフィルタの出力端が前記第1の切替部の入力端及び第1出力端子に接続され、また第2入力端子と前記第1の切替部の入力端が接続され、前記第1の切替部の出力端が前記第2のフィルタの入力端に接続され、また前記第2のフィルタの出力端が前記第2の切替部の入力端及び第2出力端子に接続され、また第3入力端子と前記第2の切替部の入力端が接続され、前記第2の切替部の出力端が前記第3のフィルタの入力端に接続され、また前記第3のフィルタの出力端が前記第3の切替部の入力端及び第3出力端子に接続され、また第4入力端子と前記第3の切替部の入力端が接続され、前記第3の切替部の出力端が前記第4のフィルタの入力端に接続され、また前記第4のフィルタの出力端が第4出力端子に接続され、また前記第1のフィルタの出力端と前記第2のフィルタの出力端が前記第1の加算部の入力端にそれぞれ接続され、また前記第3のフィルタの出力端と前記第4のフィルタの出力端が前記第2の加算部の入力端にそれぞれ接続され、また前記第1の加算部の出力端が第5出力端子及び第3の加算部の入力端に接続され、また前記第2の加算部の出力端が第6出力端子及び第3の加算部の入力端に接続され、そして前記第3の加算部の出力端が第7出力端子に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理回路。
【請求項4】
4つの映像信号が入力された場合、
第1〜第4の映像信号をそれぞれ前記第1〜第4入力端子から入力し、前記第1の映像信号を前記第1のフィルタに、前記第2の映像信号を前記第1の切替部に、前記第3の映像信号を前記第2の切替部に、前記第4の映像信号を前記第3の切替部に入力し、
前記第1〜第3の切替部は、前記制御部の指示に基づいて前記第2〜第4の映像信号を各々前記第2〜第4のフィルタに入力し、
前記第1〜第4のフィルタは前記第1〜第4の映像信号に対して画素数変換処理を行い各々前記第1〜第4出力端子へ出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の映像信号処理回路。
【請求項5】
2つの映像信号が入力された場合、
第1及び第2の映像信号をそれぞれ前記第1及び第3入力端子から入力し、前記第1の映像信号を前記第1のフィルタに、前記第2の映像信号を前記第2の切替部に供給し、前記第2の切替部は、前記制御部の指示に基づいて前記第2の映像信号を前記第3のフィルタに入力し、
前記第1入力端子に入力された第1の映像信号は、前記第1及び第2のフィルタで画素数変換処理された後、第1の加算部で加算されて第5出力端子へ出力され、
かつ、前記第3入力端子に入力された第2の映像信号は、前記第3及び第4のフィルタで画素数変換処理された後、第2の加算部で加算されて第6出力端子へ出力される
ことを特徴とする請求項3に記載の映像信号処理回路。
【請求項6】
1つの映像信号が入力された場合、
前記映像信号を前記第1入力端子から入力し、かつ前記第1〜第3の切替部をそれぞれ前記第1のフィルタの出力を前記第2のフィルタへ、前記第2のフィルタの出力を前記第3のフィルタへ、さらに前記第3のフィルタの出力を前記第4のフィルタへ送出するよう切り替え、
前記第1の映像信号を第1〜第4のフィルタを全て通過させ、前記第1〜第4のフィルタの各々で画素変換処理された第1の映像信号を前記第1及び第2の加算部で加算し、前記第1及び第2の加算部からの出力を前記第3の加算部で加算して前記第7出力端子へ出力する
ことを特徴とする請求項3に記載の映像信号処理回路。
【請求項7】
前記映像信号処理回路の前段に、入力される映像信号のデータを先入れ先出し方式で記憶するメモリを前記入力端子と同一数設け、
前記各メモリに記憶された前記映像信号のデータを、所定の同一周波数で読み出し、前記入力端子に入力する
ことを特徴とする請求項3に記載の映像信号処理回路。
【請求項8】
入力された映像信号を画素数変換用フィルタに通して画素数変換を行い表示する映像表示装置において、
m個の画素数変換用フィルタと、
映像信号の入力数に基づいて一つの映像信号が使用可能なフィルタの数(m/入力数(m≧入力数))を算出する制御部と、
入力された各映像信号に対し前記制御部で計算された数のフィルタを割り当てる切替部から構成される映像信号処理回路を備え、
前記映像信号を前記割り当てられた数のフィルタに通して画素変換処理を行う
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
入力された映像信号を画素数変換用フィルタに通して画素数変換を行う映像信号処理方法において、
映像信号の入力数に基づいて、m個の画素数変換用フィルタのうち一つの映像信号が使用可能なフィルタの数(m/入力数(m≧入力数))を算出するステップと、
入力された各映像信号に対し前記計算された数のフィルタを割り当てるステップと、
前記映像信号を前記割り当てられた数のフィルタに通して画素変換処理を行うステップと
を有することを特徴とする映像信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−5230(P2008−5230A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−172821(P2006−172821)
【出願日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】